JP4034424B2 - 電解装置の電解ガス処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電解装置の電解ガス処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の電解技術の進歩に伴い電解手段を利用した各種の装置、機器類が広く普及する傾向にある。しかし、電解手段により水、塩水等を電解した場合には、引火性の強い可燃性ガスである水素を含む電解ガスが発生する。このため、この種の装置では、従来から水素ガスの引火爆発による事故を未然に防止する種々の安全対策が既に講じられている。
【0003】
即ち、電解手段を利用した装置、機器類には、例えば水電解式のアルカリイオン水及び/又は酸性イオン水を生成するイオン整水器、或いは上水道滅菌消毒設備で使用する塩水電解式の次亜塩素酸ナトリウム生成装置や電解オゾン発生装置等があり、何れの装置等でも、水又は塩水の電解時に水素を含む電解ガスが発生する。
【0004】
そこで、水素ガスの単位時間当たりの発生量が比較的少ないイオン整水器の場合には、換気扇を作動させて室内の換気を良くして、室内の上部での水素ガスの滞留を防止する等、使用上において安全対策が講じられている。
【0005】
また大型の次亜塩素酸ナトリウム生成装置の場合には、単位時間当たりの水素ガスの発生量(0.32Nm3 /cl2 Kg等)が非常に多く、しかも長時間に亘って連続的に運転する必要から、設置室に換気扇を設けて換気を良くすると共に、電解手段で発生する電解ガスに空気等を加えて、電解ガスを希釈化しながら排気管を介して室外に導き、室外で大気中に放出する方法を採っている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の装置では、電解ガス中に水素ガスが含まれているにも拘わらず、電解ガスをそのままで室内に放出するか、又は希釈化した状態で排気管を経て室外に放出する方法を採っているため、装置の使用場所が換気の良い場所に制限されたり、また付属機器類の設置、配管等の施工が大掛かりになり、コストアップを招く欠点がある。
【0007】
家庭用のイオン整水器の場合には、水素ガスの発生量が比較的少ないので、換気扇による室内の換気等で十分であるが、換気扇のない部屋で使用することはできず、使用場所が換気の良い場所に制限される欠点がある。
【0008】
一方、大型の次亜塩素酸ナトリウム生成装置の場合には、設置室に大きな換気扇を設ける必要があり、また希釈化用のブロアーの設置、排気管の配管工事が大掛かりとなるため、次亜塩素酸ナトリウム生成装置の設置に伴って必要となる付属機器類が増えて、設備全体が大型化すると共に、非常なコストアップを招く欠点がある。
【0009】
本発明は、かかる従来の課題に鑑み、水素ガスの引火爆発を未然に防止でき安全性が著しく向上すると共に、使用時に場所的な制約等を受けることがなく、しかも付属機器類を含む装置全体を小型化でき、容易且つ安価に製作できる電解装置の電解ガス処理装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、塩水を電解して次亜塩素酸ナトリウムを生成する塩水電解手段5 を備えた電解装置において、前記塩水電解手段 5 から発生する電解ガスを大気に送出する大気放出側に、外部の空気を導入して、電解ガス中の水素をこの導入された空気中の酸素と触媒反応させる触媒手段8 を設けたものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
図1及び図2は本発明を次亜塩素酸ナトリウム生成装置に採用した第1の実施形態を例示する。図1において、1 は上水道関連設備の建屋であり、この建屋1 の設置室2 内に次亜塩素酸ナトリウム生成装置3 が設置されている。
【0013】
次亜塩素酸ナトリウム生成装置3 は、図2に示すように、飽和塩水等の塩水A を供給する塩水源4 と、塩水源4 から供給される塩水A の電解を順次繰り返して次亜塩素酸ナトリウム液(以下、次亜液という)B を生成する塩水電解手段5 と、塩水電解手段5 で発生した電解ガスを次亜液B 等から気液分離する気液分離手段6 と、気液分離後の次亜液B を貯留する次亜液貯留槽7 と、気液分離後の電解ガス中の水素ガスを空気中の酸素と触媒反応させる触媒手段8 と、触媒反応後の電解ガスを建屋1 の設置室2 外に導いて大気中に放出する大気放出管9 とにより構成されている。
【0014】
塩水電解手段5 は内圧式であって、密閉箱型等のケーシング10と、このケーシング10内に配置された複数組の電解ユニット11とを備えている。ケーシング10内は、仕切り板12,13 によって、塩水A が上向きに流れる電解室14と、塩水A が下向きに流れる下向流通路15とに交互に区画され、その各電解室14に、塩水A の流れを妨げないように電解ユニット11が配置されている。ケーシング10内の上部は、各電解室14に連通する一つのガス室16となっており、電解ユニット11での塩水A の電解時に発生した水素を含む電解ガスが溜まるようになっている。
【0015】
なお、複数個の塩水電解手段5 を多段に配置する場合には、各塩水電解手段5 に亘って順次塩水A 及び電解ガスが流れるように、各ケーシング10の下部側を液配管で、ケーシング10の上部のガス室16側をガス配管で夫々直列状に接続すれば良い。
【0016】
気液分離手段6 は、下部が液層となり上部がガス層となった分離筒17と、この分離筒17の上端部に形成されたガス抜き孔18と、分離筒17内に次亜液B のレベルに応じて上下動自在に設けられたフロート19と、このフロート19に連動してガス抜き孔18を開閉する弁体20とを備えている。分離筒17の下部側は、塩水電解手段5 と次亜液貯留槽7 とを接続する液配管21の途中に接続され、上部側はガス配管22を介して塩水電解手段5 のガス室16側に接続されている。
【0017】
触媒手段8 は、各塩水電解手段5 での塩水A の電解時に発生する電解ガス中の水素ガスを空気中の酸素と触媒反応させて、電解ガス中の水素ガス濃度を1/10程度まで下げるためのものである。触媒手段8 は、図2に示すように、反応容器23内に触媒24が設けられている。反応容器23は、外部の空気を導入するための開口25を有し、水素ガスを含む電解ガスが下から上へと流れるように、気液分離手段6 と大気放出管9 との間に介在されている。なお、触媒24は、水素を酸素と反応させるためのものであれば良く、例えば、白金、銅、その他の公知の金属触媒が使用されている。また電解ガス中に水素の他に酸素が含まれる場合には、外部空気導入用の開口25を省略できる。
【0018】
この次亜塩素酸ナトリウム生成装置3 により次亜液B を生成する場合には、塩水源4 から飽和塩水等の塩水A を塩水電解手段5 に供給し、この塩水電解手段5 を塩水A が通過する間に順次繰り返し電解する。
【0019】
塩水電解手段5 内で塩水A を繰り返し電解すると、電解ユニット11の陽極側では塩素が、陰極側では水素が夫々発生する。また陰極側ではナトリウムイオンと水酸化イオンとによってカセイソーダができ、このカセイソーダが塩素と反応して次亜塩素酸ソーダができるので、塩水電解手段5 を通過する時点では高濃度の次亜塩素酸ソーダが溶存する次亜液B ができる。そして、この次亜液B は、気液分離手段6 を経て液配管21から次亜液貯留槽7 へと送られて、その次亜液貯留槽7 に貯留される。
【0020】
一方、塩水電解手段5 での塩水A の電解時に発生した電解ガスは、ケーシング10内で気液分離されて上部側のガス室16内に溜まり、各ガス配管22を経て気液分離手段6 へと送られる。そして、電解ガスは、気液分離手段6 で次亜液B から再度気液分離される。
【0021】
気液分離手段6 を通過した電解ガスは、触媒手段8 の反応容器23内に入り、この反応容器23内の触媒24によって、水素ガスが空気中の酸素と触媒反応する。このため電解ガス中の水素濃度が低下する。例えば、触媒24の金属触媒に銅を使用した場合には、電解ガスが反応容器23内に導入されると、触媒表面に亜酸化銅(Cu2 O)が生成し、これが水素(H2 )によって還元されることにより反応が進行する。これらの反応は100°C以下の温度で十分速やかに進むので、反応全体(H2 +1/2O2 →H2 O)も100°C程度で十分な速度で進行する。触媒手段8 での触媒反応により水素濃度が低下した電解ガスは、大気放出管9 を経て大気に放出する。
【0022】
このように各塩水電解手段5 で塩水電解をした場合には、多量の電解ガスが発生し、しかもその電解ガスには可燃性の水素ガスが多量に含まれている。しかし、この電解ガスを触媒手段8 に導入して、この触媒手段8 で空気中の酸素と触媒反応させることによって電解ガス中の水素ガスを除去でき、電解ガス中の水素ガス濃度を下げることができる。このため、従来に比較して安全性が著しく向上する。
【0023】
電解ガスを大気放出管9 を経て大気中に放出するに際しても、高濃度の水素ガスを含む電解ガスに空気等を入れて希釈化した状態で放出する必要がなく、付属機器類を小型化でき、低コストで容易且つ安価に製作できる。また触媒手段8 による触媒反応で電解ガス中の水素ガスを空気中の酸素と反応させているため、水素ガスの処理が容易であり、しかも触媒手段8 自体も容易且つ安価に製作できる。
【0024】
図3は本発明の第2の実施形態を例示し、反応容器23の1次側に空気を供給する空気管26と、反応容器23及び/又は触媒24に冷媒を供給して冷却する冷却器27とを設けたものである。
【0025】
触媒手段8 に空気を導入するに当たっては、このように空気管26から触媒24側に空気を供給しても良い。また反応容器23内での水素ガスの触媒反応を損なわない程度であれば、空気管26からの空気で電解ガスをエアーパージするように、反応容器23内に強制的に空気を供給しても良い。更に触媒24での触媒反応時に高温の発熱を伴う場合には、冷却器27から反応容器23及び/又は触媒24に冷媒を供給して、その冷媒で反応容器23及び/又は触媒24を冷却するようにしても良い。
【0026】
図4は本発明の第3の実施形態を例示し、非内圧式の塩水電解手段5 のケーシング10に大気放出筒28を設け、この大気放出筒28の中途部に触媒手段8 を設けたものである。
【0027】
この塩水電解手段5 は非内圧式であって、ケーシング10の内部の塩水内に電解ユニット11が設けられ、またケーシング10の上部側が空間29となっている。そして、ケーシング10の上部側には、外部の空気を導入する逆止弁30付き空気取り入れ口31と、ケーシング10内の電解ガスを大気中に放出する大気放出筒28とが設けられ、その大気放出筒28の中途に触媒手段8 が組み込まれている。なお、必要に応じて大気放出筒28の出側にブロアー等を設けても良い。
【0028】
この場合には、塩水電解手段5 での電解時に、水素を含む電解が発生すると、その電解ガスはケーシング10内の上部に溜まる。この電解ガス、特にその中の水素ガスは空気よりも軽いので、大気放出筒28内を上昇して大気中に放出されて行く。そして、その途中で触媒手段8 により水素ガスが空気中の酸素と触媒反応して、電解ガス中の水素ガスが除去されるので、水素ガス濃度の低い電解ガスを大気に放出できる。
【0029】
図5は本発明の第4の実施形態を例示し、建屋1 内の設置室2 に開放型の塩水電解手段5 を設置した電解装置において、その設置室2 の上部側、例えば天井2a等の適当箇所に触媒手段8 を設けたものである。
【0030】
開放型の塩水電解手段5 の場合、電解時に水素ガスを含む電解ガスが発生するが、その電解ガスの捕捉が困難である。従って、このような場合には、設置室2 の上部側の天井2a等の適当箇所に触媒手段8 を設けておけば、この触媒手段8 により電解ガス中の水素を空気中の酸素と反応させて、設置室2 内に充満する電解ガスの水素ガス濃度を低減でき、安全性が向上する。
【0031】
換言すれば、塩水電解手段5 で発生した電解ガスを設置室2 内に放出しても、設置室2 内の触媒手段8 により水素を空気中の酸素と触媒反応させることができるので、塩水電解手段5 を開放型で使用することが可能である。
【0032】
図6は本発明の第5の実施形態を例示し、家庭用のアルカリイオン水、酸性イオン水を生成するイオン整水器40に触媒手段8 を設けたものである。イオン整水器40は、水電解手段37内が隔膜31a で陰極室32と陽極室33とに区画され、その陰極室32に陰極34が、陽極室33に陽極35が夫々配置され、陰極室32側のアルカリ又は酸性イオン水を取り出す蛇口等の取り出し口36が設けられている。電解室14と取り出し口36との間には、気液分離手段6 を介して触媒手段8 が設けられている。なお、陽極室33側には酸性イオン水の取り出し口38が設けられている。
このイオン整水器40の場合には、水の電解時に水素及び酸素を含む電解ガスが発生し、その水素を含む電解ガスが取り出し口36側へと出る。しかし、陰極室32と取り出し口36との間に気液分離手段6 を介して触媒手段8 があるため、アルカリイオン水中の電解ガスは、気液分離手段6 でアルカリイオン水から分離されて触媒手段8 側に送られる。そして、触媒手段8 で電解ガス中の水素が空気中の酸素と触媒反応する。従って、電解ガス中の水素ガスを除去でき、従来のように水素ガスを含む電解ガスがそのまま室内に放出されることもなく、安全性が向上する。
【0033】
以上、本発明の各実施形態について例示したが、本発明は各実施形態に限定されるものではない。例えば、各実施形態では、触媒手段8 を用いて電解ガス中の水素を空気中の酸素と触媒反応させているが、その触媒手段8 は各実施形態に例示の構造、種類等に限定されるものではない。何れの形態の触媒手段8 を用いる場合でも、その触媒24自体は公知のものを適宜選択することにより容易に実施可能である。
【0034】
気液分離手段6 は、各実施形態に例示の構造に限定されるものではない。例えば図2の気液分離手段6 にはフロート19を備えた可動型のものを例示しているが、静止型のものを用いても良い。なお、気液分離手段6 は省略しても良い。
電解手段5 での電解時に、電解ガス中に水素ガスと酸素ガスとを発生する場合には、水素をその電解ガス中の酸素と反応させるようにしても良い。
【0035】
その他、本発明は、イオン整水器40、次亜塩素酸ナトリウム生成装置3 等に限定されるものではなく、水又は塩水等を電解する電解手段を備え、その電解手段による電解時に水素ガスを発生する装置類であれば、その全てのものに採用可能である。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、塩水電解手段 5 から発生する電解ガスを大気に送出する大気放出側に、外部の空気を導入して、電解ガス中の水素をこの導入された空気中の酸素と触媒反応させる触媒手段8 を設けているので、塩水電解手段5 での電解時に水素を含む電解ガスが発生するにも拘わらず、水素ガスの引火爆発を未然に防止でき安全性が著しく向上すると共に、使用時に場所的な制約等を受け難く、しかも付属機器類を含む装置全体を小型化でき、容易且つ安価に製作できる利点がある。
【0037】
また塩水電解手段5 と触媒手段8 との間に、塩水電解手段5 から発生する電解ガスを気液分離する気液分離手段6 を設け、触媒手段 8 の反応容器 23 の1次側に空気を供給するようにしているので、触媒手段 8 により電解ガスを容易且つ効率的に処理できる。
【0038】
更に触媒手段 8 の反応容器 23 及び/又は該反応容器 23 内の触媒 24 に冷媒を供給して冷却する冷却器 27を設けているので、触媒反応による発熱を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す概略図である。
【図2】本発明の第1の実施形態を示す次亜塩素酸ナトリウム生成装置の構成図である。
【図3】本発明の第2の実施形態を示す気液分離手段の構成図である。
【図4】本発明の第3の実施形態を示す塩水電解手段の構成図である。
【図5】本発明の第4の実施形態を示す概略図である。
【図6】本発明の第5の実施形態を示すイオン整水器の構成図である。
【符号の説明】
1 建屋
2 設置室
5 塩水電解手段
6 気液分離手段
8 触媒手段
37 水電解手段

Claims (3)

  1. 塩水を電解して次亜塩素酸ナトリウムを生成する塩水電解手段(5) を備えた電解装置において、前記塩水電解手段 (5) から発生する電解ガスを大気に送出する大気放出側に、外部の空気を導入して、電解ガス中の水素をこの導入された空気中の酸素と触媒反応させる触媒手段(8) を設けたことを特徴とする電解装置の電解ガス処理装置。
  2. 前記塩水電解手段(5) と前記触媒手段(8) との間に、前記塩水電解手段(5) から発生する電解ガスを気液分離する気液分離手段(6) を設け、前記触媒手段 (8) の反応容器 (23) の1次側に空気を供給するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の電解装置の電解ガス処理装置。
  3. 前記触媒手段 (8) の反応容器 (23) 及び/又は該反応容器 (23) 内の触媒 (24) に冷媒を供給して冷却する冷却器 (27)を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の電解装置の電解ガス処理装置。
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