JP4038027B2 - X線回折装置用超電導磁石装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、X線回折用超電導磁石装置に関するもので、特に、X線の減衰を最小限に抑える事の出来るX線回折装置用超電導磁石装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、超電導磁石装置は、強力な磁場を生成する事ができる事から種々の用途に適用する事が提案され、現に、NMRや他の物性測定装置に使用されている。
【0003】
係る従来の適用分野の内、X線回折装置に超電導磁石装置を適用した例としては、特開平7−58365号公報がある。この公報に記載の装置は、図5に記載している様に、基台2に真空断熱容器3を保持させ、該真空断熱容器3内に配置された輻射シールド4に囲繞された真空空間内に、上下一対の超電導磁石5a,5bと、これを保持する保持枠11と、ビスマス系金属等の高温超電導材料で形成した電流リード6と、蓄冷式冷凍機7の第1段冷却ステージ7a及び第2段冷却ステージ7bとが配置された構造となっている。前記輻射シールド4は、前記第1段冷却ステージ7aに熱的に接触して固定されると共に、その内部の超電導磁石5a,5b及び前記電流リード6への熱侵入を防止している。尚、前記電流リード6は、リード12及び外部接続端子13を介して、外部電源(図示せず)に接続されている。
【0004】
超電導磁石5a,5bは、上部磁石5aと下部磁石5bとからなり、夫々環状の巻枠9a,9bに超電導コイルが巻着されたもので、その外周は伝熱性の良好な銅製の保持枠11で保持されている。該保持枠11は、前記上下の超電導磁石5a,5bの外周面に配置される側部枠体11aと、上部磁石5aの上面に配置されて前記上部の超電導コイル巻枠9aと前記側部枠体11aとにボルト止めされる上部枠体11bと、下部磁石5bの下面に配置されて前記下部の超電導コイル巻枠9bと前記側部枠体11aとにボルト止めされる下部枠体11cとからなっている。又、上下超電導磁石5a,5bの間には、両磁石間に作用する電磁力(吸引力)を支えるための銅製の支持部材8が介装されている。
【0005】
又、前記真空断熱容器3には、その上下方向の中心軸線に沿って該真空断熱容器3の内壁を形成して大気に連通する内筒部3aが、前記超電導磁石5a,5bの中心を貫通する様に配置され、該内筒部3aの外面を囲繞する様に、前記輻射シールドの内筒部4aが形成された構造となっており、X線回折用の試料を、前記内筒3a内の超電導磁石5a,5bの間の中心に、外部から装入したり取り出したりできる様に構成されている。
【0006】
前記上下の超電導磁石5a,5bの間に配置される支持部材8は、前記図5のA−A断面図である図6に示されている様に、前記上下の超電導磁石5a,5bとの間の全領域に配置されるものではなく、中心部から角度αで扇形に広がる第1扇形空間S1と角度βで扇形に広がる第2扇形空間S2とが形成され、これら両扇形空間は、前記真空断熱容器3の外壁の一部を形成する側壁3b,3cによって該真空断熱容器3の外部に開放された空間となっており、これら第1扇形空間S1及び第2扇形空間S2は、夫々X線入射通路及びX線回折通路を形成している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
係る構造のX線回折装置用超電導磁石装置においては、試料10は外部から前記内筒部3a内の前記上下の超電導磁石5a,5bの中心位置に挿入配置され、X線発生装置(図示せず)から発せられたX線ビームは、大気空間であるX線入射通路S1を経て試料10に照射され、該試料10で回折された回折X線は、大気中のX線回折通路S2を経てX線受像装置(図示せず)にて受光する構成であり、X線は大気を通過する間に減衰する事は避けられない。従って、微妙な差異を問題とする様なX線回折の際には、必ずしも充分な装置とは言えなかった。
【0008】
又、内筒部3a内における試料10の配置位置の確認は、該内筒部3aの上部から目視観察する事によって行われるが、狭い筒内での垂直方向からの目視観察のみによる位置判断では、必ずしも常に適正な判断がなされるとは限らず、多分に操作員の勘に頼らざるを得ない問題があった。
【0009】
本発明は、係る問題点を解決するもので、X線の減衰を最小限に止める様になす事を第1の目的とし、更に、内筒部内における試料位置の正確な判断を行える様になす事を第2の目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために成されたものであって、
真空断熱容器内に、上下2段に超電導磁石を配置し、該上下二段の超電導磁石の間に、X線入射通路とX線回折通路とが形成されてなるX線回折装置用超電導磁石装置において、
前記真空断熱容器の中心線に沿って前記超電導磁石の中心部に向かって形成され該真空断熱容器の内側壁を形成すると共に、X線回折用試料を該真空断熱容器外から前記上下の超電導磁石の中心部に配置するための内筒部と、
該内筒部から前記真空断熱容器の周壁に向けて広がる前記X線入射通路及びX線回折通路としての一対の扇形空間と、
該扇形空間の外側面の夫々に、前記真空断熱容器に気密に固着され且つX線通過窓を有するカバー部材と、を設けると共に、
前記X線入射通路及びX線回折通路内は、真空空間、又は前記真空断熱容器内と気密に区画されて大気よりもX線透過減衰率の小さなガスが封入された空間となし、
前記カバー部材のX線通過窓は、大気よりもX線透過減衰率の小さな金属材料又は高分子材料で形成されている
ことを特徴とするものである。
【0011】
係る構成を採用する事により、X線は、大気中よりも減衰率が小さくなる様に形成された通路を通って入射及び回折する事になるので、得られた回折データは従来に比して分解能の高い精緻なものとなる。尚、本発明で使用する大気よりもX線透過減衰率の小さな材料としては、ベリリウム又はポリイミド樹脂が好ましい。
【0012】
更に、上記構成に加えて、前記上下2段の超電導磁石の間であって、前記X線入射通路及びX線回折通路とは独立して形成され且つ前記内筒部から前記真空断熱容器の周壁に向かって形成された一対の筒状の試料位置観測用X線透過通路を直線的に配置しておけば、該X線透過通路を通してX線によって試料の設置状態を観測する事が可能となり、これによって試料の適性配置が極めて容易となる。
【0013】
尚、この試料設置状態観測用のX線透過通路内も、前記X線入射通路や回折通路と同様に、真空にしたり大気よりもX線透過減衰率の小さなガスを封入したりする事も可能であるが、そこまでの精密さは要求されないので、大気開放型のX線通路となす事も可能である。
【0014】
【発明の実施の態様】
以下に本発明を実施例の図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明に係るX線回折装置用超電導磁石装置を示す要部断面図であり、図5の装置と同一構成は同一符号を付している。同図において、基台2に真空断熱容器3を保持させ、該真空断熱容器3内に配置された輻射シールド4に囲繞された真空空間内に、上下の超電導磁石5a,5bと、これを保持する保持枠11と、蓄冷式冷凍機7の第1段冷却ステージ7a及び第2段冷却ステージ7bとが配置された構造となっており、又、前記輻射シールド4は、前記第1段冷却ステージ7aに、銅板或いは銅ワイヤ等の熱伝導性の高い材料14によって熱的に接触して固定されると共に、その内部の超電導磁石5等への外部からの輻射熱の侵入を防止する様になっている。又、超電導磁石5は、上下一対の超電導磁石5a,5bからなり、夫々環状の巻枠9a,9bに超電導コイルが巻着されたもので、その外周は伝熱性の良好な銅製の保持枠11で保持されており、該保持枠11の構成は実質的に図5の場合と同一であるので詳細説明は省略する。又、上下の超電導磁石の間には、両磁石間に作用する電磁力(吸引力)を支えるための銅製の支持部材8が介装されている点も、前記図5のものと基本的に同一である。尚、本発明の装置においては、前記円筒部3aの上部に蓋部材22がボルト23によって該円筒部3aに対して着脱自在に配置され、更に、円筒部3a内を脱気するための真空ポンプに接続可能なノズル24が取り付けられている。
【0015】
次に、図2は、上下の超電導磁石間における断面である図1のQ−Q断面図であり、図3は、図2のR−R矢視図である。両図に示されている様に、この断面部分の構成は、前記図5,6に示した従来のものとは全く異なっている。即ち、本発明に係る装置においては、上下の超電導磁石間における前記真空断熱容器3の構造は、円筒状の外周壁3bと、中心部の内筒部3aと、所定の内角αの第1扇形空間S1を形成する半径方向の一対の側壁3c及び該第1扇形空間S1の上下一対の底壁3eと、同様に所定の内角βの第2扇形空間S2を形成する半径方向の一対の側壁3d及び該第2扇形空間の上下一対の底壁3fと、前記内筒部3aの両側で且つ上記第1及び第2扇形空間S1,S2とは独立して直線配置された一対の筒状空間(第1筒状空間T1及び第2筒状空間T2)を形成するための円筒壁3g,3g’とからなっている。又、上記第1,第2扇形空間S1,S2の上下の底壁3e,3fは、共に内側から外側に向けて上下方向の幅が広がる様に、ラッパ状に形成されている。
【0016】
更に、前記第1,第2扇形空間S1,S2の外周面には、夫々カバー部材15が、前記真空断熱容器3の外面適所に配置されたブラケット16にボルト17によって固着され、これにより内部空間である前記両扇形空間S1,S2は、夫々外気に対して気密構造となっている。又、前記カバー部材15は、図2のS−S矢視図である図4に示されている様に、中央部にX線透過窓となる開口15bを有するステンレス鋼材等で形成した支持板15aの周囲をボルト17によって前記ブラケット16に固着される構造となっており、更に、前記中央部の開口15bを含む全面を、X線透過減衰率が大気よりも小さな材料で形成した薄板18で被覆されており、これによって前記開口15bは気密に密閉されている。
【0017】
尚、本発明で使用する係るX線透過減衰率が大気よりも小さな材料とは、ベリリウム又はポリイミド樹脂が代表的な材料である。この材料の使用形態は、図示の如く前記開口15bを含む前記支持板15aの全面を覆う様に接着する他、これらの材料で形成した板材を前記開口15bに気密に装着する方式も採用できる事は言うまでもない。
【0018】
又、前記円筒部3aの前記第1,第2扇形空間S1,S2との境界部21には開口が形成されている。同様に、該円筒部3aの前記試料の設置位置観測のためのX線通路となる前記両筒状空間T1,T2との境界部20にも開口が形成されており、該筒状空間T1,T2の外側面には、窓部材19が外気に対して気密に装着されている。これにより、円筒部3a内と前記第1,第2扇形空間S1,S2及び前記筒状空間T1,T2とは、互いに連通された構造となっている。
【0019】
次に、本発明の装置により、試料のX線回折分析を行う操作について説明すると、前記内筒部3aの頂部の前記蓋部材22を外し、頂部開口から試料10を挿入して前記両扇形空間S1,S2と同一平面に設置する。
【0020】
次に、前記蓋部材22を円筒部3aの上部開口に取り付けて密封し、続いて、該蓋部材22に配置されている脱気ノズル24を真空ポンプ(図示せず)に接続して該円筒部3a内を脱気する。すると、該円筒部3に連通している前記筒状空間T1,T2及び扇形空間S1,S2も同様に真空に脱気される。
【0021】
この状態で、先ず、前記第1筒状空間T1の外側に配置されたX線照射装置又は中性子照射装置(図示せず)からX線或いは中性子線を前記試料10に向けて照射し、他方の第2筒状空間T2の端部にX線或いは中性子線受像装置を配置して、試料のX線映像を観察する事により、試料が適性な位置に配置されているか否かを観察する。適性位置になければ、内筒部3aの上部蓋部材22を外して再度試料位置や向きを調整して適性位置に配置する。
【0022】
この様にして、試料10の適性配置が確認されると、X線照射通路となる前記第1扇形空間S1の前記カバー部材15のX線透過窓となる前記開口15bの外側にX線照射装置(図示せず)を配置し、X線回折通路となる第2扇形空間S2の前記カバー部材15の前記開口15bの外側にX線受像装置(図示せず)を配置し、所定のX線回折操作を行う事になる。
【0023】
この様に、X線の照射通路S1と回折通路S2とが、大気よりX線透過減衰率の低い真空状態に維持されているので、両扇形空間S1,S2を通過する間のX線の減衰は最小限に抑えられ、更に、X線が、照射通路S1に照射される際及び受像される際に通過するカバー部材15のX線透過窓15bも、大気よりX線透過減衰率の低い材料で形成されているので、この部分でのX線の減衰も抑えられる。従って、従来の如く、X線通路が大気に開放されている場合に比してX線の全減衰率を最小限に抑える事が可能となり、回折画像として一層鮮明な画像を得る事が可能となる。
【0024】
ここで、本実施例では、上記第1,第2扇形空間S1,S2内も、大気よりもX線透過減衰率の低い真空状態に保持すると共に、該扇形空間S1,S2の外側のカバー部材15のX線通過窓の部分にも、大気よりX線透過減衰率の小さなベリリウムやポリイミド樹脂を配置している点に特徴を有しているが、本発明は、これに限定されるものではなく、以下の如き種々の変形例が存在する。
【0025】
先ず、上記扇形空間S1,S2及び円筒部3a内を真空に形成する代わりに、該空間内に、大気よりもX線透過減衰率の小さなガス、例えばヘリウムガスを封入しておく方式もある。この場合には、前記蓋部材22に形成されたノズル24から該空間内を真空引きした後にヘリウムガスを供給する事になる。この方式の場合には、前記扇形空間を真空状態にした際の前記カバー部材15の開口部15bに作用する真空応力の作用時間を短くする事ができ、該開口部15bに装着したベリリウムやポリイミド樹脂の損傷を抑制する効果がある。
【0026】
又、上記方式は、いずれも、試料10の出し入れの際に、前記扇形空間S1,S2や筒状空間T1,T2も真空にしたり、ヘリウムを供給したりせねばならないが、試料の出し入れに必要なのは、円筒部3aのみであるので、該円筒部3aと両扇形空間S1,S2との境界部21及び前記筒状空間T1,T2との境界部20に、前述の大気よりもX線透過減衰率の低いベリリウムやポリイミド樹脂を気密に配置して両扇形空間S1,S2及び筒状空間T1,T2と円筒部3aとを気密構造となし、該扇形空間S1,S2及び筒状空間T1,T2内を、真空状態或いはヘリウムガス封入状態に常時保持できる様にする事も可能である。この様になせば、試料の出し入れの際には、円筒部3aに対してのみ、大気に開放したり、脱気操作やヘリウムガスの封入操作を行えばよいので、これらの操作時間が短縮化される効果がある。
【0027】
尚、前記試料の設置位置観測のためのX線通路となる前記両筒状空間T1,T2は、試料の位置確認のためのX線通路であるので、その減衰率については、さほど考慮する必要がないから、大気に開放させていても問題はない。従って、前記円筒部3aの該筒状空間T1,T2との境界部20には、前述のベリリウムやポリイミド樹脂で形成したX線透過窓を気密に装着し、その外側端部は、大気に開放した構造となす事も可能である。
【0028】
更に、前記内筒部3aの内部は、試料の出し入れのために大気に連通される事は避けられないが、該内筒部3a内の空気層は前記両扇形空間S1,S2に比して極めて短いので、大気開放のままでもX線の透過減衰量は無視し得る。従ってX線の通過部分である前記第1,第2扇形空間S1,S2との境界部21を前述の如くベリリウムやポリイミド樹脂で気密に形成しておき、両扇形空間S1,S2は、前述の通り真空あるいはヘリウムガス封入状態を常時維持できる様になす事も可能である。特に、両扇形空間S1,S2或いは前記筒状空間T1,T2を常時真空に保持する方式の場合には、これらの空間を真空断熱容器3内と連通させておく事も可能である。
【0029】
【発明の効果】
以上詳述した如く、本発明によれば、X線の通路となるX線照射通路或いはX線回折通路となる両扇形空間S1,S2内を、真空或いは大気よりもX線透過減衰率の小さなガスを充填させており、更に、これらX線通路となる扇形空間と外部とを画成するカバー部材のX線通路となる開口部15bにも大気よりもX線透過減衰率の小さなベリリウムやポリイミド樹脂を配置しているので、X線が照射され回折されて受像される間のX線通路の殆どは大気よりもX線透過減衰率の小さな状態となり、従来の大気中をX線通路とする方式に比して大幅にX線の減衰が抑制される結果、一層精緻な回折データを得る事が可能となり、我が国の科学技術の進展に大きく寄与する事が期待される。
【0030】
更に、前記X線照射通路及びX線回折通路となる両扇形空間S1,S2とは独立して試料位置観察用の直線状のX線透過通路T1,T2を形成しておけば、該通路T1,T2からX線或いは中性子線を照射して試料の位置確認を行う事が可能となるので、最適なX線回折画像の撮影が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るX線回折用超電導磁石装置の一例を示す要部概略断面図である。
【図2】図1のQ−Q断面図である。
【図3】図2のS−S矢視図である。
【図4】図2のR−R矢視図である。
【図5】従来のX線回折用超電導磁石装置の例を示す要部概念図である。
【図6】図5のA−A断面図である。
【符号の説明】
3 真空断熱容器
3a 内筒部
4 輻射シールド
5 超電導磁石
7 蓄冷式冷却機
8 支持部材
9 巻枠
10 試料
11 保持枠
15 カバー部材
15b カバー部材の開口(X線透過窓)
19 筒状空間の窓部材
20 内筒部の筒状空間との境界部
21 内筒部の扇形空間との境界部
S1 第1扇形空間(X線照射通路)
S2 第2扇形空間(X線回折通路)
T1 第1筒状空間(試料位置観察用X線透過通路)
T2 第2筒状空間(試料位置観察用X線透過通路)
Claims (10)
- 真空断熱容器(3)内に、上下2段に超電導磁石(5a,5b)を配置し、該上下二段の超電導磁石の間に、X線入射通路(S1)とX線回折通路(S2)とが形成されてなるX線回折装置用超電導磁石装置において、
前記真空断熱容器(3)の中心線に沿って前記超電導磁石の中心部に向かって形成され該真空断熱容器(3)の内側壁を形成すると共に、X線回折用試料(10)を該真空断熱容器(3)外から前記上下の超電導磁石の中心部に配置するための内筒部(3a)と、
該内筒部(3a)から前記真空断熱容器(3)の周壁(3b)に向けて広がる前記X線入射通路(S1)及び前記X線回折通路(S2)としての一対の扇形空間と、該扇形空間の外側面の夫々に、前記真空断熱容器(3)に気密に固着され且つX線通過窓(15b)を有するカバー部材(15)と、を設けると共に、
前記X線入射通路(S1)及び前記X線回折通路(S2)内は、真空空間、又は前記真空断熱容器(3)内と気密に区画されて大気よりもX線透過減衰率の小さなガスが封入された空間となし、
前記カバー部材(15)のX線通過窓(15b)は、大気よりもX線透過減衰率の小さな金属材料又は高分子材料で形成されており、
前記上下2段の超電導磁石(5a,5b)の間であって、前記X線入射通路(S1)及びX線回折通路(S2)とは独立して形成され且つ前記内筒部(3a)から前記真空断熱容器(3)の周壁(3b)に向かって形成された一対の筒状の試料位置観測用X線透過通路(T1,T2)を直線的に配置してなることを特徴とするX線回折装置用超電導磁石装置。 - 前記X線通過窓(15b)が、ベリリウム又はポリイミド樹脂で形成されている事を特徴とする請求項1に記載のX線回折装置用超電導磁石装置。
- 前記X線入射通路(S1)及び前記X線回折通路(S2)は、前記真空断熱容器(3)内とは気密に画成された真空空間である事を特徴とする請求項1又は2に記載のX線回折装置用超電導磁石装置。
- 前記X線入射通路(S1)及び前記X線回折通路(S2)内にはヘリウムガスが封入されている事を特徴とする請求項1又は2に記載のX線回折装置用超電導磁石装置。
- 前記内筒部(3a)の前記X線入射通路(S1)及び前記X線回折通路(S2)に面する部分にX線透過窓を設け、該X線透過窓に前記大気よりもX線透過減衰率の小さな金属材料又は高分子材料で形成された窓部材(21)を配置した事を特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のX線回折装置用超電導磁石装置。
- 前記X線入射通路(S1)及び前記X線回折通路(S2)は、内側から外側に向けてその高さ方向の幅が広がる様に形成されている事を特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のX線回折装置用超電導磁石装置。
- 前記X線透過通路(T1,T2)の外側面には、該通路を外気に対して気密に装着された窓部材(19)を有し、該X線透過通路(T1,T2)内は、真空空間、又は前記真空断熱容器(3)内とは気密に区画されて大気よりもX線透過減衰率の小さなガスが封入された空間とされ、更に、前記窓部材(19)は、大気よりもX線透過減衰率の小さな金属材料又は高分子材料で形成されている事を特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のX線回折装置用超電導磁石装置。
- 前記窓部材(19)が、ベリリウム又はポリイミド樹脂で形成されている事を特徴とする請求項7に記載のX線回折装置用超電導磁石装置。
- 前記X線透過通路(T1,T2)は、大気に連通されている事を特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のX線回折装置用超電導磁石装置。
- 前記内筒部(3a)の前記X線透過通路(T1,T2)に面する部分にX線透過窓を設け、該X線透過窓に前記大気よりもX線透過減衰率の小さな金属材料又は高分子材料で形成された窓部材(20)を配置した事を特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のX線回折装置用超電導磁石装置。
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