JP4029305B2 - 液状化対策構造及び液状化対策方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は液状化対策構造及び液状化対策方法に係り、特に液状化の発生のおそれのある砂層地盤の下層に粘土層を有する地盤における液状化対策構造及び液状化対策方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
地震時に液状化の生じるおそれのある地盤(以下、このような地盤を液状化地盤と記す。)に構築された既設建物の液状化対策として建物の基礎地盤を周辺地盤と区画するように止水壁で囲むようにした建物の液状化対策構造が知られている。
【0003】
図5はこの液状化対策構造50の一例を示した概略構造図である。同図に示したようにこの液状化対策構造50では、建物51周囲の止水壁52の下端52aを液状化の生じるゆるい砂層地盤53の下層に分布した粘土層等の不透水層54まで到達させるようになっている。このような構造とすることにより、地震時における周辺地盤のせん断変形を遮断するとともに、過剰間隙水圧が建物51下の基礎地盤に生じるのを防止することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、臨海地域のように、下層に軟弱な沖積粘土層等が分布するような液状化地盤上に高層ビル等を建設するような場合には、建物基礎を杭基礎とし、所定深さに位置する支持層に建物の支持をとる設計が行われている。このような地域で地震による液状化が生じると、範囲内の地盤の水平抵抗支持力が急速に失われる。液状化を考慮した設計では杭の水平抵抗が十分確保できるように杭断面を決定する必要がある。このため、通常の設計より設計杭断面や補強筋量が増加する上、液状化地盤の層厚が厚い場合には設計杭本数を増す必要もある。この結果、経済的なコストでの建物の建設が行えないという問題がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は上述した従来の技術が有する問題点を解消し、仮設工事で用いられる仮設山止め壁及び揚水装置を適用して建物基礎部分を周辺地盤と区画して地下水位を低下させることにより液状化の発生を防止するようにした液状化対策構造及び液状化対策方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
以上に述べた目的を達成するために本発明は、液状化のおそれのある砂層地盤の下層に粘土層地盤が分布する地盤上に建設され、基礎底面が前記砂層地盤中の深い位置まで掘り込まれた建物の液状化対策構造において、前記基礎底面は、その底面以深の砂層地盤の地下水が排水された際に前記粘土層地盤上面での鉛直有効応力が前記粘土層地盤の圧密降伏応力より小さくなるまで、前記砂層地盤中に掘り込まれ、該基礎底面上の前記建物の周囲を囲み、その先端が前記粘土層地盤に到達するように構築された止水壁と、前記基礎底面から前記粘土層地盤に向けて設けられた揚水井とを備え、前記止水壁に囲まれた砂層地盤の地下水を連続的に低下させるようにしたことを特徴とする。
【0007】
また、液状化対策方法としては、液状化のおそれのある砂層地盤の下層に粘土層地盤が分布する地盤上に建設され、基礎底面が、その底面以深の砂層地盤の地下水が排水された際に前記粘土層地盤上面での鉛直有効応力が前記粘土層地盤の圧密降伏応力より小さくなるまで、前記砂層地盤中に掘り込まれた建物の周囲を囲み、その先端が前記粘土層地盤に到達するように止水壁を構築するとともに、前記基礎底面から前記粘土層地盤に向けて揚水井を設け、該揚水井による排水運転により前記止水壁に囲まれた砂層地盤の地下水を連続的に低下させるようにしたことを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の液状化対策構造の一実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
図1は本発明の液状化対策構造を一部断面で示した模式構造図である。図1に示した建物は地下部が液状化地盤2中を十分掘り込まれ、基礎底面1aが液状化地盤2の深い位置まで達している。液状化地盤2の下層には不透水層である沖積粘土層が分布している。建物1は杭基礎4により支持されており、杭先端4aは沖積粘土層3の下の支持層5に根入れ長分だけ貫入されている。
【0010】
建物1の周囲には周辺地盤から建物1を区画するように止水壁11が施工されている。本実施の形態ではこの止水壁11として、柱列式地中連続壁が施工されている。この柱列式地中連続壁は建物1の建設の当初より仮設山止め壁として使用されているものの場合には山止め設計に基づいた断面、応力材(図示せず)を有する構造とすればよい。一方、既設の建物1の液状化対策構造10として新たに止水壁11を構築する場合には後述する揚水井の運転により水位低下した場合の水圧に抵抗でき、かつ地震時に生じた液状化時にせん断変形抵抗性を有するように応力材等を決定することが好ましい。止水壁11を建物1の周囲に構築する際、止水壁11は建物1の外壁に密着させるように構築してもよいし、建物1の外壁から一定距離だけ離して構築するようにしてもよい。
【0011】
止水壁11の種類としては公知の各種の原位置土攪拌方式によって造成された柱列式地中連続壁の他、本設兼用の鉄筋コンクリート地中連続壁、鋼矢板、鋼管矢板、合成樹脂シートによる止水幕等を採用することができる。
【0012】
さらに建物1の基礎底面1a位置には揚水井12が設けられている。この揚水井12は本実施の形態ではディープウェルが採用されている。井戸内部には直径約0.6mの井戸内径に合わせて全長にわたりステンレスストレーナパイプが(図示せず)挿入されている。底部には水中ポンプ13が設置され、排水ホース14によって地上に連続排水が行えるようになっている。必要に応じて井戸内にフィルタ材を充填することも好ましい。井戸本数及びポンプ運転時間の決定は対象となる揚水範囲の地下水位等から容易に算出できる。通常は、不透水層である粘土層3からの漏水はきわめて少ないので、通常の床面積の建物1の場合1本の揚水井12による排水運転で足りる。この揚水井12により止水壁11で囲まれたゆるい砂層地盤の地下水を連続的に汲み上げ、図1に示したように地下水位を沖積粘土層3位置まで低下させる。この砂層地盤2の地下水が完全に排水されることにより地震時の液状化は確実に防止される。
【0013】
ところで、このようにして連続的に地下水の排水運転を行っていくと、沖積粘土層3の間隙水圧が減少するかたちとなり、沖積粘土層3の圧密が進行することが懸念される。しかし、図1(a)に示したように、建物1は杭基礎4により支持されている上、建物1の基礎底面1aが十分深い位置に設計されているので、地下水位低下後の支持地盤位置での鉛直有効応力piが沖積粘土層3の圧密降伏応力pcを下回るので沈下は促進されない。
【0014】
これについて図1(b)を参照して説明する。同図に示したように、止水壁11外側に分布する一般的な軟弱沖積粘土層3ではほとんどの場合、鉛直有効応力(有効土被り圧)pi1は、圧密降伏応力pcの深度分布(符号A)とほぼ一致し、このときの粘土は正規圧密状態にある。これに対して建物1の基礎底面1aが十分深い場合の止水壁11の内側での鉛直有効応力pi2は、圧密降伏応力pc(符号A)を下回った深度分布を示す。したがって、図1(a)に示したように、液状化地盤2まで十分深く盤下げされた基礎底面1aを有し、杭基礎4で支持された建物1では、地下水位を低下させた場合にも圧密沈下の影響は小さく、地下水位低下による沈下のおそれはない。
【0015】
液状化地盤2(砂層)と沖積粘土層3との互層地盤が存在する場合には止水壁11は最深層の沖積粘土層3まで下端を到達させ、揚水井12のピットもこの沖積粘土層3の上部位置まで設置することが好ましい。
【0016】
一方、砂層の下層が洪積粘土層3の場合には、一般に図1(b)中、符号Bで示したように、粘土は圧密降伏応力pcは鉛直有効応力piの深度分布の直線より大きな値を示し、過圧密状態にある。この場合には建物1の基礎底面1aが比較的浅い場合で地下水位を低下させた条件でも、建物1に対して粘土層3の沈下の影響はない。また、洪積粘土層3に十分な支持力が期待できる場合には杭基礎4に限られず、図2に示したように直接基礎の場合にもこの地下水位低下を行う液状化対策構造10は有効である。
【0017】
次に、基礎底面1aが浅く地下水位の低下に伴う沈下が生じると予測される場合の対策工としての先行圧密工程を併用した、(1) 〜 (4) 工程からなる液状化対策方法について、図3,図4を参照して説明する。図3には建物1を建設予定の区画を囲んで止水壁11が構築され、その区画内の水位低下を行うための揚水井12が設置された状態が示されている。
(1) 図3に示したように、山止め工としての機能を持たせた止水壁11を不透水層(粘土層3)の所定根入れ深さまで構築し、掘削に先立って揚水井12の水中ポンプを運転して排水運転を行い、粘土層3での圧密促進を図る。
(2) 止水壁11で区画された範囲が所定圧密量だけ沈下した後に、図4に示したように、この区画された範囲において、粘土層3の地盤上面での鉛直有効応力が粘土層3の圧密降伏応力より小さくなる深さまで盤下げし、建物1の基礎底面とし、この底面から基礎杭を施工する。
(3) 杭施工後、建物1を構築した後も引き続き建物1底部からの揚水を継続する。
(4)このとき建物1の基礎底面1a以深の粘土層3は先行圧密沈下がある程度進行しているため、浅い基礎の場合でも有効土被り圧(鉛直有効応力)が圧密降伏応力を下回る。したがって、建設された建物1に影響を及ぼす沈下は生じない。
【0018】
以上に述べた液状化対策構造10に用いられる止水壁11と揚水井12とはともに仮設根切り工事において必要なものであり、仮設時のものを本設時にも転用して使用することも可能である。この場合、単独に行う他の対策工よりコスト的なメリットが大きい。また、独立した設置工程を必要としないため、工期延長等の問題もない。
【0019】
また、この排水作業は継続的に行っていくが、地下水位の低下及び低下状態を保持するために必要な排水運転時間、排水設備の能力を地下工事時点に確認することができるので確実に液状化防止の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による液状化対策構造の一実施の形態を示した模式構造図。
【図2】本発明の液状化対策構造の他の実施の形態(洪積粘土層、直接基礎)を示した模式構造図の一例を示した模式構造図。
【図3】先行圧密工程を実施した状態を示した状態説明図。
【図4】図3に実施された先行圧密工程の後に建物を建設し、継続して排水を行っている状態を示した状態説明図。
【図5】従来の液状化対策構造の一例を示した模式構造図。
【符号の説明】
1 建物
2 液状化地盤(砂層地盤)
3 粘土層(沖積、洪積)
4 基礎杭
5 支持層
10 液状化対策構造
11 止水壁
12 揚水井
Claims (2)
- 液状化のおそれのある砂層地盤の下層に粘土層地盤が分布する地盤上に建設され、基礎底面が前記砂層地盤中の深い位置まで掘り込まれた建物の液状化対策構造において、前記基礎底面は、その底面以深の砂層地盤の地下水が排水された際に前記粘土層地盤上面での鉛直有効応力が前記粘土層地盤の圧密降伏応力より小さくなるまで、前記砂層地盤中に掘り込まれ、該基礎底面上の前記建物の周囲を囲み、その先端が前記粘土層地盤に到達するように構築された止水壁と、前記基礎底面から前記粘土層地盤に向けて設けられた揚水井とを備え、前記止水壁に囲まれた砂層地盤の地下水を連続的に低下させるようにしたことを特徴とする液状化対策構造。
- 液状化のおそれのある砂層地盤の下層に粘土層地盤が分布する地盤上に建設され、基礎底面が、その底面以深の砂層地盤の地下水が排水された際に前記粘土層地盤上面での鉛直有効応力が前記粘土層地盤の圧密降伏応力より小さくなるまで、前記砂層地盤中に掘り込まれた建物の周囲を囲み、その先端が前記粘土層地盤に到達するように止水壁を構築するとともに、前記基礎底面から前記粘土層地盤に向けて揚水井を設け、該揚水井による排水運転により前記止水壁に囲まれた砂層地盤の地下水を連続的に低下させるようにしたことを特徴とする液状化対策方法。
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