JP4034893B2 - 優れた洗浄力を有する洗浄剤の選別方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、非イオン界面活性剤からなる洗浄剤の選別方法である。
【0002】
【従来の技術】
非イオン系の洗浄剤、特にアルコールやフェノールにエチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加したようなエーテル型の非イオン系洗浄剤は、洗浄力が大きい、低濃度でも洗浄力が大きい、泡立ちが少ない、液状である、水の硬度により洗浄力が変化しない、耐アルカリ性が良い等の多くの優れた特徴を持っている。このような特徴のため、エーテル型の非イオン系洗浄剤は、洗濯用や食器用等の家庭用洗浄剤、シャンプー等の化粧品、金属洗浄等の工業用洗浄剤等として広範に使用されている洗浄剤である。
【0003】
エーテル型の非イオン系洗浄剤は、通常はアルコールやフェノールにエチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加させて製造される。ここで、原料として使用されるアルコールやフェノールは、当然洗浄剤の用途によって適宜選択される。広く使用されるアルコールとしては、ヤシ油由来アルコール、牛脂由来アルコール、大豆油由来アルコール、パーム油由来アルコール等の天然由来アルコールや、チーグラーアルコール、オキソアルコール、ソフタノールと称されるセカンダリーアルコール等の合成アルコールが使用されている。
一方、エーテル鎖を構成する部分は、エチレンオキサイドの付加重合により形成される場合が多いが、稀にプロピレンオキサイド等も使用される場合がある。2種類以上のアルキレンオキサイドを重合する場合は、一方のアルキレンオキサイドをアルコールに付加した後に再度他方のアルキレンオキサイドを重合するブロック重合と、2種以上のアルキレンオキサイドを混合して一度に付加するランダム重合とがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者等は、2種以上のアルキレンオキサイドを使用したエーテル系非イオン界面活性剤を種々検討した結果、アルコールにエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを一定の比率で、且つ、構造末端の水酸基の1級/2級の比が特定の数値になるような構造の非イオン界面活性剤が、優れた洗浄力を発揮することを知見し本発明を完成させた。
【0005】
【課題を解決するための手段】
即ち本発明は、下記の一般式(1)
R−O−(AO)n−H (1)
(式中、Rは鎖状の炭化水素基を表わし、(AO)nはエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドのランダム状共重合によって構成されたポリオキシアルキレン基を表わし、nは2以上の数を表わす。但し、(AO)n中に占めるオキシプロピレン基の割合は20〜50重量%である。)で表わされ洗浄剤の中から優れた洗浄力を発揮するものを選別する方法であって、、構造末端に位置する水酸基のうち、1級水酸基と2級水酸基の数の比が、下記の式(2)
0.15 ≦ 1級/2級 ≦ 1.00 (2)
で表わされる範囲である洗浄剤を選別する方法である。
【0006】
【発明の実施の形態】
一般式(1)において、Rは鎖状の炭化水素基を表わす。鎖状の炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基等が挙げられる。
【0007】
アルキル基としては例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、2級ブチル、ターシャリブチル、ペンチル、イソペンチル、2級ペンチル、ネオペンチル、ターシャリペンチル、ヘキシル、2級ヘキシル、ヘプチル、2級ヘプチル、オクチル、2―エチルヘキシル、2級オクチル、ノニル、2級ノニル、デシル、2級デシル、ウンデシル、2級ウンデシル、ドデシル、2級ドデシル、トリデシル、イソトリデシル、2級トリデシル、テトラデシル、2級テトラデシル、ヘキサデシル、2級ヘキサデシル、ステアリル、イコシル、ドコシル、テトラコシル、トリアコンチル、2―ブチルオクチル、2―ブチルデシル、2―ヘキシルオクチル、2―ヘキシルデシル、2―オクチルデシル、2―ヘキシルドデシル、2―オクチルドデシル、2―デシルテトラデシル、2―ドデシルヘキサデシル、2―ヘキサデシルオクタデシル、2―テトラデシルオクタデシル、モノメチル分枝―イソステアリル等が挙げられる。
【0008】
アルケニル基としては例えば、ビニル、アリル、プロペニル、ブテニル、イソブテニル、ペンテニル、イソペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、テトラデセニル、オレイル等が挙げられる。
これらの中でも、炭素数6〜22の鎖状炭化水素基であることが好ましい。炭素数が6〜11である場合は泡切れ性が良く、炭素数が12〜22である場合は洗浄力に優れたものとなる。
【0009】
一般式(1)において、(AO)nは、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドのランダム状共重合によって構成されたポリオキシアルキレン基である。又、上記エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドの総和に対するプロピレンオキサイドの量は20〜50重量%である。プロピレンオキサイドの量が20重量%未満である場合、又は50重量%を超える場合は、洗浄力が低下するため好ましくない。
nはエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドの重合度を表わす。nは2以上の数を表わし、好ましくは2〜50、より好ましくは5〜30である。
【0010】
本発明により選別される洗浄剤は、上記条件を満たす一般式(1)で表わされるものであって、Rの反対側の構造末端の水酸基のうち、1級水酸基と2級水酸基の数の比が、下記の式(2)
0.15 ≦ 1級/2級 ≦ 1.00 (2)
で表わされる範囲である。上記値が0.15未満である場合、又は1.00を超える場合は洗浄力が低下するため好ましくない。尚、一般式(1)の構造末端に位置する水酸基の1級/2級比は、1H−NMRにより測定することができる。
【0011】
本発明により選別される洗浄剤は、他の成分と併用することができる。他の成分としては例えば、アルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、アルキルポリグリコシド、アルカノールアミド等の非イオン性界面活性剤;アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルサルフェート、アルキルエーテルサルフェート、α−オレフィンスルホネート、アシル化イセチオネート、アシル化アミノ酸、アシル化ポリペプチド、脂肪酸石鹸、アルキルエーテルカルボキシレート等のアニオン性界面活性剤;ステアリルトリメチルアンモニウム、セチルトリメチルアンモニウム、ポリジメチルジアリルアンモニウム等のカチオン性界面活性剤;アルキルカルボベタイン、アミドプロピルカルボベタイン、イミダゾリニウムベタイン等の両性界面活性剤;アルキルアミンオキサイド等の半極性界面活性剤;エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリアルキレングリコールアルキルエーテル、エタノール、パラトルエンスルホン酸等のハイドロトロープ剤;エチレンジアミン4酢酸塩(EDTA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸(HEDTA)、ニトリロトリ酢酸(NTA)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)、アスパラギン酸−N,N−ジ酢酸、N−ヒドロキシエチルイミノジ酢酸又はこれらの塩等のアミノカルボン酸類、クエン酸、グルコン酸、グリコール酸、酒石酸又はこれらの塩等のオキシカルボン酸類等の金属イオン封鎖剤;硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム(芒硝)、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム等のアルカリビルダー;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ;モノエタノールアミン、N−メチルモノエタノールアミン、N−エチルモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、アミノエチルエタノールアミン等のアルカノールアミン;ポリアクリル酸ナトリウム、アクリル酸ナトリウム−オレフィン共重合体等の分散剤;防腐剤、増粘剤、酵素、抗菌剤、保湿剤、香料、色素等を含有することができる。
【0012】
本発明で選別される洗浄剤の洗浄対象は特に限定されない。例えば、衣服等を洗浄する衣料用洗浄剤;頭髪、皮膚、爪、目等を洗浄する頭髪用又は身体用洗浄剤;食器、調理器具、野菜等を洗浄する台所用洗浄剤;壁、床、畳、家具、天井、屋根等を洗浄する住居用洗浄剤;トイレ、浴槽、浴室、換気扇、レンジ周り、流し台周り、パイプ周り等を洗浄する硬質表面洗浄剤;自動食器洗浄機用洗浄剤;繊維用洗浄剤;自動車、航空機、車両、機械部品等の工業製品を洗浄する工業用洗浄剤等として使用することができる。使用量は特に限定されず、洗浄用途によって様々であるが、通常は洗浄剤組成物全量に対して0.01〜20重量%程度である。
【0013】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。尚、以下の実施例中、部及び%は特に記載が無い限り重量基準である。
尚、以下の試験においては、表1に示す本発明品及び比較品の各洗浄剤を使用した。
【0014】
【表1】
【0015】
(1)洗浄力試験1:リーナッツ試験
本発明品及び比較品の洗浄剤及びその他の成分を下記の割合で配合して、洗浄剤組成物を調製した。
【0016】
<配合>
本発明品及び比較品 8%
ヤシ油アルコールEO(3)硫酸エステルナトリウム塩 18%
塩化ポリオキシプロピレン(25)メチルジエチルアンモニウム 3%
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 11%
ヤシアルキルジメチルアミンオキサイド 2%
その他(p−トルエンスルホン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、
エタノール、プロピレングリコール) 17%
水 残部
【0017】
試験方法は、JIS―K―3370のリーナッツ洗浄力試験法に則った。即ち、牛脂10g、大豆油10g、クロロホルム60ml及びオイルレッド0.1gの混合液中にスライドガラスを浸し汚染したスライドガラス1組(=6枚)単位毎に、本発明品及び比較品の洗浄剤組成物を用いてリーナッツ洗浄力試験機による洗浄を行った。洗浄後のスライドガラス1組につきクロロホルム100mLにて残存汚垢を抽出し、その抽出成分の重量を測定し、次式にて洗浄力を算出した。
【0018】
【数1】
【0019】
(2)洗浄力試験2:洗浄ブラシ試験
マーガリン100部、小麦粉104部及びオレイン酸4部の混合物を磁製皿に3g塗布し、温度22℃、湿度50%の恒温槽に一晩静置したものについて以下の要領で洗浄力試験を行った。尚、試験に用いた水はカルシウム濃度50ppmの人工硬水であった。
25℃の水1リットルに対して、前記リーナッツ試験と同一配合の洗浄剤組成物0.75mLの割合で希釈し洗浄剤液とした。直径30cmのプラスチック性洗い桶に1リットルの前記洗浄剤液を入れ、その液面から75cmの高さから、500mLの分液ろうとに入れた500mLの前記洗浄剤液をプラスチック桶の中心へ落下させ泡立てた。この洗浄剤液の中で、直径4.5cmの洗浄ブラシにて上記汚染皿を10回こすり洗いし流水にて10秒すすいだ後乾燥させた。乾燥後の皿について、目視及び手指の触感にて油の残留度を評価した。試験結果は、乾燥後油の残留感が無かった皿の枚数を示した。
【0020】
(3)洗浄力試験3:木綿布洗浄力試験
白色太綿ブロード布に人工皮脂汚垢(ミリスチン酸8.4%、オレイン酸8.4%、トリステアリン8.4%、トリオレイン8.4%、コレステロール4.4%、コレステロールステアレート1.0%、パラフィン5.5%、スクワレン5.5%、綿成粘土49.5%及びカーボンブラック0.5%の混合物)をスポンジでこすりつけて、表面反射率を25±2%に調整した人工皮脂で汚染した木綿布を用意した。
本発明品及び比較品を水道水(硬度:炭酸カルシウム換算48ppm)に溶解して0.05%水溶液とし、洗浄剤水溶液を調製した。ターゴットメーターを使用して、上記の洗浄剤水溶液800mLで、5cm角に切った上記人工皮脂木綿布5枚を同時に洗浄した。洗浄温度は25℃、洗浄時間は10分間であり、その後に水道水800mLで3分間のすすぎを2回繰り返した。その後、以下の式により洗浄率を算定した。
【0021】
【数2】
【0022】
R0:洗浄布の反射率(%)
Rs:汚染布の洗浄前の反射率(%)
Rw:汚染布の洗浄後の反射率(%)
以上の試験を同一の洗浄剤で4回行い、その平均値で評価した。
【0023】
(4)洗浄力試験4:金属洗浄試験
縦10cm、横10cm、厚さ2mmのステンレス板のテストピースに、マシン油を100mg付着させて汚染テストピースとした。これに、本発明品又は比較品と、メタケイ酸ナトリウムを1:9の重量比で配合し、この配合物の濃度が0.2%の洗浄剤水溶液を調製した。この洗浄剤水溶液に、テストピースを25℃で、3分間浸漬させて、その後105℃で2時間乾燥させ、このテストピースのマシン油の脱脂率を下式により測定した。
【0024】
【数3】
【0025】
表1に示した本発明品1〜10及び比較品1〜3を用いて行ったリーナッツ試験(試験1)、洗浄ブラシ試験(試験2)、木綿布洗浄力試験(試験3)及び金属洗浄試験(試験4)の結果を表2に示す。
【0026】
【表2】
【0027】
表2に示す結果から、本発明で選別される洗浄剤は種々の洗浄力評価において優れた洗浄力を発揮することがわかる。
【発明の効果】
本発明の効果は、優れた洗浄力を発揮する洗浄剤の選別方法を提供したことにある。
Claims (1)
- 下記の一般式(1)
R−O−(AO)n−H (1)
(式中、Rは鎖状の炭化水素基を表わし、(AO)nはエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドのランダム状共重合によって構成されたポリオキシアルキレン基を表わし、nは2以上の数を表わす。但し、(AO)n中に占めるオキシプロピレン基の割合は20〜50重量%である。)で表わされる洗浄剤の中から優れた洗浄力を発揮するものを選別する方法であって、構造末端に位置する水酸基のうち、1級水酸基と2級水酸基の数の比が、下記の式(2)
0.15 ≦ 1級/2級 ≦ 1.00 (2)
で表わされる範囲である洗浄剤を選別する方法。
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