JP4034435B2 - ブラシ用植毛機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、歯ブラシ、ヘアブラシあるいは衣服用ブラシなどのブラシ製品のブラシヘッド部に毛束を植毛するブラシ用植毛機に関し、特に、用毛の汚れの原因となりやすい潤滑油の使用を不要としたブラシ用植毛機に関する。
【0002】
【従来の技術】
図3および図4に、従来例を示す。図3は従来の歯ブラシ用植毛機における植毛機構部の要部構造を示す斜視図、図4はその分解図であって、植毛機構部1は、ブラシ保持用治具2によって定位置に搬入固定された歯ブラシのブラシヘッド部3に向かって高速で往復動する移動部4と、該移動部4を摺動自在に取り囲んで支承するハウジング部4とから構成されている。
【0003】
移動部4は、先端が槍状をした細長いシャトル部41と、この往復動するシャトル部41上でさらに往復動するように配設された往復動バー42と、この往復動バー42にその基端部を連結されて一緒に往復動する植毛針43とを備えている。シャトル部41は、図示を略した駆動装置によって毎分700〜800回程度の高速で往復動され、さらに、往復動バー42と植毛針43は図示を略した往復動機構によって往復動され、植毛針4の先端部で毛束9をブラシヘッド部3の植毛穴6に植毛するものである。
【0004】
なお、前記シャトル部41は、複数個の部材41a〜41d(図2)から構成されており、シャトル部41上に形成した針溝41e内に前記往復動バー42と植毛針43を摺動自在に差し込んだ後、部材41a〜41dをネジ41fによって一体に組み付けている。
【0005】
一方、ハウジング部5は、複数個(図示例では3個)のブロック片51,52,53(図2)から構成されており、このブロック片51〜53によって前記移動部4を摺動自在に取り囲んだ後、ネジ54,55によって一体に組み付けている。このハウジング部5は、高速で往復動する前記移動部4を摺動自在に案内するもので、図示を略した植毛機本体の基台部に固設されており、植毛機構部1全体を定位置に固定している。
【0006】
上記構造になる植毛機構部1の植毛動作を、図5を参照して説明する。
なお、この図5は上記植毛機構部1とその周辺部の要部だけを示すものであって、動作を分かり易くするために、植毛機構部1については、ハウジング部5を省略して移動部4の要部のみを図示した。
【0007】
まず、用毛掻き取り用のピッカー7を回動し、用毛束8から1穴分の用毛を掻き取って植毛用の毛束9とする。そして、この掻き取った複数本の用毛からなる毛束9を、移動部4の針溝41eの位置まで回動して該位置にセットする。さらに、これと同時に、図示しない平線送り器によって、毛束打ち込み用の平線(金属片)を巻いた平線束10から、平線11を一定寸法づつ間欠送りし、移動部4の側面に設けた平線カッター12によって、移動部4内に入り込んだ分の平線11aを剪断する。
【0008】
次いで、移動部4の往復動バー42が前進され、往復動バー42に連結された植毛針43が前記定寸に切り取られた平線11aを前方側に向かって押し出していく。そして、植毛針43はさらに前進し、針溝41e上で待機している毛束9を平線11aとともに押す。これによって、毛束9は平線11aとともに二つ折りになって針溝41e内に押し込められる。
【0009】
この状態で、シャトル部41が前進し、シャトル部41の先端がブラシヘッド部3に最も近づいた時に、シャトル部41の先端から植毛針43が所定距離だけ打ち出され、平線11aによって二つ折りになった毛束9が平線とともにブラシヘッド部3の植毛穴6に打ち込まれ、植毛が行なわれる。
【0010】
上記毛束9の植毛後、シャトル部43と植毛針43はともに元の位置まで後退され、再び上記動作を繰り返す。このようにして、歯ブラシのブラシヘッド部3のすべての植毛穴6に毛束9が植毛されるものである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、一般に往復運動や回転運動を伴う機械的構造部材は、磨耗や磨滅現象によって、寸法精度が低下したり、生産性が損なわれるなどの問題が発生する。このため、往復運動や回転運動によって損耗を受ける摺動部分には、次のような耐磨耗対策が施されているのが普通である。
【0012】
(1)硬く、耐磨耗性に優れた材質によって構造部材を作る。
(2)鋼鉄製部材に替えて一段と硬いセラミックス材料を使用する。
(3)鋼鉄製部材を浸炭、窒化、焼き入れなどの処理によって硬質化させる。
(4)硬質クロムメッキ、硬質の無電解NiPメッキを施す。
(5)物理的蒸発法(PVD)や化学的蒸着法(CVD)によって、鋼鉄製部材の表面にTiN、TiC、TiCNなどの硬質セラミック皮膜を施す。
(6)溶射法によって硬質の金属、セラミックス、サーメットなどの皮膜を形成させる。
【0013】
上記のように、従来の耐磨耗対策は、接触部を硬質化して摺動や回転運動による摩擦現象を抑制しようとするものであった。しかし、よく知られているように、磨耗現象を防止するには、ただ単に接触面を硬質化しただけでは十分な成果を得られず、また、接触する相手材質によっても大きな影響を受ける。このため、磨耗対策の選択はもっぱら実験的、経験的に行なわれているのが現状であり、その機構や理論的根拠は未だに確立されていない。
【0014】
前述したように、本発明が対象とするブラシ用植毛機の場合、植毛機構部の移動部を1分間に700〜800回という高速で往復動させながら、細い合成樹脂製の用毛(フィラメント)を束ねた毛束を平線と呼ばれる金属片によって二つ折りにしてブラシヘッド部の植毛穴に打ち込んで植毛している。このため、高速で往復動を繰り返す移動部はハウジング部との間で摩擦を繰り返しており、常に発熱に伴う磨耗や損傷を受けるという特徴がある。しかし、その耐磨耗対策として、前述した(1)〜(6)の方法をそのまま適用しても、十分な成果を挙げていないのが現状である。
【0015】
そこで、本発明は、ブラシ用植毛機が抱えている次のような問題を解決することを目的としてなされたものである。
(1)用毛の汚れの原因となりやすい潤滑油の使用を不要とする。
(2)1分間に700〜800回という高速で往復動する植毛機構部は、移動部とハウジング部との接触部が短時間のうちに発熱し、次いで焼き付き現象を引き起こし、正常な運転を長時間にわたって続けられなくなる。
(3)この種のブラシ用植毛機、特に歯ブラシ用の植毛機の場合、厳しい衛生管理が要求され、汚染の原因となる潤滑油を多量に使用することができないため、接触部の発熱と焼き付き現象を避けることができない。このため、接触部表面に、たとえ硬質クロムメッキを施したとしても、発熱によって硬さが低下するのみならず、擬着現象を起こしてしまい、メンテナンスフリーで長時間にわたって運転することができない。
(4)植毛機構部が磨耗したり、焼き付くことによって、部材の交換頻度が重なると、ブラシの生産性が低下するとともに、多くの作業員を抱えておく必要があり、コストアップの要因となる。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するため、本発明は、高速で往復動しながら毛束を平線によって二つ折りにしてブラシヘッド部に植毛する移動部と、該移動部を摺動自在に取り囲んで支承するハウジング部とによって構成された植毛機構部を備えたブラシ用植毛機において、前記植毛機構部の移動部とハウジング部との接触面のうち、いずれか一方の側の接触面に溶射法による炭化物サーメット皮膜を形成するとともに、他方の側の接触面には焼結法によるSiセラミックスを貼着したものである。
【0017】
前記炭化物サーメット皮膜としては、炭化物としてWC単独もしくはWCとCrを主成分とし、これに金属成分としてCo、Ni、Crのうちから選ばれた1種以上の金属を重量で5〜35%の範囲で含むサーメットを用い、高速フレームの熱源中を200m/s以上の飛行速度条件によって成膜したものであることが好ましい。また、膜厚10〜500μm、気孔率0.1〜1.0%、かつ、その表面の粗さをRa0.1〜5μmに仕上げることが好ましい。
【0018】
また、前記Siセラミックスとしては、その表面粗さをRa0.05〜0.1μmに仕上げることが好ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図1を参照して説明する。
なお、図中、前述した従来例(図3〜図5)と同一もしくは相当部分には同一の符号を付し、各部の詳細な説明は省略する。
【0020】
この図1に示した実施の形態に係る歯ブラシ用植毛機の場合、ハウジング部5の内周面と摺接する移動部4の外周面のうち、左右両側面と下底面の3面a,b,cに、溶射法による炭化物サーメット皮膜(ハッチングで示した部分)を形成するとともに、移動部4と摺接するハウジング部5の内周面d、e、f、gに、焼結法によるSiセラミックス(クロスハッチングで示した部分)を貼着したものである。このように、お互いの接触面に溶射法による炭化物サーメット皮膜と焼結法によるSiセラミックスを形成してやることにより、高速で往復動される植毛機構部4の磨耗や磨滅現象を大幅に低減することができる。このため、用毛の汚れの原因となりやすい潤滑油の使用を不要とすることができるとともに、潤滑油なしでありながら長期にわたって安定に使用することが可能となる。
【0021】
上記のように、本発明は、お互いの接触面に溶射法による炭化物サーメット皮膜と焼結法によるSiセラミックスを形成したものであるから、以下これらの点について詳細に説明する。
【0022】
[I]溶射法の採用と溶射材料の選択
溶射法は、金属、セラミックス、サーメットなどの粉末材料をプラズマや可燃性ガスの燃焼エネルギーによって溶融し、これを基材表面に吹き付けて皮膜を形成する技術であり、これまでにも硬質の金属、セラミックス、サーメットの皮膜を施すことより、耐磨耗性を向上させることが行なわれていた。しかし、従来の知見による溶射法と溶射材料をそのまま適用して硬質皮膜を形成しても、十分な機能を発揮させることができなかった。そこで、本発明者等は、次の各項目(1)〜(4)について実験検討した。
【0023】
(1)溶射熱源: プラズマと可燃性ガスの燃焼炎の優劣を比較する。
(2)溶射材料粒子の飛行速度: 上記熱源中を飛行する溶射材料粒子の速度を100〜350m/sの範囲で可変し、皮膜を好適に形成する条件を選定する。
(3)溶射材料の種類と粒径: 机上検討により、硬質材料としてAlと炭化サーメットを選定し、これらについて前記(1)(2)の結果を加味して選定した。
(4)溶射皮膜と相手材料との組み合わせ: 選定した溶射材料からなる皮膜にとって好適な相手材料を磨耗試験および実機試験によって決定した。
以上の項目について、実験・研究を重ねた結果、本発明で用いる溶射皮膜を次のように決定した。
【0024】
(1)溶射熱源としては、プラズマは高い熱エネルギーを有するため、Al、炭化物サーメット材料とも十分に溶融するので好適である。ただ、詳細に観察すると、Alの場合、溶融時にもまったく変質しないが、炭化物サーメットの場合、炭化物が酸化したりあるいは分解し、これが溶射皮膜の気孔や密着力低下の原因となることが判った。
【0025】
一方、可燃性ガスの燃焼炎は、温度が2000〜3000℃程度であるため、Alは完全に溶融することができない。このため、皮膜が多孔質化し、密着力が弱くなる。これに対し、炭化物サーメット材料は、酸化や分解することが少なく、溶射材料の性質を損なうことなく皮膜を形成することができた。ただ、可燃性ガスの燃焼炎であっても、熱源中を飛行する溶射粒子材料の速度が遅い場合には、良好な皮膜が得られないので、粒子の飛行速度を200m/s以上にすることによってのみ、緻密で密着性のよい皮膜が得られることを確認した。
【0026】
(2)溶射材料としては、Al、炭化物サーメットとも鋼鉄材料に比較すると硬く、耐磨耗性に優れている。しかし、Al皮膜は鋼鉄基材に対する密着力が炭化物サーメット皮膜に比較して低く、また機械的衝撃に対しても弱い欠点が見られた。そこで、溶射材料としては、炭化物サーメットを採用した。
【0027】
炭化物サーメット材料としては、WC、Cr、NbC、BC、VC、TaC、HfCなどの炭化物と、Ni、Cr、Coなどの金属成分の一種以上を含むサーメットがよく、特にWCまたはWCとCrを含む炭化物サーメットが好適であることが判明した。
【0028】
一方、炭化物に対する金属成分の添加量は、重量で5〜35%の範囲でよく、5%より少ないサーメットでは、皮膜は硬くなるが脆く、粒子間結合力が小さくなり、わずかな機械的衝撃を受けてもひび割れが発生しやすくなる。また、金属成分が35%を越えると、皮膜の密着力は向上するものの硬さが低下し、耐磨耗性が劣化するので好ましくない。
【0029】
以上の実験結果と、本発明の皮膜が使用される環境条件を勘案し、WCまたはWCとCrを含むサーメット溶射皮膜を選定し、次に、相手材となる材料の選定を磨耗試験によって求めた。
【0030】
[II]磨耗試験による相手材の選択
図2は、磨耗試験装置を示したものである。溶射皮膜96を形成した試験片91を水平に固定し、その表面に回転軸22の先端に設けた円盤部93を押し付け、これを1分間700回転するように調整した。また、回転軸92はその上部に荷重94を付加できるようになっており、回転軸92の円盤部93には相手材95となる各種の皮膜あるいは材料を取り付け、溶射皮膜96との接触による両面の外観変化を観察することによって判定した。
【0031】
相手材95としては、PVD法、CVD法によって形成したTiN、TiCN、CrN、TiAlN、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)などの他、硬質Crメッキ、セラミックス焼結材(Al、Si)、高速度鋼(SKH51)などを供試した。なお、図2とは逆に、回転軸92の円盤部93側に溶射皮膜96を形成し、試験片91の表面に相手材95を取り付けた場合についても試験した。
【0032】
これらの試験結果の詳細は、後述の実施例の項で詳述するが、本発明の目的に使用する溶射皮膜としては、WCサーメットまたはWC−CrCサーメットによって形成された厚さ10〜500μm、表面粗さRa0.1〜5μmの範囲のものが最適であることが判明した。厚さが10μmより薄い皮膜は、溶射では形成し難く、500μm以上の膜厚ではその性能に変化がないので、経済的に得策でない。また、表面粗さが0.1μm以下の表面仕上げは加工に長時間を要する割に効果に変化がなく、5μm以上の粗さでは、相手材を傷つけやすいという欠点がある。
【0033】
【実施例】
[実施例1]
この実施例1では、溶射材料として、Al、WC−12%Co、WC−2.5%CR−20%Ni−5%Crの3種類を用い、プラズマ溶射法と高速フレーム溶射法によって、それぞれ炭素鋼上に150μm厚の皮膜を形成した後、この皮膜の微少硬さ、気孔率および炭素鋼に対する密着力を測定した。
表1は、これらの試験結果をまとめたものである。
【0034】
【表1】
Figure 0004034435
【0035】
この表1の結果から明らかなように、プラズマを熱源とする溶射法で成膜したものは、溶射材料の種類に関係なく硬さが低く、気孔率も大きく、また密着力が低いことが判明した。これに対し、高速フレームで溶射した皮膜は、Alについては多孔質で密着力も比較的低くなっていたが、炭化物サーメット皮膜は硬く緻密であり、また密着力も極めて良好であることが認められた。なお、この実施例で用いた高速フレーム溶射法では、溶射材料粒子の飛行速度は210〜230m/sである。
【0036】
[実施例2]
この実施例2では、前記実施例1で得られた溶射皮膜試験片を用い、図2の磨耗試験装置によって磨耗試験を行なった。
相手材(図2中の円盤部93に取り付けられた部材95)としては、次に示すような皮膜あるいは焼結材を選定し、回転速度1分間700回転の条件で試験した。
PDV皮膜:TiNi、TiC、TiCN、CRN(それぞれ厚さ5μm)
電気メッキ:硬質Cr(厚さ30μm)
焼結材 :Si(厚さ1mm)
その他 :DLC(ダイヤモンドライクカーボン、厚さ1μm)
【0037】
試験結果を表2に示す。
【0038】
【表2】
Figure 0004034435
【0039】
この表2の結果から明らかなように、Alの溶射皮膜はプラズマ溶射、高速フレーム溶射ともに、短期間のうちに溶射皮膜と相手材の皮膜の両方が破損した。これに対し、炭化物サーメット溶射皮膜は、Al皮膜よりも耐磨耗性に優れ、特に高速フレーム溶射法で得られた皮膜(表2中のNo.4、6)は、5分間の磨耗試験によっても相手材皮膜を含めて損傷がなく、良好な状態を維持していた。
【0040】
さらに、20分以上の連続試験を行なった結果、DLC皮膜とPVD皮膜は膜厚が薄いために皮膜の損傷が現れはじめ、また硬質Crメッキも損傷が激しくなり、これ以上の試験に耐えられないことが判明した。
【0041】
以上の結果から、溶射法による炭化物サーメット皮膜と焼結法によるSiセラミックスとの組み合わせが最良であるとの結論に達した。
【0042】
なお、前述した実施の形態では、移動部4の外周面に炭化物サーメット皮膜を形成し、ハウジング部5側の内周面にSiセラミックスを貼り付けたが、逆に、移動部4側にSiセラミックスを貼り付け、ハウジング部5側に炭化物サーメット皮膜を形成してもよいものである。
【0043】
また、炭化物サーメット皮膜を接触面のどの部分に形成するか、またSiセラミックスを接触面のどの部分に貼り付けるかは、植毛機構部1を構成する移動部4とハウジング部5との相対的な形状、配置(水平配置、垂直配置、斜め配置など)、接触状態、接触面積、相対移動速度などに応じて最適な状態に設定すべきことは当然である。
【0044】
また、前述した実施の形態は、歯ブラシ用植毛機の場合を例に採って説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ヘアブラシ、衣服用ブラシなど、その他のブラシのための植毛機に対しても同様に適用できるものである。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、植毛機構部を構成する移動部とハウジング部との接触面のうち、いずれか一方の側の接触面に溶射法による炭化物サーメット皮膜を形成するとともに、他方の側の接触面には焼結法によるSiセラミックスを貼着したので、高速で往復動される植毛機構部の磨耗や磨滅現象が大幅に低減することができ、用毛の汚れの原因となりやすい潤滑油の使用を不要とすることができるとともに、長期にわたって安定に使用できるという優れた効果を奏する。また、磨耗や焼き付きなどによって寸法精度が低下したり、生産性を損なうなどの問題も防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態を示す略示分解斜視図である。
【図2】 磨耗試験装置の構造を示す図である。
【図3】 従来の歯ブラシ用植毛機における植毛機構部の要部構造を示す斜視図である。
【図4】 図3の略示分解斜視図である。
【図5】 植毛機構部とその周辺部の要部構造を示す略示斜視図である。
【符号の説明】
1 植毛機構部
2 ブラシ保持用治具
3 ブラシヘッド部
4 移動部
5 ハウジング部
6 植毛穴
7 ピッカー
8 用毛束
9 毛束
10 平線束
11 平線
11a 定寸に剪断された平線
12 平線カッター
41 シャトル部
42 往復動バー
43 植毛針
51〜53 ブロック片

Claims (2)

  1. 高速で往復動しながら毛束を平線によって二つ折りにしてブラシヘッド部に植毛する移動部と、該移動部を摺動自在に取り囲んで支承するハウジング部とによって構成された植毛機構部を備えたブラシ用植毛機において、
    前記植毛機構部の移動部とハウジング部との接触面のうち、いずれか一方の側の接触面に溶射法による炭化物サーメット皮膜を形成するとともに、他方の側の接触面には焼結法によるSiセラミックスを貼着したことを特徴とするブラシ用植毛機。
  2. 前記炭化物サーメット皮膜は、炭化物としてWC単独もしくはWCとCrを主成分とし、これに金属成分としてCo、Ni、Crのうちから選ばれた1種以上の金属を重量で5〜35%の範囲で含むサーメットを用い、高速フレームの熱源中を200m/s以上の飛行速度条件によって成膜し、その膜厚10〜500μm、気孔率0.1〜1.0%、かつ、その表面粗さRa0.1〜5μmとしたものであり、
    前記Siセラミックスは、表面粗さRa0.05〜0.1μmとしたものであることを特徴とする請求項1記載のブラシ用植毛機。
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