JP4024637B2 - Production method of carboxylic acid using manganese catalyst - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、香料、塗料添加剤、樹脂改質用添加剤、医薬、農薬その他の精密化学品又はこれらの原料等として有用なカルボン酸の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ケトンなどの電子吸引基を有する化合物の該電子吸引基のα位にラジカルを発生させ、これをオレフィン類などに付加させて、対応する付加化合物を得る方法は広く知られており、古くからMn(III)塩などの金属酸化剤が反応に用いられている。しかし、これらの方法では金属酸化剤が自ら還元されて付加反応が進行するため、多量の金属酸化剤を用いる必要があり、反応後の重金属塩等の処理に多大な労力と費用とを要する。また、このような量論量の金属酸化剤を用いる方法では反応の選択性が低く、対応する付加体を収率よく得ることが困難である。例えば、化学量論量以上の三価のMn塩を用いるカルボン酸(無水物を含む)とアルケンの反応では、生成する炭素ラジカルが過剰に存在するMn塩によりさらに一電子酸化を受け、カルボカチオンを生成するために、炭素鎖が伸長したカルボン酸は得られず、γ−ブチロラクトンが主生成物となる。
【0003】
【非特許文献1】
ジャーナル オブ アメリカン ケミカル ソサイアティ(J. Am. Chem. Soc.)1968年、第90巻、第5905頁
【非特許文献2】
ジャーナル オブ アメリカン ケミカル ソサイアティ(J. Am. Chem. Soc.)1971年、第93巻、第524頁
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、触媒的なラジカル付加反応により、アシルオキシカルボニル基のα位にアルキル基又はアルケニル基が結合したものに対応するカルボン酸を効率よく得る方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、アシルオキシカルボニル基含有化合物と炭素−炭素不飽和結合を有する化合物とから、前記アシルオキシカルボニル基含有化合物のアシルオキシカルボニル基のα位にアルキル基又はアルケニル基が結合したものに対応するカルボン酸を高い選択率で製造できる方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討した結果、周期表5〜9族元素化合物と酸素とを組み合わせると、酸素が酸化剤としてまた周期表5〜9族元素化合物が触媒として機能し、カルボン酸無水物と炭素−炭素不飽和結合を有する化合物(オレフィン類又はアセチレン類)とから対応する付加体によるカルボン酸が効率よく生成することを見出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、下記式(1)
【化4】

Figure 0004024637
(式中、Raは水素原子又は有機基を示し、Rb、Rcは、それぞれ水素原子又は有機基を示す。Ra、Rb、Rcは、それぞれ互いに結合して、隣接する炭素原子、又は炭素−炭素−酸素−炭素結合とともに環を形成してもよい)
で表されるアシルオキシカルボニル基含有化合物と、下記式(2a)又は(2b)
【化5】
Figure 0004024637
(式中、Rd、Re、Rf、Rg、Rh、Riは、それぞれ水素原子又は有機基を示す。Rd、Re、Rf、Rgは、それぞれ互いに結合して、隣接する1又は2個の炭素原子とともに環を形成してもよい。Rh、Riは、互いに結合して、隣接する2個の炭素原子とともに環を形成してもよい)
で表される炭素−炭素不飽和結合を有する化合物とを、マンガン化合物及び/又はコバルト化合物触媒及び酸素の存在下で反応させて、下記式(3a)又は(3b)
【化6】
Figure 0004024637
(式中、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg、Rh、Riは前記に同じ)
で表されるカルボン酸を生成させるか又は、式(2a)又は(2b)で表される化合物として分子内に炭素−炭素不飽和結合を複数個有する環状オレフィンを用いる場合において、一部の炭素−炭素不飽和結合にアシルオキシカルボニル基含有化合物がアシルオキシカルボニル基のα位において付加した後、残りの炭素−炭素不飽和結合によって分子内環化反応が進行し且つ前記アシルオキシカルボニル基がカルボキシル基に変換されて生成する対応するカルボキシル基を有する環化生成物を得るカルボン酸の製造法を提供する。
【0007】
本発明では、式(2a)又は(2b)で表される炭素−炭素不飽和結合を有する化合物として分子内に炭素−炭素不飽和結合を複数個有する化合物を用い、カルボキシル基を複数個有する対応するポリカルボン酸を生成させてもよい。また、溶媒としてプロトン性溶媒を用いることができる。
【0008】
なお、前記式(3b)で表されるカルボン酸には、炭素−炭素二重結合を有しているので、幾何異性体が存在する。そのため、本発明では、式で表される化合物に幾何異性体が存在する場合には、その式で表される化合物には幾何異性体も含まれるものとする。具体的には、例えば、前記式(3b)で表されるカルボン酸には、該式(3b)で表されるカルボン酸の幾何異性体であるZ体やE体も含まれる。
【0009】
【発明の実施の形態】
[アシルオキシカルボニル基含有化合物]
本発明において原料として用いられる式(1)で表されるアシルオキシカルボニル基含有化合物には、分子内に酸無水物基(アシルオキシカルボニル基)を有する鎖状又は環状の広範なアシルオキシカルボニル基含有化合物(例えば、カルボン酸無水物など)が含まれる。
【0010】
式(1)中、Raにおける有機基としては、炭化水素基、複素環式基を好適に用いることができる。Raの有機基における炭化水素基には、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基が含まれる。脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、アリル基などの炭素数1〜20(好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜6)程度の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基(アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基)などが挙げられる。
【0011】
脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロオクチル、シクロデシル、シクロドデシル基などの炭素数3〜20(好ましくは炭素数3〜15)程度の脂環式炭化水素基(シクロアルキル基、シクロアルケニル基等)などが挙げられる。
【0012】
芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル、ナフチル基などの炭素数6〜20程度の芳香族炭化水素基などが挙げられる。
【0013】
これらの炭化水素基は、種々の置換基、例えば、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子)、オキソ基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシメチル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、保護基で保護されていてもよいカルボキシル基、置換オキシカルボニル基、置換又は無置換カルバモイル基、ニトロ基、アシル基、シアノ基、アルキル基(例えば、メチル、エチル基などのC1-4アルキル基など)、シクロアルキル基、アリール基(例えば、フェニル、ナフチル基など)、複素環式基などを有していてもよい。前記保護基としては、有機合成の分野で慣用の保護基を使用できる。
【0014】
aの有機基における複素環式基を構成する複素環には、芳香族性複素環及び非芳香族性複素環が含まれる。このような複素環としては、例えば、ヘテロ原子として酸素原子を含む複素環(例えば、フラン、テトラヒドロフラン、オキサゾール、イソオキサゾールなどの5員環、4−オキソ−4H−ピラン、テトラヒドロピラン、モルホリンなどの6員環、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、4−オキソ−4H−クロメン、クロマン、イソクロマンなどの縮合環など)、ヘテロ原子としてイオウ原子を含む複素環(例えば、チオフェン、チアゾール、イソチアゾール、チアジアゾールなどの5員環、4−オキソ−4H−チオピランなどの6員環、ベンゾチオフェンなどの縮合環など)、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環(例えば、ピロール、ピロリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾールなどの5員環、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピペリジン、ピペラジンなどの6員環、インドール、インドリン、キノリン、アクリジン、ナフチリジン、キナゾリン、プリンなどの縮合環など)などが挙げられる。これらの複素環式基は、置換基(例えば、前記炭化水素基が有していてもよい置換基と同様の基)を有していてもよい。
【0015】
好ましいRaとしては、炭化水素基[例えば、C1-10脂肪族炭化水素基(メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル基などのC1-10アルキル基)、脂環式炭化水素基(例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル基などのC3-15シクロアルキル基又はシクロアルケニル基等)、C6-14アリール基]が挙げられる。
【0016】
b、Rcにおける有機基としては、反応を損なわないような基であればよく、例えば、炭化水素基、複素環式基、ヒドロキシル基、メルカプト基、アルコキシ基、ハロゲン原子、N−置換又は無置換アミノ基、アシル基及び該アシル基におけるカルボニル基保護体、置換オキシカルボニル基、カルボキシル基、置換又は無置換カルバモイル基、シアノ基、置換又は無置換イミノアルキル基、ニトロ基、硫黄酸基、硫黄酸エステル基、ハロアルキル基などが例示できる。ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基などは慣用の保護基で保護されていてもよい。
【0017】
前記Rb、Rcにおける炭化水素基には、前記Raにおける炭化水素基と同様の炭化水素基(脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基)が含まれる。これらのRb、Rcにおける炭化水素基は、種々の置換基(例えば、前記Raにおける炭化水素基が有していてもよい置換基と同様の基)を有していてもよい。
【0018】
b、Rcにおける複素環式基を構成する複素環には、前記Raにおける複素環式基を構成する複素環と同様の複素環(芳香族性複素環及び非芳香族性複素環)が含まれる。これらのRb、Rcにおける複素環式基は、置換基(例えば、前記Raにおける炭化水素基が有していてもよい置換基と同様の基)を有していてもよい。
【0019】
b、Rcにおけるアルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ基などの炭素数1〜6程度のアルコキシ基などが挙げられる。また、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素原子が挙げられる。N−置換アミノ基には、例えば、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、ピペリジノ基などが含まれる。
【0020】
さらにまた、アシル基及び該アシル基におけるカルボニル基保護体の代表的な例としては、例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、(メタ)アクリロイル、シクロペンタンカルボニル、シクロヘキサンカルボニル、ベンゾイル、ナフトイル、ピリジルカルボニル基などの脂肪族、脂環式、芳香族又は複素環式アシル基及びこれらのカルボニル基保護体が挙げられる。置換オキシカルボニル基には、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ビニルオキシカルボニル、シクロペンチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、フェノキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、ピリジルオキシカルボニル基などが含まれる。置換又は無置換カルバモイル基としては、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、1−ピロリジニルカルボニル、ピペリジノカルボニル等を例示できる。硫黄酸基には、例えば、スルホン酸基、スルフィン酸基などが含まれ、硫黄酸エステル基(スルホン酸エステル基、スルフィン酸エステル基)としては、例えば、スルホン酸メチル、スルホン酸エチル、スルフィン酸メチル、スルフィン酸エチル基などが挙げられる。ハロアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基などが挙げられる。なお、アシル基の保護体としては、カルボニル基が慣用の保護基で保護された形態(例えば、ジメチルアセタール、ジエチルアセタール、1,3−ジオキサン、1,3−ジオキソラン等のアセタール体;S,S´−ジメチルジチオアセタールなどのジチオアセタール体など)が挙げられる。
【0021】
前記Ra、Rb、Rcはそれぞれ互いに結合して隣接する炭素原子、又は炭素−炭素−酸素−炭素結合とともに環を形成してもよい。RbとRcとが互いに結合して隣接する炭素原子とともに形成する環としては、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロオクタン、シクロデカン、シクロドデカン環、デカリン環、アダマンタン環などの3〜20員(好ましくは3〜15員、さらに好ましくは5〜15員、特に5〜10員)程度の非芳香族性炭素環(シクロアルカン環、シクロアルケン環、橋かけ炭素環)などが挙げられる。これらの環は、置換基(例えば、前記Raにおける炭化水素基が有していてもよい置換基と同様の基)を有していてもよく、また他の環(非芳香族性環又は芳香族性環)が縮合していてもよい。
【0022】
aとRb又はRcとが互いに結合して炭素−炭素−酸素−炭素結合とともに形成する環としては、例えば、酸無水物基におけるカルボニル基以外の炭素原子数が2以上(例えば、2〜20、好ましくは2〜10)の分子内環状酸無水物基を有する環が挙げられる。前記分子内環状酸無水物基を有する環を構成している隣接する炭素原子同士は不飽和結合により結合されていてもよい。また、前記分子内環状酸無水物基を有する環は、該環を構成している隣接していない炭素原子同士が結合して、橋かけ環の形態を有していてもよい。これらの環は、置換基(例えば、前記Raにおける炭化水素基が有していてもよい置換基と同様の基)を有していてもよく、また他の環(非芳香族性環又は芳香族性環)が縮合していてもよい。
【0023】
好ましいRb、Rcには、水素原子、C1-10脂肪族炭化水素基(メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル基など;特にC1-10アルキル基)、脂環式炭化水素基(例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル基などのC3-15シクロアルキル基又はシクロアルケニル基等)、C6-14アリール基などが含まれる。また、Rb、Rcが互いに結合して隣接する炭素原子とともに3〜15員(特に5〜8員)程度の非芳香族性炭素環を形成するのも好ましい。
【0024】
前記式(1)で表されるアシルオキシカルボニル基含有化合物(カルボン酸無水物など)において、鎖状のアシルオキシカルボニル基含有化合物としては、1種又は2種以上の1価又は多価カルボン酸における分子間の脱水反応による鎖状の対称又は非対称のカルボン酸無水物などが挙げられる。具体的には、前記鎖状の対称のカルボン酸無水物の代表的な例としては、例えば、無水ギ酸、無水酢酸、プロピオン酸無水物、酪酸無水物、イソ酪酸無水物、ペンタン酸無水物、3−メチルブタン酸無水物、ヘキサン酸無水物、ヘプタン酸無水物、オクタン酸無水物、ノナン酸無水物、デカン酸無水物、ウンデカン酸無水物、ドデカン酸無水物、トリデカン酸無水物、テトラデカン酸無水物、ペンタデカン酸無水物、ヘキサデカン酸無水物、ヘプタデカン酸無水物、オクタデカン酸無水物、ノナデカン酸無水物などの飽和脂肪族1価カルボン酸の無水物;5−ヘキセン酸無水物、オレイン酸無水物などの不飽和脂肪族1価カルボン酸の無水物;シクロヘキサンカルボン酸無水物などの飽和又は不飽和非芳香族性環状1価カルボン酸の無水物;分子内に複数のカルボキシル基を有する多価カルボン酸(例えば、マロン酸、ピメリン酸、シクロヘキサンジカルボン酸など)の分子間の脱水反応による鎖状のカルボン酸無水物などが挙げられる。
【0025】
また、前記鎖状の非対称のカルボン酸無水物の代表的な例としては、例えば、飽和脂肪族1価カルボン酸[例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、ペンタン酸、3−メチルブタン酸、ヘキサン酸、2,2−ジメチルプロピオン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、ノナデカン酸など]、不飽和脂肪族1価カルボン酸[例えば、アクリル酸、メタクリル酸、プロピオル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、5−ヘキセン酸、オレイン酸など]、飽和又は不飽和非芳香族性環状1価カルボン酸[例えば、シクロヘキサンカルボン酸など]、芳香族1価カルボン酸[例えば、安息香酸、1−ナフタレンカルボン酸、2−ナフタレンカルボン酸など]などの1価カルボン酸や、多価カルボン酸(例えば、テレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、マロン酸、ピメリン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などのジカルボン酸)から選択された2種以上の1価又は多価カルボン酸における分子間の脱水反応による無水物などが挙げられる。
【0026】
一方、前記式(1)で表されるアシルオキシカルボニル基含有化合物において、環状のアシルオキシカルボニル基含有化合物としては、多価カルボン酸における分子内の脱水反応による環状のカルボン酸無水物などが挙げられる。該環状のカルボン酸無水物の代表的な例としては、例えば、ブタン二酸無水物(無水コハク酸)、ペンタン二酸無水物、ヘキサン二酸無水物(無水アジピン酸)、ヘプタン二酸無水物、オクタン二酸無水物、ノナン二酸無水物、デカン二酸無水物、ウンデカン二酸無水物、ドデカン二酸無水物、トリデカン二酸無水物、テトラデカン二酸無水物、ペンタデカン二酸無水物、ヘキサデカン二酸無水物、ヘプタデカン二酸無水物、オクタデカン二酸無水物、ノナデカン二酸無水物などの飽和脂肪族多価カルボン酸無水物;イタコン酸無水物などの不飽和脂肪族多価カルボン酸無水物;テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸(1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物)、1,2,3,4−シクロヘキサンテトラカルボン酸1,2−無水物、メチルシクロヘキセントリカルボン酸無水物などの飽和又は不飽和非芳香族性環状多価カルボン酸無水物(脂環式多価カルボン酸無水物)や、無水ヘット酸、無水ハイミック酸などの橋かけ環式多価カルボン酸無水物(脂環式多価カルボン酸無水物)などが挙げられる。
【0027】
もちろん、これらのカルボン酸無水物を構成する炭素原子には、置換基(アルキル基、アリール基などの炭化水素基や複素環基などの前記Raにおける炭化水素基が有していてもよい置換基として例示した基など)を有していてもよい。
【0028】
これらの中でも、アシルオキシカルボニル基含有化合物としては、鎖状のカルボン酸無水物(特に、対称の鎖状カルボン酸無水物)が好ましい。
【0029】
[炭素−炭素不飽和結合を有する化合物]
炭素−炭素不飽和結合を有する化合物には、前記式(2a)で表されるオレフィン類及び前記式(2b)で表されるアセチレン類が含まれる。前記式(2a)で表されるオレフィン類及び前記式(2b)で表されるアセチレン類において、Rd、Re、Rf、Rg、Rh、Riにおける有機基としては、前記Rb、Rcにおける有機基と同様のものが挙げられる。
【0030】
d、Re、Rf、Rgはそれぞれ互いに結合して隣接する1又は2個の炭素原子とともに環を形成してもよい。このような環としては、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、シクロオクタン、シクロオクテン、シクロドデカン、ノルボルネン、ノルボルナジエン環などの3〜20員程度の脂環式炭素環(シクロアルカン環、シクロアルケン環、シクロアルカジエン環、橋かけ炭素環等)などが挙げられる。これらの環は置換基を有していてもよく、また他の環(非芳香族性環又は芳香族性環)が縮合していてもよい。
【0031】
h、Riは互いに結合して隣接する2個の炭素原子とともに環を形成してもよい。この環は置換基を有していてもよく、また他の環(非芳香族性環又は芳香族性環)が縮合していてもよい。
【0032】
好ましいRd、Re、Rf、Rg、Rh、Riには、水素原子、炭化水素基[例えば、C1-20脂肪族炭化水素基(特にC1-10脂肪族炭化水素基など)、C6-20アリール基(フェニル基、ナフチル基など)、シクロアルキル基(3〜8員程度のシクロアルキル基など)、ハロアルキル基(例えば、トリフルオロメチル基などのC1-6ハロアルキル基、特にC1-4ハロアルキル基)など]、複素環式基、置換オキシカルボニル基(例えば、C1-6アルコキシ−カルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基など)、カルボキシル基、置換又は無置換カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、硫黄酸基、硫黄酸エステル基、アシル基などが含まれる。
【0033】
式(2a)で表されるオレフィン類としては、α−オレフィン及び内部オレフィンの何れであってもよい。また、オレフィン類にはジエンなど炭素−炭素二重結合を複数個有するオレフィン類も含まれる。オレフィン類の代表的な例として、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、3−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、2−オクテン、3−オクテン、4−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、1,3−ブタジエン、1,4−ペンタジエン、3,3,−ジメチル−1,4−ペンタジエン、2−メチル−1,4−ペンタジエン、3−メチル−1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、2,5−ジメチル−1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン、1,13−テトラデカジエン、1,5,9−デカトリエン、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、1−プロペニルベンゼン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、3−ビニルピリジン、3−ビニルフラン、3−ビニルチオフェン、3−ビニルキノリン等の鎖状オレフィン類(アルケン類、アルカジエン類、アルカトリエン類等);シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、シクロデセン、シクロドデセン、ノルボルネン、1,4−シクロヘキサジエン、メチルシクロヘキサジエン、テルピネン、トリビニルシクロヘキサン、ビニルシクロヘキセン、ジペンテン、リモネン、2,5−ノルボルナジエン、ビニルノルボルネン、1,5−シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエンなどの環状オレフィン類(シクロアルケン類、シクロアルカジエン類、シクロアルカトリエン類、炭素−炭素二重結合を有する橋かけ環式炭化水素類等)などが挙げられる。これらのオレフィン類は置換基(官能基)を有していてもよい。置換基(官能基)を有するオレフィン類として、例えば、1,5−ヘキサジエン−3−オール、1,6−ヘプタジエン−4−オールなどのヒドロキシル基を有するオレフィン類;エチレングリコールジアリルエーテル、ジエチレングリコールジアリルエーテル、トリエチレングリコールジアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、アリルスルフィド、アリルジスルフィド、アリルエーテルなどのエーテル結合、スルフィド結合又はジスルフィド結合を有するオレフィン類などが挙げられる。
【0034】
式(2b)で表されるアセチレン類には、ジインなど炭素−炭素三重結合を複数個有するアセチレン類も含まれる。アセチレン類の代表的な例として、アセチレン、1−プロピン、1−ブチン、2−ブチン、1−ペンチン、1−ヘキシン、1−ヘプチン、1−オクチン、フェニルアセチレンなどが挙げられる。これらのアセチレン類は置換基(官能基)を有していてもよい。
【0035】
[周期表5〜9族元素化合物触媒]
本発明では周期表5〜9族元素化合物を触媒として用いる。周期表5〜9族元素には、バナジウムV、ニオブNb、タンタルTa等の5族元素;クロムCr、モリブデンMo、タングステンW等の6族元素;マンガンMn、テクネチウムTc、レニウムRe等の7族元素;鉄Fe、ルテニウムRu、オスミウムOs等の8族元素;コバルトCo、ロジウムRh、イリジウムIr等の9族元素が含まれる。これらの中でも、マンガンMn等の7族元素が好ましい。また、好ましい元素には第4周期の金属元素(バナジウムV、クロムCr、マンガンMn、鉄Fe、コバルトCo)が含まれる。また、触媒としては1電子酸化において活性を示す金属元素化合物が好ましい。
【0036】
周期表5〜9族元素化合物としては、前記金属元素の単体、水酸化物、酸化物(複合酸化物を含む)、ハロゲン化物(フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物)、オキソ酸塩(例えば、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、炭酸塩など)、オキソ酸、イソポリ酸、ヘテロポリ酸などの無機化合物;有機酸塩(例えば、酢酸塩、プロピオン酸塩、青酸塩、ナフテン酸塩、ステアリン酸塩など)、錯体などの有機化合物が挙げられる。前記錯体を構成する配位子としては、OH(ヒドロキソ)、アルコキシ(メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなど)、アシル(アセチル、プロピオニルなど)、アルコキシカルボニル(メトキシカルボニル、エトキシカルボニルなど)、アセチルアセトナト、シクロペンタジエニル基、ハロゲン原子(塩素、臭素など)、CO、CN、酸素原子、H2O(アコ)、ホスフィン(トリフェニルホスフィンなどのトリアリールホスフィンなど)のリン化合物、NH3(アンミン)、NO、NO2(ニトロ)、NO3(ニトラト)、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ピリジン、フェナントロリンなどの窒素含有化合物などが挙げられる。
【0037】
周期表5〜9族元素化合物の具体例としては、例えば、マンガン化合物を例にとると、水酸化マンガン、酸化マンガン、塩化マンガンや臭化マンガンなどのハロゲン化マンガン、硝酸マンガン、硫酸マンガン、リン酸マンガン、炭酸マンガン、マンガン酸塩、過マンガン酸塩、マンガンモリブデン酸等のマンガンを含むヘテロポリ酸又はその塩などの無機化合物;ギ酸マンガン、酢酸マンガン、プロピオン酸マンガン、ナフテン酸マンガン、ステアリン酸マンガン、チオシアン酸マンガンなどの有機酸塩やマンガンアセチルアセトナトなどの錯体等の有機化合物が例示される。マンガンの価数は2価又は3価の何れであってもよい。中でも、酢酸マンガンなどの有機酸塩やマンガンアセチルアセトナトなどの錯体等の有機マンガン化合物が好ましい。
【0038】
コバルト化合物の代表的な例としては、例えば、水酸化コバルト、酸化コバルト、塩化コバルトや臭化コバルトなどのハロゲン化コバルト、硝酸コバルト、硫酸コバルト、リン酸コバルト、コバルトモリブデン酸等のコバルトを含むヘテロポリ酸又はその塩などの無機化合物;ギ酸コバルト、酢酸コバルト、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸コバルトなどの有機酸塩やコバルトアセチルアセトナトなどの錯体等の有機化合物が例示される。コバルトの価数は2価又は3価の何れであってもよい。これらの中でも、酢酸コバルトなどの有機酸塩やコバルトアセチルアセトナトなどの錯体等の有機コバルト化合物が好ましい。
【0039】
また、バナジウム化合物の例としては、水酸化バナジウム、酸化バナジウム、塩化バナジウム、塩化バナジル、硫酸バナジウム、硫酸バナジル、バナジン酸ナトリウムなどの無機化合物;バナジウムアセチルアセトナト、バナジルアセチルアセトナトなどの錯体等の2〜5価のバナジウム化合物などが挙げられる。
【0040】
さらに、モリブデン化合物の例としては、水酸化モリブデン、酸化モリブデン、塩化モリブデン、臭化モリブデン、硫化モリブデン、モリブデン酸又はその塩、リンモリブデン酸又はその塩、ケイモリブデン酸又はその塩などの無機化合物;モリブデンカルボニル、ビス(アセチルアセトナト)ジオキソモリブデン、クロロトリカルボニル(η−シクロペンタジエニル)モリブデン、ジブロモビス(η−シクロペンタジエニル)モリブデンなどの錯体等の0〜6価のモリブデン化合物などが挙げられる。他の金属元素の化合物としては、前記マンガン、バナジウム又はモリブデン化合物に対応する化合物などが例示される。周期表5〜9族元素の原子価は特に制限されないが、0〜6価程度である場合が多い。
【0041】
周期表5〜9族元素化合物は単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。周期表5〜9族元素化合物のうち元素の異なる2種以上の化合物を組み合わせて用いると、反応速度や反応の選択性が向上する場合がある。このような組み合わせとして、例えば、マンガン化合物とコバルト化合物との組み合わせが挙げられる。
【0042】
周期表5〜9族元素化合物触媒の使用量は、式(1)で表されるアシルオキシカルボニル基含有化合物及び炭素−炭素不飽和結合を有する化合物[式(2a)で表されるオレフィン類又は式(2b)で表されるアセチレン類]のうち少量用いる方の化合物1モルに対して、例えば0.0001〜0.2モル、好ましくは0.0002〜0.1モル、さらに好ましくは0.0005〜0.05モル程度である。
【0043】
なお、マンガン化合物とコバルト化合物とを組み合わせて用いる場合、マンガン化合物の使用量は、式(1)で表されるアシルオキシカルボニル基含有化合物及び炭素−炭素不飽和結合を有する化合物[式(2a)で表されるオレフィン類又は式(2b)で表されるアセチレン類]のうち少量用いる方の化合物1モルに対して、例えば0.0001〜0.2モル、好ましくは0.0002〜0.1モル、さらに好ましくは0.0005〜0.05モル程度であり、コバルト化合物の使用量は、式(1)で表されるアシルオキシカルボニル基含有化合物及び炭素−炭素不飽和結合を有する化合物[式(2a)で表されるオレフィン類又は式(2b)で表されるアセチレン類]のうち少量用いる方の化合物1モルに対して、例えば0.00005〜0.2モル、好ましくは0.0001〜0.1モル、さらに好ましくは0.0002〜0.05モル程度である。また、マンガン化合物とコバルト化合物とを組み合わせて用いる場合、その比率は、通常、前者/後者(モル比)=1/99〜99/1、好ましくは5/95〜98/2、さらに好ましくは20/80〜95/5、特に40/60〜95/5程度である。
【0044】
本発明では、反応速度や反応の選択性を向上させるため、周期表5〜9族元素化合物と他の金属元素化合物(例えば、セリウム、チタン、ジルコニウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、亜鉛などの遷移金属化合物等)とを組み合わせて用いることもできる。
【0045】
また、系内に、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)などの重合開始剤、ラジカル発生剤やラジカル反応促進剤[ハロゲン(塩素、臭素など)、過酸、過酸化物など]などを存在させてもよい。このような成分を系内に存在させると、反応が促進される場合がある。また、光を照射したり、超音波を与えることにより反応速度が向上する場合がある。
【0046】
[酸素]
酸素は発生期の酸素であってもよいが、通常は分子状酸素が用いられる。分子状酸素としては、特に制限されず、純粋な酸素を用いてもよく、また、操作性や安全性を高めるため、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素などの不活性ガスで希釈した酸素(空気など)を使用してもよい。なお、基質の種類や他の条件によっても異なるが、純粋な酸素を用いるよりも酸素と不活性ガス(窒素など)との混合ガスを用いた場合の方が目的化合物の収率が高くなることがある。前記混合ガスにおける酸素と不活性ガスとの比率は、例えば、前者/後者(モル比)=1/99〜95/5、好ましくは3/97〜90/10、さらに好ましくは5/95〜80/20程度である。
【0047】
酸素の使用量は、基質の種類に応じて適宜選択できるが、通常、式(1)で表されるアシルオキシカルボニル基含有化合物及び炭素−炭素不飽和結合を有する化合物[式(2a)で表されるオレフィン類又は式(2b)で表されるアセチレン類]のうち少量用いる方の化合物1モルに対して、0.5モル以上(例えば、1モル以上)、好ましくは1〜100モル、さらに好ましくは2〜50モル程度である。基質に対して過剰モルの酸素を使用する場合が多い。
【0048】
[反応]
反応は溶媒の存在下又は非存在下で行われる。前記溶媒としては、例えば、酢酸、プロピオン酸などの有機酸;ベンゾニトリルなどのニトリル類;ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミドなどのアミド類;ヘキサン、オクタンなどの脂肪族炭化水素;クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素;ニトロベンゼンなどのニトロ化合物;これらの混合溶媒などが挙げられる。なお、基質(反応原料)を溶媒として用いることもできる。
【0049】
溶媒としては、酢酸などの有機酸類などのプロトン性溶媒を好適に用いることができる。プロトン性溶媒を用いることにより、容易に(ワンステップで)対応するカルボン酸を調製することができる。
【0050】
前記式(1)で表されるアシルオキシカルボニル基含有化合物(カルボン酸無水物など)と前記炭素−炭素不飽和結合を有する化合物[式(2a)で表されるオレフィン類又は式(2b)で表されるアセチレン類]との比率は、両化合物の種類や組み合わせなどにより適宜選択できるが、反応性の点から、前者/後者(モル比)=0.8〜300程度、好ましくは1.5〜200程度、さらに好ましくは2〜150程度である。
【0051】
反応温度は、前記アシルオキシカルボニル基含有化合物(カルボン酸無水物など)及び前記炭素−炭素不飽和結合を有する化合物(オレフィン類、アセチレン類)の種類などに応じて適当に選択でき、例えば、0〜200℃、好ましくは30〜130℃程度である。反応は、常圧または加圧下で行うことができ、加圧下で反応させる場合には、通常、1〜100atm(0.101〜10.1MPa)程度、好ましくは、1.5〜80atm(0.152〜8.08MPa)程度である。反応時間は、反応温度及び圧力に応じて、例えば、30分〜48時間程度の範囲から適当に選択できる。反応は、酸素の存在下又は酸素の流通下、回分式、半回分式、連続式などの慣用の方法により行うことができる。
【0052】
上記方法により、前記式(3a)又は式(3b)で表されるカルボン酸が良好な収率で生成する。この反応においては、マンガン触媒等の周期表5〜9族元素化合物触媒と酸素の作用により前記アシルオキシカルボニル基含有化合物のアシルオキシカルボニル基(酸無水物基)[カルボン酸無水物の酸無水物基など]におけるα位の炭素原子にラジカルが生成し、このラジカルがオレフィン類又はアセチレン類の不飽和結合(二重結合又は三重結合)炭素原子に付加することにより、対応するアルキル基又はアルケニル基が前記酸無水物基のα位に結合し、下記式(4a)又は(4b)で表される化合物が生成する。次いで、これらの化合物の酸無水物基が、例えば、系内に存在するプロトン源により又は加水分解により開環又は分解して、式(3a)又は式(3b)で表されるカルボン酸が生成する。本発明の方法では、周期表5〜9族元素化合物を触媒として用い且つ酸素を酸化剤として用いるため、従来の三価のMn塩等を酸化剤として用いる方法とは異なり、ラジカル連鎖反応により炭素鎖が伸長したカルボン酸を主生成物として得ることができる。
【化7】
Figure 0004024637
【0053】
上記の加水分解は、水のみによっても進行するが、水と共に酸(例えば、塩酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸、陽イオン交換樹脂等)を添加することによってより速やかに進行する。加水分解は室温程度でも進行する。
【0054】
なお、原料として用いられる炭素−炭素不飽和結合を有する化合物が、ジエンやトリエンなどのような炭素−炭素不飽和結合を複数個有する化合物である場合には、対応するジカルボン酸やトリカルボン酸などのカルボキシル基を複数個有するポリカルボン酸を得ることができる。この場合、反応条件(例えば、2つの原料の比率、反応温度、反応時間等)を適宜選択することで、カルボキシル基の導入数を制御できる。また、炭素−炭素不飽和結合を有する化合物として、ジエンやトリエンなどのような炭素−炭素不飽和結合を複数個有する化合物を用いる場合には、その構造により、一部の炭素−炭素不飽和結合にアシルオキシカルボニル基含有化合物が付加した後、残りの炭素−炭素不飽和結合によって環化反応(例えば、分子内環化反応)が進行し、対応するカルボキシル基を有する環化反応生成物が生成する場合がある。例えば、炭素−炭素不飽和結合を有する化合物として1,5−シクロオクタジエンを用いた場合には、オクタヒドロペンタレン環を有するカルボン酸が生成し、炭素−炭素不飽和結合を有する化合物として2,5−ノルボルナジエンを用いた場合には、トリシクロ[2.2.1.02,6]ヘプタン環を有するカルボン酸が生成しうる。さらに、式(2b)で表される炭素−炭素三重結合を有する化合物を原料として用いた場合には、式(3b)で表される化合物の炭素−炭素二重結合にさらにアシルオキシカルボニル基含有化合物が付加して生成する対応するポリカルボン酸や、式(3b)で表される化合物の炭素−炭素二重結合に基づく環化反応生成物が生成しうる。
【0055】
反応終了後、反応生成物は、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段や、これらを組み合わせた分離手段により分離精製できる。
【0056】
なお、本発明の製造方法により得られるカルボン酸は、香料、塗料添加剤、樹脂改質用添加剤、医薬、農薬その他の精密化学品又はこれらの原料等として好適に利用することができる。
【0057】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、酸素と周期表5〜9族元素化合物とを用いた触媒的なラジカル付加反応により、アシルオキシカルボニル基のα位にアルキル基又はアルケニル基が結合したものに対応するカルボン酸を効率よく得ることができる。また、アシルオキシカルボニル基含有化合物と炭素−炭素不飽和結合を有する化合物とから、該アシルオキシカルボニル基含有化合物のアシルオキシカルボニル基のα位にアルキル基又はアルケニル基が結合したものに対応するカルボン酸を高い選択率で製造できる。さらに、分子内に炭素−炭素不飽和結合を複数個有する化合物からカルボキシル基を複数個有するポリカルボン酸を効率よく製造できる。
【0058】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、反応生成物はガスクロマトグラフィー又は高速液体クロマトグラフィーにより分析した。収率は炭素−炭素不飽和結合を有する化合物(オレフィン類又はアセチレン類)を基準とした値である。
【0059】
実施例1
無水酢酸90ミリモル、1−デセン2ミリモル、酢酸マンガン(II)0.1ミリモル、及び酢酸5mlの混合液を、空気雰囲気下(1atm=0.101MPa)、130℃で14時間攪拌した。反応混合液を分析した結果、ラウリン酸が収率9%で生成していた。1−デセンの転化率は35%であった。
【0060】
実施例2
無水酢酸90ミリモル、1−デセン2ミリモル、マンガンアセチルアセトナト(III)[Mn(acac)3]0.1ミリモル、及び酢酸5mlの混合液を、空気雰囲気下(1atm=0.101MPa)、130℃で14時間攪拌した。反応混合液を分析した結果、ラウリン酸が収率8%で生成していた。1−デセンの転化率は29%であった。
なお、窒素雰囲気下で同様の操作を行ったところ、ラウリン酸はほとんど生成していなかった。この時の1−デセンの転化率は8%であった。
【0061】
実施例3
無水酢酸90ミリモル、1−デセン2ミリモル、酢酸マンガン(II)0.1ミリモル、酢酸コバルト(II)0.04ミリモル、及び酢酸5mlの混合液を、空気雰囲気下(1atm=0.101MPa)、130℃で14時間攪拌した。反応混合液を分析した結果、ラウリン酸が収率18%で生成していた。1−デセンの転化率は75%であった。
【0062】
実施例4
無水酢酸300ミリモル、1−デセン2ミリモル、酢酸マンガン(II)0.1ミリモル、酢酸コバルト(II)0.04ミリモル、及び酢酸5mlの混合液を、酸素と窒素の混合ガス(モル比0.1:0.9)の雰囲気下(1atm=0.101MPa)、130℃で14時間攪拌した。反応混合液を分析した結果、ラウリン酸が収率60%で生成していた。1−デセンの転化率は99%であった。
【0063】
実施例5
無水酢酸300ミリモル、1−デセン2ミリモル、酢酸マンガン(II)0.1ミリモル、酢酸コバルト(II)0.04ミリモル、及び酢酸5mlの混合液を、酸素と窒素の混合ガス(モル比0.1:0.9)の雰囲気下(1atm=0.101MPa)、130℃で14時間攪拌した。反応混合液を分析した結果、ラウリン酸が収率32%で生成していた。1−デセンの転化率は66%であった。
【0064】
実施例6
無水プロピオン酸300ミリモル、1−デセン2ミリモル、酢酸マンガン(II)0.1ミリモル、酢酸コバルト(II)0.04ミリモル、及びプロピオン酸5mlの混合液を、酸素と窒素の混合ガス(モル比0.1:0.9)の雰囲気下(1atm=0.101MPa)、130℃で14時間攪拌した。反応混合液を分析した結果、2−メチルラウリン酸が収率71%で生成していた。1−デセンの転化率は99%であった。
【0065】
実施例7
無水酢酸300ミリモル、1−オクテン2ミリモル、酢酸マンガン(II)0.1ミリモル、酢酸コバルト(II)0.04ミリモル及び酢酸5mlの混合液を、酸素と窒素の混合ガス(モル比0.1:0.9)の雰囲気下(1atm=0.101MPa)、130℃で14時間攪拌した。反応混合液を分析した結果、デカン酸が収率57%で生成していた。1−オクテンの転化率は99%であった。
【0066】
実施例8
無水酢酸300ミリモル、シクロヘキセン2ミリモル、酢酸マンガン(II)0.1ミリモル、酢酸コバルト(II)0.04ミリモル、及び酢酸5mlの混合液を、酸素と窒素の混合ガス(モル比0.1:0.9)の雰囲気下(1atm=0.101MPa)、130℃で14時間攪拌した。反応混合液を分析した結果、シクロヘキシル酢酸が収率36%で生成していた。シクロヘキセンの転化率は77%であった。
【0067】
実施例9
無水酢酸300ミリモル、シクロオクテン2ミリモル、酢酸マンガン(II)0.1ミリモル、酢酸コバルト(II)0.04ミリモル、及び酢酸5mlの混合液を、酸素と窒素の混合ガス(モル比0.1:0.9)の雰囲気下(1atm=0.101MPa)、130℃で14時間攪拌した。反応混合液を分析した結果、シクロオクチル酢酸が収率21%で生成していた。シクロオクテンの転化率は56%であった。
【0068】
実施例10
無水プロピオン酸60ミリモル、1,9−デカジエン1ミリモル、酢酸マンガン(II)0.005ミリモル、酢酸コバルト(II)0.001ミリモルの混合液を、酸素と窒素の混合ガス(モル比0.1:0.9)の雰囲気下(1atm=0.101MPa)、130℃で5時間攪拌した。加水分解後、反応混合液を分析した結果、2,13−ジメチルテトラデカン二酸が61%の収率で、また2−メチル−11−ドデセン酸が痕跡量生成していた。1,9−デカジエンの転化率は99%であった。
【0069】
実施例11
無水プロピオン酸60ミリモル、1,9−デカジエン1ミリモル、酢酸マンガン(II)0.005ミリモル、酢酸コバルト(II)0.001ミリモルの混合液を、酸素と窒素の混合ガス(モル比0.1:0.9)の雰囲気下(1atm=0.101MPa)、100℃で5時間攪拌した。加水分解後、反応混合液を分析した結果、2,13−ジメチルテトラデカン二酸が1%の収率で、2−メチル−11−ドデセン酸が12%の収率で生成していた。1,9−デカジエンの転化率は41%であった。
【0070】
実施例12
無水プロピオン酸60ミリモル、1,7−オクタジエン1ミリモル、酢酸マンガン(II)0.005ミリモル、酢酸コバルト(II)0.001ミリモルの混合液を、酸素と窒素の混合ガス(モル比0.1:0.9)の雰囲気下(1atm=0.101MPa)、130℃で5時間攪拌した。加水分解後、反応混合液を分析した結果、2,11−ジメチルドデカン二酸が45%の収率で生成していた。1,7−オクタジエンの転化率は99%であった。
【0071】
実施例13
無水ブタン酸60ミリモル、1,9−デカジエン1ミリモル、酢酸マンガン(II)0.005ミリモル、酢酸コバルト(II)0.001ミリモルの混合液を、酸素と窒素の混合ガス(モル比0.1:0.9)の雰囲気下(1atm=0.101MPa)、130℃で5時間攪拌した。加水分解後、反応混合液を分析した結果、2,13−ジエチルテトラデカン二酸が65%の収率で生成していた。1,9−デカジエンの転化率は99%であった。
【0072】
実施例14
無水酢酸60ミリモル、1,9−デカジエン1ミリモル、酢酸マンガン(II)0.005ミリモル、酢酸コバルト(II)0.001ミリモルの混合液を、酸素と窒素の混合ガス(モル比0.1:0.9)の雰囲気下(1atm=0.101MPa)、130℃で5時間攪拌した。加水分解後、反応混合液を分析した結果、テトラデカン二酸が20%の収率で生成していた。1,9−デカジエンの転化率は58%であった。
【0073】
実施例15
無水プロピオン酸60ミリモル、1,8−ノナジエン1ミリモル、酢酸マンガン(II)0.005ミリモル、酢酸コバルト(II)0.001ミリモルの混合液を、酸素と窒素の混合ガス(モル比0.1:0.9)の雰囲気下(1atm=0.101MPa)、130℃で5時間攪拌した。加水分解後、反応混合液を分析した結果、2,12−ジメチルトリデカン二酸が58%の収率で生成していた。1,8−ノナジエンの転化率は99%であった。
【0074】
実施例16
無水プロピオン酸50ミリモル、1,5−シクロオクタジエン1ミリモル、酢酸マンガン(II)0.005ミリモル、酢酸コバルト(II)0.001ミリモルの混合液を、酸素と窒素の混合ガス(モル比0.1:0.9)の雰囲気下(1atm=0.101MPa)、130℃で5時間攪拌した。加水分解後、反応混合液を分析した結果、2−(オクタヒドロ−ペンタレン−1−イル)−プロピオン酸が61%の収率で生成していた。1,5−シクロオクタジエンの転化率は99%であった。
【0075】
実施例17
無水酢酸150ミリモル、1,5−シクロオクタジエン1ミリモル、酢酸マンガン(II)0.005ミリモル、酢酸コバルト(II)0.001ミリモルの混合液を、酸素と窒素の混合ガス(モル比0.1:0.9)の雰囲気下(1atm=0.101MPa)、130℃で5時間攪拌した。加水分解後、反応混合液を分析した結果、(オクタヒドロ−ペンタレン−1−イル)−酢酸が62%の収率で生成していた。1,5−シクロオクタジエンの転化率は99%であった。
【0076】
実施例18
無水プロピオン酸60ミリモル、2,5−ノルボルナジエン1ミリモル、酢酸マンガン(II)0.005ミリモル、酢酸コバルト(II)0.001ミリモルの混合液を、酸素と窒素の混合ガス(モル比0.1:0.9)の雰囲気下(1atm=0.101MPa)、130℃で5時間攪拌した。加水分解後、反応混合液を分析した結果、トリシクロ[2.2.1.02,6]ヘプタ−3−イル−酢酸が19%の収率で生成していた。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a method for producing a carboxylic acid useful as a fragrance, a paint additive, an additive for resin modification, a medicine, an agricultural chemical or other fine chemicals, or a raw material thereof.
[0002]
[Prior art]
Conventionally, a method for obtaining a corresponding addition compound by generating a radical at the α-position of the electron-withdrawing group of a compound having an electron-withdrawing group such as a ketone and adding it to an olefin is widely known. To metal oxides such as Mn (III) salts are used in the reaction. However, in these methods, since the metal oxidant is reduced by itself and the addition reaction proceeds, it is necessary to use a large amount of the metal oxidant, and much labor and cost are required for the treatment of the heavy metal salt and the like after the reaction. In addition, in the method using such a stoichiometric amount of the metal oxidant, the selectivity of the reaction is low, and it is difficult to obtain the corresponding adduct in good yield. For example, in the reaction of a carboxylic acid (including anhydride) and alkene using a trivalent Mn salt of a stoichiometric amount or more, a carbocation is further subjected to one-electron oxidation by the Mn salt in which the generated carbon radical is excessive. Therefore, a carboxylic acid having an extended carbon chain cannot be obtained, and γ-butyrolactone is the main product.
[0003]
[Non-Patent Document 1]
Journal of American Chemical Society (J. Am. Chem. Soc.) 1968, 90, 5905
[Non-Patent Document 2]
Journal of American Chemical Society (J. Am. Chem. Soc.) 1971, 93, 524
[0004]
[Problems to be solved by the invention]
Accordingly, an object of the present invention is to provide a method for efficiently obtaining a carboxylic acid corresponding to an alkyloxy or alkenyl group bonded to the α-position of an acyloxycarbonyl group by a catalytic radical addition reaction.
Another object of the present invention is to convert an acyloxycarbonyl group-containing compound and a compound having a carbon-carbon unsaturated bond into an alkyl group or alkenyl group bonded to the α-position of the acyloxycarbonyl group of the acyloxycarbonyl group-containing compound. The object is to provide a method capable of producing a corresponding carboxylic acid with high selectivity.
[0005]
[Means for Solving the Problems]
As a result of intensive studies to achieve the above object, the present inventors have combined oxygen of a periodic table group 5-9 element compound and oxygen, and oxygen functions as an oxidizing agent and the periodic table group 5-9 element compound as a catalyst. As a result, it was found that a carboxylic acid by a corresponding adduct was efficiently produced from a carboxylic acid anhydride and a compound (olefin or acetylene) having a carbon-carbon unsaturated bond, thereby completing the present invention.
[0006]
That is, the present invention provides the following formula (1):
[Formula 4]
Figure 0004024637
(Wherein R a Represents a hydrogen atom or an organic group, R b , R c Each represents a hydrogen atom or an organic group. R a , R b , R c May be bonded to each other to form a ring together with adjacent carbon atoms or carbon-carbon-oxygen-carbon bonds).
An acyloxycarbonyl group-containing compound represented by the following formula (2a) or (2b)
[Chemical formula 5]
Figure 0004024637
(Wherein R d , R e , R f , R g , R h , R i Each represents a hydrogen atom or an organic group. R d , R e , R f , R g May be bonded to each other to form a ring with adjacent 1 or 2 carbon atoms. R h , R i May be bonded together to form a ring with two adjacent carbon atoms)
A compound having a carbon-carbon unsaturated bond represented by: Manganese compound and / or cobalt compound catalyst And in the presence of oxygen, the following formula (3a) or (3b)
[Chemical 6]
Figure 0004024637
(Wherein R a , R b , R c , R d , R e , R f , R g , R h , R i Is the same as above)
Carboxylic acid represented by Or when a cyclic olefin having a plurality of carbon-carbon unsaturated bonds in the molecule is used as the compound represented by formula (2a) or (2b), some of the carbon-carbon unsaturated bonds After the acyloxycarbonyl group-containing compound is added at the α-position of the acyloxycarbonyl group, the intramolecular cyclization reaction proceeds by the remaining carbon-carbon unsaturated bond, and the acyloxycarbonyl group is converted to a carboxyl group, and the corresponding compound is generated. A cyclized product having a carboxyl group is obtained. A method for producing a carboxylic acid is provided.
[0007]
In the present invention, a compound having a plurality of carbon-carbon unsaturated bonds in the molecule is used as the compound having a carbon-carbon unsaturated bond represented by formula (2a) or (2b), and a plurality of carboxyl groups are supported. A polycarboxylic acid may be produced. A protic solvent can be used as the solvent.
[0008]
In addition, since the carboxylic acid represented by the formula (3b) has a carbon-carbon double bond, a geometric isomer exists. Therefore, in the present invention, when a geometric isomer exists in the compound represented by the formula, the compound represented by the formula includes the geometric isomer. Specifically, for example, the carboxylic acid represented by the formula (3b) includes Z-form and E-form which are geometric isomers of the carboxylic acid represented by the formula (3b).
[0009]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
[Acyloxycarbonyl group-containing compound]
In the acyloxycarbonyl group-containing compound represented by the formula (1) used as a raw material in the present invention, a wide chain or cyclic acyloxycarbonyl group-containing compound having an acid anhydride group (acyloxycarbonyl group) in the molecule ( For example, carboxylic acid anhydride etc.) are included.
[0010]
In formula (1), R a As the organic group, a hydrocarbon group or a heterocyclic group can be preferably used. R a The hydrocarbon group in the organic group includes an aliphatic hydrocarbon group, an alicyclic hydrocarbon group, and an aromatic hydrocarbon group. Examples of the aliphatic hydrocarbon group include carbon atoms such as methyl, ethyl, propyl, isopropyl, butyl, isobutyl, s-butyl, t-butyl, pentyl, hexyl, octyl, decyl, tetradecyl, hexadecyl, octadecyl, and allyl groups. Examples thereof include a linear or branched aliphatic hydrocarbon group (an alkyl group, an alkenyl group, and an alkynyl group) of about 1 to 20 (preferably 1 to 10, more preferably 1 to 6).
[0011]
Examples of the alicyclic hydrocarbon group include fatty acids having about 3 to 20 carbon atoms (preferably 3 to 15 carbon atoms) such as cyclopropyl, cyclobutyl, cyclopentyl, cyclohexyl, cyclohexenyl, cyclooctyl, cyclodecyl, and cyclododecyl groups. A cyclic hydrocarbon group (a cycloalkyl group, a cycloalkenyl group, etc.) etc. are mentioned.
[0012]
Examples of the aromatic hydrocarbon group include aromatic hydrocarbon groups having about 6 to 20 carbon atoms such as phenyl and naphthyl groups.
[0013]
These hydrocarbon groups may be protected by various substituents such as halogen atoms (fluorine, chlorine, bromine, iodine atoms), oxo groups, hydroxyl groups which may be protected with protecting groups, and protecting groups. A good hydroxymethyl group, an amino group which may be protected with a protecting group, a carboxyl group which may be protected with a protecting group, a substituted oxycarbonyl group, a substituted or unsubstituted carbamoyl group, a nitro group, an acyl group, a cyano group, Alkyl groups (for example, C such as methyl and ethyl groups) 1-4 An alkyl group), a cycloalkyl group, an aryl group (eg, phenyl, naphthyl group, etc.), a heterocyclic group, and the like. As the protecting group, a protecting group commonly used in the field of organic synthesis can be used.
[0014]
R a The heterocyclic ring constituting the heterocyclic group in the organic group includes an aromatic heterocyclic ring and a non-aromatic heterocyclic ring. As such a heterocyclic ring, for example, a heterocyclic ring containing an oxygen atom as a hetero atom (for example, 5-membered ring such as furan, tetrahydrofuran, oxazole, isoxazole, 4-oxo-4H-pyran, tetrahydropyran, morpholine, etc. 6-membered ring, condensed ring such as benzofuran, isobenzofuran, 4-oxo-4H-chromene, chromane, isochroman, etc.), heterocycle containing a sulfur atom as a hetero atom (for example, 5 such as thiophene, thiazole, isothiazole, thiadiazole, etc.) 5-membered rings, 6-membered rings such as 4-oxo-4H-thiopyran, condensed rings such as benzothiophene, etc.), heterocycles containing nitrogen atoms as heteroatoms (eg, pyrrole, pyrrolidine, pyrazole, imidazole, triazole, etc.) Ring, pyridine, pyridazine, pyrimi Emissions, pyrazine, piperidine, 6-membered ring such as piperazine, indole, indoline, quinoline, acridine, naphthyridine, quinazoline, other condensed rings purine) and the like. These heterocyclic groups may have a substituent (for example, a group similar to the substituent that the hydrocarbon group may have).
[0015]
Preferred R a As hydrocarbon groups [eg C 1-10 Aliphatic hydrocarbon groups (methyl, ethyl, propyl, isopropyl, butyl, isobutyl, s-butyl, t-butyl, pentyl, hexyl, octyl, decyl groups, etc. 1-10 Alkyl groups), alicyclic hydrocarbon groups (for example, C such as cyclopentyl, cyclohexyl, cyclohexenyl groups) 3-15 Cycloalkyl group or cycloalkenyl group), C 6-14 Aryl group].
[0016]
R b , R c As the organic group, any group that does not impair the reaction may be used. For example, a hydrocarbon group, a heterocyclic group, a hydroxyl group, a mercapto group, an alkoxy group, a halogen atom, an N-substituted or unsubstituted amino group, An acyl group and a protected carbonyl group in the acyl group, a substituted oxycarbonyl group, a carboxyl group, a substituted or unsubstituted carbamoyl group, a cyano group, a substituted or unsubstituted iminoalkyl group, a nitro group, a sulfuric acid group, a sulfuric acid ester group, A haloalkyl group etc. can be illustrated. Hydroxyl group, carboxyl group, amino group and the like may be protected with a conventional protecting group.
[0017]
R b , R c The hydrocarbon group in a And hydrocarbon groups similar to the hydrocarbon group in (aliphatic hydrocarbon group, alicyclic hydrocarbon group, aromatic hydrocarbon group). These R b , R c The hydrocarbon group in can have various substituents (for example, R a And the same group as the substituent which the hydrocarbon group may have.
[0018]
R b , R c The heterocyclic ring constituting the heterocyclic group in a And heterocyclic rings (aromatic heterocycles and non-aromatic heterocycles) similar to the heterocycles constituting the heterocyclic group in are included. These R b , R c The heterocyclic group in is a substituent (for example, R a And the same group as the substituent which the hydrocarbon group may have.
[0019]
R b , R c Examples of the alkoxy group include an alkoxy group having about 1 to 6 carbon atoms such as methoxy, ethoxy, propoxy, and butoxy groups. Examples of the halogen atom include fluorine, chlorine, bromine and iodine atoms. N-substituted amino groups include, for example, N, N-dimethylamino, N, N-diethylamino, piperidino groups and the like.
[0020]
Furthermore, representative examples of acyl groups and protected carbonyl groups in the acyl groups include, for example, formyl, acetyl, propionyl, butyryl, (meth) acryloyl, cyclopentanecarbonyl, cyclohexanecarbonyl, benzoyl, naphthoyl, and pyridylcarbonyl. Examples include aliphatic, alicyclic, aromatic or heterocyclic acyl groups such as groups, and protected carbonyl groups thereof. Substituted oxycarbonyl groups include, for example, methoxycarbonyl, ethoxycarbonyl, isopropoxycarbonyl, butoxycarbonyl, vinyloxycarbonyl, cyclopentyloxycarbonyl, cyclohexyloxycarbonyl, phenoxycarbonyl, benzyloxycarbonyl, pyridyloxycarbonyl groups and the like. Examples of the substituted or unsubstituted carbamoyl group include carbamoyl, N-methylcarbamoyl, N-phenylcarbamoyl, N, N-dimethylcarbamoyl, 1-pyrrolidinylcarbonyl, piperidinocarbonyl and the like. Examples of sulfur acid groups include sulfonic acid groups and sulfinic acid groups. Examples of sulfur acid ester groups (sulfonic acid ester groups and sulfinic acid ester groups) include methyl sulfonate, ethyl sulfonate, and sulfinic acid. Examples include methyl and ethyl sulfinate groups. Examples of the haloalkyl group include a trifluoromethyl group. In addition, as a protected form of an acyl group, a form in which a carbonyl group is protected with a conventional protective group (for example, acetal forms such as dimethyl acetal, diethyl acetal, 1,3-dioxane, 1,3-dioxolane; S, S And dithioacetals such as' -dimethyldithioacetal).
[0021]
R a , R b , R c May be bonded to each other to form a ring together with adjacent carbon atoms or carbon-carbon-oxygen-carbon bonds. R b And R c Examples of the ring formed by bonding together with adjacent carbon atoms include cyclopropane, cyclobutane, cyclopentane, cyclopentene, cyclohexane, cyclohexene, cyclooctane, cyclodecane, cyclododecane ring, decalin ring, and adamantane ring. Non-aromatic carbocyclic ring (cycloalkane ring, cycloalkene ring, bridged carbocyclic ring) having about 20 to 20 members (preferably 3 to 15 members, more preferably 5 to 15 members, particularly 5 to 10 members). It is done. These rings can be substituted (eg, R a And the same group as the substituent which the hydrocarbon group may have), or another ring (non-aromatic ring or aromatic ring) may be condensed.
[0022]
R a And R b Or R c As a ring formed by bonding together with a carbon-carbon-oxygen-carbon bond, for example, the acid anhydride group has 2 or more carbon atoms other than a carbonyl group (for example, 2 to 20, preferably 2 to 10). And a ring having an intramolecular cyclic acid anhydride group. Adjacent carbon atoms constituting the ring having the intramolecular cyclic acid anhydride group may be bonded to each other through an unsaturated bond. Further, the ring having an intramolecular cyclic acid anhydride group may have a form of a bridged ring by bonding non-adjacent carbon atoms constituting the ring. These rings can be substituted (eg, R a And the same group as the substituent which the hydrocarbon group may have), or another ring (non-aromatic ring or aromatic ring) may be condensed.
[0023]
Preferred R b , R c Includes a hydrogen atom, C 1-10 Aliphatic hydrocarbon groups (methyl, ethyl, propyl, isopropyl, butyl, isobutyl, s-butyl, t-butyl, pentyl, hexyl, octyl, decyl groups, etc .; especially C 1-10 Alkyl groups), alicyclic hydrocarbon groups (for example, C such as cyclopentyl, cyclohexyl, cyclohexenyl groups) 3-15 Cycloalkyl group or cycloalkenyl group), C 6-14 An aryl group and the like are included. R b , R c Are preferably bonded to each other to form a non-aromatic carbocyclic ring of about 3 to 15 members (particularly 5 to 8 members) with adjacent carbon atoms.
[0024]
In the acyloxycarbonyl group-containing compound represented by the formula (1) (such as carboxylic acid anhydride), the chain-like acyloxycarbonyl group-containing compound is a molecule in one or more monovalent or polyvalent carboxylic acids. And chain-like symmetrical or asymmetrical carboxylic acid anhydrides due to the dehydration reaction between them. Specifically, typical examples of the chain-symmetric carboxylic acid anhydride include, for example, formic anhydride, acetic anhydride, propionic anhydride, butyric anhydride, isobutyric anhydride, pentanoic anhydride, 3-methylbutanoic anhydride, hexanoic anhydride, heptanoic anhydride, octanoic anhydride, nonanoic anhydride, decanoic anhydride, undecanoic anhydride, dodecanoic anhydride, tridecanoic anhydride, tetradecanoic anhydride , Anhydrides of saturated aliphatic monovalent carboxylic acids such as pentadecanoic anhydride, hexadecanoic anhydride, heptadecanoic anhydride, octadecanoic anhydride, nonadecanoic anhydride; 5-hexenoic anhydride, oleic anhydride Unsaturated anhydride monovalent carboxylic acid anhydrides; saturated or unsaturated non-aromatic cyclic monovalent carboxylic acid anhydrides such as cyclohexanecarboxylic acid anhydride; Polycarboxylic acids having a plurality of carboxyl groups in a child (e.g., malonic acid, pimelic acid, cyclohexane dicarboxylic acid) such as a chain of a carboxylic acid anhydride by dehydration reaction between the molecules of the like.
[0025]
In addition, typical examples of the chain asymmetric carboxylic acid anhydride include, for example, saturated aliphatic monovalent carboxylic acids [for example, formic acid, acetic acid, propionic acid, butyric acid, isobutyric acid, pentanoic acid, 3-methylbutane. Acid, hexanoic acid, 2,2-dimethylpropionic acid, heptanoic acid, octanoic acid, nonanoic acid, decanoic acid, undecanoic acid, dodecanoic acid, tridecanoic acid, tetradecanoic acid, pentadecanoic acid, hexadecanoic acid, heptadecanoic acid, octadecanoic acid, nonadecane Acid, etc.], unsaturated aliphatic monovalent carboxylic acid [eg, acrylic acid, methacrylic acid, propiolic acid, crotonic acid, isocrotonic acid, 5-hexenoic acid, oleic acid, etc.], saturated or unsaturated non-aromatic cyclic 1 Carboxylic acids [for example, cyclohexane carboxylic acid], aromatic monovalent carboxylic acids [for example, benzoic acid, -Naphthalenecarboxylic acid, 2-naphthalenecarboxylic acid and the like] and polyvalent carboxylic acids (for example, terephthalic acid, 1,4-naphthalenedicarboxylic acid, 1,5-naphthalenedicarboxylic acid, malonic acid, pimeline) And anhydrides obtained by intermolecular dehydration reaction in two or more monovalent or polyvalent carboxylic acids selected from acids and dicarboxylic acids such as cyclohexanedicarboxylic acid).
[0026]
On the other hand, in the acyloxycarbonyl group-containing compound represented by the formula (1), examples of the cyclic acyloxycarbonyl group-containing compound include cyclic carboxylic acid anhydrides by intramolecular dehydration reaction in polyvalent carboxylic acids. Representative examples of the cyclic carboxylic acid anhydride include, for example, butanedioic anhydride (succinic anhydride), pentanedioic anhydride, hexanedioic anhydride (adipic anhydride), heptanedioic anhydride. , Octanedioic anhydride, nonanedioic anhydride, decanedioic anhydride, undecanedioic anhydride, dodecanedioic anhydride, tridecanedioic anhydride, tetradecanedioic anhydride, pentadecanedioic anhydride, hexadecane Saturated aliphatic polycarboxylic anhydrides such as dianhydride, heptadecanedioic anhydride, octadecanedioic anhydride, nonadecanedioic anhydride; unsaturated aliphatic polyvalent carboxylic anhydrides such as itaconic anhydride Tetrahydrophthalic anhydride, hexahydrophthalic anhydride (1,2-cyclohexanedicarboxylic anhydride), 1,2,3,4-cyclohexanetetracarboxylic acid 1, -Bridges such as saturated or unsaturated non-aromatic cyclic polyvalent carboxylic acid anhydrides (alicyclic polyvalent carboxylic acid anhydrides) such as anhydrides, methylcyclohexenic carboxylic acid anhydrides, het acid anhydrides, hymic anhydrides, etc. Examples thereof include cyclic polyvalent carboxylic acid anhydrides (alicyclic polyvalent carboxylic acid anhydrides).
[0027]
Of course, the carbon atoms constituting these carboxylic acid anhydrides may include substituents (such as hydrocarbon groups such as alkyl groups and aryl groups, and R groups such as heterocyclic groups). a And the like, and the like, as the substituents that the hydrocarbon group in FIG.
[0028]
Among these, as the acyloxycarbonyl group-containing compound, a chain carboxylic acid anhydride (particularly, a symmetric chain carboxylic acid anhydride) is preferable.
[0029]
[Compound having carbon-carbon unsaturated bond]
The compound having a carbon-carbon unsaturated bond includes olefins represented by the formula (2a) and acetylenes represented by the formula (2b). In the olefin represented by the formula (2a) and the acetylene represented by the formula (2b), R d , R e , R f , R g , R h , R i As the organic group in R, the above R b , R c And the same organic groups as in.
[0030]
R d , R e , R f , R g May be bonded to each other to form a ring with adjacent one or two carbon atoms. Examples of such a ring include cyclopropane, cyclobutane, cyclopentane, cyclopentene, cyclohexane, cyclohexene, cyclohexadiene, cyclooctane, cyclooctene, cyclododecane, norbornene, norbornadiene ring, etc. (Cycloalkane ring, cycloalkene ring, cycloalkadiene ring, bridged carbon ring, etc.) and the like. These rings may have a substituent, and other rings (non-aromatic ring or aromatic ring) may be condensed.
[0031]
R h , R i May combine with each other to form a ring with two adjacent carbon atoms. This ring may have a substituent, and another ring (non-aromatic ring or aromatic ring) may be condensed.
[0032]
Preferred R d , R e , R f , R g , R h , R i Includes a hydrogen atom, a hydrocarbon group [for example, C 1-20 Aliphatic hydrocarbon group (especially C 1-10 Aliphatic hydrocarbon groups), C 6-20 Aryl group (phenyl group, naphthyl group, etc.), cycloalkyl group (about 3-8 membered cycloalkyl group, etc.), haloalkyl group (for example, C such as trifluoromethyl group, etc.) 1-6 Haloalkyl groups, especially C 1-4 Haloalkyl group)], heterocyclic group, substituted oxycarbonyl group (for example, C 1-6 Alkoxy-carbonyl group, aryloxycarbonyl group, aralkyloxycarbonyl group, cycloalkyloxycarbonyl group, etc.), carboxyl group, substituted or unsubstituted carbamoyl group, cyano group, nitro group, sulfur acid group, sulfur acid ester group, acyl group Etc. are included.
[0033]
The olefin represented by the formula (2a) may be an α-olefin or an internal olefin. The olefins also include olefins having a plurality of carbon-carbon double bonds such as dienes. Representative examples of olefins include ethylene, propylene, 1-butene, 2-butene, isobutene, 1-pentene, 2-pentene, 1-hexene, 2-hexene, 3-hexene, 1-heptene and 1-octene. 2-octene, 3-octene, 4-octene, 1-nonene, 1-decene, 1-dodecene, 1,3-butadiene, 1,4-pentadiene, 3,3, -dimethyl-1,4-pentadiene, 2-methyl-1,4-pentadiene, 3-methyl-1,4-pentadiene, 1,5-hexadiene, 2-methyl-1,5-hexadiene, 2,5-dimethyl-1,5-hexadiene, 1, 6-heptadiene, 1,7-octadiene, 1,8-nonadiene, 1,9-decadiene, 1,13-tetradecadiene, 1,5,9-decatriene, styrene, biene Chain olefins such as toluene, α-methylstyrene, 1-propenylbenzene, 1-vinylnaphthalene, 2-vinylnaphthalene, 3-vinylpyridine, 3-vinylfuran, 3-vinylthiophene, 3-vinylquinoline (alkenes) , Alkadienes, alkatrienes, etc.); cyclopentene, cyclohexene, cyclooctene, cyclodecene, cyclododecene, norbornene, 1,4-cyclohexadiene, methylcyclohexadiene, terpinene, trivinylcyclohexane, vinylcyclohexene, dipentene, limonene, 2,5 -Cyclic olefins such as norbornadiene, vinylnorbornene, 1,5-cyclooctadiene, dicyclopentadiene (cycloalkenes, cycloalkadienes, cycloalkatrienes, carbon- And bridged cyclic hydrocarbons having a carbon double bond). These olefins may have a substituent (functional group). Examples of olefins having a substituent (functional group) include olefins having a hydroxyl group such as 1,5-hexadien-3-ol and 1,6-heptadiene-4-ol; ethylene glycol diallyl ether, diethylene glycol diallyl ether , Ether bonds such as triethylene glycol diallyl ether, trimethylolpropane diallyl ether, trimethylolpropane triallyl ether, pentaerythritol triallyl ether, allyl sulfide, allyl disulfide, allyl ether, olefins having sulfide bond or disulfide bond, etc. Can be mentioned.
[0034]
The acetylenes represented by the formula (2b) include acetylenes having a plurality of carbon-carbon triple bonds such as diyne. Representative examples of acetylenes include acetylene, 1-propyne, 1-butyne, 2-butyne, 1-pentyne, 1-hexyne, 1-heptin, 1-octyne, phenylacetylene and the like. These acetylenes may have a substituent (functional group).
[0035]
[Periodic Table Group 5-9 Element Compound Catalyst]
In this invention, the periodic table group 5-9 element compound is used as a catalyst. Periodic Table 5-9 elements include Vanadium V, Niobium Nb, Tantalum Ta and other Group 5 elements; Chromium Cr, Molybdenum Mo, Tungsten W and other Group 6 elements; Manganese Mn, Technetium Tc, Rhenium Re, etc. Elements: Group 8 elements such as iron Fe, ruthenium Ru, and osmium Os; Group 9 elements such as cobalt Co, rhodium Rh, and iridium Ir are included. Among these, group 7 elements such as manganese Mn are preferable. Further, preferred elements include fourth-period metal elements (vanadium V, chromium Cr, manganese Mn, iron Fe, cobalt Co). Moreover, as a catalyst, the metal element compound which shows activity in 1 electron oxidation is preferable.
[0036]
Examples of the periodic table group 5-9 element compounds include the metal element simple substance, hydroxide, oxide (including complex oxide), halide (fluoride, chloride, bromide, iodide), oxo acid salt ( For example, nitrates, sulfates, phosphates, borates, carbonates, etc.) inorganic compounds such as oxo acids, isopolyacids, heteropolyacids; organic acid salts (eg acetates, propionates, cyanates, naphthenes) Acid compounds, stearates, etc.) and organic compounds such as complexes. The ligands constituting the complex include OH (hydroxo), alkoxy (methoxy, ethoxy, propoxy, butoxy, etc.), acyl (acetyl, propionyl, etc.), alkoxycarbonyl (methoxycarbonyl, ethoxycarbonyl, etc.), acetylacetonato , Cyclopentadienyl group, halogen atom (chlorine, bromine, etc.), CO, CN, oxygen atom, H 2 Phosphorus compounds of O (aquo), phosphines (such as triarylphosphine such as triphenylphosphine), NH Three (Ammin), NO, NO 2 (Nitro), NO Three And nitrogen-containing compounds such as (nitrato), ethylenediamine, diethylenetriamine, pyridine, and phenanthroline.
[0037]
As specific examples of Group 5-9 element compounds of the periodic table, for example, when a manganese compound is taken as an example, manganese hydroxide, manganese oxide, manganese halide such as manganese chloride and manganese bromide, manganese nitrate, manganese sulfate, phosphorus Inorganic compounds such as heteropolyacids containing manganese such as manganese acid, manganese carbonate, manganate, permanganate, manganese molybdate, or salts thereof; manganese formate, manganese acetate, manganese propionate, manganese naphthenate, manganese stearate Examples thereof include organic compounds such as organic acid salts such as manganese thiocyanate and complexes such as manganese acetylacetonate. The valence of manganese may be either divalent or trivalent. Of these, organic manganese compounds such as organic acid salts such as manganese acetate and complexes such as manganese acetylacetonate are preferable.
[0038]
Representative examples of cobalt compounds include, for example, cobalt hydroxide, cobalt oxide, cobalt halides such as cobalt chloride and cobalt bromide, and heteropolypolyoxides containing cobalt such as cobalt nitrate, cobalt sulfate, cobalt phosphate, and cobalt molybdate. Examples include inorganic compounds such as acids or salts thereof; organic compounds such as organic acid salts such as cobalt formate, cobalt acetate, cobalt naphthenate, and cobalt stearate; and complexes such as cobalt acetylacetonate. The valence of cobalt may be either bivalent or trivalent. Among these, organic acid compounds such as cobalt acetate and organic cobalt compounds such as complexes such as cobalt acetylacetonate are preferable.
[0039]
Examples of vanadium compounds include inorganic compounds such as vanadium hydroxide, vanadium oxide, vanadium chloride, vanadyl chloride, vanadium sulfate, vanadyl sulfate, sodium vanadate; complexes such as vanadium acetylacetonate and vanadyl acetylacetonate Examples thereof include divalent to pentavalent vanadium compounds.
[0040]
Further, examples of the molybdenum compound include inorganic compounds such as molybdenum hydroxide, molybdenum oxide, molybdenum chloride, molybdenum bromide, molybdenum sulfide, molybdic acid or a salt thereof, phosphomolybdic acid or a salt thereof, silicomolybdic acid or a salt thereof; 0 to 6 valent molybdenum compounds such as complexes of molybdenum carbonyl, bis (acetylacetonato) dioxomolybdenum, chlorotricarbonyl (η-cyclopentadienyl) molybdenum, dibromobis (η-cyclopentadienyl) molybdenum, etc. Can be mentioned. Examples of other metal element compounds include compounds corresponding to the manganese, vanadium or molybdenum compounds. The valence of the Group 5-9 elements of the periodic table is not particularly limited, but is often about 0-6 valence.
[0041]
The periodic table 5-9 group element compound can be used individually or in combination of 2 or more types. When two or more kinds of compounds having different elements among the periodic table group 5-9 element compounds are used in combination, the reaction rate and the selectivity of the reaction may be improved. Examples of such a combination include a combination of a manganese compound and a cobalt compound.
[0042]
The amount of the periodic table group 5-9 element compound catalyst used is an acyloxycarbonyl group-containing compound represented by the formula (1) and a compound having a carbon-carbon unsaturated bond [olefins or formula represented by the formula (2a) For example, 0.0001 to 0.2 mol, preferably 0.0002 to 0.1 mol, and more preferably 0.0005 to 1 mol of the compound used in a small amount among the acetylenes represented by (2b)]. About 0.05 mol.
[0043]
When a manganese compound and a cobalt compound are used in combination, the amount of the manganese compound used is an acyloxycarbonyl group-containing compound represented by formula (1) and a compound having a carbon-carbon unsaturated bond [formula (2a) Olefins or acetylenes represented by formula (2b)], for example, 0.0001 to 0.2 mol, preferably 0.0002 to 0.1 mol, per 1 mol of the compound used in a small amount More preferably, it is about 0.0005 to 0.05 mol, and the amount of the cobalt compound used is an acyloxycarbonyl group-containing compound represented by formula (1) and a compound having a carbon-carbon unsaturated bond [formula (2a ) Or acetylenes represented by the formula (2b)], for example, 0.00005 0.2 mol, preferably 0.0001 to 0.1 mol, more preferably 0.0002 to 0.05 moles. When a manganese compound and a cobalt compound are used in combination, the ratio is usually the former / the latter (molar ratio) = 1/99 to 99/1, preferably 5/95 to 98/2, more preferably 20 / 80 to 95/5, especially about 40/60 to 95/5.
[0044]
In the present invention, in order to improve the reaction rate and reaction selectivity, the periodic table group 5-9 element compound and other metal element compounds (for example, cerium, titanium, zirconium, nickel, palladium, platinum, copper, zinc, etc.) Transition metal compounds, etc.) can also be used in combination.
[0045]
Also, polymerization initiators such as azobisisobutyronitrile (AIBN), radical generators and radical reaction accelerators [halogen (chlorine, bromine, etc.), peracids, peroxides, etc.], etc., are present in the system. May be. When such a component is present in the system, the reaction may be accelerated. In addition, the reaction rate may be improved by irradiating light or applying ultrasonic waves.
[0046]
[oxygen]
Oxygen may be nascent oxygen, but molecular oxygen is usually used. The molecular oxygen is not particularly limited, and pure oxygen may be used. In order to improve operability and safety, oxygen diluted with an inert gas such as nitrogen, helium, argon, carbon dioxide (air) Etc.) may be used. Depending on the type of substrate and other conditions, the yield of the target compound will be higher when a mixed gas of oxygen and inert gas (such as nitrogen) is used than when pure oxygen is used. There is. The ratio of oxygen to inert gas in the mixed gas is, for example, the former / the latter (molar ratio) = 1/99 to 95/5, preferably 3/97 to 90/10, more preferably 5/95 to 80. / 20 or so.
[0047]
The amount of oxygen used can be appropriately selected depending on the type of substrate, but is usually an acyloxycarbonyl group-containing compound represented by formula (1) and a compound having a carbon-carbon unsaturated bond [represented by formula (2a). Olefins or acetylenes represented by the formula (2b)] with respect to 1 mol of the compound to be used in a small amount, 0.5 mol or more (for example, 1 mol or more), preferably 1 to 100 mol, more preferably Is about 2 to 50 mol. Often an excess of oxygen is used relative to the substrate.
[0048]
[reaction]
The reaction is carried out in the presence or absence of a solvent. Examples of the solvent include organic acids such as acetic acid and propionic acid; nitriles such as benzonitrile; amides such as formamide, acetamide, dimethylformamide (DMF), and dimethylacetamide; aliphatic hydrocarbons such as hexane and octane; Examples thereof include halogenated hydrocarbons such as chloroform, dichloromethane, dichloroethane, carbon tetrachloride, chlorobenzene and trifluoromethylbenzene; nitro compounds such as nitrobenzene; mixed solvents thereof and the like. A substrate (reaction raw material) can also be used as a solvent.
[0049]
As the solvent, a protic solvent such as an organic acid such as acetic acid can be suitably used. By using a protic solvent, the corresponding carboxylic acid can be prepared easily (in one step).
[0050]
The acyloxycarbonyl group-containing compound represented by the formula (1) (such as carboxylic acid anhydride) and the compound having the carbon-carbon unsaturated bond [the olefin represented by the formula (2a) or the formula (2b) The ratio to the acetylenes] can be appropriately selected depending on the type and combination of both compounds, but from the point of reactivity, the former / the latter (molar ratio) = about 0.8 to 300, preferably 1.5 to About 200, more preferably about 2-150.
[0051]
The reaction temperature can be appropriately selected according to the type of the acyloxycarbonyl group-containing compound (such as carboxylic acid anhydride) and the compound having the carbon-carbon unsaturated bond (olefins and acetylenes). It is 200 degreeC, Preferably it is about 30-130 degreeC. The reaction can be carried out at normal pressure or under pressure. When the reaction is carried out under pressure, the reaction is usually about 1 to 100 atm (0.101 to 10.1 MPa), preferably 1.5 to 80 atm (0. 152 to 8.08 MPa). The reaction time can be appropriately selected from the range of about 30 minutes to 48 hours, for example, depending on the reaction temperature and pressure. The reaction can be carried out by a conventional method such as a batch system, a semi-batch system, or a continuous system in the presence of oxygen or in the circulation of oxygen.
[0052]
By the said method, the carboxylic acid represented by the said Formula (3a) or Formula (3b) produces | generates with a favorable yield. In this reaction, the acyloxycarbonyl group (acid anhydride group) of the acyloxycarbonyl group-containing compound [acid anhydride group of carboxylic acid anhydride, etc.] by the action of a periodic table 5-9 element compound catalyst such as a manganese catalyst and oxygen. ] In the α-position carbon atom, and this radical is added to the unsaturated bond (double bond or triple bond) carbon atom of the olefin or acetylene, whereby the corresponding alkyl group or alkenyl group is A compound represented by the following formula (4a) or (4b) is formed by bonding to the α-position of the acid anhydride group. Next, the acid anhydride group of these compounds is ring-opened or decomposed, for example, by a proton source present in the system or by hydrolysis to produce a carboxylic acid represented by the formula (3a) or (3b) To do. In the method of the present invention, since a group 5-9 element compound of the periodic table is used as a catalyst and oxygen is used as an oxidizing agent, carbon is formed by radical chain reaction, unlike the conventional method using a trivalent Mn salt or the like as an oxidizing agent. Carboxylic acids with extended chains can be obtained as the main product.
[Chemical 7]
Figure 0004024637
[0053]
The hydrolysis proceeds only with water, but proceeds more rapidly by adding an acid (for example, hydrochloric acid, sulfuric acid, p-toluenesulfonic acid, cation exchange resin, etc.) together with water. Hydrolysis proceeds even at room temperature.
[0054]
In addition, when the compound having a carbon-carbon unsaturated bond used as a raw material is a compound having a plurality of carbon-carbon unsaturated bonds such as diene or triene, the corresponding dicarboxylic acid, tricarboxylic acid, etc. A polycarboxylic acid having a plurality of carboxyl groups can be obtained. In this case, the number of carboxyl groups introduced can be controlled by appropriately selecting reaction conditions (for example, the ratio of two raw materials, reaction temperature, reaction time, etc.). When a compound having a plurality of carbon-carbon unsaturated bonds such as diene or triene is used as the compound having a carbon-carbon unsaturated bond, depending on the structure, some of the carbon-carbon unsaturated bonds After the acyloxycarbonyl group-containing compound is added to the cyclization reaction, the cyclization reaction (for example, intramolecular cyclization reaction) proceeds by the remaining carbon-carbon unsaturated bond, and a cyclization reaction product having a corresponding carboxyl group is generated. There is a case. For example, when 1,5-cyclooctadiene is used as a compound having a carbon-carbon unsaturated bond, a carboxylic acid having an octahydropentalene ring is formed, and 2 as a compound having a carbon-carbon unsaturated bond. , 5-norbornadiene, tricyclo [2.2.1.0 2,6 A carboxylic acid having a heptane ring can be formed. Further, when a compound having a carbon-carbon triple bond represented by formula (2b) is used as a raw material, an acyloxycarbonyl group-containing compound is further added to the carbon-carbon double bond of the compound represented by formula (3b). A cyclization reaction product based on the carbon-carbon double bond of the corresponding polycarboxylic acid produced by adding or a compound represented by the formula (3b) can be produced.
[0055]
After completion of the reaction, the reaction product can be separated and purified by separation means such as filtration, concentration, distillation, extraction, crystallization, recrystallization, column chromatography, etc., or a separation means combining these.
[0056]
In addition, the carboxylic acid obtained by the production method of the present invention can be suitably used as a fragrance, a paint additive, a resin modifying additive, a medicine, an agricultural chemical, other fine chemicals, or a raw material thereof.
[0057]
【The invention's effect】
According to the method of the present invention, a carboxyl corresponding to an alkyloxy or alkenyl group bonded to the α-position of an acyloxycarbonyl group by a catalytic radical addition reaction using oxygen and a group 5-9 element compound of the periodic table. An acid can be obtained efficiently. In addition, from an acyloxycarbonyl group-containing compound and a compound having a carbon-carbon unsaturated bond, a carboxylic acid corresponding to an alkyloxy group or an alkenyl group bonded to the α-position of the acyloxycarbonyl group of the acyloxycarbonyl group-containing compound is high. Can be manufactured with selectivity. Furthermore, a polycarboxylic acid having a plurality of carboxyl groups can be efficiently produced from a compound having a plurality of carbon-carbon unsaturated bonds in the molecule.
[0058]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be described in more detail based on examples, but the present invention is not limited to these examples. The reaction product was analyzed by gas chromatography or high performance liquid chromatography. The yield is a value based on a compound (olefin or acetylene) having a carbon-carbon unsaturated bond.
[0059]
Example 1
A mixture of 90 mmol of acetic anhydride, 2 mmol of 1-decene, 0.1 mmol of manganese (II) acetate and 5 ml of acetic acid was stirred at 130 ° C. for 14 hours in an air atmosphere (1 atm = 0.101 MPa). As a result of analyzing the reaction mixture, lauric acid was produced in a yield of 9%. The conversion of 1-decene was 35%.
[0060]
Example 2
90 mmol of acetic anhydride, 2 mmol of 1-decene, manganese acetylacetonate (III) [Mn (acac) Three A mixture of 0.1 mmol and 5 ml of acetic acid was stirred at 130 ° C. for 14 hours in an air atmosphere (1 atm = 0.101 MPa). As a result of analyzing the reaction mixture, lauric acid was produced in a yield of 8%. The conversion of 1-decene was 29%.
In addition, when the same operation was performed in a nitrogen atmosphere, lauric acid was hardly generated. At this time, the conversion of 1-decene was 8%.
[0061]
Example 3
A mixture of 90 mmol of acetic anhydride, 2 mmol of 1-decene, 0.1 mmol of manganese acetate (II), 0.04 mmol of cobalt acetate (II), and 5 ml of acetic acid was added in an air atmosphere (1 atm = 0.101 MPa). The mixture was stirred at 130 ° C. for 14 hours. As a result of analyzing the reaction mixture, lauric acid was produced in a yield of 18%. The conversion of 1-decene was 75%.
[0062]
Example 4
A mixed solution of 300 mmol of acetic anhydride, 2 mmol of 1-decene, 0.1 mmol of manganese acetate (II), 0.04 mmol of cobalt acetate (II), and 5 ml of acetic acid was mixed with a mixed gas of oxygen and nitrogen (molar ratio 0. The mixture was stirred at 130 ° C. for 14 hours in a 1: 0.9 atmosphere (1 atm = 0.101 MPa). As a result of analyzing the reaction mixture, lauric acid was produced in a yield of 60%. The conversion of 1-decene was 99%.
[0063]
Example 5
A mixed solution of 300 mmol of acetic anhydride, 2 mmol of 1-decene, 0.1 mmol of manganese acetate (II), 0.04 mmol of cobalt acetate (II), and 5 ml of acetic acid was mixed with a mixed gas of oxygen and nitrogen (molar ratio 0. The mixture was stirred at 130 ° C. for 14 hours in a 1: 0.9 atmosphere (1 atm = 0.101 MPa). As a result of analyzing the reaction mixture, lauric acid was produced in a yield of 32%. The conversion of 1-decene was 66%.
[0064]
Example 6
A mixture of 300 mmol of propionic anhydride, 2 mmol of 1-decene, 0.1 mmol of manganese (II) acetate, 0.04 mmol of cobalt acetate (II), and 5 ml of propionic acid was mixed with a mixed gas of oxygen and nitrogen (molar ratio). The mixture was stirred at 130 ° C. for 14 hours in an atmosphere of 0.1: 0.9) (1 atm = 0.101 MPa). As a result of analyzing the reaction mixture, 2-methyllauric acid was produced in a yield of 71%. The conversion of 1-decene was 99%.
[0065]
Example 7
A mixture of 300 mmol of acetic anhydride, 2 mmol of 1-octene, 0.1 mmol of manganese acetate (II), 0.04 mmol of cobalt acetate (II) and 5 ml of acetic acid was mixed with a mixed gas of oxygen and nitrogen (molar ratio 0.1 : 0.9) (1 atm = 0.101 MPa) and stirred at 130 ° C. for 14 hours. As a result of analyzing the reaction mixture, decanoic acid was produced in a yield of 57%. The conversion of 1-octene was 99%.
[0066]
Example 8
A mixture of 300 mmol of acetic anhydride, 2 mmol of cyclohexene, 0.1 mmol of manganese (II) acetate, 0.04 mmol of cobalt acetate (II), and 5 ml of acetic acid was mixed with a mixed gas of oxygen and nitrogen (molar ratio 0.1: 0.9 atmosphere (1 atm = 0.101 MPa) and stirred at 130 ° C. for 14 hours. As a result of analyzing the reaction mixture, cyclohexylacetic acid was produced in a yield of 36%. The conversion of cyclohexene was 77%.
[0067]
Example 9
A mixed solution of 300 mmol of acetic anhydride, 2 mmol of cyclooctene, 0.1 mmol of manganese (II) acetate, 0.04 mmol of cobalt (II) acetate, and 5 ml of acetic acid was mixed with a mixed gas of oxygen and nitrogen (molar ratio 0.1). : 0.9) (1 atm = 0.101 MPa) and stirred at 130 ° C. for 14 hours. As a result of analyzing the reaction mixture, cyclooctylacetic acid was produced in a yield of 21%. The conversion of cyclooctene was 56%.
[0068]
Example 10
A mixed liquid of 60 mmol of propionic anhydride, 1 mmol of 1,9-decadiene, 0.005 mmol of manganese acetate (II) and 0.001 mmol of cobalt acetate (II) was mixed with a mixed gas of oxygen and nitrogen (molar ratio 0.1 : 0.9) (1 atm = 0.101 MPa) and stirred at 130 ° C. for 5 hours. As a result of analyzing the reaction mixture after hydrolysis, 2,13-dimethyltetradecanedioic acid was produced in a yield of 61%, and a trace amount of 2-methyl-11-dodecenoic acid was produced. The conversion of 1,9-decadiene was 99%.
[0069]
Example 11
A mixed liquid of 60 mmol of propionic anhydride, 1 mmol of 1,9-decadiene, 0.005 mmol of manganese acetate (II) and 0.001 mmol of cobalt acetate (II) was mixed with a mixed gas of oxygen and nitrogen (molar ratio 0.1 : 0.9) (1 atm = 0.101 MPa), the mixture was stirred at 100 ° C. for 5 hours. As a result of analyzing the reaction mixture after hydrolysis, 2,13-dimethyltetradecanedioic acid was produced in a yield of 1% and 2-methyl-11-dodecenoic acid was produced in a yield of 12%. The conversion of 1,9-decadiene was 41%.
[0070]
Example 12
A mixed solution of 60 mmol of propionic anhydride, 1 mmol of 1,7-octadiene, 0.005 mmol of manganese acetate (II) and 0.001 mmol of cobalt acetate (II) was mixed with a mixed gas of oxygen and nitrogen (molar ratio 0.1 : 0.9) (1 atm = 0.101 MPa) and stirred at 130 ° C. for 5 hours. As a result of analyzing the reaction mixture after hydrolysis, 2,11-dimethyldodecanedioic acid was produced in a yield of 45%. The conversion of 1,7-octadiene was 99%.
[0071]
Example 13
A mixed solution of 60 mmol of butanoic anhydride, 1 mmol of 1,9-decadiene, 0.005 mmol of manganese acetate (II) and 0.001 mmol of cobalt acetate (II) was mixed with a mixed gas of oxygen and nitrogen (molar ratio 0.1 : 0.9) (1 atm = 0.101 MPa) and stirred at 130 ° C. for 5 hours. As a result of analyzing the reaction mixture after hydrolysis, 2,13-diethyltetradecanedioic acid was produced in a yield of 65%. The conversion of 1,9-decadiene was 99%.
[0072]
Example 14
A mixed liquid of 60 mmol of acetic anhydride, 1 mmol of 1,9-decadiene, 0.005 mmol of manganese acetate (II) and 0.001 mmol of cobalt acetate (II) was mixed with a mixed gas of oxygen and nitrogen (molar ratio 0.1: 0.9) (1 atm = 0.101 MPa) and stirred at 130 ° C. for 5 hours. As a result of analyzing the reaction mixture after hydrolysis, tetradecanedioic acid was produced in a yield of 20%. The conversion of 1,9-decadiene was 58%.
[0073]
Example 15
A mixed liquid of 60 mmol of propionic anhydride, 1 mmol of 1,8-nonadiene, 0.005 mmol of manganese acetate (II) and 0.001 mmol of cobalt acetate (II) was mixed with a mixed gas of oxygen and nitrogen (molar ratio 0.1 : 0.9) (1 atm = 0.101 MPa) and stirred at 130 ° C. for 5 hours. As a result of analyzing the reaction mixture after hydrolysis, 2,12-dimethyltridecanedioic acid was produced in a yield of 58%. The conversion of 1,8-nonadiene was 99%.
[0074]
Example 16
A mixed liquid of 50 mmol of propionic anhydride, 1 mmol of 1,5-cyclooctadiene, 0.005 mmol of manganese (II) acetate and 0.001 mmol of cobalt acetate (II) was mixed with a mixed gas of oxygen and nitrogen (molar ratio 0). .1: 0.9) (1 atm = 0.101 MPa) and stirred at 130 ° C. for 5 hours. As a result of analyzing the reaction mixture after hydrolysis, 2- (octahydro-pentalen-1-yl) -propionic acid was produced in a yield of 61%. The conversion of 1,5-cyclooctadiene was 99%.
[0075]
Example 17
A mixed solution of 150 mmol of acetic anhydride, 1 mmol of 1,5-cyclooctadiene, 0.005 mmol of manganese acetate (II), and 0.001 mmol of cobalt acetate (II) was mixed with a mixed gas of oxygen and nitrogen (molar ratio 0. The mixture was stirred at 130 ° C. for 5 hours under an atmosphere of 1: 0.9) (1 atm = 0.101 MPa). As a result of analyzing the reaction mixture after hydrolysis, (octahydro-pentalen-1-yl) -acetic acid was produced in a yield of 62%. The conversion of 1,5-cyclooctadiene was 99%.
[0076]
Example 18
A mixed liquid of 60 mmol of propionic anhydride, 1 mmol of 2,5-norbornadiene, 0.005 mmol of manganese acetate (II) and 0.001 mmol of cobalt acetate (II) was mixed with a mixed gas of oxygen and nitrogen (molar ratio 0.1 : 0.9) (1 atm = 0.101 MPa) and stirred at 130 ° C. for 5 hours. As a result of analyzing the reaction mixture after hydrolysis, tricyclo [2.2.1.0] was obtained. 2,6 ] Hept-3-yl-acetic acid was produced in 19% yield.

Claims (3)

下記式(1)
Figure 0004024637
(式中、Raは水素原子又は有機基を示し、Rb、Rcは、それぞれ水素原子又は有機基を示す。Ra、Rb、Rcは、それぞれ互いに結合して、隣接する炭素原子、又は炭素−炭素−酸素−炭素結合とともに環を形成してもよい)
で表されるアシルオキシカルボニル基含有化合物と、下記式(2a)又は(2b)
Figure 0004024637
(式中、Rd、Re、Rf、Rg、Rh、Riは、それぞれ水素原子又は有機基を示す。Rd、Re、Rf、Rgは、それぞれ互いに結合して、隣接する1又は2個の炭素原子とともに環を形成してもよい。Rh、Riは、互いに結合して、隣接する2個の炭素原子とともに環を形成してもよい)
で表される炭素−炭素不飽和結合を有する化合物とを、マンガン化合物及び/又はコバルト化合物触媒及び酸素の存在下で反応させて、下記式(3a)又は(3b)
Figure 0004024637
(式中、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg、Rh、Riは前記に同じ)
で表されるカルボン酸を生成させるか又は、式(2a)又は(2b)で表される化合物として分子内に炭素−炭素不飽和結合を複数個有する環状オレフィンを用いる場合において、一部の炭素−炭素不飽和結合にアシルオキシカルボニル基含有化合物がアシルオキシカルボニル基のα位において付加した後、残りの炭素−炭素不飽和結合によって分子内環化反応が進行し且つ前記アシルオキシカルボニル基がカルボキシル基に変換されて生成する対応するカルボキシル基を有する環化生成物を得るカルボン酸の製造法。
Following formula (1)
Figure 0004024637
(In the formula, R a represents a hydrogen atom or an organic group, and R b and R c each represents a hydrogen atom or an organic group. R a , R b and R c are bonded to each other to form adjacent carbon atoms. A ring may be formed together with an atom or a carbon-carbon-oxygen-carbon bond)
An acyloxycarbonyl group-containing compound represented by the following formula (2a) or (2b)
Figure 0004024637
(In the formula, R d , R e , R f , R g , R h , R i each represents a hydrogen atom or an organic group. R d , R e , R f , R g are bonded to each other. A ring may be formed with one or two adjacent carbon atoms, and R h and R i may be bonded to each other to form a ring with two adjacent carbon atoms).
Is reacted with a compound having a carbon-carbon unsaturated bond represented by the following formula (3a) or (3b):
Figure 0004024637
(Wherein R a , R b , R c , R d , R e , R f , R g , R h , R i are the same as above)
In the case where a cyclic olefin having a plurality of carbon-carbon unsaturated bonds in the molecule is used as the compound represented by the formula (2a) or (2b). -After an acyloxycarbonyl group-containing compound is added to the carbon unsaturated bond at the α-position of the acyloxycarbonyl group, an intramolecular cyclization reaction proceeds by the remaining carbon-carbon unsaturated bond, and the acyloxycarbonyl group is converted to a carboxyl group. A process for producing a carboxylic acid to obtain a cyclized product having a corresponding carboxyl group .
式(2a)又は(2b)で表される炭素−炭素不飽和結合を有する化合物として分子内に炭素−炭素不飽和結合を複数個有する化合物を用いて、カルボキシル基を複数個有する対応するポリカルボン酸を生成させる請求項1記載のカルボン酸の製造法。  Corresponding polycarboxylic acid having a plurality of carboxyl groups using a compound having a plurality of carbon-carbon unsaturated bonds in the molecule as the compound having a carbon-carbon unsaturated bond represented by formula (2a) or (2b) The method for producing a carboxylic acid according to claim 1, wherein an acid is produced. 溶媒として、プロトン性溶媒が用いられている請求項1又は2記載のカルボン酸の製造法。  The method for producing a carboxylic acid according to claim 1 or 2, wherein a protic solvent is used as the solvent.
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