JP4025573B2 - 通信システム及び通信方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば無線マルチホップ通信におけるルーチング制御に係り、特に外部ネットワークに接続された固定局であるゲートウェイノード(Gateway Node以下、GNと称する)を配置し、マクロセルである制御モードとマイクロセルである中継モードとを適宜使い分けるハイブリッド通信方式を用いた集中制御方式を採用し、GNのセルエリア外のモバイルノード(Mobile Node 以下、MNと称する)による通信も可能とする通信システム及び通信方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、無線マルチホップ通信におけるルーチング制御では、各ノードのセル半径は固定とされており、通信システム内では、各ノードにより自律的にルーチングが行われている。ここで、このようなルーチング制御における主なプロトコルには、例えばAODV(Ad-hoc On-Demand Vector Routing)やDSR(Dynamic Source Routing)等の如きものがある。これらプロトコルでは、ネットワーク内に存在する移動局であるMNにより隣接情報が把握されて、自律的にルーチング制御がなされる。具体的には、先ず送信元のMNよりルート要求(Route Request 以下、RREQと称する)パケットがブロードキャストされる。そして、このRREQパケットが宛先のMNにより受信されると、この宛先のMNよりルート応答(Route Reply 以下、RREPと称する)パケットがユニキャストで送信元のMNに向けて返信される。こうして、宛先のMNからのRREPパケットが、送信元のMNにて受信されることで、一連のルーチング制御が完結される。
【0003】
尚、このルーチング制御は、固定局であるGNを配置した従来型のシステムについても同様であるといえる。それは、従来型では、GNはMNと略同等の機能を有しているにすぎず、その役割は、ネットワーク規模の拡張や外部ネットワークとの接続等にのみあり、ネットワーク上の制御にはないからである。
【0004】
しかしながら、一般に、無線通信では、電波干渉やパケット衝突が起ることによりネットワーク全体の伝送帯域が狭くなることが知られている。
【0005】
特に、上述のような無線マルチホップ通信を行う場合には、送信元のノードよりRREQパケットがブロードキャストされ、ルーチング制御用のパケットがネットワーク上に大量に流出されることになる。その結果、ネットワーク帯域が圧迫されることになる。更に、端末数が増加すると、制御用のパケットのオーバーヘッドが大きくなり、電波干渉やパケット衝突が急激に増加し、ルート制御が複雑になり、事実上通信不可能な状態に陥りやすい。また、前述したような従来技術では、有限資源である無線リソースを無駄に消費していることから、無線リソースを効率良く活用して制御パケット量を削減することも嘱望されている。
【0008】
かかる点に鑑みて、本出願人は、送信元ノードがソースルート要求(Source Route Request 以下、SRREQと称する)パケットをシングルホップ通信でGNへ送信し、SRREQを受信したGNが推定したトポロジ情報を基にルート計算を行い、その結果をソースルート応答(Source Route Reply 以下、SRREPと称する)パケットに乗せてシングルホップで経路構築に関係する全てのノードへ返信することで的確なルート構築を行う方法を先に提案している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術では、MNがGNのセルエリア外に存在する場合には、SRREQパケットを送信することができないため接続要求が行えず、通信エリアを広げるためには多くの基地局が必要である。また、基地局障害時等には通信不能である。ここに、MNがGNのセルエリア外にいる場合でも自ノードの存在をGNへ登録し、通信を可能とすることが嘱望されている。
【0010】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、制御用のパケット、実データのパケットの通信条件を伝送モードにより差別化したGNによる集中制御方式を採用することで、ネットワーク上に流出する制御用のパケットの量を削減し、ネットワーク帯域が圧迫される事態や、電波干渉、パケット衝突の問題を回避することにある。更に、GNによる集中制御方式を採用して該GNに隣接情報を把握させることで、各MN間での自律的なルート構築を不要とすることにある。また、GNにネットワーク上の資源管理情報を把握させ、有限であるネットワーク資源を効率的に使用することにある。そして、特に、MNがGNのセルエリア外に位置する場合でも自ノードの存在をGNへ登録し、更には当該MNによる通信をも可能とすることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様では、少なくとも移動局と固定局とが無線ネットワークを介して通信自在とされた通信システムにおいて、隣接情報を記憶する第1データベースを備え、当該第1データベースに蓄積されている隣接情報を定期的に固定局に送信する複数の移動局と、所定範囲内に存在する全ての移動局の隣接情報を記憶する第2データベースと資源情報を記憶する第3データベースとを備え、上記移動局から送信される隣接情報により当該第2データベースの記憶内容を更新する複数の固定局と、を有し、一の固定局のセルエリアに属しない一の移動局が当該一の固定局に対して送信先の移動局への通信要求を行う場合には、当該一の移動局は上記一の固定局のセルエリアに属する他の移動局にマルチホップ通信で通信要求情報を送信し、当該他の移動局は上記一の固定局にシングルホップ通信で当該通信要求情報を転送し、当該一の固定局は当該通信要求情報に基づき上記第2及び第3データベースを参照しつつ上記一の移動局から上記送信先の移動局ヘの通信ルートを計算することを特徴とする通信システムが提供される。
【0012】
そして、本発明の第2の態様では、上記第1の態様において、上記一の固定局のセルエリアに属しない上記一の移動局は、当該一の固定局のセルエリアに属する他の移動局を特定することができない場合には、マルチホップ通信によるフラッディングによって上記通信要求情報を送信することを更に特徴とする通信システムが提供される。
【0013】
さらに、本発明の第3の態様では、上記第2の態様において、上記マルチホップ通信によるフラッディングによって送信された通信要求情報を上記一の固定局のセルエリアに属する他の移動局が受信した場合には、当該他の移動局による上記通信要求情報の更なる移動局への転送を中止することを更に特徴とする通信システムが提供される。
【0014】
また、本発明の第4の態様では、上記第1乃至3のいずれかの態様において、上記一の移動局より上記他の移動局を介して通信要求を受けた上記一の固定局は、上記送信先の移動局が属する固定局が自己又は自己に隣接する他の固定局である場合には、固定局を介する通信ルート及び固定局を介さない通信ルートの両方を計算し、両者よりルートコストの小さい通信ルートを選択することで通信ルートを決定し、上記送信先の移動局が属する固定局が自己又は自己に隣接する他の固定局でない場合には、固定局を介する通信ルートのみを計算し、通信ルートを決定する、ことを更に特徴とする通信システムが提供される。
【0015】
そして、本発明の第5の態様では、上記第4の態様において、上記決定された通信ルートに基づき上記送信先の移動局と送信元の移動局である上記一の移動局との間で通信を行うときに、上記送信先の移動局が上記一の固定局又は当該一の固定局に隣接する他の固定局のセルエリアに属しないときには、当該セルエリアに属する送信先の移動局の中継起点の移動局を特定し、当該送信先の移動局の中継起点の移動局を介して通信を行うことを更に特徴とする通信システムが提供される。
【0016】
さらに、本発明の第6の態様では、上記第1乃至第5のいずれかの態様において、上記隣接情報は、上記一の移動局の隣接範囲に存在する他の移動局に係るノード識別情報を少なくとも含んでおり、上記資源情報は、ネットワーク資源及びその使用の有無に係る情報、使用者の識別情報を少なくとも含んでいる、ことを更に特徴とする通信システムが提供される。
【0017】
本発明の第7の態様では、少なくとも、隣接情報を記憶する第1データベースを備えた複数の移動局と所定範囲内に存在する全ての移動局の隣接情報を記憶する第2データベースと資源情報を記憶する第3データベースとを備えた複数の固定局とが無線ネットワークを介して通信自在とされた通信システムによる通信方法において、上記各移動局により、上記第1データベースに蓄積されている隣接情報を定期的に固定局に送信し、上記固定局により、上記移動局から送信される隣接情報により当該第2データベースの記憶内容を更新し、一の固定局のセルエリアに属しない一の移動局が当該一の固定局に対して送信先の移動局への通信要求を行う場合には、上記一の移動局により、上記一の固定局のセルエリアに属する他の移動局にマルチホップ通信で通信要求情報を送信し、上記他の移動局により、上記一の固定局にシングルホップ通信で当該通信要求情報を転送し、上記一の固定局により、当該通信要求情報に基づき、上記第2及び第3データベースを参照しつつ、上記一の移動局から上記送信先の移動局ヘの通信ルートを計算する、ことを特徴とする通信方法が提供される。
【0018】
そして、本発明の第8の態様では、上記第7の態様において、上記一の固定局のセルエリアに属しない上記一の移動局は、当該一の固定局のセルエリアに属する他の移動局を特定することができない場合には、マルチホップ通信によるフラッディングによって上記通信要求情報を送信することを更に特徴とする通信方法が提供される。
【0019】
さらに、本発明の第9の態様では、上記第8の態様において、上記マルチホップ通信によるフラッディングによって送信された通信要求情報を上記一の固定局のセルエリアに属する他の移動局が受信した場合には、当該他の移動局による上記通信要求情報の更なる移動局への転送を中止することを更に特徴とする通信方法が提供される。
【0020】
また、本発明の第10の態様では、上記第7乃至第9のいずれかの態様において、上記一の移動局より上記他の移動局を介して通信要求を受けた上記一の固定局は、上記送信先の移動局が属する固定局が自己又は自己に隣接する他の固定局である場合には、固定局を介する通信ルート及び固定局を介さない通信ルートの両方を計算し、両者よりルートコストの小さい通信ルートを選択することで通信ルートを決定し、上記送信先の移動局が属する固定局が自己又は自己に隣接する他の固定局でない場合には、固定局を介する通信ルートのみを計算し、通信ルートを決定する、ことを更に特徴とする通信方法が提供される。
【0021】
そして、本発明の第11の態様では、上記第10の態様において、上記決定された通信ルートに基づき上記送信先の移動局と送信元の移動局である上記一の移動局との間で通信を行うときに、上記送信先の移動局が上記一の固定局又は当該一の固定局に隣接する他の固定局のセルエリアに属しないときには、当該セルエリアに属する送信先の移動局の中継起点の移動局を特定し、当該送信先の移動局の中継起点の移動局を介して通信を行うことを更に特徴とする通信方法が提供される。
【0022】
さらに、本発明の第12の態様では、上記第7乃至第11のいずれかの態様において、上記一の移動局の隣接範囲に存在する他の移動局に係るノード識別情報を少なくとも含んでおり、上記資源情報は、ネットワーク資源及びその使用の有無に係る情報、使用者の識別情報を少なくとも含んでいる、ことを更に特徴とする通信方法が提供される。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0024】
<第1の実施の形態>
先ず、図1には、本発明の第1の実施の形態に係る通信システムの概念図を示し説明する。図1に示されるように、本実施の形態に係る通信システムは、無線マルチポップ通信におけるルーチング制御に特徴を有するものであり、固定局であるGN1と移動局であるMN2(2a,2b…)とを有している。そして、MN2(2a,2b…)は、隣接ノードデータベース(Neighbor Nodeデータベース 以下、NN−DBと称する)3(3a,3b…)を備えている。更に、GN1は、自セルに属する全MN2a,2b…に対応したNN−DB4と資源管理データベース(以下、資源管理DBと称する)5とを備えている。
【0025】
尚、請求項記載の第1データベースは上記NN−DB3に相当し、第2データベースは上記NN−DB4に相当し、第3データベースは上記資源管理DB5に相当する。但し、この関係に限定されるものではない。
【0026】
上記MN2a,2b…としては、移動する無線端末等を想定している。GN1としては、有線で相互に接続された固定無線端末であって、インターネット等の既存ネットワークとも接続される端末等を想定している。いずれも、双方向無線リンクで通信を行うものであり、その詳細は後述するが、制御モードと中継モードといった二つの伝送モードを有している点に特徴の一つがある。
【0027】
ここで、NN−DB3a,3b…には、各MN2a,2b…のノードIDと隣接するMN2a,2b…のノードID、受信電力等の情報(以下、「隣接情報」と称する)が蓄積されている。各MN2a,2b…は、詳細は後述する所謂「Helloプロトコル」により、隣接するMN2a,2b…のデータを定期的に取得し、当該取得データによりNN−DB3a,3b…の内容を更新する。
【0028】
また、GN1のNN−DB4には、自セルに属する全MN2a,2b…の隣接情報が蓄積されている。このGN1のNN−DB4は、他のGNからも参照することが可能となっており、更に、その内容は、MN2a,2b…からのアップデート情報に基づいて定期的に更新されるようになっている。
【0029】
一方、GN1の資源管理DB5には、ネットワーク資源(周波数、使用chや符号等)、使用の有無、使用者ID等の情報(以下、これらを「資源情報」と称する)が蓄積されている。この資源管理DB5は、他のGNからも参照することが可能となっている。そして、この資源管理DB5の内容は、例えばネットワーク資源の使用状況が変化する度に、更新されるようになっている。
【0030】
そして、本通信システムは、伝送モードとして、低速伝送、マクロセルに対応した制御モードと、高速伝送、マイクロセルに対応した中継モードとを使い分けるハイブリッド方式を採用している。
【0031】
かかるハイブリッド方式の下、制御データは制御モードでシングルホップ通信して、ユーザデータは中継モードでマルチホップ通信する。
【0032】
これにより、本実施の形態では、ネットワーク上に流出する制御パケット量を削減し、且つ一定量に抑えることを可能としている。
【0033】
また、GN1と各MN2a,2b…には、詳細は後述するが、Helloプロトコル、ルート構築アルゴリズムが実装されており、Hello間隔、隣接情報のアップデート間隔は、各MN2a,2b…にて予め記憶されている。
【0034】
MN2a,2b…よりルート要求があった場合は、GN1では、その時点でルート構築アルゴリズムに従ってルーチング制御が行われることになる。
【0035】
尚、本実施の形態に係る通信システム及び方法では、双方向通信を前提としており、制御モード時はシングルホップ通信のみ、データ転送モード時はマルチホップ通信も可能としている。また、使用帯域幅を変化させることで、セル半径の異なる二つの伝送モードを実現している。若しくは、例えば、サブキャリア変調方式、多値数/符号化率を変化させることで伝送速度とセル半径を変化させる可変速度技術を用いているが、これらに限定されるものではない。
【0036】
次に、図2を参照して、NN−DB3a,3b…,4について更に詳述する。
【0037】
図2(a)はNN−DB3a,3b…のフォーマットの一例を示しており、図2(b)はNN−DB4のフォーマットの一例を示している。
【0038】
先ず、図2(a)に示されるように、MN2a,2b…のNN−DB3a,3b…は、隣接情報として隣接するMNa,2b…のノードID(Neighbor Node[1]…[n])と、その受信電力P1…Pnが蓄積されるようなフォーマットとなっている。さらに、図2(b)に示されるように、GN1のNN−DB4は、自セル内の全てのMN(Mobile Node[1]…[m])に隣接するMNのノードID(Mobile Node[1]…[s],…,Mobile Node[1]…[t])と、その受信電力P1-1…P1-s,…,Pm-1…Pm-tが蓄積されるようなフォーマットとなっている。
【0039】
ここで、図2(c)に示されるように、GN1のセル内に6つのMN2a−2fが存在する場合を想定して更に詳述する。尚、図中、破線で示した範囲は、その中心に示されているMN2a−2fの隣接範囲を意味している。
【0040】
この場合には、MN2aのNN−DB3aには、隣接情報としてMN2d,2e,2fのノードIDと各受信電力P2a-2d,P2a-2e,P2a-2fが蓄積されている(図3(a)参照)。MN2bのNN−DB3bには、隣接情報としてMN2fのノードIDと受信電力P2b-2fが蓄積されている(図3(b)参照)。MN2cのNN−DB3cには、隣接情報としてMN2fのノードIDと受信電力P2c-2fが蓄積されている(図3(c)参照)。MN2dのNN−DB3dには、隣接情報としてMN2a,2eのノードIDと各受信電力P2d-2a,P2d-2eが蓄積されている(図3(d)参照)。MN2eのNN−DB3eには、隣接情報としてMN2a,2dのノードIDと各受信電力P2e-2a,P2e-2dが蓄積されている(図3(e)参照)。MN2fのNN−DB3fには、隣接情報としてMN2a,2b,2cのノードIDと各受信電力P2f-2a,P2f-2b,P2f-2cが蓄積されている(図3(f)参照)。そして、GN1のNN−DB4には、全てのMN2a−2fの隣接情報(ノードID、各受信電力)が蓄積されている(図3(g)参照)。
【0041】
次に、図4を参照して、GN1の資源管理DB5について更に詳述する。
【0042】
ここでは、図4(a)に示される状況に対応したGN1の資源管理DB5の内容(ここでは、ch管理を例に挙げる)を、図4(b)に示して説明する。
【0043】
尚、図4(a)において、実線は通信中であることを意味し、破線は隣接関係にあることを意味している。この図4(a)の状況では、MN2b,2c,2f間ではch1で通信中であり、MN2a,2d,2g間ではchnで通信中であるが、このような情報は、図4(b)に示されるように資源管理DB5に蓄積され管理される。尚、不使用のchについては、nullとされる。
【0044】
このように資源管理DB5で使用周波数chを管理することで、ルート通知時に各MNa,2b…へchネゴシエーションを行うことも可能となる。
【0045】
以下、図5のフローチャート等を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る通信システムによるルーチング制御について詳述する。
【0046】
尚、ここでは、特に示さない限り、MN2a,2b…をMN2、NN−DB3a,3b…をNN−DB3と総称して、説明を進めることにする。
【0047】
この第1の実施の形態では、無線マルチホップネットワークにおいて、NN−DB4の隣接情報と資源管理DB5の資源情報とを利用したGN1による集中制御方式によるルーチング制御を行うことで、無線リソースを有効に活用し、ネットワーク上に流れる制御パケット量を削減している点に特徴の一つがある。
【0048】
以下、これをふまえて、ルーチング制御につき詳述する。
【0049】
さて、MN2が使用可能な状態になると(ステップS1)、ネットワークに接続されたMN2が最初に行うことはGN1の探索である(ステップS2)。
【0050】
このGN1の探索には、図6に示されるような二つの方法がある。
【0051】
即ち、一つの方法は、ゲートウェイ広告(G-Advertisement 以下、G広告と称する)を用いる方法である。この方法では、GN1はブロードキャストでG広告を定期的に送信する。そして、ネットワークに接続されたMN2は、定期的に送信されるG広告の有無によりGN1の存在を確認することになる。
【0052】
一方、他の方法は、ゲートウェイ要請(G-Solicitation 以下、G要請と称する)を用いる方法である。即ち、本方法では、MN2は所望とするタイミングでG要請を送信する。そして、G要請を受け取ったGN1は即座にG広告を送信する。こうして、ネットワークに接続されたMN2は、このG広告によりGN1の存在を確認することになる。このように、後者の方法では、MN2はG広告を待たずして、即座にゲートウェイ探索を行うことができる。
【0053】
さて、こうしてMN2によりGN1が探索されて、その存在が確認されると(ステップS3)、次いでMN2はHelloプロトコルにより隣接情報を調査し、GN1へ隣接情報を定期的にアップデートする(ステップS4乃至S6)。
【0054】
ここで、図7のフローチャートを参照して、このHelloプロトコルについて更に詳細に説明する。尚、ここでは、説明の便宜上、2つのMN2a,2b間でHelloプロトコルによる処理が成される場合を想定している。
【0055】
先ず、MN2bがアクティブ化される直前、HelloパケットがMN2bに送信される。そして、MN2bがブートされると、MN2bより空のHelloパケットがMN2aに送信される。MN2aでは、このMN2bからのHelloパケットによりMN2bからの受信が可能であることが認識される。
【0056】
そして、MN2aより、MN2bをリストしたHelloパケットがMN2bに送信される。MN2bでは、このHelloパケットを受信することで、MN2aにより自分の存在が認識されたことが確認される。そして、MN2bより、MN2aをリストしたHelloパケットがMN2aに送信される。
【0057】
こうして、MN2aでは、このHelloパケットを受信することで、MN2bにより自分の存在が認識されたことが確認される。そして、MN2aより、MN2bをリストしたHelloパケットがMN2bに送信される。
【0058】
以下、図8乃至図11を参照して、上記一連の処理を更に詳述する。
【0059】
尚、図8(a)、図9(a)、図10(a)、図11(a)において破線で示した円形の範囲は、その中心に位置するMN2a乃至2fの隣接範囲を意味する。
【0060】
先ず、初期状態においては(図8(a)参照)、GN1のNN−DB4には、自セル内の全MN2b−2fの隣接情報(ノードID、受信電力)が蓄積されている(図8(b)参照)。本例では、GN1のNN−DB4より、MN2bの隣接範囲に位置するのはMN2f、MN2cの隣接範囲に位置するのはMN2f、MN2dの隣接範囲に位置するのはMN2e、MN2eの隣接範囲に位置するのはMN2d、MN2fの隣接範囲に位置するのはMN2c,2bであることが判る。
【0061】
そして、MN2aがブートした場合を想定すると、当該MN2aよりHelloパケットが送信されることになる(図9(a)参照)。但し、この段階では、MN2aからGN1に隣接情報がアップデートされていないので、GN1のNN−DB4の内容は更新されてはいない(図9(b)参照)。
【0062】
さらに、上記MN2aからのHelloパケットを受信した隣接範囲に位置するMN2d,2e,2fより、HelloパケットがMN2aに対して返信されると(図10(a)参照)、その内容が隣接情報として、MN2aのNN−DB3aに蓄積される(図10(b)参照)。そして、この隣接情報が、MN2aによりGN1にアップデートされると、GN1のNN−DB4にMN2aの隣接情報が新たに加えられ、更新されることになる(図10(c)参照)。
【0063】
上記MN2aから送信されたHelloパケットがMN2d,2e,2fにより受信されると(図11(a)参照)、MN2d,2e,2fのNN−DB3d,3e,3fの隣接情報が更新される(図11(b),(c),(d)参照)。
【0064】
即ち、より詳細には、この例では、MN2dのNN−DB3dには、隣接情報としてMN2a,2eのノードID及び各受信電力P2d-2a、P2d-2eが蓄積されている(図11(b)参照)。そして、MN2eのNN−DB3eには、隣接情報としてMN2a,2dのノードID及び各受信電力P2e-2a,P2e-2dが蓄積されている(図11(c)参照)。さらに、MN2fのNN−DB3fには、隣接情報としてMN2a,2b,2cのノードID及び各受信電力P2f-2a,P2f-2b,P2f-2cが蓄積されている(図11(d)参照)。
【0065】
そして、この隣接情報が、MN2d,2e,2fによりGN1にアップデートされると、当該GN1のNN−DB4にMN2d,2e,2fの隣接情報が新たに加えられ、更新されることになる(図11(e)参照)。
【0066】
ここで、再び、図5の説明に戻る。以上の処理の後、MN2からの通信要求が発生した場合には(ステップS7)、詳細は後述するようなルート確立アルゴリズムに基づく処理が実行されることになる(ステップS8)。
【0067】
以下、図12のフローチャートを参照して、この図5のステップS8にて実行されるルート確立アルゴリズムについて詳細に説明する。
【0068】
あるMN2から通信要求が発生した場合には、通信可能なGN1の存在を確認する(ステップS11)。そして、通信可能なGN1が存在すれば、MN2はGN1へSRREQパケットを送信する(ステップS12)。
【0069】
そして、このSRREQパケットを受信したGN1は、宛先ノード(Destination Node 以下、DNと称する)がNN−DB4に存在するか否かを確認する(ステップS13)。尚、上記ステップS11で通信可能なGN1の存在を確認できなかった場合、及び上記ステップS13でDNがNN−DB4に存在しないと判断された場合は、ルート確立失敗として処理される(ステップS14)。
【0070】
一方、上記ステップS13にてDNがNN−DB4に存在する場合には、GN1はDNが属するGNが隣接もしくは同一GNであるか否かを確認する(ステップS15)。そして、DNが属するGNが隣接もしくは同一GNであると確認された場合には、GN1を介するルート(Gateway Route)よりもGN1を介さないルート(Gatewayless Route)の方が効率的な場合もあるので、Gateway RouteとGatewayless Routeの両方でソースルート(SR;Source Route)とルートコスト(RC;Route Cost)を計算し、RCの小さいルートを選択することになる(ステップS16)。これに対して、上記ステップS15にて、DNが属するGNが隣接もしくは同一GNではないと確認された場合には、Gateway Routeについてのみ計算をして、ルートを決定する(ステップS19)。
【0071】
尚、本実施の形態の通信システム及び方法では、MN−MN、MN−GNのルート計算には、例えばダイクストラの最短経路アルゴリズム等を用いている。但し、これは一例であって、これに限定されるものではない。
【0072】
そして、MN−MNのリンクコストはホップ数に関係なく「1」とし、GN−GNのリンクコストは距離に関係なく「1」としている。こうして、GN1によりルートが決定されると、GN1は全関係ノード(送信元ノード−宛先ノード間のソースルート)に、使用chやソースルートを記述したSRREPパケットをMN2に送信する(ステップS17)。
【0073】
このSRREPパケットを受信したMN2は、その情報を基に使用chを決定し、ルーチングテーブルを作成する(ステップS18)。こうして、中継モードでユーザデータが送受信される(ステップS20)。すなわち、各種パケットは、SRREPパケットに含まれているソースルート情報に基づいて中継モードの下、ユニキャストで通信される。尚、MN間のルーチングアルゴリズムには既存の有線アルゴリズム(RIP、OSPF等)を用いる。
【0074】
ここで、本実施の形態による上述したような「ルート確立アルゴリズム」と「OSPF」の隣接関係調査(Helloパケット)及びリンクステート情報交換アルゴリズムの相違について述べる。
【0075】
先ず、「OSPF」では、代表ルータとバックアップルータを設置し、各ルータの隣接情報を代表ルータに送信し、代表ルータで収集した同一エリア上のリンクステートを全てのルータに配布している。
【0076】
これに対して、本実施の形態に係るルート確立アルゴリズムでは、GN(上記代表ルータに相当)1で隣接情報を収集しているが、各ノードには隣接情報を配布していない。そのため、全ノードのLSD(Link State Database)の同期を取る必要がない。但し、GN間では同期を取る必要がある。また、GN1がLSD保管のデフォルトとなるため、代表ルータを動的に決定するアルゴリズムも必要がない。更に、GN1が無線ネットワークのため資源情報(例えば周波数、ch、符号等)を管理している点でも「OSPF」とは相違している。
【0077】
以上説明したように、本実施の形態に係る通信システムでは、MN2からの通信要求が発生した時点で、GN1は、当該GN1が保有しているNN−DB4の隣接情報と資源管理DB5の資源情報とに基づいてルート計算を行い、その計算結果を全関係ノードへ送信する。
【0078】
次に、図13のフローチャートを参照して、伝送モードの切替えに係るシーケンスを詳細に説明する。即ち、MN2による通信要求が発生すると(ステップS30)、GN1は通信データの種類を判別する(ステップS31)。制御データである場合には制御モードに設定し(ステップS32)、制御以外のデータである場合には中継モードに設定する(ステップS33)。この設定により、不図示の伝送モード切替えSWが切り替えられる(ステップS34)。
【0079】
データの送受信時においては、伝送モードが判定される(ステップS35)。そして、伝送モードが制御データである場合には、不図示の制御モード無線回路を介して、制御データが送受信され(ステップS36,S37)、伝送モードが中継モードである場合には、不図示の中継モード無線回路を介して、制御以外のデータが送受信される(ステップS38,S39)。
【0080】
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態に係る通信システム及び通信方法について詳細に説明する。この第2の実施の形態は、前述した第1の実施の形態の構成及び作用を基礎とした上で、更なる工夫を施したものである。即ち、前述した第1の実施の形態では、MN2がGN1のセルエリア外に存在する場合には、SRREQパケットを送信することができないため、接続要求を行うことができなかったが、この第2の実施の形態では、MN2がGN1のセルエリア外にいる場合でも自ノードの存在をGN1へ登録可能とし、更には通信可能としている。
【0081】
以下では、図1乃至図13と同一の構成については同一の符号をもって、第2の実施の形態による特徴的なシーケンスを中心に説明する。
【0082】
先ず、図14のフローチャートを参照して、本発明の第2の実施の形態に係る通信システムによるルーチング制御について詳述する。
【0083】
この第2の実施の形態では、MN2がGN1のセルエリア外に存在する場合であっても、マルチホップ通信によってGN1のセルエリア内に存在する他のMNを探索し、当該GN1のセルエリア内の他のMNよりシングルホップ通信によってGN1へ位置登録及び隣接情報を通知する点に特徴の一つがある。
【0084】
以下、かかる特徴をふまえてルーチング制御につき詳述する。
【0085】
さて、MN2が使用可能な状態になると(ステップS40)、ネットワークに接続されたMN2は最初に制御モード(シングルホップ)によりGN1の探索を行う(ステップS41)。このGN1の探索には、先に図6で説明したように、G広告、G要請といった二つの方法があるが、ここでは重複した説明は省略する。
【0086】
こうして、MN2がGN1を探索し、当該GN1の存在を確認すると(ステップS42)、MN2は前述したHelloプロトコル(図7参照)により隣接情報を調査することになる(ステップS46)。尚、MN2がGN1の存在を確認できるのは、当該MN2がGN1のセルエリア内に属する場合等である。
【0087】
続いて、MN2は、隣接ノード情報に変化があるか否かを判断し(ステップS47)、当該隣接ノード情報に変化がある場合にはステップS49に進む。
【0088】
これに対して、隣接ノード情報に変化がない場合には、MN2はアップデート時間が経過しているか否かを判断する(ステップS48)。そして、アップデート時間に至っていないと判断した場合には上記ステップS46に戻り上記同様の処理を実行する。一方、アップデート時間に至っていると判断した場合には、MN2はGN1へ隣接情報をアップデートする(ステップS49)。
【0089】
以上の処理の後、MN2からGN1へ通信要求がなされた場合には(ステップS50)、GN1は、詳細は後述するようなルート確立アルゴリズムに基づく処理を実行する(ステップS51)。尚、この第2の実施の形態では、Hello間隔やアップデート間隔は事前にMNへ記憶させておき、上記隣接情報調査や当該隣接情報のアップデートを定期的に実施することとしている。
【0090】
一方、上記ステップS42において、MN2が制御モード(シングルホップ)によりGN1を発見できなかった場合には、GN1のセルエリア内に位置する他のMNへの経路情報があるか否かを判断する(ステップS43)。ここで、当該経路情報がある場合には、ステップS46に進み、上記同様の処理を行う。
【0091】
これに対して、当該経路情報がない場合には、中継モード(マルチホップ)で、フラッディングによりGN1のセルエリア内に存在する他のMNを探索する(ステップS44)。尚、このとき、フラッディングによるGN探索パケットを受信したGN1のセルエリア内に存在する他のMNは更なるMNにパケット転送を行わない。即ち、図17に示されるように、GNが存在しないセルエリア100(斜線部分)のMNよりフラッディングによるGN探索パケットの送信がなされた場合に、例えばGN1aのセルエリア102の更なるMNはパケット転送を行わないので、境界ノード近傍領域101よりも転送が広げられる事態が防止され、ネットワーク上に流出する制御用のパケット量が削減され、ネットワーク帯域が圧迫される事態や電波干渉、パケット衝突の問題が回避されている。
【0092】
そして、GN1は、自己のセルエリア内に存在する当該他のMNを発見することができたか否かを判断する(ステップS45)。そして、このステップS45において、当該他のMNを発見することができた場合には、そのルートを保存した後、ステップS46に進み、上記同様の処理を行い、発見することができない場合には、上記ステップS41に戻り、上記同様の処理を行う。
【0093】
次に、図15のフローチャートを参照して、図14のステップS51にて実行されるルート確立アルゴリズムについて詳細に説明する。
【0094】
ここでは、各MN2a,2b…とGN1に制御モード(シングルホップ)及び中継モード(マルチホップ)の二種類の伝送モード、Helloプロトコル、ルート構築アルゴリズムを実装し、更に各MN2a,2b…にマルチホップ通信によるGN探索機能を実装し、各MN2a,2b…にはNN−DB3a,3b…、GN1にはNN−DB4と資源管理DB5を備えることが前提となる。
【0095】
以下では、図16及び図17を適宜参照して説明を進める。
【0096】
尚、図16において、小さな丸印で示したのはMNであり、小さな三角印で示したのはGNであり、当該GNを中心として描画された円は各GNのセルエリアを示している。また、図17において、斜線部分は、GNが存在しないセルエリア100を示し、GN1aのセルエリアは符号102で示される。
【0097】
さて、あるMN(Source Node 以下、SN2aと称する)から通信要求が発生した場合には、当該SN2aはGN1aのセルエリア内に属しているか否かを判断する(ステップS60)。このステップS60において、SN2aがGN1aのセルエリア内に属していないと判断した場合には、SN2aはGN1aのセルエリア内に属している他のMNへの経路情報が保存されているか否かを判断し(ステップS61)、当該経路情報が保存されていると判断した場合には、保存しているルートに従ってユニキャストで他のMNにSRREQパケットを送信する(ステップS62)。一方、SN2aは、当該経路情報が保存されていないと判断した場合には、中継モード(マルチホップ)で、フラッディングによりSRREQパケットを送信し(ステップS63)、GN1aのセルエリア内の他のMNが当該SRREQパケットを受信したか否かを判断する(ステップS64)。
【0098】
このステップS64において、SN2aは、GN1aのセルエリア内の他のMNが自己(SN2a)からのSRREQパケットを受信していないと判断した場合には、ルート確立を失敗と判断し、この処理を終了する。一方、このステップS64において、SN2aは、GN1aのセルエリア内に属している他のMNが自己(SN2a)からのSRREQパケットを受信したと判断した場合には、当該SRREQパケットを受信した他のMNによるSRREQパケット転送を中止し、当該他のMNを中継起点のMN2bとする(ステップS65)。尚、このようにパケット転送を中止することで、図17に示したように、GNが存在しないセルエリア100の境界ノード近傍領域101よりも転送が広げられる事態を防止し、ネットワーク上に流出する制御用のパケットの量を削減し、ネットワーク帯域が圧迫される事態や、電波干渉、パケット衝突の問題を回避している。
【0099】
上記中継起点のMN2bは、上記SN2aから中継モード(マルチホップ)で送られたSRREQパケットを、制御モード(シングルホップ)でGN1aへ送信することでルート要求を行う(ステップS66)。
【0100】
続いて、GN1aは、送信先のMN(Destination Node 以下、DNと称する)がNN−DB4に登録されているか否かを判断する(ステップS67)。このステップS67において、当該DNがNN−DB4に登録されていないと判断した場合には、ルート確立が失敗したものとして、この処理を終了する。
【0101】
一方、上記ステップS67において、GN1aは、DNがNN−DB4に登録されていると判断した場合には、DNが属するGNが隣接(GN1b)もしくは同一GN(GN1a)であるか否かを確認する(ステップS68)。
【0102】
そして、GN1aは、DNが属するGNが、隣接もしくは同一GNであると確認した場合には、GN1aを介するルート(Gateway Route)よりもGN1aを介さないルート(Gatewayless Route)の方が効率的な場合もあるのでGateway RouteとGatewayless Routeの両方でソースルート(SR)とルートコスト(RC)を計算して、RCの小さいルートを選択する(ステップS69)。
【0103】
一方、上記ステップS68にて、DNが属するGNが隣接もしくは同一GNではないと確認した場合には、GN1aは、Gateway Routeについてのみ計算をして、ルートを決定する(ステップS70)。尚、ここでも、MN−MN、MN−GNのルート計算には、例えばダイクストラの最短経路アルゴリズム等を用いることとしているが、これに限定されるものではない。
【0104】
こうして、GN1aがルートを決定すると、GN1aはSN2a及び全関係ノード(SN2a−DN2d間のソースルート)に、使用chやソースルートを記述したSRREPパケットを送信する。そして、このGN1aからのSRREPパケットを受信したSN2aは、その情報を基にして使用chを決定し、ルーチングテーブルを作成することになる(ステップS71)。
【0105】
このとき、SN2a,DN2dがGN1a,GN1bのセルエリア外にある場合には、GN1a,1bのセルエリアの境界ノードで当該セルエリア内に属しているMNを中継起点のMN2b、中継起点のMN2cとする。
【0106】
続いて、GN1aは、SN,DNがGN1a,GN1bのセルエリア内に属しているか否かを判断し(ステップS72)、SN,DNがGN1a,GN1bのセルエリア内に属していると判断した場合には(この場合、SN,DNは、GN1a,GN1bと図16に示すSN2e、DN2fの如き関係となる)、中継モードでユーザデータを送受信する。即ち、各種パケットを、SRREPパケットに含まれているソースルート情報に基づいて中継モード(マルチホップ)の下でユニキャストで通信することになる。尚、MN間のルーチングアルゴリズムには既存の有線アルゴリズム(RIP、OSPF等)を用いる。
【0107】
一方、上記ステップS72において、GN1aは、SN,DNがGN1のセルエリア内に属してないと判断した場合には(この場合、SN,DNは、GN1a,GN1bと図16に示すSN2a、DN2dの如き関係となる)、中継起点のMN2b,中継起点のMN2cを介してSN2a,DN2dへユニキャストでSRREPパケットを送信する(ステップS73)。
【0108】
そして、GN1aは、当該SRREPパケットがSN2a,DN2dに到達したか否かを判断し(ステップS74)、到達していないと判断した場合には、当該判断が1回目であれば中継起点のMN2b,中継起点のMN2cからSN2a,DN2dへフラッディングでSRREPパケットを送信した後(ステップS75)、上記ステップS74と同様の判断を行う。
【0109】
そして、上記ステップS74において、GN1aは、SRREPパケットがSN2a,DN2dに到達されていないと判断した場合、当該判断が2回目以降であれば、ルート確立が失敗したものとして、この処理を終了する。また、上記ステップS74において、GN1aは、SRREPパケットがSN2a,DN2dに到達されていると判断した場合、中継モードでユーザデータを送受信する。即ち、各種パケットを、SRREPパケットに含まれているソースルート情報に基づいて中継モードの下、ユニキャストで送信する。尚、上記ステップS72乃至S75では、SN,DNの双方がGN1a,1bのセルエリア内に属しているか否かで、その後の処理を決めていたが、いずれか一方がGN1a又は1bのセルエリア内に属していない場合にも、当該一方についてステップS73乃至S75の処理を実行することで、問題を解決することができる。
【0110】
一方、上記ステップS60において、SNがGN1aのセルエリア内に属していると判断した場合には(この場合、SNは、GN1aと図16に示すSN2eの如き関係となる)、GN1aから通知されたルートに従い、SRREPパケットを転送することによってルートを構築する(ステップS66)。以降、上記ステップS67以降と同様の処理が実行されることになる。
【0111】
次に、図18乃至図20を参照して、第2の実施の形態に係る通信システムにおけるGN1のNN−DB4、MN2a乃至2gのNN−DB3a乃至3gの記憶内容について更に詳細に説明する。尚、図18において、破線で示したのは各中心に位置するMN2a乃至2gのセルエリアであり、実線で示したのはGN1のセルエリアである。ここでは、MN2a乃至2fは、全てGN1のセルエリア外に位置しており、MN2gが中継起点のMNとなっている。
【0112】
各MN2a乃至2gのNN−DB3a乃至3gには、図20(a)乃至(g)に示されるような情報が記憶されている。即ち、隣接情報と、各隣接MNのGNのセルエリアの内/外の別、各隣接MNの中継起点のMN2gまでのルート、各受信電力が関係付けられて記憶されている。例えば、図20(b)では、MN2bのNN−DB3bには、隣接情報としてMN2fのノードID、当該MN2fがGN1のセルエリアの外である旨、当該MN2fの中継起点MN2gまでのルート2f−2aー2d−2g、受信電力P2b-2fが蓄積されている。
【0113】
そして、上述したような一連の処理により、各MN2a乃至2gによりNN−DB3a乃至3gの情報のアップデートが中継起点のMN2gを介してなされると、GN1は図19に示されるようなNN−DB4の内容を更新する。
【0114】
即ち、このGN1のNN−DB4では、各MN2a乃至2g毎に、当該MN2a乃至2gのGN1のセルエリアの内/外の別、当該MN2a乃至2gの中継起点のMN2gまでのルート、隣接情報としての隣接MNのノードID及び各受信電力、が関係付けられて記憶されている。例えば、MN2bについては、先に説明した図20(b)の情報がアップデートされた結果、当該NN−DB3bの内容が蓄積されていることが判る。
【0115】
<第1及び第2の実施の形態の効果等>
以上説明したように、本発明の第1及び第2の実施の形態に係る通信システム及び方法では、無線マルチホップ通信において、有線ネットワークに接続されたGNを設置し、通信用途に合わせてセル半径の異なる二つの伝送モードを利用するGNによる集中制御型ルーチング方式を採用した。
【0116】
このようにGNを定期的に設置することで、ノード密度の小さい場合でも接続率を向上させることができ、ネットワークが大きくなっても中継ホップ数を一定回数に抑えることができる。
【0117】
また、二つの伝送モードを利用した集中制御方式とすることで、制御パケット量を定量的にし、SNがSRREQパケットを送出してからSRREPパケットを受信するまでのルート探索時間を短縮することも可能としている。
【0118】
そして、特に第2の実施の形態では、一のMNがGN探索をマルチホップで行うことによって、GNのセルエリア内の他のMNを介して当該GNのセルエリア外からGNと通信することを可能とする。そして、このとき、GNセルエリア内に存在する他のMNは、GNのセルエリア外のMNからのGN探索パケット、ルート要求パケットを転送しないようにすることで、ネットワーク上への制御パケットの広がりを抑制することも可能としている。また、自律制御型と集中制御方のルーチング制御方式を組み合わせた上述のアルゴリズムにより、GNのセルエリア外であってもセルエリア内と略同等の接続率を達成することができる。
【0119】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の改良・変更が可能である。
【0120】
例えば、上記隣接情報、資源情報として記憶される情報は、上述したものに限定されるものではないことは勿論である。
【0121】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、制御用のパケット、実データのパケットの通信条件を伝送モードにより差別化したGNによる集中制御方式を採用することで、ネットワーク上に流出する制御用のパケットの量を削減し、ネットワーク帯域が圧迫される事態や、電波干渉、パケット衝突の問題を回避する通信システム及び通信方法を提供することができる。更に、GNによる集中制御方式を採用し、GNに隣接情報を把握させることで、各MN間での自律的なルート構築を不要とする通信システム及び通信方法を提供することができる。また、GNにネットワーク上の資源管理情報を把握させ、有限であるネットワーク資源を効率的に使用する通信システム及び通信方法を提供することができる。
【0122】
そして、特に、MNがGNのセルエリア外に位置する場合でも自ノードの存在をGNへ登録し、当該MNによる通信を可能とする通信システム及び通信方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る通信システムの概念図である。
【図2】(a)はMN2のNN−DB3のフォーマットを示す図、(b)はGN1のNN−DB4のフォーマットを示す図、(c)はMN2a−2fの隣接関係を示す図、である。
【図3】(a)はMN2aのNN−DB3aの内容を示す図、(b)はMN2bのNN−DB3bの内容を示す図、(c)はMN2cのNN−DB3cの内容を示す図、(d)はMN2dのNN−DB3dの内容を示す図、(e)はMN2eのNN−DB3eの内容を示す図、(f)はMN2fのNN−DB3fの内容を示す図、(g)はGN1のNN−DB4の内容を示す図、である。
【図4】(a)はMN2a−2fの隣接関係及び通信関係を示す図であり、(b)は資源管理DB5の内容を示す図である。
【図5】本実施の形態に係る通信システムによるルーチング制御についてのフローチャートである。
【図6】GN1の探索に係る二つの方法を説明するための図である。
【図7】Helloプロトコルについてのフローチャートである。
【図8】(a)はMN2a−2fの隣接関係を示す図であり、(b)はNN−DB4の内容を示す図である。
【図9】(a)はMN2a−2fの隣接関係を示す図であり、(b)はNN−DB4の内容を示す図である。
【図10】(a)はMN2a−2fの隣接関係を示す図であり、(b)はMN2aのNN−DB2aの内容を示す図であり、(c)はNN−DB4の内容を示す図である。
【図11】(a)はMN2a−2fの隣接関係を示す図であり、(b)はMN2dのNN−DB2dの内容を示す図であり、(c)はMN2eのNN−DB2eの内容を示す図であり、(d)はMN2fのNN−DB2fの内容を示す図であり、(e)はNN−DB4の内容を示す図である。
【図12】図5のステップS8にて実行されるルート確立アルゴリズムについて詳細に説明するためのフローチャートである。
【図13】制御モードの切替えに係る処理の流れを詳細に説明するフローチャートである。
【図14】本発明の第2の実施の形態に係る通信システムによるルーチング制御について詳述するためのフローチャートである。
【図15】図14のステップS51にて実行されるルート確立アルゴリズムについて詳細に説明するためのフローチャートである。
【図16】図14のステップS51にて実行されるルート確立アルゴリズムについて説明を補足するための概念図である。
【図17】 GN1aのセルエリア100と境界ノード近傍領域101との関係を示すネットワークもモデル図である。
【図18】MN2a乃至2f、中継起点のMN2g、GN1及びそのセルエリアの関係を示す図である。
【図19】GN1のNN−DB4の記憶内容を示す図である。
【図20】MN2a乃至2gのNN−DB3a乃至3gの記憶内容を示す図である。
【符号の説明】
1 ゲートウェイノード(GN)
2 モバイルノード(MN)
3 隣接ノードデータベース(NN−DB)
4 隣接ノードデータベース(NN−DB)
5 資源管理データベース(資源管理DB)

Claims (12)

  1. 少なくとも移動局と固定局とが無線ネットワークを介して通信自在とされた通信システムにおいて、
    隣接情報を記憶する第1データベースを備え、当該第1データベースに蓄積されている隣接情報を定期的に固定局に送信する複数の移動局と、
    所定範囲内に存在する全ての移動局の隣接情報を記憶する第2データベースと資源情報を記憶する第3データベースとを備え、上記移動局から送信される隣接情報により当該第2データベースの記憶内容を更新する複数の固定局と、
    を有し、一の固定局のセルエリアに属しない一の移動局が当該一の固定局に対して送信先の移動局への通信要求を行う場合には、当該一の移動局は上記一の固定局のセルエリアに属する他の移動局にマルチホップ通信で通信要求情報を送信し、当該他の移動局は上記一の固定局にシングルホップ通信で当該通信要求情報を転送し、当該一の固定局は当該通信要求情報に基づき上記第2及び第3データベースを参照しつつ上記一の移動局から上記送信先の移動局ヘの通信ルートを計算することを特徴とする通信システム。
  2. 上記一の固定局のセルエリアに属しない上記一の移動局は、当該一の固定局のセルエリアに属する他の移動局を特定することができない場合には、マルチホップ通信によるフラッディングによって上記通信要求情報を送信することを更に特徴とする請求項1に記載の通信システム。
  3. 上記マルチホップ通信によるフラッディングによって送信された通信要求情報を上記一の固定局のセルエリアに属する他の移動局が受信した場合には、当該他の移動局による上記通信要求情報の更なる移動局への転送を中止することを更に特徴とする請求項2に記載の通信システム。
  4. 上記一の移動局より上記他の移動局を介して通信要求を受けた上記一の固定局は、上記送信先の移動局が属する固定局が自己又は自己に隣接する他の固定局である場合には、固定局を介する通信ルート及び固定局を介さない通信ルートの両方を計算し、両者よりルートコストの小さい通信ルートを選択することで通信ルートを決定し、上記送信先の移動局が属する固定局が自己又は自己に隣接する他の固定局でない場合には、固定局を介する通信ルートのみを計算し、通信ルートを決定する、ことを更に特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の通信システム。
  5. 上記決定された通信ルートに基づき上記送信先の移動局と送信元の移動局である上記一の移動局との間で通信を行うときに、上記送信先の移動局が上記一の固定局又は当該一の固定局に隣接する他の固定局のセルエリアに属しないときには、当該セルエリアに属する送信先の移動局の中継起点の移動局を特定し、当該送信先の移動局の中継起点の移動局を介して通信を行うことを更に特徴とする請求項4に記載の通信システム。
  6. 上記隣接情報は、上記一の移動局の隣接範囲に存在する他の移動局に係るノード識別情報を少なくとも含んでおり、上記資源情報は、ネットワーク資源及びその使用の有無に係る情報、使用者の識別情報を少なくとも含んでいる、ことを更に特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の通信システム。
  7. 少なくとも、隣接情報を記憶する第1データベースを備えた複数の移動局と所定範囲内に存在する全ての移動局の隣接情報を記憶する第2データベースと資源情報を記憶する第3データベースとを備えた複数の固定局とが無線ネットワークを介して通信自在とされた通信システムによる通信方法において、
    上記各移動局により、上記第1データベースに蓄積されている隣接情報を定期的に固定局に送信し、上記固定局により、上記移動局から送信される隣接情報により当該第2データベースの記憶内容を更新し、
    一の固定局のセルエリアに属しない一の移動局が当該一の固定局に対して送信先の移動局への通信要求を行う場合には、上記一の移動局により、上記一の固定局のセルエリアに属する他の移動局にマルチホップ通信で通信要求情報を送信し、上記他の移動局により、上記一の固定局にシングルホップ通信で当該通信要求情報を転送し、
    上記一の固定局により、当該通信要求情報に基づき、上記第2及び第3データベースを参照しつつ、上記一の移動局から上記送信先の移動局ヘの通信ルートを計算する、ことを特徴とする通信方法。
  8. 上記一の固定局のセルエリアに属しない上記一の移動局は、当該一の固定局のセルエリアに属する他の移動局を特定することができない場合には、マルチホップ通信によるフラッディングによって上記通信要求情報を送信することを更に特徴とする請求項7に記載の通信方法。
  9. 上記マルチホップ通信によるフラッディングによって送信された通信要求情報を上記一の固定局のセルエリアに属する他の移動局が受信した場合には、当該他の移動局による上記通信要求情報の更なる移動局への転送を中止することを更に特徴とする請求項に記載の通信方法。
  10. 上記一の移動局より上記他の移動局を介して通信要求を受けた上記一の固定局は、上記送信先の移動局が属する固定局が自己又は自己に隣接する他の固定局である場合には、固定局を介する通信ルート及び固定局を介さない通信ルートの両方を計算し、両者よりルートコストの小さい通信ルートを選択することで通信ルートを決定し、上記送信先の移動局が属する固定局が自己又は自己に隣接する他の固定局でない場合には、固定局を介する通信ルートのみを計算し、通信ルートを決定する、ことを更に特徴とする請求項7乃至9のいずれかに記載の通信方法。
  11. 上記決定された通信ルートに基づき上記送信先の移動局と送信元の移動局である上記一の移動局との間で通信を行うときに、上記送信先の移動局が上記一の固定局又は当該一の固定局に隣接する他の固定局のセルエリアに属しないときには、当該セルエリアに属する送信先の移動局の中継起点の移動局を特定し、当該送信先の移動局の中継起点の移動局を介して通信を行うことを更に特徴とする請求項10に記載の通信方法。
  12. 上記隣接情報は、上記一の移動局の隣接範囲に存在する他の移動局に係るノード識別情報を少なくとも含んでおり、上記資源情報は、ネットワーク資源及びその使用の有無に係る情報、使用者の識別情報を少なくとも含んでいる、ことを更に特徴とする請求項7乃至11のいずれかに記載の通信方法。
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