JP4041639B2 - 可変容量コンプレッサの制御弁 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は可変容量コンプレッサの制御弁に関し、特に車両用エアコンの冷凍サイクルの中で低温・低圧の冷媒ガスを圧縮する可変容量コンプレッサに設けられて圧縮する冷媒ガスの容量を制御する外部可変制御用の制御弁に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用エアコンでは、負荷に応じて冷凍能力を制御するのに、動力源であるエンジンの回転数が一定でないことからコンプレッサの容量を可変にすることが一般的に行われている。
【0003】
図9は従来の可変容量コンプレッサの構成を示す概略図である。可変容量コンプレッサ100は、エンジンの出力軸からクラッチおよびベルトを介してプーリ101に駆動力が伝達され、クランク室102のシャフト103を駆動する。このシャフト103には、斜板104が傾斜角可変に設けられている。シャフト103の軸線の回りには、斜板104の回転運動を往復運動に変換する複数のピストン105が配置され、それぞれリリーフ弁106によって吸入室107および吐出室108に接続されている。吐出室108は、コンデンサ109、レシーバ110、膨張弁111、エバポレータ112を介して吸入室107に戻るよう配管される。
【0004】
可変容量コンプレッサ100はまた、制御弁113を備えている。この制御弁113は、吐出室108の吐出圧力Pdを受けるボール弁114を有し、その下流側はクランク室102へ連通され、ボール弁114によって制御された圧力をクランク室102に導入し、クランク室102内を斜板104の角度を制御するクランク室内圧力Pcにする。ボール弁114は作動棒115を介してダイヤフラム116に接続されており、ダイヤフラム116の動きにより弁開度を調節するようになっている。ダイヤフラム116は、ボール弁114側の部屋が吸入室107に連通されていて、吸入圧力Psを受けるようになっている。また、クランク室102に通じる配管と吸入室107に通じる配管との間には、ボール弁114が全閉のときにクランク室内圧力Pcを逃がすためのオリフィス123が設けられている。
【0005】
制御弁113はまた、ダイヤフラム116を介してボール弁114の動作設定値を変えることができるソレノイド部を有している。このソレノイド部は、電磁コイル117と、固定鉄芯とするコア118と、可動鉄芯とするプランジャ119と、コア118に挿通されたシャフト120と、このシャフト120およびプランジャ119を介してダイヤフラム116を付勢するスプリング121と、プランジャ119をガイドするスリーブ122とを有している。
【0006】
ここで、吐出室108の高圧の吐出圧力Pdはボール弁114に導入される。一方、吸入室107の吸入圧力Psはダイヤフラム116によって感知され、その吸入圧力Psに応じてボール弁114を駆動する。ボール弁114は、ダイヤフラム116によって駆動され、それがボール弁114を閉弁方向へ付勢しているスプリング力より大きいと、開くようになり、制御された圧力がクランク室102に導入される。このクランク室内圧力Pcは、ピストン105によって受圧され、斜板104の傾斜角を制御する。
【0007】
たとえば、吸入圧力Psが低くなると、ダイヤフラム116がボール弁114を駆動する力が大きくなり、ボール弁114の開度が大きくなる。これにより、クランク室内圧力Pcが大きくなり、斜板104の傾斜角を大きくするように作用する。これにより、ピストン105のストロークは短くなり、吐出容量が減るようになる。吐出容量が減ると、吸入圧力Psに変化が生じ、これがまた、ボール弁114の開度を制御し、さらに、クランク室内圧力Pcを制御し、斜板104の傾斜角を制御する。
【0008】
このとき、ダイヤフラム116にはシャフト120およびプランジャ119を介してスプリング121の荷重を受けているが、そのセット荷重は、電磁コイルに流す電流を可変することによって自由に変えることができる。すなわち、電流を増やすことにより、プランジャ119がコア118に吸引される力が強くなるため、ボール弁114は開きやすくなり、電流を減らすと、ボール弁114は開きにくくなる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の制御弁は、シャフト120はコア118に軸線方向に摺動可能に保持され、プランジャ119もスリーブ122に軸線方向に摺動可能に保持されている。したがって、シャフト120はコア118の中で、プランジャ119はスリーブ122の中でそれぞれ傾いた状態で動く。これは、スプリング121が正確に軸線方向へまっすぐ付勢しているわけではないので、どうしてもシャフト120およびプランジャ119に傾きが発生するためであり、これにより、シャフト120はコア118の両端面で接触し、プランジャ119はその両端面でスリーブ122と接触することになる。しかも、シャフト120とコア118、プランジャ119とスリーブ122はそれぞれ金属なので、金属同士なので摩擦抵抗が大きく、引っかかりを呼び起こす要因となっている。また、それがそれらの軸線方向の摺動動作において、行きと帰りとでは摩擦抵抗の大きさが必ずしも同じではないため、摺動が安定せず、ヒステリシスが生じるといった問題点があった。
【0010】
また、摩擦抵抗によるヒステリシス特性を軽減するため、電磁コイル117の電磁力制御には、通常、パルス幅変調制御を採用している。すなわち、バッテリ電圧を高周波でオン・オフし、そのデューティ比を変えることで電磁力を制御している。すなわち、プランジャ119およびシャフト120は高周波のパルスで駆動され、微小振動をしながらボール弁114を駆動することになる。これにより、ボール弁114が開いているときの開度制御では問題にならないが、着座位置近傍での制御になると、ボールが弁座を叩く現象が発生する。ボールが軸線方向に微小振動しながら弁座に接近しているときには、ボールの移動中心もそれに合わせてスムーズに移動するが、一度、ボールが弁座を叩き出すと、ボールの振動範囲の片側が弁座によって規制されるため、ボールが弁座から跳ね返るようになるが、その動作はプランジャの摩擦抵抗により抑えられている。このため、パルス幅変調制御では、摩擦抵抗が小さすぎると、ボール弁がその着座位置近傍でリニアに変化しなくなるため不安定になるという問題があった。
【0011】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、シャフトおよびプランジャの摺動動作にヒステリシスがなく、パルス幅変調制御の場合は、弁の着座位置近傍での作動値が不安定にならないような可変容量コンプレッサの制御弁を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明では上記問題を解決するために、可変容量コンプレッサの吸入室に連通されて前記吸入室へ吸入される冷媒の吸入圧力に応じて動作するダイヤフラムと、上流側が圧縮された冷媒を吐出する吐出室に連通されて吐出された冷媒の吐出圧力を受け、下流側がクランク室に連通され作動棒を介して伝達された前記ダイヤフラムの動作に応じて制御された圧力を前記クランク室へ導入する弁部と、前記ダイヤフラムに当接されて前記弁部の動作設定値を制御するソレノイド部とを備えた可変容量コンプレッサの制御弁において、前記ソレノイド部は、円筒状の中空部を有する電磁コイルと、前記中空部内に固定配置されたコアと、前記ダイヤフラムと前記コアとの間の前記中空部内を軸線方向に移動可能に遊挿配置されたプランジャと、中央部が前記コアの軸線位置に貫通配置され一端が前記プランジャに固定されて前記プランジャとともに一体の電磁作動部を構成するシャフトと、前記シャフトの他端を前記ダイヤフラムの側へ付勢するスプリングとを有し、前記電磁作動部を前記プランジャの側に配置した第1軸受部および前記シャフトの他端に配置した第2軸受部の2点で保持し、前記第2軸受部は、前記電磁コイル、前記コア、前記プランジャ、前記シャフトおよび前記スプリングを囲みかつ前記電磁コイルへの電気的接続を行うコネクタを保持するハウジングのモールド成形の際に一体に形成した樹脂製の軸受であることを特徴とする可変容量コンプレッサの制御弁が提供される。
【0013】
このような可変容量コンプレッサの制御弁によれば、プランジャとシャフトを一体に構成し、その一体にしたものを第1軸受部および第2軸受部の2点で保持するようにした。これにより、プランジャおよびシャフトは、その動作時に斜めになったとしてもその接触箇所は2点だけになるため、摺動抵抗が減り、摺動動作が安定してヒステリシスは小さくなる。
【0014】
また、本発明によれば、ソレノイド部のシャフトおよび作動棒の少なくとも一方に横荷重を付与する横荷重付与手段を備えるようにした。
これにより、ソレノイド部から弁部へ伝えられる微小振動が抑えられ、着座位置近傍における弁部のセット位置を安定して制御できるようになる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態に係る可変容量コンプレッサの制御弁を示す図であって、(A)は制御弁の中央断面図、(B)は軸受部の部分拡大図である。
【0016】
この制御弁は、弁部11とソレノイド部12とからなり、外部可変制御式の制御弁を構成している。弁部11は、ボディ13の長手方向外端部にコンプレッサの吐出室に連通されて吐出圧力Pdを受ける第1ポート14が設けられている。この第1ポート14の入口にはフィルタ15が取り付けられ、その第1ポート14の下流側には、ボール弁16が設けられている。このボール弁16は、スプリング17によって閉弁方向へ付勢されており、その付勢力は、アジャストねじ18によって調整できるようになっている。ボール弁16の下流側には、クランク室にクランク室内圧力Pcを導入する第2ポート19が設けられている。また、弁部11の中心軸線上には、一端がボール弁16に当接するよう作動棒20が嵌挿配置されている。作動棒20の他端は、ディスク21を介してダイヤフラム22が当接するよう設けられている。ディスク21のある側のダイヤフラム室は、作動棒20とボディ13との間の隙間を介して連通する第3ポート23が設けられ、この第3ポート23は、ダイヤフラム22が吸入圧力Psを受けるようにコンプレッサの吸入室に連通されている。
【0017】
ソレノイド部12は、円筒状の中空部を有する電磁コイル24が設けられ、その円筒状の中空部にはスリーブ25が設けられている。このスリーブ25内には、固定鉄芯をなすコア26が固定され、可動鉄芯をなすプランジャ27が、軸線方向に移動可能に遊挿配置されている。コア26の軸線位置にはシャフト28が貫通配置され、その一端はプランジャ27に圧入されている。シャフト28の他端には、ホルダ29が設けられ、さらにこのホルダ29を介してシャフト28およびプランジャ27をダイヤフラム22の側へ付勢するスプリング30が設けられている。また、スリーブ25のダイヤフラム22の側の端面には、プランジャ27を保持する樹脂製のガイド31が設けられており、また、コア26のスプリング30の側の端面にはシャフト28を保持する樹脂製のガイド32が設けられている。これらガイド31,32は、プランジャ27にシャフト28を圧入して一体にした組立体を2点支持する軸受部を構成している。
【0018】
電磁コイル24およびスプリング30を収容する部分は、ハウジング33によって囲まれており、その一部には電磁コイル24の巻線に接続される端子34を有するコネクタ35が一体に形成されている。この端子34には、エアコン制御用のコンピュータユニットからコンプレッサ制御信号を受ける。ハウジング33およびコネクタ35は、射出成形機により樹脂でモールド成形される。さらに、このハウジング33の外側には、磁気回路の一部を構成するヨーク36が設けられている。
【0019】
ここで、プランジャ27およびシャフト28は、それぞれをガイド31,32に支持されており、その周りに配置されているスリーブ25およびコア26とは接触しない構造になっている。また、その支持される接触部分は、金属と樹脂との組み合わせになっているため、その部分での摺動抵抗は小さくなっている。しかも、この一体にした組立体は互いに遠い位置で支持されているため、動作時に傾いてもその角度は小さく、引っ掛りも小さいため、摺動抵抗もさらに小さなものになっている。これにより、動作時のヒステリシスが小さい摺動動作を得ることができる。
【0020】
図2は本発明の第2の実施の形態に係る可変容量コンプレッサの制御弁を示す図であって、(A)は制御弁の中央断面図、(B)は軸受部の部分拡大図である。この図2において、図1に示した構成要素と同じ要素については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0021】
この制御弁において、弁部11は第1の実施の形態のものとまったく同じである。ソレノイド部12では、電磁コイル24の樹脂製のボビン37を変形して、プランジャ27を保持する軸受部を形成している。すなわち、ボビン37のダイヤフラム22側端部の内周壁を内側へ突出させて、突出部38を形成し、この突出部38がプランジャ27を保持するようにしている。
【0022】
また、プランジャ27と一体のシャフト28は、その自由端がハウジング33に形成された凹部39に保持されている。この凹部39は、ハウジング33のモールド成形時に形成されるので、樹脂製の軸受部になっている。
【0023】
このように、プランジャ27およびシャフト28は、それぞれ突出部38および凹部39に支持されており、その周りに配置されているスリーブ25およびコア26とは接触しない。また、その支持される接触部分は、金属と樹脂との組み合わせであるため、その接触部分での摺動抵抗は小さい。また、プランジャ27およびシャフト28を一体にした組立体は、最も遠い位置で支持されているため、その傾きは小さく、引っ掛りも極めて小さくなっている。これにより、動作時のヒステリシスが小さい摺動動作を得ることができる。
【0024】
さらに、その組立体をダイヤフラム22側へ付勢しているスプリング30は、ホルダ29とハウジング33の内部に形成された座面40との間に配置されている。ここで、スプリング30を受ける座面40は、シャフト28の軸に直角な平面に対して5度〜10度傾けてある。これにより、シャフト28に対してわずかながら横荷重を与えることになる。この結果、パルス幅変調制御によりボール弁16の動作値を制御する場合に、特に着座位置近傍での動作が不安定になるが、横荷重を与えることにより、シャフト28の微小振動、すなわちボール弁16のボールの微小振動がある程度抑えられ、ボール弁16の動作値が安定するようになる。
【0025】
図3は本発明の第3の実施の形態に係る可変容量コンプレッサの制御弁を示す図であって、(A)は制御弁の中央断面図、(B)は軸受部の部分拡大図である。この図3において、図2に示した構成要素と同じ要素については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0026】
この制御弁において、弁部11は第2の実施の形態のものとまったく同じである。ソレノイド部12では、プランジャ27に溝41を周設し、その溝41にC型形状を有する樹脂製のガイド42を嵌合している。また、スリーブ25は、ガイド42の摺動範囲を越えて、ダイヤフラム22の側へ延ばされている。これにより、プランジャ27は、ガイド42を介してスリーブ25に保持されることになる。
【0027】
シャフト28は、第2の実施の形態の場合と同様、ハウジング33の内部に形成された凹部39に支持されている。
このように、プランジャ27はガイド42を介してスリーブ25に保持され、シャフト28は凹部39に支持されており、それらの接触部分は、金属と樹脂との組み合わせで、その接触部分は摺動抵抗が小さくなっている。これにより、動作時のヒステリシスが小さい摺動動作を得ることができる。
【0028】
図4は本発明の第4の実施の形態に係る可変容量コンプレッサの制御弁を示す図であって、(A)は制御弁の中央断面図、(B)は軸受部の部分拡大図である。この図4において、図2に示した構成要素と同じ要素については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0029】
この制御弁において、弁部11は第2の実施の形態のものとまったく同じである。ソレノイド部12では、プランジャ27のダイヤフラム22の側に錐面加工エッジ部43を形成し、この錐面加工エッジ部43を含むプランジャ27の表面またはスリーブ25の内壁面の少なくとも一方にポリテトラフルオロエチレンによるコーティングを施した構成にしている。したがって、図では、プランジャ27を保持する機構がないように見えるが、シャフト28およびプランジャ27の組立体が斜めになったときに、錐面加工エッジ部43がスリーブ25と接触し、この接触点が軸受部として機能する。しかも、その接触部では、プランジャ27およびスリーブ25は両方とも金属であるが、それらの少なくとも一方をポリテトラフルオロエチレンでコーティング加工したことにより、ガイド31,42を使用した場合と同じ効果を得ることができる。
【0030】
なお、シャフト28の保持は、第2の実施の形態の場合と同じ保持構造にしてある。
図5は本発明の第5の実施の形態に係る可変容量コンプレッサの制御弁を示す制御弁の中央断面図である。この図5において、図2に示した構成要素と同じ要素については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0031】
この制御弁において、ソレノイド部12は第2の実施の形態のものとほとんど同じであるが、スプリング30を受ける座面40はシャフト28の軸に直角な平面になっている。
【0032】
弁部11では、作動棒20を2つの棒20a,20bに分離し、これら棒20a,20bの接触面は斜面になっている。このため、棒20a,20bに軸線方向の荷重が加わった場合、その荷重は、棒20a,20bの斜めの接触面で、作動棒20の軸に対して横方向へ分力し、互いに反対方向への横荷重が棒20a,20bに加えられることになる。
【0033】
棒20a,20bに横荷重を付与して摩擦抵抗を増やすことにより、パルス幅変調制御によるボール弁16の動作値制御をする場合に、特に着座位置近傍での微小振動での不安定な動作が抑えられ、ボール弁16の動作値を安定にすることができる。
【0034】
図6は本発明の第6の実施の形態に係る可変容量コンプレッサの制御弁を示す図であって、(A)は制御弁の中央断面図、(B)は軸受部の部分拡大図である。この図6において、図2に示した構成要素と同じ要素については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0035】
この制御弁において、弁部11は第2の実施の形態のものとまったく同じである。ソレノイド部12では、電磁コイル24の巻線が捲回されたボビン37がプランジャ27を直接保持する軸受部を構成している。ボビン37の円筒状中空部の内壁面との接触を、シャフト28の軸受部から最も遠い位置でのみ行うようにするため、プランジャ27をボビン37の弁部側端部との摺動接触部よりもシャフト28側を縮径してある。
【0036】
図7は本発明の第7の実施の形態に係る可変容量コンプレッサの制御弁を示す図であって、(A)は制御弁の中央断面図、(B)はプランジャ非接触部を示す部分拡大図である。この図7において、図2に示した構成要素と同じ要素については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0037】
この制御弁において、弁部11は第2の実施の形態のものとまったく同じである。ソレノイド部12では、コア26の軸線位置両端部に樹脂製のガイド44,45を嵌め込んでシャフト28の軸受部を構成している。この場合、シャフト28に固着されたプランジャ27の側面とスリーブ25とは接触しないような公差設定にしてある。すなわち、(B)に示したように、シャフト28をガイド44,45で保持したことにより、プランジャ27の側面とスリーブ25との間に接触する部分はなく、常にある隙間が存在している。
【0038】
これにより、プランジャ27およびシャフト28の組立体は、ガイド44,45の2点で保持され、それらの接触部分は、金属と樹脂とであるため摺動抵抗が小さく、動作時のヒステリシスが小さい摺動動作を得ることができる。
【0039】
図8は本発明の第8の実施の形態に係る可変容量コンプレッサの制御弁を示す図であって、(A)は制御弁の中央断面図、(B)はプランジャ非接触部を示す部分拡大図である。この図8において、図2および図7に示した構成要素と同じ要素については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0040】
この制御弁において、弁部11は第2の実施の形態のものとまったく同じである。ソレノイド部12では、コア26の軸線位置のプランジャ27側端部に樹脂製のガイド45を嵌め込んでシャフト28の一方の軸受部を構成するとともに、シャフト28の他方の軸受部をハウジング33に形成された凹部39としている。この場合も、プランジャ27の側面とスリーブ25とはまったく接触しないようにしてある。これにより、プランジャ27およびシャフト28の組立体は、ガイド45および凹部39の2点で保持され、それらの接触部分は、金属と樹脂とであるため摺動抵抗が小さく、動作時のヒステリシスが小さい摺動動作を得ることができる。
【0041】
以上、本発明をその好適な実施の形態について詳述したが、本発明はこれら特定の実施の形態に限定するものではなく、本発明の精神の範囲内での変形は可能である。たとえば、シャフトに横荷重を付与する手段として、スプリングの座面を傾けるようにしたが、シャフトに斜め荷重がかかるようなスプリングの保持構造を持っていればいい。たとえばスプリングは両端面を平行にするため両端研磨を行うが、これを片方研磨としたり、両端を研磨せずに巻いたままにしたりしてもよい。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、プランジャとシャフトとを一体にし、これを2つの軸受部で2点保持する構成にした。これにより、プランジャおよびシャフトが別体で別々に動作する場合に比べ、傾きの角度が小さくなるため、2点保持部分での引っ掛りが少なくなり、摺動抵抗が減少するため、ヒステリシスの少ない摺動動作を得ることができる。
【0043】
また、それぞれ金属製のプランジャおよびシャフトを樹脂製の軸受部で保持するようにしたので、摺動抵抗をさらに減らすことができる。
さらに、ソレノイド部のシャフトまたは弁部の作動棒に対して横荷重を付与する手段を備えたことにより、ソレノイド部の高周波制御時の微小振動を抑えることができ、弁部の着座近傍での動作設定の不安定な制御を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る可変容量コンプレッサの制御弁を示す図であって、(A)は制御弁の中央断面図、(B)は軸受部の部分拡大図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係る可変容量コンプレッサの制御弁を示す図であって、(A)は制御弁の中央断面図、(B)は軸受部の部分拡大図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態に係る可変容量コンプレッサの制御弁を示す図であって、(A)は制御弁の中央断面図、(B)は軸受部の部分拡大図である。
【図4】本発明の第4の実施の形態に係る可変容量コンプレッサの制御弁を示す図であって、(A)は制御弁の中央断面図、(B)は軸受部の部分拡大図である。
【図5】本発明の第5の実施の形態に係る可変容量コンプレッサの制御弁を示す制御弁の中央断面図である。
【図6】本発明の第6の実施の形態に係る可変容量コンプレッサの制御弁を示す図であって、(A)は制御弁の中央断面図、(B)は軸受部の部分拡大図である。
【図7】本発明の第7の実施の形態に係る可変容量コンプレッサの制御弁を示す図であって、(A)は制御弁の中央断面図、(B)はプランジャ非接触部を示す部分拡大図である。
【図8】本発明の第8の実施の形態に係る可変容量コンプレッサの制御弁を示す図であって、(A)は制御弁の中央断面図、(B)はプランジャ非接触部を示す部分拡大図である。
【図9】従来の可変容量コンプレッサの構成を示す概略図である。
【符号の説明】
11 弁部
12 ソレノイド部
13 ボディ
14 第1ポート
15 フィルタ
16 ボール弁
17 スプリング
18 アジャストねじ
19 第2ポート
20 作動棒
20a,20b 棒
21 ディスク
22 ダイヤフラム
23 第3ポート
24 電磁コイル
25 スリーブ
26 コア
27 プランジャ
28 シャフト
29 ホルダ
30 スプリング
31,32 ガイド
33 ハウジング
34 端子
35 コネクタ
36 ヨーク
37 ボビン
38 突出部
39 凹部
40 座面
41 溝
42 ガイド
43 錐面加工エッジ部
44,45 ガイド
Claims (10)
- 可変容量コンプレッサの吸入室に連通されて前記吸入室へ吸入される冷媒の吸入圧力に応じて動作するダイヤフラムと、上流側が圧縮された冷媒を吐出する吐出室に連通されて吐出された冷媒の吐出圧力を受け、下流側がクランク室に連通され作動棒を介して伝達された前記ダイヤフラムの動作に応じて制御された圧力を前記クランク室へ導入する弁部と、前記ダイヤフラムに当接されて前記弁部の動作設定値を制御するソレノイド部とを備えた可変容量コンプレッサの制御弁において、
前記ソレノイド部は、円筒状の中空部を有する電磁コイルと、前記中空部内に固定配置されたコアと、前記ダイヤフラムと前記コアとの間の前記中空部内を軸線方向に移動可能に遊挿配置されたプランジャと、中央部が前記コアの軸線位置に貫通配置され一端が前記プランジャに固定されて前記プランジャとともに一体の電磁作動部を構成するシャフトと、前記シャフトの他端を前記ダイヤフラムの側へ付勢するスプリングとを有し、前記電磁作動部を前記プランジャの側に配置した第1軸受部および前記シャフトの他端に配置した第2軸受部の2点で保持し、前記第2軸受部は、前記電磁コイル、前記コア、前記プランジャ、前記シャフトおよび前記スプリングを囲みかつ前記電磁コイルへの電気的接続を行うコネクタを保持するハウジングのモールド成形の際に一体に形成した樹脂製の軸受であることを特徴とする可変容量コンプレッサの制御弁。 - 前記第1軸受部は、前記プランジャの前記ダイヤフラム側端部を保持するように配置された樹脂製のガイドであることを特徴とする請求項1記載の可変容量コンプレッサの制御弁。
- 前記第1軸受部は、前記電磁コイルの樹脂製のボビンの前記ダイヤフラム側端部を内側へ突設して前記プランジャを保持する突設部であることを特徴とする請求項1記載の可変容量コンプレッサの制御弁。
- 前記第1軸受部は、前記電磁コイルの中空部に設けられた金属製のスリーブと、前記プランジャに周設された樹脂製のガイドとからなることを特徴とする請求項1記載の可変容量コンプレッサの制御弁。
- 前記第1軸受部は、前記電磁コイルの樹脂製のボビンによって前記プランジャを保持してなることを特徴とする請求項1記載の可変容量コンプレッサの制御弁。
- 前記第1軸受部は、前記ダイヤフラム側の端部を錐面加工した前記プランジャの錐面加工エッジ部と、前記電磁コイルの中空部に設けられて前記プランジャを保持する金属製のスリーブとからなり、少なくとも前記錐面加工エッジ部を含む前記プランジャの表面または前記スリーブの内壁面をポリテトラフルオロエチレンでコーティングしたことを特徴とする請求項1記載の可変容量コンプレッサの制御弁。
- 前記第1軸受部は、前記コアの前記プランジャ側端部に前記シャフトを保持するように配置された樹脂製のガイドであることを特徴とする請求項1記載の可変容量コンプレッサの制御弁。
- 前記ソレノイド部の前記シャフトおよび前記作動棒の少なくとも一方に横荷重を付与する横荷重付与手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の可変容量コンプレッサの制御弁。
- 前記シャフトの横荷重付与手段は、前記スプリングを受ける座面を前記シャフトの軸に直角な平面に対して傾けたことを特徴とする請求項8記載の可変容量コンプレッサの制御弁。
- 前記作動棒の横荷重付与手段は、前記作動棒を2つの棒に分離し、互いに斜面で接触する構造にしたことを特徴とする請求項8記載の可変容量コンプレッサの制御弁。
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