JP4028680B2 - 観測データから原信号を復元する信号分離方法、信号処理装置、モバイル端末装置、および記憶媒体 - Google Patents
観測データから原信号を復元する信号分離方法、信号処理装置、モバイル端末装置、および記憶媒体 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、信号分離方法等に係り、特に、複数の信号が混合状態で観測されたときに、安定して原信号を分離する信号分離方法等に関する。
【0002】
【従来の技術】
複数の信号が相互に混合して複数のセンサ等で観測されたとき、観測信号のみから混在前の信号を決定する技術は、従来の雑音除去方法よりも、場合によっては強力であるため、適用分野の拡大が期待できる。適用分野としては、例えば、音声認識時における不要音響除去のための音声強調、QAM(Quadrature Amplitude Modulation:直交振幅変調)などの複素信号環境下でのディジタル通信復調、必要臓器情報抽出のための医用信号復元、統計データ上では埋没してしまった独立成分(要因)抽出が可能なデータ解析法などが考えられる。
【0003】
図1は、複数の信号が混合状態で観測されるとき、互いの信号の統計的独立性のみを仮定して原信号を分離する信号分離問題を示した概念図である。
図1を定式化すると次のように書ける。まず、各指標tについてスカラー値で相互に統計的に独立なm個の平均0の信号s1(t),…, sm(t)があると仮定する。図1では、s1とs2の2つの信号源を例に示している。これに対し、n個の線形荷重和x1(t),…,xn(t)を観測する。これを
【式1】
と書き、観測装置にて観測されるものである。ここで、
【式2】
であり、n≧mと仮定する。また、n×mの混合行列をAとし、フルランク行列(m×m行列A H Aの逆行列が存在する行列)とする。以下の記述では、下線付き小文字でベクトルを表し、下線付き大文字で行列を表し、添字Tで転置を表し、添字Hでエルミート共役(共役転置)を表す。
この観測信号x(t)から分離信号y(t)を得るための分離行列Wを推定する問題が信号分離問題である。即ち、図1に示す観測装置によって観測された観測信号x(t)から、信号分離装置によって分離信号y(t)=W H×x(t)を得る際に、分離行列Wの推定が問題となる。
【0004】
次に、分離行列Wを推定するための考え方について概略を述べる。
今、観測信号x(t)である信号ベクトルの多変数確率密度関数をpu(u)とし、ベクトルの各要素に関する確率密度関数をpi(ui)とすれば、観測ベクトルの相互情報量は次式のカルバック・ライブラー・ダイバージェンス(Kullback-Leibler divergence)で表せる。
【式3】
相互情報量は常に負ではなく、0(零)になったときに各信号ベクトルの要素は独立であることを示す。実際、信号ベクトル要素が互いに独立であれば、信号ベクトルの密度関数は次式で表すことができるため、上式は0になる。
【式4】
従って、「観測信号ベクトルに対して信号ベクトルの相互情報量を最小化するような変換行列を求めれば、混合した観測信号から原信号を復元できることになる。」というのが信号分離手法の理論的説明の一つとして挙げられる。
【0005】
しかしながら、実際には原信号の確率分布が不明であるため、直接に相互情報量を最小化の操作対象とすることはできない。そこで、それと等価なあるいは近似的に等価な評価量を最適化することで信号分離が行われることが多い。例えば、文献1(International Journal of Neural Systems, Vol.8, Nos.5 & 6, pp.661-678, October/December 1997.)には、上記の背景から、観測信号が同符号の尖度(Kurtosis)を持ち、共分散行列が有界であり、白色化がなされており、かつ、分離行列Wがユニタリ行列(W H W=I(単位行列))である条件下で、各原信号についての0時間遅れの4次のキュムラントの和を最適化(尖度が正のときは最大化、尖度が負のときは最小化)するような変換行列Wを求めれば、相互情報量は最小化できることが、述べられている。ここで、尖度とは、観測信号uiに対して下記の計算で求まる数値を指す。
【式5】
E[・]は期待値演算を表す。また、白色化とは、信号ベクトルを互いに無相関化して分散を1にすることであり、4次のキュムラントとは、次式で表される統計量を指している。
【式6】
前述した0時間遅れとは、上式でk1k2k3が0であることを指している。
【0006】
しかし、一般にキュムラントなどの高次統計量を計算する際には、計算負荷が大きいことから、相互情報量と等価な別の情報量を計算・近似したり、4次のキュムラントを近似できる非線形関数を導入して、キュムラントの和を最適化することと等価な評価関数を最小化するなどの手法が取られている。
米国特許第5,706,402号公報では、相互情報量の最小化の代わりに、出力エントロピーを最適化する教師無し学習アルゴリズムによって、分離行列を勾配法により求める方法が開示されている。
【0007】
また、文献2(Signal Processing, Vol.24, No.1, pp.1-10, July 1991.)では、相互情報量やキュムラントが明示されているわけではないが、それと似たアプローチを用いて、観測信号から推定信号の線形和を減じた残差の2乗値を評価関数とし、それが最小になるよう分離フィルタを勾配法によって求める方法が開示されている。更に、特開2000−97758号公報では、上記の方法の更新量を正規化することで収束の改善を図る方法が開示されている。
【0008】
文献3(IEEE Transactions on Signal Processing, Vol.44, No.12, pp.3017-3030, December 1996.)では、4次のキュムラントを近似的に求める非線形関数を導入し、それに基づく評価関数を最適化するための適応アルゴリズムにおける更新量として相対勾配(Relative gradient)に基づく推定法が提案されている。この手法は、従来、評価関数の勾配を更新量とする適応アルゴリズムの収束速度を改善するものであり、情報幾何学的考察から導入できる自然勾配(Natural gradient)と等価なものである。
【0009】
また、定常過程ではない信号を復元する場合など分離行列の収束過程の安定性が重要となる。実際、上記一連の勾配法では、収束速度と安定性は反比例の関係となる場合が多い。そこで、米国特許第5,999,956号公報では、安定した収束を行うために、信号推定モジュールと分離係数推定モジュールの他に、推定信号間に大きなパワーの変化がある場合でも推定プロセスへの影響を少なくし、安定な結果を出力させるためのモジュールを追加する方法が採用されている。
【0010】
更に、文献4(International Journal of Neural Systems, Vol.8, Nos.5 & 6, pp.601-612, October/December 1997.)では、非線形関数を導入した評価関数を最適化するときに、勾配法ではなく最小2乗法に基づいて適応アルゴリズムを導出している。このアプローチを採用すれば、勾配法のようにステップ量をユーザが決定するのではなく、最適なものが自動的に決定されるので、収束速度を速くすることができ、一定条件下では安定性も得られる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上述した文献4の手法のように、最小2乗法の枠組みであれば、ステップ量は、その評価関数の下で最適なものが計算されるため、速くて適切な収束が得られることが多いとされてきた。しかしながら、そもそも、信号分離が必要とされる状況と、勾配法も含む上述の従来技術が採用してきた評価関数の形式とは、必ずしも整合性があるものとは言えず、最小2乗法の枠組みを使ったとしても最善とは言えない場合がある。
【0012】
例えば、携帯情報機器などにおいて、信号観測装置の配置面積を大きく取れずに近接している場合を考える。このとき、原信号は各観測装置で、似た比率で混合されることが容易に想定でき、この時の混合比を行列の要素として表すと、その各列 (あるいは各行)の成分はほぼ同じ値を有している。こうした場合は、混合行列の条件数が大きくなり、分離行列の推定途中で受ける推定値への摂動が大きく反映されてしまう。ここで、条件数とは、行列Zに対する何らかのノルム‖・‖を用いて、‖Z‖・‖Z -1‖で定義される量のことである。ここでZ -1は行列Zの逆行列を表す。
【0013】
したがって、従来の評価関数の形式では、摂動が大きい場合に、正常な推定値を得るために多くの時間を要し、これが問題となる可能性が高い。また、条件数が大きくなくても、推定途中で誤差がまだ残っている段階での収束速度が、従来の評価関数では遅くなってしまうことも問題となる。
【0014】
本発明は、以上のような技術的課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、複数の信号が混合状態で観測されたときに、少ない計算ステップ数で、その複数の信号から原信号を安定して抽出することにある。
また他の目的は、信号分離に際し、推定値への摂動が大きい場合には、その変化を然るべき重み付けによって反映する評価関数に基づいて、収束が速い最小2乗型計算法を提案することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、本発明は、観測信号の相互情報量を最小にすることと等価な効果が得られる、評価関数として指数型関数のような単調増加特性を持った関数を導入し、その評価関数を信号分離行列に関して最小に(最適化)する適応アルゴリズムを適用している。この指数型関数の最適化は、H無限大ノルムの最適化、並びに、ゲーム理論における2人0和ゲームの解、いわゆるMinMax戦略による最適化と等価な結果を得るので、H無限大ノルムとMinMax戦略からの適応アルゴリズムによって信号分離行列を推定することもできる。即ち、本発明は、コンピュータに入力され1次元信号系列が混合状態で観測される音声観測データから原信号をコンピュータにて推定復元して出力する信号分離方法であって、コンピュータに入力された前記音声観測データに対して、単調増加特性を持つ指数型関数に基づき、音声分離度合いの基準としての評価関数を最小にするように、分離行列を推定するよう適応フィルタを構成し、前記適応フィルタによって推定された前記分離行列を前記音声観測データに乗じ、前記原信号を推定復元して出力することを特徴とする。
【0016】
また、本発明の信号分離方法は、観測データに対して、ゲーム理論におけるMinMax戦略に基づいて分離行列の候補から特定の分離行列を選択し、選択された分離行列を観測データに乗じて原信号を復元することを特徴とすることができる。
言い換えると、本発明の信号分離方法は、ゲーム理論におけるMinMax戦略によって、様々な分離行列に対して出力される誤差の最大値候補の中から、最小のものを出力する分離行列を解とする戦略で最適化を行う方法と言える。
【0017】
また、本発明は、原信号を含む複数の信号が混在して観測される観測データからこの原信号を推定復元する信号分離方法であって、観測データに対して単調増加特性を有する関数に基づく評価関数を導入し、導入された評価関数を最適化する適応フィルタを用いて分離行列を推定し、推定された分離行列を観測データに乗じて原信号を推定復元することを特徴とすることができる。
【0018】
ここで、この分離行列の推定は、評価関数を分離行列に関して最小にする適応フィルタを用いることを特徴とすることができ、また、導入される評価関数は、指数型関数であることを特徴とすることができる。これらによれば、分離行列の推定途中で受ける推定値への摂動が大きい場合であっても、正常な推定値を得るための時間を短縮することが可能となる。
【0019】
また、本発明の信号分離方法は、観測信号を読み込み、読み込まれた観測信号の平均を減じてゼロ平均化を施し、ゼロ平均化が施された観測信号に対して白色化を施し、白色化が施された観測信号に対して単調増加特性を有する評価関数に基づく分離処理を施し、分離処理が施された観測信号に対して後処理として逆白色化を施すことを特徴とすることができる。また、この分離処理に用いられる評価関数内で用いる非線形関数は、読み込まれた観測信号の尖度に基づいて、用いる関数が切り替えられることを特徴とすることができる。
【0020】
一方、本発明が適用される信号処理装置は、原信号を含む複数の信号が混在して観測される観測データを入力する入力手段と、入力される観測データに対し、分離行列に関するH無限大ノルムを、与えられたスカラー量以下に抑えるような適応フィルタリングによって分離行列を推定する分離行列推定手段と、推定された分離行列を観測データに乗じて原信号を推定復元する推定復元手段とを備えたことを特徴としている。
【0021】
また、本発明が適用される信号処理装置は、原信号を含む複数の信号が混在して観測される観測データを入力する入力手段と、入力される観測データに対し、ゲーム理論におけるMinMax戦略に基づいて、分離行列の候補から、例えば、分離行列から出てくる誤差の最大候補の中から最小のものを出す分離行列等、特定の分離行列を選択する選択手段と、選択された分離行列を観測データに乗じて原信号を推定復元する推定復元手段とを備えたことを特徴としている。
【0022】
更に、本発明が適用される信号処理装置は、入力される観測データに対し、指数型関数に代表される単調増加特性を持つ関数に基づく評価関数を、例えば、評価関数を分離行列に関して最小にする等、最適化する適応フィルタを用いて、分離行列を推定する分離行列推定手段と、推定された分離行列を観測データに乗じて原信号を推定復元する推定復元手段とを備えたことを特徴としている。
【0023】
他の観点から把えると、本発明は、入力された観測信号から原信号を分離して出力する信号処理装置であって、入力された観測信号および前サイクルにて推定された推定分離行列に対して非線形関数を作用させる非線形関数部と、この非線形関数部により形成された値と前サイクルにて推定された推定分離行列およびその時刻での観測信号とに基づいて、誤差信号を算出する誤差信号算出部と、算出された誤差信号に基づいて、その時刻の推定分離行列に対して、単調増加特性を持つ評価関数により誤差評価に重みが付くようにして更新を施す分離行列更新部とを備えたことを特徴としている。
ここで、分離行列更新部により更新を施されたその時刻の推定分離行列に対し、推定分離行列のユニタリ行列化(実数信号の場合は直交行列化)を保証するユニタリ化演算部(実数信号の場合は直交化演算部)とを更に備えたことを特徴とすれば、精度をより向上させることができる点で好ましい。
【0024】
本発明は、例えば、複数話者が一度に発声した時などのように複数の音声信号が混信されて観測されたものを分離する信号処理装置であって、この混合音声観測データを入力する入力手段と、入力される混合音声観測データに対し、単調増加特性を持つ関数に基づく評価関数を最適化する適応フィルタを用いて分離行列を推定する分離行列推定手段と、推定された分離行列を混合音声観測データに乗じることで、この混合音声観測データから混信された音声信号を分離・抽出する分離・抽出手段とを備えたことを特徴としている。この発明によれば、目的とする話者の音声のみを、混合信号が他話者の音声や環境雑音等によらず、正確に抽出することが期待でき、音声認識等の前処理に有効となる。
【0025】
本発明は、例えば、脳磁図(MEG)および脳波図(EEG)の少なくとも1つからなる信号である観測生体信号から電位変化の混信等のアーチファクトを分離する信号処理装置であって、この観測生体信号にアーチファクトが混入された観測データを入力する入力手段と、入力される観測データに対し、単調増加特性を持つ関数に基づく評価関数を最適化する適応フィルタを用いて分離行列を推定する分離行列推定手段と、推定された分離行列を観測データに乗じることで、この観測データから観測生体信号を分離・抽出する分離・抽出手段とを備えたことを特徴としている。これらの発明によれば、本来の脳波等を除去することなく、混信過程が未知であっても、正確な脳活動電位信号の抽出を期待することができる。
【0026】
また、本発明を他の分野に適用すると、本発明は、経済統計データから観測上は埋没している変動成分を抽出する信号処理装置であって、経済統計データを入力する入力手段と、入力される経済統計データに対し、単調増加特性を持つ関数に基づく評価関数を最適化する適応フィルタを用いて分離行列を推定する分離行列推定手段と、推定された分離行列を経済統計データに乗じることで、この経済統計データから変動成分を分離・抽出する分離・抽出手段とを備えたことを特徴とすることができる。
【0027】
ここで、この入力手段により入力される経済統計データは、全体のトレンドと個々のファクタとが未知の混合行列によって形成されたものであると推定できる経営データであることを特徴とすることができる。これによれば、例えば、キャッシュフローに及ぼす主要ファクタの抽出等に応用することが可能である。
また、この経済統計データは、セットにして観察される株価変動データであり、この分離・抽出手段により分離・抽出される変動成分は、ポートフォリオ・リターン予測に適用可能な独立成分の株価トレンドであることを特徴とすることができる。これによれば、金融ビジネスにおいて行われる投資配分の決定等において、株価変動の主要因の分析精度を向上させると共に、主要因の推定に要する時間を大幅に削減することが可能となる。
【0028】
本発明は、符号分割多元接続における基地局から他ユーザのための拡散情報を含む観測データを受信し、受信した観測データから自己のユーザ信号を抽出するモバイル端末装置であって、基地局から送出される観測データを入力する入力手段と、入力される観測データに対し、単調増加特性を持つ関数に基づく評価関数を最適化する適応フィルタを用いて分離行列を推定する分離行列推定手段と、推定された分離行列を観測データに乗じることで、観測データからユーザ信号を分離・抽出する分離・抽出手段とを備えたことを特徴とすることができる。この発明によれば、フェージングや、拡散符号が未知である他ユーザのための信号からの影響を、混合行列の係数としてモデル化し、受信した観測データのみからユーザ信号を分離することができる。
【0029】
一方、本発明は、コンピュータに実行させるプログラムをこのコンピュータが読取可能に記憶した記憶媒体であって、このプログラムは、原信号を含む複数の信号が混在して観測される観測データに対して単調増加特性を有する関数に基づく評価関数を導入する処理と、導入された評価関数を最適化する適応フィルタを用いて分離行列を推定する処理と、推定された分離行列を観測データに乗じて原信号を推定復元する処理とをコンピュータに実行させることを特徴としている。
また、このプログラムは、原信号を含む複数の信号が混在して観測される観測データに対し、分離行列に関するH無限大ノルムを、与えられたスカラー量以下に抑えるような適応フィルタによって分離行列を推定する処理と、推定された分離行列を観測データに乗じて原信号を復元する処理とをコンピュータに実行させることを特徴としている。
更に、このプログラムは、原信号を含む複数の信号が混在して観測される観測データに対し、ゲーム理論におけるMinMax戦略に基づいて分離行列の候補から特定の分離行列を選択する処理と、選択された分離行列を観測データに乗じて原信号を復元する処理とをコンピュータに実行させることを特徴とすることができる。
これらの記憶媒体としては、例えばCD−ROM媒体等が該当し、コンピュータ装置におけるCD−ROM読取装置によってプログラムが読み取られ、例えば、コンピュータ装置におけるハードディスクにこのプログラムが格納され、実行される形態が考えられる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本実施の形態における信号分離方法は、MEG(magnetoencephalography:脳磁図)、EEG(electroencephalography:脳波図)などによる観測生体信号からのアーチファクト(artifact)除去の分野に適用することができる。また、音声認識時における不要音響除去のための音声強調、QAM(Quadrature Amplitude Modulation:直交振幅変調)などディジタル通信における信号分離・干渉除去への適用も考えられる。更には、CDMA(Code Division Multiple Access:符号分割多元接続)における基地局から各モバイル端末へのリンクであるダウンリンク信号の干渉除去やモバイル端末ユーザ信号の抽出に、また更には、株価変動など経済統計データから観測上は埋没してしまった重要な変動成分(要因)抽出を行うデータ解析法や金融ビジネスにおけるポートフォリオ・マネージメントでの使用などが考えられる。即ち、本実施の形態における信号分離方法は、ディジタル観測信号やアナログ観測信号の状態を問わず、また複素信号や実信号を問わずに、一般の1次元信号系列が混合状態で観測された信号のみから、原信号系列を分離することが必要な問題に広く適用できるものであり、上記の応用例に限らず、広くその派生形の応用を導くことが可能である。尚、これらの分野において、本実施の形態における信号分離技術は、各種メモリや制御装置、表示装置等を有するコンピュータ装置に用いられて動作する場合の他、専門の装置や端末等に用いられて実行させることが可能である。
【0031】
次に、本実施の形態における信号分離方法について、その内容を詳述する。
まず、4次のキュムラントを近似できる非線形関数を評価関数に導入し、その最小化によって相互情報量を最小化することと等価な意味を持たせることで、
【式7】
を推定する方式を考える。従来、このような方式で用いられてきた評価関数は、次式の形式が用いられてきた。
【式8】
ここで、f(・)はtanh(・)などの非線形関数を要素とするベクトルである。
【0032】
本実施の形態では次の形の評価関数を上述の分離行列について最小にする信号分離方法を提案する。即ち、
【式9】
である。このとき、分離行列の初期真値と推定初期値の差分、推定過程で生じる雑音はゼロ平均・無相関で、推定雑音が単位分散を持つ白色ランダム変数と仮定する。ここで、白色ランダム変数とは、その変数系列[vk]において、任意のiとj(iはjに等しくない)に対するviとvjが独立な確率変数になることを意味する。尚、以下の記述では、真値と推定値の区別が必要とならない限り、分離行列の推定値を示すハット記号を付ける代わりに指標(t)を付けることもある。
【0033】
上記の評価関数を最小にするということは、対数関数ln(・)が単調増加であることを考慮すると、
【式10】
の最小化を意味する。さらに評価関数内で、どのような非線形関数を用いるかは様々な提案がなされているが、通常では、観測信号の尖度が正か負かで、用いる関数を切り替える閾値処理を利用し、適切な高次キュムラントの近似が可能となる関数を選択することによって対応することができる。尚、その他の多様な形態を想起することも可能である。用いる非線形関数としては、入力信号uに対して、例えば、tanh(u)、u3、あるいは、u−tanh(u)などが用いられる。例えば、尖度が正のときにu−tanh(u)を用い、尖度が負のときにtanh(u)を用いることが好ましい。
【0034】
図2は、評価関数を最小にする分離行列を求めるための第1のアルゴリズムを示したブロック図である。この図2に示されるアルゴリズムは以下のように表わすことができる。
【式11】
【0035】
図2では、メインのアルゴリズムの流れを非線形関数21、誤差信号e(t)の計算22、W(t)の更新23、およびユニタリ化演算24で示し、このメインのアルゴリズムにおいて必要な諸量の算出を、h(t)の計算25、g(t)とξの計算26、およびP(t)の計算27の各ユニットにて実行している。また、z-1はタイミング合わせのための遅延部である。図2および上記のアルゴリズムに示すように、まず、観測信号x(t)が入力され、尖度が正か負かによって決定される非線形関数21によってy(t)が求められる。この非線形関数21は、前の時刻(前サイクル)に推定された推定分離行列W(t−1)と現在時刻の観測信号x(t)の積をとったものに対して非線形関数21を作用させるように構成されている。その後、y(t)は誤差信号e(t)の計算22に入り、その時刻での観測信号x(t)から、前の時刻(前サイクル)の推定分離行列W(t−1)と求めたy(t)との積の差が取られる。次に、その時刻の分離行列であるW(t)の更新23が実行される。このW(t)の更新23では、前の時刻(前サイクル)に推定したものに、誤差信号e(t)と後述するg H(t)を掛け合わせたものによってW(t)が更新される。ユニタリ化演算24は、W(t)の更新後にW(t)のユニタリ行列化を保証するステップであり、精度を上げるためにはかかる演算が実行されることが好ましい。これは、以下の式のように表される。
【式12】
【0036】
h(t)の計算25では、前の時刻(前サイクル)のP(t−1)とy(t)とでh(t)が算出される。g(t)とξの計算26では、各々の値が忘却係数βを用いて算出される。この忘却係数βは、0<β≦1の定数であり、通常は1で良いが、推定すべき行列Wが時間的に変化してしまう場合には、この忘却係数βを0.99や0.98として、1より小さい値にすることで、これに対する追従を可能としている。P(t)の計算27では、h(t)の計算25によって算出されたh(t)、入力されるα、忘却係数β、g(t)とξの計算26によって算出されたg(t)とξによって、y(t)の共分散行列の逆行列であるP(t)が算出される。尚、これらのアルゴリズムで、初期値P(0)とW(0)は任意に選ぶこととしている。
【0037】
ここで、観測信号x(t)は、上記の分離行列推定処理をする前に、平均0の信号に変換して、白色化する前処理が施されているものとする。この処理は観測信号x(t)に対して課すものであって、原信号の情報は必要としない。また、ここで白色化とは、観測信号ベクトルの各要素を無相関化して分散を1にすることであり、その手法は固有値分解や主成分分析などを使えば可能であり、特定する必要はない。
【0038】
このように、本実施の形態による信号分離方法では、指数関数に基づく評価関数J1を分離行列に関して最適化することに基づいている。したがって、この観点からすれば、他のアルゴリズムを用いても同様の結果を得ることができる。
図3および図4は、第2のアルゴリズムの構成を示した図である。図3は第2のアルゴリズムの全体構成を示しており、図4はw i(t)の推定フィルタリングを示している。ここでは、図2に示した第1のアルゴリズムを減次(deflation)によって変形したものである。この第2のアルゴリズムでは、図3に示すように、列ベクトルを1つ1つ推定していき、次数を順々に減じていくことで最適化を図っている。例えば、観測信号x 1(t)に対してw 1(t)の推定フィルタリング31、x 2(t)に対してw 2(t)の推定フィルタリング32、このようにして、x m(t)に対してw m(t)の推定フィルタリング33を施し、これらによって、推定分離行列W(t)を求めている。
即ち、この第2のアルゴリズムでは、
x 1(t)=x(t);
各i=1,…mに対して図4に示すアルゴリズムの演算が繰り返される。
【0039】
図4に示すアルゴリズムは、以下のようになる。
【式13】
ここで、di(0)は任意の初期値であり、添字*は共役を表す。f(・)はtanh(・)などの非線形関数を表す。
図4では、メインのアルゴリズムの流れを非線形関数41、誤差信号e i(t)の計算42、w i(t)の更新43、x i+1(t)の更新45で示し、このメインのアルゴリズムにおいて必要な諸量の算出を、ξの計算46、d i(t)の計算47の各ユニットにて実行している。また、z-1はタイミング合わせのための遅延部である。また、各w i(t)が求まった時点、あるいはすべてのw i(t)が求まった時点でユニタリ化演算を行えば、より精度が向上する。例えば、実数ベクトルの場合、グラム・シュミットの直交化法などを施せばよく、特に方法を限定する必要はない。
【0040】
図5は、本実施の形態におけるデータ読み込みから出力までの処理の流れを示した図である。まず、観測信号x(t)のデータを読み込み(ステップ101)、アルゴリズム中で用いる非線形関数を既定のものを用いるか、尖度によって関数を切り替えるかの場合分けが行われる(ステップ102〜ステップ104)。即ち、既定関数を使うか否かの判断がなされ(ステップ102)、既定関数を使う場合には、既定関数の設定をし(ステップ103)、既定関数を使用しない場合には、尖度判定による関数の設定がなされる(ステップ104)。次に、観測信号x(t)のゼロ平均化、即ち、観測信号x(t)の平均を減じて、平均ゼロにした後(ステップ105)、観測データの白色化を行う(ステップ106)。そして、データの最初から最後まで、あるいは最初から既定のデータポイントまで、本実施の形態における評価関数である指数関数型評価関数に基づく分離処理を繰り返し実行し(ステップ107)、後処理として逆白色化を行って(ステップ108)、出力結果が得られる(ステップ109)。この中で分離処理については図2に示した第1のアルゴリズムによる構成や、図3および図4に示した第2のアルゴリズムによる構成などを用いれば良い。
【0041】
次に、本実施の形態における信号分離方法について、更に詳述する。既に記述したように、従来用いられてきた評価関数は、
【式14】
のような形を持つH2ノルムに基づくものであった。
このような形の評価関数だと、推定ベクトル
【式15】
に推定誤差などの何らかの摂動が加わった時や、収束に達している時も、同程度の重みで分離行列の推定を行うことを意味する。一方、本実施の形態に示すように、指数関数型評価関数に基づけば、誤差が大きくなればなるほど評価に関与する重みが大きくなると言えるので、収束途中では収束を加速し、収束に達しつつあるときは、更新の加速を不必要に加速することがないように、加速を抑えるような安定した推定を行うことが期待できる。
【0042】
図6は、評価関数における誤差の考慮の度合いを示す概念図である。横軸は、誤差の値を示し、縦軸は考慮の度合いを示している。図でほぼ直線で示されるものが従来の方式によるものであり、下に凸となる曲線で描かれているのが、本実施の形態における方式(本方式)を示している。本方式では、推定誤差が大きい推定初期には最適な更新量で大きな更新を行い、推定が進んだ段階では適切な微調整更新を安定して行うので、結果として少ないステップ数で精度の良い推定結果を得ることができる。
【0043】
例えば、従来との差が顕著となる例として、携帯情報機器などの信号観測装置の占める面積を大きく取れない場合がある。この時、混合行列Aの各行または各列の成分はほぼ同じ値を持つようになり、混合行列Aの条件数が大きくなる。条件数が大きくなれば、推定誤差などの摂動によって大きく影響を受けることになり、従来方式では、わずかの摂動が生じたときにも収束させるために余計な計算ステップを必要とする可能性が高い。一方、本方式では、摂動を受けてもその変化により評価関数における考慮の重みが大きくなるために、修正量が大きく取られることと等価な効果をアルゴリズム中の更新式に持たせることができる。その結果、本方式によれば、従来方式よりも収束を速くすることが期待できる。勿論、条件数が大きくない場合であっても、上記の考察からわかるように、本方式によれば従来方式よりも収束が加速され、より速く精度の良い分離行列の推定が可能となることが期待できる。即ち、本方式は、できるだけ推定誤差を小さく抑えようとする更新量が、従来方式のものより適切な評価関数のもとで改善されている。
また、上記に導出したアルゴリズム例から解るように、本方式は適応フィルタリングの構造を持つと考えられるため、観測途中に混合状態が変化するといったように混合行列Aが時変性のものであっても、それに追随した信号分離が可能となる。
【0044】
さて、上記説明では指数関数型評価関数を使い、その計算法は評価関数J1を最適化するものであれば、上の形式に限定されるものではないことは既に述べた。指数関数を多項式展開した近似式に基づく評価関数や、同様の単調増加特性を持つ関数に基づく評価関数からも同様のアルゴリズムの導出は可能である。ここではさらに、指数関数型評価関数と同じ意味を持つ評価関数についても述べる。即ち、次に挙げる2つの評価関数に基づいて分離行列の推定アルゴリズムを導出すれば、図2や図3および図4に示したアルゴリズムと同様なアルゴリズムを導くことが可能となる。
【式16】
ここで、Π 0は初期値W 0に対する不確かさの度合いを表す正定行列である。また、Wは分離行列の真値を表す。正定行列とは、すべての非ゼロベクトルvに対し、
v H Mvが正となる行列Mのことを言う。
【0045】
ここで、J11はH無限大ノルムであり、この評価関数の形式が意味することは、どんなに大きな推定誤差がある場合でも推定誤差のH2ノルムの上界が既定のスカラー量以下となるような分離行列を推定する方法を導出できるということである。J12の評価関数が意味することは、ゲーム理論におけるMinMax定理によって、いろいろな分離行列に対して出てくる誤差の最大値候補の中から、最小のものを出す分離行列を解とする戦略において、最適化を行う方法を導出できるということである。これらの評価関数の意味するところは、上記の指数関数型評価関数から導かれる信号分離法の特徴と一致している。
【0046】
次に、本実施の形態における信号分離方法を適用した実験結果について説明する。ここでは、まず、3種類の人工信号を用意して、その分離実験を行った。人工信号は下記の3種類である。
【式17】
ここで、サンプリング周波数は10kHzとした。sign(・)は(・)内の符号を出力する関数を表す。
比較対象として前述の文献3と文献4の方法を用いた。文献3の方法は、勾配法の中では収束が速いとされる相対勾配に基づく方法であり、文献4の方法は従来の最小2乗型アルゴリズムである。比較対象として、図2に示した本実施の形態のアルゴリズムを採用している。混合行列は[0,1]区間に一様分布する乱数から生成することとし、条件数は2000以上になるようにした。
【0047】
図7は、この分離実験において、独立試行を10回行い、その平均を取ったときの収束の様子を示した図である。横軸は繰り返し回数を示し、縦軸は収束の指標値を示しており、ここでは、文献3の手法、文献4の手法、および、本実施の形態の手法を用いた際の、人工信号による収束特性を示している。このときの収束性は文献4で使われている次の指標を用いており、0に近づくほど推定精度が高いことを示している。
【式18】
ここで、pijは推定分離行列と混合行列Aの積で得られる行列の(i,j)要素を表わしている。文献3の手法は更新ステップをユーザが決定してやらなければならず、ここでは本実施の形態と同程度の安定性を持って収束するステップ量のうちで最も速く収束するものを用いている。しかし、図7から理解できるように、文献3の手法の収束速度は本実施の形態の手法よりも遅い。一方、文献4の手法や本実施の形態の手法はステップ量を最適なものに自動設定できるものであるが、本実施の形態によれば文献4の手法よりも速く収束していることが解る。
【0048】
上記の実験におけるそれぞれの手法において、1秒間に処理できる浮動小数点演算命令であるFLOPS(Floating Operations Per Second)数を調べてみると、本実施の形態と文献4の1ステップのFLOPS数はほぼ同じであることが解った。従って、収束までの総FLOPS数は本実施の形態における手法の方が少ないことがわかる。一方、文献3と本実施の形態とでは、1ステップに要するFLOPS数は文献3の手法の方が少ないが、十分な収束に要するまでに必要な総FLOPS数は、本実施の形態によれば2/3以下に削減できることをシミュレーションで確認した。尚、図3および図4に示したアルゴリズムを用いても同程度の結果が得られる。また、混合行列Aの条件数を本シミュレーションのように悪条件にしなくても同様の結果が得られる。
【0049】
図8〜図10は、実信号分離の実現の一例として、音声信号分離結果を説明するための図である。図8(a)〜(d)は実音声の原信号を示している。図9(a)〜(d)は混合された音声信号を示し、図8(a)〜(d)を一様乱数により生成した混合行列にて混合された音声信号を示している。図10(a)〜(d)は本実施の形態による分離結果を示している。それぞれ横軸はサンプル数であり、縦軸は振幅である。図8(a)では、/n/、/i/、/N,g/、/e/、/N/、/t/、/o/、/h/、/a/ (人間とは)の実音声を示している。図10(a)は、混合された音声信号の分離結果であり、図8(a)と同様な信号が得られ、本方式によって複数の信号を原信号に安定して分離されたことが理解できる。
【0050】
図8(b)では、/b/、/i/、/my/、/o,u/、/d/、/e/、/f,u/、/k/、/u/、/z/、/a/、/ts/ (微妙で複雑)の実音声を示している。図10(b)は混合された音声信号の分離結果であり、図8(b)の実音声が分離されている。また、図8(c)では、/i/、/k/、/i/、/m/、/o/、/n/、/o/、/d/、/e/、/a/、/r/、/u/(生き物である)、図8(d)では、/f,u/、/k/、/u/、/z/、/a/、/ts/、/u/、/n/、/a/、/i/、/k/、/i/、/m/、/o/、/n/、/o/(複雑な生き物)の実音声が示されている。図10(c),図10(d)には、本実施の形態により分離された音声信号が示されており、図8(c),図8(d)と同様な振幅が得られていることが理解できる。このように、実音声信号に対して複数の音声信号(他の音声信号等)が混在した場合であっても、本実施の形態の信号分離方法を採用することで、実音声信号を安定して分離することが可能となる。
【0051】
次に、本実施の形態における信号分離方法の他の分野への応用例(1)〜(3)について説明する。
(1) 脳磁図(MEG)、脳波図(EEG)などによる観測生体信号からのアーチファクト除去について
本実施の形態における信号分離方法は、独立成分解析の一種であり、MEGやEEGにおいて脳活動信号とアーチファクトを分離するための方法として用いることが期待できる。アーチファクトとしては、心電、瞬き、眼球の動き、あるいは筋肉の動き(筋電)によって発生する電位変化の混信や、周囲環境からの電気的・磁気的擾乱、さらに、センサの不調等が挙げられる。これらは脳活動を示す信号波形と分離されるべきであるが、頭部表皮に貼り付けた多チャネルの電極等を用いて生体信号を観測した場合、脳活動を示す信号と上記のアーチファクトは同時に観測されてしまう。従来、アーチファクトに対して時間的・周波数的な仮定を置くことで、ある程度の除去は実行されてきたが、本来の脳波までも除去されることが多かった。本実施の形態では、混信過程が未知であっても原信号を比較的少ない観測時間から分離・抽出することが可能となり、より正確な脳活動電位信号の抽出が期待できる。
【0052】
(2) 符号分割多元接続(CDMA)における基地局から各モバイル端末へのリンクであるダウンリンク信号の干渉除去について
CDMAは、スペクトル拡散に基づく多元接続技術である。ここでは、各ユーザが異なる符号を使って情報スペクトルを拡散し、複数のユーザが同じ周波数帯域を使って通信を行っている。そのために、他のユーザのための拡散情報は、各ユーザ自身にとっては干渉雑音になる。また、マルチパスによるフェージングの影響などもある。こうした劣化要因からの影響を低減するためには、伝送符号の時間遅れの検知・推定が重要とされ、従来の受信技術も整合フィルタや最尤法(maximum likelihood method)による時間遅れの検知が含まれていた。基地局のように充分な信号処理設備を持てる側に対しては、従来の考え方の効率化で今後も対応可能である。しかしながら、ますます小型化・消費電力の低減化が要求されるモバイル端末側には、従来手法の精度を上げていく方向での複雑な信号処理装置の実装は難しくなるものと予想される。そこで、フェージングや、拡散符号が未知である他ユーザのための信号からの影響を、混合行列の係数としてモデル化して、受信信号のみから各ユーザ自身の信号を分離する手法として本実施の形態を用いれば、従来手法よりも精度のよい受信を可能とすることができる。
尚、本実施の形態が適用されるモバイル端末装置としては、通信手段、制御手段、表示手段等、一般の携帯電話やPDA(Personal Digital Assistants)に用いられる各種機能を備える必要があるが、ここでは、その詳細な内容説明については省略する。
【0053】
(3) 株価変動など経済統計データから観測上は埋没してしまった重要な変動成分(要因)抽出を行うデータ解析法や金融ビジネスにおけるポートフォリオ・マネージメントへの使用について
経営データの例として、チェーン店全体での利益予測を考える。各店の日時別売上データは、チェーン店全体の売上に作用するようなトレンドと個々の店における売上要因から形成されているとも考えられる。例えば、各店の売上に影響を及ぼすものとしては、マスコミを通した宣伝効果などに起因する地域消費者の購買意欲の変化、また、個々の店の宣伝・売り方などが挙げられる。しかしながら、経営データ解析上からは、こうした様々な要素とは独立した、チェーン店全体で見たときのキャッシュフローに及ぼす主要ファクターを抽出することが重要となる。そこで、全体のトレンドと個々のファクターが、未知の混合行列によって形成されたものがチェーン店の各売上データとすれば、本実施の形態による信号分離法、すなわち独立成分解析法の一種を有効に用いることができ、従来手法よりも速く、精度の良い経営分析が可能になるものと考えられる。
【0054】
また、金融ビジネスについても同様に考えることができる。金融工学で開発される様々なポートフォリオ商品の場合、いくつかの証券銘柄を1セットにしてポートフォリオ・リターン予測を行い、投資配分が決定される。このとき、セットにして観察している株価を駆動している主要素を特定できれば、有効な金融工学商品の提供が可能になる。ここで、各株価はいくつかの独立成分の和によってモデル化できると仮定すれば、本実施の形態における信号分離方法を使って、対象セットを駆動している独立成分を求めることが可能となる。そして、影響の大きな独立成分のトレンドを読み取り、推定した混合行列で推定株価を合成すれば、より効果的なポートフォリオ・リターン予測が可能になるものと考えられる。また、この考えを基本にしてモデル化を高度にしていった場合でも、独立成分解析法の精度や収束の速い方法の必要性は失われることはない。これは、独立成分解析は、高次の統計量を考慮した評価関数と関連付けられることから解るように、従来の主成分分析など2次の統計量までを考慮した手法で抽出した主成分の組み合わせよりも精度が上がることが期待できる。更には、本実施の形態では、分離行列を推定するために要する時間が短いので、少ない観測データからでも精度の良い分離行列が推定でき、素早い判断が可能となる。かかる点からも経営・金融データ解析法としても有効に活用することができると言える。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、複数の信号が混合状態で観測されたときに、少ない計算ステップ数で、その複数の信号から原信号を安定して分離・抽出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 信号分離問題を示す概念図である。
【図2】 評価関数を最小にする分離行列を求めるための第1のアルゴリズムを示したブロック図である。
【図3】 第2のアルゴリズムの全体構成を示した図である。
【図4】 第2のアルゴリズムにおけるw i(t)の推定フィルタリングを示した図である。
【図5】 本実施の形態におけるデータ読み込みから出力までの処理の流れを示した図である。
【図6】 評価関数における誤差の考慮の度合いを示す概念図である。
【図7】 分離実験において、独立試行を10回行い、その平均を取ったときの収束の様子を示した図である。
【図8】 (a)〜(d)は実音声の原信号を示した図である。
【図9】 (a)〜(d)は混合された音声信号を示した図である。
【図10】 (a)〜(d)は本実施の形態による分離結果を示した図である。
【符号の説明】
21…非線形関数、22…誤差信号e(t)の計算、23…W(t)の更新、24…ユニタリ化演算、25…h(t)の計算、26…g(t)とξの計算、27…P(t)の計算、31…w 1(t)の推定フィルタリング、32…w 2(t)の推定フィルタリング、33…w m(t)の推定フィルタリング、41…非線形関数、42…誤差信号e i(t)の計算、43…w i(t)の更新、45…x i+1(t)の更新、46…ξの計算、47…d i(t)の計算
Claims (4)
- コンピュータに入力され1次元信号系列が混合状態で観測される音声観測データから原信号をコンピュータにて推定復元して出力する信号分離方法であって、
コンピュータに入力された前記音声観測データに対して、単調増加特性を持つ指数型関数に基づき、音声分離度合いの基準としての評価関数を最小にするように、分離行列を推定するよう適応フィルタを構成し、
前記適応フィルタによって推定された前記分離行列を前記音声観測データに乗じ、前記原信号を推定復元して出力することを特徴とする信号分離方法。 - コンピュータに入力され原信号を含む1次元信号系列が混合状態で観測される音声データである観測信号から当該原信号をコンピュータにて分離・抽出する信号分離方法であって、
前記観測信号をコンピュータにて読み込み、
読み込まれた前記観測信号の平均を減じてゼロ平均化を施し、
ゼロ平均化が施された前記観測信号に対して白色化を施し、
白色化が施された前記観測信号に対して、単調増加特性を有する指数型関数に基づき、音声分離度合いの基準としての評価関数を最小にするように、分離行列を推定するよう適応フィルタを構成し、
前記適応フィルタによって推定された前記分離行列を前記観測信号に乗じ、分離処理が施された当該観測信号に対し、後処理として逆白色化を施して出力することを特徴とする信号分離方法。 - 複数の信号が混在して観測される音声観測データを入力する入力手段と、
前記入力手段により入力される前記音声観測データに対し、単調増加特性を持つ指数型関数に基づき、音声分離度合いの基準としての評価関数を最小にするように、分離行列を推定するよう適応フィルタを構成する手段と、
前記適応フィルタによって推定された前記分離行列を前記音声観測データに乗じて、当該音声観測データに含まれる原信号を推定復元する推定復元手段と、を備えたことを特徴とする信号処理装置。 - コンピュータに実行させるプログラムを当該コンピュータが読取可能に記憶した記憶媒体であって、
前記プログラムは、コンピュータに入力され原信号を含む1次元信号系列が混合状態で観測される音声観測データに対して、単調増加特性を持つ指数型関数に基づき、音声分離度合いの基準としての評価関数を最小にするように、分離行列を推定するよう適応フィルタを構成し、当該適応フィルタによって推定された当該分離行列を当該音声観測データに乗じて、当該原信号を推定復元する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする記憶媒体。
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