JP4025528B2 - Tractor travel control device with rotary tiller - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロータリー耕耘作業機を備えるトラクタの耕耘速度制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子制御式ガバナと電子制御の油圧式無段変速機(以下「HST(Hydro Static Transmission)」とする)を搭載したトラクタは、周知となっている。そして、HSTに遊星機構を組み合わせたHMT(Hydro Mechanical Transmission)を有するトラクタも知られている。そして、油圧式無段変速機に備える油圧ポンプの可動斜板の角度を、制御装置により電子制御することにより、作業機(ロータリー耕耘作業機等)駆動のためのPTO軸の回転を加味しながらの、耕耘速度制御が行われている。また、エンジンには、電子制御式ガバナを備える構成とし、該電子制御式ガバナにより、エンジン負荷、及びエンジン出力トルクの算出が行われている。また、エンジンの回転数は、クランク軸の回転等から回転数検出器により検出されている。
【0003】
ところで、該トラクタがロータリー耕耘作業を行う圃場の状態は、硬さ・粘度等が均一でないため、機体の進行に伴い、ロータリー耕耘作業機は、入念に耕す必要がある硬い状態の場所と、比較的容易に耕すことができる場所を通過することになる。このことから、作業者は、圃場の状態によっては、耕耘速度を減速して、同一箇所を入念に耕すことで対応していた。また、枕地等で旋回動作を行う際には、ロータリー耕耘作業機の回転数の減少による安全性の考慮と、PTO軸とロータリー耕耘作業機との連結体(ユニバーサルジョイント)の破損防止の考慮の二点から、旋回動作に入る際には、エンジン回転数を減少させることで対応するようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、圃場の状態を確認しながら耕耘速度変更操作を行うことは、作業者にとって負担となるとともに、作業者がステアリング操作に専念できないといった問題があった。また、旋回動作時において考慮すべき二点については、エンジン回転数を減少させることで対応させているので、旋回動作時では、耕耘速度を増速させることができず、旋回動作に時間がかかってしまうという問題があった。
【0005】
上記課題に加えて、トラクタに搭載されるエンジンの燃費効率は、エンジン回転数とトルクにより決定されることから、該燃費効率を最適とするエンジン回転数及びトルクに制御されることが望ましいとされている。しかし、ロータリー耕耘作業機を具備するトラクタでの耕耘作業においては、一定速度で機体を進行させ(耕耘速度一定)、所定時間内に作業を終えたいという場合もある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上のごとくであり、次に該課題を解決する為の手段を説明する。
請求項1においては、電子制御式ガバナの燃料噴射ポンプを具備したエンジンと、該エンジンの回転数検出器と、電子制御油圧式無段変速機と、該電子制御油圧式無段変速機の後部に組合せた遊星歯車機構を備え、トラクタの中速域〜高速域では、電子制御油圧式無段変速機と遊星歯車機構を組合せて変速する「HMT駆動モード」で変速し、低速域では電子制御油圧式無段変速機のみによる「HST駆動モード」で変速し、変速域に応じて二つの駆動モードを自動切換し、該電子制御油圧式無段変速機の油圧ポンプの可動斜板の角度を、制御装置により電子制御することにより、ロータリー耕耘作業機を駆動するPTO軸の回転を加味しながら耕耘速度制御も行なう、ロータリー耕耘作業機を備えたトラクタの走行制御装置において、電子制御式ガバナによりエンジンのトルクを算出し、エンジン回転数検出器によりエンジン回転数を検出し、制御装置により前記両検出結果と最適燃費ラインとの差異を演算し、両者に差異がある場合は、制御装置が、該差異を無くすように電子制御式ガバナを制御、若しくは、電子制御油圧式無段変速機の制御、あるいは電子制御式ガバナの制御および電子制御油圧式無段変速機の制御を行うものである。
【0007】
請求項2においては、電子制御式ガバナの燃料噴射ポンプを具備したエンジンと、該エンジンの回転数検出器と、電子制御油圧式無段変速機と、該電子制御油圧式無段変速機の後部に組合せた遊星歯車機構を備え、トラクタの中速域〜高速域では、電子制御油圧式無段変速機と遊星歯車機構を組合せて変速する「HMT駆動モード」で変速し、低速域では電子制御油圧式無段変速機のみによる「HST駆動モード」で変速し、変速域に応じて二つの駆動モードを自動切換し、該電子制御油圧式無段変速機の油圧ポンプの可動斜板の角度を、制御装置により電子制御することにより、ロータリー耕耘作業機を駆動するPTO軸の回転を加味しながら耕耘速度制御も行なう、ロータリー耕耘作業機を備えたトラクタの走行制御装置において、電子制御式ガバナによりエンジン負荷を算出し、エンジン回転数検出器によりエンジン回転数を検出し、制御装置により、エンジン負荷と、前記エンジン回転数である場合の最大トルクとの差異を演算し、エンジン負荷が所定トルクよりも高い場合は、制御装置が電子制御油圧式無段変速機を減速制御し、エンジン負荷が所定トルクよりも低い場合は、制御装置が電子制御油圧式無段変速機を増速制御するものである。
【0008】
請求項3においては、電子制御式ガバナの燃料噴射ポンプを具備したエンジンと、該エンジンの回転数検出器と、電子制御油圧式無段変速機と、該電子制御油圧式無段変速機の後部に組合せた遊星歯車機構を備え、トラクタの中速域〜高速域では、電子制御油圧式無段変速機と遊星歯車機構を組合せて変速する「HMT駆動モード」で変速し、低速域では電子制御油圧式無段変速機のみによる「HST駆動モード」で変速し、変速域に応じて二つの駆動モードを自動切換し、該電子制御油圧式無段変速機の油圧ポンプの可動斜板の角度を、制御装置により電子制御することにより、ロータリー耕耘作業機を駆動するPTO軸の回転を加味しながら耕耘速度制御も行なう、ロータリー耕耘作業機を備えたトラクタの走行制御装置において、ロータリー耕耘作業機の引上げ動作命令がされると、制御装置が、エンジン回転数を減少させるとともに、エンジン回転数の減少に伴う車両速度の減少を補うように電子制御油圧式無段変速機の変速比を増加させ、旋回動作が終了し、再び耕耘作業に入るべくロータリー耕耘作業機の下げ動作命令がされると、エンジン回転数を設定回転数まで復帰させるとともに、エンジン回転数の増加に伴う車両速度の増加を制限するように、電子制御油圧式無段変速機の変速比を減少させるものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明が適用されるHMT式トランスミッションのスケルトン図、図2はHSTの側面断面展開図、図3はミッション前部の側面断面展開図である。
【0010】
図1〜図3を参照して、HMT式トランスミッションの構成について説明する。このトランスミッションは作業車両、本実施例では農用トラクタに適用されており、HST(電子制御油圧式無段変速装置)21、及び、遊星歯車機構10を含むミッション30を備えて構成されている。
【0011】
〔走行駆動系〕
まず、走行駆動系を説明する。図1及び図2に示すようにHST21は油圧ポンプ22及び油圧モータ23を備えており、両者21・22は平板状のセンタセクション32に付設されて、HSTハウジング31内に収容されている。前記センタセクション32はミッションケース33に固設されている。
【0012】
HST21の油圧ポンプ22の回転軸心をポンプ出力軸25が貫通しており、該ポンプ出力軸25は駆動源であるエンジン20からの動力を該油圧ポンプ22に伝達するとともに、遊星歯車機構10に伝達させ、さらには後述するPTO駆動系を介して、PTO軸53へも動力を伝達させている。該ポンプ出力軸25には油圧ポンプ22のシリンダブロック22bが係合されて相対回転不能とされ、ポンプ出力軸25とともにシリンダブロック22bが駆動される構成になっている。該シリンダブロック22bには複数のプランジャ22cが摺動自在に配設され、該プランジャ22cの頭部には可動斜板22aが当接している。該可動斜板22aは傾動自在に枢支され、その傾斜角を調節することにより油圧ポンプ22の容積を変更することができる。
【0013】
油圧ポンプ22により吐出された作動油は、センタセクション32に設けられた油路を介して油圧モータ23に送油される。そして、同様にシリンダブロック、プランジャ等より構成される固定容積型の油圧モータ23を駆動させることによって、該油圧モータ23のモータ出力軸26の回転速度及び方向を制御する構成になっている。なお、本実施例のHST21では油圧ポンプのみを可変容積型とし、油圧モータは固定容積型としているが、その構成のHSTに限るものでもない。例えば、油圧ポンプと油圧モータの双方を可変容積型とする構成でも、本発明を適用することができる。
【0014】
ミッション30の構成について、図1乃至図4を参照して説明する。ミッション30はミッションケース33により被装されており、該ミッションケース33にはポンプ出力軸25、モータ出力軸26、出力軸27、副変速軸28、PTO軸53等が水平で前後方向に配設され、それぞれ回動自在に支持されている。また、ミッションケース33内には遊星歯車機構10が設けられている。遊星歯車機構10は前記HST21の後方に配設され、後述するサンギア1、プラネタリギア2、リングギア3、キャリア5等より構成されている。
【0015】
一方、HST21のモータ出力軸26にはギア12とリングギア3のボス部3aが遊嵌されており、該リングギア3のボス部3aと該モータ出力軸26との間には第一の油圧パッククラッチ13が、ギア12とモータ出力軸26との間には第二の油圧パッククラッチ14が、それぞれ介在させてある。この二つの油圧パッククラッチ13・14は二つの駆動モード(HMT駆動モードとHST駆動モード)を切り換えるために用いられ、駆動モードに応じて二つの油圧パッククラッチ13・14のうちいずれか一方を係合させ他方を係合解除させることにより、リングギア3又はギア12のいずれか一方を介して出力軸27に動力が伝達されることとなる。
【0016】
一方、前記ポンプ出力軸25は前記HST21のセンタセクション32を貫通してミッションケース33内に延出しており、該延出部分上にポンプ側入力ギア8を外嵌している。該ポンプ側入力ギア8と、サンギア1に同心的に遊嵌したキャリア5の前部外周面に形成したギア5aとが噛合して、キャリア5を回転させている。そして、該キャリア5には、前記サンギア1及びリングギア3と噛合する複数のプラネタリギア2・2が支承されて、これらの、サンギア1、プラネタリギア2・2、リングギア3、キャリア5等よりで遊星歯車機構10を構成している。
【0017】
この遊星歯車機構10を説明する。遊星歯車機構10の第一の要素たるサンギア1は出力軸27に遊嵌され、プラネタリギア2は前記サンギア1と、前記サンギア1に同心して配置された、第三の要素たるリングギア3に噛合している。ここでプラネタリギア2は、出力軸27上に遊嵌された第二の要素たるキャリア5に回転自在に支持され、自転しながら該キャリア5とともに公転し得るように構成されている。該キャリア5の前部にはギア5aが形成されており、該ギア5aは、前記ポンプ出力軸25上に外嵌されたポンプ側入力ギア8と噛合している。
【0018】
一方、前記出力軸27と平行にHST21のモータ出力軸26が配設されており、該モータ出力軸26上にはモータ側入力ギア9が固定されて、出力軸27に遊嵌したサンギア1の前部に外嵌固定したギア6とモータ側入力ギア9が噛合してサンギア1を回転駆動している。このモータ出力軸26上には、モータ側入力ギア9の後方にさらにダミーギア82aが固設してあり、該ダミーギア82aは、前記出力軸27上に遊嵌される前記ギア12と噛合している。
【0019】
図1で示すように出力軸27の後端にはカップリングを介して伝達軸34が連結されており、該伝達軸34の後部に二つのギア17・18を固定している。前記伝達軸34と平行に副変速軸28が支持され、該副変速軸28上にはギア60・61が遊嵌されており、該ギア60・61が前記ギア17・18に噛合して互いに異なる回転数で駆動している。そして、副変速軸28に設けられた副変速クラッチ62を操作することにより、ギア60・61のうちいずれか一方の回転駆動力を副変速軸28に伝達できるように構成し、副変速機構を構成している。該副変速軸28の後端にはベベルギア69が形設され、該ベベルギア69を介して後輪デフ70に動力が伝達される。
【0020】
また図1に示すように、副変速軸28の前端部には二つのギア63・64が固設されており、該ギア63・64は前輪出力軸29上に遊嵌されたギア65・66にそれぞれ噛合し、該ギア65・66を異なる回転数で駆動している。また、前輪出力軸29上には二つの油圧クラッチ67・68が設けられており、該油圧クラッチ67・68のうちいずれか一方を接続することにより、ギア65・66のいずれか一方の回転駆動力を前輪出力軸29に伝達できるようにし、前輪増速切換機構を構成している。
【0021】
〔PTO駆動系〕
次に、図1を参照してPTO駆動系を説明する。前記ポンプ出力軸25の後端はPTOクラッチ40を介してPTO入力軸41に伝達される。PTO入力軸41の後端には三つのギア42・43・44が相対回転不能に挿嵌され、それぞれPTO副変速軸45に遊嵌されたギア46・47・48に噛合している。そしてPTO副変速クラッチ49の操作により三段階に変速された出力が、ギア50・52・54を介してPTO軸53に伝達され、作業機等に動力を伝達するよう構成している。
【0022】
〔各駆動モードにおける駆動伝達構成〕
次に、以上の構成におけるトランスミッションにおいて、HMT/HSTの各駆動モードにおける走行駆動系の駆動伝達構成を説明する。
【0023】
〔HMT駆動モード〕
最初に、HMT駆動モードとしたときの駆動伝達構成について説明する。HMT駆動モードにおいては前記二つの油圧パッククラッチ13・14のうち第一の油圧パッククラッチ13は係合され、第二の油圧パッククラッチ14は係合を解除される。
【0024】
エンジン20に連結されたポンプ出力軸25に固設のポンプ側入力ギア8が、前記キャリア5に形成されたギア5aに噛合しているので、ポンプ出力軸25の回転出力が遊星歯車機構10のキャリア5に伝達される。一方、モータ出力軸26の回転出力によって、モータ側入力ギア9とサンギア1の前部に固設のギア6が噛合してサンギア1が回転駆動されている。従って、前記キャリア5に支持され、さらに前記サンギア1に噛合しているプラネタリギア2には、両者5・1の回転が合成されて伝達され、該合成された駆動力が、該プラネタリギア2に噛合するリングギア3に伝達される。
【0025】
そして、HMT駆動モードにおいては前記第一の油圧パッククラッチ13が係合するよう制御されるので、リングギア3の回転動力が出力軸27に伝達される。出力軸27の動力は副変速軸28を経て後輪や前輪に伝達され、車両が駆動されることとなる。
【0026】
〔HST駆動モード〕
次に、HST駆動モードとしたときの駆動伝達構成について説明する。HST駆動モードにおいては前記二つの油圧パッククラッチ13・14のうち第二の油圧パッククラッチ14が係合され、第一の油圧パッククラッチ13は係合を解除される。
【0027】
ギア12には前述のとおりダミーギア82aが噛合されているので、モータ出力軸26の回転出力が出力軸27に伝達される。この動力は副変速軸28を経て後輪や前輪に伝達され、車両が駆動される。
【0028】
このHST駆動モードにおいては、エンジン20の出力が前後輪にまで伝達されるまでの間に遊星歯車機構10を経由しない動力伝達構成となっている。即ち、エンジン20の出力がポンプ出力軸25を介してキャリア5を駆動するが、リングギア3のボス部3aと出力軸27が係合しないので、遊星歯車機構10はそのキャリア5の回転により空転するのみとされる。結局は、エンジン20の出力はHST21により変速されてモータ出力軸26→出力軸27と伝達された後、副変速されて前後輪に伝達されることになる。
【0029】
〔HST斜板制御機構の構成〕
次に、HST斜板制御機構の構成を説明する。図4はHST斜板制御のための構成を示す説明図である。
【0030】
本実施例においては、図3及び図4に示すように、モータ出力軸26に外嵌したモータ側入力ギア9に近接して設けた検出器81で該モータ出力軸26の回転量をパルス信号として検出し、またその回転方向をも検出できるようにしている。さらに、前記出力軸27に固定したダミーギア82aにも検出器82を近接して設け、該検出器82にて該出力軸27の回転量やその方向を検出している。また図4に示すように、エンジン20のクランク軸にもエンジン回転数検出器83が設けられて、エンジン回転数を検出可能としている。さらに、は車両の運転席には主変速操作手段である主変速レバー84が設けられて、その枢支部には回動角検出手段(例えば、ポテンショメータ)84aが配設され、該主変速レバー84の操作位置を検出できるようにしている。
【0031】
図4に示すように前記三つの検出器81・82・83は制御装置90に電気的に接続され、該制御装置90は前記主変速レバー84の操作位置や前記検出器82の検出値をもとに、車速が該主変速レバー84で指示される車速となるよう、HST斜板角アクチュエータ86を通じて前記油圧ポンプ22の可動斜板22aの傾斜角度を制御する。該制御の詳細については後述する。また、前記第一・第二油圧パッククラッチ13・14には、それぞれ電磁弁91・92が接続されて圧油を給排可能に構成されており、前記制御装置90は該電磁弁91・92に対し電気的に接続されている。
【0032】
制御装置90は前記検出器82・83の検出値からトランスミッションの変速比を計算する演算手段を備えており、求められた変速比が高速側の一定領域にあるときは「HMT駆動モード」となって前記電磁弁91・92に信号を送り、前記第一の油圧パッククラッチ13を係合させ、第二の油圧パッククラッチ14を係合解除させる。一方、変速比が低速側の一定領域にあるときは「HST駆動モード」となって電磁弁91・92に信号を送り、前記第一の油圧パッククラッチ13を係合解除させ、第二の油圧パッククラッチ14を係合させる。即ち、中速域〜高速域では「HMT駆動モード」、低速域では「HST駆動モード」というように、変速比に応じて二つの駆動モードを自動切換し、前記電磁弁91・92を電気的に制御してクラッチ13・14を係脱させるように構成しているのである。
【0033】
また、図4に示すごとく、車両の運転部には、ステアリング88が設けられ、該ステアリング88の回転角度は、ステアリングシャフト89の回転角度を回転角度検出器95によって検出し、該検出結果を制御装置90に入力することで、認識されるようになっている。さらに、車両の後部には、図示せぬロータリー耕耘作業機の昇降を行う作業機昇降用油圧シリンダー96が設けられ、該作業機昇降用油圧シリンダー96のロッドの伸縮は、制御装置90に電気的に接続した電磁弁97による油の給排により行われるようになっている。また、該作業機昇降用油圧シリンダー96は、ワンタッチ昇降ボタン24(図4)により、任意に作動させることができるようになっている。
【0034】
なお、車両の運転部の適宜位置にはクラッチ係脱手段たるクラッチペダル85が配設され、該クラッチペダル85の枢支部にはその踏込み量を検出するための回動角検出手段(例えば、ポテンショメータ)85aが配設されて、該回動角検出手段85aは制御装置90に接続されている。そして、制御装置90は、クラッチペダル85の踏込み量を調べ、予め定められた所定の閾値Aをこえて踏み込まれている場合は前記駆動モードの如何にかかわらず、第一・第二の油圧パッククラッチ13・14の双方とも係合が解除された状態となるよう制御する。この制御によって、第一・第二の油圧パッククラッチ13・14には、前述の如く駆動モードを切り換えさせるとともに、車両のメインクラッチ(動力伝達クラッチ)としての役割をも担わせている。言い換えれば、「HST駆動モード」のときは第二の油圧パッククラッチ14が、「HMT駆動モード」のときは第一の油圧パッククラッチ13が、それぞれメインクラッチ(動力伝達クラッチ)としての役割を果たすように構成している。
【0035】
〔エンジン出力回転数制御機構の構成〕
次に、エンジン出力回転数制御機構の構成を説明する。図4はエンジン出力回転数制御のための構成を示す説明図である。本実施例に適用するエンジン20には、電子制御式ガバナ103を備える燃料噴射ポンプが備えられており、該電子制御式ガバナ103により、エンジン20のエンジントルクを算出し、算出結果を、電気的に接続された制御装置90に出力している。該電子制御式ガバナ103は、運転状態に応じて図示せぬ燃料噴射ポンプのコントロールラックを、制御装置90の信号によりソレノイドで制御する方式のもので、制御装置90によってエンジンの能力範囲内で負荷特性を自由に設定できるものである。
【0036】
〔エンジン出力回転数制御及び斜板角制御〕
次に、上記エンジン出力回転数制御機構により行われるエンジン回転数制御、及びHST斜板制御機構により行われる斜板角制御について、図5以降を参照しながら説明する。図5はエンジンの等燃料消費率曲線を示す図、図6は制御装置の制御フローを説明するフローチャート図、図7は作業機負荷が高くなった場合の高負荷対応制御ブロックを表すフローチャート図、図8は旋回時における制御ブロックを表すフローチャート図、図9は旋回時における制御ブロックを表すフローチャート図である。
【0037】
まず、等燃料消費率曲線及び制御フローについて図5及び図6を参照しながら説明する。図5に示す等燃料消費率曲線は、エンジン回転数に対する最大トルクをプロットした最大トルク曲線101と、等燃料消費率曲線102・103・・・を、横軸をエンジン回転数、縦軸をトルクとした平面にプロットしたものである。また、110は、エンジン20の最適な運転域を示した最適燃費ラインを表現したものである。該最適燃費ライン110は、エンジン20の燃費効率が最もよいポイントをプロットしたものであり、最適燃費ライン110に沿わせた運転を行うことで、エンジン20の低燃費運転が実現されるものである。
【0038】
制御装置90内には、この等燃費消費曲線102・103・・・をプロットしたマップが記憶されている。そして、このマップを参照することにより、最適燃費ライン110を算出し、これに沿わせた運転を行うものである。等燃費消費曲線102・103・・・をプロットしたマップが記憶されている場合には、最適燃費ライン110若しくは、燃費よりもトルクを重視した設定とすることも可能である。または、最適燃費ライン110を制御装置90内にマップを記憶させて、マップに記憶された最適燃費ライン110に沿ったエンジン制御を行うことも可能である。
【0039】
そして、エンジン20を最適燃費ライン110に沿わせた運転とすべく、図6に示す制御フロー500を実行するのである。即ち、電子制御式ガバナ103を備える燃料噴射ポンプを具備するエンジン20と、エンジン回転数検出器83と、電子制御油圧式無段変速機(HST)とを備えるトラクタの走行制御方法において、電子制御式ガバナ103によりエンジントルクを算出し(501)、エンジン回転数検出器83によりエンジン回転数を検出し(502)、制御装置90により前記両検出結果と最適燃費ラインとの差異を演算し(503)、両者に差異がある場合は、制御装置が、該差異を無くすように電子制御式ガバナ103を制御(504)、若しくは、耕耘速度維持のためのHST斜板角アクチュエータ86による可動斜板22aの角度調整の制御(505)、あるいは電子制御式ガバナの制御および電子制御油圧式無段変速機の制御が行われるのである。すなわち、電子制御式ガバナ103の情報とマップに記憶された情報を比較し、燃料噴射量若しくは変速比、あるいは両方を制御するものである。燃料噴射量は電子制御式ガバナ103により、変速比はHST21により制御することができるものである。
【0040】
以上の制御を常時行うことで、エンジン回転数と、トルクとが最適燃費ライン110に近づくと、制御装置90が最適燃費運転と認識し(506)、所定の耕耘速度を維持したままの、エンジンの低燃費運転が行えるのである。なお、所定の耕耘速度とは、作業者によって作業開始時に設定されるものであって、所謂「オートクルーズ」の設定速度である。なお、本実施例においては、HST20の制御を行い、所定の耕耘速度を維持したままの機体の進行の制御としたが、耕耘速度の維持が必要ない場合も考えられる。そこで、このような場合のために、作業者の任意により耕耘速度制御の有無を選択できるようにしている。
【0041】
〔高負荷対応制御ブロック〕
次に、作業機負荷が高くなった場合の高負荷対応制御ブロックについて図6、図7及び図8を参照しながら説明する。この形態においては、エンジンの最大トルクを維持するように制御するものである。なお、トルクを前述の最適燃費ライン上のトルクとすることも可能である。高負荷対応制御ブロック700は、上記PTO軸53により駆動されるロータリー耕耘作業機を駆動しながらの作業中において、エンジン20の作業機による負荷に応じて耕耘速度(トラクタの移動速度)を変更する制御である。即ち、図7に示す高負荷対応制御ブロック700のごとく、電子制御式ガバナ103を備える燃料噴射ポンプを具備するエンジン20と、エンジン回転数検出器83と、電子制御油圧式無段変速機(HST21)とを備えるトラクタの耕耘速度制御方法において、電子制御式ガバナ103によりエンジン負荷を検出し(701)、エンジン回転数検出器によりエンジン回転数を検出し(702)、制御装置90が、エンジン負荷と、前記エンジン回転数によりある場合にエンジンが出力可能な最大トルクとの差異を演算し(703)、エンジン負荷が最大トルクよりも高い場合(エンジン回転数が低下した場合)は、制御装置90が、HST21のHST斜板角アクチュエータ86に対し、油圧ポンプ22の可動斜板22aを減速側に傾かせる制御が行われ(704)、エンジン負荷が最大トルクよりも低い場合(エンジン回転数が上昇した場合)は、制御装置90が、HST21のHST斜板角アクチュエータ86に対し、油圧ポンプ22の可動斜板22aを増速側に傾かせる制御が行われる(705)。さらに、上記制御には、エンジン負荷が前記エンジン回転数における最大トルクよりも高い場合において、耕耘速度の減速後、エンジン負荷が減少しない場合には、制御装置90が、作業機昇降用油圧シリンダー96がロータリー耕耘作業機を引上げる方向に作動するよう電磁弁97に命令し(901)、その後、エンジン負荷が減少し始めた際には、作業機昇降用油圧シリンダーがロータリー耕耘作業機を所定の耕深まで引下げる(902)よう電磁弁97に命令する制御ブロック303が含まれる。なお、所定の耕深とは、作業者が、耕耘作業開始時に任意に設定するものである。
【0042】
該制御により、圃場が硬い場合に、ロータリー耕耘作業機の回転がし難くなって、エンジン負荷が所定値(最大トルク)よりも高くなった際には、耕耘速度が減速し、ロータリー耕耘作業機の単位時間あたりの移動速度を遅くして、単位時間あたりに処理する土の量を調節するものである。これにより、圃場の硬い部分を、時間をかけてしっかりと耕耘することができる。一方で、圃場が適度に耕耘されやすい状態で、ロータリーの回転を問題なく行うことができ、エンジン負荷が所定値(例えば、最大トルク)よりも低くなった際には、耕耘速度を増速し、ロータリー耕耘作業機の単位時間あたりの移動速度を速くして、不必要に時間をかけることなく、耕耘に必用な時間だけをかけて耕耘することができる。即ち、ロータリー耕耘作業機によるエンジン負荷が高い場合は、圃場が硬い状態であると見なし、エンジン負荷が低い場合は、圃場が適度に耕耘されやすい状態であると見なして、それぞれの状態に最適な耕耘速度に自動的に変更するように制御しているのである。
【0043】
こうして、ロータリー耕耘作業機の処理能力を効率の良い状態で維持しながら耕耘されることになり、作業精度および作業効率を向上できる。また、作業後の圃場にムラができることがなく、耕耘状態が均一圃場を形成することができる。さらに、作業者は、自動的に耕耘速度が変更されるので、圃場の硬軟の状態を気にせずに、また、主変速レバー84を操作する必要もなく、楽に作業を行うことができる。
【0044】
さらに、制御ブロック303の制御を行うことで、減速したにもかかわらず、圃場の状態が悪く(硬く)、エンジン負荷が減少しない場合には、耕深を浅くすることにより、エンジン負荷を下げるようにしてエンジンストップを回避するのである。該制御により、耕深は浅くなるが、エンジンストップが回避され、機体を前進させることができるようになる。また、耕深を浅くした後に、エンジン負荷が所定値(最大トルク)まで減少した場合には、耕深を深くするように作業機昇降用油圧シリンダーが作動するので、再び所定の耕深での耕耘作業を行うことができる。なお、該制御ブロック303は、作業者が任意に実行/非実行を選択できるようになっている。
【0045】
また、以上の高負荷対応制御ブロック700における耕耘速度の上限は、ロータリー耕耘作業における所定の耕耘速度に制限されるように制御されている。なお、所定の耕耘速度とは、作業者が耕耘作業開始時に設定する機体の進行速度である。この制御により、第一形態及における高負荷対応制御ブロック700において、耕耘速度が増速した場合においても、ロータリー耕耘作業における所定の耕耘速度までの増速で抑えられるので、耕耘速度が減少に転じる場合においては、減速のショックを極力抑えることができる。
【0046】
こうして、機体が急激に減速することもなく、耕耘速度が安定し、作業者が安心して耕耘作業を行うことができるとともに、急激な減速による駆動系の機器への衝撃を最小限に抑えることができ、故障の防止とともに、メンテナンスの長期化、及び、耐久性を向上させることができる。
【0047】
〔旋回時における制御ブロック〕
次に、旋回時における制御ブロックについて図6及び図9を参照しながら説明する。制御ブロックは、上記PTO軸53により駆動されるロータリー耕耘作業機を駆動しながらの作業中において、枕地等でのロータリー耕耘作業機を引上げての旋回時に、車両速度を維持(増加)しつつ、ロータリー耕耘作業機のロータリーの回転数を減少させる制御である。即ち、図9に示す制御ブロック400のごとく、電子制御式ガバナを備える燃料噴射ポンプを具備するエンジンと、エンジン回転数検出器と、電子制御油圧式無段変速機とを備えるトラクタの速度制御方法において、ステアリングの回転角度検出器による所定旋回角度の検出、又はワンタッチ昇降ボタンの操作によるロータリー耕耘作業機引上げ命令がされると(401)、制御装置90が、エンジン回転数の減少・可動斜板22aを増速側へ調整(変速比の増加)・ロータリー耕耘作業機の引上げ動作の開始を行うことで(402)、旋回動作中においては、車両速度が所定速度に維持される(403)。そして、旋回動作が終了し、制御装置90が、ステアリングの回転角度検出器による所定旋回角度の検出、又はワンタッチ昇降ボタンの操作によるロータリー耕耘作業機引下げ命令がされると(404)、エンジン回転数の設定回転数への復帰・可動斜板22aを減速側へ調整(変速比の減少)・ロータリー耕耘作業機の引下げ動作の開始を行うことで(405)、再び耕耘作業状態に戻る制御が行われる(406)。なお、所定旋回角度とは、例えば、進行方向を反転する場合の180度である。
【0048】
以上の制御を行うことで、旋回場所に差し掛かり、ステアリングの所定角度の回転(旋回角度を検出する)や、ワンタッチ昇降ボタンの上げ命令を行い、旋回動作を開始すると、ロータリー耕耘作業機が引上げられ、エンジン回転数が減少する。これにより、PTO軸53の回転数が減少することになる。該PTO軸53の減少により、PTO軸53と、ロータリー耕耘作業機とを角度変更自在に連結する連結体(ユニバーサルジョイント等)に作用する「ねじりモーメント」が減少し、連結体の破損を防止することができる。また、引上げた際には、ロータリーの回転数が減少しているため、ロータリー爪が低速回転となって、周囲への土等の飛散が抑えられるとともに、高速回転と比較して安全性が向上する。
【0049】
一方で、エンジン回転数の減少に対し、可動斜板22aの増速側への角度変更により、車両速度が増速されるので、旋回時においても、車両速度が減速することなく、素早く旋回動作を終了することができる。なお、該車両速度の増速は、旋回前における所定の車両速度を上限とし、旋回時の機体バランスの安定性や、旋回後の耕耘作業にスムーズに戻れるようにしている。
【0050】
また、旋回動作終了後、ステアリングを直進状態に戻す、又は、ワンタッチ昇降ボタンの下げ命令がされると、ロータリー耕耘作業機が下降して、所定の耕深深さで耕耘される状態となる。そして、所定の耕耘速度となり、再び耕耘作業が行われる。
【0051】
【発明の効果】
本発明は以上のごとく構成したので、次のような効果を奏するのである。
請求項1のごとく、電子制御式ガバナの燃料噴射ポンプを具備したエンジンと、該エンジンの回転数検出器と、電子制御油圧式無段変速機と、該電子制御油圧式無段変速機の後部に組合せた遊星歯車機構を備え、トラクタの中速域〜高速域では、電子制御油圧式無段変速機と遊星歯車機構を組合せて変速する「HMT駆動モード」で変速し、低速域では電子制御油圧式無段変速機のみによる「HST駆動モード」で変速し、変速域に応じて二つの駆動モードを自動切換し、該電子制御油圧式無段変速機の油圧ポンプの可動斜板の角度を、制御装置により電子制御することにより、ロータリー耕耘作業機を駆動するPTO軸の回転を加味しながら耕耘速度制御も行なう、ロータリー耕耘作業機を備えたトラクタの走行制御装置において、電子制御式ガバナによりエンジンのトルクを算出し、エンジン回転数検出器によりエンジン回転数を検出し、制御装置により前記両検出結果と最適燃費ラインとの差異を演算し、両者に差異がある場合は、制御装置が、該差異を無くすように電子制御式ガバナを制御、若しくは、電子制御油圧式無段変速機の制御、あるいは電子制御式ガバナの制御および電子制御油圧式無段変速機の制御を行うので、所定の耕耘速度を維持したままの低燃費運転が行える。
【0052】
また、請求項2に記載のごとく、電子制御式ガバナの燃料噴射ポンプを具備したエンジンと、該エンジンの回転数検出器と、電子制御油圧式無段変速機と、該電子制御油圧式無段変速機の後部に組合せた遊星歯車機構を備え、トラクタの中速域〜高速域では、電子制御油圧式無段変速機と遊星歯車機構を組合せて変速する「HMT駆動モード」で変速し、低速域では電子制御油圧式無段変速機のみによる「HST駆動モード」で変速し、変速域に応じて二つの駆動モードを自動切換し、該電子制御油圧式無段変速機の油圧ポンプの可動斜板の角度を、制御装置により電子制御することにより、ロータリー耕耘作業機を駆動するPTO軸の回転を加味しながら耕耘速度制御も行なう、ロータリー耕耘作業機を備えたトラクタの走行制御装置において、電子制御式ガバナによりエンジン負荷を算出し、エンジン回転数検出器によりエンジン回転数を検出し、制御装置により、エンジン負荷と、前記エンジン回転数である場合の最大トルクとの差異を演算し、エンジン負荷が所定トルクよりも高い場合は、制御装置が電子制御油圧式無段変速機を減速制御し、エンジン負荷が所定トルクよりも低い場合は、制御装置が電子制御油圧式無段変速機を増速制御するので、ロータリー耕耘作業機によるエンジン負荷の増加により、エンジン回転数が減少した場合は、圃場が硬い状態であると見なし、一度減少したエンジン回転数が、エンジン負荷の減少により増加に転じた場合は、圃場が適度に耕耘されやすい状態であると見なして、それぞれの状態に最適な耕耘速度に自動的に変更するように耕耘速度が制御される。
こうして、作業後の圃場にムラができることがなく、耕耘状態が均一である圃場を形成することができる。
また、作業者は、自動的に耕耘速度が変更されるので、圃場の硬軟の状態を気にせずに、また、主変速レバーを操作する必要もなく、楽に作業を行うことができる。
【0053】
また、請求項3に記載のごとく、電子制御式ガバナの燃料噴射ポンプを具備したエンジンと、該エンジンの回転数検出器と、電子制御油圧式無段変速機と、該電子制御油圧式無段変速機の後部に組合せた遊星歯車機構を備え、トラクタの中速域〜高速域では、電子制御油圧式無段変速機と遊星歯車機構を組合せて変速する「HMT駆動モード」で変速し、低速域では電子制御油圧式無段変速機のみによる「HST駆動モード」で変速し、変速域に応じて二つの駆動モードを自動切換し、該電子制御油圧式無段変速機の油圧ポンプの可動斜板の角度を、制御装置により電子制御することにより、ロータリー耕耘作業機を駆動するPTO軸の回転を加味しながら耕耘速度制御も行なう、ロータリー耕耘作業機を備えたトラクタの走行制御装置において、ロータリー耕耘作業機の引上げ動作命令がされると、制御装置が、エンジン回転数を減少させるとともに、エンジン回転数の減少に伴う車両速度の減少を補うように電子制御油圧式無段変速機の変速比を増加させ、旋回動作が終了し、再び耕耘作業に入るべくロータリー耕耘作業機の下げ動作命令がされると、エンジン回転数を設定回転数まで復帰させるとともに、エンジン回転数の増加に伴う車両速度の増加を制限するように、電子制御油圧式無段変速機の変速比を減少させるので、旋回時においても、車両速度が減速することなく、素早く旋回動作を終了することができる。
なお、エンジン回転数が減少しているので、ロータリー耕耘作業機の回転数の減少による安全が図られ、PTO軸とロータリー耕耘作業機との連結体(ユニバーサルジョイント)の破損防止が図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明が適用されるHMT式トランスミッションのスケルトン図である。
【図2】 HSTの側面断面展開図である。
【図3】 ミッション前部の側面断面展開図である。
【図4】 HST斜板制御のための構成を示す説明図である。
【図5】 エンジンの等燃料消費率曲線を示す図である。
【図6】 制御装置の制御フローを説明するフローチャート図である。
【図7】 作業機負荷が高くなった場合の高負荷対応制御ブロックを表すフローチャート図である。
【図8】 耕深制御ブロックを表すフローチャート図である。
【図9】 旋回時における制御ブロックを表すフローチャート図である。
【符号の説明】
501 エンジン回転数の検出のステップ
502 エンジントルクの検出のステップ
503 最適燃費ラインとの差異を検出するステップ
504 電子制御式ガバナによる回転数/トルク制御のステップ
505 HSTによる耕耘速度維持のステップ[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a cultivator speed control device for a tractor including a rotary tiller working machine.
[0002]
[Prior art]
Conventionally, a tractor equipped with an electronically controlled governor and an electronically controlled hydraulic continuously variable transmission (hereinafter referred to as “HST (Hydro Static Transmission)”) is well known. A tractor having an HMT (Hydro Mechanical Transmission) in which a planetary mechanism is combined with HST is also known. Then, the angle of the movable swash plate of the hydraulic pump provided in the hydraulic continuously variable transmission is electronically controlled by a control device, while taking into account the rotation of the PTO shaft for driving the work machine (rotary tillage work machine etc.) The tilling speed control is performed. Further, the engine is provided with an electronically controlled governor, and the engine load and the engine output torque are calculated by the electronically controlled governor. The engine speed is detected by a rotation speed detector based on the rotation of the crankshaft or the like.
[0003]
By the way, the state of the field where the tractor performs rotary tillage work is not uniform in hardness, viscosity, etc. You will pass through a place where you can easily plow. From this, depending on the state of the field, the operator responded by slowing down the tillage speed and carefully plowing the same part. Also, when turning on headlands, etc., consider safety by reducing the rotational speed of the rotary tiller and prevent damage to the joint (universal joint) between the PTO shaft and rotary tiller. From these two points, when turning, the engine speed is reduced to cope with the turning operation.
[0004]
[Problems to be solved by the invention]
However, performing the tilling speed changing operation while confirming the state of the field is a burden on the operator and there is a problem that the operator cannot concentrate on the steering operation. In addition, the two points to be taken into consideration during the turning operation are dealt with by reducing the engine speed, so the tilling speed cannot be increased during the turning operation, and the turning operation takes time. There was a problem that.
[0005]
In addition to the above problems, the fuel efficiency of the engine mounted on the tractor is determined by the engine speed and torque. Therefore, it is desirable to control the engine speed and torque to optimize the fuel efficiency. ing. However, in tilling work with a tractor equipped with a rotary tiller, there is a case where the body is advanced at a constant speed (a constant tilling speed) and it is desired to finish the work within a predetermined time.
[0006]
[Means for Solving the Problems]
The problem to be solved by the present invention is as described above. Next, means for solving the problem will be described.
In
[0007]
According to a second aspect of the present invention, an engine having an electronically controlled governor fuel injection pump, an engine speed detector, an electronically controlled hydraulic continuously variable transmission, and a rear portion of the electronically controlled hydraulic continuously variable transmission Planetary gear mechanism combined with In the middle to high speed range of the tractor, shifting is performed in the “HMT drive mode” in which the speed is changed by combining an electronically controlled hydraulic continuously variable transmission and a planetary gear mechanism, and only in the low speed range is the electronically controlled hydraulic continuously variable transmission. Shifts in the “HST drive mode”, automatically switches between the two drive modes according to the shift range, The angle of the movable swash plate of the hydraulic pump of the electronically controlled hydraulic continuously variable transmission is electronically controlled by a control device, so that the tilling speed control is performed while taking into account the rotation of the PTO shaft that drives the rotary tiller working machine. In a tractor travel control device equipped with a rotary tiller, the engine load is calculated by an electronically controlled governor, the engine speed is detected by an engine speed detector, and the engine load and the engine speed are detected by the control device. When the engine load is higher than the predetermined torque, the control device decelerates the electronically controlled hydraulic continuously variable transmission and the engine load is lower than the predetermined torque. The control device controls the speed increase of the electronically controlled hydraulic continuously variable transmission.
[0008]
According to a third aspect of the present invention, an engine equipped with an electronically controlled governor fuel injection pump, an engine speed detector, an electronically controlled hydraulic continuously variable transmission, and a rear portion of the electronically controlled hydraulic continuously variable transmission Equipped with a planetary gear mechanism combined with In the middle to high speed range of the tractor, shifting is performed in the “HMT drive mode” in which the electronically controlled hydraulic continuously variable transmission and the planetary gear mechanism are combined. In the low speed range, only the electronically controlled hydraulic continuously variable transmission is used. Shift in “HST drive mode”, automatically switch between the two drive modes according to the shift range, The angle of the movable swash plate of the hydraulic pump of the electronically controlled hydraulic continuously variable transmission is electronically controlled by a control device, so that the tilling speed control is performed while taking into account the rotation of the PTO shaft that drives the rotary tiller working machine. In a tractor travel control device equipped with a rotary tiller, when the rotary tiller is pulled up, the controller reduces the engine speed and decreases the vehicle speed as the engine speed decreases. Increase the gear ratio of the electronically controlled hydraulic continuously variable transmission so as to compensate for this, and when the turning operation is finished and the lowering operation command of the rotary tiller is entered to enter the tillage operation again, the engine speed is set. The speed ratio of the electronically controlled hydraulic continuously variable transmission is reduced so as to limit the increase in vehicle speed as the engine speed increases. Than it is.
[0009]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Next, an embodiment of the present invention will be described. FIG. 1 is a skeleton diagram of an HMT transmission to which the present invention is applied, FIG. 2 is a side sectional development view of an HST, and FIG. 3 is a side sectional development view of a front part of a mission.
[0010]
The configuration of the HMT transmission will be described with reference to FIGS. This transmission is applied to a work vehicle, an agricultural tractor in the present embodiment, and includes a
[0011]
[Travel drive system]
First, the traveling drive system will be described. As shown in FIGS. 1 and 2, the
[0012]
A
[0013]
The hydraulic oil discharged by the
[0014]
The configuration of the
[0015]
On the other hand, the boss 3a of the
[0016]
On the other hand, the
[0017]
The
[0018]
On the other hand, a
[0019]
As shown in FIG. 1, a
[0020]
As shown in FIG. 1, two
[0021]
[PTO drive system]
Next, the PTO drive system will be described with reference to FIG. The rear end of the
[0022]
[Drive transmission configuration in each drive mode]
Next, the drive transmission configuration of the travel drive system in each of the HMT / HST drive modes in the transmission having the above configuration will be described.
[0023]
[HMT drive mode]
First, the drive transmission configuration when in the HMT drive mode will be described. In the HMT drive mode, the first
[0024]
Since the pump-
[0025]
In the HMT drive mode, the first
[0026]
[HST drive mode]
Next, the drive transmission configuration when in the HST drive mode will be described. In the HST drive mode, the second
[0027]
Since the
[0028]
In this HST drive mode, the power transmission configuration is such that the output of the
[0029]
[Configuration of HST swash plate control mechanism]
Next, the configuration of the HST swash plate control mechanism will be described. FIG. 4 is an explanatory diagram showing a configuration for controlling the HST swash plate.
[0030]
In this embodiment, as shown in FIGS. 3 and 4, a
[0031]
As shown in FIG. 4, the three
[0032]
The
[0033]
Further, as shown in FIG. 4, a
[0034]
A
[0035]
[Configuration of engine output speed control mechanism]
Next, the configuration of the engine output rotation speed control mechanism will be described. FIG. 4 is an explanatory diagram showing a configuration for engine output speed control. The
[0036]
[Engine output speed control and swash plate angle control]
Next, engine speed control performed by the engine output speed control mechanism and swash plate angle control performed by the HST swash plate control mechanism will be described with reference to FIG. FIG. 5 is a diagram illustrating an equal fuel consumption rate curve of the engine, FIG. 6 is a flowchart illustrating a control flow of the control device, and FIG. 7 is a flowchart illustrating a control block corresponding to a high load when the work equipment load increases. FIG. 8 is a flowchart showing a control block during turning, and FIG. 9 is a flowchart showing a control block during turning.
[0037]
First, the equal fuel consumption rate curve and the control flow will be described with reference to FIGS. The equal fuel consumption rate curve shown in FIG. 5 includes a
[0038]
In the
[0039]
Then, the
[0040]
By constantly performing the above control, when the engine speed and torque approach the optimal
[0041]
[High load control block]
Next, a control block corresponding to a high load when the work machine load becomes high will be described with reference to FIGS. 6, 7, and 8. In this embodiment, control is performed so as to maintain the maximum torque of the engine. Note that the torque may be the torque on the optimum fuel consumption line. The high load handling control block 700 changes the tilling speed (moving speed of the tractor) according to the load by the working machine of the
[0042]
With this control, when the field is hard, it becomes difficult for the rotary tiller to rotate, and when the engine load becomes higher than a predetermined value (maximum torque), the tillage speed is reduced. The movement speed per unit time is slowed down to adjust the amount of soil processed per unit time. Thereby, the hard part of a field can be well cultivated over time. On the other hand, the rotary can be rotated without any problem in a state where the field is easily cultivated moderately, and when the engine load becomes lower than a predetermined value (for example, maximum torque), the cultivating speed is increased. It is possible to increase the moving speed per unit time of the rotary tiller so that only the time necessary for tilling can be spent without unnecessarily spending time. That is, when the engine load by the rotary tiller is high, the field is considered to be in a hard state, and when the engine load is low, the field is considered to be in a state where it is easily cultivated appropriately. It controls to automatically change to the tillage speed.
[0043]
Thus, tilling is performed while maintaining the processing capacity of the rotary tiller in an efficient state, work accuracy and work efficiency can be improved. Moreover, there is no unevenness in the field after the work, and the farming state can form a uniform field. Furthermore, since the tilling speed is automatically changed, the operator can easily perform the work without worrying about the state of softness in the field and without having to operate the
[0044]
Furthermore, by controlling the
[0045]
Moreover, the upper limit of the tilling speed in the above high load corresponding |
[0046]
In this way, the airframe does not decelerate suddenly, the plowing speed is stable, the operator can perform the plowing work with peace of mind, and the impact on the drive system equipment due to sudden deceleration can be minimized. In addition to preventing failure, maintenance can be prolonged and durability can be improved.
[0047]
[Control block during turning]
Next, the control block at the time of turning will be described with reference to FIGS. The control block maintains (increases) the vehicle speed during turning while pulling up the rotary tillage working machine on the headland or the like while the rotary tilling work machine driven by the
[0048]
By performing the above control, the rotary tiller is lifted when the turning position is reached, the steering angle is rotated (detects the turning angle), the one-touch lift button is raised, and the turning operation is started. , Engine speed decreases. Thereby, the rotation speed of the
[0049]
On the other hand, since the vehicle speed is increased by changing the angle of the movable
[0050]
Further, after the turning operation is finished, when the steering is returned to the straight traveling state or when a command for lowering the one-touch raising / lowering button is issued, the rotary tiller is lowered so that the tiller is plowed at a predetermined tilling depth. And it becomes a predetermined tilling speed and tilling work is performed again.
[0051]
【The invention's effect】
Since the present invention is configured as described above, the following effects can be obtained.
An engine equipped with an electronically controlled governor fuel injection pump, an engine speed detector, an electronically controlled hydraulic continuously variable transmission, and a rear portion of the electronically controlled hydraulic continuously variable transmission Equipped with a planetary gear mechanism combined with In the middle to high speed range of the tractor, shifting is performed in the “HMT drive mode” in which the electronically controlled hydraulic continuously variable transmission and the planetary gear mechanism are combined. In the low speed range, only the electronically controlled hydraulic continuously variable transmission is used. Shift in “HST drive mode”, automatically switch between the two drive modes according to the shift range, The angle of the movable swash plate of the hydraulic pump of the electronically controlled hydraulic continuously variable transmission is electronically controlled by a control device, so that the tilling speed control is performed while taking into account the rotation of the PTO shaft that drives the rotary tiller working machine. In a tractor travel control device equipped with a rotary tiller, the engine torque is calculated by an electronically controlled governor, the engine speed is detected by an engine speed detector, and both detection results and the optimum fuel consumption line are detected by a control device. If there is a difference between the two, the control device controls the electronically controlled governor so as to eliminate the difference, the control of the electronically controlled hydraulic continuously variable transmission, or the electronically controlled governor. Since this control and the control of the electronically controlled hydraulic continuously variable transmission are performed, a low fuel consumption operation can be performed while maintaining a predetermined tillage speed.
[0052]
According to a second aspect of the present invention, an engine equipped with a fuel injection pump for an electronically controlled governor, an engine speed detector, an electronically controlled hydraulic continuously variable transmission, and the electronically controlled hydraulic continuously variable Equipped with a planetary gear mechanism combined with the rear of the transmission, In the middle to high speed range of the tractor, shifting is performed in the “HMT drive mode” in which the electronically controlled hydraulic continuously variable transmission and the planetary gear mechanism are combined. In the low speed range, only the electronically controlled hydraulic continuously variable transmission is used. Shift in “HST drive mode”, automatically switch between the two drive modes according to the shift range, The angle of the movable swash plate of the hydraulic pump of the electronically controlled hydraulic continuously variable transmission is electronically controlled by a control device, so that the cultivation speed control is performed while taking into account the rotation of the PTO shaft that drives the rotary tilling work machine In a tractor travel control device equipped with a rotary tiller, the engine load is calculated by an electronically controlled governor, the engine speed is detected by an engine speed detector, and the engine load and the engine speed are detected by the control device. When the engine load is higher than the predetermined torque, the control device decelerates the electronically controlled hydraulic continuously variable transmission and the engine load is lower than the predetermined torque. Because the control device controls the speed increase of the electronically controlled hydraulic continuously variable transmission, the engine load increases due to the rotary tiller. If the number of turns decreases, the field is considered to be in a hard state. The tilling speed is controlled to automatically change to the optimum tilling speed for each state.
In this way, the field after work does not become uneven, and a field with a uniform tillage state can be formed.
In addition, since the tilling speed is automatically changed, the operator can easily perform the work without having to worry about the state of softness of the field and the need to operate the main shift lever.
[0053]
According to a third aspect of the present invention, an engine equipped with a fuel injection pump for an electronically controlled governor, an engine speed detector, an electronically controlled hydraulic continuously variable transmission, and the electronically controlled hydraulic continuously variable A planetary gear mechanism combined with the rear of the transmission In the middle to high speed range of the tractor, shifting is performed in the “HMT drive mode” in which the speed is changed by combining an electronically controlled hydraulic continuously variable transmission and a planetary gear mechanism, and only in the low speed range is the electronically controlled hydraulic continuously variable transmission. Shifts in the “HST drive mode”, automatically switches between the two drive modes according to the shift range, The angle of the movable swash plate of the hydraulic pump of the electronically controlled hydraulic continuously variable transmission is electronically controlled by a control device, so that the tilling speed control is performed while taking into account the rotation of the PTO shaft that drives the rotary tiller working machine. In a tractor travel control device equipped with a rotary tiller, when the rotary tiller is pulled up, the controller reduces the engine speed and decreases the vehicle speed as the engine speed decreases. Increase the gear ratio of the electronically controlled hydraulic continuously variable transmission so as to compensate for this, and when the turning operation is finished and the lowering operation command of the rotary tiller is entered to enter the tillage operation again, the engine speed is set. The speed ratio of the electronically controlled hydraulic continuously variable transmission is reduced so as to limit the increase in vehicle speed as the engine speed increases. In, even during turning, without the vehicle speed is decelerated, it is possible to terminate quickly turning operation.
In addition, since the engine speed is decreasing, safety is achieved by reducing the rotational speed of the rotary tiller, and the connection body (universal joint) between the PTO shaft and the rotary tiller is prevented from being damaged.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a skeleton diagram of an HMT transmission to which the present invention is applied.
FIG. 2 is a developed side sectional view of the HST.
FIG. 3 is a developed side sectional view of the front part of the mission.
FIG. 4 is an explanatory diagram showing a configuration for HST swash plate control.
FIG. 5 is a diagram showing an equal fuel consumption rate curve of an engine.
FIG. 6 is a flowchart illustrating a control flow of the control device.
FIG. 7 is a flowchart showing a high load handling control block when the work machine load becomes high.
FIG. 8 is a flowchart showing a tilling depth control block.
FIG. 9 is a flowchart showing a control block during turning.
[Explanation of symbols]
501 Step of detecting engine speed
502 Step of detecting engine torque
503 Step for detecting a difference from the optimum fuel consumption line
504 Speed / torque control step by electronically controlled governor
505 Step of maintaining tillage speed by HST
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