JP4039047B2 - 無段変速装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は無段変速装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、無段変速機として円錐車を用いたものが、新編機械の素(発行所:理工学社、改定1975年4月25日第8版)の171ページの項目No.24.15の変速装置にて提案されている。この無段変速機は、原動節としての第1円錐車の外周面を圧縮バネの付勢力により第2円錐車の内周面に押圧することにより、第1円錐車のトルクを第2円錐車に伝達するようにしている。そして、第1円錐車の外周面を第2円錐車の内周面に沿わせた状態で第1円錐車をその軸方向に移動させることにより第1円錐車の押圧される第2円錐車のピッチ円径を変化させることにより、無段変速を行うようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記文献に記載された無段変速機においては、第1円錐車の位置が軸方向において変化するため、第1円錐車の軸を動力源に接続するために軸方向に伸縮するスライド機構を持つプロペラシャフト等が必要となる。よって、無段変速機が大型化したり重量化するという問題があった。
【0004】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、小型化及び軽量化を図ることができる無段変速装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
(1)請求項1に記載の発明は、入力軸の回転を変速して出力軸に伝達する無段変速機構を備える無段変速装置において、前記無段変速機構は、前記入力軸に連結される第1円錐車と、同第1円錐車の回転を前記出力軸に伝達する伝達機構とを含めて構成されるものであり、前記伝達機構は、前記出力軸に連結されるサンギヤと、前記第1円錐車の回転を前記サンギヤに伝達するダブルピニオンギヤセットとを含めて構成されるものであり、前記ダブルピニオンギヤセットは、前記第1円錐車の周面に押圧されて前記第1円錐車の回転が伝達される第2円錐車と、同第2円錐車に連結される第1ピニオンギヤと、前記第1ピニオンギヤの回転を前記サンギヤに伝達する第2ピニオンギヤと、前記サンギヤに対する軸方向についての移動が許容される状態で設けられて前記第1ピニオンギヤを前記第2ピニオンギヤの周りで公転させるキャリヤとを備え、前記入力軸側から前記出力軸側に向けて前記第2円錐車、前記第1ピニオンギヤ及び前記キャリヤの順に配置されるとともに、前記キャリヤが前記サンギヤに対して軸方向へ移動する際に、前記サンギヤと前記第2ピニオンギヤとの噛み合いが維持される状態で前記キャリヤと前記第1ピニオンギヤと前記第2ピニオンギヤとが軸方向へ一体的に移動するものであり、前記入力軸の回転の変速として、前記サンギヤに対する軸方向についての前記キャリヤの移動を通じて前記第1円錐車に対する前記第2円錐車の接触位置を変更することをその要旨としている。
(2)請求項2に記載の発明は、入力軸の回転を変速して出力軸に伝達する無段変速機構を備える無段変速装置において、前記無段変速機構は、前記出力軸に連結される第1円錐車と、前記入力軸の回転を同第1円錐車に伝達する伝達機構とを含めて構成されるものであり、前記伝達機構は、前記入力軸に連結されるサンギヤと、同サンギヤの回転を前記第1円錐車に伝達するダブルピニオンギヤセットとを含めて構成されるものであり、前記ダブルピニオンギヤセットは、前記第1円錐車の周面に押圧されて前記第1円錐車に回転を伝達する第2円錐車と、同第2円錐車に連結される第1ピニオンギヤと、前記サンギヤの回転を同第1ピニオンギヤに伝達する第2ピニオンギヤと、前記サンギヤに対する軸方向についての移動が許容される状態で設けられて前記第1ピニオンギヤを前記第2ピニオンギヤの周りで公転させるキャリヤとを備え、前記出力軸側から前記入力軸側に向けて前記第2円錐車、前記第1ピニオンギヤ及び前記キャリヤの順に配置されるとともに、前記キャリヤが前記サンギヤに対して軸方向へ移動する際に、前記サンギヤと前記第2ピニオンギヤとの噛み合いが維持される状態で前記キャリヤと前記第1ピニオンギヤと前記第2ピニオンギヤとが軸方向へ一体的に移動するものであり、前記入力軸の回転の変速として、前記サンギヤに対する軸方向についての前記キャリヤの移動を通じて前記第1円錐車に対する前記第2円錐車の接触位置を変更することをその要旨としている。
(3)請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の無段変速装置において、前記無段変速機構は、前記第2円錐車を前記第1円錐車の周面に押し付ける付勢機構を含めて構成されることをその要旨としている。
(4)請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の無段変速装置において、前記付勢機構は、前記サンギヤが連結される前記入力軸または前記出力軸に対する回転及び軸方向への移動が許容される状態で同入力軸または同出力軸により支持されて前記キャリヤに連動する支持部材と、同支持部材と前記キャリヤとの間に設けられて前記第2円錐車を前記第1円錐車に押し付ける力を生じさせる圧縮スプリングとを含めて構成されるものであることをその要旨としている。
【0006】
上記請求項1〜4のいずれかにかかる発明によれば、ダブルピニオンギヤセットの軸方向への移動を通じて入力軸の回転の変速が行われるため、具体的には、キャリヤがサンギヤに対して軸方向へ移動することにともない、サンギヤと第2ピニオンギヤとの噛み合いが維持される状態でキャリヤと第1ピニオンギヤ及び第2円錐車と第2ピニオンギヤとが軸方向へ一体的に移動し、これによって第1円錐車に対する第2円錐車の接触位置が変更されるため、変速に際して入力軸と出力軸とを軸方向において相対移動させる必要が生じない。これにより、プロペラシャフト等の伸縮可能な機構を備えなくとも無段変速装置を構成することが可能となるため、同変速装置の小型化及び軽量化を図ることができるようになる。
また、上記請求項1にかかる発明または同発明を前提とする発明においては、入力軸側から出力軸側に向けて第2円錐車、第1ピニオンギヤ及びキャリヤの順に配置してダブルピニオンギヤセットを構成するようにしていることにより、例えば第2円錐車と第1ピニオンギヤとの間にキャリヤを配置する場合に比べて、軸方向についての入力軸と出力軸との間隔を小さく設定することが許容されるため、無段変速装置についてのより一層の小型化及び軽量化を図ることができるようになる。他方、上記請求項2にかかる発明または同発明を前提とする発明においては、出力軸側から入力軸側に向けて第2円錐車、第1ピニオンギヤ及びキャリヤの順に配置してダブルピニオンギヤセットを構成するようにしていることにより、例えば第2円錐車と第1ピニオンギヤとの間にキャリヤを配置する場合に比べて、軸方向についての入力軸と出力軸との間隔を小さく設定することが許容されるため、同じく無段変速装置についてのより一層の小型化及び軽量化を図ることができるようになる。
【0007】
(5)請求項5に記載の発明は、入力軸の回転を変速して出力軸に伝達する無段変速機構を備える無段変速装置において、前記無段変速機構は、前記入力軸に連結される第1円錐車と、同第1円錐車の回転を前記出力軸に伝達する伝達機構と、前記第1円錐車の回転が伝達される同伝達機構の構成要素である第2円錐車を前記第1円錐車の周面に押し付ける付勢機構とを含めて構成されるものであり、前記伝達機構は、前記出力軸に連結されるサンギヤと、前記第1円錐車の回転を前記サンギヤに伝達するダブルピニオンギヤセットとを含めて構成されるものであり、前記ダブルピニオンギヤセットは、前記第1円錐車の周面に押圧されて前記第1円錐車の回転が伝達される前記第2円錐車と、同第2円錐車に連結される第1ピニオンギヤと、同第1ピニオンギヤの回転を前記サンギヤに伝達する第2ピニオンギヤと、前記サンギヤに対する軸方向についての移動が許容される状態で設けられて前記第1ピニオンギヤを前記第2ピニオンギヤの周りで公転させるキャリヤとを備えるとともに、同キャリヤが前記サンギヤに対して軸方向へ移動する際に、前記サンギヤと前記第2ピニオンギヤとの噛み合いが維持される状態で前記キャリヤと前記第1ピニオンギヤと前記第2ピニオンギヤとが軸方向へ一体的に移動するものであり、前記付勢機構は、前記出力軸に対する回転及び軸方向への移動が許容される状態で前記出力軸により支持されて前記キャリヤと連動する支持部材と、同支持部材と前記キャリヤとの間に設けられて前記第2円錐車を前記第1円錐車に押し付ける力を生じさせる圧縮スプリングとを含めて構成されるとともに、前記第2円錐車、前記第1ピニオンギヤ、前記第2ピニオンギヤ及び前記キャリヤに対して前記第1円錐車とは反対側である前記出力軸の周囲に設けられるものであり、前記入力軸の回転の変速として、前記サンギヤに対する軸方向についての前記キャリヤの移動を通じて前記第1円錐車に対する前記第2円錐車の接触位置を変更することをその要旨としている。
(6)請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の無段変速装置において、前記ダブルピニオンギヤセットは、前記入力軸側から前記出力軸側に向けて前記第2円錐車、前記第1ピニオンギヤ及び前記キャリヤの順に配置されるものであることをその要旨としている。
(7)請求項7に記載の発明は、入力軸の回転を変速して出力軸に伝達する無段変速機構を備える無段変速装置において、前記無段変速機構は、前記出力軸に連結される第1円錐車と、前記入力軸の回転を同第1円錐車に伝達する伝達機構と、前記第1円錐車に回転を伝達する同伝達機構の構成要素である第2円錐車を前記第1円錐車の周面に押し付ける付勢機構とを含めて構成されるものであり、前記伝達機構は、前記入力軸に連結されるサンギヤと、前記サンギヤの回転を前記第1円錐車に伝達するダブルピニオンギヤセットとを含めて構成されるものであり、前記ダブルピニオンギヤセットは、前記第1円錐車の周面に押圧されて前記第1円錐車に回転を伝達する前記第2円錐車と、同第2円錐車に連結される第1ピニオンギヤと、前記サンギヤの回転を同第1ピニオンギヤに伝達する第2ピニオンギヤと、前記サンギヤに対する軸方向についての移動が許容される状態で設けられて前記第1ピニオンギヤを前記第2ピニオンギヤの周りで公転させるキャリヤとを備えるとともに、同キャリヤが前記サンギヤに対して軸方向へ移動する際に、前記サンギヤと前記第2ピニオンギヤとの噛み合いが維持される状態で前記キャリヤと前記第1ピニオンギヤと前記第2ピニオンギヤとが軸方向へ一体的に移動するものであり、前記付勢機構は、前記入力軸に対する回転及び軸方向への移動が許容される状態で前記入力軸により支持されて前記キャリヤと連動する支持部材と、同支持部材と前記キャリヤとの間に設けられて前記第2円錐車を前記第1円錐車に押し付ける力を生じさせる圧縮スプリングとを含めて構成されるとともに、前記第2円錐車、前記第1ピニオンギヤ、前記第2ピニオンギヤ及び前記キャリヤに対して前記第1円錐車とは反対側である前記入力軸の周囲に設けられるものであり、前記入力軸の回転の変速として、前記サンギヤに対する軸方向についての前記キャリヤの移動を通じて前記第1円錐車に対する前記第2円錐車の接触位置を変更することをその要旨としている。
(8)請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の無段変速装置において、前記ダブルピニオンギヤセットは、前記出力軸側から前記入力軸側に向けて前記第2円錐車、前記第1ピニオンギヤ及び前記キャリヤの順に配置されるものであることをその要旨としている。
【0008】
上記請求項5〜8のいずれかにかかる発明によれば、ダブルピニオンギヤセットの軸方向への移動を通じて入力軸の回転の変速が行われるため、具体的には、キャリヤがサンギヤに対して軸方向へ移動することにともない、サンギヤと第2ピニオンギヤとの噛み合いが維持される状態でキャリヤと第1ピニオンギヤ及び第2円錐車と第2ピニオンギヤとが軸方向へ一体的に移動し、これによって第1円錐車に対する第2円錐車の接触位置が変更されるため、変速に際して入力軸と出力軸とを軸方向において相対移動させる必要が生じない。これにより、プロペラシャフト等の伸縮可能な機構を備えなくとも当該無段変速装置を構成することが可能となるため、同変速装置の小型化及び軽量化を図ることができるようになる。
また、付勢機構が支持部材及び圧縮スプリングにより構成されるとともに、第2円錐車、第1ピニオンギヤ、第2ピニオンギヤ及びキャリヤに対して第1円錐車とは反対側である出力軸の周囲(請求項5または6)あるいは入力軸の周囲(請求項7または8)に設けられるため、すなわち付勢機構がダブルピニオンギヤセットの上記各構成要素とは各別に構成されることによりその構造の自由度が高められるため、例えば付勢機構をダブルピニオンギヤセットと一体の機構として構成する場合に比べて、圧縮スプリングの形状や大きさ、さらには配置態様を無段変速機構の構造に応じて柔軟に設定することが許容されることにより、付勢機構としての機能である第2円錐車を第1円錐車に押し付ける機能をより的確に維持することができるようになる。
【0009】
(9)請求項9に記載の発明は、請求項4〜8のいずれかに記載の無段変速装置において、前記伝達機構は、複数組みの前記ダブルピニオンギヤセットを含めて構成されるものであり、前記付勢機構は、同複数組みのダブルピニオンギヤセットに共通する単一の前記支持部材と、前記複数組みのダブルピニオンギヤセットのキャリヤにそれぞれ対応する複数の前記圧縮スプリングとを含めて構成されるものであることをその要旨としている。
(10)請求項10に記載の発明は、請求項3〜9のいずれかに記載の無段変速装置において、前記付勢機構は、前記第2円錐車を前記第1円錐車の内周面に押し付けるものであることをその要旨としている。
【0010】
(11)請求項11に記載の発明は、請求項1〜10のいずれかに記載の無段変速装置において、前記サンギヤに対する軸方向への移動を通じて前記キャリヤ及び前記ダブルピニオンギヤセットを軸方向へ移動させるとともに、同軸方向への移動に連動して前記第2ピニオンギヤを前記サンギヤの周りで公転させる入力キャリヤを備えることをその要旨としている。
(12)請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の無段変速装置において、前記入力キャリヤが前記ダブルピニオンギヤセットに対して前記第1円錐車とは反対側に設けられることをその要旨としている。
【0011】
(13)請求項13に記載の発明は、請求項1〜12のいずれかに記載の無段変速装置において、前記キャリヤは、前記第2円錐車及び前記第1ピニオンギヤを一括して支持する第1支持軸と、前記第2ピニオンギヤを支持する第2支持軸とのそれぞれに対して回転可能な状態でこれら支持軸を連結するものであることをその要旨としている。
(14)請求項14に記載の発明は、請求項1〜13のいずれかに記載の無段変速装置において、前記キャリヤは、軸方向についての厚みが前記第1ピニオンギヤよりも小さい平板状の要素として構成されるものであることをその要旨としている。
【0012】
(15)請求項15に記載の発明は、請求項1〜14のいずれかに記載の無段変速装置において、前記第1円錐車は、内部に円錐形状の空間が形成されるものであり、前記第2円錐車は、同第1円錐車の空間に収容されて前記第1円錐車の内周面に接触した状態に保持されるものであることをその要旨としている。
上記発明によれば、サンギヤの周りに複数組みのダブルピニオンギヤセットが設けられているため、入力軸から出力軸へのトルクの伝達をより的確に行うことができるようになる。
【0013】
(16)請求項16に記載の発明は、請求項1〜15のいずれかに記載の無段変速装置において、前記伝達機構は、複数組みの前記ダブルピニオンギヤセットを含めて構成されるものであることをその要旨としている。
上記発明によれば、ダブルピニオンギヤセットが第1円錐車内に収容されるため、当該無段変速装置のより一層の小型化を図るとともに、潤滑性を向上させることができるようになる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、無段変速装置の入力軸10は、例えば、図示しない内燃機関のクランクシャフトに接続され、入力軸10には内燃機関の駆動に伴ってトルクが入力される。入力軸10には、その先端部ほど拡径する第1円錐車11が連結されている。
【0015】
入力軸10に対向して配置された出力軸12には、前記第1円錐車11とともに無段変速機構14を構成するギヤユニット15が設けられている。ギヤユニット15は、出力軸12に連結されたはすば歯車よりなるサンギヤ16と、サンギヤ16を挟むように対称状に設けられた2つのダブルピニオンギヤセット17とを備える。
【0016】
各ダブルピニオンギヤセット17は、第1ピニオンギヤ18及び第2ピニオンギヤ19と第1キャリヤ20とを備えている。第1ピニオンギヤ18及び第2ピニオンギヤ19ははすば歯車よりなり、両ギヤ18,19は互いに噛合した状態で第1キャリヤ20に支持されている。第1ピニオンギヤ18の軸18a及び第2ピニオンギヤ19の軸19aは第1キャリヤ20に対して回転可能にのみ設けられている。第1ピニオンギヤ18の軸18aの先端部には前記第1円錐車11の内周面11aに押圧される第2円錐車21が設けられている。
【0017】
第2ピニオンギヤ19は前記サンギヤ16に噛合した状態で出力軸12に挿通された円板状の第2キャリヤ22に支持されている。第2キャリヤ22はサンギヤ16の軸方向へ移動可能に設けられるとともに、出力軸12の周りで回転可能に設けられている。第2ピニオンギヤ19の軸19aは第2キャリヤ22に対して回転可能にのみ設けられている。
【0018】
従って、第2ピニオンギヤ19は第2キャリヤ22を介してサンギヤ16の周りで公転可能であり、第1ピニオンギヤ18は第1キャリヤ20を介して第2ピニオンギヤ19の周りで公転可能となっている。また、第2キャリヤ22をサンギヤ16の軸方向に移動させると、第2ピニオンギヤ19及び第1ピニオンギヤ18は第1キャリヤ20を介してサンギヤ16の軸方向に一体に移動することができる。
【0019】
また、出力軸12には図4に示すように、サンギヤ16と第2キャリヤ22との間において矩形状の支持部材23が遊挿されており、サンギヤ16の軸方向へ移動可能であるとともに、出力軸12の周りで回転可能である。
【0020】
支持部材23の両端部と前記各第1キャリヤ20の第1ピニオンギヤ18側に設けられた支持ピン24との間には前記第2円錐車21を前記第1円錐車11の内周面11aに押圧付勢するための圧縮スプリング25が設けられている。
【0021】
今、図1において、入力軸10に回転トルクを入力して第1円錐車11を回転させた状態で、第2キャリヤ22を第1円錐車11から離間するようにサンギヤ16の軸線方向に移動操作する。このとき、図4に示すように、第2円錐車21は圧縮スプリング25の付勢力によって第1円錐車11の内周面11aに押圧されている。第2円錐車21の第1円錐車11の内周面11aに押圧されるピッチ円径は最も大きいため、変速比はハイギヤ状態となる。
【0022】
次に、図2に示すように、第2キャリヤ22をサンギヤ16側に移動操作すると、第2ピニオンギヤ19及び第1ピニオンギヤ18よりなるダブルピニオンギヤセット17はサンギヤ16の軸方向に一体に移動する。このとき、第2円錐車21は第1円錐車11の内周面11aに押圧されるため、圧縮スプリング25の付勢力に抗して軸19aの周りで時計方向に回動する。第2円錐車21の第1円錐車11の内周面11aに押圧されるピッチ円径はダブルピニオンギヤセット17の移動量に応じて徐々に小さく変化するため、変速比は無段階に変化することとなる。
【0023】
上記のように構成された本実施形態によれば、以下の効果がある。
・ 本実施形態の無段変速装置では、変速のためにギヤユニット15がサンギヤ16の軸方向に移動し、入力軸10及び出力軸12がサンギヤ16の軸方向に移動しない。そのため、動力伝達のために入力軸10又は出力軸12の軸方向に伸縮するスライド機構を持つプロペラシャフト等を不要にすることができ、無段変速装置の小型化及び軽量化を図ることができる。
【0024】
・ 本実施形態の無段変速装置では、サンギヤ16の周りに複数(2つ)のダブルピニオンギヤセット17が設けられているので、入力軸10のトルクを出力軸12に十分に伝達することができる。
【0025】
・ 本実施形態の無段変速装置では、第1円錐車11の内周面11aに各ダブルピニオンギヤセット17の第2円錐車21の外周面を押圧して第1円錐車11の内側に収容するようにしているため、コンパクト化を図ることができるとともに、各ダブルピニオンギヤセット17の潤滑も容易となる。
【0026】
なお、実施形態は上記に限定されず、次のように変更してもよい。
・ 上記実施形態では、第1円錐車11の内周面に第2円錐車を押圧する構成としたが、入力軸10の先端側に尖頭状となる第1円錐車を形成し、この第1円錐車の外周面に第2円錐車を押圧するように構成してもよい。この場合には、第2円錐車と第1ピニオンギヤとの間隔を大きく設定すればよい。
【0027】
・上記実施形態における入力軸10を出力軸とし、出力軸12を入力軸とした無段変速装置としてもよい。
・ 上記実施形態では、2つのダブルピニオンギヤセットを設ける構成としたが、ダブルピニオンギヤセットを1つのみ設ける構成としてもよい。
【0028】
・ 上記実施形態では、2つのダブルピニオンギヤセットを設ける構成としたが、ダブルピニオンギヤセットを3つ以上設ける構成としてもよい。
・ 上記実施形態では、第1キャリヤを円板状としたが、矩形状としてもよい。
【0029】
・ 上記実施形態では、サンギヤ16及びダブルピニオンギヤセット17の第1ピニオンギヤ18及び第2ピニオンギヤ19をはすば歯車としたが、これらのギヤを平歯車としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の無段変速装置を示す正断面図。
【図2】同じく無段変速装置の作用を示す正断面図。
【図3】同じく無段変速装置の側面図。
【図4】図1の1−1線における断面図。
【図5】図2の2−2線における断面図。
【符号の説明】
10…入力軸、11…第1円錐車、11a…内周面、12…出力軸、16…サンギヤ、17…ダブルピニオンギヤセット、18…第1ピニオンギヤ、18a,19a…軸、19…第2ピニオンギヤ、20…第1キャリヤ、21…第2円錐車、22…第2キャリヤ。
Claims (16)
- 入力軸の回転を変速して出力軸に伝達する無段変速機構を備える無段変速装置において、
前記無段変速機構は、前記入力軸に連結される第1円錐車と、同第1円錐車の回転を前記出力軸に伝達する伝達機構とを含めて構成されるものであり、
前記伝達機構は、前記出力軸に連結されるサンギヤと、前記第1円錐車の回転を前記サンギヤに伝達するダブルピニオンギヤセットとを含めて構成されるものであり、
前記ダブルピニオンギヤセットは、前記第1円錐車の周面に押圧されて前記第1円錐車の回転が伝達される第2円錐車と、同第2円錐車に連結される第1ピニオンギヤと、前記第1ピニオンギヤの回転を前記サンギヤに伝達する第2ピニオンギヤと、前記サンギヤに対する軸方向についての移動が許容される状態で設けられて前記第1ピニオンギヤを前記第2ピニオンギヤの周りで公転させるキャリヤとを備え、前記入力軸側から前記出力軸側に向けて前記第2円錐車、前記第1ピニオンギヤ及び前記キャリヤの順に配置されるとともに、前記キャリヤが前記サンギヤに対して軸方向へ移動する際に、前記サンギヤと前記第2ピニオンギヤとの噛み合いが維持される状態で前記キャリヤと前記第1ピニオンギヤと前記第2ピニオンギヤとが軸方向へ一体的に移動するものであり、
前記入力軸の回転の変速として、前記サンギヤに対する軸方向についての前記キャリヤの移動を通じて前記第1円錐車に対する前記第2円錐車の接触位置を変更する
ことを特徴とする無段変速装置。 - 入力軸の回転を変速して出力軸に伝達する無段変速機構を備える無段変速装置において、
前記無段変速機構は、前記出力軸に連結される第1円錐車と、前記入力軸の回転を同第1円錐車に伝達する伝達機構とを含めて構成されるものであり、
前記伝達機構は、前記入力軸に連結されるサンギヤと、同サンギヤの回転を前記第1円錐車に伝達するダブルピニオンギヤセットとを含めて構成されるものであり、
前記ダブルピニオンギヤセットは、前記第1円錐車の周面に押圧されて前記第1円錐車に回転を伝達する第2円錐車と、同第2円錐車に連結される第1ピニオンギヤと、前記サンギヤの回転を同第1ピニオンギヤに伝達する第2ピニオンギヤと、前記サンギヤに対する軸方向についての移動が許容される状態で設けられて前記第1ピニオンギヤを前記第2ピニオンギヤの周りで公転させるキャリヤとを備え、前記出力軸側から前記入力軸側に向けて前記第2円錐車、前記第1ピニオンギヤ及び前記キャリヤの順に配置されるとともに、前記キャリヤが前記サンギヤに対して軸方向へ移動する際に、前記サンギヤと前記第2ピニオンギヤとの噛み合いが維持される状態で前記キャリヤと前記第1ピニオンギヤと前記第2ピニオンギヤとが軸方向へ一体的に移動するものであり、
前記入力軸の回転の変速として、前記サンギヤに対する軸方向についての前記キャリヤの移動を通じて前記第1円錐車に対する前記第2円錐車の接触位置を変更する
ことを特徴とする無段変速装置。 - 請求項1または2に記載の無段変速装置において、
前記無段変速機構は、前記第2円錐車を前記第1円錐車の周面に押し付ける付勢機構を含めて構成される
ことを特徴とする無段変速装置。 - 請求項3に記載の無段変速装置において、
前記付勢機構は、前記サンギヤが連結される前記入力軸または前記出力軸に対する回転及び軸方向への移動が許容される状態で同入力軸または同出力軸により支持されて前記キャリヤに連動する支持部材と、同支持部材と前記キャリヤとの間に設けられて前記第2円錐車を前記第1円錐車に押し付ける力を生じさせる圧縮スプリングとを含めて構成されるものである
ことを特徴とする無段変速装置。 - 入力軸の回転を変速して出力軸に伝達する無段変速機構を備える無段変速装置において、
前記無段変速機構は、前記入力軸に連結される第1円錐車と、同第1円錐車の回転を前記出力軸に伝達する伝達機構と、前記第1円錐車の回転が伝達される同伝達機構の構成要素である第2円錐車を前記第1円錐車の周面に押し付ける付勢機構とを含めて構成されるものであり、
前記伝達機構は、前記出力軸に連結されるサンギヤと、前記第1円錐車の回転を前記サンギヤに伝達するダブルピニオンギヤセットとを含めて構成されるものであり、
前記ダブルピニオンギヤセットは、前記第1円錐車の周面に押圧されて前記第1円錐車の回転が伝達される前記第2円錐車と、同第2円錐車に連結される第1ピニオンギヤと、同第1ピニオンギヤの回転を前記サンギヤに伝達する第2ピニオンギヤと、前記サンギヤに対する軸方向についての移動が許容される状態で設けられて前記第1ピニオンギヤを前記第2ピニオンギヤの周りで公転させるキャリヤとを備えるとともに、同キャリヤが前記サンギヤに対して軸方向へ移動する際に、前記サンギヤと前記第2ピニオンギヤとの噛み合いが維持される状態で前記キャリヤと前記第1ピニオンギヤと前記第2ピニオンギヤとが軸方向へ一体的に移動するものであり、
前記付勢機構は、前記出力軸に対する回転及び軸方向への移動が許容される状態で前記出力軸により支持されて前記キャリヤと連動する支持部材と、同支持部材と前記キャリヤとの間に設けられて前記第2円錐車を前記第1円錐車に押し付ける力を生じさせる圧縮スプリングとを含めて構成されるとともに、前記第2円錐車、前記第1ピニオンギヤ、前記第2ピニオンギヤ及び前記キャリヤに対して前記第1円錐車とは反対側である前記出力軸の周囲に設けられるものであり、
前記入力軸の回転の変速として、前記サンギヤに対する軸方向についての前記キャリヤの移動を通じて前記第1円錐車に対する前記第2円錐車の接触位置を変更する
ことを特徴とする無段変速装置。 - 請求項5に記載の無段変速装置において、
前記ダブルピニオンギヤセットは、前記入力軸側から前記出力軸側に向けて前記第2円錐車、前記第1ピニオンギヤ及び前記キャリヤの順に配置されるものである
ことを特徴とする無段変速装置。 - 入力軸の回転を変速して出力軸に伝達する無段変速機構を備える無段変速装置において、
前記無段変速機構は、前記出力軸に連結される第1円錐車と、前記入力軸の回転を同第1円錐車に伝達する伝達機構と、前記第1円錐車に回転を伝達する同伝達機構の構成要素である第2円錐車を前記第1円錐車の周面に押し付ける付勢機構とを含めて構成されるものであり、
前記伝達機構は、前記入力軸に連結されるサンギヤと、前記サンギヤの回転を前記第1円錐車に伝達するダブルピニオンギヤセットとを含めて構成されるものであり、
前記ダブルピニオンギヤセットは、前記第1円錐車の周面に押圧されて前記第1円錐車に回転を伝達する前記第2円錐車と、同第2円錐車に連結される第1ピニオンギヤと、前記サンギヤの回転を同第1ピニオンギヤに伝達する第2ピニオンギヤと、前記サンギヤに対する軸方向についての移動が許容される状態で設けられて前記第1ピニオンギヤを前記第2ピニオンギヤの周りで公転させるキャリヤとを備えるとともに、同キャリヤが前記サンギヤに対して軸方向へ移動する際に、前記サンギヤと前記第2ピニオンギヤとの噛み合いが維持される状態で前記キャリヤと前記第1ピニオンギヤと前記第2ピニオンギヤとが軸方向へ一体的に移動するものであり、
前記付勢機構は、前記入力軸に対する回転及び軸方向への移動が許容される状態で前記入力軸により支持されて前記キャリヤと連動する支持部材と、同支持部材と前記キャリヤとの間に設けられて前記第2円錐車を前記第1円錐車に押し付ける力を生じさせる圧縮スプリングとを含めて構成されるとともに、前記第2円錐車、前記第1ピニオンギヤ、前記第2ピニオンギヤ及び前記キャリヤに対して前記第1円錐車とは反対側である前記入力軸の周囲に設けられるものであり、
前記入力軸の回転の変速として、前記サンギヤに対する軸方向についての前記キャリヤの移動を通じて前記第1円錐車に対する前記第2円錐車の接触位置を変更する
ことを特徴とする無段変速装置。 - 請求項7に記載の無段変速装置において、
前記ダブルピニオンギヤセットは、前記出力軸側から前記入力軸側に向けて前記第2円錐車、前記第1ピニオンギヤ及び前記キャリヤの順に配置されるものである
ことを特徴とする無段変速装置。 - 請求項4〜8のいずれかに記載の無段変速装置において、
前記伝達機構は、複数組みの前記ダブルピニオンギヤセットを含めて構成されるものであり、前記付勢機構は、同複数組みのダブルピニオンギヤセットに共通する単一の前記支持部材と、前記複数組みのダブルピニオンギヤセットのキャリヤにそれぞれ対応する複数の前記圧縮スプリングとを含めて構成されるものである
ことを特徴とする無段変速装置。 - 請求項3〜9のいずれかに記載の無段変速装置において、
前記付勢機構は、前記第2円錐車を前記第1円錐車の内周面に押し付けるものである
ことを特徴とする無段変速装置。 - 請求項1〜10のいずれかに記載の無段変速装置において、
前記サンギヤに対する軸方向への移動を通じて前記キャリヤ及び前記ダブルピニオンギヤセットを軸方向へ移動させるとともに、同軸方向への移動に連動して前記第2ピニオンギヤを前記サンギヤの周りで公転させる入力キャリヤを備える
ことを特徴とする無段変速装置。 - 請求項11に記載の無段変速装置において、
前記入力キャリヤが前記ダブルピニオンギヤセットに対して前記第1円錐車とは反対側に設けられる
ことを特徴とする無段変速装置。 - 請求項1〜12のいずれかに記載の無段変速装置において、
前記キャリヤは、前記第2円錐車及び前記第1ピニオンギヤを一括して支持する第1支持軸と、前記第2ピニオンギヤを支持する第2支持軸とのそれぞれに対して回転可能な状態でこれら支持軸を連結するものである
ことを特徴とする無段変速装置。 - 請求項1〜13のいずれかに記載の無段変速装置において、
前記キャリヤは、軸方向についての厚みが前記第1ピニオンギヤよりも小さい平板状の要素として構成されるものである
ことを特徴とする無段変速装置。 - 請求項1〜14のいずれかに記載の無段変速装置において、
前記第1円錐車は、内部に円錐形状の空間が形成されるものであり、前記第2円錐車は、同第1円錐車の空間に収容されて前記第1円錐車の内周面に接触した状態に保持されるものである
ことを特徴とする無段変速装置。 - 請求項1〜15のいずれかに記載の無段変速装置において、
前記伝達機構は、複数組みの前記ダブルピニオンギヤセットを含めて構成されるものである
ことを特徴とする無段変速装置。
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