JP4039419B2 - 環境保全型ブロック及びこれを用いた護岸 - Google Patents

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本発明は,河岸の法覆工(護岸)に用いられ、河床低下を阻止すると共に河岸に緑を回復できるようにした環境保全型ブロック及びこれを用いた護岸に関するものである。
日本における河川災害の護岸復旧工法は、治水重視から平成の初頭までは、コンクリート護岸一辺倒であった。しかしながら、社会が成熟するにしたがい、徐々にゆとりを求めるようになり,河川においても「多自然型」の川づくりといった緑(自然)のある多様な河川の姿を求めるようになってきた。
これを受け、河川災害復旧護岸工法においても、「丸太格子」のような伝統的な護岸工法や、亜鉛アルミめっきを施した鉄線にて作った「かごマット」を使用した護岸、あるいは自然の素材である石や粗朶を活用した「練石・空石積、あるいは粗朶柵工」護岸など、様々な護岸工法が試行錯誤されつつ採用されてきた。
そうした中で、平成9年の河川法の一部改正により、環境が河川法の総合的管理の中に組み込まれ、さらに、平成10年には、災害の基本的な方向性を示す「美しい山河を守る災害復旧基本方針」が当時の建設省防災課から全国に通達され、これを受け、環境と流速による外力を考慮した工法の選択を要するようになってきた。
流速が遅い箇所、例えば流速が2m/sまでの場合は、張芝のような柔らかい工法で緑を回復し、流速が3m/sまでの場合はシート系のジオテキスタイル、さらに4m/sまでの流速であればブロックマットなどのように、河川の流速(掃流力)を念頭に、採用工法を制限することで、外力に見合った工法を採用し、自然の回復がはかれるような工法採用の制度となってきた。
こうした中で、流速が5m/sを越えるような箇所では、かごマットや自然石護岸の他に、環境に配慮したコンクリートブロックとして、「環境保全型ブロック」の採用が全国の災害現場で非常に多く採用されるようになってきた。
この環境保全型ブロックを採用する災害箇所は、比較的流速の遅い被害現場で採用する張芝やシート系の補強土工法と異なり、耐掃流力が必要であり、転石や流木の衝撃も想定されるような箇所での採用が標準的と考えられる。そのため、耐掃流力だけでなく、当然これらの転石等に対する耐衝撃力・耐久性を保持したものが必要であると考えられる。また、環境保全型ブロックと名称がつくように、当然「環境保全」機能が確保される護岸工法であることが不可欠である。
日本の河川の様々な箇所での災害復旧事業として、従来の天然河岸や土羽護岸に比べ、コンクリート等の堅いもので復旧してきたことから、護岸の粗度が小さく、従って抵抗が少なくなり、水粒子が動きやすく、従前よりも流速が走るようになってきた。
それに加えて、堤内地が市街化することで、地面に染みこまない大量な水が、河川までの到達時間が短く、一度に河川に流入するようになり、さらにその水量が多いことで河川での流速を益々速くするようになってきた。
このように護岸で河岸を固めたことによる流速の増加、市街化による流速の増加を受け、今まではそれぞれの場所に留まることができていた粒径の河床材料が、これら流速の増大に伴う掃流力の増加で、その場に留まれず、河床が洗掘されるようになり、全川にわたって連続的に河床低下をきたすようになってしまった。
こうした状況下から望まれる河川の姿としては、河岸の粗度を上げることで流速を遅くし、掃流力を小さくして河床低下をくい止め、河岸に緑を回復し、河川の本来の機能である自然の「多様性」と「連続性」を確保した状況に回復することが求められている。
このような観点から、環境保全型ブロックに求められる機能を整理すれば、以下のように(1)〜(12)程あり、このうち、当然確保すべき機能として、(1)耐洗掘防止機能、(2)耐掃流力機能、(3)加速度の低減、(4)植生基盤機能、(5)吸い出し防止機能、(6)耐衝撃力機能、(7)耐久性(耐磨耗度)機能がある。なお、上記(1)の耐洗掘防止機能は、工事の際に掘削して弱くなった護岸基礎部の洗掘を防止する機能であり、(2)の耐掃流力機能は、護岸法覆工の粗度を上げ、流速を減じ、掃流力を高めない(従前の粗度に近づける)機能である。そして、この当然確保すべき機能のうち、(1),(2)は河床低下をくい止めるためのものであり、(2)〜(7)は河岸に緑を回復させるためのものである。
そしてこの他に、付加的に確保すると良くなる機能として(8)耐残留水圧低下機能(背面土圧低減機能)、(9)施工の容易性機能、(10)現地発生土の活用可能機能(植生の基盤材料や埋土種子の確保機能)、(11)魚巣機能、(12)維持管理が容易機能がある。
こうした様々な機能を必要とする環境保全型ブロックであるが、上述したように環境保全型ブロックが採用される箇所は、掃流力が大きく、植生基盤である土砂の吸い出しを受ける箇所である。そして、災害現場で採用されている環境保全型ブロックは、基本的にコンクリート系であるため、耐衝撃力機能や耐久性機能は確保されている。
しかしながら、コンクリート自体の粗度が小さいため、川の流れに沿う壁面をこのコンクリートにて固めた河岸は当然従前の河岸より流速を速める結果となっている。
従って、従来の環境保全型ブロックにあっては、従前の流速より速い河岸近傍流速や、護岸前面の河床低下も低減できず、護岸基礎部の洗掘と合わせて、ブロック内部の土砂も吸い出されてしまい、環境保全型ブロックといっても、植生も回復せず、全く環境機能に期待が持てない状況を発生している。
河川の護岸の法面における耐掃流力は、生物の基本となる植物の生育環境に大きな影響を与え、植物の植生基盤となる「土」の流亡に耐えるためには、この耐掃流力が必要不可欠な条件となる。そのためには、水理的にどのような法面(護岸)の形状が耐掃流力機能を保持することができるかを検討する必要がある。
この点において、河道にある流量を流した際の、各地点の流速や水位等を求めるための計算を行う際に、河道断面の内、有効な流下断面で計算する必要があるため、としての文献が知られている(非特許文献1参照)。
この文献は河岸における水の流れを分析したもので、河岸が急激に拡幅(急拡)する部分と、これに連らなる部分の下流側での急激に縮幅(急縮)する部分での死水域を論じており、河道における不等流計算には死水域を除く必要があるとしている。
すなわち、死水域とは、河道の面積部分で流れのない場所、あるいは流れがあっても渦状(閉じた渦)の場所で、流量の疎通に関係のない部分をさす。こうした死水域は、急拡部や急縮部、湾曲部、種々の構造物の流れの陰の部分に発生しやすく、水表面が死水あるいは鉛直軸を有する渦状であれば水底までそうであると考えてよい。
こうした観点から、死水域除去の方法としては、出水規模別の航空写真測量成果や模型実験から判断するのが最良であるが、こうした方法が採れない場合で、急拡部の死水域を除去するには図1に示すような急拡部から5度の角度で広がる暫拡河道内を有効断面と考え、それ以外の部分を死水域とする。また、急縮部や分合流点などの剥離域は、一般に規模が小さいため死水域として除去されないのが普通であるが、急縮の度合いが大きい場合は、河道幅縮小比や縮小角度によっても異なるが、図1に示すようなおおよそ26度の仮想河道を考える。
これは、水理的にどのようなことを述べているかといえば、図1に示すように、直線状の河道の岸辺が急激に拡幅(急拡)する箇所においての川の流れは、川の仮想の河岸線aに対して地山側へ約5度までは、川の本流の影響があることを水理的に明らかにしている。
詳しく説明すると、川の急拡になる部分の流速が上記河岸線aからやや地山側に徐々に流向を変えて拡散すると共に、流速も徐々に減じている。やがて略5度附近以上のところで剥離流となる平面渦が発生し、この部分より地山側は本流の有効な流れの河道断面(河積)とはならない死水域(よどみ)となることを述べている。
このような水理的特性は、下流側の急縮部においても同様で、図1に示すように、急縮部における河岸線aに対して約26度付近において流速ゼロの壁ができると考えられる。この説明において、上記流速がゼロになる壁(線)を上流側及び下流側の流れの限界線b,bとする。
上記説明は川が直線状になっている場合で、河岸線aと川の主流線が同一方向である場合であるが、上記急拡部と急縮部が川の直線部ではなく、水衝部などの湾曲部の外岸側にある場合の水理的様子は図2に示すようになる。
この場合急拡部での主流線cはこの部分での河岸線aより内側(地山側)へ流れ、この流れ入射角δだけ入り込む。そしてこの場合の流れの限界線bは上記主流線cに対して内側へ約5度の位置に生じる。
従ってこの場合の川の河岸線aに対する流れの限界線bの角度は流れ入射角δに約5度を加えた角度になる。
建設省河川局監修、社団法人日本河川協会編・発行(平成9年11月25日発行)、「改訂新版建設省河川砂防技術基準(案)同解説・調査編」(第122〜123頁第6章「水位計算と粗度計数」参照)
本発明は、このような水理的な流水の特性を知ることによりなされたものであり、上記したところの環境保全型ブロックとして当然確保すべき機能及び付加的に確保すると良くなる機能を保持することができるようにした環境保全型ブロック及びこれを用いた護岸を提供しようとするものである。
本発明の請求項1に係る発明の環境保全型ブロックは、表面形状が四角形で所定の厚さを有するブロック本体と、このブロック本体の背面に左右一対の控脚とを有し、ブロック本体をポーラス状に構成すると共に、このブロック本体の表面に、左右方向一方端から凹み側へ約5〜11度の角度で傾斜する緩斜面と、左右方向他方端から凹み側へ約26〜45度の角度で傾斜する急斜面とをそれぞれの左右先端部が連らなる凹部となるように設けた構成になっている。
また、請求項2に係る発明の環境保全型ブロックは、上下方向の流れの乱れを制御するために上記請求項1に係る発明において、ブロック本体の表面に、この表面の凹部を横切る整流板を設けた構成になっている。
また、請求項3に係る発明の環境保全型ブロックは、上記の各請求項のいずれかに係る発明の環境保全型ブロックにおいて、控脚が、上下方向で逆ハ字状に、平面方向で後側が広がる形状にすると共に、ブロック本体の上下方向の一方に突出し、かつ上下方向の拡開側端部の内側に、縮小側端部の外側が嵌合する形状にした構成になっている。
また、請求項4に係る発明の環境保全型ブロックは、上記各請求項のいずれかに係る発明の環境保全型ブロックにおいて、ブロック本体の表面に、植樹用の円錐状の穴と魚巣用の円筒状の穴の双方、あるいはどちらか一方を設けた構成になっている。
また、請求項5に係る発明の護岸は、上記各請求項のいずれかに係る発明の環境保全型ブロックを、河岸基部に固定した基礎ブロック上に、緩斜面側を流水の上流側にして積み上げてなる構成にした。
また、請求項6に係る発明の護岸は、上記請求項5に係る護岸において、基礎ブロックの環境保全型ブロックを積み上げる部分より前側の前側分を先端が低くなるように傾斜させ、この前側部上面に複数のくぼみを設けると共に上下方向に貫通する穴を設け、この穴に上端部が上記前側部の上側へ突出するようにして河床に向けて杭を打ち込み、この杭にて基礎ブロックを河床に固定するようにした構成となっている。
また、請求項7に係る発明の護岸は、上記請求項5,6のいずれからの発明の護岸において、各環境保全型ブロックのポーラス状にしたブロック本体の空隙内に混合土を充填し、また請求項8に係る発明の護岸は、ブロック本体に設けた植樹用の穴に低木を植樹した構成になっている。
本発明において、請求項1に係る環境保全型ブロックは、この環境保全型ブロックの緩斜面側を流水の上流側にして護岸とすることにより、護岸の流れ方向の表面が、この流水の上流方向から緩斜面、急斜面となり、このブロック本体の表面に沿って流れる流れの流速は護岸表面において極めて遅くなって掃流力が極めて小さくなり、極めて高い耐掃流力を得ることができ、充分な耐掃流力機能を有している。
また、この請求項1に係る環境保全型ブロックでは上記したように高い耐掃流力が得られることにより、流水によるブロック本体内からの吸い出し作用を少なくすることができ、植生基盤となる土砂の吸い出し防止機能を有している。
また、上記環境保全型ブロックでは、これのブロック本体をポーラス状に構成したことにより、この環境保全型ブロックは護岸用として充分な耐衝撃性及び耐久性を有していると共に、ポーラス状に構成されたブロック本体自体の空隙による透水性により護岸背面が表面側に連通してブロック本体の表面側に対する背面側の残留水圧が低下される耐衝撃力機能、耐久性機能、耐残留水圧低下機能を有している。
そして本発明において、請求項2に係る環境保全型ブロックは、ブロック本体の表面に、この表面の凹部を横切る整流板を設けたことにより、ブロック表面を流れる流水はこの整流板にて整流されて流水の乱流(みだれ)による加速度が抑制され、加速度の低減機能を有し、ひいては吸い出し防止機能を有している。
また、本発明の請求項3に係る環境保全型ブロックは、ブロック本体の背面側に設ける控脚が上下方向で逆ハ字状に、平面方向で後側が広がる形状で、さらにブロック本体の上下方向の一方に突出していることにより、各環境保全型ブロックを積み上げる際に、この控脚相互を嵌め合わせることにより容易にかつ強固に自立可能に積み上げることができ、施工の容易性機能を有する。
また、本発明の請求項4に係る環境保全型ブロックは、ブロック本体の表面に、植樹用の穴と魚巣用の穴の双方、あるいはどちらか一方を設けたことにより、植樹用の穴にはネコヤナギ等の低木を植えることができ、大小様々な魚巣用の穴は小魚の巣や、出水時の避難場所、あるいは大きな成魚からの避難場所とすることができる。そして上記のようにブロック本体の表面に低木を植えることにより、ブロック本体における吸い出し防止機能を発揮することができる。
本発明の請求項5に係る護岸は、この護岸表面における流水の流速を遅くすることができて高い耐掃流力機能を有する護岸とすることができる。
また、請求項6に係る護岸は、環境保全型ブロックを積み上げるための基礎ブロックが、これの前側部に杭の突出部と複数のくぼみがあることにより、流水中を移動する小石がこの部分にひっかかって止まり、これにより寄石風の基礎部分が作られて、この基礎部分の洗掘を防止することができ、耐洗掘防止機能を得ることができる。なお、基礎ブロックには杭用の穴があいていることにより、揚圧力の低減を図ることができる。
さらに、請求項7に係る護岸は、これを構成する各環境保全型ブロックの少なくともブロック本体の空隙内に混合土が充填されることにより、このブロック本体が植生基盤機能を有することができ、請求項8に係る護岸では、この植生基盤機能を有するブロック本体の表面に低木ならびに草を繁茂させることができる。
図3から図7は本発明に係る環境保全型ブロックAの一例で、直線状の河道の護岸用として示す。図中1は正面形状が、例えば左右方向に長くした四角形で、所定の厚さを有するブロック本体、2a,2bはこのブロック本体1の背面に突設された左右一対の控脚である。
ブロック本体1の流水面となる表面には、これの左右方向の一端から厚さ方向内側へ、すなわち凹み側へ約5度の角度で傾斜する緩斜面3と、他端から厚さ方向内側へ約26度の角度で傾斜する急斜面4とが設けてあり、両斜面が交る部分が上下方向に連らなる凹部1aとなっている。
ブロック本体1の上下の端面は平行になっているが本体自体は、傾斜した擁壁を構築するために、下側の端面に対して後傾する方向に傾斜されている。この傾斜角は構築しようとする擁壁の傾斜角に対応されている。この実施の形態での角度は約15度である。
ブロック本体1の左右の端部には、左右に隣接するブロックの端面が相互に噛み合い係合する形状の噛み合い段部5a,5bが形成されている。
また、ブロック本体1の表面には、この表面の凹部を横切るようにして左右方向に断面形状が先端部を鋭角にした三角形になっている整流板6が設けてあり、また、表面に深さ方向に徐々に小径となる錐状で貫通しない植樹用の穴7が複数設けてある。なお、この植樹用の穴7は開口部の大きさが2.5〜3cm程度であり、その大きさは一定でもよいが、異なる大きさでランダムに変えてもよい。また、その数及び開口位置も特に決められていない。また、この植樹用の穴7の他に様々な大きさの魚巣用の穴7aを必要に応じて設ける。
控脚2a,2bはブロック本体1の傾斜に沿って傾斜されていて、これの上端がブロック本体1と同一面となっており、下端部は、ブロック本体1より所定の寸法だけ突出している。そしてこの控脚2a,2bは上下方向に逆ハ字状に傾斜され、かつ後側が広くなるような形状になっており、これの上端部の内側に、上側に位置する。ブロック本体1より突出した突出部が傾斜に沿って隙間なく嵌め合わされて左右方向及び前後方向の位置決めとなるようになっている。
ブロック本体1はポーラスコンクリートにて構成されている。なお、控脚2a,2bは、ブロック本体1と同一工程にて成形する場合には、これもポーラスコンクリートにて構成してもよい。
上記ブロック本体1を構成するポーラスコンクリートは多数の空隙を有するもので、この各空隙は相互に連結され、かつブロック本体1の外面より連通されている。これにより、この空隙内に外部から充填材を充填できる。
充填材としては、流動性を有する「砂」と保水性を有する「粘性土」と、栄養分を確保できる「黒土」を一定の比率でまぜた混合土が用いられる。この充填材は水に溶いてブロック本体1内に流し込みにより容易に連続する空隙内に隈無く充填される。なお控脚2a,2bもポーラス構成の場合には、この控脚2a,2bにも上記混合土が充填される。
このポーラスの空隙へ上記した充填材を充填することにより、耐掃流力のある確固たる植生基盤の確保が可能となった。
さらに、上記充填材を構成する混合土に現地にて発生した残土を活用すれば、現地での埋土種子もこれに混入され、従前の植生の回復が早期に図られる。
上記のように構成された環境保全型ブロックAは図8から図10に示すように洗掘防止型の基礎ブロック8上に積み上げされる。このとき、各環境保全型ブロックAは、ブロック本体1の左右の向きを、これの表面に設けた緩斜面3が河川流の上流側となるように積む。
このときにおいて、上記環境保全型ブロックAは、控脚2a,2bが上下方向の一方に突出していることにより上下方向に非対称となっているが、この環境保全型ブロックAは川の流れ方向にあわせて、すなわち、河川の左岸と右岸に応じて上下反転して用いることができる。図8から図10は川の右岸に積む場合で、このときには控脚2a,2bが下側へ突出する姿勢で積まれる。
この場合の基礎ブロック8は図11、図12に示すようになっていて、前側部9が徐々に低くなる斜面となっており、後側上部に環境保全型ブロックAの下面のブロック本体1の控脚2a,2bが嵌め合う段部10が形成されている。そして上記前側部9には前後方向に向けて設けた突状壁11が横方向に複数設けてあり、これの間がくぼみ12となっている。そしてこのくぼみ12に前上側から後下側へ傾斜した貫通穴13が設けてある。
このように構成された基礎ブロック8を図8に示すように河床14の河岸基部に基礎工として設置する。この基礎ブロック8は河床14を掘削して設けた溝部に設置し、ついで基礎ブロック8に設けた貫通穴13から河床14に向けて杭15を、これの上部を突出させた状態で打ち込みこの杭15にて基礎を固定する。そしてこの基礎ブロック8の段部10に環境保全型ブロックAの控部2a,2bを嵌め合わせて積み上げて行く。上記杭15は間伐材等を利用した木杭を用いる。なお、木杭は水面下では酸素にふれないため、腐朽せず半永久的に存続し、機能低下しない。また、上記杭15は、より基礎ブロック8を安定させるために用いて効果的であるが、基礎ブロック8を設置する部分が堅牢で杭15を用いなくてもこれを安定的に設置できたり、基礎ブロック8のくぼみだけで転石を基礎ブロック8に留めることができる場合には用いなくてもよい。
積み上げられる各環境保全型ブロックAは図9、図10に示すように、下側のブロック本体1の上面に、上側のブロック本体1の下面を重ね、下側のものの控脚2a,2bの間に上側のものの控脚2a,2bを嵌め合わして上下に積み重ねる。このとき、各環境保全型ブロックAの上下方向の支持は各ブロックのブロック本体1の上下面にて行われるが、各ブロックの控脚2a,2b部での上下方向の支持力を得るために、控脚2a,2bの内側面に、上側のブロックの控脚2a,2bの下端が当接する支持ダボ16a,16bを設けてもよい。
各環境保全型ブロックAの横方向への連らなりは各ブロックの左右端面に設けた段部5a,5bを係合することにより行われる。このとき、各ブロックの表面が直線状に、すなわち法面が平面状の擁壁とする場合には、各段部5a,5bを平行に噛み合わせる。そして擁壁面を湾曲させる場合にはこの各段部5a,5bを少しづつずらして所定の曲面を得る。
なお、上記曲面の曲率が凹面側に大きい場合には図4において鎖線で示したように、一方の段部5aにこの曲率に合わせた斜面17を形成する。
その後図13に示すように、擁壁を構成する各環境保全型ブロックAの表面に設けた各植樹用の穴7に低い木本類、例えば、ネコヤナギ18を挿し木により植樹する。また、各環境保全型ブロックAの背面と地山の間に裏込め材を充填する。
上記構成において、環境保全型ブロックAを左岸の護岸に用いる場合は、上下反転して、これの緩斜面3が川の上流側に位置するように積み重ねる。このとき、控脚2a,2bが上方へ突出する姿勢となる。この場合の図8に示される基礎ブロック8の段部10の形状を、ブロック本体1の下面が当接する形状にする。このとき、この部分にブロック本体1の前端が係合して環境保全型ブロックAが前方へせり出すのを防止するための段部を設ける。
なお、上記説明では、1種類の環境保全型ブロックAを左右の河岸用として用いた例を示したが、控脚2a,2bが下側(あるいは上側)へ突出する形状で、ブロック本体1の表面の形状を、緩斜面を右側に設けた右岸用と、左側に設けた左岸用を別々に成形してもよい。この場合、基礎ブロック8の左右の河岸で共通となる。
また、この実施の形態での環境保全型ブロックAの大きさは、一例としてブロック本体1の左右方向の寸法が約1m、上下寸法が約50cm、控脚2a,2bの前後寸法が約40cmであるが、これらの寸法は任意に決められる。
上記したように洗掘防止型の基礎ブロック8の上側に環境保全型ブロックAを積み上げて構築された護岸における各水理的機能を以下に説明する。
(1)耐洗掘防止機能
洗掘は、大きな出水があった場合、河床材料である土砂の粒径が、掃流力に見合った移動限界粒径の石よりも大きければそこに留まるが、小さければ流出してしまう。ところが上記洗掘防止型の基礎ブロック8では、図8に示すようにこの移動限界粒径より小さな粒径の石19が基礎ブロック8のくぼみ12と杭15の突出部にて引っかかってここに留まり、寄石風の基礎部分が作られ、この基礎部分の洗掘が防止される。
(2)耐掃流力機能
環境保全型ブロックAとしては、生物の基本となる植物の生育環境として、その植生基盤となる「土」の流亡に耐え得ることが必要不可欠である。
図8、図10に示したように環境保全型ブロックAを、それぞれの緩斜面3を上流側にしてなる護岸では、水流はこの各環境保全型ブロックAの緩斜面3と急斜面4に、緩斜面3を上流側にして繰り返し沿って流れる。
このとき、上記した非特許文献1に示された水理作用により、水流は各環境保全型ブロックAの表面の角度が約5度の緩斜面3を流れる間に徐々に外側へ流向が変えられると共に、流速も徐々に減小して緩斜面3に沿う部分では流速がゼロになる。そしてこの緩斜面3から急斜面4に沿ってこの流速ゼロの状態が持続される。
このように、護岸に沿う部分の水流の流速はゼロになることにより、環境保全型ブロックAに対して流水から作用する掃流力がゼロになって耐掃流力機能が大きく、従って護岸から土砂が吸い出されるのを防止するための耐土砂吸い出し機能も大きい。
(3)加速度の低減
耐掃流力を考える際に、見落としてはならない項目が加速度であり、流れにおいては、一定速度の流速であれば、時間における変化量が少なく河岸への外力は小さいが、加速度が大きく変化すると大きな外力が河岸に影響する。
この実施の形態における環境保全型ブロックAでは、ブロック本体1に整流板6を設けたことにより、ブロック表面に流れ込んできた乱流がこの整流板6にて整流されて流水の加速度の変動が抑えられる。
また、上記整流板6の外に、環境保全型ブロックAの左右の両端部と両斜面の交差部を曲面にすると共に、緩斜面3と急斜面4とが繰り返される護岸表面の全ての凹凸部を曲面にすることにより上記加速度の変化を抑えることができる。
(4)植生基盤機能
環境保全型ブロックAとしては、植物が生育できるかどうかは、環境機能を保持しているかの最も重要な機能である。
この実施の形態における環境保全型ブロックAでは、上記したように耐掃流力機能を有していることと、これをポーラスコンクリートにて構成したこと、及びこのポーラスの空隙内に流動性、保水性、栄養分のそれぞれを確保できる充填材(混合土)を隈無く充填したことにより極めて高い植生基盤機能を有する。
(5)吸い出し防止機能
護岸における吸い出し機能とは、護岸前面の速い流速と護岸背面の流速の遅い状態との差異から圧力差が生じ、護岸背面の土砂が護岸前面に吸い出される事象である。
この実施の形態における護岸では、上記したように耐掃流力機能を有していることにより、掃流力の点からの吸い出しは防止される。
そのほかに、この実施の形態における環境保全型ブロックAでは、ポーラスコンクリートにて構成されて内部に多数の空隙があることにより、この空隙による摩擦面が確保されること、この空隙内に植物の根が入りこむこと等により耐吸い出し機能を保持することができる。
このときにおいて、吸い出し機能としては、(イ)ポーラスの空隙での多大な摩擦面が吸い出し力を減衰させる。(ロ)低木の根の緊迫力で土粒子も抱え込む。(ハ)空隙内に入り込んだ低木の根が屈曲していることにより根が抜き取られにくい、ことの3点がある。
上記低木を植える植樹用の穴7は3cmを越えると、これに活着した低木が大きくなりすぎ、樹冠も大きくなってしまい、流水の阻害になってしまうので、樹木の大きさを一定以下に留めるためには上記穴7は3cm以下がよい。
(6)耐衝撃性
環境保全型ブロックを採用する災害箇所は、比較的流速の速い個所であり、流速の遅い被災現場で採用する張芝やシート系の補強土工法と異なり、転石や流木も想定されるような箇所での採用が標準的と考えられる。そのため、当然これら転石等に対する耐衝撃力を保持したものが必要と考えられる。
この実施の形態における環境保全型ブロックAは、ポーラスコンクリートにて構成されていて、このポーラスコンクリート中の多孔質な特質から、その空隙には空気が存在しており、衝撃位置において陥没が生じ、この陥没形成に衝撃エネルギの一部が費やされるため破壊しにくく、十分な耐衝撃力を有している。
(7)耐久性(耐磨耗度等)機能
この実施の形態での環境保全型ブロックAの少なくともブロック本体1はポーラスコンクリートにて構成されている。ポーラスコンクリートの耐久性については(イ)ひび割れの劣化、(ロ)耐磨耗性、(ハ)耐凍結融解の3つが考えられるが、これらについては「ポーラスコンクリート河川護岸工法の手引き」にて問題がないことが証明されていて、耐久性機能については何ら問題がない。
(8)残留水圧低減による背面土圧低減機能
河川護岸における残留水圧とは、降雨による水や洪水時に護岸天端を乗り越えた流水が、護岸背面の土や地山の土粒子を飽和状態にし、その飽和した水が護岸背面から抜けにくいことから、この動水圧を護岸に与えることである。
すなわち、護岸に透水性がなければ、平常時の土圧にさらにこの降雨等に基づく動水圧を護岸が受けることとなり、構造的に護岸自体の自立あるいは挫屈などに対し弱点となる他、これら過剰な土圧に耐える重力式の護岸が必要となってしまう。そのため、護岸に透水性機能を確保することは、構造的に優位であり、経済的にも大きく寄与できるものである。さらに、透水性のある護岸は、護岸自体が保水性を有するようなもので、植生を護岸に活着させる際には、不可欠な機能でもある。
こうした観点から、これまでのコンクリート護岸では、裏込め材や水抜きの管を1mに何個づつかなどのようにして、この透水性機能を確保し残留水圧低減を確保していた。
この実施の形態での環境保全型ブロックAは、その構造自体に連続する多孔質な空隙を保持しており、この連続する護岸全面の多くの多孔質な空隙からの透水性機能の確保から、残留水圧を低減し背面土圧に対し優位となり、さらにこの多孔質な機能は、背面の地山から植物への水の供給を常時行える重要な機能を確保するものである。
(9)施工の容易性機能
河川護岸において、施工の容易性は工期の短縮が図られ、ひいては人件費ならびに重機使用時間の短縮から、工事費削減に大きく寄与できるものであり、確保すべき重要な機能の一つである。
この実施の形態での環境保全型ブロックAは、この施工の容易性機能の確保のために、(イ)ブロックの積み方と噛み合わせ機能、(ロ)ブロックの自立機能を確保するようにした。
具体的には、ブロックの積み方としては、イメージ的に日本の石積み工法である「谷積み」工法的な方法を採用することで、下段から上段に向かって、自然にブロックを噛み合わせるようにはめ込むことで行くことでブロックが立ち上げられ、施工性を良くすることが可能である。
詳細には、ブロック背面に上下方向に向かって傾斜した(上側が広く、下側が狭く)自立補助板(控脚)を2枚設置することで、下段のブロックに上段のブロックをはめ込む形で固定され、さらに両サイドのかみ合わせで、ブロックを固定する。すなわち、ブロックの上下方向と横方向の動きを止め、かつ自立することが可能な機能を保持することとなる。以上の他に、自立補助板は、背面の地山に向かって広がるような形にすることで、ブロック間の土塊をブロックが抱えるようになり、ブロック前面からの流水による吸い出しに対し、ブロックの重量に土塊の重量が加わり、より安定性を増すこととなる。
(10)現地発生土の活用可能機能(植生基盤材料や埋土種子の確保機能)
河川は、その固有の特性のある物理・化学環境を有している。そこに生育する植物は、その物理・化学環境に規定されている。当然、そこには植物の種と種の関係(種間関係)があり、それらにより複雑な環境を呈している。しかしながら、まず河川の固有の物理・化学環境に依存していることは紛れもない事実であり、また植生の種類と土壌の粒度には大きな相関がある。
したがって、太陽の光や熱や雨や風は当然のものとして、多様な各河川の物理・化学環境に生育する植物は、その多様な物理・化学環境のベースとなる「土」と「水」に大きく依存しており、水については急激な改変が困難であるが、そこにある土、特にその河川の流砂や流況により形成された表土は、その場の環境形成において非常に重要な財産であることが理解される。
こうしたことから、この埋土種子が混入されている重要な財産である表土をブロックに留めさせることは、その河川に適した植物の回復が図られ、ひいては、昆虫や両性類や爬虫類、さらには魚や鳥たちへの環境が保持・維持されてゆくものと考えられる。
この実施の形態の環境保全型ブロックAは、ポーラスコンクリートに構成されて、これの空隙内に埋土種子のある表土を注入することにより現地発生土の活用可能機能を有する。
(11)魚巣機能
この実施の形態での環境保全型ブロックAは、これの表面に魚巣用の穴7aを設けたことにより、この環境保全型ブロックAを積み上げてなる護岸は、出水時の小魚の避難所となり、また被食関係の是正等、良好な魚巣機能を有している。なお、この魚巣用の穴7aは円筒形、円筒台形が好ましく、またその大きさは大小異ならせて設けても良い。
(12)維持管理の容易性機能
維持管理の容易性の着眼点としては、(イ)草刈りの不要、(ロ)護岸変状の早期発見に伴う迅速な補修、(ハ)部材の再利用がある。
この実施の形態の環境保全型ブロックは、ポーラスコンクリートで多孔性構成であることにより、植物が容易に活着できるため、草刈り等の必要性が生じるものと一般的に考えられているが、ポーラスコンクリートの連続する多孔質空間の直径は、最大でも1cm程度のものであり、また、上述の(5)の吸い出し防止機能の項で述べた、低木用の錐状の穴もその直径が2〜3cmほどで、樹木の大きさはある一定の大きさに留められる。
従って、ブロック本体に植物が活着してもある一定の大きさ以上には生育できず、草刈りなどのメンテナンスが不要となり、草刈りのための維持管理費は不要となる。
また、護岸の変状の早期発見は災害を未然に防ぐ意味でも重要な要因である。この実施の形態の環境保全型ブロックAを用いた護岸は基本的に空積みであり、護岸基礎部からの吸い出しなどが生じた際には、天端の地盤が沈下し、基礎や背面の変状が即座に把握でき、護岸が致命的な損傷に至る前に、維持修繕が可能となり、維持管理費を削減できる。
さらに、この実施の形態の環境保全型ブロックAを用いた護岸は、各部材が噛み合って一体化しているものである。従って、出水による災害等で護岸が損傷を受けた場合においても、各単体の部材が損傷していないものについては、コンクリートの耐久年次までは、再利用が可能であり、河床が低下し根(基礎)が洗掘などを受けた場合などで、護岸自体が崩れても、各部材が損傷を受けていない場合は、すべて再利用が可能となり、維持管理費の削減に大いに寄与できるものである。
上記した実施の形態では、環境保全型ブロックAのブロック本体1の表面形状の緩斜面(上流側面)3の角度を約5度、急斜面(下流側面)4の角度を26度にしたが、上記したように、これは図1に示したところの河岸における河岸線aが本流と略平行、すなわち、河岸が略直線状での場合に適用される場合である。
これに対して川が湾曲していて、これの外岸側である水衝部を環境保全型ブロックAにて護岸する場合には、上記緩斜面(上流側面)3と急斜面(下流側面)4の角度をこれに合わせて変える必要がある。
この場合は、図2に示すように、急拡部での主流線cはこの部分での河岸線aより内側(地山側)へ流れて入射角δだけ入り込む。この部分に用いるブロック本体1の緩斜面(上流側面)3の傾斜は、この急拡部側に入り込む主流線cに対してさらに5度程度を加えた角度が水衝部での耐掃流力を発揮する角度となる。
しかしながら、理論的にはこの湾曲部における河岸線aに対する主流線cの流れ入射角度δに対応した環境保全型ブロックAを作成すればよいが、これでは経済的に問題がある。そのため、河岸線aに約5度を加えた角度が最も耐掃流力が発揮できるという原則を念頭に、湾曲部用としてブロック本体1の緩斜面(上流側面)3の角度を約11度、急斜面(下流側面)4の角度を約45度にした。これにより湾曲部で良好な耐掃流力が得られる。
上記のように緩斜面3の角度の上限を約11度にしたのは、河道の途中における場合は川岸の摩擦と剥離流により、流れの限界線bが川の中央側へ押されて5度程度になっているが、河口部などの河岸が解放状態となっている所では、11度で拡散することが知られていることによるものである。
また、急斜面4の角度の上限については、河岸侵食防止工法として河岸から根固めブロックや木杭にて、川の中央に向かって棒状に突き出た水制工を知見してなされたものである。この水制工は、流れが水制に入射して次の水制の直前で円弧を描いて川の中央に向かって戻ることが分かっており、この際、水制の先端形状や高さによって角度が変わるがこの角度がおおむね45度であり、この値を急斜面の角度の上限として採用した。
上記した実施の形態では、1つの環境保全型ブロックAのブロック本体1の表面に1つづつ緩斜面3と急斜面4を設けた例を示したが、ブロック本体1が流水方向に大きい(長い)場合は、これの長手方向に上記緩斜面3と急斜面4とを繰り返し設けて両斜面を複数組設けてもよい。
また、本発明に係る環境保全型ブロックAにあっては、ブロック本体1の表面に設けた整流板6は、上記したように、これの表面に沿って流れる流水を整流するために有効であるが、耐掃流力だけを考慮したときに、この整流板6は必ずしもなくてもよい。植樹用及び魚巣用のそれぞれの穴7,7aも、同様で護岸として必要に応じて設ける。
なお、上記実施の形態では、ブロック本体1に植樹用の穴7と魚巣用の穴7aの双方を設けた例を示したが、護岸においては水面下では植樹は必要なく、また水面上では魚巣は必要ないことにより、水面に用いるブロック本体1には魚巣用の穴7aのみを、水面上に用いるブロック本体1には植樹用の穴7のみを設けるようにしてもよい。
また、上記実施の形態では、ブロック本体1の表面の緩斜面3及び急斜面4のそれぞれを直線状に、両直線が交差する凹部1aを円弧状にした例を示したが、上記緩斜面3及び急斜面4のそれぞれは若干凹側に湾曲してもよい。
また、控脚2a,2bの形状を逆ハ字状で、かつ背側へ広がる形状にすると共に、これを上下方向の一方に突出させたことにより、この控脚2a,2bを上下に嵌め合わせながら環境保全型ブロックAを前後、左右に係合した状態で積み上げることができるが、ブロック本体1の上下面に互いに係合する凹凸部を設けて、各ブロック本体相互で係合させて環境保全型ブロックAを積み上げることができるようにした場合、上記控脚2a,2bは、上下、前後に直線状でかつブロック本体より上下方向の突出しない形状等、上記した実施の形状が示した形状でなくてもよい。
直線状の河道における急拡幅部と急縮幅部での流水の状態を示す説明図である。 湾曲した河道の水衝部における急拡幅部と急縮幅部での流水の状態を示す説明図である。 本発明の実施の形態に係る環境保全型ブロックを示す正面図である。 本発明の実施の形態に係る環境保全型ブロックを示す平面図である。 本発明の実施の形態に係る環境保全型ブロックを示す側面図である。 図3乃至図5にて示した環境保全型ブロックの前側からの斜視図である。 図3乃至図5にて示した環境保全型ブロックの後側からの斜視図である。 本発明に係る環境保全型ブロックを用いた護岸を示す断面図である。 図8のX方向矢視図である。 図8のY方向矢視図である。 本発明の実施の形態に係る基礎ブロックを示す一部破断側面図である。 本発明の実施の形態に係る基礎ブロックを示す斜面図である。 環境保全型ブロックのブロック本体に低木が繁茂した状態を示す断面図である。
符号の説明
A…環境保全型ブロック
1…ブロック本体
2a,2b…控脚
3…緩斜面
4…急斜面
5a,5b…段部
6…整流板
7,7a…穴
8…基礎ブロック
9…前側部
10…段部
11…突状壁
12…くぼみ
13…貫通穴
14…河床
15…杭
16a,16b…支持ダボ
17…斜面

Claims (8)

  1. 表面形状が四角形で所定の厚さを有するブロック本体と、このブロック本体の背面に突設した左右一対の控脚とを有し、
    ブロック本体をポーラス状に構成すると共に、このブロック本体の表面に、左右方向一方端から凹み側へ約5〜11度の角度で傾斜する緩斜面と、左右方向他方端から凹み側へ約26〜45度の角度で傾斜する急斜面とをそれぞれの左右先端部が連らなる凹部となるように設けたことを特徴とする環境保全型ブロック。
  2. ブロック本体の表面に、この表面の凹部を横切る整流板を設けたことを特徴とする請求項1記載の環境保全型ブロック。
  3. 控脚が、上下方向で逆ハ字状に、平面方向で後側が広がる形状にすると共に、ブロック本体の上下方向の一方に突出し、かつ上下方向の拡開側端部の内側に縮小側端部の外側が嵌合する形状になっていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の環境保全型ブロック。
  4. ブロック本体の表面に、植樹用の穴と魚巣用の穴の双方、あるいはどちらか一方を設けたことを特徴とする請求項1,2,3のいずれか1項記載の環境保全型ブロック。
  5. 請求項1,2,3,4のいずれか1項記載の環境保全型ブロックを、河岸基部に固定した基礎ブロック上に、緩斜面側を流水の上流側にして積み上げてなることを特徴とする護岸。
  6. 基礎ブロックの環境保全型ブロックを支持する部分より前側の前側部を先端側が低くなるように傾斜させ、この前側部上面に複数のくぼみを設けると共に上下方向に貫通する穴を設け、この穴に上端部が上記前側部の上側へ突出するようにして河床に向けて杭を打ち込み、この杭にて基礎ブロックを河床に固定するようにしたことを特徴とする請求項5記載の護岸。
  7. 各環境保全型ブロックのポーラス状にしたブロック本体の空隙内に混合土を充填したことを特徴とする請求項5,6のいずれか1項記載の護岸。
  8. 各環境保全型ブロックのブロック本体に設けた植樹用の穴に低木を植樹したことを特徴とする請求項5,6,7のいずれか1項記載の護岸。

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