JP4038386B2 - キャピラリアレイ及び電気泳動装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はDNA,蛋白質などの試料を分離分析するキャピラリアレイ電気泳動装置に関し、特にキャピラリアレイに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のキャピラリアレイ電気泳動装置は、特開2001−324473などに記載されている。ここでは、外径が約0.35mm,内径が約0.05mm,長さが約300mm〜900mmの石英チューブの表面に0.015mm 程度のポリイミド被覆したキャピラリを16本有し、一端に試料を注入するためのロードヘッダと、他端に緩衝液を注入するキャピラリヘッドと、その近傍にキャピラリを平らに整列保持し蛍光を検出する検出部を備えたキャピラリアレイが開示されている。また、φ1程度の穴が2行8列に形成された数枚のセパレータを、ロードヘッダと検出部の間に備えることで、キャピラリを整列保持している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、電気泳動装置へのキャピラリアレイの実装を容易に行うことである。
【0004】
また、キャピラリアレイの取り扱い時におけるキャピラリの破損を防止することである。
【0005】
また、本発明の別の目的は、キャピラリアレイの生産性を向上させることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ロードヘッダ,キャピラリヘッド、及び検出部等のキャピラリに敷設された部材を着脱可能に保持するフレームを備えたキャピラリアレイ、該キャピラリアレイを実装できる電気泳動装置、及びこれらを用いる実装方法である。これにより、前記敷設部材とキャピラリを一体として取り扱うことができるため、キャピラリアレイを容易に電気泳動装置に実装することができる。また、ロードヘッダを電気泳動装置に連結する際にキャピラリを取り扱う必要がないため、キャピラリの破損を回避できる。
【0007】
また、本発明は、ロードヘッダ,キャピラリヘッド、及び検出部等のキャピラリに敷設された部材をフレームで保持するキャピラリアレイである。これにより、フレームに固定された敷設部材に大きな力が加わってもキャピラリ自体はそれほど負荷を受けないため、ガラス細管等の繊細な材料からなるキャピラリの破損を防止できる。特に、フレームが柔軟性のある材質から成る場合、キャピラリを介して前記敷設部材に加わる力がフレームから逃げるため、キャピラリと敷設部材の接続箇所近辺での破損等を防止できる。
【0008】
また、本発明は、キャピラリを固着せずに固定するセパレータを所定位置に保持するフレームを備えたキャピラリアレイである。これにより、電気泳動時とほぼ同じ形態でキャピラリを保持でき、また、キャピラリヘッドや検出部等を電気泳動装置に取り付ける際に、キャピラリの移動がセパレータにより制限されないため、キャピラリアレイを電気泳動装置に容易に実装することができる。また、キャピラリ自体に大きな力が加わっても、セパレータとの接触部分で破損することがない。
【0009】
また、本発明は、ロードヘッダ,キャピラリヘッド、及び検出部等のキャピラリに敷設された部材を一つずつ取り扱い、キャピラリアレイを電気泳動装置に実装する方法である。ユーザが2つの敷設部材を同時に取り扱う場合、キャピラリを引っ張る方向にそれぞれ力を加えてしまい、キャピラリに大きな負荷を与える危険性があるが、この実装方法はそのような危険性を排除できる。
【0010】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴を、図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
尚,本発明にかかるフレームは実施例記載のものに限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で、棒状,板状、及びこれらの複合体等に、自由に設計変更することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
(実施例1)
図2は、本実施例にかかる電気泳動装置の原理を示す概略図である。96本のキャピラリを配列して、アレイが構成されている。電気泳動装置は、外径が0.15mm,内径が0.05mm の石英パイプから成り、外被はポリイミドによる樹脂コーティングが施されている96本のキャピラリと、蛍光標識された10〜数10μlのDNAサンプルを入れた試料容器2を沢山組込んだサンプルトレイ3から電気泳動によりキャピラリにDNAを取り込むロードヘッダ4と、ロードヘッダのサンプル番号順にキャピラリを配列固定する検出部5と、検出部にレーザ光源6からミラー7やビームスプリッタ8,集光レンズ9で励起光を照射する励起光学系、および、信号光である蛍光10を検出する検出レンズ系11とCCDカメラ12を備える。本実施例では、電気泳動するDNAや蛋白質の入ったキャピラリアレイの両側面からレーザを照射し、キャピラリのレンズ作用によってレーザを集光させることにより全てのキャピラリに励起光を照射し、各キャピラリからの蛍光を検出光学系によって検出する。ロードヘッダと反対側には、複数本のキャピラリを束ねて接着し、緩衝液13が入った緩衝液容器14に耐圧気密で取り付けるキャピラリヘッド17がある。ロードヘッダに設けられた電極20と緩衝液容器の間には、高電圧電源15から15kV前後の高電圧印加され、緩衝液容器からキャピラリ内に入れた緩衝液により試料容器中の試料が電気泳動されて試料を分離する。つまり、キャピラリの全域に充填されたゲル内をDNA試料が通過する際の試料の大小(長短とも表現される)による通過抵抗の差異により、試料は小さい順に早く検出部に到達する。検出部ではキャピラリにレーザを照射し、蛍光マーキングされたDNA試料からのアデニン,グアニン,シトシン,チミンの4種類のヌクレオシド塩基に相当する蛍光をCCDカメラで検出している。光信号は96本のキャピラリを光学フラット平面に高さ数ミクロンの精度で並べ、平板とし両サイドから励起光で串刺しにして得られる。
【0013】
キャピラリ1を電気泳動装置本体に容易に着脱するための、図1は、本実施例にかかるキャピラリアレイを詳細に描写した図である。キャピラリアレイは、数ヶ月間、または、数100回の電気泳動により分離能が低下すると廃棄処分される消耗品であるキャピラリ1を含む交換部品である。本実施例では、96本のキャピラリ1,ロードヘッダ4,セパレータ16,検出部5,キャピラリヘッド17、及びセパレータ等を保持するキャピラリフレーム22から成り、キャピラリフレーム22にはキャピラリアレイの種類を区別するためのボス24が設けられている。
【0014】
キャピラリ1は、直径約0.15mm の石英パイプを使用している。96本のキャピラリ1を、ロードヘッダ4では中空電極20を介して8行12列のマトリクス状に配置し、検出部5では並列配置し、そして、キャピラリヘッド17では束ねて保持している。そして、検出部5とロードヘッダ4の間では、ばらばらの状態でセパレータにより1本ずつ保持されいる。また、検出部5とキャピラリヘッド17の間では熱圧着シート32によりテープ状に整束され、キャピラリの剛性を向上させている。
【0015】
また、キャピラリ1の立体的形状は“つ”の字状に曲がっており、これをロードヘッダからキャピラリヘッドの順に詳細説明すると、ロードヘッダ4では鉛直方向に配置され、その後、キャピラリ間隔をほぼ均等に狭めつつ、キャピラリヘッドから離れるように曲がり、一定距離伸びた後に先のカーブとは逆の緩やかなカーブを描いて反対方向を向き、また一定距離伸びた後に時計回りに約90度捩れ、検出部により並列に配置され、最後にロードヘッダにより一つに収束される。これにより、キャピラリアレイをコンパクトにまとめることができ、電気泳動装置本体の恒温槽をコンパクトにすることができるため、恒温槽内の温度制御が容易になる。また、キャピラリ長さが異なっても検出部とロードヘッダの位置関係を一定に保ちつことができるため、キャピラリの長さが異なる複数種類のキャピラリアレイを電気泳動装置に使用できる。キャピラリフレーム22は、キャピラリ1が描く経路の近傍に配置され、ロードヘッダ4に強固に嵌合結合しているため、ロードヘッダ4と一体として取り扱うことが出来る。また、キャピラリフレーム22は、検出部5とキャピラリヘッド17を着脱可能に保持し、セパレータ16をバー23を介して固定できる。
【0016】
キャピラリアレイは電気泳動装置の恒温槽内に実装されるため、キャピラリフレーム22は、耐電圧20KV,耐熱70度以上のプラスチック材料で射出成形されている。ここで、上記諸特性を満たせばいかなる材料・加工法を用いても良い。
【0017】
また、キャピラリフレームが柔らかいことも重要である。キャピラリフレームが堅い場合、キャピラリアレイを取り扱っている際に何かにぶつかると、キャピラリ1の先端や途中に設けられた部品の荷重が細線のキャピラリ1に掛かってしまい折損する可能性がある。そこで、キャピラリフレーム22に柔軟性を持たせることで、様々な外力が加わった場合でもその力を吸収できるため、キャピラリ1の破損を防止できる。
【0018】
図4は、多数のキャピラリ1を整列配置するためのセパレータ16とバー23の関係を示す斜視図である。セパレータ16は、キャピラリフレーム22のバー23を介してキャピラリフレーム22に保持され、ロードヘッダから検出部近傍までキャピラリ同士が接触しないように、キャピラリ1を一本ずつ固着せずに固定し、マトリクス状に配置している。セパレータ16とバー23の組の数は、検出部5中心からロードヘッダ4の電極20先端までのキャピラリ1の長さにより異なり、たとえば、220mm,360mm,500mmなどがあり順に0個,3個,5個としている。
【0019】
また、前記空気の流れを妨げることのないよう薄板で成型され、電気泳動装置の恒温槽内の空気の流れに平行に配置されている。
【0020】
ここで、セパレータの詳細図を図4に示す。
【0021】
セパレータ16は、キャピラリ1をガイドする8行×12列(96ケ)の千鳥格子状に配列されたφ1mm程度の孔を有している。96本のキャピラリ1は、このφ1mm程度の孔に一本ずつ貫通することで、固着されずに固定されている。このためキャピラリ1をセパレータ面の法線方向に動かすことができるため、検出部及びキャピラリヘッドを装置へ取り付ける際のキャピラリ1の動きがセパレータにより制限されないため、装着作業を容易に行うことができる。また、キャピラリ1に大きな力が加わっても、その力を逃がすことができるため、セパレータとの接触部分で破損することがない。キャピラリアレイを製作するためには、各セパレレータに96本のキャピラリ1を貫通させる必要があるが、本キャピラリアレイではセパレータを積層して1枚の平板として取り扱うことにより、組み立て方式を簡略して、生産性を向上させている。具体的には、セパレータには、複数のセパレータを積層した時に前記孔を合わせるための位置決め孔が2つ設けれれている。また、セパレータには、バー23と組み合わせるためのひし形の穴が設けられている。このひし形の穴は、平板を交互に山折・谷折にした構造になっており穴としての機能を持たせているため、セパレータは、この穴の折り目を伸ばすと平板にできる。
【0022】
数枚のセパレータを位置決め孔を基準として積層し、1枚の板状体にすると、各セパレータの96個のキャピラリ貫通孔の位置合わせを行うことができる。これにより、多数のセパレータに多数本のキャピラリを同時に貫通させることが可能となるためキャピラリアレイの生産性が向上する。
【0023】
また、バー23にはセパレータ16のひし形の穴の一辺にほぼ等しい正方形の角柱部があり、ひし形の穴にバー23を差込み、ひし形が正方形になった時の反力を利用して保持力を発生させている。バー23には円柱部と角柱部に段差を設け,バー23の軸方向の位置決めをし、バー23の回転方向は角柱により位置決めを行っている。バー先端は円錐状になっており、セパレータ16を容易に挿入でき、組立ての作業性を向上させている。
【0024】
また、検出部5に最も近いセパレータ16はその行列が他のものに対して90度弱回転させて配置されており、キャピラリ1が検出部で一列に配列される様導いている。
【0025】
図5は、キャピラリフレーム22と検出部5,キャピラリヘッド17を保持する関係を示す斜視図である。
【0026】
キャピラリアレイの保管時または装置実装前の状態における検出部5の配置位置は、電気泳動装置本体に検出部5を取り付ける作業の際にセパレータに保持されたキャピラリが乱れにくい位置、つまり装置実装状態の配置位置と近似した位置である。実装前と後でキャピラリ1の立体的形状の大部分に変化がないため、実装前に、輸送等で乱れたキャピラリの立体的形状の大部分を手直できる。これにより、装置実装後の作業を低減でき、コンパクトな恒温槽内に配置されたキャピラリを手直しする作業が激減するため、キャピラリの折損を回避できる。
【0027】
保管時において、検出部5は、カバー27とベース26により保護され、ベース26を介してキャピラリフレームに保持されている。また、先端にあるキャピラリヘッド17は保護キャップ28に差し込まれており、それをキャピラリフレーム22が保持している。
【0028】
これにより、ロードヘッダ4にキャピラリフレーム22が固定され、各部品がキャピラリフレーム22に保持されている。つまり、キャピラリ1に固定された敷設部材であるロードヘッダ4,検出部5及びキャピラリヘッド17等が、複数の敷設部材の相対的位置関係を保持するフレームによりその相対的位置関係が固定されるため、ロードヘッダ4を持つだけでキャピラリアレイ全体を取り扱うことができる。従って、敷設部材に負荷がかかっても、キャピラリ1に大きなテンションが加わらないため、キャピラリ折損を回避できる。特に、ロードヘッダ4にキャピラリ1がマトリクス状に固着配列され、複数のキャピラリ1を該固着地点から等距離の位置で検出部5により整列配置している場合に両者を引っ張ると、マトリクスの外側、とりわけ4隅に固着されたキャピラリ1に大きな張力が加わり破損する危険性があるが、本実施例ではその危険性を回避できる。また、キャピラリアレイを片手で取り扱うことが可能となるため、一方の手で装置側の扉の開閉などの作業が行える。このため、取付時及び保管時の、取り扱い性及び作業性が飛躍的に向上する。
【0029】
また、図1に示すように、ロードヘッダ4に電極保護キャップ25を、キャピラリヘッド17にキャピラリヘッド保護キャップ28をそれぞれ設け、検出部5の保護のためのベース26とカバー27を設けた状態で、キャピラリアレイ自身は転倒せずに保管できる。特に、キャピラリ1の試料注入端を電極保護キャップ25で囲い、電極保護キャップ25内に緩衝液を充たして、キャピラリアレイを安定に設置できるため、緩衝液によりキャピラリ1の試料注入端を濡らして、試料注入端の劣化を防止しながらキャピラリアレイを長期保管することができる。
【0030】
図6(a)は、キャピラリアレイの実装作業の斜視図であり、図6(b)は、実装作業のフローを示す。以下、これらを参照に、キャピラリアレイの脱着作業を示す。
【0031】
実装作業に先立ち、キャピラリアレイは柔軟性のあるキャピラリフレームに各部品が保持され、キャピラリ1はセパレータ16により緩やかに保持されている。このため、ロードヘッダ4を持つことによりキャピラリ1に付された部材を一体として扱うことができ、また、この作業時にキャピラリ1に大きなテンションが加わる危険性を回避できる。
【0032】
まず、初めに恒温槽の扉をあけ、ロードヘッダ4の両側前方を持ち電極保護キャップ25を取り外す。そして、装置の恒温槽29にあるガイド30にロードヘッダ4の両サイドの溝をあわせて挿入し、ロードヘッダ4を恒温槽29に固定し、キャピラリアレイを電気泳動装置本体に実装する。このとき、セパレータ16を保持しているバー23(0〜5個ある)も本体の穴をガイドとし挿入される。ここで、ロードヘッダ側面前部を持ち装置へ挿入するため、キャピラリに何らテンションをかけずに装置に実装することができる。また、恒温槽内は温度を一定に保つため装置奥より手前方向に空気を循環させているが、キャピラリフレーム22はキャピラリ1よりも風下側に配置されるようにロードヘッダ4に固定されているため、温度制御への影響が低減できる。また、キャピラリフレームはその断面形状がほぼ同じ棒状部材であり熱伝導率が均一であるため、温度制御への影響をさらに低減できる。
【0033】
次に、キャピラリヘッド17と嵌合しているキャピラリヘッド保護キャップ28をキャピラリフレーム22から取り外し、その後に、キャピラリヘッド保護キャップ28をキャピラリヘッド17から取り外す。また、検出部5は、カバー27を外した後、ベース26のツマミをつまんでキャピラリフレームから取り外す。そして、キャピラリヘッド17,検出部5の順に装置に固定する。キャピラリヘッド17及び検出部5は、これら部材の装置側連結場所の近傍に配置されるようにキャピラリフレーム22により保持されているため、キャピラリヘッド17及び検出部5を装置に連結する際の移動距離が小さくてすみ、連結作業の際にキャピラリ1に無理なテンションを加える危険性が小さい。
【0034】
最後に、恒温槽の扉を閉めることにより、実装作業が完了する。尚、装置から取り外す場合はこの逆の手順を行う。
【0035】
この実装方法では、キャピラリアレイを電気泳動装置に実装する際に、セパレータ16を装置本体に取り付けるわずらわしい作業が無く、所定の立体的形状の96本のキャピラリ1を恒温槽内に極めて容易に配置することができる。また、キャピラリ1に設けられた2以上の部材を両手で扱う場合、作業者がそれらを引っ張る方向に、つまり、前述の部材それぞれを反対方向に動かしキャピラリ1を破損する可能性があるが、本実施例では、ロードヘッダ,キャピラリヘッド、及び検出部を一つずつ取り扱うため、前述の部材それぞれに反対方向の力を作業者がそれぞれ加える危険性が回避できる。このため、未熟練の人でも簡単に装置への実装が可能となる。
【0036】
また、図6(a)に示す様に、キャピラリフレーム22は、キャピラリアレイの種類を区別するための構造であるボス24を備えている。ボス24は、外形φ8mm×t1.5mm程度の大きさであり、キャピラリアレイの種類によりその形状が異なる。装置は、電気泳動時の高電圧による影響のない位置にセンサを備えており、それに対応した位置にボス24が設けられている。そして、キャピラリアレイ実装時に装置側のセンサをボス24が押すことにより、キャピラリアレイの区別を行うことができる。尚、装置側センサは押しボタンスイッチであるが、この限りではない。
【0037】
以上により、装置に容易に実装でき、取り扱い時におけるキャピラリ1の破損を防止でき、さらに製作の容易なキャピラリアレイを得ることができる。
【0038】
(実施例2)
実施例2は、セパレータ16が金属製のキャピラリフレームにより着脱可能に保持され、実装時にキャピラリフレームをキャピラリアレイから取り外すことを特徴とするキャピラリアレイであり、その他は実施例1と同様である。図7(a)及び図7(b)はセパレータを受け渡しする場合のセパレータとバーの関係の斜視図を示す。また、図8(a)キャピラリアレイの実装作業の斜視図であり、図8(b)は実装作業のフローを示す。以下、実施例1との相違個所について、図7(a),図7(b),図8(a)、及び図8(b)を参照して説明する。
【0039】
本実施例のキャピラリアレイでは、キャピラリフレーム22がステンレス線材から構成されており、セパレータ16,検出部5,キャピラリヘッド17を弾性を利用して着脱可能に保持することができる。また、ステンレス線材は樹脂に比べ高弾性であり大きく折り曲げることができるため、キャピラリフレーム22に保持された検出部,キャピラリヘッド、及びセパレータ等の部材の着脱作業の際、フレームの形状をこれら部材の着脱が容易な形に一時的に曲げることができ、着脱作業を容易に行うことができる。
【0040】
本実施例のキャピラリアレイは、実装時に、フレームに保持されたセパレータを装置に移し変え、その後、キャピラリフレーム22をキャピラリアレイから取り外す必要がある。この時のセパレータの受け渡し作業を中心に、実装作業について説明する。
【0041】
キャピラリアレイのロードヘッダを恒温槽に配置し、検出部とキャピラリヘッドを装置に連結するまでは、実施例1と同じ手順で作業を行う。
【0042】
金属製キャピラリフレームのバーは実施例1のバーに比べ短いが、これは保管時及び取り付け時にセパレータを保持できれば十分で、実装時に保持する必要がないためである。また、装置にはセパレータを保持するためのバーを設けられている。
【0043】
ロードヘッダを装置に配置した際、セパレータは、装置のセパレータ保持バーに隣接配置され、キャピラリフレームのバーと装置のバーが一直線状に並ぶ。つまり、キャピラリフレームのバーの先に装置側のバーが存在するため、セパレータを1つ1つ摘まんで装置側にスライドさせることで、セパレータを装置側のバーに容易に移すことができる。そして、全てのセパレータを移し終えた後にキャピラリフレームをロードヘッダから取り外し、恒温槽のフタを閉じることで、取り付け作業は終了する。
【0044】
装置から取り外す場合はこの逆の手順である。
【0045】
尚、装置側にバーの代わりとして、セパレータのひし形部材と嵌合結合できる角穴状の窪部を設け、ロードヘッダを装置に配置することにより、該窪部にセパレータのひし形部材が挿入して嵌合結合する構成としても、セパレータを装置に容易に取り付けることができる。
【0046】
本実施例では、キャピラリフレーム22と装置間のセパレータ16の受渡作業が生じるものの、キャピラリアレイ取り扱い時のキャピラリの破損を防止し、また、キャピラリアレイの装置への実装作業を容易に行うことができる。さらに、キャピラリアレイの生産性が向する。
【0047】
【発明の効果】
本発明により、キャピラリアレイを電気泳動装置に実装する作業が容易となる。また、キャピラリアレイ取り扱い時におけるキャピラリの破損を回避できる。また、キャピラリアレイの生産性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のキャピラリアレイの斜視図である。
【図2】実施例1の電気泳動装置の原理を示す概略図。
【図3】実施例1のセパレータとバーの関係を示す斜視図。
【図4】実施例1のセパレータの詳細を示す斜視図。
【図5】実施例1のキャピラリフレームと検出部、キャピラリヘッドの関係を示す斜視図。
【図6(a)】実施例1の電気泳動装置とキャピラリアレイの関係を示す斜視図。
【図6(b)】実施例1の実装作業フロー図。
【図7(a)】実施例2の実装作業時のセパレータの状態を示す斜視図。
【図7(b)】実施例2の実装作業時のセパレータの状態を示す斜視図。
【図8(a)】実施例2の電気泳動装置とキャピラリアレイの関係を示す斜視図。
【図8(b)】実施例2の実装作業フロー図。
【符号の説明】
1…キャピラリ、2…試料容器、3…サンプルトレイ、4…ロードヘッダ、5…検出部、6…レーザ光源、7…ミラー、8…ビームスプリッタ、9…集光レンズ、10…蛍光、11…検出レンズ系、12…CCDカメラ、13…緩衝液、14…緩衝液容器、15…高電圧電源、16…セパレータ、17…キャピラリヘッド、20…電極、21…信号処理演算装置、22…キャピラリフレーム、23…バー、24…ボス、25…電極保護キャップ、26…ベース、27…カバー、28…キャピラリヘッド保護キャップ、29…恒温槽、30…ガイド、31…センサ、32…熱圧着シート。

Claims (9)

  1. 以下の構成を含むキャピラリアレイ;
    試料を分離できるポリマーが充填される複数のキャピラリ;
    前記複数のキャピラリの一端を保持し、電気泳動装置に接続できるキャピラリヘッド;
    前記複数のキャピラリの他端を所定の位置に保持し、電気泳動装置に接続できるロードヘッダ;
    前記複数のキャピラリの少なくとも一部を並列に保持する検出部:
    前記ロードヘッダ,前記キャピラリヘッド、及び前記検出部を保持でき、前記ロードヘッダ,前記キャピラリヘッド、又は前記検出部の少なくとも一つを着脱して保持できる、柔軟性のあるフレーム。
  2. 以下の構成を含むキャピラリアレイ;
    試料を分離できるポリマーが充填される複数のキャピラリ;
    前記複数のキャピラリの一端を保持し、電気泳動装置に接続できる第1の敷設部材
    前記複数のキャピラリの他端を所定の位置に保持し、電気泳動装置に接続できる第2の敷設部材
    前記複数のキャピラリの少なくとも一部を並列に保持する第3の敷設部材
    前記第1の敷設部材,前記第2の敷設部材、及び第3の敷設部材を保持できる、柔軟性のあるフレーム。
  3. 請求項2記載のキャピラリアレイであって、
    前記第1の敷設部材がキャピラリヘッドであり、前記第2の敷設部材がロードヘッダであり、前記第3の敷設部材が検出部であるキャピラリアレイ。
  4. 以下の構成を含むキャピラリアレイ;
    試料を分離できるポリマーが充填される複数のキャピラリ;
    前記複数のキャピラリの一端を保持し、電気泳動装置に接続できる第1の施設部材
    前記複数のキャピラリの少なくとも一部を並列に保持する第2の敷設部材
    前記第1の敷設部材、及び前記第2の敷設部材を保持できる、柔軟性のあるフレーム。
  5. 請求項4記載のキャピラリアレイであって、
    前記第1の敷設部材がキャピラリヘッドであり、前記第2の敷設部材が検出部であるキャピラリアレイ。
  6. 以下の構成を含むキャピラリアレイ;
    試料を分離できるポリマーが充填される複数のキャピラリ;
    前記複数のキャピラリの他端を所定の位置に保持し、電気泳動装置に接続できる第1の敷設部材
    前記複数のキャピラリの少なくとも一部を並列に保持する第2の敷設部材
    前記第1の敷設部材、及び前記第2の敷設部材の敷設部材を保持できる、柔軟性のあるフレーム。
  7. 請求項6記載のキャピラリアレイであって、
    前記第1の敷設部材がロードヘッダであり、前記第2の敷設部材が検出部であるキャピラリアレイ。
  8. 以下の構成を含むキャピラリアレイ;
    試料を分離できるポリマーが充填される複数のキャピラリ;
    前記複数のキャピラリの一端を保持し、電気泳動装置に接続できる第1の敷設部材
    前記複数のキャピラリの他端を所定の位置に保持し、電気泳動装置に接続できる第2の敷設部材
    前記第1の敷設部材、及び前記第2の敷設部材を保持できる、柔軟性のあるフレーム。
  9. 請求項8記載のキャピラリアレイであって、
    前記第1の敷設部材がキャピラリヘッドであり、前記第2の敷設部材がロードヘッダであるキャピラリアレイ。
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