JP4026745B2 - 医療用システムおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、医療用システムおよびその製造方法に関する。本発明は、とりわけ、血液または体液の流れが速い体内部位に留置して、長期間安定して薬剤を徐放できる、生体分解性材料で構成された非侵襲性の薬物配送システム(ドラッグ・デリバリ・システム)およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、患者が薬剤を経口服用する場合、服用された薬剤の多くは、消化器系および肝臓において分解され、その薬効を失う。したがって実際には、多くの薬剤成分が分解されることを見越して、治療に必要とされる量よりも遥かに多量の薬剤を経口服用している。しかし、薬剤は、通常、副作用を有し、例えば、抗がん剤の副作用は人体の他の正常部位にとって極めて有害である。そこで、薬剤が必要な部位に必要な量だけ配送しようとする薬物配送システムの研究が進められてきた。
【0003】
従来、最も有望視されてきた薬物配送システムの1つにリポソームが挙げられる。これは、リン脂質二重層からなる微細で球状の閉鎖小包体であり、その内部に薬剤を封入できる。リポソームは、補体系の活性化により崩壊すると、封入された薬剤を外部へ放出する。しかしながら、この補体系の活性化メカニズムが完全に解明されていないため、リポソームは、未だ有効な薬物配送システムとはいえない。
【0004】
ところで、再生医療分野における近年のわが国の技術革新は、他国の追随を許さず、極めて優秀な研究成果が報告されている。とりわけ、血管、骨、および角膜などを再生治療するために必要な再生細胞および再生因子の精製技術が、すでに確立されている。例えば、血管を再生するためには、再生細胞および再生因子を長期間に亙って安定して既存の血管壁に局所的に供給する必要がある。同様に、骨を再生するためには、再生を要する骨折部位などに、再生するまでの長い間、薬剤(再生細胞および再生因子)を投与し続けなければならない。角膜再生に際しても、再生細胞および再生因子を長期間安定して局所的に徐放する必要がある。
【0005】
ここで、一例として、図20および図21を参照しながら、冠状動脈梗塞などの循環器系疾病に関する従来の治療方法について以下に説明する。これまでの最も一般的な治療方法によれば、図20(a)ないし(c)に示すように、カテーテル(catheter)CTの先端部に取り付けたバルーン(balloon)BLを動脈(blood vessel)BVの梗塞部分(infraction)INFに配置し、これを膨らませて、狭くなった血管壁などの血管周囲組織(perivascular tissue)PVを押し広げることにより、正常に血液を循環させる。しかし、こうした梗塞部分INFは、処置した後しばらくすると、再び血管壁PVが狭くなる、すなわち再発する可能性が非常に高い。また、この治療方法で完治させることが困難である場合、バイパス形成外科手術が施される。一般に、こうした外科手術は侵襲性のものであり、患者に対する負担はバルーンカテーテル法に比べて遥かに大きい。
【0006】
そこで、図21(a)に示すように、カテーテルCTの先端部に設けた注射針(injection)Iを用いて、先に説明した血管を再生させる再生細胞および再生因子を、動脈BVの梗塞部分INFに隣接する血管壁PVに継続的に投与することにより、梗塞した動脈の機能を補完するようなバイパス血管BYPを形成する手法が考案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし現実には、冠状動脈BVの血管壁PVは、視認しにくく、心臓の鼓動に呼応して常に動いているので、注射針Iを用いて、血管壁PVの正確な位置に適当な深さで、再生細胞および再生因子を継続的に注入することは不可能である。注射針Iを血管壁PVにあまりにも深く突き刺すと心臓を貫通して、心臓内にまで達する惧れがあり、あまりにも浅く突き刺して、再生細胞および再生因子を注入した場合、注射針Iを抜くと直ぐに、速い血液の流れにより、注入した薬剤が血管壁PVに留まることなく、流されてしまう。つまり、再生すべき部位の近傍において、血液の流れまたは循環が速い場合、再生細胞および再生因子は、これらの部位に留まることができず、血管再生に寄与し得ない。
【0008】
したがって、本発明は、このような問題を解決しようとするためになされたもので、その目的は、血液または体液の流れが速い体内部位に留置して、長期間安定して薬剤を徐放できる、生体分解性材料で構成された非侵襲性の薬物配送システムおよびその製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の本発明によれば、チャンバ部を有する生分解性材料からなるタンク部と、タンク部から延びる、生分解性材料からなる少なくとも1つのアンカ部とを備え、アンカ部は、1辺の長さが異なる複数の四角錐を組み合わせてなる複数の突起部を有する医療用システムを提供することができる。したがって、この薬物配送システムは、鋭利な先端部を有するので、組織内に容易に挿入でき、ポリ乳酸などの生分解性材料を構成材料とし、突起部を含むアンカ部を有するので、人体に悪影響を与えることなく、血液または体液の流れが速い体内部位に留置でき、しかもポリ乳酸膜が徐々に溶け出すにつれて、タンク部の内部に格納されていた薬剤を、所定の投薬期間に亙って少量ずつ放出させることができる。これにより、従来式の侵襲性の高い外科手術の代わりに、より安全で患者に対する負担の少ない治療手段を提供することができる。
【0010】
請求項2に記載の本発明によれば、チャンバ部を有する生分解性材料からなる複数のタンク部と、隣接するタンク部を接続するための、生分解性材料からなるコネクタ部と、コネクタ部上に配置され、タンク部を気密封止するためのキャップ部と、少なくとも1つのタンク部から延びる、生分解性材料からなる少なくとも1つのアンカ部とを備え、アンカ部は、1辺の長さが異なる複数の四角錐を組み合わせてなる複数の突起部を有する医療用システムを提供することができる。したがって、この薬物配送システムは、鋭利な先端部を有するので、組織内に容易に挿入でき、ポリ乳酸などの生分解性材料を構成材料とし、突起部を含むアンカ部を有するので、人体に悪影響を与えることなく、血液または体液の流れが速い体内部位に留置でき、しかもポリ乳酸膜が徐々に溶け出すにつれて、タンク部の内部に格納されていた薬剤を、所定の投薬期間に亙って少量ずつ放出させることができる。さらに、この薬物配送システムは、複数のタンク部を有するので、同じまたは異なる種類の薬剤を異なるタイミングで供給することができる。
【0011】
請求項3に記載の本発明によれば、チャンバ部を有する生分解性材料からなるアンカ部を備え、アンカ部は、1辺の長さが異なる複数の四角錐を組み合わせてなる複数の突起部を有する医療用システムを提供することができる。したがって、この薬物配送システムは、組織内に容易に挿入でき、人体に悪影響を与えることなく、血液または体液の流れが速い体内部位に留置でき、しかもその内部に格納されていた薬剤を、所定の投薬期間に亙って少量ずつ放出させることができる。
【0012】
請求項4に記載の本発明によれば、薬剤を含浸した生分解性材料からなるタンク部と、タンク部から延びる、生分解性材料からなる少なくとも1つのアンカ部とを備え、アンカ部は、1辺の長さが異なる複数の四角錐を組み合わせてなる複数の突起部を有する医療用システムを提供することができる。したがって、この薬物配送システムのタンク部は、ポリ乳酸などの生分解性材料に含まれた薬剤を少量ずつ放出させることができる。
【0013】
請求項5に記載の本発明によれば、薬剤を含浸した生分解性材料からなるアンカ部を備え、アンカ部は、1辺の長さが異なる複数の四角錐を組み合わせてなる複数の突起部を有する医療用システムを提供することができる。こうして、この薬物配送システムのアンカ部は、ポリ乳酸などの生分解性材料に含まれた薬剤を少量ずつ放出させることができる。
【0014】
請求項6に記載の本発明によれば、生分解性材料からなるアンカ部を備え、アンカ部は、長手方向の一方の端部において先細りする先端部を有し、他方の端部において薬剤が固定され、さらに1辺の長さが異なる複数の四角錐を組み合わせてなる複数の突起部を有する医療用システムを提供することができる。こうして、この薬物配送システムは、アンカ部の他方の端部に固定された薬剤を治療部位に留置することができる。
【0015】
請求項7に記載の本発明によれば、チャンバ部を有する生分解性材料からなるアンカ部を備え、アンカ部は、長手方向の両方の端部において先端部に向かって先細りし、少なくとも1つの突起部を有する薬物配送システムを提供することができる。したがって、この薬物配送システムは、チャンバ部内に格納されていた薬剤を、所定の投薬期間に亙って少量ずつ放出させることができる。
【0016】
アンカ部において、1辺の長さが異なる複数の四角錐を組み合わせてなる複数の突起部は、例えば、シリコン基板を水酸化カリウムでウェットエッチングすることにより、容易に形成できる。
【0017】
請求項8に記載の本発明によれば、アンカ部の突起部は、先端部に向かう長手方向に対して鈍角をなす方向に延びる薬物配送システムを提供することができる。このような突起部は、例えば、六フッ化硫黄を用いて、シリコン基板を反応性イオンエッチングすることにより、容易に形成できる。
【0018】
請求項9に記載の本発明によれば、生分解性材料は、ポリ乳酸、にかわ、でんぷん、蛋白質、または水あめである薬物配送システムを提供することができる。
【0019】
請求項10に記載の本発明によれば、アンカ部は、タンク部のチャンバ部と連通するチャンネル部を有する薬物配送システムを提供することができる。
【0020】
請求項11に記載の本発明によれば、タンク部から異なる方向に延びる複数のアンカ部を有する薬物配送システムを提供することができる。
【0021】
請求項12に記載の本発明によれば、タンク部から同じ方向に延びる複数のアンカ部を有する薬物配送システムを提供することができる。
【0022】
請求項13に記載の本発明によれば、アンカ部は、先端部に向かって先細りする平面形状および断面形状を有する医療用システムを提供することができる。
【0023】
請求項14に記載の本発明によれば、第1および第2半導体基板上に半導体酸化膜を形成するステップと、タンク領域および複数の離散的に配置された円形領域において、第1半導体基板の半導体酸化膜をエッチングして、半導体酸化膜によるマスクを形成するステップと、半導体酸化膜によるマスクを用いて、第1半導体基板をウェットエッチングするステップと、ウェットエッチングされた第1半導体基板上に、半導体酸化膜を形成するステップと、第1および第2半導体基板の半導体酸化膜の上に、ポリ乳酸からなる薄膜を形成するステップと、第1および第2半導体基板のポリ乳酸からなる薄膜が互いに対向するように、第1および第2半導体基板を接合するステップと、第1および第2半導体基板の半導体酸化膜を残し、第1および第2半導体基板をエッチングするステップと、ポリ乳酸を残し、第1および第2半導体基板の半導体酸化膜をエッチングするステップとを有する製造方法を提供することができる。これにより、マイクロマシン技術を用いて、任意の所望する寸法および形状を有する薬物配送システムを極めて精緻に、かつ安価に大量生産することができる。
【0024】
請求項15に記載の本発明によれば、半導体基板上に半導体酸化膜を形成するステップと、タンク領域および複数の離散的に配置された円形領域を貫通するブリッジ領域を除いた、これらのタンク領域および複数の離散的に配置された円形領域において、半導体酸化膜をエッチングして、半導体酸化膜からなる第1マスクを形成するステップと、半導体酸化膜による第1マスクを用いて、半導体基板をウェットエッチングするステップと、ウェットエッチングされた半導体基板上に、半導体酸化膜を形成するステップと、半導体酸化膜の上に、ポリ乳酸からなる薄膜を形成するステップと、ポリ乳酸からなる薄膜の上に、所定の材料からなる薄膜を形成するステップと、所定の領域において、所定の材料からなる薄膜をエッチングして、所定の材料からなる第2マスクを形成するステップと、所定の材料からなる第2マスクを用いて、ポリ乳酸をエッチングするステップと、所定の材料からなる第2マスクを用いて、半導体酸化膜をエッチングするステップと、半導体酸化膜を残し、半導体基板をエッチングするステップと、ポリ乳酸を残し、所定の材料からなる第2マスクをエッチングするステップと、ポリ乳酸を残し、半導体酸化膜をエッチングするステップとを有する製造方法を提供することができる。
【0025】
請求項16に記載の本発明によれば、第1および第2半導体基板上に半導体酸化膜を形成するステップと、タンク領域およびアンカ領域において、第1半導体基板の半導体酸化膜をエッチングして、半導体酸化膜によるマスクを形成するステップと、半導体酸化膜によるマスクを用いて、第1半導体基板を反応性イオンエッチングするステップと、反応性イオンエッチングされた第1半導体基板上に、半導体酸化膜を形成するステップと、第1および第2半導体基板の半導体酸化膜の上に、ポリ乳酸からなる薄膜を形成するステップと、第1および第2半導体基板のポリ乳酸からなる薄膜が互いに対向するように、第1および第2半導体基板を接合するステップと、第1および第2半導体基板の半導体酸化膜を残し、第1および第2半導体基板をエッチングするステップと、ポリ乳酸を残し、第1および第2半導体基板の半導体酸化膜をエッチングするステップとを有する製造方法を提供することができる。
【0026】
請求項17に記載の本発明によれば、半導体基板上に半導体酸化膜を形成するステップと、タンク領域およびアンカ領域において、半導体酸化膜をエッチングして、半導体酸化膜によるマスクを形成するステップと、半導体酸化膜によるマスクを用いて、半導体基板を反応性イオンエッチングして、タンク領域およびアンカ領域において凹部を形成するステップと、所定の材料を溶融して、凹部内に充填し、硬化させて、所定の材料からなる金型を形成するステップと、ポリ乳酸からなる薄膜を金型の周囲に形成するステップと、金型の一部を露出させる開口部を形成するステップと、ポリ乳酸を残し、所定の材料をエッチングするステップとを有する製造方法を提供することができる。
【0027】
請求項18に記載の本発明によれば、半導体基板上に半導体酸化膜を形成するステップと、タンク領域の周縁部およびアンカ領域において、半導体酸化膜をエッチングして、半導体酸化膜による第1マスクを形成するステップと、半導体酸化膜によるマスクを用いて、半導体基板を反応性イオンエッチングして、タンク領域の周縁部およびアンカ領域において凹部を形成するステップと、ポリ乳酸を溶融して、凹部内に充填して、ポリ乳酸からなる薄膜を形成するステップと、ポリ乳酸からなる薄膜の上に、所定の材料からなる薄膜を形成するステップと、所定の領域において、所定の材料からなる薄膜をエッチングして、所定の材料からなる第2マスクを形成するステップと、所定の材料からなる第2マスクを用いて、ポリ乳酸をエッチングするステップと、所定の材料からなる第2マスクを用いて、半導体酸化膜をエッチングするステップと、半導体酸化膜を残し、半導体基板をエッチングするステップと、ポリ乳酸を残し、所定の材料からなる第2マスクをエッチングするステップと、ポリ乳酸を残し、半導体酸化膜をエッチングして、タンク領域の周縁部に対応する領域に開口部を有するポリ乳酸からなる構造体を形成するステップと、ポリ乳酸からなる構造体の開口部を、ポリ乳酸からなる薄膜を用いてカバーするステップとを有する製造方法を提供することができる。
【0028】
請求項19に記載の本発明によれば、薬剤を貯蔵できるチャンバ部を有する、ポリ乳酸からなるタンク部を形成するステップと、先端部に向かって先細りし、少なくとも1つの突起部を有するポリ乳酸からなるアンカ部を形成するステップと、アンカ部をタンク部に接合させるステップとを有する製造方法を提供することができる。
【0029】
請求項20に記載の本発明によれば、第1および第2半導体基板に、それぞれ複数の第1および第2の基板凹部を形成するステップと、所定の材料を複数の第1および第2の基板凹部に充填し、硬化させるステップと、所定の材料を残し、第1および第2半導体基板をエッチングして、所定の材料からなる第1および第2金型を形成するステップと、溶融したポリ乳酸を第1金型の金型凹部に充填するステップと、ポリ乳酸が充填された第1金型に第2金型を嵌合させるステップと、ポリ乳酸を残し、所定の材料をエッチングして、複数のタンク部を形成するステップと、アンカ部を少なくとも1つのタンク部に接合するステップとを有する製造方法を提供することができる。
【0030】
請求項21に記載の本発明によれば、第1および第2半導体基板上に半導体酸化膜を形成するステップと、所定のマスクにおいて、第1半導体基板の半導体酸化膜をエッチングして、半導体酸化膜によるマスクを形成するステップと、半導体酸化膜によるマスクを用いて、第1半導体基板をウェットエッチングするステップと、ウェットエッチングされた第1半導体基板上に、半導体酸化膜を形成するステップと、第1および第2半導体基板の半導体酸化膜の上に、ポリ乳酸からなる薄膜を形成するステップと、第1および第2半導体基板のポリ乳酸からなる薄膜が互いに対向するように、第1および第2半導体基板を接合するステップと、第1および第2半導体基板の半導体酸化膜を残し、第1および第2半導体基板をエッチングするステップと、ポリ乳酸を残し、第1および第2半導体基板の半導体酸化膜をエッチングするステップとを有する製造方法を提供することができる。
【0031】
請求項22に記載の本発明によれば、半導体基板上に半導体酸化膜を形成するステップと、所定のマスク領域において、半導体酸化膜をエッチングして、半導体酸化膜によるマスクを形成するステップと、半導体酸化膜によるマスクを用いて、半導体基板をウェットエッチングして、所定のマスク領域において凹部を形成するステップと、所定の材料を溶融して、凹部内に充填し、硬化させて、所定の材料からなる金型を形成するステップと、ポリ乳酸からなる薄膜を金型の周囲に形成するステップと、金型の一部を露出させる開口部を形成するステップと、ポリ乳酸を残し、所定の材料をエッチングするステップとを有する製造方法を提供することができる。
【0032】
請求項23に記載の本発明によれば、所定のマスク領域は、半導体基板の<100>結晶方向に対して、実質的に(π/2−arctan(√2))の角度を有する辺を用いて形成される製造方法を提供することができる。
【0033】
請求項24に記載の本発明によれば、所定の材料は、アルミニウムである製造方法を提供することができる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明に係る薬物配送システム(ドラッグ・デリバリ・システム)の実施形態を説明する。各実施形態の説明において、理解を容易にするために方向を表す用語(例えば、「上方」、「下方」など)を適宜用いるが、これは説明のためのものであって、これらの用語は本発明を限定するものでない。
【0035】
(実施形態1による薬物配送システム)
図1および図2を参照しながら、本発明の第1の実施形態による薬物配送システムを以下に説明する。この薬物配送システム1は、概略、タンク部(容器部)2と、タンク部2から延びるアンカ部(係留部)3とを有する。タンク部2は、これに限定しないが、ほぼ直方体の外形形状を有し、その内部には再生細胞および再生因子、または抗がん剤などの薬剤を貯蔵することができるチャンバ部4が形成されている。アンカ部3は、図1(a)および(b)の矢印Aで示す長手方向において先細り、一端部においてタンク部2にしっかりと固定され、他端部において実質的に鋭利な先端部6を有する。またアンカ部3は、図1(a)ないし(c)に示すような複数の(例えば、4つの)突起部7を有する。各突起部7は、ピラミッド状四角錐の部分的な外形形状を有し、アンカ部3は、1辺の長さが異なる四角錐形状の突起部7を組み合わせた外形形状を有する。さらにアンカ部3は、その内部にチャンバ部4と流体連通するチャンネル部5を有する。
【0036】
タンク部2およびアンカ部3は、例えば、ポリ乳酸で構成されている。ポリ乳酸は、生体適合性および生分解性を有する高分子系材料であり、加水分解すると、生体に対して無毒で代謝可能な乳酸となる。なお、ポリ乳酸以外の他の任意の生分解性材料(例えば、にかわ、でんぷん、蛋白質、または水あめなど)を用いて、タンク部2およびアンカ部3を構成してもよい。こうして、ポリ乳酸などの生分解性材料を構成材料とする本発明の薬物配送システム1は、好適にも、体内に放置または埋め込むことができる。また、ポリ乳酸は、土中においては好気性細菌のもつ酵素の働きで二酸化炭素と水に分解される。これらは、光合成により再び乳酸に戻り、TCA回路と呼ばれる循環サイクルを形成する。すなわち、ポリ乳酸からなる製品は、土中に廃棄でき、環境に優しいリサイクルを実現できるので、この観点から「エコロジ性」および「リサイクル性」に優れている。
【0037】
体内に留置可能なマイクロマシン製品の構成材料として、シリコン系材料が多く用いられるが、近年、ポリイミドとパリレンなどのフレキシブル高分子系材料も応用されつつある。しかし、シリコン系材料(例えば、Si,SiO2,SiN)は、生体組織に対して化学的に不活性であるものの、体外に自然に排泄されることはなく、例えば、血管内に存在すると、これを核として血栓が形成される可能性がある。血栓が大きくなると、血管を詰まらせ、脳梗塞などの重大な疾患を招く。同様に、ポリイミドとパリレンは生分解性をもたず、すなわち体外に自然に排泄されないので、体内に放置することはできない。したがって、本発明の薬物配送システム1のように体内に留置することを意図したマイクロマシン製品の構成材料として、生体適合性および生分解性を有するポリ乳酸を用いることは、極めて有用である。また、ポリ乳酸のヤング率(剛性)などの機械的特性は、表1に示すように上述のポリイミドとパリレンと比較して、ほとんど遜色がない。このように、生体適合性および生分解性を有し、充分な強度を有するポリ乳酸は、「グリーンプラスチック」とも呼ばれている。
【表1】
【0038】
本発明の薬物配送システム1は、上述のように、鋭利な先端部6を有するので、例えば、ピンセット状の挟持デバイスを有するカテーテル(図示せず)を用いて、図2(a)に示すように、冠状動脈の血管梗塞部位INFの近傍にある血管壁PVの組織内に容易に挿入することができる。また、この薬物配送システム1は、ポリ乳酸などの生分解性材料を構成材料とするので、好適にも、人体に悪影響を与えることなく、血管壁PVの組織内に放置することができる。さらに、この薬物配送システム1は、突起部7を含むアンカ部3を有するので、血液の流れが速い血管壁PVにおいても長期間に亙って留置することができる。こうして、この薬物配送システム1が血管壁PVの組織内に埋め込まれると、タンク部2またはアンカ部3を構成するポリ乳酸膜が徐々に加水分解して溶け出し、その内部に格納されていた薬剤(例えば、血管を再生する再生細胞および再生因子)を、所定の投薬期間(例えば、約1ないし約2週間)に亙って少量ずつ放出させることができる。こうして、図2(b)に示すように、所定の投薬期間中に、梗塞した動脈の機能を補完するようなバイパス血管BYPが形成される。このとき、タンク部2およびアンカ部3を構成するポリ乳酸膜は、完全に加水分解して乳酸となり、体内に蓄積されることがないので、これを撤去する必要がない。なお、図示しないが、例えば、アンカ部3の先端部6において、これを構成するポリ乳酸膜を他の領域よりも薄く形成することにより、先端部のポリ乳酸膜が最も早く溶け出して開口部を形成し、チャンバ部4に格納されていた薬剤を、チャンネル部5および先端部6を介して徐放させることができる。
【0039】
このように、本発明によれば、この薬物配送システム1を、血流の速い血管壁PVに長期間安定して留置して、その内部に貯蔵された再生細胞および再生因子を治療すべき体内部位に徐々に供給することにより、侵襲性の高い外科手術によらず、バイパス血管BYPを容易に形成することができる。
【0040】
(実施形態1による薬物配送システムの製造方法)
次に、図3ないし図6を参照しながら、第1の実施形態による薬物配送システム1の製造方法について以下に説明する。
【0041】
まず、(100)結晶面を主面とする2枚のシリコン基板10,11を用意する。そして図3(a)および(b)に示すように、一方のシリコン基板10の両面上にシリコン酸化膜(SiO2)12a,12bを形成した後、硫酸過水洗浄(H2SO4:H2O2=3:1)およびアンモニア過水洗浄(NH4OH:H2O2:H2O=1:1:5)を5分間行う。
【0042】
図3(c)に示すように、フォトレジスト14を塗布して90℃で10分間ベークする。
【0043】
次に、図3(d)および(e)に示すように、マスクM1を用いて、フォトレジスト14にパターン形成する。このマスクM1は、図3(d)のハッチングで示す領域において、フォトレジスト14をカバーしない。すなわち、マスクM1は、タンク領域16、および直線状に並ぶ離散的に配置された複数の円形領域18をカバーしない。また各円形領域18は、その中心位置がタンク領域16から離れるにしたがって、その直径が小さくなるように形成されている。
【0044】
図3(f)に示すように、フルオロホルム(CHF3)ガス(条件:5sccm,5Pa、100W、1時間)を用いて、シリコン酸化膜(SiO2)12aを反応性イオンエッチングする。
【0045】
次に、フォトレジスト14を剥離させた後、残存するシリコン酸化膜(SiO2)12aをマスクとし、水酸化カリウム(KOH)をエッチャント(条件:33重量%,70℃,55分間)として用い、シリコン基板10をウェットエッチングする。シリコンは、一般に、水酸化カリウム(KOH)のエッチャントに対して面方位依存性(エッチング異方性)を有し、シリコン結晶の(111)面に沿ってエッチングが進むので、図3(g)および(h)に示すように、離散的に配置された各円形領域18においては、ピラミッドを上下反転させたような四角錐形状の凹部が形成され、これらの複数のピラミッド状凹部が互いに重なり合って、アンカ凹部22が形成される。同様に、タンク領域16においては、タンク凹部20が形成され、これはアンカ凹部22と連通する。
【0046】
タンク凹部20およびアンカ凹部22が形成されたシリコン基板10(以下、「第1のシリコン基板」という。)の表面上に、図4(a)に示すように、再度シリコン酸化膜(SiO2)24を形成した後、図4(b)に示すように、ポリ乳酸からなる薄膜26をその上に形成する。
【0047】
ポリ乳酸の薄膜26を形成する方法としては、例えば、溶媒溶解スピンコート法と、加熱溶融スピンコート法がある。溶媒溶解スピンコート法によれば、固体のポリ乳酸をクロロホルム(CHCl3)などの溶媒に溶かした溶液を、シリコン基板上に塗布してスピンコートし、溶媒を完全に蒸発させてポリ乳酸だけからなる薄膜を形成する。この一連の処理を反復することにより、薄膜の厚みを任意に制御することができる。一方、加熱溶融スピンコート法によれば、固体のポリ乳酸を加熱溶融させて得た液状のポリ乳酸を、シリコン基板上に塗布してスピンコートした後、常温放置して冷却することにより、ポリ乳酸からなる薄膜を形成する。なお、ポリ乳酸からなる薄膜26は、当業者により広く知られた他の任意の手法を用いて形成してもよい。
【0048】
同様に、このシリコン基板10とは別の未処理のシリコン基板11(以下、「第2のシリコン基板」という。)の両面上に、図4(c)に示すように、シリコン酸化膜(SiO2)13a,13bを形成する。
【0049】
図4(d)において、第2のシリコン基板11の一方の表面上に、同様に、ポリ乳酸からなる薄膜28を形成する。
【0050】
次に、図4(e)に示すように、ポリ乳酸からなる薄膜26,28を形成した第1および第2のシリコン基板10,11の表面が互いに対向するように、第1のシリコン基板10の上に第2のシリコン基板11を貼り合わせる。このとき、ポリ乳酸の融点近くまで加熱することにより、第1および第2のシリコン基板上10,11のポリ乳酸薄膜26,28を互いにしっかりと接合することができる。こうして、ポリ乳酸薄膜26,28の間に、タンク部2のチャンバ部4と、アンカ部3のチャンネル部5に相当する空間が形成される。
【0051】
次に、フルオロホルム(CHF3)ガス(条件:5sccm,5Pa、100W、1時間)を用いて、シリコン酸化膜(SiO2)12b,13bを反応性イオンエッチングする。そして、図4(f)に示すように、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)を用いてウェットエッチングするか、六フッ化硫黄(SF6)を用いて反応性イオンエッチングすることにより、シリコン酸化膜(SiO2)を残して、シリコンを除去する。
【0052】
最後に、図4(g)に示すように、例えば、フッ酸(HF)を用いてウェットエッチングするか、フルオロホルム(CHF3)ガスを用いて反応性イオンエッチングすることにより、シリコン酸化膜(SiO2)13b,24を除去して、ポリ乳酸だけを残して、第1の実施形態による薬物配送システム1を得る。
【0053】
こうして形成された薬物配送システム1のチャンバ部4内に、適当な方法を用いて、薬剤を注入する。例えば、集束イオンビーム(FIB)装置などを用いて、タンク部2またはアンカ部3の任意の位置に、チャンバ部4またはチャンネル部5まで貫通するような貫通孔(図示せず)を形成し、これを介して薬剤を注入し、注入完了後、貫通孔の周囲のポリ乳酸膜を加熱溶融して、貫通孔を塞ぐ。
【0054】
以上説明したように、本発明の薬物配送システム1は、半導体集積回路デバイスの微細加工技術を応用したマイクロマシン技術に立脚して製造することができる。現在利用可能な微細加工技術によれば、サブミクロンオーダの構造体に関するナノメータ単位の加工精度が実現可能である。つまり、マイクロマシン技術を用いて、任意の所望する寸法および形状を有する薬物配送システムを極めて精緻に、かつ安価に大量生産することができる。
【0055】
(変形例1:実施形態1による薬物配送システムの択一的な製造方法)
ここで、図5および図6を参照しながら、第1の実施形態による薬物配送システム1の択一的な製造方法(変形例1)について以下に説明する。
【0056】
この択一的な製造方法においては、(100)結晶面を主面とする1枚のシリコン基板30を用意する。上述の実施形態1による薬物配送システムの製造方法と同様であるので図示しないが、このシリコン基板30の両面上にシリコン酸化膜(SiO2)32a,32bを形成した後、硫酸過水洗浄(H2SO4:H2O2=3:1)およびアンモニア過水洗浄(NH4OH:H2O2:H2O=1:1:5)を5分間行い、フォトレジスト34を塗布して90℃で10分間ベークする。
【0057】
次に、図5(a)に示すマスクM2を用いて、フォトレジスト34をパターン形成する。このマスクM2は、図5(a)のハッチングで示す領域において、フォトレジストをカバーしない。すなわち、マスクM2は、タンク領域36、および直線状に並ぶ離散的に配置された複数の円形領域38をカバーしない。ただしマスクM2は、タンク領域36および各円形領域38を貫通するブリッジ領域37をカバーする。また各円形領域38は、その中心位置がタンク領域36から離れるにしたがって、その直径が小さくなるように形成されている。
【0058】
次に、フルオロホルム(CHF3)ガス(条件:5sccm,5Pa、100W、1時間)を用いて、シリコン酸化膜(SiO2)32aを反応性イオンエッチングし、図5(b)に示すように、フォトレジスト34を剥離させた後、残存するシリコン酸化膜(SiO2)32aをマスクとし、水酸化カリウム(KOH)をエッチャント(条件:33重量%,70℃,55分間)として用い、シリコン基板10をウェットエッチングする。先に説明したように、シリコンは、一般に、水酸化カリウム(KOH)のエッチャントに対して面方位依存性(エッチング異方性)を有するので、離散的に配置された各円形領域38においては、図5(c)および(d)に示すように、ピラミッドを上下反転させたような四角錐形状の凹部が形成され、これらの複数のピラミッド状凹部が互いに重なり合って、アンカ凹部42が形成される。同様に、タンク領域36においては、タンク凹部40が形成され、これはアンカ凹部42と連通する。なお、ブリッジ領域37においては、依然としてシリコン酸化膜(SiO2)が残り、これが後にチャンバ部4およびチャンネル部5を構成する。
【0059】
ここで、図5(e)に示すように、タンク凹部40およびアンカ凹部42が形成されたシリコン基板30の表面上に再度シリコン酸化膜(SiO2)44を形成した後、加熱溶融したポリ乳酸をシリコン基板30(タンク凹部40およびアンカ凹部42を含む)上に流し込み、ポリ乳酸薄膜46を形成する。
【0060】
次に、このポリ乳酸薄膜46の上に、図示しないが、アルミニウム(Al)を金属蒸着してアルミニウム薄膜を形成した後、フォトレジスト膜を形成する。そして図6(a)に示すマスクM3を用いて、フォトレジストをパターン形成する。このマスクM3は、ブリッジ領域37を含むタンク凹部40およびアンカ凹部42の上方をカバーする。そして、マスクM3を用いて、リン酸(H3PO4)または混酸によりエッチングすることにより、図6(b)に示すようなパターン形成されたアルミニウム薄膜48を得る。
【0061】
フォトレジスト膜を除去した後、図6(c)において、このアルミニウム薄膜48をマスクとし、例えば、酸素ガス(O2)によりプラズマエッチングして、アルミニウム(Al)を残し、ポリ乳酸を除去(アッシング)する。さらに、例えばフルオロホルム(CHF3)ガス(条件:5sccm,5Pa、100W、1時間)を用いて、シリコン酸化膜44を反応性イオンエッチングする。
【0062】
次に、図6(d)において、シリコン(Si)を溶かし、シリコン酸化膜(SiO2)を溶かさないエッチャントを用いて、シリコン基板30をエッチングする。例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)を用いてウェットエッチングするか、六フッ化硫黄(SF6)を用いて反応性イオンエッチングする。
【0063】
図6(e)において、アルミニウムを溶かし、ポリ乳酸およびシリコン酸化膜(SiO2)を溶かさないリン酸(H3PO4)または混酸を用いて、アルミニウム薄膜48をエッチングする。
【0064】
最後に、シリコン酸化膜(SiO2)を溶解し、ポリ乳酸を溶解しないフッ酸(HF)などのエッチャント液に浸して、ポリ乳酸の下方にあるシリコン酸化膜(SiO2)44と、ブリッジ領域37に残ったシリコン酸化膜(SiO2)を完全に除去して、ポリ乳酸だけからなる薬物配送システム1を得る。
【0065】
こうして形成された薬物配送システム1は、図5(c)に示すブリッジ領域37の両端部に対応する位置に開口部(図示せず)を有する。この開口部を介して、薬剤を注入し、注入完了後、タンク部2またはアンカ部3を構成するポリ乳酸膜を加熱して、貫通孔を塞ぐ。
【0066】
(実施形態2による薬物配送システム)
図7を参照しながら、本発明の第2の実施形態による薬物配送システムを以下に説明する。この薬物配送システム51は、第1の実施形態による薬物配送システム1と同様、概略、タンク部(容器部)52と、タンク部52から延びるアンカ部(係留部)53とを有する。タンク部52は、これに限定しないが、ほぼ直方体の外形形状を有し、その内部には再生細胞および再生因子、または抗がん剤などの薬剤を貯蔵することができるチャンバ部54が形成されている。アンカ部53は、図7(a)および(b)の矢印Bで示す長手方向において先細り、一端部においてタンク部52にしっかりと固定され、他端部において実質的に鋭利な先端部56を有する。またアンカ部53は、図7(a)および(b)に示すような複数の(例えば、4つの)突起部57を有する。各突起部57は、三角柱の一部の外形形状を有し、その三角柱の側面の少なくとも一方、好適には両方が、先端部56に向かう長手方向(矢印Bの方向)とは鈍角(θ)をなす方向に延びている。さらにアンカ部53は、その内部にチャンバ部54と流体連通するチャンネル部55を有する。
【0067】
この薬物配送システム51のタンク部52およびアンカ部53は、第1の実施形態と同様、ポリ乳酸などの生分解性材料で構成されており、鋭利な先端部56を有する。したがって、この薬物配送システム51は、人体に悪影響を与えることなく、体内の任意の部位(治療部位)に埋め込むことができる。さらに、アンカ部53は、この薬物配送システム51を埋め込む方向(図7(a)および(b)の矢印Bの方向)とは鈍角(θ)をなす方向に延びる突起部57を有するので、いったん治療部位に埋め込まれると、突起部57は、周辺の組織と係合し、血液などの体液の流れが速い治療部位においても長期間に亙って、薬物配送システム51が治療部位から離脱しないように、これを係留することができる。こうして埋め込まれた薬物配送システム51のタンク部52またはアンカ部53の一部を構成するポリ乳酸膜が徐々に加水分解して溶け出し、タンク部52の内部に格納されていた薬剤を、所定の投薬期間に亙って少量ずつ放出させることができる。また、図示しないが、例えば、突起部57の側面におけるポリ乳酸膜を他の領域よりも薄く形成することにより、突起部57の側面のポリ乳酸膜が最も早く溶け出して開口部を形成し、チャンバ部54に格納されていた薬剤を、チャンネル部55および突起部57の側面を介して徐放させることができる。したがって、この薬物配送システム51を用いて、第1の実施形態と同様、図2(b)に示すように、梗塞した動脈の機能を補完するようなバイパス血管BYPを形成することができる。
【0068】
(実施形態2による薬物配送システムの製造方法)
次に、図8および図9を参照しながら、第2の実施形態による薬物配送システム51の製造方法について以下に説明する。
【0069】
まず、2枚のシリコン基板60,61を用意する。そして図8(a)および(b)に示すように、一方のシリコン基板60の両面上にシリコン酸化膜(SiO2)62a,62bを形成した後、硫酸過水洗浄(H2SO4:H2O2=3:1)およびアンモニア過水洗浄(NH4OH:H2O2:H2O=1:1:5)を5分間行う。
【0070】
図8(c)に示すように、フォトレジスト64を塗布して90℃で10分間ベークする。
【0071】
次に、図8(d)および(e)に示すように、マスクM4を用いて、フォトレジスト64をパターン形成する。このマスクM4は、図8(d)のハッチングで示す領域において、フォトレジスト64をカバーしない。すなわち、マスクM4は、ほぼ矩形平面形状を有するタンク領域66、および2組の錨を重ね合わせたようなアンカ領域68をカバーしない。
【0072】
図8(f)に示すように、フルオロホルム(CHF3)ガス(条件:5sccm,5Pa、100W、1時間)を用いて、シリコン酸化膜(SiO2)62aを反応性イオンエッチングする。
【0073】
図8(g)に示すように、フォトレジスト64を剥離させた後、残存するシリコン酸化膜(SiO2)62aをマスクとし、六フッ化硫黄(SF6)ガス(条件:50sccm,20Pa、100W、45分間)を用いて反応性イオンエッチングする。こうして、タンク領域66およびアンカ領域68において、所定の深さを有し、互いに連通する凹部70が形成される。
【0074】
こうして凹部70が形成されたシリコン基板60(以下、「第1のシリコン基板」という。)の表面上に、図9(a)に示すように、再度シリコン酸化膜(SiO2)72を形成する。その後、上述の溶媒溶解スピンコート法または加熱溶融スピンコート法を用いて、図9(b)に示すように、ポリ乳酸からなる薄膜74を第1のシリコン基板60の上に形成する。
【0075】
同様に、第1のシリコン基板60とは別の未処理のシリコン基板61(以下、「第2のシリコン基板」という。)の両面上に、図9(c)に示すように、酸化膜(SiO2)63a,63bを形成する。
【0076】
図9(d)において、第2のシリコン基板61の一方の表面上に、同様に、ポリ乳酸からなる薄膜76を形成する。
【0077】
次に、図9(e)に示すように、ポリ乳酸からなる薄膜74,76を形成した第1および第2のシリコン基板60,61の表面が互いに対向するように、第1のシリコン基板60の上に第2のシリコン基板61を貼り合わせる。このとき、ポリ乳酸の融点近くまで加熱することにより、第1および第2のシリコン基板60,61上のポリ乳酸薄膜74,76を互いにしっかりと接着することができる。
【0078】
図9(f)において、フルオロホルム(CHF3)ガス(条件:5sccm,5Pa、100W、1時間)を用いて、シリコン酸化膜(SiO2)62b,63bを反応性イオンエッチングする。その後、第1および第2のシリコン基板60,61に対し、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)を用いてウェットエッチングするか、六フッ化硫黄(SF6)を用いて反応性イオンエッチングすることにより、シリコン酸化膜(SiO2)63a,72を残し、シリコン基板60,61を除去する。
【0079】
最後に、図9(g)において、ポリ乳酸に対する耐性を有し、シリコン酸化膜(SiO2)を除去するエッチャントを用いて、エッチングする。例えば、フッ酸(HF)を用いてウェットエッチングするか、フルオロホルム(CHF3)ガスを用いてドライエッチングする。こうして、第2の実施形態による薬物配送システム51を実現する。
【0080】
同様に、この薬物配送システムの中に、適当な任意の方法を用いて、薬剤を注入する。例えば、集束イオンビーム(FIB)装置などを用いて、タンク部52またはアンカ部53の任意の位置に、チャンバ部54またはチャンネル部55まで貫通するような貫通孔(図示せず)を形成し、これを介して薬剤を注入し、注入完了後、タンク部52またはアンカ部53を構成するポリ乳酸膜を加熱して、開口部を塞ぐ。
【0081】
(変形例2:実施形態2による薬物配送システムの択一的な製造方法)
ここで、図10を参照しながら、第2の実施形態による薬物配送システム51の択一的な製造方法(変形例2)について以下に説明する。
【0082】
この択一的な製造方法においては、1枚のシリコン基板を用意する。そして、このシリコン基板60に対して、図8(a)ないし(g)を参照して先に説明した処理を同様に行う。
【0083】
次に、図10(a)に示すように、マスクM4のタンク領域66およびアンカ領域68において所定の深さを有する凹部70に、溶融したアルミニウム(Al)を流し込む。
【0084】
ここで、シリコンをエッチングすることにより、図10(b)および(c)に示すように、第2の実施形態による薬物配送システムと同様の外形形状を有するアルミニウム(Al)からなる微小金型78を得ることができる。
【0085】
次に、図10(d)に示すように、この微小金型78を溶融したポリ乳酸に浸漬させ、引き揚げ、そして常温放置することにより、その周囲全体にポリ乳酸膜80を形成する。
【0086】
同様に、例えば、集束イオンビーム(FIB)装置などを用いて、タンク部52またはアンカ部53の任意の位置に貫通孔82を形成し、アルミニウム(Al)からなる微小金型78の一部を露出させる。そして、アルミニウム(Al)をエッチングし、ポリ乳酸を溶かさないエッチャント、例えば、リン酸(H3PO4)水溶液の中に、ポリ乳酸膜80が被膜された微小金型78を浸漬させて、図10(e)に示すような開口部82を有する薬物配送システム51を形成する。最後に、この開口部82を介して薬剤を注入し、注入完了後、開口部82加熱圧着して、これを閉じる。
【0087】
(実施形態3による薬物配送システム)
次に、本発明の第3の実施形態による薬物配送システムを以下に説明する。この薬物配送システム51は、アンカ部53の内部において、タンク部52のチャンバ部54と流体連通するチャンネル部55が形成されない点を除いて、実施形態2による薬物配送システム51と同様の構成を有するので、重複する説明を省略する。
【0088】
こうして構成された薬物配送システム51において、タンク部52のチャンバ部54は、再生細胞および再生因子、または抗がん剤などの薬剤を貯蔵することができ、アンカ部53の突起部57は、いったん治療部位に埋めこまれると、周辺の組織と係合し、血液などの体液の流れが速い治療部位においても長期間に亙って、薬物配送システム51が治療部位から離脱しないように、これを係留することができる。そして、埋め込まれた薬物配送システム51のタンク部52またはアンカ部53の一部を構成するポリ乳酸膜が徐々に加水分解して溶け出すとき、その内部に格納されていた薬剤を、所定の投薬期間に亙って少量ずつ放出させることができる。
【0089】
(実施形態3による薬物配送システムの製造方法)
図11および図12を参照しながら、第3の実施形態による薬物配送システム51の製造方法について以下に説明する。
【0090】
まず、1枚のシリコン基板80を用意する。そして図11(a)および(b)に示すように、シリコン基板80の両面上にシリコン酸化膜(SiO2)82a,82bを形成した後、硫酸過水洗浄(H2SO4:H2O2=3:1)およびアンモニア過水洗浄(NH4OH:H2O2:H2O=1:1:5)を5分間行う。
【0091】
図11(c)に示すように、フォトレジスト84を塗布して90℃で10分間ベークする。
【0092】
次に、図11(d)および(e)に示すように、マスクM5を用いて、フォトレジスト84にパターン形成する。このマスクM5は、図11(d)のハッチングで示す領域において、フォトレジスト84をカバーしない。すなわち、マスクM5は、ほぼ矩形平面形状を有するタンク領域86の周縁部87、および2組の錨を重ね合わせたようなアンカ領域88をカバーしない。ただし、マスクM5はタンク領域86の中央部89をカバーする。
【0093】
図11(f)に示すように、フルオロホルム(CHF3)ガス(条件:5sccm,5Pa、100W、1時間)を用いて、シリコン酸化膜(SiO2)82aを反応性イオンエッチングする。
【0094】
フォトレジスト84を剥離させた後、残存するシリコン酸化膜(SiO2)82aをマスクとし、六フッ化硫黄(SF6)ガス(条件:50sccm,20Pa、100W、45分間)を用いて反応性イオンエッチングすることにより、図11(g)に示すように、タンク領域86の周縁部87およびアンカ領域88において、所定の深さを有し、互いに連通する凹部90が形成される。
【0095】
こうして凹部90が形成されたシリコン基板80の表面上に、図12(a)に示すように、再度シリコン酸化膜(SiO2)92を形成する。その後、図12(b)に示すように、加熱溶融したポリ乳酸をタンク領域86の周縁部87およびアンカ領域88に形成された凹部90に流し込み、ポリ乳酸からなる薄膜94を形成する。
【0096】
次に、このポリ乳酸薄膜94の上に、図示しないが、アルミニウム(Al)を金属蒸着してアルミニウム薄膜を形成した後、さらにその上にフォトレジスト膜を形成する。そして、図12(c)に示すマスクM6を用いて、アルミニウム薄膜をパターン形成する。このマスクM6は、図12(c)に示すように、タンク領域86と、アンカ領域88の上方をカバーする。次に、図12(d)に示すように、リン酸(H3PO4)または混酸を用いて、アルミニウム薄膜をエッチングすることにより、図12(d)に示すようなパターンが形成されたアルミニウム薄膜96を得る。
【0097】
図12(e)に示すように、このアルミニウム薄膜96をマスクとし、例えば、酸素ガス(O2)によりプラズマエッチングして、アルミニウム(Al)を溶かさず、ポリ乳酸を除去(アッシング)する。さらに、例えばフルオロホルム(CHF3)ガス(条件:5sccm,5Pa、100W、1時間)を用いて、シリコン酸化膜82b,94を反応性イオンエッチングする。
【0098】
次に、図12(f)に示すように、シリコン(Si)を溶かし、シリコン酸化膜(SiO2)を溶かさないエッチャントを用いて、シリコン基板80をエッチングする。例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)を用いてウェットエッチングするか、六フッ化硫黄(SF6)を用いて反応性イオンエッチングする。
【0099】
そして図12(g)および(h)に示すように、アルミニウム(Al)を溶かし、ポリ乳酸およびシリコン酸化膜(SiO2)を溶かさないリン酸(H3PO4)または混酸を用いて、アルミニウム薄膜96をエッチングし、最後に、フルオロホルム(CHF3)ガス(条件:5sccm,5Pa、100W、1時間)を用いて、シリコン酸化膜(SiO2)12aを反応性イオンエッチングして、ポリ乳酸の下側にあるシリコン酸化膜(SiO2)を除去し、図12(h)に示すポリ乳酸だけからなる構造体を得る。なお、図12(h)は、図12(f)を上下反転させて図示したものである。
【0100】
こうして形成された図12(h)に示すポリ乳酸だけからなる構造体99は、タンク部52に相当する部分において、上面全体が開口した開口部98を有し、この開口部98から薬剤を注入することができる。注入完了後、別の図示しないポリ乳酸からなる薄膜を用いて、開口部98を被い、これらを加熱して互いに圧着すると、薬剤がチャンバ部54内に封止された薬物配送システム51が形成される。
【0101】
なお、この製造方法を用いて製造された第3の実施形態によるアンカ部53は、実施形態2のようなチャンネル部55を有さず、ポリ乳酸で充填されており、いわばソリッド(solid)タイプのアンカ部53として構成されたが、アンカ領域88の中央部も同様にカバーするようにマスクM5を設計することにより、実施形態2のような中空(hollow)タイプのアンカ部53も同様に製造することができる。
【0102】
加えて、タンク部52もアンカ部53と同様に、チャンバ部54を有さず、ポリ乳酸で充填したソリッド(solid)タイプのタンク部52を形成することができる。ただし、この場合、これらのタンク部52およびアンカ部53を構成するポリ乳酸材料の中に、薬剤を事前に含ませておく必要がある。このように薬剤を含浸させたポリ乳酸材料を用いて製造された薬物配送システム51が体内に留置されると、ポリ乳酸材料が加水分解して徐々に溶け出すにつれて、これに含浸させた薬剤が徐放され、上記の実施形態と同様の効果が期待できる。
【0103】
(実施形態4による薬物配送システム)
図13および図14を参照しながら、本発明の第4の実施形態による薬物配送システムを以下に説明する。この薬物配送システム51は、タンク部を有さない点を除いて、実施形態2による薬物配送システム51と同様の構成を有するので、重複する説明を省略する。
【0104】
この薬物配送システム51において、再生細胞および再生因子、または抗がん剤などの薬剤を貯蔵できるチャンバ部54は、アンカ部53の内部に配置されている。図13(a)ないし(c)において、6つの突起部57を有する薬物配送システム51が図示されているが、突起部57の数はそれ以上でもそれ以下であってもよい。また、当業者ならば容易に理解されるように、この実施形態による薬物配送システムは、第2の実施形態のそれと同様に製造することができる。
【0105】
さらに、この実施形態による薬物配送システム51は、第2の実施形態と同様の中空タイプのアンカ部53として構成したが、第3の実施形態と同様のソリッドタイプのアンカ部53として形成することも可能である。このとき、第3の実施形態と同様、薬剤を含浸したポリ乳酸材料を用いて、ソリッドタイプのアンカ部53を製造する。
【0106】
以上説明した第4の実施形態による中空タイプおよびソリッドタイプのアンカ部53のみからなる薬物配送システムは、さまざまに応用することができる。例えば、図14(a)に示すように、アンカ部53の先端部56とは反対側の端部において、固形のタブレット状の薬剤58を直接的に固定してもよい。
【0107】
択一的には、当業者ならば容易に理解される手法を用いて、チャンバ部を有するポリ乳酸からなるタンク部(図示せず)を個別に形成しておき、例えば、この実施形態のアンカ部53を加熱してタンク部に圧着することにより、薬物配送システムを形成することができる。あるいは、ポリ乳酸からなるアンカ部とタンク部は、他の適当な生体分解性材料(例えば、にかわ、でんぷん、蛋白質、または水あめなど)を用いて容易に接合することができる。
【0108】
また、複数のアンカ部を単一のタンク部に、図14(b)に示すように1つの方向に、あるいは図14(c)に示すように複数の方向に延びるように、接合してもよい。
【0109】
さらに、図14(d)に示すように、この実施形態によるアンカ部を2つ組み合わせてもよい。このとき、その長手方向の両端部において、鋭利な先端部が形成される。
【0110】
(実施形態5による薬物配送システム)
図15を参照しながら、本発明の第5の実施形態による薬物配送システムを以下に説明する。この薬物配送システム101は、概略、複数(9個のうち5個を図示)のタンク部(容器部)102と、隣接するタンク部102を接続するコネクタ部(連結部)103と、コネクタ部103上に配置され、タンク部102を気密封止するためのキャップ部104と、各タンク部102から延びる複数のアンカ部(係留部)105とを有する。各タンク部102は、第1の実施形態と同様、ほぼ直方体の外形形状を有し、その内部には薬剤を貯蔵できるチャンバ部106が形成されている。各アンカ部105は、図15(a)および(b)の矢印Cで示す長手方向において先細り、一端部においてタンク部102にしっかりと固定され、他端部において実質的に鋭利な先端部107を有する。またアンカ部105は、図15(a)および(b)に示すような複数の(例えば、4つの)突起部108を有する。各突起部108は、第2および第3の実施形態で説明した突起部と同様の外形形状を有し、ソリッドタイプまたは中空タイプのいずれであってもよい。
【0111】
この薬物配送システム101のすべての構成部品は、第1ないし第4の実施形態と同様、ポリ乳酸などの生分解性材料で構成されており、各アンカ部は、鋭利な先端部107を有する。したがって、この薬物配送システム101は、人体に悪影響を与えることなく、体内の任意の部位(治療部位)に埋め込むことができる。さらに、アンカ部105は、突起部108を有するので、いったん治療部位に埋めこまれると、突起部108が周辺の組織と係合し、血液などの体液の流れが速い治療部位においても長期間に亙って、薬物配送システム101が治療部位から離脱しないように、これを係留することができる。こうして埋め込まれた薬物配送システム101のタンク部102またはアンカ部105の一部を構成するポリ乳酸膜が徐々に加水分解して溶け出し、その内部に格納されていた薬剤を、所定の投薬期間に亙って少量ずつ放出させることができる。
【0112】
また、図示しないが、各タンク部102の側壁を構成するポリ乳酸膜の厚みを調整して、内部に格納された薬剤が放出されるまでの時間を制御することができる。すなわち、異なる種類の薬剤を異なるタイミングで供給することができる。例えば、側壁が薄いタンク部102(薬剤を早い時期に放出するタンク部102)のチャンバ部106内に、血管再生を誘発する再生細胞を収容し、別の側壁が厚いタンク部102(薬剤をより遅い時期に放出するタンク部102)のチャンバ部106内に、血管細胞を増殖させる再生因子を収容する。こうして、治療部位に対し、再生細胞で血管再生を誘発して、適当な時間が経過した後に、再生因子を与えることにより、再生細胞を制御しながら、効率よく血管を再生することができる。あるいは、同じ種類の薬剤を異なるタイミングで放出するように、複数のタンク部102を構成してもよい。すると、同じ種類の薬剤をより長い期間に亙って放出させることができる。
【0113】
(実施形態5による薬物配送システムの製造方法)
次に、図16および図17を参照しながら、第5の実施形態による薬物配送システム101の製造方法について以下に説明する。
【0114】
まず、2枚のシリコン基板110,120を用意する。そして、これまで説明したような微細フォトリソグラフィ技術を用いて、シリコン基板110,120の上に、それぞれ図16(a)および(b)に示すような凹部112,122を形成する。
【0115】
次に、図16(c)および(d)に示すように、溶解したアルミニウム(Al)をこれらの凹部112,122に流し込む。
【0116】
図16(e)および(f)に示すように、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)を用いてウェットエッチングするか、六フッ化硫黄(SF6)を用いて反応性イオンエッチングして、シリコン(Si)を除去して、アルミニウム鋳型114,124を得る。なお、図16(f)は、図16(d)に示すアルミニウム鋳型124を上下反転させて図示している。
【0117】
ここで図17(a)に示すように、加熱溶融したポリ乳酸130を一方のアルミニウム鋳型124の凹部に流し込み、続いて図17(b)に示すように、このアルミニウム鋳型124に他方のアルミニウム鋳型114を挿入する。そして、これを常温放置して冷却し、ポリ乳酸130を硬化させる。
【0118】
次に、図17(c)に示すように、リン酸(H3PO4)または混酸を用いて、アルミニウム鋳型114,124をエッチングして、ポリ乳酸からなる複数のタンク部102と、隣接するタンク部102を接続するコネクタ部103が形成される。
【0119】
そして、別途用意された第3の実施形態によるアンカ部105を、任意の適当な生分解性材料(例えば、にかわ、でんぷん、蛋白質、または水あめなど)を用いて、少なくとも1つの、好適にはすべてのタンク部102の底部に接合する。
【0120】
最後に、各タンク部102の上方開口部132を介して、適当な薬剤を注入した後、別途用意されたポリ乳酸からなる薄膜を、コネクタ部103の上に接合して、薬剤を各タンク部102のチャンバ部106内に気密封止する。
【0121】
(実施形態6による薬物配送システム)
図18を参照しながら、本発明の第6の実施形態による薬物配送システムを以下に説明する。この薬物配送システム201は、概略、複数の(例えば、2つの)アンカ部210,220を組み合わせて構成される。各アンカ部210,220は、船の舳先のような外形形状を有し、その内部には再生細胞および再生因子、または抗がん剤などの薬剤を貯蔵できるチャンバ部212,222がそれぞれ形成されている。各チャンバ部212,222は、図18(b)に図示するように、互いに連通しているが、分離するように構成してもよい。各チャンバ部212,222を分離して構成した場合、異なる薬剤を各チャンバ部212,222に貯蔵することができる。
【0122】
また、各アンカ部210,220は、内部にチャンバ部を有するもの(中空タイプ)として説明したが、ポリ乳酸を完全に充填させたソリッドタイプとして形成することができる。この場合、第4の実施形態として図14(a)を参照して説明したように、アンカ部220の先端部226とは反対側の端部において、固形のタブレット状の薬剤(図示せず)を直接的に取り付けてもよいし、図14(b)および図14(c)に示すように、別途作成したポリ乳酸からなるタンク部を、適当な接着手法を用いて(例えば、にかわなどの糊を用いるか、赤外線やキセノン光を部分的に照射して、その部分だけを加熱して溶融接合するなどして)接合してもよい。
【0123】
さらに、各アンカ部210,220は、一対のフィン状の突起部214a,214b,224a,224bを有する。図18(b)に示す薬物配送システム201の平面形状において、各アンカ部210,220および各突起部214a,214b,224a,224bを形成するすべての辺は、矢印Dで示す長手方向に対して、約35.3°(φ=π/2−arctan(√2))をなす角度を有するように設計されている。同様に、図18(d)に示す断面形状において、各アンカ部210,220および各突起部214a,214b,224a,224bを形成するすべての辺も(上面225を除く)、長手方向と約35.3°(φ=π/2−arctan(√2))の角度をなす。こうして、各突起部214,224は、矢印Dで示す長手方向に対して後方に延び、各アンカ部210,220は、平面方向のみならず断面方向においても先細った実質的に鋭利な先端部226を有する。
【0124】
なお、この薬物配送システム201は、2つのアンカ部210,220を組み合わせて構成されるものとして説明したが、ただ1つのアンカ部、または3つ以上のアンカ部から構成されるように設計してもよい。
【0125】
この薬物配送システム201のアンカ部210,220は、第1の実施形態と同様、ポリ乳酸などの生分解性材料で構成されており、しかも極めて鋭利な先端部226を有する。したがって、この薬物配送システム201は、体内の任意の部位(治療部位)に容易に埋め込むことができ、そのまま体内に留置しても人体に悪影響を与えない。さらに、アンカ部210,220は、この薬物配送システム201を埋め込む方向(図18(a)ないし(d)の矢印Dの方向)とは鈍角(π−φ)をなす方向に延びる突起部214,224を有するので、いったん治療部位に埋め込まれると、突起部214,224は、周辺の組織と係合し、血液などの体液の流れが速い治療部位においても長期間に亙って、薬物配送システム201が治療部位から離脱しないように、これを係留することができる。こうして埋め込まれた薬物配送システム201のアンカ部210,220の一部を構成するポリ乳酸膜が徐々に加水分解して溶け出し、チャンバ部212,222の内部に格納されていた薬剤を、所定の投薬期間に亙って少量ずつ放出させることができる。したがって、この薬物配送システム201を用いて、第1の実施形態と同様、図2(b)に示すように、梗塞した動脈の機能を補完するようなバイパス血管BYPを形成することができる。
【0126】
(実施形態6による薬物配送システムの製造方法)
ここで、図19を参照しながら、第6の実施形態による薬物配送システム201の製造方法について以下に説明する。
【0127】
まず、第1の実施形態による薬物配送システムの製造方法とは異なり、(100)結晶面ではなく、(110)結晶面を主面とするシリコン基板230を用意する。そして図19(a)および(b)に示すように、シリコン基板230の両面上にシリコン酸化膜(SiO2)232a,232bを形成した後、硫酸過水洗浄(H2SO4:H2O2=3:1)およびアンモニア過水洗浄(NH4OH:H2O2:H2O=1:1:5)を5分間行う。
【0128】
その後、フォトレジストを塗布して90℃で10分間ベークし、図19(c)および(d)に示すようなマスクM7を用いて、フォトレジスト234にパターン形成する。このマスクM7は、図19(c)のハッチングで示す領域において、フォトレジスト234をカバーしない。すなわち、マスクM7は、チャンバ領域236およびフィン領域238をカバーしない。また、マスクM7を構成するすべての辺は、シリコン基板の<100>結晶方向D’に対して、約35.3°(φ=π/2−arctan(√2))の角度をなすように設計されている。
【0129】
図19(e)に示すように、フルオロホルム(CHF3)ガス(条件:5sccm,5Pa、100W、1時間)を用いて、シリコン酸化膜(SiO2)212aを反応性イオンエッチングする。
【0130】
次に、フォトレジスト234を剥離させた後、残存するシリコン酸化膜(SiO2)232aをマスクとし、水酸化カリウム(KOH)をエッチャント(条件:33重量%,70℃,55分間)として用い、シリコン基板230をウェットエッチングする。シリコンは、先に説明したように、水酸化カリウム(KOH)のエッチャントに対して面方位依存性(エッチング異方性)を有し、シリコン結晶の(111)面に沿ってエッチングが進む。したがって、図19(f)および(g)に示すように、マスクM7の下方において、シリコン結晶の(111)面であるシリコン基板に対して垂直でかつ<100>結晶方向に対して約35.3°(φ=π/2−arctan(√2))の角度をなす側面240と、同様に<100>結晶方向に対して約35.3°(φ=π/2−arctan(√2))の角度をなす底面242に沿ってエッチングが進む。こうして、チャンバ領域236において図19(g)の実線で示すチャンバ凹部244と、フィン領域238において図19(g)の破線で示すフィン凹部246が形成される。チャンバ凹部244とフィン凹部246を合わせてアンカ凹部250という。
【0131】
このようにアンカ凹部250が形成されたシリコン基板230を用いて、第1の実施形態による薬物配送システムの製造方法と同様に(図4参照)、シリコン酸化膜(SiO2)およびポリ乳酸薄膜が積層された別のシリコン基板を貼り合わせ、所定のエッチャントを用いて順次エッチングすることにより、最終的に、ポリ乳酸薄膜からなる薬物配送システム201を実現することができる。このとき、ポリ乳酸薄膜を調整することにより、各チャンバ部212,222を互いに連通させるか、分離させることができる。
【0132】
択一的には、当業者ならば容易に理解されるように、アンカ凹部250が形成されたシリコン基板230を用いて、第2の実施形態の変形例2による薬物配送システムの製造方法と同様にして(図10参照)、薬物配送システム201を得ることができる。
【0133】
こうして形成された薬物配送システム201は、上述の実施形態による薬物配送システムと同様に、体内に安全に長期間留置して、薬剤を徐放することができる。
【0134】
以上の説明では、循環器系疾患を治療する(バイパス血管を形成する)ために、本発明の薬物配送システムを用いたが、他の疾患を治療するためにも利用することができる。以下に、本発明による薬物配送システムの他のいくつかの適用例について説明する。
【0135】
1)角膜の再生
白内障、緑内障をはじめとする眼の疾患や、事故などに起因して、角膜が損傷すると、角膜を再生して治療する必要がある。角膜を効率よく再生するためには、角膜を形成する再生細胞および再生因子を、損傷した角膜部位に継続的に安定して供給する必要がある。点眼薬として再生細胞および再生因子を供給することも考えられるが、眼には常時、新鮮な涙が循環しており、点眼薬として供給された再生細胞および再生因子のほとんどは、損傷部位に留まることなく流れてしまう。そこで、本発明の薬物配送システムを約1mmの厚みを有する角膜組織に直接的に埋めこむことにより、再生細胞および再生因子を損傷した角膜部位に継続的に安定して供給できる。
【0136】
2)パーキンソン病等の脳疾患の治療
パーキンソン病は、中脳黒質のドーパミン作動性神経細胞の変性脱落により、線条体におけるドーパミンが不足するために発症すると考えられている。現在の一般的な内科的な治療法は、ドーパミン不足を解消するため、例えば、線条体に入ってドーパミンに変わるL−ドーパ製剤、ドーパミンの代わりをするドーパミンアゴニスト、ドーパミンとアセチルコリンのバランスを改善する抗コリン薬などの薬剤を組み合わせて経口服用することである。しかし、こうした薬剤は、経口服用され、体内で希釈されるので、線条体におけるドーパミン不足を解消するよりも遥かに多くの用量を人体に摂取する必要がある。すると、例えば、L−ドーパ製剤により、不随意運動といった副作用が生じる。そこで、カテーテルを用いて本発明の薬物配送システムを治療部位に留置し、これらの薬剤を安定して徐放することにより、必要量の薬剤を、薬剤を必要とする治療部位に長期間に亙って安定して供給することができる。
【0137】
3)骨粗鬆症等の骨の疾患の再生治療
骨粗鬆等、骨折などの骨の疾患に対しては、患部に骨増殖因子を直接投与することが一番有効な治療法とされている。そこで同様に、本発明の薬物配送システムを治療部位に留置し、骨増殖因子を安定して供給できる。
【0138】
4)整形外科用、美容形成外科用の骨増殖
事故等による頭蓋骨陥没において、頭の外形形状を元に戻すためにプラスチック製の人工頭蓋骨を埋め込むことがある。この場合も本発明の薬物配送システムを用いて、骨増殖因子を頭蓋骨陥没部位に供給することにより、頭蓋骨を再生することができる。さらに、例えば、鼻を高くするための美容形成手術において、従来、シリコンゴムなどの人工物を鼻部分に注入する手法が用いられてきたが、本発明の薬物配送システムを用いて、鼻部分に骨増殖因子を長期間安定して徐放することにより、自らの骨を増殖させることが可能となる。この場合、鼻の骨が徐々に成長するので、他人に気付かれることなく、鼻を少しずつ高くすることができる。
【0139】
さらに、本発明を用いて、上述したさまざまな薬物配送システムのみならず、その他の医療デバイスに対してもポリ乳酸を用いて構成することができる。近年、金属が接触して拒絶反応を起こし、皮膚がかぶれる疾患(アレルギー性接触皮膚炎)、いわゆる金属アレルギを有する患者が急増している。こうした患者に対しては、ステンレス製注射針の使用を回避することが好ましい。一方、チタンコーティングされた注射針の利用が着目されているが、これは極めて高価である。そこで、本発明によれば、既存のステンレス製注射針を加熱溶融したポリ乳酸に浸漬させることにより、ポリ乳酸からなる薄膜が金属外側表面に形成された注射針を提供することができる。このように、本発明は、ポリ乳酸が有する利点を活かして、さまざまな医療デバイスにおいてポリ乳酸を応用することができる。
【0140】
【発明の効果】
請求項1ないし14に記載の本発明によれば、この薬物配送システムは、鋭利な先端部を有するので、組織内に容易に挿入でき、ポリ乳酸を構成材料とし、突起部を含むアンカ部を有するので、人体に悪影響を与えることなく、血液または体液の流れが速い体内部位に留置でき、しかもポリ乳酸膜が徐々に溶け出すにつれて、タンク部の内部に格納されていた薬剤を、所定の投薬期間に亙って少量ずつ放出させることができる。これにより、従来式の侵襲性の高い外科手術の代わりに、より安全で患者に対する負担の少ない治療手法を提供することができる。
【0141】
とりわけ請求項2に記載の本発明によれば、この薬物配送システムは、複数のタンク部を有するので、同じまたは異なる種類の薬剤を異なるタイミングで供給することができる。
【0142】
請求項15ないし25に記載の本発明によれば、マイクロマシン技術を用いて、任意の所望する寸法および形状を有する薬物配送システムを極めて精緻に、かつ安価に大量生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1(a)ないし(c)は、本発明に係る第1の実施形態による薬物配送システムの斜視図、平面図、および側面図である。
【図2】 図2(a)および(b)は、本発明に係る第1の実施形態による薬物配送システムを用いて形成されたバイパス血管の断面図である。
【図3】 図3(a)ないし(h)は、第1の実施形態による薬物配送システムの製造方法を示し、図3(a),(d),および(g)は、シリコン基板の平面図で、図3(b),(c),(e),(f),および(h)は、図3(a)のIIIB−IIIB線から見た断面図である。
【図4】 図4(a)ないし(g)は、第1の実施形態による薬物配送システムの製造方法を示し、図3(a)のIIIB−IIIB線から見た断面図である。
【図5】 図5(a)ないし(e)は、第1の実施形態による薬物配送システムの択一的な製造方法を示し、図5(a)および(c)は、シリコン基板の平面図で、図5(b),(d),および(e)は、図5(a)のVB−VB線から見た断面図である。
【図6】 図6(a)ないし(f)は、第1の実施形態による薬物配送システムの択一的な製造方法を示し、図6(a)は、シリコン基板の平面図で、図6(b)ないし(f)は、図6(a)のVIB−VIB線から見た断面図である。
【図7】 図7(a)ないし(c)は、本発明に係る第2の実施形態による薬物配送システムの斜視図、平面図、および側面図である。
【図8】 図8(a)ないし(g)は、第2の実施形態による薬物配送システムの製造方法を示し、図8(a)および(d)は、シリコン基板の平面図で、図8(b),(c),および(e)ないし(g)は、図8(a)のVIIIB−VIIIB線から見た断面図である。
【図9】 図9(a)ないし(g)は、第2の実施形態による薬物配送システムの製造方法を示し、図8(a)のVIIIB−VIIIB線から見た断面図である。
【図10】 図10(a)ないし(e)は、第2の実施形態による薬物配送システムの択一的な製造方法を示し、図8(a)のVIIIB−VIIIB線から見た断面図である。
【図11】 図11(a)ないし(g)は、第3の実施形態による薬物配送システムの製造方法を示し、図11(a)および(d)は、シリコン基板の平面図で、図11(b),(c),および(e)ないし(g)は、図11(a)のXIB−XIB線から見た断面図である。
【図12】 図12(a)ないし(h)は、第3の実施形態による薬物配送システムの製造方法を示し、図12(c)および(g)は、それぞれ、アルミニウム薄膜パターンおよび完成されたポリ乳酸膜の平面図で、図11(a),(b),(d)ないし(f)および(g)は、図11(a)のXIB−XIB線から見た断面図である。
【図13】 図13(a)ないし(c)は、本発明に係る第4の実施形態による薬物配送システムの斜視図、平面図、および側面図である。
【図14】 図14(a)ないし(d)は、第4の実施形態による薬物配送システムの変形例を示す。
【図15】 図15(a)および(b)は、本発明に係る第5の実施形態による薬物配送システムの斜視図、および図15(a)のXVB−XVB線から見た断面図である。
【図16】 図16(a)ないし(f)は、第5の実施形態による薬物配送システムの製造方法を示し、図15(a)のXVB−XVB線から見た断面図である。
【図17】 図17(a)ないし(c)は、第5の実施形態による薬物配送システムの製造方法を示し、図15(a)のXVB−XVB線から見た断面図である。
【図18】 図18(a)ないし(c)は、本発明に係る第6の実施形態による薬物配送システムの斜視図、平面図、および側面図であり、図18(d)は、図18(b)のXVIIID−XVIIID線から見た断面図である。
【図19】 図19(a)ないし(g)は、第6の実施形態による薬物配送システムの製造方法を示し、図19(b),(d),(e)および(g)は、図19(a)のXIXB−XIXB線から見た断面図である。
【図20】 図20(a)ないし(c)は、バルーンカテーテルを用いて梗塞血管部位を拡張させるための従来技術による手法を示す。
【図21】 図21(a)および(b)は、再生細胞および再生因子を注射器で注入することにより、梗塞血管部位を拡張させる別の従来技術による手法を示す。
【符号の説明】
1.薬物配送システム、2.タンク部(容器部)、3.アンカ部(係留部)、4.チャンバ部、5.チャンネル部、6.先端部、7.突起部、10,11,30.シリコン基板、12a,12b,13a,13b,32a,32b,24,44.シリコン酸化膜(SiO2)、14.フォトレジスト、16,36.タンク領域、18,38.円形領域、20,40.タンク凹部、22,42.アンカ凹部、26,28,46.ポリ乳酸薄膜、37.ブリッジ領域、48.アルミニウム薄膜。
Claims (13)
- 医療用システムであって、
チャンバ部を有する生分解性材料からなるタンク部と、
タンク部から延びる、生分解性材料からなる少なくとも1つのアンカ部とを備え、
アンカ部は、1辺の長さが異なる複数の四角錐を組み合わせてなる複数の突起部を有することを特徴とする医療用システム。 - 医療用システムであって、
チャンバ部を有する生分解性材料からなる複数のタンク部と、
隣接するタンク部を接続するための、生分解性材料からなるコネクタ部と、
コネクタ部上に配置され、タンク部を気密封止するためのキャップ部と、
少なくとも1つのタンク部から延びる、生分解性材料からなる少なくとも1つのアンカ部とを備え、
アンカ部は、1辺の長さが異なる複数の四角錐を組み合わせてなる複数の突起部を有することを特徴とする医療用システム。 - 医療用システムであって、
チャンバ部を有する生分解性材料からなるアンカ部を備え、
アンカ部は、1辺の長さが異なる複数の四角錐を組み合わせてなる複数の突起部を有することを特徴とする医療用システム。 - 医療用システムであって、
薬剤を含浸した生分解性材料からなるタンク部と、
タンク部から延びる、生分解性材料からなる少なくとも1つのアンカ部とを備え、
アンカ部は、1辺の長さが異なる複数の四角錐を組み合わせてなる複数の突起部を有することを特徴とする医療用システム。 - 医療用システムであって、
薬剤を含浸した生分解性材料からなるアンカ部を備え、
アンカ部は、1辺の長さが異なる複数の四角錐を組み合わせてなる複数の突起部を有することを特徴とする医療用システム。 - 医療用システムであって、
生分解性材料からなるアンカ部を備え、
アンカ部は、長手方向の一方の端部において先細りする先端部を有し、他方の端部において薬剤が固定され、さらに1辺の長さが異なる複数の四角錐を組み合わせてなる複数の突起部を有することを特徴とする医療用システム。 - 請求項1ないし6のいずれか1に記載の医療用システムであって、
生分解性材料は、ポリ乳酸、にかわ、でんぷん、蛋白質、または水あめであることを特徴とする医療用システム。 - 請求項1または2に記載の医療用システムであって、
アンカ部は、タンク部のチャンバ部と連通するチャンネル部を有することを特徴とする医療用システム。 - 請求項1または2に記載の医療用システムであって、
タンク部から異なる方向に延びる複数のアンカ部を有することを特徴とする医療用システム。 - 請求項1または2に記載の医療用システムであって、
タンク部から同じ方向に延びる複数のアンカ部を有することを特徴とする医療用システム。 - 請求項3に記載の医療用システムであって、
アンカ部は、先端部に向かって先細りする平面形状および断面形状を有することを特徴とする医療用システム。 - 医療用システムの製造方法であって、
第1および第2半導体基板上に半導体酸化膜を形成するステップと、
タンク領域および複数の離散的に配置された円形領域において、第1半導体基板の半導体酸化膜をエッチングして、半導体酸化膜によるマスクを形成するステップと、
半導体酸化膜によるマスクを用いて、第1半導体基板をウェットエッチングするステップと、
ウェットエッチングされた第1半導体基板上に、半導体酸化膜を形成するステップと、
第1および第2半導体基板の半導体酸化膜の上に、ポリ乳酸からなる薄膜を形成するステップと、
第1および第2半導体基板のポリ乳酸からなる薄膜が互いに対向するように、第1および第2半導体基板を接合するステップと、
第1および第2半導体基板の半導体酸化膜を残し、第1および第2半導体基板をエッチングするステップと、
ポリ乳酸を残し、第1および第2半導体基板の半導体酸化膜をエッチングするステップとを有することを特徴とする製造方法。 - 医療用システムの製造方法であって、
半導体基板上に半導体酸化膜を形成するステップと、
タンク領域および複数の離散的に配置された円形領域を貫通するブリッジ領域を除いた、これらのタンク領域および複数の離散的に配置された円形領域において、半導体酸化膜をエッチングして、半導体酸化膜からなる第1マスクを形成するステップと、
半導体酸化膜による第1マスクを用いて、半導体基板をウェットエッチングするステップと、
ウェットエッチングされた半導体基板上に、半導体酸化膜を形成するステップと、
半導体酸化膜の上に、ポリ乳酸からなる薄膜を形成するステップと、
ポリ乳酸からなる薄膜の上に、所定の材料からなる薄膜を形成するステップと、
所定の領域において、所定の材料からなる薄膜をエッチングして、所定の材料からなる第2マスクを形成するステップと、
所定の材料からなる第2マスクを用いて、ポリ乳酸をエッチングするステップと、
所定の材料からなる第2マスクを用いて、半導体酸化膜をエッチングするステップと、
半導体酸化膜を残し、半導体基板をエッチングするステップと、
ポリ乳酸を残し、所定の材料からなる第2マスクをエッチングするステップと、
ポリ乳酸を残し、半導体酸化膜をエッチングするステップとを有することを特徴とする製造方法。
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