上記特許文献1に記載のブラインド式雨戸によれば、雨戸本体を全閉施錠した状態である程度隙間が開くようにして通風及び採光を可能としたものであるが、前記のように隙間を開けるためには、施錠後にX字形伸縮部材の一方の端軸部を取り外さなければならない。このX字形伸縮部材は、雨戸本体の上端に位置し、しかも雨戸本体と上部枠との間の僅かな隙間に位置しているため、X字形伸縮部材の一方の端軸部を外すことは容易でない。又、外した端軸部を元通りに嵌めることも容易ではないという問題がある。一方、上記特許文献2に記載の両開きシャッタ兼用ブラインドによれば、ブラインドを閉じて施錠した状態で羽根板を所定の角度で開き、通風及び採光を可能としたものであるが、これを実現するために施錠手段とは別にカンヌキと突起とを備えたスライド自在パネルを構成しなければならず、構造が複雑になって製造し難くなり、且つ安価に製造できないという問題がある。
本発明は、このような従来技術が抱えている問題を解決するためになされたもので、X字形の伸縮部材を用いない構成を採用し、シャッタを全閉施錠した状態で通風及び採光のため簡単に隙間をあけることができ、又施錠手段とは別にカンヌキと突起とを備えたスライド自在パネルの構成を採用することなく、従来よりも簡単な構造で操作し易く、且つ安価に製造できるようにした通風・採光式シャッタを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するための手段として、本発明の請求項1は、複数の板材の上下端部に連結部材がそれぞれ取り付けられて開閉自在に一体化されたシャッタ本体を備え、このシャッタ本体の上下部に回転部材がそれぞれ取り付けられ、シャッタ本体を立て付ける枠体は、その上部枠にガイドレールを設けて前記上部回転部材が移動できるようにシャッタ本体を吊支し、下部枠にスリットを設けて前記下部回転部材が移動できるようにシャッタ本体を支持し、前記連結部材を介してシャッタ本体を横方向に移動させて開閉できるように構成した通風・採光式シャッタであって、前記シャッタ本体は、主開閉部とこの主開閉部に連結された副開閉部を備え、前記主開閉部の側端部は根留め金具を介して前記枠体の一方の端部に取り付けられ、前記副開閉部の側端部には框が取り付けられ、この框が前記枠体の他方の端部に主ロック手段を介して施錠/解錠可能に形成され、更に前記副開閉部が前記框に対して副ロック手段を介して施錠/解錠可能に形成されたことを特徴とする。
本発明の請求項2は、請求項1に記載の通風・採光式シャッタにおいて、前記主開閉部は、所定の幅及び所定の長さを有する複数の板材から形成され、副開閉部は前記主開閉部の金属板材より小幅で当該板材と同じ長さを有する複数の板材から形成されていることを特徴とする。
本発明の請求項3は、請求項1又は請求項2に記載の通風・採光式シャッタにおいて、前記連結部材は、板材同士を開閉自在に連結するための複数の連結杆から構成されていることを特徴とする。
本発明の請求項4は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の通風・採光式シャッタにおいて、前記主開閉部及び副開閉部の複数の板材は、いずれもアルミニウム材で押し出し成形により一体に形成され、内部にリブで仕切られた空間部を有することを特徴とする。
本発明の請求項5は、請求項4に記載の通風・採光式シャッタにおいて、前記アルミニウム材で押し出し成形により一体に形成された板材は、一方の表面要所に凸部が設けられ、この凸部に対応する他方の表面個所に凹部が設けられていることを特徴とする。
本発明の請求項6は、請求項4に記載の通風・採光式シャッタにおいて、前記副開閉部の板材は、両面に凹凸部が設けられ、シャッタ本体を全閉して副開閉部が折り畳まれた状態では、隣接する板材同士の凹凸部が互いに嵌合することを特徴とする。
本発明の請求項7は、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の通風・採光式シャッタにおいて、前記主開閉部の側端部に介在させる根留め金具に係合棒を突出させて設け、シャッタ本体を閉じた時には前記係合棒に主開閉部の側端部の板材が係合し、シャッタ本体を開いた時にはその係合が解除されるように構成したことを特徴とする。
本発明の請求項8は、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の通風・採光式シャッタにおいて、前記シャッタ本体の上部回転部材は、支持材に水平軸を介して回転可能に取り付けられたローラから構成され、前記複数の板材に対して前記ローラが交互に相反位置となるように前記支持材を板材にそれぞれ取り付け、前記上部枠のガイドレールは、前記支持材を摺動させるスリットを挟んで平行に2列設けられ、この2列のガイドレールに対して前記ローラが交互に2列に係合してそれぞれ移動するように構成されていることを特徴とする。
本発明の請求項9は、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の通風・採光式シャッタにおいて、前記シャッタ本体を立て付ける枠体は、上部枠と下部枠と側部枠とから構成され、前記上部枠及び下部枠は建物の外壁にビス止めする取付部が上下に設けられ、上部枠の上取付部及び下部枠の下取付部は断面略コ字形に形成し、ビス止めしたビスが外部に露出しないように隠蔽材をそれぞれ嵌着することを特徴とする。
本発明の請求項10は、請求項9に記載の通風・採光式シャッタにおいて、前記枠体の側部枠は、建物の外壁にビス止めする取付部が後面に設けられると共に、この取付部のビスに対応する工具挿通用孔が前面に設けられ、ビス止めしたビスが外部から見えないように前記工具挿通用孔に隠蔽材を嵌着し、且つ前記シャッタ本体を閉じた時に前記主開閉部の側端部の板材によってビス止めしたビスと工具挿通用孔との間が遮断されることを特徴とする。
本発明の請求項11は、請求項1ないし請求項10のいずれかに記載のシャッタ本体と、このシャッタ本体の副開閉部と対向するように形成した追加副開閉部とを備え、この追加副開閉部の端部には框がそれぞれに取り付けられ、一方の框は前記枠体の端部に取り付けられると共に、他方の框は前記主ロック手段に係合するロック受け具が設けられ、この主ロック手段とロック受け具により前記シャッタ本体の副開閉部と前記追加副開閉部とが施錠/解錠可能に形成され、且つ追加副開閉部に副ロック手段が施錠/解錠可能に形成された通風・採光式シャッタを特徴とする。
本発明の請求項12は、請求項1ないし請求項10のいずれかに記載のシャッタ本体と、このシャッタ本体に対して前記副開閉部が対向するように形成したシャッタ本体を左右に備え、一方のシャッタ本体における副開閉部の端部框に設けられた主ロック手段に係合するロック受け具が他方のシャッタ本体における副開閉部の端部框に設けられ、この主ロック手段とロック受け具により双方の副開閉部を施錠/解錠可能に形成することで両開きに構成した通風・採光式シャッタを特徴とする。
本発明の請求項13は、請求項1ないし請求項12のいずれかに記載の通風・採光式シャッタにおいて、前記枠体と同じ材質で形成された下地枠体を建物の外壁に取り付け、この下地枠体に対して前記枠体を取り付けることを特徴とする。
上記請求項1の発明によれば、シャッタ本体を全閉して主ロック手段及び副ロック手段を施錠すると、シャッタ本体は全面に渡って閉塞状態となるため風雨に対する遮断機能を発揮できると共に、主開閉部及び副開閉部が全くスライド不能となるため防犯機能を発揮することができる。この全閉施錠状態から副ロック手段のみを解錠すると、所定の範囲内でスライド可能となるため副開閉部及びこの副開閉部に連結している主開閉部を共にある程度開くことができる。この時、主ロック手段は施錠したままの状態であるからシャッタ本体を全開することはできない。これにより、シャッタ本体の主ロック手段を施錠した状態のまま、ほぼ全面に渡って通風及び採光が可能となる。又、主ロック手段を解錠すれば、シャッタ本体を全開することができ、主開閉部及び副開閉部を折り畳んだ状態にして開口部を広く開放することができる。従来のようにX字形伸縮部材が用いられていないので操作が容易であり、又施錠手段とは別にカンヌキと突起とを備えたスライド自在パネルを構成するものに比して、構造が簡単であって安価に製造することができる。
上記請求項2の発明によれば、シャッタ本体の副開閉部を主開閉部より小形に形成することにより、前記シャッタ本体の主ロック手段を施錠したまま、通風及び採光のため副開閉部をスライドさせる際に開き幅を所定の範囲内に規制することができる。これにより、主開閉部及び副開閉部の開き過ぎを阻止して防犯上役立てることができる。
上記請求項3の発明によれば、シャッタ本体の主開閉部及び副開閉部は、板材同士を開閉自在に連結する連結部材として複数の連結杆が用いられているため、従来のX字形伸縮部材を用いることなく容易に組み付けることができる。これにより、従来のX字形伸縮部材を別物品として製作する必要がなくなり、製造し易くなると共にコストの低減を図ることが可能となる。又、従来のようにX字形の伸縮部材の一方の端軸部を取り外し、後で嵌め戻すといった面倒で困難な作業を必要とすることなく、前記シャッタ本体の主ロック手段を施錠したまま、通風及び採光のため容易に隙間を開けることができる。
上記請求項4の発明によれば、主開閉部及び副開閉部の複数の板材は、いずれもアルミニウム材で押し出し成形により一体に形成され、内部にリブで仕切られた空間部を有するため、従来の単板状のものに比して遮音性、断熱性に優れ、且つ強度も強いシャッタを提供することができる。
上記請求項5の発明によれば、シャッタ本体を全開して主開閉部及び副開閉部が折り畳まれた時に、主開閉部の板材に設けた凸部により隣接する板材の表面同士が接触する面積を大幅に減少させ、これにより板材の表面にすり傷が生じないように保護することができる。又、凸部に対応させて設けた凹部により折り畳まれた時の板材表面への凸部の衝撃力を緩和させ、これにより凹み傷の発生を抑制することができる。この凹凸部はデザイン要素としての機能も発揮し、しかもデザインのためだけではなく板材表面の傷や色むらをぼかす効果が得られる。
上記請求項6の発明によれば、シャッタ本体を全閉して副開閉部が折り畳まれた状態では、隣接する板材同士の凹凸部が互いに嵌合するので、外部から隣接する板材間に薄い平板や細い棒等を差し込んで、前記副ロック手段16を外そうとしても、凹凸部の嵌合により薄い平板や細い棒等の侵入が阻止されて外すことはできず、副ロック手段16の防犯機能を高めることができる。
上記請求項7の発明によれば、前記主開閉部の側端部に介在させる根留め金具に係合棒を突出させて設け、シャッタ本体を閉じた時には前記係合棒に主開閉部の側端部の板材が係合し、シャッタ本体を開いた時にはその係合が解除されるように構成したので、シャッタ本体の全閉状態で外部からバール等によりこじ開けようとしても、板材と係合棒との係合によって容易に開けることはできず、しかもその係合部は側部枠内に位置しているため外部からは見えない。これにより、補助的なロック効果が得られる。
上記請求項8の発明によれば、シャッタ本体の上部回転部材は、支持材に水平軸を介して回転可能に取り付けられたローラから構成され、複数のローラを交互に位置を変えて2列となるように取り付け、上部枠に設けられた2列のガイドレールに対し交互に2列に振り分けて係合させたので、シャッタ本体を全開して主開閉部及び副開閉部の板材が折り畳まれた状態となった時に、上部回転部材の支持材同士は上部枠のスリット内で相互に接触するが、前記ローラは交互に位置しているため2列のガイドレール内で相互に接触することはない。これにより、従来のローラより直径の大きなローラを採用することができ、回転機能を向上させてシャッタ本体を軽くしかも円滑に移動させることができる。従来のものでは、一軸2車輪方式のローラが用いられており、シャッタ本体を全開して板材が折り畳まれた状態となった時に、2列のガイドレール内でローラが相互に接触するため、ローラの直径が規制されて径の大きなローラを採用できなかった。
上記請求項9及び請求項10の発明によれば、シャッタ本体を立て付ける枠体は、上部枠と下部枠と側部枠とから構成され、これらはいずれも建物の外壁にビス止めして取り付けるが、ビス止めしたビスが外部に露出しないように隠蔽材をそれぞれ嵌着するので、外部からの侵入に対する防犯効果が大きい。側部枠の上下端部は上部枠及び下部枠の端部に側方からそれぞれビス止めし、これらのビスに関してはあえて隠蔽しないが、仮にこれらの止めビスが外部から外されたとしても、側部枠の後面取付部が外壁にビス止めされ、この止めビスは前面の工具挿通用孔に嵌着した隠蔽材により外部から見えないようにしてあるため防犯効果を奏する。更に、シャッタ本体を閉じた時には、主開閉部の端部の板材により工具挿通用孔と止めビスとの間が遮断されるため、仮に工具挿通用孔に嵌着した隠蔽材が外されたとしても、工具挿通用孔に差し込んだねじ回し(ドライバー)が板材に阻害されて止めビスまで届かず、これにより止めビスを外部から外すことはできない構造になっている。
上記請求項11の発明によれば、シャッタ本体の副開閉部と追加副開閉部とが端部框を介して着脱可能に連結されているため、全閉状態においてシャッタ本体の副開閉部のみを開いた時と、これに加えて追加副開閉部を開いた時とでは通風・採光の度合いが相違する。これにより、季節や天候に応じて通風・採光量を自在に且つ広範囲に調節することができる。又、シャッタ本体の副開閉部と追加副開閉部との連結を外せば、シャッタ本体の副開閉部は主開閉部と共に枠体の一端側に折り畳んで位置させ、追加副開閉部は枠体の他端側に折り畳んで位置させることができる。これにより全開時には開口部の一端側に双方の副開閉部が集結することはなく、開口部の端部で邪魔になるのを避けることができる。
上記請求項12の発明によれば、副開閉部を対向させた左右対称のシャッタ本体を備え、一方のシャッタ本体における副開閉部の端部框に設けた主ロック手段に係合するロック受け具を他方のシャッタ本体における副開閉部の端部框に設け、この主ロック手段とロック受け具により双方の副開閉部を施錠/解錠可能に形成したので、両開き形式の通風・採光式シャッタを容易に構成することができる。
上記請求項13の発明によれば、建物に枠体を取り付ける際、外壁面よりアルミサッシュ、網戸等が突出しているような場合は、外壁に下地枠材を取り付け、この下地枠体に対して枠体を取り付けることで解決することができる。下地枠材は枠体と同じ材質で形成されているため、外観や体裁を損なうことなくシャッタを容易且つ確実に取り付けることが可能となる。
(第1実施形態)
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る通風・採光式シャッタの第1実施形態を示す概略縦断側面図である。図中、1は金属で形成された方形の枠体であり、この枠体1内にシャッタ本体2が横方向に移動可能に立て付けられている。枠体1は上部枠3と、下部枠4と、図4に示す側部枠5とから構成され、これらはいずれもアルミニウム材で押し出し成形により製作する。
上記上部枠3は、図2(b)に示すような側面形状を有し、上部には建物の外壁にビス止めするための上取付部31が断面略コの字形に設けられ、下部には下取付部32が断面略L字形に設けられ、前方に突出した中央部には下向きに開口するスリット33と、このスリット33を挟んで両側に並設された2列のガイドレール34が断面略凹溝形に設けられている。又、上取付部31及び下取付部32の鉛直部には、複数のビス孔31a、32aが図2(a)のように長さ方向(横方向)に沿ってそれぞれ所定の間隔をあけて設けられている。更に、2列のガイドレール34の外側に位置させて、側枠部5を組み付けるためのビス受け部35が断面略C字形にそれぞれ設けられている。ビス受け部35にはねじ溝が設けられていないが、ビスをねじ込むことで内面にねじ溝が形成されてビスを固定することができる。
上記下部枠4は、図3に示すような側面形状を有し、下部には建物の外壁にビス止めするための下取付部41が断面略コの字形に設けられ、上部には上取付部42が断面略L字形に設けられ、前方に突出した中央部には上向きに開口するスリット43と、このスリット43を挟んで両側に並設された2列のガイドレール44が断面略凹溝形に設けられている。又、下取付部41及び上取付部42の鉛直部には、複数のビス孔41a、42aが長さ方向(横方向)に沿ってそれぞれ所定の間隔をあけて設けられている。更に、2列のガイドレール44の外側に位置させて、側枠部5を組み付けるための上記と同様のビス受け部45が断面略C字形にそれぞれ設けられている。この下部枠4は前記上部枠3と上下対称の形状であるため兼用することが可能である。これにより、上部枠3と下部枠4とは別個に製作する必要がないため、コストの低減を図ることができる。
上記側部枠5は、図4(b)に示すような平面形状を有し、後面側には建物の外壁にビス止めするための取付部51が設けられ、この取付部51には複数のU字形切欠孔51aが側部枠5の長さ方向(縦方向)に沿って所定の間隔をあけて設けられている。又、図4(a)に示すように、側面52の上端部には前記上部枠3の側端部に取り付けるためのビス孔52aが前後に2つ設けられており、これらのビス孔52aは前記上部枠3のビス受け部35にそれぞれ対応している。尚、図示は省略されているが、側面の下端部にも前記下部枠4の側端部に取り付けるためのビス孔が前後に2つ設けられており、これらのビス孔は前記下部枠4のビス受け部45にそれぞれ対応している。側部枠5の前面側は断面略L字形に形成され、その前面53には図4(a)及び(c)に示すように前記取付部51のU字形切欠孔51aに対応する工具挿通用孔53aが設けられている。更に、図4(c)に示すように上端部の斜線部分を切り欠いて、前記枠体1を形成する際に側部枠5の上端部と上部枠3の端部とが密着できるようにしてある。図示は省略したが、下端部にも同様の切り欠きを設けて側部枠5の下端部と前記下部枠4とが密着できるようにする。尚、側部枠5の後面側角隅部には段部54が高さ方向に沿って設けられている。
図5は、前記枠体1内にスライド可能に立て付けるシャッタ本体2を折り畳んだ状態で示す概略平面図である。このシャッタ本体2は、主開閉部21とこの主開閉部21に連結された副開閉部22を備えている。主開閉部21は複数の板材6と、これらの板材6を開閉自在に連結する連結部材である複数の連結杆7とから構成されている。板材6は金属板材、樹脂板材、パンチングメタル板材、木板材等その材質は特に限定されないが、本実施形態では、図6に示すようにアルミニウム材で押し出し成形により一体に形成され、内部に複数のリブ61で仕切られた空間部62を有し、両端部付近とほぼ中央部には断面略C字形のビス受け部63が設けられ、一方の端部には断面略C字形のガスケット取付部64が設けられている。ビス受け部63にはねじ溝が設けられていないが、前記と同様にビスをねじ込むことで内面にねじ溝が形成されてビスを固定することができる。
上記板材6の表面要所には微細な凹凸部が設けられており、例えば図6の部分拡大図P、Qに示すようにリブ61に対応する一方の表面に微細な凸部65が長手方向に沿ってそれぞれ設けられ、リブ61に対応する他方の表面には複数の微細な凹部66が長手方向に沿ってそれぞれ設けられている。微細な凸部65は主開閉部21が図5のように折り畳まれた時に、隣接する板材6の表面同士が接触する面積を大幅に減少させて板材6の表面にすり傷が付かないように配慮したものである。複数の微細な凹部66は折り畳まれた時の凸部65の衝撃力を緩和して、凸部65による凹み傷が極力生じないようにする。又、微細な凸部65及び凹部66は、縦縞模様としてデザイン要素の機能も発揮するが、単にデザイン上のためだけではなく板材表面の傷や色むらをぼかす役割を果たすものである。このため、微細な凹部66はリブ61に対応する部分のみならず、ほぼ中央のビス受け部63に対応する部分及び端部のビス受け部63や、ガスケット取付部64の周辺部にも設けるようにすると好ましい。
上記連結杆7は、図7(a)に示すようにアルミニウム材等の金属板で所定の幅及び長さを有する平板状に形成され、両端部付近と中央部にビス挿通孔71が設けられた長連結杆72と、図7(b)に示すようにアルミニウム材等の金属板で所定の幅及び長さを有する平板状に形成され、両端部付近ビス挿通孔71が設けられた短連結杆73とから構成されている。この短連結杆73の幅は長連結杆72と同じであるが、長さは長連結杆72のほぼ1/2になっている。
前記副開閉部22も基本的な構成は主開閉部21と同様であり、複数の板材6Aと、これらの板材6Aを開閉自在に連結する連結部材である複数の連結杆7Aとから構成されている。そして、板材6Aは図示を省略したがアルミニウム材で押し出し成形により一体に形成され、内部にリブで仕切られた空間部を有し、両端部付近とほぼ中央部には断面略C字形のビス受け部が設けられている。又、連結杆7Aも基本的な構成は連結杆7とほぼ同様であり、アルミニウム材等の金属板で所定の幅及び長さを有する平板状に形成され、両端部付近と中央部にビス挿通孔が設けられた長連結杆72Aと、アルミニウム材等の金属板で、所定の幅及び長さを有する平板状に形成され、両端部付近ビス挿通孔が設けられた短連結杆73Aとから構成されている。この短連結杆73Aの幅は長連結杆72Aと同じであるが、長さは長連結杆72Aのほぼ1/2程度になっている。又、副開閉部22の板材6Aの板厚は主開閉部21の板材6とほぼ同じであるが、板幅はほぼ1/3程度になっている。
前記主開閉部21を形成するには、図5のように複数の板材6を複数の連結杆7を用いて組み付ける。長連結杆72は、その中央部のビス挿通孔71にビス8を挿通し、このビス8を板材6の中央部のビス受け部63にねじ込む。この時、図8に示すようにビス挿通孔71より若干小さい外径を有すると共に、長連結杆72の板厚より若干大きな高さを有するスリーブ9を介在させてビス8をビス受け部63に締め付け固定する。これにより、長連結杆72は、板材6に対して堅固に固定されずにスリーブ9を介して長連結杆72と板材6とが相互に回動可能に取り付けられる。そして、長連結杆72の上端部は、その上端部のビス挿通孔71にビスを挿通し、このビスを図5で左側に隣接する板材6の上端部のビス受け部63にスリーブ9を介してねじ込む。長連結杆72の下端部は、図5で右側に隣接する板材の下端部にビスで取り付けられるが、この取り付けに際しては図9に示すように上部回転部材10の取り付けを兼ねる。尚、主開閉部21における板材6の枚数は限定されず、開口部の大きさによって適宜決定される。
上部回転部材10は、直方体状の支持材101に水平軸102を介して取り付けられたベアリングローラ103から構成されており、支持材101には段付き孔101aが上下方向に貫設されている。この場合、水平軸102としては支持材101の取付部101bに対してベアリングローラ103を螺着しているビス8Cであるが、これに限定されず例えば図示を省略したシャフトを用いることができ、シャフトを用いた場合にはベアリングローラ103に替えて円筒状のローラを用いることができる。又、ベアリングローラ103は、ほこり等の侵入を防ぐシールドタイプのものであって、被覆板104により被覆されている内部にはグリースが収容されている。これにより、ベアリングローラ103が常時円滑に回転し、且つ長期間の使用に耐え得るように配慮してある。
この上部回転部材10と共に長連結杆72の他方の端部を板材6の図5で下端部に取り付けるには、図9に示すように支持材101の段付き孔101aの下端部にスリーブ9Aを嵌合し、このスリーブ9Aの突出下端部を長連結杆72のビス挿通孔71に挿通し、段付き孔101aの上端部からビス8Aをスリーブ9A内に落とし込んで、板材6のビス受け部63にねじ込む。これにより、長連結杆72は、板材6に対して堅固に固定されずにスリーブ9Aを介して長連結杆72と板材6とが相互に回動可能に取り付けられる。そして、上部回転部材10の支持材101もスリーブ9Aを介して若干の上下動が可能であり、且つ支持材101と板材6とが相互に回動可能に取り付けられる。尚、上部回転部材10は、複数の板材6に対して前記ベアリングローラ103が交互に相反位置となるように前記支持材101を板材6にそれぞれ取り付ける。前記上部枠3のガイドレール34は、図2(b)のように支持材101を摺動させるスリット33を挟んで平行に2列設けられており、この2列のガイドレール34に対してベアリングローラ103が交互に2列に振り分けられて係合し、それぞれガイドレール34に沿って移動するように構成される(図1参照)。
上記主開閉部21において、図5で左端部に位置する板材6は、その中央部と、隣接する右側の板材6の下端部との間に前記短連絡杆73が取り付けられる。又、左端部の板材6には、その上下部に根留め金具11が上下対称にそれぞれスリーブ9を介してビス8で固定される(図11参照)。主開閉部21における右端部の長連結杆72は、下端部が内側框12のビス受け部に前記スリーブ9Aを介してビス8Aで回転部材10と共に取り付けられる。
上記根留め金具11は、図11に一部拡大斜視図Rで示すように底板111と、この底板111の一方の端部から垂直に立ち上がる側板112と、その側板112の上端から水平に張り出し且つ底板111と長さ方向が直角をなす上板113とが一体に連設されて成り、上板113の中央部には通孔113aが設けられると共に、この通孔113aを挟んで両側に取付孔113bがそれぞれ設けられ、底板111には通孔113aに対応するねじ孔111aと、シャッタ本体への取付孔111bとが設けられている。上部の根留め金具11は、上記のように底板111の取付孔111bを利用し、スリーブ9を介してビス8で主開閉部21における左端部の板材6に取り付けられる。そして、根留め金具11の上板113の上方から係合棒114(図示の例ではねじ棒)を、通孔113aに挿し込み底板111のねじ孔111aにねじ込むことで、この係合棒114が底板111より下方に突出するように固定する。下部の根留め金具11も同様に左端部の板材6に取り付けるが、上部の根留め金具とは上下対称であるため係合棒114は上方に突出した状態となる。尚、係合棒114としては、ねじ棒に替えて係合ピンを用いることができ、その場合にはねじ孔111aを通孔に替え、この通孔及び通孔113aに係合ピンを挿通して根留め金具11に溶接する。
次に、副開閉部22を形成するには、図5に示すように複数の板材6Aを複数の連結杆7Aを用いて組み付けるが、基本的には上記主開閉部21の組み付け方法と同様である。
主開閉部21の組み付けと大きく異なるのは前記上部回転部材10を板材6Aの中央部に取り付けることである。即ち、長連結杆72Aの中央部を上部回転部材10と共に板材6Aの中央部に取り付ける。その取り付け方は上記と同様にスリーブ9Aを介してビス8Aで行う。上部回転部材10を板材6Aの中央部に取り付けるのは、主開閉部21に取り付けた上部回転部材10と一直線状に位置するように揃えるためである。長連結杆72A及び短連結杆73Aの取付方法は上記主開閉部21の長連結杆72及び短連結杆73と同様であるから詳しい説明は省略する。尚、副開閉部22における左端部の板材6Aは、その下端部に短連結杆73Aの下端部がスリーブ9を介してビス8で取り付けられ、この短連結杆73Aの上端部は連結框12にスリーブ9Aを介してビス8Aで上部回転部材10と共に取り付けられる。又、副開閉部22の右端部の板材6Aは、上端部に短連結杆73Aの上端部がスリーブ9を介してビス8で取り付けられ、この短連結杆73Aの下端部は端部框13の左端部にスリーブ9Aを介してビス8Aで上部回転部材10と共に取り付けられ、更に端部框13の右端部にはスリーブ9Aを介してビス8Aで上部回転部材10のみが取り付けられる。尚、副開閉部22における板材6Aの枚数は限定されず、大開口部の場合には採光・通風量を十分確保するために板材6Aの枚数を増やし、小開口部の場合には板材6Aの枚数を減らす等の設計変更が可能である。又、主開閉部21における板材6の枚数との関係で、採光・通風量にバランスがとれるように副開閉部22の板材6Aの枚数を設定すると好ましい。
このようにして、主開閉部21及び副開閉部22の上端に連結部材である連結杆7及び連結杆7Aがそれぞれ取り付けられ、且つ上部回転部材10が一直線状に並ぶようにそれぞれ取り付けられるが、主開閉部21及び副開閉部22の下端にも同様に連結部材である連結杆7及び連結杆7Aがそれぞれ取り付けられる。そして、上端と異なるのは形態の異なる下部回転部材14が上部回転部材10に替えて取り付けられることである。
下部回転部材14は、図10に示すように垂直軸141を介して取り付けられた円筒状のローラ142から構成されており、垂直軸141としてはビス8Bであるが図示を省略したシャフトであってもよい。この下部回転部材14を連結杆7と共に板材6に取り付けるには、図10に示すようにローラ142にスリーブ9Bを嵌合し、このスリーブ9Bの突出上端部を例えば長連結杆72のビス挿通孔71に挿通し、板材6のビス受け部63にねじ込む。これにより、長連結杆72は、板材6に対して堅固に固定されずにスリーブ9Bを介して長連結杆72と板材6とが相互に回動可能に取り付けられる。そして、ローラ142はスリーブ9Bを介して回転可能となる。副開閉部22において、下部回転部材14を連結杆7Aと共に板材6Aに取り付ける場合も同様である。この下部回転部材14は、前記上部回転部材10と同様に一直線状に位置するようにそれぞれ取り付け、図1のように前記下部枠4のスリット43に沿って移動できるように構成する。尚、前記連結框12の左右端部及び端部框13の左右端部にも、上部回転部材10に対応させて下部回転部材14がそれぞれ下端に取り付けられる。
このようにして、主開閉部21と副開閉部22とを連結框12及び端部框13を介して一体に結合することにより前記シャッタ本体2が構成される。このシャッタ本体2は予め一体に組み付けたユニットとして工場で量産することができる。従来のようにX字形の伸縮部材を別途形成することなく、連結杆7、7Aを用いてシャッタ本体2を容易に形成できるので、従来に比して生産が容易となり且つコストの低減を図ることが可能となる。尚、図5に示すシャッタ本体2は、室内側から見て副開閉部22が主開閉部21の右側に連結されたものであるが、副開閉部22を主開閉部21の左側に連結したものも形成することができる。この左右の位置関係は、シャッタ本体2が左方開きか右方開きかによって決定される。
上記シャッタ本体2の副開閉部22側には、主ロック手段15及び副ロック手段16が装着される。主ロック手段15は、図5のように前記端部框13に装着されており、例えば図12に示すように室内側から操作するノブ151を例えば時計回りに回転させてロック位置にすると、ロック片152が飛び出して前記側枠部5に設けられたロック受け具(図略)に係止して施錠状態となり、ノブ151を反時計回りに回転させてアンロック位置にすると、ロック片152がロック受け具から外れて端部框13に引っ込んで解錠状態となるようにしてある。これにより、シャッタ本体2を図13(b)のように全閉してから主ロック手段15を施錠すると、シャッタ本体2を外部から開けることはできず、防犯機能を発揮させることができる。一方、全閉状態から主ロック手段15を解錠すると、シャッタ本体を開くことができる。尚、図12は図13と対応しておらず、副開閉部が主開閉部の左側に連結されたものであるが、左右逆になっていても主ロック手段15の機能は同一である。又、主ロック手段15は上記構造のものに限定されない。
上記副ロック手段16は、図12に示すように前記連結框12から端部框13に横断してロックレバー161が装着されており、例えばロックレバー161の基端側は連結框12にピン162を介して回動可能に取り付けられると共に、連結框12に設けられた張出片121に上下方向に設けられたスリット孔121a、及びこれに対応させて端部框13に設けられた張出片131に上下方向に設けられたスリット孔131aを貫通し、ロックレバー161の先端側に設けられた切欠部161aを張出片131に係止して施錠状態となり、ロックレバー161の先端部を図12(b)のように若干持ち上げて時計回りに若干回転させると切欠部161aが張出片131から外れてアンロック位置となり、その状態のままロックレバー161を右方向に移動させて張出片131のスリット孔131aから抜けば、副開閉部22を一定の範囲内で開くことができる。これにより、主ロック手段15は施錠したまま、副ロック手段16のみを解錠すれば副開閉部22を一定の範囲内で開くことができると共に、この副開閉部22に連結している主開閉部21も同時に一定の範囲内で開くことができる。即ち、シャッタ本体2は主ロック手段15を施錠した状態のまま、図13(a)のように通風及び採光のため簡単に隙間を開けることができるのである。尚、副ロック手段16は、上記の構造のものに限定されない。
上記実施形態では、施錠手段が1つの主ロック手段15と、1つの副ロック手段16とにより構成されているものであるが、防犯効果を高めるためにこれ以外の補助ロック手段、例えば枠体1の上部枠3又は下部枠4に挿脱するフック棒、又はフランス錠もしくは側部枠5に掛ける打掛錠等を1つ又は2つ以上付け加えることが可能である。又、主ロック手段15は室内側から施錠/解錠操作をするものであるが、これに限定されずにシリンダ錠とサムターンとを組み合わせて構成し、室内側からは内鍵操作を可能とし、室外側からは同一キーを使って外鍵操作ができるようにすれば、例えばガレージ、玄関、店舗等のシャッタとして好適なものとなる。
次に、シャッタ本体2を前記枠体1と共に、図1のように建物に取り付ける要領に付いて説明する。図11はその取付要領を示す説明図であり、前記上部枠3と下部枠4及び一方の側部枠5(図示されず)を建物の外壁にそれぞれビスで固定することにより枠体1の三辺を形成する。施工現場の地上で予め枠体1の三辺を形成した後に、建物の外壁にビスで固定するようにしてもよい。上部枠3の取り付けは、前記上取付部31の複数のビス孔31a及び下取付部32の複数のビス孔32aをそれぞれ利用してビス止めする。下部枠4の取り付けも同様に、前記下取付部41のビス孔41a及び上取付部42のビス孔42aをそれぞれ利用してビス止めする。図示されていない一方の側枠部5の取り付けは、前記取付部51のU字形切欠孔51a及びこれに対応する前面53の工具挿通用孔53aを利用して外壁にビス止めすると共に、上端部は前記側面52のビス孔52aから上部枠3のビス受け部35にビスをそれぞれねじ込んで固定し、下端部も同様に側面のビス孔から下部枠4のビス受け部45にビスをそれぞれねじ込んで固定する。上部枠3及び下部枠4に対して上記一方の側部枠5を取り付けるに際し、側部枠5のU字形切欠孔51aにより外壁へのビス止め位置を定めた後に側部枠5を一旦外し、そのビス止め位置にビス8Gをある程度ねじ込んで仮止めし、この後側部枠5のU字形切欠孔51aに仮止めしたビス8Gを嵌め込むようにして側部枠5を再度組み付け、前面53の工具挿通用孔53aからドライバーを差し込んでビス8Gを完全に締め付けることで側部枠5の後面を外壁に固定することができる。このようにして、先にビス8Gを外壁に仮止めしておけばドライバーによる側部枠5のビス止め作業が容易にでき、ドライバーの先端に嵌めたビス8Gが途中で落下するといった不手際を避けることができる。
又、上部枠3の上取付部31においてビス止めしたビス8Dが外部に露出しないように断面略コ字形に形成されている上取付部31に隠蔽材17を嵌着する。隠蔽材17は例えばアルミニウム材で押し出し成形により一体に形成され、帯状板171の背面側の上下に係止片172が長さ方向に沿って対設されており、これらの係止片172が断面略コ字形の上取付部31の上下に設けられている突起に係止することで抜け出しを阻止している。下部枠4の下取付部41においても同様に、ビス止めしたビス8Dが露出しないように断面略コ字形に形成されている下取付部41に隠蔽材17を嵌着する。
次いで、前記のように工場でユニットとして生産され、施工現場に持ち込まれたシャッタ本体2を、上記側部の一辺が開口している枠体1内に装着する。このシャッタ本体2の装着に際しては、前記主開閉部21及び副開閉部22が共に折り畳まれた状態のまま、端部框13側から順に嵌めこみ、この時シャッタ本体2の上部回転部材10は支持材101を上部枠4のスリット33に挿入し、ベアリングローラ103が交互に2列のガイドレール34に振り分けて係合するようにし、下部回転部材14はローラ142が全て下部枠4のスリット43に挿入するようにしてシャッタ本体2を完全に装着する。又、上部枠3及び下部枠4のみを所定の位置にビス止めして一方の側部枠5を取り付けない状態、即ち両側部とも開口した状態でシャッタ本体2を装着するようにしても良く、この場合はいずれか一方の開口を選択することができる。尚、シャッタ本体2は折り畳んだ状態において、主開閉部21が室外側に突出するようにして枠体1に装着する(図1参照)。
シャッタ本体2の装着後、側端部に取り付けられている前記上部根留め金具11を、上板113の取付孔113bを利用して上部枠3の端部に下からビス8Eで固定すると共に、下部根留め金具11は下部枠4の端部に上からビス8Eで固定することにより、シャッタ本体2の一方の端部を固定する。
この後、残りの側部枠5を取り付けて枠体1を完全に形成するが、その取り付けは上記と同じく取付部51のU字形切欠孔51a及び工具挿通用孔53aをそれぞれ利用して外壁にビス止めすると共に、上端部は側面52のビス孔52aから上部枠3のビス受け部35にビス8Fをそれぞれねじ込んで固定し、下端部も側面のビス孔から下部枠4のビス受け部45にビス8Fをそれぞれねじ込んで固定する。尚、両方の側部枠5において、前面53の工具挿通用孔53aに略キャップ状の隠蔽材18をそれぞれ嵌着して、ビス止めしたビス8Gが工具挿通用孔53aを通して外部から見えないようにする。前記のようにビス8Fが外部から外されたとしても、側部枠5は取付部51が前記ビス8Gで外壁にビス止めされているため側部枠5を枠体1から外すことはできない。しかも、上記工具挿通用孔53aが略キャップ状の隠蔽材18により隠蔽されているため防犯上好都合である。又、上部枠3及び下部枠4に付いては、前記隠蔽材17が外されて上取付部31及び下取付部41のビス8Dが外部に露出し、これらのビス8Dが外部から外されたとしても下取付部32及び上取付部42のビス8Hはシャッタ本体2が邪魔になって外部から外せないため、上部枠3及び下部枠4を枠体1から外すことはできない。
本実施形態における通風・採光式シャッタは上記のように構成されており、前記シャッタ本体2を全閉して主ロック手段15及び副ロック手段16を共に施錠すると、図13(b)に示す状態となる。この全閉状態では、主開閉部21は全ての板材6がほぼ直線状に並ぶと共に、その側端部同士が当接した状態になり、副開閉部22は全ての板材6Aが折り畳まれて相互に当接した状態になる。これにより、シャッタ本体2は、全面が完全に閉塞して風雨に対する遮蔽機能及び防犯機能を発揮することができる。前記板材6の一方の端部に設けられている断面略C字形のガスケット取付部64に、例えば合成樹脂製又は合成ゴム製のガスケット(図略)を嵌着しておけば、互いに隣接する板材6の当接端部が密着してシール機能を発揮することができ、これにより風雨に対する遮蔽機能を向上させることができる。又、ガスケットは、板材6の端部同士が当接した時に発する衝突音を防ぐ音消し機能を発揮すると共に、弾性によって当接時の衝撃力を吸収若しくは緩和することから板材6の損傷を防ぐ保護機能をも発揮する。板材6及び板材6Aは、前記のように内部に空間部を有する二重構造のため遮音性、断熱性に優れており、且つ内部にリブが存在するため従来の1枚ものに比して強度も著しく強くなっている。
シャッタ本体2を全閉すると、主開閉部21の端部においては、図13(b)に示すように左端部の板材6の回動により略L字形端部67が、上下の根留め金具11から突出している前記係合棒114(図11)に係合する。これにより、外部からバール等によりこじ開けようとしても、板材6と係合棒114との係合によって容易に開けることはできず、しかもその係合部は側部枠5内に位置しているため外部からは見えず、補助的なロック効果が得られる。又、外部から前記略キャップ状の遮蔽材18を外して工具挿通用孔53aからドライバーを差し込んだとしても、板材6の略L字形端部67により阻害されて側部枠5を外壁にビス止めしている前記ビス8Gまで届かない。これにより、側部枠5を枠体1から外すことはできず、侵入に対する防犯効果を高めることができる。
上記シャッタ本体2の主ロック手段15の施錠状態を保持して、室内側から副ロック手段16のみを前記操作によって解錠すると、副開閉部22を一定幅の範囲内で開くことができ、この副開閉部22に連結框12を介して連結している主開閉部21も従動してある程度開いて図13(a)に示す状態となる。この時、主開閉部21の端部においては、図13(a)に示すように左端部の板材6が逆方向に回動して略L字形端部67と係合棒114との係合が外れる。この半開き状態では、副開閉部22は全ての板材6Aが斜めの平行状態となって板材6A間に隙間があき、主開閉部21も同様に全ての板材6が斜めの平行状態となって板材6間に隙間があく。これにより、シャッタ本体2は主ロック手段15を施錠状態のままでほぼ全面に渡って通風及び採光が可能となる。図13(a)は副開閉部22を最大限開いた状態を示しており、この状態では副開閉部22の両端部を除く連結杆が相互に接触している。このため、副開閉部22はそれ以上開くことはできない。副開閉部22の開きが最大限より減少するに従って、副開閉部22の板材6A間の隙間は大きくなり、主開閉部21の板材6間の隙間は小さくなる。このため、副開閉部22の開きを最大限超えない範囲内で任意に設定すると、シャッタ本体2の全面に渡って隙間の総量を調節することができ、通風及び採光を所望とする度合いに適宜設定し且つ簡単に変更することができる。
又、図13(a)の半開き状態から主ロック手段15を解錠すると、シャッタ本体2を全開して図5に示すような折り畳んだ状態にすることができる。図13(b)に示す全閉施錠状態から主ロック手段15のみを解錠するだけで、上記のようにシャッタ本体2を全開することも可能である。この時、副開閉部22は副ロック手段16により施錠されたままの状態で移動する。この全開状態では、主開閉部21の板材6及び副開閉材22の板材6Aは全て折り畳まれた状態で枠体1の一方の側部枠5側に片寄せられる。これにより、開口部の開き幅を極力大きくできるため人や物の出入りが容易となる。
前記副開閉部22を構成している板材6Aは、厳密に言うと主開閉部21を構成する板材6とは表面形状が異なっている。即ち、図13(a)、(b)に示すように、板材6Aの両面は平滑面ではなくて複数の凹凸部が設けられており、シャッタ本体2を全閉して副開閉部22が折り畳まれた状態では、隣接する板材6A同士の凹凸部が互いに嵌合するようにしてある。これにより、外部から隣接する板材6A間に薄い平板や細い棒等を差し込んで、前記副ロック手段16のロックレバー161を持ち上げて外そうとしても、凹凸部の嵌合により薄い平板や細い棒等の侵入が阻止されて外せない。これにより、副ロック手段16の防犯機能を高めることができる。又、複数の凹凸部を設けることで板材6Aの強度を増大させることができる。
(第2実施形態)
図14は、本発明に係る通風・採光式シャッタの第2実施形態を示すもので、副開閉部を追加した構成のものである。本実施形態においては、1つの副開閉部を追加したものであるが、それに限定されずに2以上の副開閉部を追加して実施することも可能である。尚、前記第1実施形態と同じ構成部材は同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
図14(a)はシャッタ本体を全開した状態を示す概略平面図であり、室内側から見て枠体の左端側に主開閉部21と副開閉部22とから成るシャッタ本体2が折り畳まれた状態で位置し、枠体の右端側には副開閉部22と対向させて追加副開閉部22Bが折り畳まれた状態で位置している。この追加副開閉部22Bは、副開閉部22と実質的に同一構成であるが連結杆の向きが逆になっており、端部には框12B、13Bがそれぞれ取り付けられ、一方の框12Bは枠体の端部に取り付けられ、他方の框13Bはシャッタ本体2の前記端部框13に設けられた主ロック手段15に係合するロック受け具(図示されず)が設けられている。これにより、シャッタ本体2の副開閉部22と追加副開閉部22Bとは、端部框13、13Bを介して着脱可能に構成されている。又、追加副開閉部22Bは、副開閉部22と同様に副ロック手段(図示されず)が設けられている。
図14(d)はシャッタ本体の全閉施錠状態を示す概略平面図であり、シャッタ本体2の副開閉部22と追加副開閉部22Bとは、いずれも折り畳んだ状態で上記主ロック手段とロック受け具を介して連結施錠され、且つ副開閉部22及び追加副開閉部22Bは共に副ロック手段により施錠されている。
図14(c)はシャッタ本体の主ロック手段の施錠状態を保持して、シャッタ本体2の副開閉部22のみを開いた状態を示す概略平面図である。この場合、室内側から副開閉部22の副ロック手段16のみを解錠すると、副開閉部22を一定幅の範囲内で開くことができ、この副開閉部22に連結框12を介して連結している主開閉部21も従動してある程度開くことができる。これにより、シャッタ本体2は主ロック手段が施錠状態のままで、主開閉部21及び副開閉部22のほぼ全面に渡って通風及び採光が可能となる。
図14(b)はシャッタ本体の主ロック手段の施錠状態を保持して、シャッタ本体2の副開閉部22及び追加副開閉部22Bの双方を開いた状態を示す概略平面図である。この場合、室内側から副開閉部22及び追加副開閉部22Bの副ロック手段を双方解錠すると、副開閉部22及び追加副開閉部22Bを共に一定幅の範囲内で開くことができ、副開閉部22に連結框12を介して連結している主開閉部21も従動してある程度開くことができる。又、図14(c)の状態から追加副開閉部22Bの副ロック手段を解錠し、この追加副開閉部22Bを開くことで図14(b)の状態にすることもできる。この図14(b)の開き状態では、図14(c)の開き状態に比して追加副開閉部22Bの開きが加わり、且つ主開閉部21の板材の開き間隔が大きくなるため、室内側に取り込む通風及び採光量が増大することになる。更に、図14(b)の状態から図14(c)の状態にし、又は図14(c)の状態から図14(d)の状態にし、或は図14(b)の状態から図14(d)の状態にする等の相互変更は簡単にできるため、季節や天候に応じて通風及び採光量を自在に調節することができる。
図14(a)に示すシャッタ本体2の全開状態では、主ロック手段の解錠によりシャッタ本体2の副開閉部22と追加副開閉部22Bとの連結を外し、シャッタ本体2と追加副開閉部22Bとを枠体の左右端部に振り分けて折り畳むことができる。これにより、全開時には枠体1の一端側に双方の副開閉部が集結することはなく、開口部の邪魔になるのを避けることができる。尚、シャッタ本体2と追加副開閉部22Bとは、左右逆の位置に構成して実施することも可能である。
(第3実施形態)
上記実施形態では、いずれもシャッタ本体2が片開きであったが、両開きで実施することも可能である。図15は、シャッタ本体が両開きの実施形態を示す概略平面図である。図15において、室内側から見て左側のシャッタ本体2は前記シャッタ本体2と同じ構成のものであり、右側のシャッタ本体2Aはシャッタ本体2と左右対称の構成のものである。この場合、シャッタ本体2Aの端部框13Aには、主ロック手段15が設けられておらず、シャッタ本体2の端部框13に設けられている主ロック手段15に係合するロック受け具40が設けられている点で構成上相違している。これにより、左右のシャッタ本体2、2Aを全閉すると、端部框13、13A同士が当接し端部框13の主ロック手段15を端部框13Aのロック受け具40に係止することで施錠できる構成にしてある。尚、端部框13、13Aが前記枠体1の中央部で当接すると、サッシュに取り付けられているガラス戸の側枠が邪魔して室内側から主ロック手段15の施錠がし難くなるため、左右のシャッタ本体2、2Aにおける主開閉部21、21Aの板材枚数を変えることで、端部框13、13Aの当接位置を枠体1の中央部から左右いずれかの方向へ少しずらすようにすると好ましい。サッシュに取り付けられているガラス戸が3枚又は4枚の場合には、そのような配慮は不要である。
図16(d)はシャッタ本体の全閉施錠状態を示す概略平面図であり、シャッタ本体2の副開閉部22とシャッタ本体2Aの副開閉部22Aとは、いずれも折り畳んだ状態で上記主ロック手段15とロック受け具40を介して施錠され、且つ副開閉部22、22Aは共に副ロック手段により施錠される。
図16(c)はシャッタ本体の主ロック手段15の施錠状態を保持して、シャッタ本体2の副開閉部22及びシャッタ本体2Aの副開閉部22Aの双方を開いた状態を示す概略平面図である。この場合、室内側から副開閉部22の副ロック手段16及び副開閉部22Aの副ロック手段16Aを双方解錠すると、副開閉部22及び副開閉部22Aを一定の範囲内で双方開くことができると共に、主開閉部21及び主開閉部21aを半開きすることができる。これにより、主ロック手段15は施錠状態のままシャッタ本体2及びシャッタ本体2Aの双方を半開きにして通風及び採光が可能となる。この時も、副開閉部22及び副開閉部22Aは双方とも最大限以上に開くことはできず、又副開閉部22及び副開閉部22Aの開きを最大限を超えない範囲内でそれぞれ任意に設定することにより隙間の総量を簡単に調節することができ、通風及び採光を所望とする度合いに設定し且つ容易に変更することができる。
図16(b)は図16(c)の状態から主ロック手段15の施錠状態を保持したまま左右いずれの方向(図示の例では左方向)に移動させた状態を示す概略平面図である。この移動により、シャッタ本体2Aの主開閉部21Aは閉じると共に、シャッタ本体2の主開閉部21は板材間の開き間隔が大きくなり、副開閉部22、22Aは開いた状態が保持される。
この場合は、主としてシャッタ本体2側から通風・採光を行うことができ、従としてシャッタ本体2Aの副開閉部22aから通風・採光を行うことになる。
図16(a)は図16(b)の状態から主ロック手段15の施錠状態を保持したままシャッタ本体2の副開閉部22を閉じた状態を示す概略平面図である。この副開閉部22を閉じることによってシャッタ本体2の主開閉部21は板材間の開き間隔が小さくなり、副開閉部22Aは開いた状態が保持される。この場合は、図16(b)に比して通風・採光量を減少させることができる。
尚、図示は省略したが、図16(d)の状態からいずれか一方の副開閉部を開くことも可能である。例えば、主ロック手段15の施錠状態を保持したまま室内側から副開閉部22の副ロック手段16のみを解錠すると、副開閉部22を一定の範囲内で左方向に開くことができ、この副開閉部22に連結框12を介して連結している主開閉部21も従動して半開き状態になる。この時、シャッタ本体2Aは全閉状態のままである。これにより、シャッタ本体2側の領域のみを半開きにして通風及び採光が可能となる。前記と同様に副開閉部22は最大限以上に開くことはできず、又副開閉部22の開きを最大限を超えない範囲内で任意に設定することにより隙間の総量を調節することができ、通風及び採光を所望とする度合いに設定し且つ簡単に変更することができる。
上記とは逆に、主ロック手段15の施錠状態を保持して、室内側からシャッタ本体2Aの副ロック手段16Aのみを解錠すると、副開閉部22Aを一定の範囲内で右方向に開くことができ、この副開閉部22Aに連結框12Aを介して連結している主開閉部21Aも従動して半開き状態になる。この時、シャッタ本体2は全閉状態のままである。これにより、シャッタ本体2A側の領域のみを半開きにして通風及び採光が可能となる。この場合も、副開閉部22Aは最大限以上に開くことはできず、又副開閉部22Aの開きを最大限超えない範囲内で任意に設定することにより隙間の総量を調節することができ、通風及び採光を所望とする度合いに設定し且つ簡単に変更することができる。
一方、シャッタ本体の全閉状態又は半開き状態(上記種々の半開き状態を含む)から主ロック手段15を解錠すれば、シャッタ本体2及び2Aの双方を全開することができ、図15のように室内側から見て枠体の左端部にシャッタ本体2を折り畳んだ状態で片寄せると共に、右端部にシャッタ本体2Aを折り畳んだ状態で片寄せることにより両開きすることができる。尚、上記種々の半開き状態は任意に選択することができ、その相互変更も簡単に行える。
(第4実施形態)
次に、オプションとして下地枠体を使用する実施形態について説明する。建物の開口部に取り付けられているサッシュ又はサッシュに装備されている網戸が外壁面より外方に突出している場合がある。このような場合には、前記枠体1を外壁面に直付けすると、例えば前記シャッタ本体2がサッシュ又は網戸に接触して開閉できず、或いは開閉に支障を来たすことがある。本実施形態は、このような場合に建物の外壁に下地枠体を取り付け、この下地枠体に対して前記枠体1を取り付けることにより、シャッタ本体2とサッシュ又は網戸との間に充分な空間を保持して接触を防止できるようにしたものである。下地枠体としては、従来例えば木材からなる角材を利用する技術が知られているが、アルミニウム材からなる枠体1とは材質が異なるため外観や体裁を損なう問題がある。
上記のような従来技術の問題を解決するためになされたのが本実施形態であり、その構成の一部を図17に示す。図17(a)において、19は下地枠体1Aの上部枠であり、前記上部枠3と同じくアルミニウム材で押し出し成形により一体に形成され、複数のビス8Hにより外壁に固定する。下地枠材1Aの下部枠は図示されていないが、上部枠19を上下逆に配置することで兼用することができ、同じく複数のビス8Hにより外壁に固定する。
下地枠体1Aの側部枠20は、図17(b)に示すような平面形状を有し、前記側部枠5と同じくアルミニウム材で押し出し成形により一体に形成され、前面側となる角隅部には前方へ突出する張出片201が高さ方向に沿って設けられ、前面202の内側にはビス受部203が所定の間隔をあけて複数個設けられる。この側部枠20は、図示は省略したが後面204が複数のビスにより外壁に固定され、側面205の上端部がビスを上部枠19のビス受け部191にねじ込むことで固定され、下端部も同じくビスを下部枠のビス受け部にねじ込むことで固定される。
このようにして、上部枠19と下部枠と側部枠20とによって構成される下地枠体1Aを建物の外壁面に取り付ける。尚、上部枠19と下部枠と側部枠20は、いずれも上記構造のものに限定されない。下地枠体1Aの取付後に、この下地枠体1Aに対して前記枠体1を取り付ける。図17(a)は下地枠体1Aの上部枠19に枠体1の上部枠3を取り付けた状態を示しており、上部枠3の上取付部31及び下取付部32を前記複数のビス8D、8Hでそれぞれ上部枠19の前面に固定する。図示はされていないが、枠体1の下部枠4も同様に複数のビス8D、8Hで下地枠体1Aの下部枠の前面に固定する。
下地枠体1Aの側部枠20に枠体1の側部枠5を取り付ける際に、図17(b)に示すように前記張出片201と、側部枠5の後面の角隅部に設けられている前記段部54とが嵌合し、側部枠5の側面52と側部枠20の側面205とが同一面内に位置するように容易に位置決めできるようにしてある。そして、側部枠5の取付部51のビス孔51a及び前面53の工具挿通用孔53aを利用してビス8Gを、側部枠20のビス受け部203にねじ込むことで、枠体1の側部枠5を下地枠体1Aの側部枠20に取り付ける。枠体1の組み付け方法は、前記と同じであるためここでの説明は省略する。
このようにして、下地枠材1Aを介して枠体1を取り付けることにより図17(a)のようにシャッタ本体2と網戸30との間に充分な間隔Sを保持することができる。このため、シャッタ本体2と網戸30とが接触せず、シャッタ本体2の開閉が円滑に行えると共に、網戸30の開閉も何ら支障を来たさない。