JP4032021B2 - 加硫試験装置 - Google Patents
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Description
この場合、原料ゴムに添加する加硫剤の成分と分量や、加熱温度,加熱時間等の加工条件は、出来上がったゴムの性質を決定する上で極めて重要であり、そのため、製造工程における製品の加工前に、試験装置を用いて予め加硫工程の加工条件を選定しておくことが必要となる。
図8は、非特許文献1に記載されたもののうち、上下に分割されたダイ(割り型)の間に試験片を挟んだ状態で、一方のダイにねじり振動を与えたとき、他方のダイが受けるねじりトルクを測定することによって加硫の程度を測る形式の、ねじり振動式平板ダイ加硫試験機(A法)の要部を示したものである。
上ダイヒータ111,上外熱板ヒータ112は、上温度センサ113による上ダイ101の温度測定結果に応じて、上ダイ101,上シール板105の温度を一定に保つように温度制御される。下ダイヒータ114,下外熱板ヒータ115は、下温度センサ116による下ダイ103の温度測定結果に応じて、下ダイ103,下シール板107の温度を一定に保つように温度制御される。
加硫の進行に伴う試験片の粘弾性の変化によって、トルクの大きさが変化するので、その時間的変化を記録することによって、トルク曲線(加硫曲線)を描くことができる。
そして、このような二つの反応のそれぞれの生起程度に応じて、製造される発泡性ゴムの発泡率,生成された気泡の連続性と独立性の程度、製品の仕上がり寸法等に敏感に影響することになる。
従って、発泡ゴムの加硫条件を選定するためには、加硫反応に伴う粘弾性変化と、発泡剤の熱分解に伴う発泡圧の変化とを同時追跡できる装置が不可欠なものとなる。
図10は、従来の発泡ゴムの加硫試験機の要部を示したものであって、上記特許文献1に開示されているものである。
図10において、201,202は、測定装置の本体フレーム内の上下に2分割されたトルク検出ダイと駆動ダイであって、上下方向の軸上に、それぞれ回転自在に支持されている。トルク検出ダイ201はエアシリンダ(不図示)によって上下移動可能に構成されており、トルク検出ダイ201を下降させた状態で、両ダイ201,202の中間に、試料を充填するための所定の間隔の試料室204が形成されるようになっている点は、図8に示された従来例の場合と同様であるが、両ダイ201,202内の試料をシールするための、シール部材を有しない代わりに、両ダイ201,202を閉じた状態で、ダイ201,202間の試料室204から周縁部に向けて、幅広いギャップ203が形成されるようになっている点が異なっている。また、トルク検出ダイ201には、試料の発泡時の圧力を測定するための圧力センサ205が配置されているとともに、駆動ダイ202には、試料の温度を測定するための温度センサ206が設けられている。
一方、充填された試料の温度上昇に伴って、発泡剤の熱分解によって試料中に気泡が発生して、試料室204内の圧力が上昇するので、圧力センサ205によって圧力の変化を測定することによって、発泡圧曲線を求めることができる。
このようなデータから、加硫度と発泡程度とを温度ならびに時間の函数として推定して、発泡ゴムの製造条件を選定することができる。
すなわち、もしも発泡の開始が、加硫の進行に比べて遅過ぎれば、ゴムの弾性がガス圧に打ち勝って発泡は起こり得ない。また、逆に、発泡の開始が早過ぎれば、発生したガスはゴムの粘性にうち勝って系外に逸出するので、気泡が互いにつながった連泡状態になるため、独立気泡状態にはなりにくい。
そこで、所望の発泡状態を安定的に実現するためには、発泡反応と加硫反応という異なる二つの反応の開始タイミングの前後関係や時間差、およびそれぞれの進行速度を厳密に制御することが重要な課題となる。
従って発泡の開始タイミングと、加硫の開始タイミングとを正確に把握するためには、発泡反応の経過を示す圧力の計測部位と、加硫反応の経過を示すトルクの計測部位とが、試料の温度変化に対して同一条件で測定を行えるようにすることが重要となる。
そこで、実製品の製造工程を、発泡反応と加硫反応との両面から追跡しようとする発泡ゴム用の加硫試験装置においては、両反応の速度を計測する主要計測部位における、試料温度の同一性が、到達温度の空間的均一性のみならず、試料投入直後の急激な昇温過程においても、極力、厳密に保たれていなければならないことになる。
両ダイ間で伝達されるトルクの大きさは、その部分の回転半径をRとし、その部分の試料の厚さをtとすると、R4 /tに比例する。従って、図10に示された発泡ゴムの加硫試験機では、測定される加硫トルクは、ギャップ203で発生したものが大部分を占めることとなる。
これに対して、トルク検出ダイ201において圧力センサ205によって検出される発泡圧は、試料室204の中央寄りの内圧である。
もともと製造工程においては、加硫開始時間も発泡開始時間もともにせいぜい数分間程度の小さな値であり、その差はさらに小さいので、前述の昇温時間差によって持ち込まれる偏差は無視し得ない。
なお、図1に示された構成は、図8に示された従来例の構成を上下反転した形に近いが、トルクの計測に関しては、重力の影響を受けないので、圧力計測機構を除き両者は原理的には同じである。
図2において、上ダイ1,駆動軸2,下ダイ3,トルク検出軸4,上シール板5,下シール板6,上ダイヒータ7,上ダイ温度センサ9,下ダイヒータ11,下ダイ温度センサ13,試料室21は、図1に示されたものと同様である。22は上シール、23は下シール、24は封止部、25はバリ受け部である。
最初、上ダイ温度センサ9,上外側温度センサ10,下ダイ温度センサ13,下外側温度センサ14の測定温度に応じて、それぞれの温度制御回路(不図示)を介して、上ダイヒータ7,上外側ヒータ8,下ダイヒータ11,下外側ヒータ12に対する加熱電力を制御することによって、上ダイ1,下ダイ3および上シール板5,下シール板6の温度を所定温度に保つ。
次に、エアシリンダ軸20を上昇させて上シール板5と下シール板6の間を閉じて、封止部24を形成する。このとき、試料室21内の試料は、試料室内の空間を満たすとともに、余分の試料は封止部24を経てバリ受け部25に排出される。これと同時に、駆動部を動作させて、駆動レバー15を介して駆動軸2の微小角回転振動を開始させる。
下ダイ3からトルク検出軸4を経てトルク検出レバー17に伝達される回転振動のトルクを、トルク検出部によって測定することによって、この際のトルクの大きさに応じた電気信号を発生する。この電気信号はトルク測定回路(不図示)によって、トルクに変換されて加硫度を示すトルク曲線として記録される。
なお、上シール22,下シール23の材質,形状と、上ダイ1,下ダイ3,上シール板5,下シール板6の形状とを適当に設定することによって、上述の試験時に試料がシールを形成するOリングを巻き込んで硬化するために、シール機能が失われることを防止できる。
図3において、駆動軸2,駆動レバー15は、図1に示されたものと同様である。31は駆動源、32は偏心回転機構、33は自動調心ベアリング、34は接続軸、35はバネ板、36は補剛板、37は抑え板、38はバネヒンジ、39は取り付けネジ、40は大孔部、41は小孔部である。
駆動源31によって偏心回転機構32の入力側を一定軸上で定速回転させることによって、偏心回転機構32の出力側は入力軸を中心とする円運動を行うが、この運動は、自動調心ベアリング33に固定された接続軸34を介して、駆動軸2に結合された駆動レバー15に伝達される。駆動レバー15の一端は、駆動軸2の上面に結合されて一点に拘束された状態になっているので、駆動レバー15は、偏心回転機構32の出力側の円運動によって、駆動軸2の回転中心軸上のバネヒンジ38に対応する高さの点を頂点とする首振り運動を行う。
なお、このような駆動部の構成と動作は、コーンドライブの名称によって、従来、周知のものである。
図4において、トルク検出軸4,トルク検出レバー17,弾性継手18,下架台23は、図1に示されたものと同様である。51は可撓継手、52はロードセルである。
可撓継手51は、トルク検出レバー17の先端に取り付けられていて、トルク検出レバー17によって伝達されたトルク検出軸4の微小角回転振動のトルクをロードセル52の上端に伝達する。ロードセル52は、下端を下架台23に固定されていて、上端に伝達されたトルクを電気信号に変換して出力する。
試料を介して下ダイ3に伝達されたねじり振動トルクは、トルク検出軸4を経てトルク検出レバー17に伝達され、さらにトルク検出レバー17の先端に固定された可撓継手51を経てロードセル52に伝達されて、トルクを表す電気信号に変換される。
この際、トルク検出レバー17はトルク検出軸4と同軸に微小角回転振動を行うが、ロードセル52は下端を下架台23に固定されているので、トルク検出軸4の回転振動に伴う回転によって、トルク検出レバー17とロードセル52とを結合する可撓継手51は曲げ応力を受ける。そこで、可撓継手51はトルク検出レバー17の回転平面と垂直な方向を薄く形成して、曲げに対する抵抗力を小さくするようになっている。
図5において、61,62は取付軸、63は翼状部、64は翼片である。
弾性継手18は、金属の一体構造からなっている。取付軸61は、弾性継手18をトルク検出軸4に固定する部分である。取付軸62は、弾性継手18を下架台23に固定する部分である。翼状部63は、取付軸62,63間に設けられた大径の部分を切削して形成された、例えば8枚の翼片64からなっている。翼片64は、両端が厚く中央部が薄くなるように形成されている。
弾性継手18は、図示のように、取付軸62,63間における大径の部分を切削して、周囲に複数の薄い翼片64からなる翼状部63を形成されている。
そのため、弾性継手18は取付軸方向に対して軸方向およびこれと垂直な方向には剛性が大きく、トルク検出軸4を安定に支持する。一方、弾性継手18は取付軸に対してねじれ方向には剛性が小さく、そのため、トルク検出軸4に伝達されるトルクによって容易にねじれるので、トルク検出軸4に生じる加硫時のトルクを損失なくトルク検出部50に伝達することができる。
図6において、71は、上固定部、72は下固定部、73は簾状部、74はスリットである。
スラストバネ16は、金属の一体構造からなっている。上固定部71は、スラストバネ16を駆動軸2に対して固定する部分である。下固定部72は、スラストバネ16を上架台22に対して固定する部分である。簾状部73は、上固定部71と下固定部72との中間の円筒部分に、軸方向に多数のスリット74を設けてなる簾状の構造を有している。スリット74は、図6(b)に示すように、円筒部分に半径方向に設けられた溝からなっている。
スラストバネ16は、駆動軸2と上架台22間に設けられて、駆動軸2の上部を上架台22に対して支持するものであって、上固定部71と下固定部72間を簾状部73によって接続した形態を有している。簾状部73を形成するスリット74は、個々の簾状片の円周方向の厚みが、半径方向の幅に対して小さくなるように形成されているため、簾状部73は、駆動軸2を軸方向およびこれと垂直な方向には高剛性で支持することができるとともに、ねじり方向の力には剛性が小さく容易に変形するため、スラストバネ16を用いることによって、駆動レバー15を介して駆動軸2に微小角回転振動を与える際の損失を小さくすることができる。
図1,図2に示す試料室21が、エアシリンダの力によって完全に閉じられたとき、その内部に閉じ込められた試料ゴムの内圧は、試料室を形成するすべての壁面に対し、それらを押し広げようとする圧力として、あらゆる方向へ均等に働く。そして、そのうちの下ダイ3に加わる圧力の合計された力は、トルク検出軸4を経てその下方の弾性継手18に集まり、そして、そこに配置されているストレィンゲージからなる圧力センサ19によって検出される。つまり、圧力センサ19で検出される力は、下ダイ3に接する試料範囲に加わる力の合計量のみである。
一方、試料室21に閉じ込められた試料ゴムの微小角ねじり振動によって発生する剪断力は、試料室内のすべてのゴム部分で発生するが、下ダイ3とトルク検出軸4とトルク検出レバー17を介してロードセルで検出されるのは、そのうちの下ダイ3の上方に位置する試料から発生した剪断力の合計量だけである。つまり、検出トルクも検出圧力も、ともに下ダイ3の上方に位置する試料部分を計測対象としているのであって、従来技術の欠点として前述したような、二つの計測値に対する実質温度が異なるという事態は根源的に起こり得ない。
このように、本発明においては、トルク曲線と発泡圧曲線の主要計測部位を同一にすることによって、両曲線の実質試験温度を、安定時のみならず急激な昇温過程までも含めてすべて同一の温度履歴下に置くことが可能となるものであり、これこそが本発明の骨子とするところである。
前述の理由によって、トルクと発泡圧の主要計測部位は全く同一であるので、図7の時間軸はトルクと発泡圧の両者に対して全く同じ意味を持ち、従来技術におけるような、主要計測部位が異なることに起因する温度差や昇温速度差に基づく偏差は含まれていない。
従って、図7に見られる加硫反応と発泡反応の進行時間差は、そのまま製品の加硫工程における、加硫と発泡の進行時間差を示している。
このように、この例の加硫試験装置によれば、加硫反応と発泡反応の時間的関係を忠実に表す同時測定曲線を求めることができる。
2 駆動軸
3 下ダイ
4 トルク検出軸
18 弾性継手
19 圧力センサ
21 試料室
30 駆動部
50 トルク検出部
Claims (2)
- 試験状態において所定間隔に対向配置されて中間に試料室を形成する第1および第2のダイと、前記第1のダイに固定され、回転振動可能に支持されている駆動軸と、該駆動軸に微小角回転振動を付与する駆動手段と、前記第2のダイに固定され、回転振動可能に支持されているトルク検出軸と、前記試料室内に試料を充填して前記駆動手段を動作させたとき、前記試料を介して前記トルク検出軸に伝達されるねじりトルクを計測するトルク検出手段とを備えた加硫試験装置において、
前記トルク検出軸を回転振動可能に支持する弾性継手に生じる前記トルク検出軸からの圧力に基づく歪みの測定によって、前記試料の発泡に伴って前記第2のダイが受ける圧力を、前記トルク検出軸を経て計測する圧力検出手段を設けたことを特徴とする加硫試験装置。 - 前記弾性継手が、取付軸間における大径の部分を切削して周囲に複数の薄い翼片からなる翼状部を形成することによって、取付軸方向に対して軸方向およびこれと垂直な方向には剛性が大きく、取付軸に対してねじれ方向には剛性が小さくなるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の加硫試験装置。
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