JP4033396B2 - 可変コンデンサー及びそれを備える無線通信機器 - Google Patents

可変コンデンサー及びそれを備える無線通信機器 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、中短波帯で使用可能な送受信用バーアンテナに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
これまで知られているバーアンテナ、すなわち、フェライトバーに巻きつけたコイルとコンデンサーとを組み合わせて目的周波数に共振させるように構成したアンテナには、たとえば、非特許文献1が開示するものがあるが、これらのバーアンテナは、発明者が知る限りにおいてすべて受信専用である。この非特許文献1が開示するバーアンテナは、4本のフェライトバーを接着により束ねてフェライトバー群を構成し、このフェライトバー群の周りに被覆単線を巻きつけてコイルを形成してある。
【0003】
【非特許文献1】
THE ARRL ANTENNA BOOK 19th Edition(2000年8月発行)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
受信専用とはいえバーアンテナが使用される主たる理由は、それが他の種類のアンテナに比べてはるかに小型である点にある。小型であることは、その設置に必要な面積が少なくて済むということであるから、設置場所を選ばず僅かなスペースさえあれば設置可能であるため非常に使い勝手がよい。他方、このようなバーアンテナを送信にも使用可能とするための改良が種々行われてきたが、今だ、その完成例をみない。それは、アンテナ効率の悪さに起因する。受信用であるかぎりアンテナ効率の悪さは受信機のゲインである程度補うことができるが、送信用としても使用するとなるとアンテナ効率の悪さを補うのには大きな送信電力が必要となる。しかし、小型のバーアンテナに大電力を供給することは、現実的でない。たとえば、アマチュア無線家のように中短波帯において使用する者にとっては、自宅や移動先において、ほとんどの場合に限られた僅かなスペースの中に設置しなければならないが、そのようなスペースの中に設置可能な送受信用の小型アンテナを提供することが、本発明の目的である。すなわち、本発明が解決しようとする課題は、バーアンテナを、それが小型であるという利点を生かしながら、受信だけでなく送信にも使用可能に構成すること、つまり、送受信用バーアンテナ(以下、適宜「バーアンテナ」と略称する)とすることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
大電力を供給しないで送信するためには、バーアンテナのアンテナ効率をよくする必要があるが、そのための主たる手法として、そのアンテナの放射抵抗の値を大きく損失抵抗の値を小さくすることが知られている。発明者は、鋭意研究を重ねた結果、様々な観点から、その手法を実現した。その詳しい内容については、項を改めて説明する。なお、何れかの請求項に係る発明を説明するに当たって行う用語の定義等は、その性質上可能な範囲において他の請求項に係る発明にも適用されるものとする。
【0006】
(請求項1記載の発明の特徴)
請求項1記載の発明に係るバーアンテナは、直径5〜20mmのフェライトバーを4〜15本束ねてなるフェライトバー群と、当該フェライトバー群の外周に巻きつけた共振用コイルと、当該共振用コイルに並列接続した可変コンデンサーと、当該フェライトバー群の外周に巻きつけた給電用コイルと、を含み、少なくとも当該共振用コイルが、直径0.03〜0.15mmの被覆素線を60〜2000本束ねてなる集合結束線により構成してある。共振用コイルに使用する集合結束線は、これと同じ集合結束線を用いて給電用コイルを構成してもよい。可変コンデンサーは、第1対向面を有する第1電極と、当該第1対向面と対向する第2対向面を有する第2電極と、当該第1対向面に対する当該第2対向面の対向面積を可変とする可変構造と、を備え、当該第1電極を第1絶縁対向面を有する第1絶縁体により密閉し、当該第2電極を第2絶縁対向面を有する第2絶縁体により密閉することによって絶縁破壊開始電圧を高めてある。可変構造の可変原理は、たとえば、第1電極を第2電極に対して回転させるものや、水平方向にスライドさせるものがある。請求項1の送受信用バーアンテナは、波長が比較的長い、すなわち、比較的大型のアンテナが求められる中短波用に好適であるが、より波長の長い長波帯においても使用することができる。
【0007】
請求項1記載のバーアンテナによれば、共振用コイルを集合結束線により構成してあるので、単線により構成したコイルに比べて導体抵抗値が小さい。すなわち、集合結束線は単線に比べて表皮効果による損失が小さいので、これが導体抵抗値を低く抑える。損失抵抗の一部である導体抵抗値が低ければ、同じ共振用コイルであって単線により構成したものに比べてアンテナ効率がよくなる。したがって、バーアンテナを送受信双方のために使用することができる。上述した構成に限定する趣旨ではないが、発明者の実験によれば、上記範囲及び上記本数としたときに、アンテナ効率の向上を図ることができた。これは、前記構成を採用することにより、等価並列抵抗の値が大きくなり、これが放射抵抗を大きくした結果によるものと推測できる。
【0008
請求項のバーアンテナによれば、さらに、より大きな高周波電力を効率よく送信可能にする。すなわち、共振用コイルと可変コンデンサーによる並列共振回路は、送信周波数において高インピーダンスとなるので、送信時における可変コンデンサーの両端、すなわち、第1電極と第2電極との間には高電圧が印加される。このため、可変コンデンサーには、高い耐電圧が要求される。一般的な可変コンデンサーは大型のものでも数kV程度で電極間において放電が始まるが、真空コンデンサーの中には20kV程度に耐えられるものもある。しかし、真空コンデンサーは、その構造上、一般的に大型とならざるを得ず、小型化を目指すバーアンテナには、必ずしもふさわしくない。そこで、真空コンデンサーと同等又はそれ以上の耐圧を小型で簡易な構造により実現したのが、上記構成を有する可変コンデンサーである。すなわち、上記した可変コンデンサーは、第1電極は第1絶縁体により、また、第2電極は第2絶縁体により、それぞれ密閉され外気と遮断されているため、外気中に裸で存在する電極に比べて、空中放電(絶縁破壊)開始電圧を高められるようになっている。
【0009
【発明の実施の形態】
次に、各図を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。図1は、バーアンテナの斜視図である。図2は、図1に示すバーアンテナの等価回路である。図3は、図1に示すバーアンテナのX−X断面図である。図4は、図3に示す集合結束線のZ−Z断面図である。図5は、図1に示す可変コンデンサーの正面図である。図6は、図1に示す可変コンデンサーのY−Y断面図である。なお、図4に示す断面図は、理解を容易にするために各被覆素線を実際の大きさよりも誇張して描いてある。
【0010
(バーアンテナの概略構造)
図1及び2に基づいて説明する。バーアンテナ1は、コアとなるフェライトバー群3と、フェライトバー群3の外周に巻きつけた共振用コイル5及び給電用コイル7と、共振用コイル5に並列接続した可変コンデンサー51と、により概ね構成してある。バーアンテナ1は、主として中短波帯において好適に用いることができるが、本実施形態では、アマチュア無線に使用される7MHz帯において送受信できるように構成してある。
【0011
(フェライトバー群の構造)
図1及び3に示すように、フェライトバー群3は、複数(本実施形態では7本)のフェライトバー3pをバインダー3bにより束ねてなるものである。フェライトバー3pの本数は、使用するフェライトバーの寸法や使用周波数帯等の違いに応じて適宜変更することができる。この点については、後述する。各フェライトバー3pには、入手が比較的容易であることから、直径10mm、長さ200mm、比透磁率μi=120である中波帯受信用フェライトバー(TDK株式会社製)を流用したが、これ以外の規格のフェライトバーであっても構わない。バインダー3bは、これをフェライトバー3p同士を接着する接着剤により構成してもよいが、各種の実験や改良等を行うときに簡単に分離できるように、合成樹脂製シートで構成し、これを巻きつけることによりフェライトバー3p同士をバインドできるようにしてある。巻きつけたバインダー3bは、その上に巻きつけるコイルにより押えられて外れないようにしてある。
【0012
(コイルの構造)
図1乃至4を参照しながら、説明する。フェライトバー群3の外周に巻きつけた共振用コイル5は、それと並列接続した可変コンデンサー51とともに7MHz帯に共振可能に構成してある。共振用コイル5は、後述する集合結束線11により構成してある。図1に示す共振用コイル5は、疎巻きしてあるが、これを密巻きにしても構わない。共振用コイル5は、その全体又は両端のフェライトバー群3(バインダー3b)外周への接着剤による接着や、結束バンド等によるコイル両端の結束等を行うことにより、簡単に外れないようにしておくとよい。
【0013
給電用コイル7は、集合結束線11をフェライトバー群3の外周に巻きつけることにより構成してある。この点で、共振用コイル5と共通する。給電用コイル7と共振用コイル5とは、両者がフェライトバー群3を介して密に結合し易いように、フェライトバー群3の長さ方向に並べて配してある。このように並べて配したのは、構造が比較的シンプルであるため製造しやすい点と、給電用コイル7の巻数を増減するだけで入力インピーダンスの調整がしやすい点とを考慮したためである。本実施形態では、給電用コイル7の入力インピーダンスを50Ωに調整しておき、同軸ケーブル19を介してトランシーバー101(図1参照)に接続可能に構成してある。指向性の左右バランスを重要視する場合は、たとえば、平衡型の給電用コイル(図示を省略)を採用する方法もある。給電用コイルの形態に、格別の制限はない。必要に応じて、適宜、整合回路(図示を省略)等を挿入して、インピーダンスの整合を図ってもよい。
【0014
(集合結束線の構造)
図3及び4に基づいて説明する。共振用コイル5及び給電用コイル7を構成する集合結束線11は、複数の被覆素線13を束ねてなるものである。複数の被覆素線13は、これらと同じ断面積を持つ単線に比べて表皮面積が大きいため表皮効果による損失が小さくなるので、これらを用いることにより、共振用コイル5及び給電用コイル7の導体抵抗値を低く抑えることができる。このことが、アンテナ効率の向上に貢献して、バーアンテナ1を送受信双方のために使用可能とする一因となる。
【0015
集合結束線11を構成する各被覆素線13は、多数の直径0.08mmのポリウレタン被覆線により構成してある。これは、入手が比較的容易であるからであって、この寸法に限定する趣旨ではない。たとえば、0.03〜0.15mmの範囲内の直径のポリウレタン被覆線等を好適に用いることができる。集合結束線11を構成する被覆素線13の数は、上記の0.08mmポリウレタン被覆線を用いた場合は、90本以上、特に630本以上としたときに好結果を得た。この点については、後述する。多数の被覆素線13を束ねて被覆材11aにより被覆したものが、集合結束線11である。集合結束線に類似するものとして、リッツ線がある。このリッツ線には、高周波用のみならず、発電機用、モータ用等、様々な目的のために様々な仕様のものが作られている。高周波用としてはせいぜい30本程度である。これでは本発明が目的とするところの性能を得ることができない。発明者は研究・実験の結果、21倍の630本という通常ではあり得ない本数の被覆素線を用いて、自ら集合結束線を構成し好結果を得た。ちなみに、0.08mmの被覆素線を630本束ねた場合の束全体の直径は、約3.5mmであるが、これを、表皮効果の観点からその表面積に着目すると直径50mmの単線の表面積に相当する。
【0016
(可変コンデンサーの構造)
図1、3、及び6に基づいて説明する。可変コンデンサー51は、固定片52と、この固定片52に対してスライド(摺動)可能に設けたスライド片53と、このスライド片53をスライドさせるためのスライド機構(可変構造)54と、から概ね構成してある。固定片52は、第1対向面58を有する第1電極57と、第1絶縁対向面60を有する第1絶縁体59と、から構成してある。第1絶縁体59は、絶縁板59aと、この絶縁板59aの下面に配した第1電極57を下方から密閉するための絶縁ケース59bと、から構成してある。本実施形態では、絶縁板59aをアクリル樹脂により、また、絶縁ケース59bをシリコンゴムにより、それぞれ構成してあるが、これら以外の絶縁素材により各々の部材を構成可能であることは言うまでもない。さらに、絶縁板と絶縁ケースを同一の樹脂により一体成形する方法もある。
【0017
他方、スライド片53は、第2対向面64を有する第2電極63と、第2絶縁対向面66を有する第2絶縁体65と、から構成してある。第2絶縁体65は、絶縁板65aと、この絶縁板65aの上に載せた第2電極63を上方から密閉するための絶縁ケース65bと、から構成してある。本実施形態では、固定片52と同様に、絶縁板65aをアクリル樹脂により、また、絶縁ケース65bをシリコンゴムにより、それぞれ構成してある。これら以外の絶縁素材により各々の部材を構成してもよいし、固定片52で用いた絶縁素材とは異なる素材で構成してもよい。第1電極57は第1絶縁体59により、また、第2電極63は第2絶縁体65により、それぞれ外気から遮断されるため、遮断されていない場合に比べて空中放電(絶縁破壊)開始電圧を高くすることができる。これが、バーアンテナ1の耐入力電圧を高めることに貢献する。可変コンデンサー51を構成する第1電極57及び第2電極63には、厚さ0.15mm、直径30mmのアルミシートを、また、絶縁板59a,65aには厚さ3mm、80×80mmの透明アクリル板を、さらに、絶縁ケース59b,65bには厚さ3mmのシリコンゴムを、それぞれ採用して約20pFの可変コンデンサー51を作成し耐圧実験を行ったところ、その耐圧は13kVであった。
【0018
(スライド機構)
スライド機構54は、絶縁板65aの上面に固定したラック54bと、このラック54bと噛み合うピニオン54aとにより構成してあり、ピニオン54aを回転させることにより、スライド片53を図6の左右方向にスライドさせられるようになっていて、このスライドにより、第1電極57の第1対向面58と、第2電極63に対する第2対向面64の対向面積を変化させられるようになっている。スライド機構54は、調整により決定した固定片52とスライド片53との間の重ね合わせ面積(対向面積)を保持する役目をもになっている。ラック54bとピニオン54aの組み合わせの代わりに、たとえば、スライド片53のスライドを手作業により行い、対向面積決定後に、こののスライド片53を固定片52に対して結束バンドやクリップなどの固定部材(図示を省略)により固定する方式を採用することもできる。この場合は、この固定部材がスライド機構を構成する。
【0019
上述した可変コンデンサー51は、真空バリコン等に比べてはるかにシンプルな構造であり、安価であるにもかかわらず、きわめて高耐圧な特性を持つ。このため、本実施形態におけるバーアンテナ1のように高耐圧が要求されるアンテナにとって、可変コンデンサー51は、たいへん使い勝手がよい。他方、可変コンデンサーの可変方式には、可変コンデンサー51が採用するスライド式のもののほか、一般的なロータリー式のものがある。このロータリー式の可変コンデンサーは、ステーターに対してローターが回転して静電容量を可変できるようになっている。このようなロータリー式の可変コンデンサーの採用を妨げる趣旨ではないが、本実施形態においてスライド式の可変コンデンサーを採用したのは、次の理由による。すなわち、ロータリー式の可変コンデンサーは、高周波電流がローターの軸受を介して流れるため、その部分に接触抵抗が生じるが、この接触抵抗がアンテナ効率の低下の一因となりうるため、本実施形態では採用しなかった。本実施形態で採用した可変コンデンサー51は、スライド式であるため、ロータリー式の可変コンデンサーが必要とする軸受を必要としない。つまり、接触抵抗が生じる余地がない。ロータリー式可変コンデンサーの接触抵抗がどの程度の大きさであるかは、可変コンデンサーの個別特性に依存するものであって正確な数値は知るところではないが、使用するのであれば、特に軸受の接触抵抗に留意すべきである。
【0020
(実験結果)
次に示す表1を参照しながら、7MHz帯に共振させたバーアンテナの交信実験の結果について説明する。実験結果の検討は、表1の左端に付してある実験番号の順に行う。評価は、A〜Fまでの6段階で行い、Aが最高レベルでありCレベル以上を送受信用として使用可能なものとした。具体的には、聞こえる局とは電話モードで普通に交信できるレベルがA、信号強度が強い局、受信能力が高い局とのみ電話モードで交信できるレベルがB、及び、聞こえる局とは電信モード(モールス符号を用いる通信モード)で普通に交信できるレベルがCである。さらに、信号強度が強い局、受信能力が高い局とのみ電信モードで交信できるレベルがD、やっと交信が成立するレベルがE,及び、交信不能な場合をFとした。なお、Cレベル以上を使用可能レベルとしたのは、この実験では、アマチュア無線用の7MHz帯を対象としており、アマチュア無線では不特定多数の相手と交信することが目的であるため、聞こえない局は論外であるが聞こえるのであれば少なくとも電信モードで普通に交信できなければ意味がないと考えたからである。アマチュア無線用や業務無線等において、たとえば、常に信号強度が強く受信能力も高い特定の相手と交信することが目的であれば、Dを使用可能レベルとすることができる。
【0021
【表1】
Figure 0004033396
【0022
(実験1)
本実施形態で使用するフェライトバー3pと同じフェライトバーを3本束ねてフェライトバー群を構成し、3.5平方mmの市販ビニール被覆線を用いて共振用コイル及び給電用コイルを構成した。共振用コイルとともに並列共振回路を構成する可変コンデンサーとして350pFロータリー式ポリバリコンを使用したところ、共振用コイルを12回巻きとしたときに7MHz帯に共振した。給電用コイルは20回巻きのときに入力インピーダンスが50Ωとなった。上記構成を有する実験1に係るバーアンテナにトランシーバーを接続して交信を試みたが、聞こえる局が非常に少なかった。そこで、+20dBのプリアンプを挿入して受信感度を向上させて、聞こえる局を呼んだが、何れの局とも交信成立しなかった。すなわち、レベルFである。交信が成立しなかった要因は、単線により構成した共振用コイルの損失、ポリバリコンの損失が、大きすぎるためであると推測される。なお、実験に際してトランシーバーの出力を、当初0.5Wから徐々に上げていったところ、5Wのときにポリバリコンが放電してしまい、それを超えて出力を上げることはできなかった。
【0023
(実験2)
実験2では、実験1の可変コンデンサーよりも小さい容量であり、かつ、耐圧の高い可変コンデンサーを使用した。具体的には、耐圧1kVの150pFロータリー式タイト製可変コンデンサーを使用した。7MHz帯に共振させるために、静電容量を小さくした分、コイルの巻数を多くした。フェライトバーの長さは、実験1のときと変わらないので、同じ長さのフェライトバーにより多くの巻数のコイルを巻くために、実験1で用いたビニール被覆線よりも細い2平方mmポリエチレン被覆線を使用した。ビニール被覆線の代わりにポリエチレン被覆線を使用したのは、被覆材の誘電体損失をより少なくするためである。共振用コイルの巻数は15、給電用コイルの巻数は14であった。実験2に係るバーアンテナに+10dBのプリアンプを挿入して交信を試みたが、何れの局とも交信できず、レベルFであった。可変コンデンサーの耐圧を1kVとしたので、送信出力が40Wを超えたところで放電した。
【0024
(実験3)
フェライトバーを7本に増やし、耐圧1kVの20pFロータリー式タイト製可変コンデンサーと、実験2で用いたものと同じ2平方mmのポリエチレン被覆線により、実験3に係るバーアンテナを構成した。このとき、共振用コイルの巻数は29、給電用コイルの巻数は10であった。+10dBのプリアンプを挿入して交信を試みたところ、やっと交信の成立をみた。レベルEである。可変コンデンサーは、送信出力が30Wを越えたところで放電した。
【0025
(実験4)
実験3で使用した可変コンデンサーを、実験用に自作した20pFスライド式可変コンデンサーに変更することにより、実験4に係るバーアンテナを構成した。この可変コンデンサーの各電極は絶縁体により密閉していないものであるが、実験によると6kVを超えると電極間で空中放電が始まった。共振用コイルの巻数は29で変わらず、給電用コイルの巻数は8であった。+10dBのプリアンプを挿入して交信を試みたところ、信号強度が強く受信能力が高い局と電信モードで交信できた。レベルDである。可変コンデンサーは、送信出力が70Wを越えたところで放電した。実験3に係るロータリー式可変コンデンサーに比べて、軸受があったなら生じたであろう損失がないことによりアンテナ効率が上がったこと、さらに、高耐圧のスライド式可変コンデンサーを使用したことにより送信出力を大きくできたことが、実験3に係るバーアンテナよりも実験4に係るバーアンテナの方が効率よく交信できた理由であると考えられる。
【0026
(実験5)
実験4で使用した可変コンデンサーを、前記した本実施形態で採用した耐圧13kVの20pFスライド式可変コンデンサーに、ポリエチレン被覆線を集合結束線に、それぞれ変更することにより、実験5に係るバーアンテナを構成した。このとき、集合結束線は直径0.08mmの被覆素線を90本束ねて構成したものであり、その集合結束線を使用した共振用コイルの巻数は同じく29、給電用コイルの巻数は6であった。+10dBのプリアンプを挿入して交信を試みたところ、聞こえる局であれば電信モードで普通に交信ができた。レベルCである。可変コンデンサーは、送信出力を100Wとしても放電しなかった。実験4に係る可変コンデンサーより高耐圧の可変コンデンサーを使用したことによる送信出力の向上と、集合結束線使用により導体損失が減少したため並列等価抵抗が上がったことによるアンテナ効率の改善とが、実験4に係るバーアンテナよりも実験5に係るバーアンテナの方が効率よく交信できた理由であると考えられる。
【0027
(実験6)
実験5で使用した集合結束線を、それを構成する被覆素線の本数を増加することにより、実験6に係るバーアンテナを構成した。具体的には、実験6に係るバーアンテナに使用する被覆素線には、実験5で使用した被覆素線と同じものを使用し、これらを270本束ねて集合結束線を構成した。その集合結束線を使用した共振用コイルの巻数は同じく29、給電用コイルの巻数は5であった。実験6に係るバーアンテナを用いて交信を試みたところ、受信感度が良好であったため、プリアンプを省略することができた。送信出力を100Wとしたときに、信号強度が強く受信能力が高い局と電話モードで交信できた。レベルBである。電話モードよりも了解度の高い電信モードであれば、さらに快適な交信を行うことができた。実験6に係るバーアンテナと実験5に係るバーアンテナとを比較すると、前者において被覆素線の本数を増やしたことにより、送受信双方の効率が向上した。
【0028
(実験7)
実験6で使用した集合結束線を、それを構成する被覆素線の本数を増加することにより、実験7に係るバーアンテナを構成した。実験7に係るバーアンテナに使用する被覆素線には、実験5及び6で使用した被覆素線と同じものを使用し、これらを630本束ねて集合結束線を構成した。その集合結束線を使用した共振用コイルの巻数は同じく29、給電用コイルの巻数は4であった。実験7に係るバーアンテナを用いて交信を試みたところ、実験6に係るバーアンテナと同様に受信感度が良好であったため、プリアンプは省略した。送信出力を100Wとしたときに、聞こえる局であれば電話モードで普通に交信することができた。レベルAである。電話モードよりも了解度の高い電信モードであれば、さらに快適な交信を行うことができた。実験7に係るバーアンテナと実験6に係るバーアンテナとを比較すると、前者において被覆素線の本数を増やしたことにより、より効率のよい交信が可能であることが分る。このような交信が可能であれば、実験7に係るバーアンテナは、たとえば、7MHz帯に使用可能な全長5mの短縮ダイポールアンテナと同等又はそれ以上の性能を持つものであるといえる。
【0029
(実験の総合評価)
上述した実験1〜7の結果から明らかなように、可変コンデンサーの耐圧を高めることにより送信出力上昇を通した交信可能性の向上が見られる。さらに、可変コンデンサーをロータリー式のものからスライド式のものに換えることにより、また、ビニール被覆線から集合結束線に換えることにより、さらに、同じ集合結束線であっても、それを構成する被覆素線の本数増加により、それぞれ交信可能性のさらなる向上が確認できた。
【0030
(実施形態特有の効果)
以上の説明から明らかなように、使用可能なバーアンテナは上述した実験5〜7に係るもの、すなわち、Cレベル以上のものであるが、何れのバーアンテナにおいても、その全長はフェライトバー又はフェライトバー群の長さ寸法そのものである。各実験に用いたフェライトバーの全長は、200mmに過ぎない。したがって、バーアンテナの全長も200mmに過ぎず、これは、7MHz帯の波長40mと比べると、その1/200の長さと等しい。しかも、実験7の結果から明らかなように、そのバーアンテナは短縮ダイポールと同程度又はそれ以上の性能を有している。したがって、本実施形態に係るバーアンテナ1によれば、僅か使用波長の1/200の長さと等しい長さのものでありながら実用に充分耐え得るため、限られた僅かなスペースしかアンテナ設置のために使用できない者でも、アンテナを設置することができ、かつ、短縮ダイポールのような比較的大きなアンテナを使用する者と比べて、それに匹敵する、又は、それ以上に快適な交信を行うことができる。
【0031
【発明の効果】
本発明に係るバーアンテナによれば、バーアンテナを、それが小型であるという利点を生かしながら、受信だけでなく送信にも充分に使用可能なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 バーアンテナの斜視図である。
【図2】 図1に示すバーアンテナの等価回路である。
【図3】 図1に示すバーアンテナのX−X断面図である。
【図4】 図3に示す集合結束線のZ−Z断面図である。
【図5】 図1に示す可変コンデンサーの正面図である。
【図6】 図1に示す可変コンデンサーのY−Y断面図である。
【符号の説明】
1,71 バーアンテナ
3,73 フェライトバー群
3b バインダー
3p フェライトバー
5,75 共振用コイル
7,77 給電用コイル
11,81 集合結束線
11a 被覆材
13,81p 被覆素線
19 給電線
51,71 可変コンデンサー
52 固定片
53 スライド片
54 スライド機構(可変構造)
57 第1電極
58 第1対向面
59 第1絶縁体
60 第1絶縁対向面
63 第2電極
64 第2対向面
65 第2絶縁体
66 第2絶縁対向面
54a ピニオン
54b ラック
59a,65a 絶縁板
59b,65b 絶縁ケース
101 トランシーバー

Claims (1)

  1. 直径5〜20mmのフェライトバーを4〜15本束ねてなるフェライトバー群と、
    当該フェライトバー群の外周に巻きつけた共振用コイルと、
    当該共振用コイルに並列接続した可変コンデンサーと、
    当該フェライトバー群の外周に巻きつけた給電用コイルと、を含み、
    少なくとも当該共振用コイルが、直径0.03〜0.15mmの被覆素線を60〜2000本束ねてなる集合結束線により構成してあり、
    当該可変コンデンサーが、第1対向面を有する第1電極と、当該第1対向面と対向する第2対向面を有する第2電極と、当該第1対向面に対する当該第2対向面の対向面積を可変とする可変構造と、を備え、
    当該第1電極を第1絶縁対向面を有する第1絶縁体により密閉し、当該第2電極を第2絶縁対向面を有する第2絶縁体により密閉することによって絶縁破壊開始電圧を高めてある
    ことを特徴とする長中短波帯に用いる送受信用バーアンテナ。
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