JP4034348B2 - 結晶セルラーゼおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

発明の背景
本発明は、セルラーゼ酵素の結晶化に関する。更に詳述すれば、本発明は、水溶液状態のセルラーゼの塩(例えば、糸状菌、酵母またはバクテリアのような微生物の培養によって得られたもの)を用いて選択的な結晶を行うことに関する。
酵素製品を精製し調製するための1つの手段として酵素の析出および結晶化に関する精力的な研究が行われている。例えば、米国特許第4,659,667号には、溶液から酵素を回収するために、酵素含有溶液を該酵素の等電点付近のpHにおいて過飽和状態になるように濃縮し、結晶化を起こさせ、結晶化した最終生成物を回収する方法が開示されている。結晶化を引き起こすために、濃縮に際して酵素が自発的に結晶化するようにしたり、あるいは、播種、音波処理、撹拌、または容器の内表面を引掻くことが行われている。例示されているのは、アルファーアミラーゼの結晶化である。
PCT公報No. WO 89/08703には、スブチリシンを結晶化するために、ハライド塩(例えば、塩化ナトリウムまたは塩化カルシウム)を少なくとも約40グラム/リットルの濃縮スブチリシン溶液に10℃より低い温度で添加する方法が記載されている。
PCT公報No. WO 91/09943に開示されている酵素の結晶化方法の特徴は、酵素の純度が比較的高く酵素の濃度が少なくとも約5グラム/リットルの液を含有する水溶液を出発原料として用い、結晶化剤として非ハライド系の易溶性の塩を添加して、アモルファス(非晶質)状態で酵素が析出するのに必要な量よりもかなり低い濃度になるようにしていることにある。ある種のスブチリシン酵素の結晶化が例示されている。
EP549,048には、バチルス・リシェニホルミス(Bacillus licheniformis)またはバチルス・アルカロフィルス(Bacillus alcalophillus)から極めて高純度のアルカリプロテアーゼを調製する方法が開示されており、該方法は、濃縮されたアルカリプロテアーゼに加水分解酵素と塩化ナトリウムを添加し、得られた混合物を20℃以上の温度でインキュベートして、加水分解されたポリマー不純物からアルカリプロテアーゼを分離し、精製された析出物を集めることを特徴とする。しかし、析出物は主としてアモルファスであった。
X線結晶学の目的のためにセルラーゼ結晶を調製する方法は、小規模でしか成功していない。例えば、「Bergfors他:J. Mol. Biol. vol. 209, no.1, pp. 167-169(1989)」には、トリコデルマ・レエゼイ(Trichoderma reesei)由来のセロビオヒドロラーゼの核タンパク質の液滴下法を利用する結晶化と該結晶を検討して三次構造を決定することが記述されている。「Wilson:Crit. Rev. Biochem., vol. 12(1/2), pp. 45-63(1992)」においては、析出剤(沈降剤)として硫酸アンモニウムを用いてT.fusca由来のE2セルラーゼの32K触媒性サブユニットを結晶化させ三次構造を決定することが報告されている。ここで重要なことは、硫酸アンモニウムおよびポリエチレングリコールの両方について液滴下法を利用する従来技術では、T.fuscaセルラーゼE2、E3およびE5を結晶化する多くの試みが失敗したとWilsonが指摘していることである。このように、上述した手法に従って幾つかの酵素については結晶化が成功しているが、セルラーゼの結晶化は問題を残したままであり、大規模での該結晶化の方法は知られていない。
このように酵素結晶化の分野は一般的には進歩しており、また、学術文献には結晶学的研究のためのセルラーゼの結晶化についての報告は見られるが、大規模製造に適したセルラーゼ酵素の低廉で効率的な結晶化は工業的に未解決のままである。事実、低コスト、高収率、迅速且つ高純度にセルラーゼ酵素を簡便に製造するという観点からセルラーゼ酵素を結晶化するための工業的に適した方法について記述したものはこれまで見当たらない。
これに対して、本発明者らは、特定の群の塩と特定の温度範囲を採用することにより、工業的に重要なセルラーゼサブグループ(すなわち、セルロース結合ドメインを欠くセルラーゼ)を、セルロース結合ドメインを有する他のセルラーゼに対して、結晶化により選択的に精製し得ることを発見した。
さらに、充分な塩を用いることにより、いかなるタンパク質も析出させることができるが、工業的には、粒子状または固定化酵素などに加工するために結晶酵素が好まれる。このようにして、本発明者はセルラーゼ酵素製品を得る方法を提供する。
発明の概要
本発明の目的は、特定の用を用いることにより、セルロース結合ドメインを欠くセルラーゼを選択的に結晶化させる簡単で低コストの方法を提供することにある。
本発明の目的は、さらに、セルラーゼ酵素を製造することにある。
本発明に従えば、セルロース結合ドメインを欠くセルラーゼ酵素を結晶化させる方法であって、(a)該セルラーゼ酵素を含有する水溶液を調製し;および(b)該水溶液に、硫酸塩アニオン、リン酸塩アニオン、ギ酸塩アニオン、酢酸塩アニオン、ソルビン酸塩アニオン(sorbate)、塩化物アニオン、臭化物アニオン、フッ化物アニオンまたはヨウ化物アニオンから成る群より選ばれるアニオン(陰イオン);および、ナトリウムカチオン、アンモニウムカチオン、マグネシウムカチオン、カリウムカチオン、またはカルシウムカチオンから成る群より選ばれるカチオン(陽イオン)から成る塩、またはそれらの混合物を添加することを含む方法が提供される。好ましい態様においては、水溶液は4℃より高い温度にある。好ましい態様においては、アニオンは、硫酸塩アニオン、酢酸塩アニオンおよび塩化物アニオンから成る群より選ばれ、カチオンは、ナトリウムカチオン、アンモニウムカチオンまたはマグネシウムカチオンから成る群より選ばれる。
驚くべきことに、セルラーゼ酵素の結晶化速度は該結晶化が4℃を超える温度で起こるときに向上されることを本発明者らは発見した。したがって、結晶化は室温下に起こり、装置およびエネルギーの点から大いなる節約が可能となる。
本発明を実施することにより、考えられない程の短時間で極めて高収率に高純度セルロース酵素を得ることができる。事実、本発明に従い条件を最適にすることにより、50%以上の収率、好ましい態様においては70〜80%以上の収率を5時間で得ることができる。このことは工業的に非常に価値がある。
本発明を実施するに当たって、本発明者らは、驚くべきことに、セルロース結合ドメインを欠くセルラーゼは、セルロース結合ドメインを所有するセルラーゼよりも反応速度が優れているという特徴を有することを見出した。この結果、本発明を実施することにより予測されなかった利点が得られる。すなわち、セルロース結合ドメインを欠如するセルラーゼは、セルロース結合ドメインを有するセルラーゼに比べて容易に結晶化され得るので、セルロース結合ドメインを有するセルラーゼの溶液から選択的に結晶化することが可能である。本発明を実施することにより、産業的に重要なセルラーゼ酵素のサブグループ、すなわち、セルロース結合ドメインを有しないセルラーゼから高純度で結晶性の製品を調製する簡単で再現性のある方法が初めて可能となった。このような結果は、結晶化の技術における驚くべき大きな進歩であり、当該技術分野の長年の問題を解決したものである。
本発明の他の驚くべき効果は、本発明に従って製造された結晶化セルラーゼ酵素は、他の方法によって製造された他のセルラーゼよりも、繊維工業での使用(例えば、ストーンウォッシング(stone washing))におけるバックスティン(backstaining)を減少させるということである。本発明の精製方法の効果を享受するセルラーゼを利用する方法の例としては、PCT公報No. WO92/06221に記述されているような織物の処理法が挙げられる。
さらに、本発明の効果としては、結晶化法がきわめて迅速に起こるということも挙げられる。セルラーゼ酵素の結晶化に2〜3週間も要することが多い従来の多くの方法とは対照的に、本発明は、5時間というような短時間で高純度のセルラーゼ結晶を高収率で製造する。
【図面の簡単な説明】
図1は、トリコデルマ・ロンギブラキアツム(CBHI)由来のエキソセロビオヒドロラーゼ酵素の三次構造を提示するものであり、触媒性ドメインがリンカーを介してセルロース結合ドメインに連結されている様子を示す。
発明の詳細な説明
「セルラーゼ」、「セルロース分解酵素」または「セルラーゼ酵素」とは、バクテリア、植物または真菌のエキソグルカナーゼまたはエキソセロビオヒドロラーゼ、エンドグルカナーゼ、およびβ−グルコシダーゼを意味する。これらの3種類の異なるセルラーゼ酵素が共同作用してセルロースおよびその誘導体をグルコースに転化する。天然の存在源から産生され、セロビオヒドロラーゼ型成分およびエンドグルカナーゼ型成分の1種またはそれ以上を含み、それらの成分の各々が前記天然の存在源によって産生される比率で存在するようなセルラーゼ組成物は、時に、「完全なセルラーゼ系」または「完全なセルラーゼ組成物」と称して、それらから単離されたセルラーゼ成分からなるもの、バクテリアやある種の真菌類によって産生された不完全なセルロース組成物、または遺伝子工学的方法により変性させた微生物由来のセルラーゼ組成物であって、セルラーゼのセロビオヒドロラーゼ型成分および/またはエンドグルカナーゼ型成分の1種またはそれ以上を過多産生するもの、過少産生するものまたはそれらを産生しないものと区別する。セルラーゼまたは不完全な多成分セルラーゼにおける成分(各種のエンドグルコナーゼおよびエキソセロビオヒドロラーゼ)が異なると、一般に、諸性質、例えば、等電点、分子量、グルコシル化度、基質特異性および酵素作用パターンが異なる。
「セルロース結合ドメイン」という語は、セルラーゼまたはその誘導体のセルロース結合活性に関与するペプチドまたは関連するペプチド群を指称する。セルロース結合ドメインは、一般に、セルラーゼをセルロース、セルロース誘導体またはセルロースに同等なその他のポリサッカライドに非共有結合させることにより機能する。本明細書で定義するようなセルロース結合ドメインは、セルロースに該酵素を結合させることにより、構造的には区別される触媒芯(コア)領域によりセルロース繊維の加水分解が許容または促進されるようにはするが、該触媒中心とは独立して機能する。すなわち、セルロース結合ドメインは、触媒芯に帰される加水分解活性を有しない。さらに、本明細書で定義されるようなセルロース結合ドメインは、触媒活性を有する酵素サブユニットと一体化しているセルロース結合領域とは区別すべきである。そのようなセルロース結合領域は、事実として、ある程度のセルロース結合活性を供することができるが、セルラーゼのそのような特徴はセルロース結合ドメインとは同等ではない(該ドメインは、酵素の構造上の特徴である)。換言すれば、セルロース結合ドメインは、セルラーゼ酵素タンパクの三次構造由来の構造上の要素であり、触媒活性を有する構造要素とは異なる。図解するために、本明細書で定義するようなセルロース結合ドメインを包含するセルラーゼの1例を図1に示している。トリコデルマ・ロンギブラキアツム(Trichoderma longibrachiatum)のCBHI、CBHII、EGI、EGIIおよびEGVをコードする遺伝子の分解によれば、ドメイン構造は、触媒芯領域またはドメイン(CCD:Catlytic core domain)と、該触媒芯領域をセルロース結合領域(CBD)に連結するヒンジまたはリンカー領域(本明細書ではこの2つの語を互換的に使用する)とを含むことが示されている。
理論的に拘束されることを意図するものではないが、セルロース結合ドメインは、その三次構造(酵素本体から突出していると考えられる)が一因となり、さらに、リンカー領域によって該結合ドメインが可変性を有することにより、セルラーゼの結晶化を妨害するものと考えられる。このような特性により、結晶化速度を有意に遅らせ、多くのセルラーゼの結晶化を妨げ得るのであろう。
「リンカーまたはヒンジ領域」とは、セルラーゼ内の構造的に異なる触媒芯(コア)とセルロース結合ドメインとを互いに連結(リンク)する短いペプチド領域を意味する。例えば、T. longibrachiatumにおいては、それらのドメインは、Ser, ThrおよびProに富むペプチドによって連結されている。
「インキュベーション」とは、結晶化時間、または該水溶液に塩を添加した後の時間を意味する。
本発明の好ましい態様においては、セルロース結合ドメインを欠くセルラーゼ酵素を結晶化する方法であって、該セルラーゼ酵素を含有する水溶液を調製し、該水溶液に、硫酸塩アニオン、リン酸塩アニオン、ギ酸塩アニオン、酢酸塩アニオン、ソルビン酸塩アニオン、塩化物アニオン、臭化物アニオン、フッ化物アニオンもしくは、ヨウ化物アニオンから成る群より選ばれるアニオンと、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、アンモニウムカチオン、マグネシウムカチオンもしくはカルシウムカチオンから成る群より選ばれる塩、またはそれらの混合物を添加することを含む方法が提供される。さらに好ましい態様においては、セルラーゼはリンカーまたはヒンジ領域も欠く。
本発明のセルラーゼ酵素は、任意のセルラーゼ産生性微生物から得ることができる(産生されたセルラーゼはセルロース結合ドメインを欠くものである)。本発明に従い結晶化されるのが好ましいセルラーゼは、バクテリア、植物または真菌のセルラーゼであって、セルロース結合ドメインを欠くものである。さらに好ましいものとして、真菌のセルラーゼは、トリコデルマ種(例えば、トリコデルマ・ロングブラキアウツム(Trichoderma longibrachiatum)、トリコデルマ・ビリデ(Trichoderma viride)、トリコデルマ・コニンギイ(Trichoderma koningii)、ペニシルム(Penicillum)種、フミコラ種(例えば、フミコラ・インソレンス(Humicola insolens))、アスペルギルス(Aspergillus)種、およびフサリウム(Fusarium)種から誘導されるものである。本明細書で用いる「トリコデルマ」または「トリコデルマ種」とは、以前にTrichodermaとして分類され、または、現在Trichodermaとして分類されている任意の真菌類菌株を指称する。サーモモノスポラ(Thermomonospora)種、セルロモナス(Cellulomonas)種、バチルス(Bacillus)種、プソイドモナス(Pseudomonas)種、クロストリジウム(Clostridium)種およびストレプトマイセス(Streptomyces)種由来のバクテリア性セルラーゼも好ましい。セルロース結合ドメインを欠くセルラーゼは当該技術分野では知られている。セルロース結合ドメインを欠く天然に存在するセルラーゼとしては、例えば、エルウイニア・カロトボラ(Erwinia carotovara)由来のバクテリア性セルラーゼ(Saarilahti他、Gene, Vol.90, pp.9〜14(1990)参照)、およびクロストリジウム・サーモセルム(Clostridium thermocellum)由来のバクテリア性セルラーゼ(Gilkes他、Microbiological Reviews, pp.303〜315(1991)参照)が挙げられる。セルロース結合ドメインをコードする領域の全てまたは一部が欠失され、置換されまたはその他の操作を受けてセルロース結合特性が破壊されたDNA配列由来の遺伝子工学的に変性されたセルラーゼも本発明の範囲にある。そのような変性セルラーゼはPCT公報No. WO95/16782に記載されている。かくして、PCT公報No. WO91/17244に記述されている一群のセルラーゼに属し、セルロース結合ドメイン構造が高度に保存されていることを特徴とするセルラーゼを既知の遺伝子工学的方法によって変性して該領域をコードするDNAを欠失させることもできる。
真菌やバクテリアを培養し、そして、セルラーゼ酵素を製造するための培養技術そのものは、当該技術分野で知られている。例えば、セルラーゼの産生は、固体培地または液中培地を用い、バッチ式、半バッチ式および連続流通式で行うことができる。培養ブロースからのセルラーゼ酵素の回収および精製も当該分野で既知の方法によって行うことができる。
本発明に従う方法の出発原料として作用する水溶液は、適当な微生物の培養によって生じた培養ブロースから得られる。培養ブロースは、一般に、所望のセルラーゼ酵素生成物を含有するとともに、細胞由来の残滓(細胞を含む)、各種の懸濁固形分およびその他のバイオマス不純物を含有するので、当該技術分野で既知の手段により培養ブロースから除去するのが好ましい。そのような除去に好適な方法としては、従来からの固液分離技術、例えば、遠心分離、濾過、透析、精密濾過(マイクロフィルトレーション)、ロータリー真空濾過、またはその他の既知の方法が挙げられ、これらによって、無細胞濾液が得られる。培養ブロースから、または無細胞濾液から直接セルラーゼを結晶化することも本発明の範囲に含まれるが、結晶化の前に限外濾過、蒸発または沈降処理のような技術を用いて培養ブロースまたは無細胞濾液を更に結晶化することが好ましい。
培地中に特定の成分が含まれていると酵素成分の結晶化が困難になることはよく知られている。このために、濾過後の培養ブロースを更に精製して、結晶化を妨害する可能性のある不純物を、例えばカラム精製に供することにより除去するのが好ましいことが多い。さらに、微生物が増殖する培地を制御することにより、そのような不純物の量を制限することも可能である。例えば、「Northrup他による結晶性酵素(Crystalline Enzymes)、Columbia University Press, P.254(1948)」に記載されているように、ムチン様物質(例えば、ポリサッカライド)は結晶化工程に有害となることが多い。かくして、予備培養培地からそのようなポリサッカライドを取り除くことにより、あるいは、培養ブロースからそのような成分を精製することにより、後続の結晶化が順調に進行するよう改良することができる。別の方法として、そのような物質を除去するために、強酸、水酸化銅、アルコールまたはアセトンで濾液を処理することもできる。さらに、硫酸アルミニウムまたはその他のアルミニウム塩のような塩を添加すると、培養ブロースを精製して結晶化を促進するのに効果があることも知られている。
セルラーゼ酵素を含有する水溶液を調製した後に、該水溶液に塩を添加(ここで、水溶液は4℃よりも高い温度、好ましくは10℃から60℃の間、より好ましくは20℃から40℃の間、最も好ましくは22℃から37℃の間にある)して、セルロース結合ドメインを欠くセルラーゼ酵素の結晶化を開始させる。該塩は、硫酸塩アニオン、リン酸塩アニオン、酢酸塩アニオン、ギ酸塩アニオン、ソルビン酸塩アニオン、塩化物アニオン、臭化物アニオン、フッ化物アニオンもしくはヨウ化物アニオンから成る群より選ばれるアニオン、および、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、アンモニウムカチオン、マグネシウムカチオンもしくはカルシウムカチオンから成る群より選ばれるカチオンから成るもの、またはそれらの混合物である。好ましくは、該塩として、硫酸アンモニウム、酢酸マグネシウム、塩化ナトリウム、塩化アンモニウムまたは塩化マグネシウムが挙げられる。さらに好ましくは、塩は硫酸ナトリウムである。好ましい態様においては、水溶液中のセルラーゼ濃度は、約10 ONPC/mlから300 ONPC/mlの間、より好ましくは約10 ONPC/mlから150 ONPC/mlの間、最も好ましくは約40 ONPC/mlから60 ONPC/mlの間にある。
塩は、セルラーゼ酵素を結晶化させるのに好適な量および条件で水溶液に添加される。そのような条件(温度、pH、セルラーゼ酵素の濃度、塩の濃度およびインキュベーション時間など)は、当業者による日常的な実験で簡単に確認される。しかしながら、本発明の好ましい態様においては、塩は水溶液に、約0.5%から10.0%(w/v)、より好ましくは約1%から7.5%、最も好ましくは約1.5%から4.0%の間の濃度で添加される。塩を添加した後の水溶液の温度は、4℃より高く、好ましくは約10℃から60℃の間、より好ましくは約20℃から40℃の間、最も好ましくは約20℃から33℃の間にある。
驚くべきことに、水溶液の温度が4℃よりも高く、そして好ましくは10℃よりも高い場合に、セルラーゼ酵素の結晶化が促進されることを見出した。下記の実施例において記述するように、水溶液の温度が4℃のときには、セルラーゼの結晶は非常に遅くなり、収率も非常に低くなることがある。水溶液の温度が4℃より高く、好ましくは10℃から60℃の間、より好ましくは20℃から33℃の間にある場合には、結晶化は、数日ではなく何時間という単位で起こり得る。このことは、結晶化に低温を必要とする(すなわち、10℃より低い)グルコースイソメラーゼのような酵素に関してこれまでになされた開示(米国特許第4,699,882号および5,120,650号)とは対照的である。
インキュベーション後の水溶液からの結晶化セルラーゼ酵素の分離と回収は、そのような分離を行うのに認められた任意の手段によって実施することができる。好適な手段としては、遠心分離、濾過、真空濾過、精密濾過が挙げられる。
必須ではないが、溶液にシード結晶を添加して、結晶化の動力学を改良し、反応速度および結晶サイズの分布を制御することができる。当該技術分野で良く知られているように、シード結晶を用いると、選択した反応条件に応じて、結晶化が動力学的に有利になり、全体的な収量を増加させることもできる。結晶化を向上させるには、更に、結晶化容器が結晶化を誘導し得るような表面性状(例えば、容器の内壁にかき傷や切り欠きを設けたりする)または、当業者によく知られているその他の性質を有するようにすることもできる。所与のセルラーゼ酵素溶液に対しては、運転規模と操作条件を考慮して、可及的に少ないが効果的な量のシード結晶を使用することは当業者には明らかであり、従来からの結晶化法に従って使用しなければならない。結晶化容器を軽く撹拌することによっても結晶化成長を促進させることができる。
本発明の方法によって製造された結晶セルラーゼは、当該分野でよく知られた方法に従い洗浄剤組成物またはストーンウオッシング組成物に使用することができる。さらに、本発明の方法によって製造された結晶セルロースは、当該分野でよく知られた方法に従い、デニム生地のストーンウオッシング、食品添加剤の調製または食品の製造に用いることもできる。
他の驚くべき発見は、本発明に従い製造された結晶セルラーゼ酵素は、他の方法によって製造された他のセルラーゼよりも、繊維工業の用途(例えばストーンウオッシング)におけるバックスティンが減少するということである。本発明の精製方法の効果を享受するセルラーゼを利用する方法の例としては、PCT公報No. WO92/06221に記載されているような繊維の処理方法がある。
実施例
実施例1
硫酸アンモニウム、硫酸マグネシウムおよび硫酸ナトリウムを用いるトリコデルマ・ロンギブラキアツムからのEGIIIの選択的結晶化
ペンタ欠失させたトリコデルマ・ロンギブラキアツム(Trichoderma longibrachiatum)の培養から得た培養ブロースの限外濾過濃縮物を含む水溶液(EGI,EGII,CBHI,CBHIIおよびβ−グルカナーゼ用)を調製した。本目的に適するそのようなペンタ欠失菌株の調製法は、PCT公報No. 92/06183に記載されている。限外濾過は、螺旋形限外濾過装置内に配置されカットオフが分子量10Kdのポリスルホン膜を用いて行った。得られたセルラーゼ溶液は濃度が35〜120 ONPC/mlであった。限外濾過濃縮物を室温にし、1NのHCl、酢酸または1NのNaOHを用いてpHを調整した。硫酸塩(硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウムまたは硫酸マグネシウム)を、撹拌しながらゆっくりとビーカー内に注入、添加して所望の濃度とした。該塩を添加した後、得られた溶液を室温において5時間インキュベーションした。インキュベーション後、反応スラリーの1mlを、机上型遠心分離機(IEC社製)を用いて3000rpmにおいて15分間遠心分離した。上清をデカンテーションして他の遠心分離管に移した。ペレットを酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)に再懸濁した。ペレットを分析して、当初の水溶液と比較した残存活性を調べた。
EGIII活性は、o−ニトロフェニル・セロビオシド(ONPC)法により測定した。
試薬:分析バッファーとして50mMの酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)を用いた。基質溶液は25mMのo−ニトロフェニル・セロビオシドとした。分析の終わりに50mMのグリシン(pH10)を用いてpHを調整した。β−グルコシダーゼインヒビターは5mMのグルコノラクトンである。
標準液およびサンプルの調製:EGIII酵素標準溶液を10倍稀釈して900ミクロリッターの分析バッファーとし、攪拌して標準原液を製造した。タンパク質の稀釈液(70倍、130倍および220倍)を調製した。分析バッファーを用いて稀釈することにより液状酵素サンプルを調製し、0.04〜0.18dA/分の吸光度が得られるようにした。この吸光度を用い標準検量線により酵素活性を算出した。
分析法:Codas・Fara試薬ラックを以下のようにセットアップした。インヒビターをスペースBに、基質をスペース#1に、および調製バッファーをスペース#2にそれぞれ設置した。分析バッファーを満たしたサンプルカップをポジション1および10に設置してバッファーブランクとした。2つのサンプルカップに、それぞれ標準液およびコントロール液を満たして、上記バッファーブランク間のサンプルラックに設置した。各サンプルのサンプルカップをスペース#10ブランクの後のサンプルラックに設置した。インキュベーションは40℃において10分間とした。各サンプルについて吸光度データをとり、以下のような計算に用いた:ブランクを差し引くと、標準液および適当に稀釈したサンプルが典型的な直線範囲にあるのは、0.04〜0.18dA/分である。反復測定した標準液、コントロール液およびサンプルの各々について最終的な吸光度の読みの平均値を算出した。最終的な吸光度の読みの平均値の各々からブランクの読みの平均を差し引いて、各標準液、コントロール液およびサンプルについての正味の吸光度を求めた。正味の吸光度が標準検量線内にあるサンプルについて測定を行った。標準液について、正味の吸光度と酵素濃度との関係を示す検量線を作成した。相関係数は少なくとも0.999であった。
Figure 0004034348
検量線から各液状コントロールおよびサンプルについてのONPC/ml値を、ONPC/ml=(検量線からの値)(稀釈倍数)という関係式に基づいて算出した。
(A)セルラーゼを含有する水溶液への硫酸アンモニウムの添加がセルラーゼ結晶化に与える影響を検討した。限外濾過濃縮物を上述したように調製してセルラーゼの最終濃度を約39 ONPC/mlとした。アンモニウム塩は5.0% w/vとした。pH7.2およびpH7.8の両方において結晶化EGIIIが生成し、その収率はそれぞれ7.5%および25.1%であった。
(B)セルラーゼを含有する水溶液への硫酸マグネシウムの添加がセルラーゼ結晶化に与える影響を検討した。限外濾過濃縮物を上述したように調製して最終濃度を約40 ONPC/mlとした。硫酸マグネシウムを濃度が約5%になるように添加し、pHを8または5に調整した。pH8および5の両方において結晶化EGIIIが5時間で生成し、その収率はそれぞれ11.4%および4.5%であった。
(C)セルラーゼを含有する水溶液への硫酸ナトリウムの添加がセルラーゼ結晶化に与える影響を検討した。限外濾過濃縮物を適当な濃度になるように上述のように調製した。インキュベーションは全て室温下に5時間実施した。
結果を表1に示す。
Figure 0004034348
実施例2
塩化アンモニウムを用いるトリコデルマ・ロンギブラキアツムからのEGIIIの選択的結晶化
実施例1と同様にして、トリコデルマ・ロンギブラキアツムの培養から得た培養ブロースの限外濾過濃縮物を含有する水溶液を調製した。培養により、限外濾過液のセルラーゼ濃度が43.2 ONPC/ml、ドライ物質含量が8.6%になるようにした。該限外濾過濃縮物を室温にし、攪拌しながら、塩化アンモニウム2% w/wの濃度でゆっくりとビーカーに注入、添加して所望の濃度にした。塩を添加した後、得られた溶液にシードとして予め調製していたEGIII結晶(2回洗浄し、水中に再スラリー化したもの)の少量を加え、水酸化アンモニウムを用いてpH6.0にした。サンプルを振盪フラスコに入れ、33℃で振盪しながらインキュベーションを行った。2時間後、顕微鏡で結晶の成長を観察した。インキュベーション後、反応スラリーの10mlアリコートを、遠心分離機(Sorvall Instruments社製、RC−3BRefrigerated Centrifuge)を用いて5000rpmで約20分間遠心分離した。得られたペレットについて当初の溶液の活性を分析した。
実施例3
EGIIIの蒸発結晶化
実施例1と同様に調製したトリコデルマ・ロンギブラキアツムの培養から得られた培養ブロースの限外濾過濃縮物(約50 ONPC/mlの活性を有する)を真空による強制蒸発に供して、自発的な結晶化が見られるか否かを調べた。室温下で10%のNaOHを用いて、該限外濾過濃縮物のpHを6.0に調整した。蒸発にはRotavapor Unit RE 121(スイスのBuchi製)を用いた。全量で2260mlの濃縮物を蒸発に供した結果、最終的な体積は660mlとなった。残留濃縮物(重量460g)の固形含量は約40%であり、暗色を呈していた。該残留物をTechnospin R(Sorvall Instruments社製)中で4000rpmで20分間、遠心分離して、40% v/vのペレットが生成され。上清をデカンテーションした。該ペレットは結晶セルラーゼを含有していなかった。
実施例4
トリコデルマ・ロンギブラキアツムからの完全セルラーゼの硫酸ナトリウム析出
トリコデルマ・ロンギブラキアツムの培養から得られた完全セルラーゼ(wholecellulase)について、試験を行い、セルロース結合ドメイン、EGI、EGII、CBHIまたはCBHIIを有するトリコデルマ・ロンギブラキアツム由来のセルラーゼが、EGIII(セルロース結合ドメインを欠く)の結晶化に適した条件下で結晶化するか否かを調べた。濃度が約1700RBB/mlでpHが5.0の限外濾過濃縮物を用いた。水酸化ナトリウムで1つのアリコートをpH7.2に調整した。pHが5.0の5個の振盪フラスコおよびpHが7.2の5個の振盪フラスコに2.5g、5.Og、7.5g、10.0gまたは20gの硫酸ナトリウムを入れ100mlとした。それらのフラスコを30℃において、インキュベーションし、3時間、5時間および24時間後に観察した。インキュベーションの各段階において、析出物が見られた場合にはアリコートを抜き出し、3000rpmで15分間回転させてペレットの結晶含有量を分析した。
3時間後にpH5.0および7.2の両方において20%硫酸ナトリウム振盪フラスコ中に析出物が観察された。該析出物を分析したところ、結晶セルラーゼは含有されていなかった。完全セルラーゼ中のEGIIIの量は1〜3%であり、可視的な結晶EGIIを生じるのは不十分であった。
実施例5
トリコデルマ・ロンギブラキアツムからのEGIの硫酸ナトリウム析出
実施例4の結果を確認するため、EGI以外のセルラーゼが欠失されたトリコデルマ・ロンギブラキアツム菌株の培養ブロースを調製し、フィルタープレスにかけ細胞分離を行った。濾過液は約300RBB/mlを含有していたが、これを限外濾過により大略5倍に濃縮して約1500RBB/mlとした。2種類のテストを並行して行い、pH5.0および7.2における結晶化の様子を分析した。温度32℃で、各pHにおける硫酸ナトリウム濃度は2.5%、5.0%、10.0%および20.0%であった。pH調整後、振盪フラスコ中で濃縮物に該塩を添加した。3時間、5時間および24時間に結果の分析を行った。いずれの時にも顕微鏡により結晶形成は認められなかった。
実施例6
塩化アンモニウムおよび硫酸ナトリウムを用いるいろいろな温度下におけるトリコデルマ・ロンギブラキアムEGIIIの結晶化
実施例1と同様に、トリコデルマ・ロンギブラキアツムの培養から得られた培養ブロースの限外濾過濃縮物を含有する水溶液を調製した。培養により、セルラーゼ濃度43.2 ONPC/mlおよびドライ物質含有量8.6%の限外濾過液が得られた。10mlのサンプルを4つ調製した。10%のNaOHを用いてそれらのサンプルのpHを5から6に調整した。該サンプルの2つに、攪拌しながら、塩化アンモニアを2% w/wの濃度でビーカーにゆっくりと注入、添加して所望の濃度とした。塩を添加した後、予め調製したEGIII結晶(2回洗浄し水中に再スラリー化したもの)の少量をシードとして添加した。サンプルを振盪フラスコに入れ、振盪しながら4℃(塩化アンモニウムの1サンプル、硫酸ナトリウムの1サンプル)または33℃(塩化アンモニウムの1サンプル、硫酸ナトリウムの1サンプル)においてインキュベーションを行った。22時間後、4℃でインキュベーションしたサンプルには結晶は形成されていなかったが、33℃でインキュベーションしたサンプルは結晶セルラーゼを含有していた。22時間後は、4℃でインキュベーションしていたサンプルを33℃でインキュベーションした。46時間後には、これらのサンプルも結晶セルラーゼを含有していた。これらの実験結果から、以前に採用していた温度(すなわち、4℃)よりも温度を高くすることにより結晶化が生じることが明らかである。4つのサンプルの収率を表2に示す。
Figure 0004034348
実施例7
ギ酸ナトリウム、酢酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、およびそれらを組み合わせて用いるトリコデルマ・ロンギブラキアツムからのEGIIIの選択的結晶化
実施例1と同様に、トリコデルマ・ロンギブラキアツムの培養から得られた培養ブロースの限外濾過濃縮物を含有する水溶液を調製した。培養により、限外濾液としてセルラーゼ濃度43.2 ONPC/mlおよびドライ物質含量8.6%を有するようにした。表3に示すように3%の塩を含有する5つのサンプルを作製した。サンプルのpHを7.2に調整し、そして、サンプルにシードは添加しなかった。これらのサンプルを31℃で振盪器に設置した。20時間の結晶化の後、顕微鏡でサンプルを観察した。全てのサンプルにおいて結晶セルラーゼが観察された。
Figure 0004034348
特定の実施例に沿って本発明を説明したが、本発明は種々に変更修正することができる。すなわち、本発明の原理に従い、本発明が関連する技術分野における既知のまたは慣用的な手段により、本明細書に記述した本質的な特徴が適用され、請求の範囲に属する任意の変形や変更も本発明に包含される。

Claims (17)

  1. セルロース結合ドメインを欠くEGIIIセルラーゼ酵素を結晶化する方法であって、
    (a)前記EGIIIセルラーゼ酵素を含有する水溶液を調製し、さらに
    (b)前記水溶液に、硫酸塩アニオン、リン酸塩アニオン、ギ酸塩アニオン、酢酸塩アニオン、ソルビン酸塩アニオン、塩化物アニオン、臭化物アニオン、フッ化物アニオンおよびヨウ化物アニオンから成る群より選ばれるアニオンと、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、アンモニウムカチオン、マグネシウムカチオンおよびカルシウムカチオンから選ばれるカチオンとから成る塩、またはそれらの混合物を添加する工程を含み、
    前記塩が1.5%から4.0% w/vの濃度で添加されることを特徴とする方法。
  2. 前記アニオンが硫酸塩アニオン、酢酸塩アニオンおよび塩化物アニオンから選ばれ、前記カチオンがナトリウムアニオン、アンモニウムアニオンおよびマグネシウムアニオンから成る群より選ばれることを特徴とする請求の範囲第1項記載の方法。
  3. 前記塩が、前記EGIIIセルラーゼ酵素を結晶化するのに充分な条件下にある硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、酢酸ナトリウム、酢酸アンモニウム、塩化ナトリウム、塩化アンモニウムまたは塩化マグネシウムから成ることを特徴とする請求の範囲第1項記載の方法。
  4. 混合物が、酢酸マグネシウムとギ酸ナトリウムとの組合せ、硫酸ナトリウムとギ酸ナトリウムとの組合せ、または、酢酸マグネシウムと硫酸ナトリウムとの組合せであることを特徴とする請求の範囲第1項記載の方法。
  5. 前記EGIIIセルラーゼ酵素が、糸状菌、酵素またはバクテリアに由来するものであることを特徴とする請求の範囲第1項記載の方法。
  6. 前記工程(b)が10℃から60℃の温度下に行われることを特徴とする請求の範囲第1項記載の方法。
  7. 前記工程(b)が20℃から40℃の温度下に行われることを特徴とする請求の範囲第1項記載の方法。
  8. 前記工程(b)が22℃から37℃の温度下に行われることを特徴とする請求の範囲第1項記載の方法。
  9. 前記工程(b)が4から10のpH下に行われることを特徴とする請求の範囲第1項記載の方法。
  10. 前記工程(b)が5.0から7.8のpH下に行われることを特徴とする請求の範囲第1項記載の方法。
  11. (c)工程(b)で調製された前記溶液をインキュベーションし、さらに
    (d)得られた結晶EGIIIセルラーゼ酵素を分離する
    各工程をさらに含むことを特徴とする請求の範囲第1項記載の方法。
  12. 前記工程(c)が、1時間から1週間の期間行われることを特徴とする請求の範囲第11項記載の方法。
  13. 前記工程(c)が、5時間から24時間の期間行われることを特徴とする請求の範囲第11項記載の方法。
  14. 前記EGIIIセルラーゼが、前記水溶液中に10 ONPC/mlから300 ONPC/mlの濃度で存在することを特徴とする請求の範囲第1項記載の方法。
  15. 前記EGIIIセルラーゼが、前記水溶液中に10 ONPC/mlから150 ONPC/mlの濃度で存在することを特徴とする請求の範囲第1項記載の方法。
  16. セルロース結合ドメインを有するセルラーゼ酵素から、セルロース結合ドメインを欠くEGIIIセルラーゼ酵素を分離する方法であって、
    (a)前記セルラーゼ酵素を含有する水溶液を調製し、
    (b)セルロース結合ドメインを欠くEGIIIセルラーゼ酵素を結晶化させるのに充分な条件下に、前記水溶液に、硫酸塩アニオン、リン酸塩アニオン、ギ酸塩アニオン、酢酸塩アニオン、ソルビン酸塩アニオン、塩化物アニオン、臭化物アニオン、フッ化物アニオンもしくはヨウ化物アニオンから成る群より選ばれるアニオンと、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、アンモニウムカチオン、マグネシウムカチオンもしくはカルシウムカチオンから選ばれるカチオンとから成る塩、またはそれらの混合物を添加し、さらに
    (c)セルロース結合ドメインを欠く結晶EGIIIセルラーゼ酵素を、セルロース結合ドメインを有するセルラーゼ酵素を含有する前記水溶液から分離する
    工程を含み、
    前記塩が1.5%から4.0% w/vの濃度で添加されることを特徴とする方法。
  17. セルロース結合ドメインを欠くEGIIIセルラーゼ酵素を結晶化する方法であって、
    (a)前記EGIIIセルラーゼ酵素を含有する水溶液を調製し、さらに
    (b)前記水溶液に、硫酸塩アニオン、リン酸塩アニオン、ギ酸塩アニオン、酢酸塩アニオン、ソルビン酸塩アニオン、塩化物アニオン、臭化物アニオン、フッ化物アニオンもしくはヨウ化物アニオンから成る群より選ばれるアニオンと、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、アンモニウムカチオン、マグネシウムカチオンもしくはカルシウムカチオンから選ばれるカチオンとから成る塩、またはそれらの混合物を添加する工程を含み、
    前記塩が1.5%から4.0% w/vの濃度で添加され、さらに
    前記工程(b)が10℃から60℃の温度下に行われることを特徴とする方法。
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