JP4043688B2 - 電源回路 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、機器の負荷変動に伴う電池の電圧変動を吸収する蓄電素子を備えた電源回路に関する。
【0002】
【従来技術およびその問題点】
近年では、電子機器内部に流れる電流変化(負荷変動)に伴う電池の電圧変動を抑制するため、電池に蓄電素子を並列接続した電池装置が提案されている。この用途の蓄電素子としては、等価直列抵抗(ESR)が低くかつ蓄積容量が大きいものが適しており、主に電気二重層コンデンサを使用している。
しかし、過電流保護回路を備えた電池、例えば、いわゆるリチウムイオン電池を使用している場合には、電気二重層コンデンサの充電時に所定の過電流検出値以上の電流が流れてしまい、その結果、過電流保護回路が遮断動作して電池の出力が遮断されてしまう場合がある。その場合、使用者は過電流保護回路が遮断動作したことを認識することができないため、電池残量がない、または機器の故障か、と誤認識してしまう。
【0003】
【発明の目的】
本発明は、電池が備えた保護回路の遮断動作を回避して蓄電素子を充電することができる電源回路を提供することを目的とする。
【0004】
【発明の概要】
本発明は、所定の過電流検出値以上の電流が規定時間以上連続して出力されたことを検知すると該出力を遮断する保護回路を備えた電池に接続される電源回路において、蓄電素子と、前記電池と蓄電素子とを接続する第1経路に設けた第1スイッチ手段と、前記電池と前記蓄電素子を前記第1経路を迂回して接続する第2経路に設けた第2スイッチ手段と、
前記蓄電素子の端子電圧が所定のしきい値未満のときは、前記保護回路が遮断動作しないように、前記第2スイッチ手段をオフし、前記第1スイッチ手段をスイッチングさせて前記第1経路で前記蓄電素子を間欠充電し、前記蓄電素子の端子電圧が前記所定のしきい値以上であるときには、前記第1スイッチ手段をオフし、前記第2スイッチ手段をオンして前記第2経路で前記電池と前記蓄電素子とを接続して前記蓄電素子を連続充電し、前記蓄電素子の間欠充電における前記第1スイッチ手段のオン時間は、前記保護回路の規定時間未満、または前記蓄電素子の充電に伴い減少する前記電池の出力が前記過電流検出値を超えない時間とする充電制御手段とを備え、前記第1スイッチ手段は、ソース端子に前記電池を接続し、ドレイン端子に前記蓄電素子を接続したPチャンネルFETであることに特徴を有する。この構成によれば、蓄電素子の充電時に保護回路が遮断動作することがなく、電池残量がない・機器が故障したなどの誤認識を使用者に与えることもなくなる。しかも間欠充電と連続充電を切換えるので、間欠充電だけで蓄電素子を充電するよりも、第1スイッチ手段のスイッチングに伴うスイッチングノイズの発生を最小限に抑えることができ、また充電時間の短縮を図ることができる。
しかも、前記蓄電素子の間欠充電における前記スイッチング素子のオン時間は、前記保護回路の規定時間未満であるか、または前記蓄電素子の充電に伴い減少する前記電池の出力が前記過電流検出値を超えない時間なので、保護回路が遮断動作しない範囲で最大の電流出力で蓄電素子を間欠充電できるので、充電時間の短縮化が図れる。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明を説明する。図1は、本発明を適用した電源回路の主要構成をブロックで示す図である。本電源回路100は、保護回路210を備えた電池200と、負荷300との間に配設される。電池200から出力された電源電流Iは、電源回路100を介して駆動電流ILとされ、負荷300に供給される。保護回路210は、所定の過電流検出値以上の電源電流Iが規定時間以上連続して出力されたことを検知すると、電池200の出力を遮断する回路である。保護回路を備えた電池としては、携帯機器に多く利用されるリチウムイオン電池等がある。
【0006】
電源回路100には、電池200に対して並列に接続される蓄電素子10が備えられている。蓄電素子10は、電流制限部20を介し電池200によって充電され、電池200の補助電源として機能する。本実施形態では蓄電素子10として電気二重層コンデンサを使用する。
電流制限部20は、数10mΩ程度の低い抵抗値を持つ抵抗21と、電池200と蓄電素子10を接続する第1経路に設けた第1スイッチング素子SW1と、抵抗21を介して電池200と蓄電素子10を接続する第2経路に設けた第2スイッチSW2を有する。第1スイッチング素子SW1は、充電制御回路30の制御下で、スイッチングコントローラ40を介してスイッチングされる。一方、第2スイッチSW2のオン/オフは、充電制御回路30によって制御される。
【0007】
充電制御回路30は、蓄電素子10の端子電圧Vcを検出する電圧検出部30aと、蓄電素子10の間欠充電が必要か否かの判断基準となる基準電圧Vrefなど各種の制御用データを格納してあるメモリ部30bと、メモリ部30bから読み出した基準電圧Vrefと電圧検出部30aが検出した端子電圧Vcとを比較する比較部30cと、比較部30cの比較結果に応じてスイッチングコントローラ40を制御するとともに第2スイッチSW2のオン/オフを制御する制御部30dとを備えている。マイコン30にはDC/DC変換器35及びバックアップ用電池50が接続されている。このマイコン30は、電池200が電源回路100に接続されている状態では、DC/DC変換器35を介して電池200の出力を一定電圧にして入力して動作し、電池200が電源回路100に接続されていない状態では、バックアップ用電池50から電力供給を受けて動作する。
【0008】
以下では、充電制御回路30の一例としてマイコンを使用した場合に、充電制御回路(マイコン)30が実行する充電制御処理について、図2に示されるフローチャートを参照し、詳細に説明する。この処理は、電池200が電源回路100に接続される度に入る。
【0009】
この処理に入ると先ず、蓄電素子10の端子電圧Vcを検出し(S11)、メモリ部30bから基準電圧Vrefを読み出して、検出した端子電圧Vcが基準電圧Vref以上であるかどうかをチェックする(S13)。基準電圧Vrefは、電池200と蓄電素子10を直接接続しても電源電流Iが過電流検出値を超えなくなるしきい電圧値であり、また蓄電素子10の間欠充電が必要か否かの判断基準となる電圧値でもある。
【0010】
蓄電素子10の端子電圧Vcが基準電圧Vref以上でなかったときは(S13;N)、第1スイッチング素子SW1のスイッチングを開始し(S15)、端子電圧Vcが基準電圧Vref以上となるまで、図1に示す第1経路で蓄電素子10の間欠充電を続ける。なお、第1スイッチング素子SW1のオン時間は保護回路210の規定時間未満である。蓄電素子10の端子電圧Vcが基準電圧Vref以上であったときは(S13;Y)、第2スイッチSW2をオンするとともに、第1スイッチング素子SW1をオフしてスイッチングを停止する(S17、S19)。すると、蓄電素子10の間欠充電が停止されるとともに充電経路が第1経路から第2経路に切換わる。これにより、電池200から出力された電源電流Iは、第1スイッチング素子SW1をバイパスして抵抗21及び蓄電素子10に流れ込み、蓄電素子10の連続充電が実行される。
【0011】
続いて、蓄電素子10の端子電圧Vcを検出し(S21)、端子電圧Vcが基準電圧Vref以上かどうかをチェックする(S23)。蓄電素子10の端子電圧Vcが基準電圧Vref以上であったときは(S23;Y)、S21へ戻り、定期的に端子電圧Vcをチェックする。一方、蓄電素子10の端子電圧Vcが基準電圧Vref未満であったときは(S23;N)、第2スイッチSW2をオフし、S11へ戻る(S25)。これにより、蓄電素子10の連続充電が停止されて充電経路が第2経路から第1経路に切換わり、戻ったS15で蓄電素子10の間欠充電が開始される。
【0012】
以上では、説明簡単のため、充電制御回路30としてマイコンを使用し、ソフトウェア的に制御する場合について説明したが、充電制御回路30を電圧検出器、FETなど複数の電子部品で構成して蓄電素子10の充電をハードウェア的に制御することは勿論可能である。以下に、充電制御回路30をハードウェア構成した一実施の形態について、図3を参照して具体的に説明する。
【0013】
図3に示す電源回路100は、第1スイッチング素子SW1として第1MOSFET110を、第2スイッチSW2及び抵抗21として第2MOSFET120を、スイッチングコントローラ40としてDC/DCコントロールIC130を、充電制御回路30として電圧検出器150及びデジタルトランジスタ160を設けている。
【0014】
DC/DCコントロールIC130は、電源端子が電源ラインとして電池200に接続され、DC/DCコントロールIC130のオン/オフを制御するSD(シャットダウン)端子がデジタルトランジスタ160のコレクタに接続されている。DC/DCコントロールIC130は、デジタルトランジスタ160のオン/オフ状態を検出して第1MOSFET110のスイッチング動作を制御する。即ち、DC/DCコントロールIC130は、デジタルトランジスタ160のオン状態では第1MOFET110をオフし、デジタルトランジスタ160のオフ状態では第1MOSFET110をスイッチングさせる。但し、第1MOSFET110のスイッチング動作において、第1MOSFET110のオン時間は保護回路210の規定時間未満である。
【0015】
電圧検出器150は、蓄電素子10の端子電圧Vcに応じてデジタルトランジスタ160をオン/オフする。電圧検出器150の反転入力側には基準電圧源140からの基準電圧Vrefが入力される。一方、電圧検出器150の非反転入力側には、分圧回路Kが接続されている。分圧回路Kは、直列接続された抵抗R1と抵抗R2(ブリーダ抵抗)で構成され、蓄電素子10の端子電圧Vcを抵抗R1と抵抗R2で分圧し、分圧電圧Vkとして出力する。電圧検出器150は、分圧電圧Vkと基準電圧Vrefを比較する。
分圧電圧Vkが基準電圧Vref未満である場合は、電圧検出器150からロウレベルの電圧が出力され、デジタルトランジスタ160をオフする。デジタルトランジスタ160のオフ状態では、第2MOSFET120のソース電圧VS1とゲート電圧VG1が同電位に保持されるため、第2MOSFET120がオフ状態となって第2経路に電流が流れない一方、DC/DCコントロールIC130によって第1MOSFET110のスイッチングが開始され、第1経路で蓄電素子10の間欠充電が行われる。
分圧電圧Vkが基準電圧Vref以上である場合は、電圧検出器150からハイレベルの電圧が出力され、デジタルトランジスタ160をオンする。デジタルトランジスタ160のオン状態では、第2MOSFET120のゲート電圧VG1がグランド電位となる。すると、第2MOSFET120のゲート・ソース間電圧が最大となって第2MOSFET120がオン状態となる一方、DC/DCコントロールIC130のSD端子がグランド電位となってDC/DCコントロールIC130が第1MOSFET110のスイッチングを停止し、第1MOSFET110がオフ状態なる。これにより、第1経路には電流が流れず、第2経路で蓄電素子10の連続充電が行われる。
【0016】
本実施形態では、蓄電素子10の間欠充電における第1スイッチング素子SW1(第1MOSFET110)のオン時間を保護回路210の規定時間未満としたが、これに限定されず、保護回路210が遮断動作しないように第1スイッチング素子SW1(第1MOSFET110)のオン時間およびオフ時間を設定すればよい。例えば、電池200と蓄電素子10を接続してから電源電流Iが保護回路210の過電流検出値を超えるまでの時間tを予め調べ、第1スイッチング素子SW1(第1MOSFET110)オン時間を時間t未満に設定することもできる。なお電池200から出力される電源電流Iは蓄電素子10の端子電圧Vcに応じて変化するので、時間tは一定でなくてもよく、例えば、充電時間の経過または端子電圧Vcの上昇に従ってオン時間を長くするように構成してもよい。
また本実施形態では、第2スイッチSW2として第2MOSFET120を設けているので、第2MOSFET120のオン抵抗が抵抗21となっているが、抵抗21は0Ωであってもよい。
【0017】
以上のように本電源回路100は、蓄電素子10の端子電圧Vcが所定のしきい値未満である場合には保護回路210が遮断動作しないように第1経路で蓄電素子10を間欠充電し、蓄電素子10を連続充電しても保護回路210が遮断動作しない、蓄電素子10の端子電圧Vcがしきい値以上である場合には間欠充電を停止して第2経路で蓄電素子10を連続充電するので、蓄電素子10の充電時に、電池200の残量が十分あるのに保護回路210が遮断動作することが無く、電池残量がない・機器が故障したなどの誤認識を使用者に与えることもなくなる。しかも本電源回路100は間欠充電と連続充電を切換えるので、間欠充電だけで蓄電素子10を充電するよりも、第1スイッチング素子SW1のスイッチングに伴うスイッチングノイズの発生を最小限に抑えることができ、また充電時間の短縮を図ることができる。さらに間欠充電をすることによって、保護回路210の遮断動作を回避するための複雑な回路を設けなくて済み、連続充電をすることによって、負荷300が消費する電流変動に柔軟に対応できる。
【0018】
以上の説明では、蓄電素子10として電気二重層コンデンサを使用しているが、これに限定されないのは勿論である。また本電源回路100は、電子スチルカメラなど負荷変動の大きい機器の電池に接続されると、より効果を発揮する。
【0019】
【発明の効果】
本発明によれば、蓄電素子の端子電圧が所定のしきい値未満のときは、保護回路が遮断動作しないように第1スイッチ手段をスイッチングさせて第1経路で蓄電素子を間欠充電し、蓄電素子の端子電圧が所定のしきい値以上であるときには第1経路を迂回する第2経路で蓄電素子を連続充電するので、蓄電素子の充電時に保護回路が遮断動作することがなく、電池残量がない・機器が故障したなどの誤認識を使用者に与えることもなくなる。しかも間欠充電と連続充電を切換えるので、間欠充電だけで蓄電素子を充電するよりも、第1スイッチ手段のスイッチングに伴うスイッチングノイズの発生を最小限に抑えることができ、また充電時間の短縮を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を適用した電源回路の概要をブロックで示す図である。
【図2】 同電源回路の充電制御処理に関するフローチャートである。
【図3】 同電源回路の一実施例を示す回路図である。
【符号の説明】
100 電源回路
10 蓄電素子
20 電流制限部
21 抵抗
30 充電制御回路
40 スイッチングコントローラ
50 バックアップ用電池
110 第1MOSFET
120 第2MOSFET
130 DC/DCコントロールIC
140 基準電圧源
150 電圧検出器
160 デジタルトランジスタ
200 電池
210 保護回路
300 負荷
SW1 第1スイッチング素子
SW2 第2スイッチ

Claims (1)

  1. 所定の過電流検出値以上の電流が規定時間以上連続して出力されたことを検知すると該出力を遮断する保護回路を備えた電池に接続される電源回路において、
    蓄電素子と、
    前記電池と前記蓄電素子を接続する第1経路に設けた第1スイッチ手段と、
    前記電池と前記蓄電素子を前記第1経路を迂回して接続する第2経路に設けた第2スイッチ手段と、
    前記蓄電素子の端子電圧が所定のしきい値未満のときは、前記保護回路が遮断動作しないように、前記第2スイッチ手段をオフし、前記第1スイッチ手段をスイッチングさせて前記第1経路で前記蓄電素子を間欠充電し、前記蓄電素子の端子電圧が前記所定のしきい値以上であるときには、前記第1スイッチ手段をオフし、前記第2スイッチ手段をオンして前記第2経路で前記電池と前記蓄電素子とを接続して前記蓄電素子を連続充電し、前記蓄電素子の間欠充電における前記第1スイッチ手段のオン時間は、前記保護回路の規定時間未満、または前記蓄電素子の充電に伴い減少する前記電池の出力が前記過電流検出値を超えない時間とする充電制御手段とを備え、
    前記第1スイッチ手段は、ソース端子に前記電池を接続し、ドレイン端子に前記蓄電素子を接続したPチャンネルFETであること、
    を特徴とする電源回路。
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