JP4033777B2 - 角形コラムの製造方法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば建築用柱材の接続に使用される大径で厚肉の角形コラムの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のものとしては次のような構成が提供されている。すなわち、角形鋼管からなり径の大きい下部柱の上端に角形のレデューサー(コラム)の下端を、裏当て金やダイヤフラムを介して溶接結合し、そしてレデューサーの上端に角形鋼管からなり径の小さい上部柱の下端を、裏当て金やダイヤフラムを介して溶接結合している。ここでレデューサーは、鋼板により形成されている(たとえば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平5−331911号公報(第2頁、図7)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来構成によると、通常、下部柱や上部柱は、1枚の鋼板に対して4箇所のプレス曲げを行ったのち1箇所を溶接して形成するか、2枚の鋼板に対してそれぞれ2箇所のプレス曲げを行ったのち2箇所を溶接して形成しており、またレデューサーは、台形状の4枚の鋼板を溶接(4箇所溶接)して形成するか、C字状に切断された1枚の鋼板に対して4箇所のプレス曲げを行ったのち1箇所を溶接して形成するか、C字状に切断された2枚の鋼板に対してそれぞれ2箇所のプレス曲げを行ったのち2箇所を溶接して形成している。
【0005】
したがって、特に変形(台形状)に形成されるレデューサーは、プレスによる曲げ精度が低いことから、柱とレデューサーとを溶接結合した鋼管柱は形状精度が悪くなる恐れがある。これを解決するために、柱やレデューサーを手作業によって精整して曲げ精度の補正を行っており、この手作業には多大な労力と時間を要することになる。
【0006】
そこで本発明の請求項1記載の発明は、形状精度が良く、しかも残留応力がなく、かつ十分な靱性を有する角形コラムを、手作業による精整作業を殆ど行うことなく、容易に確実に製造し得る角形コラムの製造方法を提供することを目的としたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するために、本発明の請求項1記載の角形コラムの製造方法は、鋼板を曲げ成形したのち溶接することで、一端と他端との外形寸法が異なった少なくとも2面テーパでかつコーナ部が大きな曲げ半径の半成形角形コラムを形成し、この半成形角形コラムを加熱したのち、成形手段による熱間成形を行い、この成形手段はロール成形形式であって、半成形角形コラムの長さ方向における相対移動位置に応じて、成形ロールの位置を接近離間方向に移動制御しながら熱間成形を行うことによって、一端と他端との外形寸法が異なった少なくとも2面テーパでかつコーナ部が所定の曲げ半径の角形コラムとしたことを特徴としたものである。
【0009】
したがって請求項1の発明によると、曲げ精度が低い半成形角形コラム、すなわち、外形寸法が大きくかつコーナ部が大きな曲げ半径の半成形角形コラムを加熱したのち、半成形角形コラムの長さ方向における相対移動位置に応じて、成形ロールの位置を移動制御しながら成形手段によって熱間成形することで、所定の外形寸法でかつコーナ部が所定の曲げ半径の角形コラムを製造し得る。これにより、半成形角形コラムが例え厚肉、大径であったとしても、多大な労力と時間を要する手作業による精整作業を行うことなく、その形状精度は良いものになる。さらに角形コラムは、熱間成形によって、残留応力が殆どなくて高い座屈強度が得られるとともに、二次溶接性に優れ、かつ十分な靱性を有するものとなる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を、中央箇所使用形式の角形鋼管柱に接続される4面テーパの角形コラムを対象として、図1〜図9に基づいて説明する。
【0015】
図1に示すように、半成形角形コラム1は、所定の形状に切断形成された鋼板1Aを、プレスなどにより曲げ成形したのち、溶接により結合することで、一端1aの外形寸法と他端1bの外形寸法が異なる断面台形状に形成されている。
【0016】
その際に、最終形状(最終製品)に対して、一端1aは外形寸法Dαが大きくかつコーナ部が大きな曲げ半径Rαに形成され、また他端1bは外形寸法dαが大きくかつコーナ部が大きな曲げ半径Rαに形成されている。ここで半成形角形コラム1としては、突き合わせ溶接部2が1箇所のワンシーム形状が示されているが、これは突き合わせ溶接部が2箇所のツーシーム形状などであってもよい。
【0017】
上記のように形成された半成形角形コラム1を、図2に示すように加熱炉(加熱手段の一例)10に入れて加熱する。この加熱炉10は、高周波、ガス、油などによる加熱形式であり、以て全体を600〜1000℃(A3変態点を含む。)に加熱する。
【0018】
そして半成形角形コラム1を加熱炉10から出し、適宜の搬送手段(移載手段)を介して、図3、図4に示すように、加熱された半成形角形コラム1を熱間成形する成形手段11に渡す。この成形手段11は、他端1bを上位とした半成形角形コラム1の下向きの一端1aを支持可能なベース体12と、このベース体12の周辺に配設されたコラム成形装置13などからなる。なおベース体12の上面側には、前記一端1aに嵌合可能な突出部12aが形成されている。
【0019】
前記コラム成形装置13はロール成形形式であって、昇降枠14側に、前後一対かつ左右一対で合計4個の成形ロール15などを設けることにより構成されている。これら成形ロール15は、それぞれロール支持体16に対して横方向の軸心回りに回転可能に支持されており、そして駆動装置(図示せず。)によって、それぞれ駆動回転可能に構成されている。前記ロール支持体16は、それぞれ昇降枠14側に設けられた加圧用シリンダー装置17の内向きのピストンロッドに連結されており、以て加圧用シリンダー装置17の伸縮動によって、ロール支持体16を介して成形ロール15が各別に横方向に移動可能に構成される。
【0020】
そして、ベース体12の外方複数箇所には、上向きの昇降用シリンダー装置18が設けられ、これら昇降用シリンダー装置18の上向きのピストンロッドに前記昇降枠14が連結されている。その際に加圧用シリンダー装置17や昇降用シリンダー装置18の伸縮動は、制御部19によって制御されるように構成されている。以上の12〜19などにより、成形ロール15の位置を移動制御しながら熱間成形を行う成形手段11の一例が構成される。
【0021】
前述したように、加熱炉10において加熱された半成形角形コラム1は、図3、図4に示すように、その他端1bを上位として、下向きの一端1aをベース体12に支持させるとともに、一端1aを突出部12aに嵌合させる。このときコラム成形装置13では、昇降用シリンダー装置18の伸展により昇降枠14を上昇させて、成形ロール15群を他端1bよりも上方に位置させている。さらに加圧用シリンダー装置17の伸展により、前後一対の成形ロール15の相対向面間距離、ならびに左右一対の成形ロール15の相対向面間距離を、大きな外形寸法dαよりも小さく、すなわち所定の外形寸法dと同等にしている。
【0022】
この状態で制御部19を介して、まず昇降用シリンダー装置18の収縮により昇降枠14を下降させながら、加圧用シリンダー装置17を徐々に収縮動させ、以て前後の成形ロール15を前後方向で互いに徐々に離間動させるとともに、左右の成形ロール15を左右方向で互いに徐々に離間動させる。その際に成形ロール15群の離間動の制御は、半成形角形コラム1におけるテーパ面(傾斜外面)を形状検出装置(図示せず。)により随時検出することで、あるいは他端1bの部分の検出をスタートとして、あらかじめ設定されたパターンに基づいて行われる。
【0023】
このような成形ロール15群の離間動ならびに昇降動によって半成形角形コラム1は、前後ならびに左右から加圧されながら熱間成形される。この熱間成形によって半成形角形コラム1は、図5、図6に示すように、他端1bが、最終形状に対応した所定の小さな外形寸法dでかつコーナ部が所定の曲げ半径Rに形成される。そして図7、図8に示すように、一端3aが、最終形状に対応した所定の外形寸法Dでかつコーナ部が所定の曲げ半径Rに形成され、また他端3bから一端3aの間では、最終形状に対応した所定の外形寸法d〜D内でかつコーナ部が所定の曲げ半径Rに形成される。
【0024】
なお成形に際しては、半成形角形コラム1の他端3bに対して、上方から押え体(図示せず。)によって弾性的に押えることも可能である。
上述したような熱間成形を行ったのち、成形手段11から取り出して放冷(冷却)することで、図9の実線に示すように、中央箇所使用形式の角形鋼管柱に接続される4面テーパの角形コラム(最終製品)5を得ることができる。
【0025】
このようにして製造した角形コラム5は、曲げ精度が低い半成形角形コラム1を熱間成形することで、例え厚肉、大径であったとしても、多大な労力と時間を要する手作業による精整作業を行うことなく、その形状精度は良いものになり、しかも熱間成形によって、残留応力が殆どなくて高い座屈強度が得られるとともに、二次溶接性に優れ、かつ十分な靱性を有するものとなる。
【0026】
そして図9の実線に示すように、角形コラム5は、その一端1aが下部角形鋼管柱6の上端に当接されて溶接Aされ、他端1bに上部角形鋼管柱7の端が当接されて溶接Bされることで、建築物における中央箇所使用のコラム付き角形鋼管柱の連結構成材として使用される。なおコラム5には、図9の仮想線に示すように、梁材8が連結される。
【0027】
図10(a)〜(g)には、成形手段11による種々な熱間成形方式が示されている。すなわち(a)は、半成形角形コラム1の下向きの他端1bをベース体12に支持させた状態で、成形ロール15群を接近離間動、ならびに下降動させることで、熱間成形を行う方式である。
【0028】
また(b)は、成形ロール15群を接近離間動のみとし、適宜の保持手段により保持した半成形角形コラム1を、その他端1bを下向きとして下降動させることで、熱間成形を行う方式である。そして(c)は、成形ロール15群を接近離間動のみとし、適宜の保持手段により保持した半成形角形コラム1を、その一端1aを下向きとして下降動させることで、熱間成形を行う方式である。
【0029】
さらに(d)は、適宜の保持手段により半成形角形コラム1を横向きに保持させた状態で、成形ロール15群を接近離間動、ならびに横向きの他端1b側から横移動させることで、熱間成形を行う方式である。また(e)は、適宜の保持手段により半成形角形コラム1を横向きに保持させた状態で、成形ロール15群を接近離間動、ならびに横向きの一端1a側から横移動させることで、熱間成形を行う方式である。
【0030】
そして(f)は、成形ロール15群を接近離間動のみとし、適宜の保持手段により横向きに保持した半成形角形コラム1を、その他端1b側から横移動させることで、熱間成形を行う方式である。さらに(g)は、成形ロール15群を接近離間動のみとし、適宜の保持手段により横向きに保持した半成形角形コラム1を、その一端1a側から横移動させることで、熱間成形を行う方式である。
【0031】
上記した実施の形態では、中央箇所使用形式のコラム付き角形鋼管柱を構成する4面テーパの角形コラム5を得ているが、これは半成形角形コラムのプレスなどによる曲げ成形や、成形ロール15群の移動を制御することで、同様にして、側箇所使用形式のコラム付き角形鋼管柱を構成する3面テーパの角形コラムや、隅箇所使用形式のコラム付き角形鋼管柱を構成する2面テーパの角形コラムなどを得ることができる。
【0032】
上記した実施の形態において、加圧用シリンダー装置17や昇降用シリンダー装置18としては油圧形式や空圧形式などが採用される。またシリンダー装置の形式に代えて、螺子形式なども採用できる。
【0033】
【発明の効果】
上記した本発明の請求項1によると、曲げ精度が低い半成形角形コラム、すなわち、外形寸法が大きくかつコーナ部が大きな曲げ半径の半成形角形コラムを加熱したのち、半成形角形コラムの長さ方向における相対移動位置に応じて、成形ロールの位置を移動制御しながら、成形手段によって熱間成形することで、所定の外形寸法でかつコーナ部が所定の曲げ半径の角形コラムを製造できる。これにより、半成形角形コラムが例え厚肉、大径であったとしても、多大な労力と時間を要する手作業による精整作業を行うことなく、その形状精度を良いものにでき、以て角形コラムを容易に確実に製造できる。さらに角形コラムは、熱間成形によって、残留応力が殆どなくて高い座屈強度を得ることができるとともに、二次溶接性に優れ、かつ十分な靱性を有するものにできる。これにより、たとえば建築用柱材の接続に使用される大径で厚肉の角形コラムを好適に提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示し、角形コラムの製造方法に使用される半成形角形コラムで、(a)は一部切り欠き側面図、(b)は正面図である。
【図2】同角形コラムの製造方法における加熱の説明図である。
【図3】同角形コラムの製造方法において、成形手段に半成形角形コラムをセットした状態での一部切り欠き正面図である。
【図4】同角形コラムの製造方法において、成形手段に半成形角形コラムをセットした状態での平面図である。
【図5】同角形コラムの製造方法において、成形手段によるコラム他端の成形時での一部切り欠き正面図である。
【図6】同角形コラムの製造方法において、成形手段によるコラム他端の成形時での平面図である。
【図7】同角形コラムの製造方法において、成形手段によるコラム一端の成形時での一部切り欠き正面図である。
【図8】同角形コラムの製造方法において、成形手段によるコラム一端の成形時での平面図である。
【図9】同角形コラムの使用時の側面図である。
【図10】本発明の別の実施の形態を示し、(a)〜(g)は、成形手段による種々な熱間成形方式の概略正面図である。
【符号の説明】
1 半成形角形コラム
1a 一端
1b 他端
1A 鋼板
2 突き合わせ溶接部
5 角形コラム(最終製品)
6 下部角形鋼管柱
7 上部角形鋼管柱
8 梁材
10 加熱炉(加熱手段)
11 成形手段
12 ベース体
13 コラム成形装置
14 昇降枠
15 成形ロール
17 加圧用シリンダー装置
18 昇降用シリンダー装置
19 制御部
Dα 大きな外形寸法
D 所定の外形寸法
dα 大きな外形寸法
d 所定の外形寸法
Rα 大きな曲げ半径
R 所定の曲げ半径
Claims (1)
- 鋼板を曲げ成形したのち溶接することで、一端と他端との外形寸法が異なった少なくとも2面テーパでかつコーナ部が大きな曲げ半径の半成形角形コラムを形成し、この半成形角形コラムを加熱したのち、成形手段による熱間成形を行い、この成形手段はロール成形形式であって、半成形角形コラムの長さ方向における相対移動位置に応じて、成形ロールの位置を接近離間方向に移動制御しながら熱間成形を行うことによって、一端と他端との外形寸法が異なった少なくとも2面テーパでかつコーナ部が所定の曲げ半径の角形コラムとしたことを特徴とする角形コラムの製造方法。
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- 2003-01-28 JP JP2003018110A patent/JP4033777B2/ja not_active Expired - Lifetime
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