JP4038287B2 - 銅製錬自溶炉の操業方法 - Google Patents

銅製錬自溶炉の操業方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自溶炉のシャフト頂部から精鉱バーナを用いて銅精鉱、コークス、フラックスその他の装入物を空気および酸素と一緒に供給する銅製錬自溶炉の操業方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来からシャフト、セットラおよびアップテークからなる銅製錬自溶炉(以下、自溶炉という)では、シャフト頂部から精鉱バーナを用いて硫化銅精鉱(以下、銅精鉱という)、フラックスその他の装入物および重油、微粉炭またはコークスなどの燃料を、空気と酸素プラントから産出される酸素を混合し予熱した熱風とともにシャフト内に吹き込み、熱源の大半を占める銅精鉱などの酸化による反応熱に加えて燃料の燃焼熱により銅精鉱の溶解とシャフト内での酸化製錬を行い、硫化銅(Cu2S)および硫化鉄(FeS )を主体とする溶体であるマットと、酸化鉄の珪酸塩を主体とした溶体であるスラグを産出する。この際、セットラ内での反応に伴って発生する亜硫酸ガスは、アップテークを経て硫酸工場へ導入され、硫酸製造の原料とされる。なお、空気と酸素を包含する混合気体、すなわち空気と酸素プラントから産出される酸素を混合した気体は、一般に酸素富化空気とも呼ばれている。
【0003】
このように、自溶炉は銅精鉱などの原料鉱石の酸化反応熱を大半の熱源としているが、不足熱量を補うために従来は重油を燃料として燃焼していた。しかしながら、重油価格の高騰に伴い、代替固体炭素質原料として、まず微粉炭が積極的に使用されるようになり、さらに微粉炭からコークスへの燃料転換が進められ、現在では 100%コークスを使用しての自溶炉の操業が行われるようになった。
【0004】
この燃料転換と並行して生産性を上げるためにマット中の銅品位を上げる操業が行われ、従来の約50%程度から最近では60〜65%程度の銅品位が一般的になってきた。
マット品位を上げるとそれに伴ってスラグ中の銅含有量(以下スラグロスという)が増加するのであるが、コークス等、炭材への燃料転換によりセットラ部の還元度が改善され、スラグ中のマグネタイト(Fe3O4 )が還元されてスラグの流動性などが改善され、マットの高品位操業においてもスラグロスが抑制されるという、エネルギーコスト節減以外のコークス使用のメリットも見出されてきた。
【0005】
コークス使用のメリットはこれら以外にスラグ層で燃焼して、スラグを広範囲に加熱し、その下にあるマット層を保温・加熱する、炉底のマグネタイトを主成分とする高融点物質である敷上がり(ビルドアップとも言う)の生成を制御してマットプールの容量を好適なレベルに維持できる、という点にもある。
このように、自溶炉の燃料としてのコークス使用は、エネルギーコストやマットの高品位操業におけるスラグロス抑制などの面から有効であるが、セットラ部の還元度と密接な関係があるため、還元度を重視しての供給量の決定では燃料としてのコークス量に過不足を生じて適正な操業温度を維持できないという問題が新たに生じた。
【0006】
なお、ここでいう操業温度とは反応が起こるシャフト部空間におけるマット、スラグ、ガスの温度をいい、これらの温度は全て同一とする。以下、説明なしに述べるマット温度、スラグ温度、ガス温度とはセットラ部で分離した後の温度をいい、操業温度とは区別する。因に、セットラ部で分離した後のそれぞれの実測温度の関係の一例を示すと、通常は概ねマット温度+約30〜50℃=スラグ温度、スラグ温度+約30〜50℃=ガス温度であり、操業温度はセットラ部でのガス温度より約50℃高い。
【0007】
自溶炉の操業温度の変動は、産出するマット、スラグの温度や性状の変動をもたらし、また、炉況や次工程である転炉操業・水砕処理工程の不安定に繋がる原因となる。具体的には、操業温度が目標より低い場合は、スラグの粘度が上昇し排出が困難になり、操業に支障をきたす、スラグ中の銅分(スラグロス)が多くなる、炉底のマグネタイトを主成分とする高融点物質の敷上がりが進行するなどのトラブルが発生する。また、操業温度が目標より高い場合は、シャフトの熱負荷が上がりシャフト煉瓦の損傷が進行する、溶融スラグ層に過剰のコークスが滞留する場合に過熱により特に気液界面にあってマットの抜き出し・蓄積によって上下に変動する湯面レベルの煉瓦が損傷する、燃料のコストが上がるなどの問題が発生する。したがって、ある操業条件のもとでは、その操業条件における最適操業温度を維持する必要がある。
【0008】
一方、最適な操業温度は、使用鉱種や銅精鉱のS%とCu%の比であるS/Cuなどによって変わってくる。例えば、ある銅精鉱などの調合(一般に自溶炉に装入される鉱石は産地の異なる銅精鉱などを混合して用いられる。これを調合という。)では操業温度を低く操業してもスラグの流れが良好で、また、精鉱バーナのベコが成長しないが、調合が変わると状況が一変し、操業温度を上げないとスラグや精鉱バーナの状況が悪化することがある。同一の調合であってもかかる状況の変化はよくある。したがって、操業温度は状況の変化に応じて最適操業温度に変更する必要もある。
【0009】
従来、自溶炉の操業温度の調整は、シャフトに供給する燃料の供給量を調節して行っており、例えば、特公昭57-11938号公報には、自溶炉の操業中、産出したマットの温度を測定し、産出マットの目標温度との差が設定温度許容値以上ある毎に、特定計算式に従ってシャフト部供給燃料量を変更して産出温度を調節する方法が開示されている。シャフトに供給する燃料として重油または微粉炭を供給する場合には、これらはシャフト内での燃焼率が高く、主としてシャフト内における原料鉱石の溶解および反応温度維持のために使用されるので、前記特公昭57-11938号公報に開示されているように、その供給量を調節することにより、シャフトからセットラ内に落下する溶融物の温度が調節できる。
【0010】
しかしながら、シャフトに供給する燃料がコークスの場合、コークスは燃焼性が悪いためにシャフトにて燃えきれなかった未燃焼分がシャフト反応生成物とともにセットラ部に落下してくる。セットラ部に落下してきた未燃焼コークス量とセットラ部の還元度とは密接な関連がある。
すなわち、精鉱バーナから粉状コークスを供給する場合のシャフト内での燃焼率は、送風酸素富化濃度や銅精鉱などの原料鉱石の供給状態、組成、その他の操業条件の影響によって変化し、約40〜80%程度となり、残りの未燃焼粉コークスは、セットラに落下するか、ボイラへ飛散する。一方、粒状コークスの燃焼率は粉状コークスより低く、飛散しにくいため、セットラのスラグ層に到達し還元などに寄与する。粉状・粒状コークスのトータルの燃焼率については概ね30〜60%程度になる。
【0011】
燃料としてコークスを使用する自溶炉操業において、操業条件を変更するとコークスの燃焼率が変化するため、炉内還元度を一定に制御しようとする場合には、精鉱バーナから供給するコークス量を変更しなくてはならず、結果として最適操業温度から外れた操業温度で操業することとなる。このように、最適操業温度を維持するために必要なコークス供給量と、炉内還元度を維持するに必要なコークス供給量とは異なっているのである。
【0012】
最適操業温度を優先しようとするとスラグ層に滞留するコークス量が最適な量から外れることになり、滞留するコークス量が最適量よりも少ない場合には、マグネタイトの還元度が下がり、炉底の敷上がりやスラグロスの上昇などのトラブルが発生し、反対に、最適量よりも多い場合には、過熱により気液界面にあるスラグの湯面レベルの煉瓦浸食が速くなるなどのトラブルが発生する。特にこのスラグゾーンの煉瓦の損傷が、炉修と炉修との間の操業期間を長く取りたい場合に大きな問題となっている。
【0013】
このため、セットラ内のスラグ層に滞留するコークス量を所定値に維持してその還元度を安定させることが重要になる。そこで、操業温度の調整は、燃料としてのコークス供給量の増減ではなく、他の手段を用いて行う必要が生じてきた。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、自溶炉におけるマット上に存在するスラグ層にコークスを安定して残留させ、炉内還元度を最適なレベルに制御すると同時に、産出する溶融マットおよび/またはスラグの温度から操業温度を最適な目標温度に維持できる銅製錬自溶炉の操業方法を提供することを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、自溶炉のシャフト頂部から精鉱バーナを用いて銅精鉱、コークス、フラックスその他の装入物を空気および酸素(例えば酸素プラント産出酸素)とともに吹き込む銅製錬自溶炉の操業方法において、産出する溶融マットおよび/またはスラグの温度を測定し、この測定値に基づいて自溶炉操業温度を、銅精鉱のS/Cu比、原料鉱石の装入量、コークス量とその燃焼率、マット品位を主体とする操業条件に応じて定まる必要酸素量を維持するに足りる酸素分としてシャフト内に供給されている空気と酸素を包含する混合気体の窒素量を変更(すなわち、空気と酸素プラント産出酸素との混合比率を変えることによる操業温度の冷却材となる窒素量の変更)するか、または混合気体を予熱した熱風温度を変更して目標操業温度に調整することを特徴とする銅製錬自溶炉の操業方法である。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1に示すように自溶炉1は、円筒状のシャフト2、セットラ3およびアップテイク4を備えており、シャフト2頂部に設けた精鉱バーナ9から供給される乾燥した粉状の銅精鉱、コークス、フラックスその他の装入物は、炉頂ダクト10から吹き込まれる空気と酸素プラント産出の酸素とを混合して予熱した熱風と一緒にシャフト2内に導かれる。
【0017】
銅精鉱などは、シャフト2内の高温雰囲気温度で自然点火し、銅精鉱中の硫黄、鉄の酸化反応熱ならびにコークスの燃焼熱によって炉内を高温に保ち、銅精鉱などが瞬時に酸化溶融され、主組成がCu2S、FeS からなる溶融マットおよび主組成がFeO 、SiO2からなる溶融スラグを生成し、これらはセットラ3に落下して溜められる。
【0018】
このセットラ部の溶融スラグ6中には、精鉱バーナ9から供給されたコークスのかなりの量が未燃焼のまま滞留する。この滞留コークスを制御してやればマグネタイト(Fe3O4 )を還元し、スラグロスを低下させ、また、炉底へのマグネタイトの沈着(敷上がり)を防止するとともにスラグ層に分布して燃焼し、広範囲に溶融スラグ6およびその下にある溶融マット5を保温・加熱するというメリットが得られる。
【0019】
そこで、本発明では、操業温度、銅精鉱のS/Cu比、原料鉱石の装入量、目標マット品位などの操業条件を変更するに際し、セットラ内のマット上の溶融スラグ層に最適のコークス量を滞留させて還元度を保持するために、精鉱バーナ9からシャフト2内に装入する粉状コークス(粒度100 メッシュアンダーが70〜90%程度) と粒状コークス(粒度1mm以上が90%以上)のトータル量を、マットの銅品位、S%、Fe%、スラグの銅品位やスラグの珪酸量に対するFe量の比(Fe/SiO2)の設定値あるいは推定値を用いた物量バランス計算と、シャフトへの持ち込み酸素量と消費酸素量からの酸素バランス計算と、炉内反応熱やコークス燃焼熱および送風空気の顕熱などの入熱量と溶融マット・溶融スラグや排ガスなどの出熱量からの熱バランス計算とをベースとして変更する。
【0020】
そして、産出する溶融マットおよび/またはスラグの温度を測定し、この測定値に基づいて自溶炉操業温度を、銅精鉱のS/Cu比、原料鉱石の装入量、コークス量とその燃焼率、マット品位を主体とする操業条件に応じて定まる必要酸素量を維持するに足りる酸素分としてシャフト内に供給されている空気と酸素を包含する混合気体の窒素量を変更するか、または混合気体を予熱した熱風温度を変更して目標操業温度に調整するのである。これにより、セットラ3内の溶融スラグ6層の滞留コークス量は操業条件変更後も所定の量に維持されるとともに、操業温度も目標温度に調整できる。なお、セットラ3内の滞留コークスは、溶融スラグ6がスラグホール8に到達するまでには燃焼を完了している。
【0021】
操業温度を1350℃と設定した場合、シャフト2から落下してセットラ3に溜まった溶融マット5の温度および溶融スラグ6の温度はそれぞれ約1200℃、約1250℃であり、溶融マット5は複数のマットホール7から、また溶融スラグ6はスラグホール8から炉外に排出される。セットラ3内の排ガスの温度は1300℃程度であり、アップテイク4を経由してボイラ(図示せず)に導いて排ガスを冷却するとともに、ボイラで発生した蒸気を、タービン発電機に使用して発電を行う。
【0022】
自溶炉を操業するには、図2に示すように、調合された銅精鉱、フラックス、煙灰などの原料組成を分析して求め、これら原料を使用して生産するマットの目標品位、すなわち目標銅含有量(%)を定め、この値からマットのS%、Fe%、また同時に生成するスラグの銅品位を推定する。また、スラグの珪酸量に対するFe量の比(Fe/SiO2)を設定し、物量バランス計算によりマット量、スラグ量、フラックス量を計算する。また、マットおよびスラグの生成に必要なFeやS等との反応に要する酸素量を求めると同時に、鉱石との反応によって生じる排ガス量を算出する。
【0023】
一方、反応温度やマットとスラグの分離、これらの炉からの抜き出し時の粘性などから操業上最も望ましいと考えられる目標操業温度を設定する。セットラ内に滞留させるに足るコークス量より精鉱バーナから供給するコークス量を求め、原料鉱石の反応熱、コークス燃焼熱、送風空気その他の顕熱から定まる入熱量を計算により求める。また、溶融マットや溶融スラグの顕熱、輻射熱、放散熱(主に炉壁水冷ジャケットの冷却水による)、排ガスやダストの顕熱等の出熱を計算により求め、熱バランスを計算する。
【0024】
酸素バランスについては、装入物、送風空気および酸素プラント産出酸素が自溶炉内に持ち込む全酸素量と、コークス燃焼および鉱石燃焼による排ガス中に含まれる酸素分、溶融マット、溶融スラグのそれぞれに含まれる酸素分とを含めたシャフト部からの持ち去り全酸素量とを求めて計算する。すなわち、銅精鉱のS/Cu比、原料鉱石の装入量、コークス量とその燃焼率、マット品位、操業温度を主体とする操業条件に応じて炉内持ち込み酸素量と炉外持ち去り酸素量とを算出する。そして、熱バランスを考慮して必要酸素量を維持するに足りる酸素分として空気と酸素を包含する予熱された混合気体をシャフト内に供給する。
【0025】
なお、原料鉱石の装入量、調合銘柄、調合比率、空気と酸素との混合ガスの酸素濃度(酸素富化濃度)、産出マットの目標銅品位(%)、産出スラグの目標Fe/SiO2 比、目標操業温度などの操業条件に変更があった場合には、これに対応して前述したようにコークス燃焼率が変わるので供給コークス量、送風空気量なども変わる。
【0026】
例えば、自溶炉1を一定の操業条件下で操業中に、操業温度と目標操業温度に差異が生じた場合には、本発明では、表1に示すように、自溶炉の操業条件のうち、自由に動かせない固定条件と、動かせる変更条件の二つに分ける。そして二つの条件に従って、鉱石品位(S/Cu)、鉱石装入量、コークス量やマット品位などの操業ファクタに応じた必要酸素量を維持するに足りる酸素分としてシャフト内に供給されている空気と酸素プラント産出酸素を包含する混合気体の窒素量を変更するか、もしくは混合気体を予熱した熱風温度を変更する。これによって自溶炉の操業温度を目標温度に調整する。すなわち、操業温度を、セットラ内の溶融スラグ層に滞留するコークスを所定量に保持した状態で目標温度範囲に保持するのである。
【0027】
【表1】
Figure 0004038287
【0028】
自溶炉の操業ファクタは、下記の通りである。
(1) 銅精鉱などの鉱石組成(S/Cu)
(2) 銅生産量(鉱石装入量t/h )
(3) コークス量(t/h )およびシャフトでのその燃焼率(%)
(4) マット品位(%Cu )
(5) 操業温度(マット温度、スラグ温度、ガス温度)
(6) 送風必要酸素量(Nm3 /hr ):結果として全風量(空気量+酸素プラント産出酸素量)あるいは酸素富化濃度(%)
(7) 送風窒素量 (Nm3 /hr ):結果としては (6)送風必要酸素量の項と同じ (8) 送風熱風温度(℃)
また、本発明による制御パターンは次のようになり、アンダラインの部分がアクションを示す。
【0029】
(1) 熱不足のためマットの温度を上げたい:窒素量を減らす(あるいは熱風温度を上げる)。
(2) マット品位を上げるにあたって操業温度はそのままにしておきたい:酸素量を増やす。→発熱反応により温度が上がる(熱過剰)→窒素量を増やす(あるいは熱風温度を下げる)。
【0030】
(3) 銅精鉱の調合ロットが切替わりS/Cuが下がる(すなわち反応するS量が減る)場合、操業温度はそのまま維持したい: 酸素量を減らす。→温度が下がる(熱不足)→窒素量を減らす(あるいは熱風温度を上げる)。
上記のいずれのケースにおいても全風量は必然的に変化してしまう。
自溶炉操業中における操業条件の変更は、風鉱比、熱バランスがともに一定になるように行われる。ここに風鉱比とは、「鉱石が燃焼するために使用される空気量(Nm3/h )/鉱石装入量(t/h)」で表される操業上の指標で、鉱石1t当たりの燃焼用空気量を示している。「鉱石が燃焼するために使用される空気量」は、全風量からコークス燃焼に使用される空気量等、燃料に消費される空気量を差し引いて求められるものである。なお、ここに言う風鉱比における「空気量」とは、大気中の空気をそのまま使う空気量と、酸素プラント産出酸素量を空気量に換算した空気量とを合算したものである。
【0031】
【実施例】
(実施例1)
S/Cu=0.95一定で操業温度のみを変更する場合;
マットホールより抜出中のマット(銅品位63%)の温度を測定したところ目標値より低かったため(熱不足)、操業中に操業温度を1350℃から1360℃に変更するに際し、風鉱比=862Nm3/t、熱バランス= 100%を保つ操業条件での従来法と本発明法を銅精鉱(装入鉱石)のS/Cu=0.95の場合について以下説明する。
【0032】
なお、風鉱比における空気量は、酸素プラント産出酸素量を空気量に換算して求めてあるため、風鉱比=862 (Nm3/t) となる。また、マットの銅品位は、操業温度を変更する前後では変わらない。
表2に操業温度変更前の操業条件を、このときの熱バランスを表3に示した。
【0033】
【表2】
Figure 0004038287
【0034】
【表3】
Figure 0004038287
【0035】
〈従来法1〉
従来のコークス量で調節するケースを表4に示す。
【0036】
【表4】
Figure 0004038287
【0037】
シャフト頂部から精鉱バーナを用いて炉内に吹き込まれた粉状・粒状の全コークスのうち、シャフト内での燃焼率は30%程度のため、70%程度はセットラへ落下する。したがって、装入コークスの増量分371kg/h × 0.7= 260kg/hがセットラ内の溶融スラグ層に存在するコークス量の増加となってマットやスラグの還元効果を変化させ、操業を不安定にするばかりでなく、過熱によりスラグの湯面レベルの炉壁耐火物を損傷し、その寿命を縮める原因となった。
【0038】
〈本発明法1−1〉
熱風温度で調節するケースを表5に示す。
【0039】
【表5】
Figure 0004038287
【0040】
送風する空気と酸素プラント産出酸素を混合した熱風温度を 280℃から 340℃に変更して操業温度を調節した。この場合、酸素バランスを崩すことなく、また装入コークス量に変化はないので、セットラ部溶体の還元効果および保温・加熱効果に変化がなく、安定した操業を行うことができる。
〈本発明法1−2〉
窒素量(酸素富化濃度)で調節するケースを表6に示す。
【0041】
【表6】
Figure 0004038287
【0042】
供給される窒素量、すなわち供給される空気中の窒素量と酸素プラント産出酸素中の窒素量との合計窒素量を少なくすること、すなわち酸素富化濃度を上げることで操業温度を調節した。この場合も熱風温度での調節と同様に、酸素バランスを崩すことがない。しかも、変更可能な温度幅としては熱風温度で調節する場合よりも大きくできる特長がある。当然、コークス量は変化しないので、セットラ部溶体の還元効果および保温・加熱効果に変化がない。
【0043】
(実施例2)
調合が変わった(S/Cu=0.86)場合;
表2において調合が変わって装入鉱石のS/Cuが0.95から0.86に下がった場合、前述のように操業温度を1350℃に維持するためには熱不足となる。
一方、セットラ部溶体の還元度に変動がないようにするためのコークス供給量を計算したところ 2.4t/h となり、実施例1の場合に比べ、生成スラグ量が減っていることもあり、コークス供給量が 0.2t/h 少なくなっている。風鉱比は 862Nm3/t 一定とし、操業温度を1350℃に維持するために熱風温度を調合変更前の 280℃から 400℃に上昇させた。この後、マットホールよりマットを抜き出し、その温度を測ったところ、目標マット温度となっていたので操業温度の変更は行わずに操業を続けた。表7、8にこのときの操業条件、熱バランスを示した。
【0044】
【表7】
Figure 0004038287
【0045】
【表8】
Figure 0004038287
【0046】
その後、スラグホールより抜き出している溶融スラグの温度を測定したところ目標の1250℃より下がり始め、また、別のバッチの抜き出し中のマット温度を測定したところ、目標値の1200℃よりも低かったために操業温度の目標値を1350℃から1360℃に上昇させる。
(従来法2)
従来のコークス量で調節するケースを表9に示す。
【0047】
【表9】
Figure 0004038287
【0048】
コークスのシャフト部での燃焼率は28%程度である。
操業温度を上昇させるための装入コークスの増量分 354kg/h×0.72=255kg/h が、セットラ内の溶融スラグ層に存在するコークス量の増加となってマットやスラグの還元効果を変化させるので、安定操業の阻害や、過熱による炉壁耐火物の損傷の原因となった。
【0049】
〈本発明法2−1〉
熱風温度で調節するケースを表10に示す。
【0050】
【表10】
Figure 0004038287
【0051】
送風する空気と酸素プラント産出酸素を混合した気体の熱風温度を 400℃から 455℃に変更して操業温度を調節した。自溶炉での熱バランス、酸素バランスを崩すことがない。装入コークス量は変化しないのでセットラ部溶体の還元効果および保温・加熱効果に変化がなく、安定操業ができる。
〈本発明法2−2〉
窒素量(酸素富化濃度)で調節するケースを表11に示す。
【0052】
【表11】
Figure 0004038287
【0053】
供給される空気中の窒素量と酸素プラント産出酸素中の窒素量との合計窒素量を少なくして操業温度を調節した。自溶炉での熱バランス、酸素バランスを崩すことがない。また、コークス量は何ら変化させていないので、セットラ部溶体の還元効果および保温・加熱効果に変化がない。
上記の説明から明らかなように、本発明法では溶融スラグ層に過剰のコークスが滞留することがないので、溶融スラグ層の過熱に伴うセットラの湯面レベルでの煉瓦損傷が低減され、従来、約1年で殆ど無くなる程の煉瓦損傷が、本発明法の実施後は元の長さの20〜30%程度まで残るようになった。これは煉瓦の張り替えを行う炉修の間隔が延びることを意味している。
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、シャフト頂部から精鉱バーナを用いて銅精鉱、コークス、フラックスその他の装入物を空気および酸素プラント産出酸素と一緒に吹き込む銅製錬自溶炉の操業中に、産出する溶融マットおよび/またはスラグの温度を測定し、この測定値に基づいて自溶炉操業温度を、操業条件に応じて定まる必要酸素量を維持するに足りる酸素分としてシャフト内に供給されている空気と酸素プラント産出酸素を包含する混合気体の窒素量を変更するか、または予熱された混合気体の熱風温度を変更して目標操業温度に調整する。
【0055】
その結果、セットラ内の溶融スラグ中に残留するコークスによる還元度および加熱度を一定に保持しつつ操業温度を目標値に容易に保持あるいは変更することができ、スラグの還元度が安定化され、また炉壁耐火物の損傷を最小限に抑えることができ炉修の間隔を長くすることができるので、自溶炉の生産性向上が達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の自溶炉の操業系統を示す説明図である。
【図2】本発明の自溶炉の操業に伴う熱バランスの状況を示す説明図である。
【符号の説明】
1 自溶炉
2 シャフト
3 セットラ
4 アップテイク
5 溶融マット
6 溶融スラグ
7 マットホール
8 スラグホール
9 精鉱バーナ
10 炉頂ダクト

Claims (1)

  1. 自溶炉のシャフト頂部から精鉱バーナを用いて銅精鉱、コークス、フラックスその他の装入物を空気および酸素とともに吹き込む銅製錬自溶炉の操業方法において、産出する溶融マットおよび/またはスラグの温度を測定し、この測定値に基づいて自溶炉操業温度を、銅精鉱のS/Cu比、原料鉱石の装入量、コークス量とその燃焼率、マット品位を主体とする操業条件に応じて定まる必要酸素量を維持するに足りる酸素分としてシャフト内に供給されている空気と酸素を包含した混合気体の窒素量、または混合気体を予熱した熱風温度を変更して目標操業温度に調整することを特徴とする銅製錬自溶炉の操業方法。
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