以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
(実施例1)
図1に実施例1の構成を示す。アクティブマトリクスエリア10には、N行×M列に画素TFT8が配置され、これらの画素TFTのゲート電極に接続されるN本の走査線と、ソース領域に接続されるM(m×n)本の信号線が形成されている。これらのM本の信号線にはアナログスイッチTFT(20-11〜20-nm)が接続される。アナログスイッチTFTは、隣接するm個を1ブロックとしてnブロックに分割されており、アナログスイッチTFT(20-11、20-12〜20-1m)が1番目のブロック、(20-21、20-22〜20-2m)が2番目のブロック・・・(20-n1、20-n2〜20-nm)がn番目のブロックになる。そして同一ブロックに含まれ隣接するアナログスイッチTFT(20-11、20-12〜20-1m)のゲート電極は第1の配線22-1により共通接続される。同様にアナログスイッチTFT(20-21、20-22〜20-2m)・・・(20-n1、20-n2〜20-nm)のゲート電極は、第2の配線22-2・・・22-nにより共通接続される。
また異なるブロックに含まれ隣接しないアナログスイッチTFT(20-11、20-21〜20-n1)のソース領域は第2の配線24-1により共通接続される。同様にアナログスイッチTFT(20-12、20-22〜20-n2)・・・(20-1m、20-2m〜20-nm)のソース領域は、第2の配線24-2・・・24-mにより共通接続される。
このようにアナログスイッチTFTをm個ずつnブロックに分割し、第1の配線に加える制御信号でアナログスイッチTFTのオン・オフを制御することで、信号線の端子数を1/nにすることができる。即ちアナログスイッチTFTが無い場合にはM本存在した信号線の端子数を、m(=M/n)本にできる。そしてデータドライバは、m本の第2の配線24-1〜24-mに接続されることになり、データドライバの個数、端子数を少なくでき、装置のコンパクト化、低コスト化を図れる。
本実施例の第1の特徴は、第2の配線24-1〜24-mを介してアナログスイッチTFT20-11〜20-nmのソース領域に供給する入力信号の振幅を5V以下にした点にある。このようにすることで、アナログスイッチTFTのしきい値電圧のシフト量を減らすことができ、信頼性の確保、表示品質の向上を図れる。
図2に、アナログスイッチTFTのしきい値電圧シフト量と動作時間との関係に関する測定結果を示す。Vg=20Vとし、負荷容量Cは、標準的な液晶パネルでの負荷容量と同じになるようにC=10pF程度としている。また動作周波数fは320KHZとしている。本実施例ではnブロックに分割されるアナログスイッチTFTを設け、データドライバの個数(或いは端子数)を減らしているため(例えば1/nに減らす)、画素電極の充放電に許される時間が通常よりも短くなっている。このため上記動作周波数fも高くしている。アナログスイッチTFTに供給する入力信号に相当する10V振幅(Vd=10V)の矩形波信号を加えた場合のしきい値シフト特性はGのようになり、5V振幅(Vd=5V)の矩形波信号を加えた場合はHのようになる。Vd=10Vの場合には、200時間程度でしきい値電圧が1Vシフトしてしまう。一方、アナログスイッチTFTのソース領域に加える入力信号の振幅を5Vとした場合、即ちVd=5Vの場合には、10000時間程度までしきい値電圧のシフト量を1V以下に保てる。
しきい値電圧のシフト量が1Vより大きくなると、画素電極に対するデータの書き込み量が不足し(画素電極の電位を所望の電位にできなくなる)、コントラスト比が低下する等の問題が生じる。特に、例えばアナログスイッチTFTのしきい値電圧が1V程度であった場合には、しきい値電圧がマイナス側に1V程度シフトすると、アナログスイッチTFTはデプレッションモードになってしまい、アナログスイッチTFTがオフ状態であっても電流がリークしてしまい、これは表示特性の劣化につながる。
液晶装置の信頼性を十分なものとするためには、少なくとも1000時間程度までしきい値電圧のシフト量を1V以下に保つ必要があり、数千時間程度まで1V以下であることが望ましい。Vd=10Vの場合には、図2に示すように200時間程度でシフト量が1Vよりも大きくなってしまい、1000時間で2V程度シフトしてしまうため、信頼性確保の上で非常に問題がある。本実施例では、アナログスイッチTFTの入力信号の振幅を5V以下にすることで、ソース領域の端部での電界集中を緩和できる。これにより10000時間程度までしきい値電圧のシフト量を1V以下に保つことができ、十分なマージンを保ちながら信頼性を確保できる。更に、入力信号の振幅を5V以下とすることで、アナログスイッチTFTの突き抜け電圧の差(後に詳細に説明する)を減少でき、液晶へのDC印加電圧も低くできる。
なお図2では、Vd=10Vの場合との比較を適正に行うため、Vd=5Vの場合にもVg=20Vとして測定を行っている。しかしながら、Vd=5V(入力信号の振幅が5V)の場合にはVg=15Vであっても、Vd=10VでVg=20Vの場合と同様の書き込み性能を確保できる。そしてその場合には、しきい値電圧のシフト量は図2のHに示すものよりも更に減少し、信頼性が向上する。また信頼性を更に向上するためにはVd=3V以下とすることが望ましい。なお図2のIに、Vd=5Vで動作周波数32KHの場合の測定結果を参考のため併記する。
本実施例の第2の特徴は、画素TFTとアナログスイッチTFTとを、多結晶(ポリ)シリコンにより形成すると共にガラス基板上に一体形成する点にある。アナログスイッチTFTには入力信号が加えられ、所与の期間内に画素電極への充放電を完了しないと表示特性が劣化するため、アナログスイッチTFTのオン抵抗を低減する必要がある。特にアナログスイッチTFTをnブロックに分割しデータドライバの個数を減らしている場合には、オン抵抗の低減化に対する要求は更に厳しいものとなる。ところが非晶質(アモルファス)シリコンTFTは移動度が非常に低く、画素TFTに使用できても、アナログスイッチTFTに使用することは上記オン抵抗の問題から実用上不可能であった。本実施例では、画素TFTとアナログスイッチTFTとを、非晶質のものに比べ移動度が非常に高い多結晶ポリシリコンで形成している。これにより、画素TFTとアナログスイッチTFTのガラス基板上への一体形成化を実用上可能にしている。画素TFTとアナログスイッチTFTとをガラス基板上に一体形成することで、液晶装置の外形寸法を小型化でき、装置の低コスト化が可能となる。
次に図3を用いて、画素TFTとアナログスイッチTFTを一体形成する場合の製造方法及びデバイス構造について説明する。まずガラス基板30上にガラス基板からの不純物の拡散を防止するための下地絶縁膜32を堆積させた後、多結晶シリコン薄膜34を堆積させる。この多結晶シリコン薄膜34の結晶性を向上させることが、電界効果移動度の増加には必要となる。そこで、レーザーアニールや固相成長法等を用いて多結晶シリコン薄膜を再結晶化したり、非晶質シリコン薄膜を結晶化して多結晶シリコン化したものを使用する。この多結晶シリコン膜34を島状にパターニングした後、ゲート絶縁膜36を堆積させる。
次にゲート電極(メタル)38を形成し、その後、燐イオン等の不純物を全面にドーピングする。次に層間絶縁膜(SiO2)40を形成し、金属薄膜(Al)42で信号線等を形成し、透明導電膜(ITO)44で画素電極を形成し、パシベーション膜46を形成すれば、画素TFTとアナログスイッチTFTとを一体形成した基板が完成する。この基板に配向処理を施し、配向処理を同様に施した対向基板を数μmのギャップを介して対向させ、液晶を封入すれば液晶装置が完成する。
本実施例の第3の特徴は、データドライバの各々の出力端子からアナログスイッチTFTのソース領域までの配線抵抗を略一定にしたことにある。図4に本実施例のレイアウトパターン例を示す。図4において、例えばデータドライバの出力端子50-1、50-2、50-3等からアナログスイッチTFT20-11、20-12、20-13等までの配線抵抗を略一定にしている。具体的には、図5(A)に示すように、アナログスイッチTFTから第2の配線への引出線52-1、52-2、52-3の太さを変化させている。即ち長い引出線を太くし短い引出線を細くし、これによりこの引出線の抵抗を互いに一定にしている。低温プロセスでTFTを形成する場合には、これらの引き出し線はアルミに比べて抵抗の高い金属(クロム、タンタル等)で形成される可能性が高いため、この引出線の抵抗の大小は大きな問題となる。また図4のDに示す部分において、図5(B)に示すようにE、F、G、Hの部分の太さを変化させている。即ち図4のレイアウトパターンでは、図5(B)のIに示す部分の配線ピッチ(データドライバの出力端子のピッチ)とJに示す部分の配線ピッチが異なるものとなるため、Hの部分の配線長L2が、Eの部分の配線長L1に比べて長くなる。そこでHの部分の配線をEの部分よりも太くし、この部分における抵抗を一定にしている。
データドライバの出力端子から画素電極までの経路に寄生する抵抗の大小は表示特性に大きな影響を与える。この抵抗が高いと、所与の期間内での画素電極の充放電が完了しなくなるおそれがあるからである。特に本実施例では、データドライバの出力端子から画素電極までの経路の抵抗にアナログスイッチTFTのオン抵抗が加わり、またn分割されたアナログスイッチTFTを用いるため、許容される画素電極への書き込み時間が短い。従ってこの経路の抵抗に対する設計条件は非常に厳しいものとなる。本実施例では、図5(A)、(B)に示すような種々の工夫を施し、データドライバの出力端子からアナログスイッチTFTのソース領域までの抵抗を略一定にしている。これによりアナログスイッチTFTの存在に起因する表示特性の劣化を最小限に抑えることができる。なお従来のアナログスイッチTFTを設けない構成の液晶装置では、図4のアクティブマトリクスエリア10の上側に信号線がそのまま引き出され、アクティブマトリクスエリア10の上側にはデータドライバの出力端子が均等に配列される。このためデータドライバの出力端子の各々からアクティブマトリクスエリアまでの配線抵抗の異同は大きな問題とはなっていなかった。
本実施例の第4の特徴は、図4に示すように、アクティブマトリクスエリア10の上側及び下側にアナログスイッチTFTを半数ずつ配置し、上側のアナログスイッチTFTに例えば奇数番目の信号線を接続すると共に下側のアナログスイッチTFTに偶数番目の信号線を接続した点にある(以下、このような配線をクシ歯配線と呼ぶ)。クシ歯配線にすることで、データドライバの動作周波数を半分にできる。また上側のデータドライバと下側のデータドライバの出力の極性を互いに反転させることで信号線反転駆動、ドット反転駆動を容易に実現できる。しかしながらアナログスイッチTFTを設けない従来の構成では、クシ歯配線を実現するためには、データドライバをアクティブマトリクスエリア10の上下に配置しなければならず(後述する図6(B)参照)、これは液晶装置の外形寸法の大型化、回路基板配線の複雑化などの問題を引き起こす。本実施例によれば、nブロックのアナログスイッチTFTを設けることでデータドライバの個数を減らすことができる。従って、クシ歯配線を行ったとしても、液晶装置の外形寸法を小型化でき、回路基板配線を簡易化できる。
(実施例2(参考例))
実施例2(参考例)は、データドライバ(IC)、走査ドライバ(IC)の実装に関する実施例(参考例)であり、図6(A)にその構成を示す。図6(A)に点線で示す部分がアクティブマトリクスエリア(表示画面)60である。液晶材料は、CF(カラーフィルタ)基板62とTFT基板64との間に狭持される。領域66には、アナログスイッチTFT及びその配線が配置されている。データドライバ70はTABテープ68を用いて実装されている。データドライバ72、走査ドライバ74も同様である。回路基板76上には、データドライバ70、72、走査ドライバ74に信号を供給するための配線、コンデンサ等が設けられている。また場合によっては、データドライバ、走査ドライバをコントロールするためのコントロール回路も設けられている。
本実施例(参考例)の第1の特徴は、アナログスイッチTFTをアクティブマトリクスエリア60の上側及び下側に半数ずつ配置すると共に図4に示すようなクシ歯配線とし、データドライバと走査ドライバとを、CF基板62及びTFT基板64から成る液晶パネルの同一辺に実装する点にある。
比較のために図6(B)に、アナログスイッチTFTが設けられていない液晶装置においてクシ歯配線を行った場合の実装例を示す。このような液晶装置でクシ歯配線を行うと、アクティブマトリクスエリア(表示画面)60の上側及び下側にデータドライバ70及び72を実装する必要があり、このため液晶装置の外形寸法L4が大きくなってしまう。
またこの比較例では、nブロックに分割されたアナログスイッチTFTが設けられていないため、データドライバの個数を減らすことができず、液晶パネルの上側及び下側に複数のデータドライバが実装される。このため回路基板の配線が非常に複雑化する。またデータドライバは、通常、非常に高い周波数で動作するため、このデータドライバからのノイズ(電磁放射)が、液晶装置の外部に漏れて悪影響を及ぼしたり、液晶装置の表示特性に悪影響に及ぼす。そして液晶パネルの上下に複数のデータドライバが実装される図6(B)の構成では、ノイズ源となるデータドライバの占める面積が大きくなるため、このノイズをシールドして有効なEMI対策を施すことは容易ではない。
一方、図6(A)に示す本実施例(参考例)の構成では、データドライバと走査ドライバとが同一辺に実装され、液晶パネルの上下にデータドライバが実装されていないため、外形寸法L3をL4に比べて小さくでき、携帯用電子機器等に最適な液晶装置を提供できる。またデータドライバの個数が少なく走査ドライバと同一辺にデータドライバが形成されるため、回路基板の配線を非常に単純化できる。更にノイズ源となるデータドライバの占める面積が小さいため、データドライバからのノイズをシールドしてEMI対策を施すことが容易となり、ノイズの悪影響が外部に漏れること等を有効に防止できる。
本実施例(参考例)の第2の特徴は、液晶パネルの例えば左辺に、上側から順にデータドライバ70、走査ドライバ74、データドライバ72を実装し、上側のアナログスイッチTFTとデータドライバ70とを接続する配線パターンと、下側のアナログスイッチTFTとデータドライバ74とを接続する配線パターンとを上下対称に形成する点にある。図4を例にとれば、Pに示す配線パターンとQに示す配線パターンとが上下対称に形成されている。従ってレイアウトパターンを作成する際には、まず上側の配線パターンPを作成し、これを上下対称に変換して下側の配線パターンQを形成すればよいため、レイアウトパターンの作成が容易となる。また図6(B)の回路基板76の配線パターンも上下対称となるため設計が容易となる。更に配線パターンP、Qを上下対称に形成することで、上側のデータドライバから上側のアナログスイッチTFTまでの配線抵抗と、下側のデータドライバから下側のアナログスイッチTFTまでの配線抵抗とを同一にできる。これにより上側及び下側のアナログスイッチTFTに接続される画素電極での駆動条件を互いに同一にでき、表示特性の向上を図れる。また上側及び下側のデータドライバとして同一回路構成のものを用いることができ、設計が容易となる。更に本実施例(参考例)ではクシ歯配線とすることで、信号線反転(ソースライン反転)駆動、ドット反転駆動等も容易に行うことができ、表示特性を更に向上できる。
このように本実施例(参考例)では、アナログスイッチTFTを設け、クシ歯配線にし、データドライバの実装位置を工夫すること等で種々の特有の効果を得ている。なお図6(A)では、データドライバを左辺の上下に1個ずつ実装しているが、左辺の上下に2個以上ずつ実装しても構わない。
(実施例3)
図7に実施例3の構成を示す。実施例3では、アナログスイッチTFTは、実施例1と異なり隣接しないm個を1ブロックとしてnブロックに分割されており、アナログスイッチTFT(20-11、20-21〜20-m1)が1番目のブロック、(20-12、20-22〜20-m2)が2番目のブロック・・・(20-1n、20-2n〜20-mn)がn番目のブロックになる。そして同一ブロックに含まれ隣接しないアナログスイッチTFT(20-11、20-21〜20-m1)のゲート電極は第1の配線22-1により共通接続される。同様にアナログスイッチTFT(20-12、20-22〜20-m2)・・・(20-1n、20-2n〜20-mn)のゲート電極は、第2の配線22-2・・・22-nにより共通接続される。また異なるブロックに含まれ隣接するアナログスイッチTFT(20-11、20-12〜20-1n)のソース領域は第2の配線24-1により共通接続される。同様にアナログスイッチTFT(20-21、20-22〜20-2n)・・・(20-m1、20-m2〜20-mn)のソース領域は、第2の配線24-2・・・24-mに共通接続される。このように構成することで、データドライバの個数、端子数を少なくでき、装置のコンパクト化、低コスト化が可能となる。
そして本実施例の第1の特徴は、実施例1の図2と同様に、第2の配線24-1〜24-mを介してアナログスイッチTFTのソース領域に供給する入力信号の振幅を5V以下とする点にある。これによりアナログスイッチTFTのしきい値電圧のシフト量を減らすことができ、信頼性の確保、表示品質の向上を図れる。
また本実施例の第2の特徴は、画素TFTとアナログスイッチTFTとを、多結晶シリコンにより形成すると共にガラス基板上に一体形成する点にある。これにより液晶装置の外形寸法を小型化でき、装置の低コスト化が可能となる。この場合の製造方法及びデバイス構成は図3に既に示してある通りである。
また本実施例の第3の特徴は、データドライバの各々の出力端子からアナログスイッチTFTのソース領域までの配線抵抗を略一定にしたことにある。これによりアナログスイッチTFTの存在に起因する表示特性の劣化を最小限に抑えることができる。なお図8に本実施例のレイアウトパターン例を示す。
また本実施例の第4の特徴は、図8に示すように、アクティブマトリクスエリア10の上側及び下側に前記アナログスイッチTFTを半数ずつ配置し、クシ歯配線にした点にある。クシ歯配線にすることで、データドライバの動作周波数を半分できると共に、信号線反転駆動、ドット反転駆動を容易に実現できる。また本実施例ではクシ歯配線にした場合でも、データドライバの個数を減らすことができ、ノイズ源となるデータドライバの占める面積を小さくできる。これによりデータドライバからのノイズをシールドしてEMI対策を施すことが容易となり、ノイズの悪影響が外部に漏れること等を有効に防止できる。またデータドライバへの配線が形成される回路基板の設計も容易となる。
実施例3の構成は実施例1に比べて以下の優位点を持つ。実施例1では、1つのブロックは隣接するm個のアナログスイッチTFTで構成される。そして1番目のブロックに対応する信号線にデータを書き込む場合には、第1の配線22-1を用いてアナログスイッチTFT(20-11、20-12〜20-1m)を同時にオンしてデータを書き込む。2番目のブロックに書き込む場合は、アナログスイッチTFT(20-21、20-22〜20-2m)を同時にオンしてデータを書き込む。このため、1番目と2番目のブロックに対応するアクティブマトリクスエリアの領域の境界R(図1参照)に縞が生じる可能性がある。またデータドライバから近いブロックに対応するアクティブマトリクスエリアの領域と遠いブロックのものとでは、駆動条件が異なることになるため、横方向のクロストークが生じる可能性がある。一方、実施例3では、1つのブロックは隣接しないm個のアナログスイッチTFTで構成されるため、上記したような問題が生じない。
(実施例4(参考例))
実施例4(参考例)は、図9に示すように、画素TFTが配置されるアクティブマトリクスエリア82と、アナログスイッチTFT部84と、走査ドライバ回路86とを、多結晶シリコンTFTで形成すると共にガラス基板80上に一体形成する実施例(参考例)である。ここでアナログスイッチTFT部84では、図1及び図7に示すように、M(n×m)本の信号線に接続されると共に、m個を1ブロックとしてnブロックに分割されるアナログスイッチTFTを含む。一体形成を行う場合の製造方法及デバイス構造については、図3を用いて既に説明した通りである。多結晶シリコンTFTは、移動度が高いため、アナログスイッチTFTを形成するものとして最適である。そしてアナログスイッチTFTに要求されるような低いオン抵抗を有する多結晶シリコンTFTを用いれば、走査ドライバ回路の形成も容易である。本実施例(参考例)では、この点に着目してアナログスイッチTFT部84と走査ドライバ回路86とを一体形成している。そして走査ドライバ回路をガラス基板80上に形成することで、液晶装置の外形寸法の小型化、コストの低減化を図れる。
特に本実施例(参考例)では、走査ドライバ回路86を、画素TFT及びアナログスイッチTFTと同一極性のTFTから成るダイナミック型又はスタティック型のシフトレジスタにより形成することが望ましい。例えば画素TFT及びアナログスイッチTFTがNチャネルである場合には、NチャネルのTFTのみから成るシフトレジスタにより、Pチャネルである場合には、PチャネルのTFTのみから成るシフトレジスタにより形成する。このように同一極性のTFTのみを使用することで、製造プロセスの簡易化、回路規模の縮小、コストの低減化を図れる。なおNチャネルのTFTは移動度が高い点で優れており、PチャネルのTFTはデバイス特性が安定している点で優れている。
図10(A)に、レオシス型のダイナミック型シフトレジスタの構成例を示し、図10(B)にそのタイミングチャートを示す。CLK1、CLK2はノンオーバラップのクロックであり正電源の代わりにもなっている。図10(B)に示すように、CLK1=Hレベルで、入力データDINが取り込まれ保持される。次にCLK2=Hレベルになると、保持されたデータがノードPに転送され保持される。そして次にCLK1=Hレベルになると、ノードPに保持されたデータが、ノードQに出力される。以上のようにしてデータのシフト動作が行われる。このシフトレジスタの特徴は、電源がGNDのみでよく、正電源が必要ない点にある。
図11(A)に、レオシス型のダイナミック型シフトレジスタの他の例を示し、図11(B)にそのタイミングチャートを示す。CLK1=Hレベルで入力データDINが取り込まれノードAに保持される。次にCLK2=Hレベルになると、保持されたデータがノードB、Cに転送され、ノードCに保持される。そして次にCLK1=Hレベルになると、保持されたデータがノードD、Eに転送される。以上のようにしてデータのシフト動作が行われる。このシフトレジスタの特徴は、図10(A)と異なり正電源は必要であるが、容量の数を減らせる点にある。
以上説明したダイナミック型シフトレジスタは、回路構成が簡易であり、回路面積を小さくできるという利点を有している。
図12(A)に、ブートストラップド・ロード付きの2相スタティック型シフトレジスタの構成例を示し、図12(B)にそのタイミングチャートを示す。CLK1=Hレベルで入力データDINが読み込まれ、ノードP及びQにスタティックに保持される。次にCLK2=Hとなると、保持されたデータがノードRに出力される。以上のようにしてデータのシフト動作が行われる。このシフトレジスタは回路構成は複雑であるが、スタティックにデータを保持できるため、雑音に強いという利点を有する。
以上の構成のシフトレジスタによれば、全てのTFTをNチャネルで構成できるため、NチャネルのアナログスイッチTFTと画素TFTとを基板上に一体形成した場合に、製造プロセスの簡易化、回路規模の縮小化等を図れる。
(実施例5(参考例))
図13(A)に実施例5(参考例)の構成例を示し、図13(B)にCD面での断面図を示す。液晶材料を封入するためのシール部90がCF基板98とTFT基板100の間に設けられている。液晶材料は封入口102により封入され、封入口102は封止材104により封止される。データドライバ106、108、走査ドライバ110は、図6(A)と同様に液晶パネルの同一辺に設けられており、回路基板112には配線、コンデンサ等が設けられている。
本実施例(参考例)では、シール部90が二重構造になっており、液晶材料が封入される第1の封入エリア92と、第1の封入エリア92から分離され乾燥した空気等の気体が封入される第2の封入エリア94が設けられる。本実施例(参考例)の第1の特徴は、アナログスイッチTFT、或いはアナログスイッチTFT及びその配線を、この第2の封入エリア94に形成した点にある。このようにすることで、図13(B)に示すように、アナログスイッチTFT102、その配線を、乾燥した空気等の気体で封入できる。これにより、アナログスイッチTFT、配線領域での耐湿性を向上できる。水分による腐食の度合いは電界強度に依存し、アナログスイッチTFTは前述のように電流が多く流れ電界強度が高い部分が多い。従って、アナログスイッチTFTを気体で封入し、耐湿性を向上させれば、信頼性の向上を図れ、しきい値電圧のシフト量も更に小さくできる。またアナログスイッチTFTを気体で封入することで、絶縁膜を使用しなくても回路の保護が可能になる。そしてアナログスイッチTFTの上方に、誘電率の高い絶縁膜、液晶材料が存在する場合に比べ、配線に寄生する容量等を低減できる。これにより表示特性を向上できる。
本実施例(参考例)の第2の特徴は、図13(A)に示すように、アクティブマトリクスエリア(表示画面)96の上側及び下側に第2の封入エリア94を設け、右側(又は左側)に液晶材料の封入口102を設け、上側及び下側の第2の封入エリア94に、アナログスイッチTFTを半数ずつ配置した点にある。このようにすることでクシ歯配線が可能となり、ドット反転駆動等の実現も容易となる。そしてアクティブマトリクスエリア96右側には、第2の封入エリア94もデータドライバ106、108、走査ドライバ110も設けられていないため、この右側から液晶材料を封入することができる。なお本実施例(参考例)では、第2の封入エリアは、アクティブマトリクスエリア96の少なくとも上下に設けられていればよく、例えば図13(A)のEに示す部分の封入エリアは必ずしも必要ない。しかしながら、Eに示す部分に第2の封入エリアを設ければ、例えば図4のDに示すような配線領域での寄生容量を減らすことができ、表示特性の向上を期待できる。
第2の封入エリア94への気体の封入は例えば以下のようにして実現する。まずシール部90を基板上に印刷し、CF基板98とTFT基板100とを張り合わせ、真空雰囲気にする。この時、例えば図13(A)のFに示す部分等に小さな封入口を形成しておく。次に、封入口102の付近に液晶材料を置き、大気雰囲気に戻すと、液晶材料が封入口102を介して第1の封入エリア92に流れ込む。この時、第2の封入エリア94には、F等に形成した封入口を介して気体が流れ込む。真空状態を解除した時の大気の状態を乾燥した空気の状態としておけば、第2の封入エリア94に乾燥した空気が流れ込む。その後、封入口102を封止材104により封止し、Fの部分の封入口も所与の封止材により封止する。これにより、第1の封入エリア92には液晶材料を、第2の封入エリア94には乾燥した空気等を封入できる。
アナログスイッチTFTの保護、耐湿性の改善を図る他の手法としては、図14に示すように、アナログスイッチTFT102、或いはアナログスイッチTFT及びその配線を、液晶材料よりも誘電率の低い絶縁膜114で覆う手法が考えられる。絶縁膜114で覆うことで、アナログスイッチTFT102を構成する配線等が腐食するのを防止でき、信頼性を向上できる。また誘電率の低い絶縁膜を用いることで、寄生容量を低減でき、表示特性を向上できる。
なお、寄生容量を更に低減するためには、アナログスイッチTFTのみならず、アクティブマトリクスエリア96に形成される信号線をも、液晶材料よりも誘電率の低い絶縁膜で覆うことが望ましい。信号線の上には誘電率の高い液晶材料104が存在するため、信号線に寄生する容量は非常に大きなものとなる。信号線の上を、誘電率の低い絶縁膜で覆えば、この問題を解決でき、アナログスイッチTFTを流れる充放電電流を小さくでき、表示特性、信頼性の向上を図れる。
(実施例6)
実施例6は液晶装置の駆動方法に関する実施例である。実施例1、3で説明したように、アナログスイッチTFTのしきい値電圧のシフト量を適正なものにするためには、アナログスイッチTFTのソース領域に供給する入力信号の振幅を5V以下にすることが望ましい。しかしながら、この場合、通常の駆動方法を用いると以下のような問題が生じる。
図15に、フィールド反転駆動を行った場合の駆動波形の例を示す。液晶は交流駆動する必要があるため、信号線に加える信号Vsを、所与の電位Vcを中心に所与の期間毎に極性反転する必要がある。このため図15に示すようにVsの振幅は非常に広いものとなる。そして通常のTN液晶では±5程度の電圧を印加する必要があるため、VSの振幅も10V程度必要となる。なお対向電極に与える電位Vcomは、画素TFTがオフするときに生じる突き抜け電圧を補償するために、Vsの中心電位Vcよりも△Vだけ低い電位となっている。ここで△Vの平均値=Vc−Vcomの関係が成り立っている。
このように図15に示す駆動波形では、Vsの振幅を10V程度と広くする必要がある。従って、アナログスイッチTFTの入力信号の振幅も広くする必要があり、入力信号の振幅を5V以下にできない。そこで本実施例では、図16に示すように、対向電極に与える電位の前記入力信号に対する極性を1水平走査期間毎に反転させる駆動を行っている(以下、1Hコモン振り駆動と呼ぶ)。図15では、Vsの極性をVcを中心にして1フィールド毎に反転させていたが、1Hコモン振り駆動では、Vcomの極性が1水平走査期間毎に反転するため、Vsの極性反転を行う必要がない。このためVsの振幅を小さくすることができる。これにより、表示品質を保ちながらアナログスイッチTFTの入力信号を5V以下にすることが可能となる。更にデータドライバを低動作電圧化でき、5V耐圧の製造プロセスで形成することが可能となり、データドライバの小型化、低消費電力化、低コスト化を図れる。このように1Hコモン振り駆動によれば、アナログスイッチTFTの信頼性向上と、データドライバの低動作電圧化等を両立できる。なお図16では、突き抜け電圧による悪影響を防止するため、△Vの平均値=Vsの平均値−Vcomの平均値となる関係を成り立たせている。
次に図17を用いて本実施例の他の駆動方法を説明する。図17では、アナログスイッチTFTの入力信号を5V以下にするため、走査線毎の4値ゲート駆動(以下、1H4値ゲート駆動と呼ぶ)を用いている。1H4値ゲート駆動では、図17に示すように、走査線に与える信号Vgate1、Vgate2に選択電位、非選択電位、非選択電位よりも電位の低い第1の電位、非選択電位よりも電位の高い第2の電位を持たせる。そして選択電位から第1の電位を一定期間保った後に非選択電位になる場合と、選択電位から第2の電位を一定期間保った後に非選択電位になる場合とを走査線毎に交互に切り替える。ここで図16とは異なりVcomの電位は切り替えられず一定になる。またこの1H4値ゲート駆動では、画素電極と前段の走査線との間に保持容量が形成されている。図17に示すように選択期間T1後に例えばT2として2水平走査期間分だけ走査線に非選択電位とは異なる電位が与えられる。そしてT2後は、Vgate1の走査線ではV1だけ保持容量の電位が上げられ、一方、Vgate2の走査線ではV2だけ保持容量の電位が下げられる。これによりVcomを極性反転した場合と同様の効果を得ることができる。従ってVsを極性反転する必要がなくなり、Vsの振幅を小さくでき、アナログスイッチTFTの入力信号を5V以下にすることが可能となる。この結果、信頼性の向上、データドライバの低動作電圧化を図れる。
1Hコモン振り駆動では、対向電極に与える電位を変化させるだけでよいため、実現が容易であるという利点がある。また1Hコモン振り駆動では、対向電極の電位を極性反転しなければならないため、消費電力が増加するという問題点がある。一方、1H4値ゲート電極駆動によれば、対向電極の電位は一定であるため消費電力を少なくできる。しかしながら走査線に与える電位を制御する走査ドライバ回路が複雑になるという問題点がある。
次に図18(A)、(B)を用いて本実施例の更なる他の駆動方法を説明する。この駆動法では、図4、図8に示すように、アクティブマトリクスエリアの上側及び下側にアナログスイッチTFTを半数ずつ配置すると共に、信号線をクシ歯配線にする。そしてアナログスイッチTFTの入力信号の振幅を5V以下にすると共に、隣接する信号線に与える電位の対向電極電位に対する極性を反転させる信号線反転(ソースライン反転)駆動を行う。例えば図18(B)に示すように、上側のアナログスイッチTFTの出力信号の範囲を、第1フィールドでは5V〜10Vとし、第2フィールドでは0〜5Vとする。一方、下側のアナログスイッチTFTの出力信号の範囲を、第1フィールドでは0V〜5Vとし、第2フィールドでは5〜10Vとする。またVcomは5VのDC電圧にする。このようにすることで、1フィールドの期間内では、アナログスイッチTFTの出力信号の振幅は5V以下となり、入力信号の振幅も5V以下にできる。そして第1フィールドから第2フィールドに切り替わると、上側のアナログスイッチTFTの出力信号範囲は5〜10Vから0〜5Vに切り替わりVcomを中心に極性反転する。一方、下側のアナログスイッチTFTの出力信号範囲も0〜5Vから5〜10Vに切り替わりVcomを中心に極性反転する。従って、液晶に印加されるDC電圧を0Vにできる。即ちこの駆動方法によれば、アナログスイッチTFTの入力信号の振幅を5V以下にでき、しきい値電圧のシフト量を適正化できると共に、液晶にDC電圧が印加されることを防止できる。
以下、表示品質の向上等を図るための駆動方法の種々の手法について説明する。
本実施例では、図19のPに示すように、水平ブランキング期間において、全てのアナログスイッチTFTをオフさせる期間を設けている。図19においてG1〜Gnはブロック選択信号であり、図1、図7の第1の配線22-1〜22-nに与えられる信号である。例えばPに示すオフ期間の間に対向電極Vcomを極性反転すれば(1Hコモン振り駆動)、低消費電力化が可能となる。即ちアナログスイッチTFTをオフにすると信号線等はフローティング状態になる。従って、この時にVcomを極性反転すれば、信号線等と対向電極とで形成される寄生容量での充放電電流を無くすことができる。また1H4値ゲート駆動の場合には、Pに示すオフ期間の間に、走査線に与える電位を変化させれば、低消費電力化等を図れる。またこの手法で、アナログスイッチTFTがオフし信号線がフローティング状態になるのは水平ブランキング期間であるため、信号線がフローティング状態になることで表示特性が劣化する等の問題もない。またアナログスイッチTFTのオフ期間を設けることで、この期間にデータドライバで発生したノイズ等が信号線に伝わることを防止できる。
また本実施例では、図20のQ、Rに示すように、Vcomの極性を反転させた後に全てのアナログスイッチTFTをオンさせ、信号線に所与のリセット電位を与えるリセット期間を設けている。このようにデータ書き込み期間の前にリセット期間を設け信号線の電位を所与のリセット電位に設定すれば、前回に書かれたデータが信号線等に残存しクロストークが生じるという問題を解消できる。また図20では、Vcomを極性反転した後に信号線をリセット電位に設定する。従ってデータの書き込みを行う前に、信号線の電位を、標準的なリセット電位にプリチャージできることになり、その後のデータの書き込みが容易となる。
また本実施例では、図21に示すように、ラインメモリを用いて映像信号のデータの並び替え処理を行っている。即ち図7に示す構成の液晶装置では、例えば第1の配線22-1が選択されると、隣接しないアナログスイッチTFT(20-11、20-21〜20-m1)が接続される信号線に対して第2の配線24-1、24-2〜24-mを介してデータが同時に書き込まれる。この時、データが書き込まれる信号線は隣接しないため、映像信号のデータをそのまま書き込むことはできない。そこで本実施例では、図21に示すように、ラインメモリを用いてデータの並び替え処理を行い、並び替え処理が施された信号を、第2の配線及び隣接しないm個のアナログスイッチTFTを介して信号線に書き込んでいる。このようにすることで図7のような構成でも、適切なデータを信号線に書き込むことができる。そして図7の構成によれば、図1の構成に比べ、ブロック間の境界で縞が発生せず、またデータドライバから近いブロックと遠いブロックとの間で駆動条件をほぼ同一にでき、表示特性を向上できる。
(実施例7)
実施例7は、アナログスイッチTFTの突き抜け電圧の補償に関する実施例である。図22(A)にアナログスイッチTFTの等価回路を示す。アナログスイッチTFTがオフする瞬間に生じる突き抜け電圧△Vは、下式のように表せる。
△V=△Vg×Cgd/(Cgd+CO) (1)
ここで△Vgは、アナログスイッチTFTの選択信号Vgの電圧変化量である。またCgdは、アナログスイッチTFTのゲート・ドレイン間容量である。
TFTのゲート・ドレイン間容量Cgdは、図22(B)に示すように、重なり容量Cgd0と反転層120によるチャネル容量Cgdcとの和となる。重なり容量Cgd0にはゲートバイアス依存性はないが、チャネル容量Cgdcにはゲートバイアス依存性がある。即ち図22(C)に示すように、チャネル容量Cgdcは、ゲート・ドレイン間電圧Vgdがしきい値電圧Vthを超えると増加する。
一方、アナログスイッチTFTの駆動タイミングチャートは図22(D)のように表される。ここで、アナログスイッチTFTへの入力信号Vinが+V1の場合(ケース1)と、+V2の場合(ケース2)とを考える。アナログスイッチTFTがオフする瞬間に、いずれの場合も上式(1)にしたがった突き抜け電圧が発生するが、ケース1とケース2とではゲートバイアスが異なるため、見かけ上のゲート・ドレイン間容量Cgdが異なってくる。即ち図22(C)に示すように、ケース1の方がケース2よりも反転層120のチャネル容量Cgdcが寄与する範囲のゲートバイアスを多く用いているため、ケース1の方が見かけ上のCgdの値が大きくなる。従って上式(1)から明らかなように、図22(D)に示す△Vaと△Vbとの間には、
△Va>△Vb (2)
の関係が成立することになる。即ち、アナログスイッチTFTの入力信号Vinの大小により突き抜け電圧の値が変化し、これにより次のような問題が生じる。
図23(A)において、Pは、突き抜け電圧が無いとした場合のアナログスイッチTFTの出力特性であり、Qは、実際のアナログスイッチTFTの出力特性である。本来は、液晶には±V1〜±V2の正負対称な信号が印加されるべきだが、突き抜け電圧が発生することで、±V1’〜±V2’の正負非対称な信号が出力される。このため液晶にDC電圧が印加され、残像や焼きつきの問題が生じる。しかも、突き抜け電圧は、上式(2)に示すようにバイアス条件により大きさが異なるため、液晶に印加される電圧の白レベルと黒レベルの間の電圧も異なるものとなる。即ち本来とは異なる階調表示となってしまう。
そこで本実施例では、アナログスイッチTFTのソース領域に供給する入力信号の電位の大小により変化する突き抜け電圧を補償する補正を行った入力信号を、アナログスイッチトランジスタのソース領域に供給している。例えば図23(B)において、Rは、補正が行われたアナログスイッチTFTの入力信号であり、Sは、その場合のアナログスイッチTFTの出力特性である。このようにアナログスイッチTFTの突き抜け電圧をあらかじめ補正した入力信号を用いれば、突き抜け電圧によって電圧シフトした信号を、±V1〜±V2の正負対称な信号にすることができる。これにより残像や焼きつきの問題を回避できると共に、適正な階調表示が可能となる。
突き抜け電圧を補償する補正の手法としては、種々のものが考えられる。例えば実際の液晶装置において突き抜け電圧等を実測する。そして実測した突き抜け電圧を△Va、△Vbとした場合に、図23(B)のRに示すような変換を行うルックアップテーブルを設け、このルックアップテーブルによりアナログスイッチTFTの入力信号を変換する。より具体的には、デジタルの映像信号或いはアナログの映像信号をA/D変換したものに対して、上記ルックアップテーブルを用いて補正を行う。そして補正を行った信号をD/A変換してアナログスイッチTFTに入力すればよい。
(実施例8(参考例))
実施例8(参考例)は、アナログスイッチTFTが設けられた液晶装置を内蔵する表示システムに関する実施例(参考例)である。図24において、コンピュータ等のアナログの映像信号発生装置130から発生されたアナログR、G、Bの映像信号はA/Dコンバータ132でデジタル信号に変換される。信号源にビデオ装置等を用いる場合には、アナログR、G、Bの映像信号に変換した上でA/Dコンバータ132に入力させる。もちろん、信号源がデジタル映像信号を発生する場合にはこのA/Dコンバータ132は不要となる。次に、ラインメモリ134を用いてデータの並び替え処理を行う。即ち図7に示す構成の液晶装置では、隣接しない信号線に同時にデータを書き込む必要があるため、図21で既に説明したようなデータの並べ替え処理が必要となる。並べ替え処理を行うと、複数のデータを同時に書き込むことが可能となり、データ転送周波数を低下させることが可能となる。この場合には、データ転送周波数の変換処理を周波数変換回路136により行う。周波数変換が行われた信号は、D/Aコンバータを内蔵するデータドライバ138に入力される。データ転送周波数を低くすることで、データドライバ138も低速で動かすことが可能となり、データドライバ138の低コスト化、回路規模の縮小が可能となる。データドライバ138の出力はアナログスイッチTFT部140に入力され、これにより信号線にデータが書き込まれる。
なお図4、図8に示すように、アクティブマトリクスエリアの上側及び下側に半数ずつアナログスイッチTFTを配置し、信号線をクシ歯配線にする場合には、周波数変換回路136によりデータ転送周波数を1/2倍する。そして、上側、下側のアナログスイッチTFTに接続される第1、第2のデータドライバに周波数変換された信号を供給する。これにより第1、第2のデータドライバの動作周波数を半分にすることができ、データドライバの低コスト化を図れる。そして、クシ歯配線とすることで、信号線反転駆動、ドット反転駆動が可能となる。更にデータドライバを図6(A)に示すように実装することで、表示システムの小型化、ノイズの効果的な除去、回路基板の設計の容易化等が可能となる。
なお本発明は、上記実施例1〜実施例8で説明したものに限られるものではなく、これらと均等な種々の変形実施が可能である。例えば本発明に係る液晶装置のレイアウト構成は、図4、図8に示すものが特に望ましいが、アナログスイッチTFTの配置、配線の仕方等についてはこれらと異なる種々のものを採用できる。また本発明の液晶装置の実装の形態は図6(A)に示すものが特に望ましいが、データドライバ、走査ドライバの配置位置、個数、実装手法、アナログスイッチTFTの配置位置等について、これとは異なる種々の変形実施が可能である。
なお、本実施形態に係る液晶装置では、薄膜トランジスタにより形成され、N行×M列にマトリクス配置される画素トランジスタと、前記画素トランジスタのゲート電極に接続されるN本の走査線と、該走査線に交差すると共に前記画素トランジスタのソース領域に接続されるM(=m×n)本の信号線と、薄膜トランジスタにより形成されると共に前記M本の信号線に接続され、隣接するm個を1ブロックとしてnブロックに分割されるM個のアナログスイッチトランジスタと、同一ブロックに含まれ隣接するm個のアナログスイッチトランジスタのゲート電極を共通接続するn本の第1の配線と、異なるブロックに含まれ隣接しないn個のアナログスイッチトランジスタのソース領域を共通接続するm本の第2の配線とを含み、前記第2の配線を介して前記アナログスイッチトランジスタのソース領域に供給する入力信号の振幅を5V以下としてもよい。
この構成によれば、nブロックに分割されたアナログスイッチトランジスタを用いることで、データドライバの個数、端子数を少なくでき、装置をコンパクト化できる。そしてアナログスイッチトランジスタの入力信号の振幅を5V以下にすることで、アナログスイッチトランジスタのしきい値電圧のシフト量の適正化を図れ、信頼性を向上できる。
また本実施形態では、前記画素トランジスタと前記アナログスイッチトランジスタとを、多結晶シリコンの薄膜トランジスタにより形成すると共にガラス基板上に一体形成してもよい。この構成によれば、多結晶シリコンのTFTを用いることで、アナログスイッチトランジスタのオン抵抗を低くでき、画素トランジスタとアナログスイッチトランジスタの一体形成化が実用上可能になる。
また本実施形態では、前記第2の配線に入力信号を供給するデータドライバの各々の出力端子から前記アナログスイッチトランジスタのソース領域までの配線抵抗を略一定としてもよい。このようにすればラインムラ、輝度ムラの発生を有効に防止できる。
また本実施形態では、前記画素トランジスタが配置されるアクティブマトリクスエリアの上側及び下側に前記アナログスイッチトランジスタを半数ずつ配置し、上側及び下側のいずれか一方に配置されるアナログスイッチトランジスタに(2L−1)番目の信号線を接続し、他方に配置されるアナログスイッチトランジスタに2L番目の信号線を接続してもよい。このようにクシ歯配線とすることで信号線反転駆動、ドット反転駆動の実現が容易となり、データドライバの動作周波数を低減できる。しかもクシ歯配線とした場合の装置の外形寸法の大型化、回路基板配線の複雑化等の問題も、この構成によれば解消できる。
また本実施形態では、薄膜トランジスタにより形成され、N行×M列にマトリクス配置される画素トランジスタと、前記画素トランジスタのゲート電極に接続されるN本の走査線と、該走査線に交差すると共に前記画素トランジスタのソース領域に接続されるM本の信号線と、薄膜トランジスタにより形成されると共に前記M本の信号線に接続され、前記画素トランジスタが配置されるアクティブマトリクスエリアの上側及び下側に半数ずつ配置されるM個のアナログスイッチトランジスタとを含み、前記アクティブマトリクスエリアの上側及び下側のいずれか一方に配置されるアナログスイッチトランジスタに(2L−1)番目の信号線を接続し、他方に配置されるアナログスイッチトランジスタに2L番目の信号線を接続し、前記アナログスイッチトランジスタのソース領域に信号を供給するための少なくとも1つのデータドライバと前記画素トランジスタのゲート電極に信号を供給するための少なくとも1つの走査ドライバとを液晶パネルの同一辺に実装してもよい。
この構成によれば、nブロックに分割されたアナログスイッチトランジスタを用いることで、データドライバの個数、端子数を減らすことができ、データドライバと走査ドライバとを液晶パネルの同一辺に実装できる。これにより装置の外形寸法の小型化、ノイズの低減、回路基板配線の簡易化等が可能となる。
また本実施形態では、液晶パネルの左側及び右側のいずれか一方の辺に、上側から順に第1のデータドライバ、走査ドライバ、第2のデータドライバを実装し、アクティブマトリクスエリアの上側に配置されるアナログスイッチトランジスタと前記第1のデータドライバとを接続する配線パターンと、アクティブマトリクスエリアの下側に配置されるアナログスイッチトランジスタと前記第2のデータドライバとを接続する配線パターンとを上下対称に形成してもよい。このように配線パターンを上下対称にすることで、レイアウトパターンの作成が容易となると共に、表示特性の向上も図れる。
また本実施形態では、薄膜トランジスタにより形成され、N行×M列にマトリクス配置される画素トランジスタと、前記画素トランジスタのゲート電極に接続されるN本の走査線と、該走査線に交差すると共に前記画素トランジスタのソース領域に接続されるM(=m×n)本の信号線と、薄膜トランジスタにより形成されると共に前記M本の信号線に接続され、隣接しないm個を1ブロックとしてnブロックに分割されるM個のアナログスイッチトランジスタと、同一ブロックに含まれ隣接しないm個のアナログスイッチトランジスタのゲート電極を共通接続するn本の第1の配線と、異なるブロックに含まれ隣接するn個のアナログスイッチトランジスタのソース領域を共通接続するm本の第2の配線とを含み、前記第2の配線を介して前記アナログスイッチトランジスタのソース領域に供給する入力信号の振幅を5V以下としてもよい。
この構成によれば、アナログスイッチトランジスタの入力信号の振幅を5V以下にすることで、アナログスイッチトランジスタのしきい値電圧のシフト量の適正化を図れ、信頼性を向上できる。また各ブロックに対応するアクティブマトリクスエリアの領域の境界での縞の発生等を防止できる。
また本実施形態では、薄膜トランジスタにより形成され、N行×M列にマトリクス配置される画素トランジスタと、前記画素トランジスタのゲート電極に接続されるN本の走査線と、該走査線に交差すると共に前記画素トランジスタのソース領域に接続されるM(=m×n)本の信号線と、薄膜トランジスタにより形成されると共に前記M本の信号線に接続され、m個を1ブロックとしてnブロックに分割されるM個のアナログスイッチトランジスタとを含み、前記画素トランジスタと、前記アナログスイッチトランジスタと、前記走査線に信号を供給するための走査ドライバ回路とを、多結晶シリコンの薄膜トランジスタにより形成すると共にガラス基板上に一体形成してもよい。
多結晶シリコンTFTは、移動度が高く、アナログスイッチトランジスタを形成するものとして最適である。そしてアナログスイッチトランジスタに要求されるような低いオン抵抗を有する多結晶シリコンTFTを用いれば、走査ドライバ回路の形成も容易となる。
また本実施形態では、前記走査ドライバ回路を、前記画素トランジスタ及び前記アナログスイッチトランジスタと同一極性の薄膜トランジスタから成るダイナミック型又はスタティック型のシフトレジスタにより形成してもよい。このようにすれば同一極性のTFTのみ使用して液晶装置を形成できるため、製造プロセスの簡易化、回路規模の縮小化を図れる。
また本実施形態では、薄膜トランジスタにより形成され、N行×M列にマトリクス配置される画素トランジスタと、前記画素トランジスタのゲート電極に接続されるN本の走査線と、該走査線に交差すると共に前記画素トランジスタのソース領域に接続されるM(=m×n)本の信号線と、薄膜トランジスタにより形成されると共に前記M本の信号線に接続され、m個を1ブロックとしてnブロックに分割されるM個のアナログスイッチトランジスタと、液晶材料が封入される第1の封入エリア及び該第1の封入エリアから分離され気体が封入される少なくとも1つの第2の封入エリアが設けられた二重構造のシール部とを含み、前記アナログスイッチトランジスタ又は該アナログスイッチトランジスタ及びその配線を、前記第2の封入エリア内に形成してもよい。
この構成によれば、アナログスイッチトランジスタ等を気体により密封できるため、耐湿性の改善、信頼性の向上、寄生容量の軽減化を図れる。また第2の封入エリアへの気体も簡易に行うことができ、新たな工程の付加も少ないという利点がある。
また本実施形態では、前記画素トランジスタが配置されるアクティブマトリクスエリアの少なくとも上側及び下側に前記第2の封入エリアを設け、アクティブマトリクスエリアの右側及び左側のいずれか一方に液晶材料の封入口を設け、アクティブエリアの上側及び下側の第2の封入エリアに、前記アナログスイッチトランジスタを半数ずつ配置してもよい。このようにすれば、クシ歯配線を行った場合でもアナログスイッチトランジスタの封入が可能となる。また第2の封入エリアはアクティブマトリクスエリアの上下に設けられるため、右側又は左側から液晶の封入が可能となる。この時、封入口が無い方にデータドライバ、走査ドライバ等を実装することが望ましい。
また本実施形態では、薄膜トランジスタにより形成され、N行×M列にマトリクス配置される画素トランジスタと、前記画素トランジスタのゲート電極に接続されるN本の走査線と、該走査線に交差すると共に前記画素トランジスタのソース領域に接続されるM(=m×n)本の信号線と、薄膜トランジスタにより形成されると共に前記M本の信号線に接続され、m個を1ブロックとしてnブロックに分割されるM個のアナログスイッチトランジスタとを含み、前記アナログスイッチトランジスタ又は該アナログスイッチトランジスタ及びその配線を、少なくとも液晶材料よりも誘電率の低い絶縁膜で覆ってもよい。
アナログスイッチトランジスタ及び配線を絶縁膜で覆うことで、アナログスイッチトランジスタの保護、信頼性の向上を図れる。そして誘電率が液晶よりも小さい絶縁膜を用いることで、寄生容量を小さくでき、表示特性の向上を図れる。
また本実施形態では、前記信号線を、少なくとも液晶材料よりも誘電率の低い絶縁膜で覆ってもよい。このようにすれば、信号線の寄生容量を小さくでき、表示特性を更に向上できる。
また本実施形態に係る駆動方法では、薄膜トランジスタにより形成され、N行×M列にマトリクス配置される画素トランジスタと、前記画素トランジスタのゲート電極に接続されるN本の走査線と、該走査線に交差すると共に前記画素トランジスタのソース領域に接続されるM(=m×n)本の信号線と、薄膜トランジスタにより形成されると共に前記M本の信号線に接続され、m個を1ブロックとしてnブロックに分割されるM個のアナログスイッチトランジスタとを含む液晶装置に用いられる駆動方法であって、前記アナログスイッチトランジスタのソース領域に供給する入力信号の振幅を5V以下にし、前記画素トランジスタが接続される画素電極の対向電極に与える電位を対向電極電位とした場合に該対向電極電位の前記入力信号に対する極性を1水平走査期間毎に反転させるようにしてもよい。
このように1Hコモン振り反転駆動を行うことで、アナログスイッチトランジスタの入力信号を5V以下にしても、液晶に対して十分な大きさの印加電圧を加えることができ、表示特性を劣化させることなく信頼性を確保できる。またデータドライバを低耐圧のプロセスで形成でき、低コスト化を図れる。
また本実施形態に係る駆動方法では、薄膜トランジスタにより形成され、N行×M列にマトリクス配置される画素トランジスタと、前記画素トランジスタのゲート電極に接続されるN本の走査線と、該走査線に交差すると共に前記画素トランジスタのソース領域に接続されるM(=m×n)本の信号線と、薄膜トランジスタにより形成されると共に前記M本の信号線に接続され、m個を1ブロックとしてnブロックに分割されるM個のアナログスイッチトランジスタとを含む液晶装置に用いられる駆動方法であって、前記アナログスイッチトランジスタのソース領域に供給する入力信号の振幅を5V以下にし、走査線に与える信号に選択電位、非選択電位、該非選択電位よりも電位の低い第1の電位、該非選択電位よりも電位の高い第2の電位を持たせ、選択電位から該第1の電位を一定期間保った後に非選択電位になる場合と、選択電位から該第2の電位を一定期間保った後に非選択電位になる場合とを走査線毎に切り替えてもよい。
このように1H4値ゲート反転駆動を行うことで、アナログスイッチトランジスタの入力信号を5V以下にしても、液晶に対して十分な大きさの印加電圧を加えることができると共に、データドライバの低コスト化を図れる。更に対向電極の電位の極性を反転する必要がないため、消費電力を低減できる。
また本実施形態では、水平ブランキング期間において、前記アナログスイッチトランジスタをオフさせる期間を設けてもよい。このようにすれば、オフ期間の間に対向電圧、走査線の電位を変化させることが可能となる。
また本実施形態では、水平ブランキング期間において、前記対向電極に与える電位の極性を反転させた後に或いは前記第1の電位又は前記第2の電位に変化した後に、前記アナログスイッチトランジスタをオンさせ信号線に所与の電位を与える期間を設けてもよい。このようにすれば、信号線に残存するデータをリセットできクロストークを防止できる。
また本実施形態に係る駆動方法では、薄膜トランジスタにより形成され、N行×M列にマトリクス配置される画素トランジスタと、前記画素トランジスタのゲート電極に接続されるN本の走査線と、該走査線に交差すると共に前記画素トランジスタのソース領域に接続されるM(=m×n)本の信号線と、薄膜トランジスタにより形成されると共に前記M本の信号線に接続され、m個を1ブロックとしてnブロックに分割されるM個のアナログスイッチトランジスタとを含む液晶装置に用いられる駆動方法であって、前記画素トランジスタが配置されるアクティブマトリクスエリアの上側及び下側に前記アナログトランジスタを半数ずつ配置し、該アクティブマトリクスエリアの上側及び下側のいずれか一方に配置されるアナログスイッチトランジスタに(2L−1)番目の信号線を接続し、他方に配置されるアナログスイッチトランジスタに2L番目の信号線を接続し、前記アナログスイッチトランジスタのソース領域に供給する入力信号の振幅を5V以下にすると共に、前記画素トランジスタが接続される画素電極の対向電極に与える電位を対向電極電位とした場合に隣接する信号線に与える電位の該対向電極電位に対する極性を反転させてもよい。
このようにクシ歯配線にすると共に信号線反転駆動を行うことで、アナログスイッチトランジスタの入力信号の振幅を5V以下にでき、しきい値電圧のシフト量を適正化できると共に、液晶にDC電圧が印加されることを防止できる。
また本実施形態に係る駆動方法では、薄膜トランジスタにより形成され、N行×M列にマトリクス配置される画素トランジスタと、前記画素トランジスタのゲート電極に接続されるN本の走査線と、該走査線に交差すると共に前記画素トランジスタのソース領域に接続されるM(=m×n)本の信号線と、薄膜トランジスタにより形成されると共に前記M本の信号線に接続され、隣接しないm個を1ブロックとしてnブロックに分割されるM個のアナログスイッチトランジスタと、同一ブロックに含まれ隣接しないm個のアナログスイッチトランジスタのゲート電極を共通接続するn本の第1の配線と、異なるブロックに含まれ隣接するn個のアナログスイッチトランジスタのソース領域を共通接続するm本の第2の配線とを含む液晶装置に用いられる駆動方法であって、ラインメモリを用いて映像信号のデータの並び替え処理を行い、並び替え処理が施された信号を、前記第2の配線及び隣接しないm個のアナログスイッチトランジスタを介して信号線に書き込むようにしてもよい。
この構成によれば、隣接しないm個を1ブロックとしてnブロックに分割されるアナログスイッチトランジスタを用いる構成の液晶装置において、信号線にデータを適正に書き込むことができる。
また本実施形態に係る表示システムでは、薄膜トランジスタにより形成され、N行×M列にマトリクス配置される画素トランジスタと、前記画素トランジスタのゲート電極に接続されるN本の走査線と、該走査線に交差すると共に前記画素トランジスタのソース領域に接続されるM(=m×n)本の信号線と、薄膜トランジスタにより形成されると共に前記M本の信号線に接続され、隣接しないm個を1ブロックとしてnブロックに分割されるM個のアナログスイッチトランジスタと、同一ブロックに含まれ隣接しないm個のアナログスイッチトランジスタのゲート電極を共通接続するn本の第1の配線と、異なるブロックに含まれ隣接するn個のアナログスイッチトランジスタのソース領域を共通接続するm本の第2の配線と、該映像信号発生装置からのデジタル信号又は該映像信号発生装置からのアナログ信号をA/D変換したデジタル信号が入力され、該デジタル信号のデータの並び替え処理又は該並び替え処理及びデータ転送周波数を低下させる処理を行う処理手段と、該処理手段からの信号をD/A変換し、該信号を前記アナログスイッチトランジスタに供給するデータドライバとを含むようにしてもよい。
この構成によれば、隣接しないm個を1ブロックとしてnブロックに分割されるアナログスイッチトランジスタを用いる場合において、信号線にデータを適正に書き込むことができる。またデータ転送周波数を低下させることで、データドライバの低速化、低コスト化を図れる。
また本実施形態に係る表示システムでは、薄膜トランジスタにより形成され、N行×M列にマトリクス配置される画素トランジスタと、前記画素トランジスタのゲート電極に接続されるN本の走査線と、該走査線に交差すると共に前記画素トランジスタのソース領域に接続されるM本の信号線と、薄膜トランジスタにより形成されると共に前記M本の信号線に接続され、前記画素トランジスタが配置されるアクティブマトリクスエリアの上側及び下側に半数ずつ配置されるM個のアナログスイッチトランジスタと、上側のアナログスイッチトランジスタに接続される第1のデータドライバと、下側のアナログスイッチトランジスタに接続される第2のデータドライバと、該第1、第2のデータドライバに与える信号のデータ転送周波数を低下させる処理を行う処理手段とを含み、前記アクティブマトリクスエリアの上側及び下側のいずれか一方に配置されるアナログスイッチトランジスタに(2L−1)番目の信号線が接続され、他方に配置されるアナログスイッチトランジスタに2L番目の信号線が接続され、前記処理手段が前記データ転送周波数を1/2倍にするようにしてもよい。
この構成によれば、第1、第2のデータドライバを低速化できると共に、第1、第2のデータドライバを走査ドライバと共に液晶パネルの同一辺に形成することも可能となる。