JP4023279B2 - 入力装置および電子機器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば携帯電話機の入力操作面に備えられるような入力装置に関し、さらに詳しくは入力操作面の回転操作を非接触にて検知する入力装置および電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、携帯電話機やパソコンなどの電子機器に備えられるような入力装置の一例として、携帯電話機の上面に、表示器と、ダイヤル部と、左右の押しボタンと、テンキーおよび各種入力キーとを搭載し、このうちダイヤル部と、左右の押しボタンとを使って表示器に表示される画像をスクロール、あるいは画面上のカーソルを任意の方向に移動している。
【0003】
この場合、携帯電話機の上面に、回転自由にローラ面の一部が突出する円柱形状のダイヤル部を利用者が指先で回転操作したときに得られる回転方向および回転量との回転情報を正確に検知するために、ダイヤル部の軸部に備えたエンコーダによってダイヤル部の回転情報を求めている(例えば特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−283685号公報。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなエンコーダを用いた検知構造では、ダイヤル部の一部に導電部材を接触させて回転情報を検知する機械的な接触対応構造によって電気信号を読取るため、塵や埃の混入に悪影響を受けやすく、また接点やブラシの磨耗がダイヤル部の利用度合いに比例して大きくなり、この結果、長期使用に伴って接触信頼性の低下および寿命低下を余儀なくされていた。
【0006】
ことに、ダイヤル部の接点対応構造に際しては、端子を埋め込んだ成形品の加工や、端子の曲げ加工などのために複雑な加工を要して製作が難しくなっていた。また、組立に際しても、部品形状が複雑なのでブラシの取付けや端子との位置関係を合せながら取付けるため組立が難しくなっていた。
【0007】
そこでこの発明は、利用者により回転操作された回転体の回転情報を非接触に検知する検知手段を備えているため、長期使用しても検知性能が劣化せず、信頼性の高い検知信号を供給し続けることができる入力装置および電子機器を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明は、利用者が指先に触れて回動および押下自由に保持された回転体と、該回転体の両側位置に押下自由に保持された左右の操作ボタンとを、それぞれ独立して装置本体のベース上に搭載し、前記回転体と左右の操作ボタンの押下方向に対向する下面側のベース上には、前記回転体と左操作ボタンと右操作ボタンとの各押下検知スイッチを対設した入力装置であって、前記左右の操作ボタンは、前記ベース上の前後方向に設けた軸支部に傾動許容して軸支され、前記回転体に永久磁石を備え、該永久磁石の極性を検知することに基づいて前記回転体に入力操作された回転方向および回転量を検知する非接触の検知手段を備えた入力装置であることを特徴とする。
【0009】
ここで回転体とは、例えば軸方向両端部を軸支して正逆転自由に回転操作する円柱形状の軸体で構成することができる。
【0010】
前記永久磁石とは、細部への組込みに適した製作自由度の高い磁石、例えば磁性粉と樹脂とを混合して任意の形状に製作することができるボンド磁石を用いて構成することができる。
【0011】
前記検知手段とは、永久磁石のN極とS極との極性を検知して電気信号に変換する例えばホールICで構成することができる。
【0012】
前記入力装置とは、利用者による指先での入力操作に適した例えば携帯電話機などの入力操作面に適用することができる。
【0013】
前記操作ボタンとは、上方より押下操作可能に下方から反転バネを弾性対向させて配置し、この操作ボタンが反転バネに抗して押下されたときにスイッチング操作して押下信号を検知する。
【0014】
前記ベースとは、各部品を搭載する平板状の基板で構成することができる。
【0015】
前記押下検知スイッチとは、操作ボタンに対応して接点部間が開閉操作される反転バネスイッチで構成することができる。
【0016】
この場合は、回転体と一体に回転する永久磁石回転時のN極とS極との周方向の異極性間に交互に表れる磁界の強弱変化や発生数などの極性の変化を検知することによって、回転体の正逆の回転方向と回転量との回転情報を非接触に検知することができる。このため、物理的に回転接触して磨耗する部分がなくなり、またその回転接触部分への塵や埃が付着して接触性能を劣化させるような悪影響をも受けなくなるため磨耗による検知性能の劣化が完全に解消されて、信頼性の高い検知性能および半永久的な寿命延長が図れる。
【0017】
また、回転体の回転情報を非接触に検知する非接触の検知機能に加えて、該回転体自体の押下検知機能と、両操作ボタンの押下検知機能とを組合せた多機能の入力部に対応する検知構成を確立することができる。
【0018】
したがって、例えば表示項目の確定や実行するときのオンオフ操作などの入力種類に適した多様な入力操作ができる複合化入力利用を図った場合にも、回転情報に際しては非接触に検知できるため、検知性能の向上および寿命延長が図れる。
【0019】
さらに、左右の操作ボタンを備えた場合に、これらのボタンの真下に上下方向の押下ストロークを得るための内部空間を必要とするが、この内部空間に相当する回転体の一端部の小径軸上に永久磁石を効率よく周設して組込むことができる。したがって、永久磁石を組込んでも入力装置は大型化することはない。
【0020】
この発明の他の実施の形態として、回転体の外周面周方向に極性の異なる永久磁石を交互に周設して構成したことを特徴とする。
【0021】
この場合は、回転体の外周面周方向に配設された永久磁石のN極とS極との極性の変化を検知手段が非接触に検知し、これを電気信号に変換するだけで回転体の回転方向と回転量との回転情報を正確に求めることができる。
【0022】
また、永久磁石の配設位置を回転体の外周面周方向に備えることにより、磁界の発生領域が広くなり、検知手段は永久磁石が発する磁力を強くとることができる。
【0023】
この発明の他の実施の形態として、回転体の端面環状方向に極性の異なる永久磁石を交互に備えて構成したことを特徴とする。
【0024】
この場合は、永久磁石のN極とS極を、軸体の一端面に備えることができるため、永久磁石を回転体の軸長さ方向に対してコンパクトに効率よく設けることができ、回転体の軸方向を短縮して小型化を図ることができる。
【0025】
この発明の他の実施の形態として、回転体を左右一対の円形くし歯体を互いに突き合せて一体に組合わせ外周面周方向に極性の異なる永久磁石を交互に周設して構成したことを特徴とする。
この場合は、永久磁石の極性部分を製作に適した形状で作成することができる。
【0026】
この発明の他の実施の形態として、回転体の軸方向を装置本体の上面左右方向に横架し、該回転体の下面側に対向する押下検知スイッチを、前記回転体の軸方向中心線上の位置より手前側に設定して配設した入力装置であることを特徴とする。
【0027】
この場合は、利用者が指先で回転体を回転操作したとき、回転体の軸方向中心線上の位置より手前側から前方に向けて操作力が加わることがあり、この場合に回転操作と同時に前方に対して斜め下向きの押下力が混合して加わり、回転操作であるにも拘らず、力が入り過ぎて回転体が押下操作されてしまったときにも、その押下対応する前方の斜め下方には押下検知スイッチがないため誤操作は解消される。
【0028】
例えば、携帯電話機を片手で握ったとき、その握った方の親指の腹で回転体を前方に回転操作したとき、その押下対応する前方の斜め下方には押下検知スイッチはなく、軸方向中心線上の位置より手前側に押下検知スイッチが配設してあることから、回転操作時に誤った押下力がかからず、回転操作時には回転操作力だけを検知して誤押下操作は解消される。
【0029】
このような入力装置を、例えば携帯電話機などの電子機器に備えた場合は、指先で細かく入力操作するのに適した信頼性の高い小型の入力装置として能率よく使用できる。
【0030】
【発明の実施の形態】
この発明の一実施の形態を以下図面に基づいて説明する。
図面は携帯電話機に備えられる入力装置を示し、先ず、図1は携帯電話機11を示し、この携帯電話機11はケース本体12の上面に、上側から表示器13と入力装置14と入力キー15…とを順に配設し、ケース本体12の上端あるいは背面側にはアンテナ(図面省略)を付設して一体的に構成している。
【0031】
上述の入力装置14は、ケース本体12の上面から入力されたときの回転操作を検知するスイッチ機能と、その回転位置での押下操作を検知するスイッチ機能と、左右位置での独立した押下操作を検知する両スイッチ機能との合計4種類のスイッチ機能を有する複合的な入力機能を有して携帯電話機11に組込まれる。
【0032】
この入力装置14は、図2および図3に示すように、上方より左操作ボタン16と、右操作ボタン17と、操作ダイヤルユニット18と、フレキシブル基板19とを、この順に重ねてベース20上に一体的に搭載している。
【0033】
上述のベース20は横長の長方板形状を有し、図4にも示すように、その上面長手方向の両側対向位置には、操作ダイヤルユニット18を回動自由に軸支するための第1軸支孔21aを開口した左右一対の第1起立片21と、同操作ダイヤルユニット18の上下動領域をガイドする縦長の長孔を第2軸支孔22aとして開口した左右一対の第2起立片22とをそれぞれ立上らせて設けている。
【0034】
また、ベース20の上面短手方向の左側の前後対向位置には、左操作ボタン16を軸支するための第3軸支孔23aを開口した第3起立片23を立上らせて設け、同じくベース20の上面短手方向の右側の前後対向位置には右操作ボタン17を軸支するための第4軸支孔24aを開口した第4起立片24をそれぞれ立上らせて設けている。
【0035】
これらの第1〜第4起立片21〜24は軸支機能だけでなく、略直角に起立した起立片内面がフレキシブル基板19のベース形状に対応して設けられる外縁部周囲を位置決め係止する役目を有しており、各起立片21〜24で囲まれるベース20上にフレキシブル基板19の前後左右の縁部が位置決めされて定位置に搭載される。
【0036】
上述のフレキシブル基板19は、ベース形状と対応する前端部の中央位置に第1押下検知スイッチSW1を有し、その左側に第2押下検知スイッチSW2を、右側に第3押下検知スイッチSW3を有し、さらに右側の中央位置には後述する永久磁石と対応する回転情報検知用のホールIC25を搭載している。
【0037】
上述の第1〜第3押下検知スイッチSW1〜SW3は、円形フィルム26上に円形反転バネ27を重合せて一体化構成し、通常は円形反転バネ27の中央部が中高に反転突出した状態にあり、この中央部上面に後述する押子が対設され、円形反転バネ27が押下操作力を受けたとき、下向きに反転して押下検知スイッチをオンして検知信号を出力する。
【0038】
図5は操作ダイヤルユニット18がフレキシブル基板19を介してベース20上に取付けられた状態を示し、この操作ダイヤルユニット18は横長の操作ダイヤル28を同横長の枠体29上に回動自由に軸支した状態で搭載している。この枠体29の左右両端部には第1支軸29aと第2支軸29bを突設しており、左右両側に突設した第1支軸29aと第2支軸29bが、前記ベース20の両側に起立した両起立片21,22の第1軸支孔21aと第2軸支孔22aに回動自由に軸支させ、また枠体29の下面中央部に垂設した中央押子30をベース20上の第1押下検知スイッチSW1に押下対応させて設けている。
【0039】
この操作ダイヤルユニット18の取付け後に、左右の操作ボタン16,17を取付けるものであり、これらの操作ボタン16,17は操作ダイヤル28の両側上面を覆う如く山形の半円形状を有して搭載される。左操作ボタン16は、前後面に突出する前後一対の第3支軸31が、ベース20の左側前後対向位置に起立した第3起立片23の第3軸支孔23aにそれぞれ回動自由に軸支され、右操作ボタン17は前後面に突出する前後一対の第4支軸32が、ベース20の右側前後対向位置に起立した第4起立片24の第4軸支孔24aにそれぞれ回動自由に軸支される。
【0040】
また、左操作ボタン16の下面左側に垂設した左押子33が、フレキシブル基板19上の第2押下検知スイッチSW2に押下対応して設けられ、さらに右操作ボタン17の下面右側に垂設した右押子34がフレキシブル基板19上の第3押下検知スイッチSW3に押下対応して設けられる(図2参照)。
【0041】
次に、第1〜第3押下検知スイッチSW1〜SW3の検知構成について詳しく説明する。
【0042】
先ず、第1押下検知スイッチSW1と対応する操作ダイヤル28が利用者の押下操作力を受けたとき、第1支軸29aを回動支点に枠体29とともに下向きに回動して下面の中央押子30が、その下方の第1押下検知スイッチSW1を押下してスイッチング操作する。
【0043】
この場合、第1押下検知スイッチSW1の配設位置を、図6に示すように、操作ダイヤル28の軸方向中心線上の位置より若干手前側に設定して配設している。
【0044】
これにより、操作ダイヤル28の上面を利用者が指先Fで回転操作したときに、該操作ダイヤル28の軸方向中心線上の位置より手前側から前方の斜め下方に向けて押す方向に操作力が加わっても、その前方の斜め下方には第1押下検知スイッチSW1はなく、軸方向中心線上の位置より手前側に第1押下検知スイッチSW1が配設してあることから、回転操作時に誤って押下力が前方の斜め下方に加わっても該スイッチSW1には加わらず、回転操作時には回転操作力だけを検知して誤押下操作を解消した信頼性の高い検知信号が得られる。
【0045】
この誤押下操作の回避機能は、特に携帯電話機11を片手で握って、その握った方の親指で操作ダイヤル28を前方に回転操作したときに親指の指先が屈曲状態から伸張する方向に勢いよく動いて、強い押下力が加わり易い傾向にあることから操作ダイヤル28を介しての誤押下操作を回避するには顕著な効果が得られる。
【0046】
また、第2押下検知スイッチSW2と対応する左操作ボタン16が利用者の押下操作力を受けて上側から押下操作されたとき、該ボタン16の第2支軸31を回動支点に下向きに回動(左回転)して下面の左押子33が、その下方に対応する第2押下検知スイッチSW2を押下してスイッチング操作する。
【0047】
同様に、第3押下検知スイッチSW3と対応する右操作ボタン17が利用者の押下操作力を受けて上側から押下操作されたとき、該ボタン17の第3支軸32を回動支点に下向きに回動(右回転)して下面の右押子34が、その下方に対応する第3押下検知スイッチSW3を押下してスイッチング操作する。
【0048】
これらの第1〜第3押下検知スイッチSW1〜SW3に対するスイッチング操作時は、円形反転バネ27を下向きに反転させたときの感触によって押下時の操作感触が得られる。指先を離した押下操作後は、押下力が解除されて円形反転バネ27の上向きに反転する反転作用により、各押下検知スイッチSW1〜SW3は押上げられて、元の上動位置に復帰する。
【0049】
次に、操作ダイヤル28の回転検知構造について説明する。
図7は操作ダイヤルユニット18を分解して示し、この操作ダイヤルユニット18は操作ダイヤル28と、感触バネ35と、永久磁石36と、枠体29とが一体化されている。
【0050】
上述の操作ダイヤル28は、長軸の中央部外周面に、指先が触れて正逆いずれかの回転操作力が加わったときに十分な接触抵抗を持たせて滑らないための回転操作に適した小さな凹凸を有する操作面37を設け、この操作面37より左側の小径軸部の端面には比較的大きな凹凸の操作感触用の放射状溝38を形成し、後述する感触バネ35に接触対応する。また、操作面37より右側の小径軸部には筒状の永久磁石36を一体に嵌合固定して同軸上に取付けている。
【0051】
この場合、永久磁石36は細部への組込みに適したボンド磁石などを用い、図8(A)に示すように、筒体の外周面周方向にN極とS極との極性の異なる永久磁石を交互に等分(例えば6等分、好ましくは12等分)して有している。このとき、永久磁石36の外周面周方向の異極性間に磁界μが発生し、この磁界μの強弱変化や発生数を下方に近設するホールIC25で検知する。
【0052】
ホールIC25は、永久磁石36の略真下に対向する下方のフレキシブル基板19の上面に位置をずらして2個搭載する。これにより、永久磁石36が発する磁界μの強弱変化や発生数に対応する電気信号のズレを検知して、永久磁石36の回転方向および回転量を検知している。
【0053】
このように、操作ダイヤル28が回転操作されたとき、これと一体に回転する永久磁石36の磁界μの強弱変化や発生数をホールIC25が非接触に検知し、これを電気信号に変換するだけで操作ダイヤル28の回転方向と回転量との回転情報を正確に求めることができる。
【0054】
また、永久磁石36の極性部分の配置形状は、製作に適した任意の形状に設けることができる。例えば、図8(B)に示すように、左右一対の円形くし歯体36a,36bを互いに突き合せて一体に組合せることもできる。
【0055】
この操作ダイヤル28の左右両端面には小径軸28a,28bを突出しており、これらの小径軸28a,28bが後述する枠体29に略水平に軸支される。
【0056】
上述の枠体29は、コ形状の左枠体39と右枠体40を両側から突き合せて一体に設け、左枠体39の左端部に貫設した軸支孔39aに、操作ダイヤル28の左側に突出する小径軸28aを挿通して軸支している。また、右枠体40の右端部に貫設した軸支孔40aに、操作ダイヤル28の右側に突出する小径軸28bを挿通して軸支している。
【0057】
このとき、左枠体39の左端部内面と操作ダイヤル28の放射状溝38との軸方向の対向面間には、操作ダイヤル28の回転感触用の抵抗を与えるための感触バネ35を介在させている。
【0058】
上述の感触バネ35は、板バネを逆V字形に設け、そのV字面間に弾性を持たせた状態で軸方向に介在させるものであって、この感触バネ35の中央部に突出させた感触突片35aに操作ダイヤル28の放射状溝38が接触対向し、該操作ダイヤル28が正逆方向のいずれかに回転したとき、放射状溝38の凹凸面が感触突片35aに間欠的に接触対応して、回転方向の操作感触が得られる。また、右枠体40の中央側下面に中央押子30を垂設している。
【0059】
このようにして、操作ダイヤル28は枠体29に軸支されて正逆転自由に設けられる(図3および図4参照)。
【0060】
ところで、左右の操作ボタン16,17を備えた場合に、これらのボタン16,17の真下に上下方向の押下ストロークを得るための内部空間を必要とするが、この内部空間に相当する操作ダイヤルの一端部の小径軸上に永久磁石36を効率よく周設して組込むことができるため、永久磁石36を組込んでも入力装置14は大型化することはない。
【0061】
このように構成された入力装置14が利用者に入力操作されたとき、例えば表示器13の表示画像を上下方向にスクロールするために利用者が操作ダイヤル28の上面を指先で軽く接した状態で回すと、これに連動して同軸上の永久磁石36が同方向に回転し、このときの永久磁石36のN極とS極との異極性間に交互に表れる磁界μの強弱変化や発生数を下方に対応するホールIC25で検知して電気信号に変換することにより、回転操作された操作ダイヤル28の正逆いずれかの回転方向と回転量を図示しない中央処理装置に伝送して、表示画像を回転操作された上方向または下方向にスクロール制御する。
【0062】
これにより、表示器13に、例えば表示メニュ、発着信履歴リスト、電話帳リストなどの表示項目あるいはゲーム画像などがスクロール表示される。また、スクロール操作以外に表示画面上のカーソルを移動表示させることもできる。
【0063】
また、操作ダイヤル28は、通常、回転操作以外に押下可能な押下待機状態にあり、操作ダイヤル28を下方に押すと、操作ダイヤル28は下方に押し下げられて下動し、これに伴い中央押子30が下方に押下対応する第1押下検知スイッチSW1を押下してスイッチング動作する。これにより、表示器13に表示されている表示項目の選択や確定を実行することができる。
【0064】
さらに、左操作ボタン16が押下操作された場合は、該左操作ボタン16が下動して第2押下検知スイッチSW2をスイッチング操作し、左側の入力信号が検知される。同様に、右操作ボタン17が押下操作された場合は、該右操作ボタン17が下動して第3押下検知スイッチSW3をスイッチング操作し、右側の入力信号が検知される。
【0065】
このように、操作ダイヤル28の回転情報を非接触に検知できるため、物理的に回転接触して検知信号を取得するという機械的な接触部分が無くなることから検知性能の向上、信頼性の向上および寿命延長が図れる。また、この非接触検知機能に加えて、該操作ダイヤル28自体の押下検知機能と、両操作ボタン16,17の押下検知機能とを組合せて多機能の検知構成の入力部を構築することができる。
【0066】
図9および図10はこの発明の他の実施の形態の操作ダイヤル91を示し、この操作ダイヤル91は該操作ダイヤル91の軸部92の右側に嵌合可能な筒体93の永久磁石94を設けたものである。この操作ダイヤル91は、永久磁石94以外の部分は上述の操作ダイヤル28と同一であるため、その同一の説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0067】
この永久磁石94は、筒体の端面環状方向にN極とS極とを交互に等分配設して、端面上での異極性間の磁界μの強弱変化や発生数をホールICにより検知するものである。
【0068】
この場合は、永久磁石94のN極とS極を操作ダイヤル91の軸端面に備えることができるため、この永久磁石94の軸長さ方向が短くても極性の検出には支障はなく、永久磁石94をコンパクトに効率よく設けることができる。この結果、操作ダイヤル91の軸方向を短縮して小型化を図ることができる。
【0069】
また、上述の入力装置14ではベース20上にフレキシブル基板19を搭載して配線接続するものを示したが、これに限らず、図11および図12に示すように、ベース111の上面に第1〜第3押下検知スイッチSW11〜SW13を備え、ベース111の下面に前記第1〜第3押下検知スイッチSW11〜SW13および図示しないホールICとそれぞれ対応する各端子112…を備えた直付けタイプの入力装置113を設けることができる。
【0070】
上述のように、操作ダイヤルの正逆の回転方向と回転量との回転情報を非接触に検知することができるため、物理的に回転接触して磨耗する部分がなくなり、またその回転接触部分への塵や埃が付着して接触性能を劣化させるような悪影響を受けなくなり、磨耗による検知性能の劣化が完全に解消されて、信頼性の高い検知性能および半永久的な寿命延長が図れる。
【0071】
この発明の構成と、上述の実施の形態の構成との対応において、
この発明の回転体は、実施の形態の操作ダイヤル28に対応し、
以下同様に、
検知手段は、ホールIC25に対応し、
装置本体は、ケース本体12に対応し、
電子機器は、携帯電話機11に対応するも、
この発明は、請求項に示される技術思想に基づいて応用することができ、上述の実施の形態の構成のみに限定されるものではない。
【0072】
例えば、上述の実施の形態では検知手段にホールICを適用したが、これに限らず、ホール素子とICとの組合せでも構成することができる。
【0073】
【発明の効果】
この発明によれば、回転体の正逆の回転方向と回転量との回転情報を永久磁石を用いて非接触に検知することができるため、物理的に回転接触して磨耗する部分がなくなり、またその回転接触部分への塵や埃が付着して接触性能を劣化させるような悪影響を受けなくなり、磨耗による劣化が解消されて信頼性の向上および寿命延長が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 携帯電話機に適用した入力装置の平面図。
【図2】 入力装置の組立て状態を示す外観斜視図。
【図3】 入力装置を展開して示す展開斜視図。
【図4】 フレキシブル基板の搭載状態を示す斜視図。
【図5】 操作ダイヤルユニットの搭載状態示す斜視図。
【図6】 入力装置への入力操作状態を示す側面図。
【図7】 操作ダイヤルユニットを分解して示す外観斜視図。
【図8】 外周面周方向での磁界の発生状態を示す永久磁石の外観斜視図。
【図9】 他の実施の形態の操作ダイヤルを示す外観斜視図。
【図10】 端面環状方向での磁界の発生状態を示す永久磁石の外観斜視図。
【図11】 他の実施の形態の入力装置を斜め上方から見た外観斜視図。
【図12】 他の実施の形態の入力装置を斜め下方から見た外観斜視図。
【符号の説明】
11…携帯電話機
14,113…入力装置
16,17…操作ボタン
18…操作ダイヤルユニット
25…ホールIC
28,91…操作ダイヤル
36,94…永久磁石
SW1〜SW3…押下検知スイッチ

Claims (6)

  1. 利用者の指先に触れて回動および押下自由に保持された回転体と、該回転体の両側位置に押下自由に保持された左右の操作ボタンとを、それぞれ独立して装置本体のベース上に搭載し、前記回転体と左右の操作ボタンの押下方向に対向する下面側のベース上には、前記回転体と左操作ボタンと右操作ボタンとの各押下検知スイッチを対設した入力装置であって、
    前記左右の操作ボタンは、前記ベース上の前後方向に設けた軸支部に傾動許容して軸支され、
    前記回転体に永久磁石を備え、該永久磁石の極性を検知することに基づいて前記回転体に入力操作された回転方向および回転量を検知する非接触の検知手段を備えた
    入力装置。
  2. 前記回転体は、該回転体の外周面周方向に極性の異なる永久磁石を交互に周設したことを特徴とする
    請求項記載の入力装置。
  3. 前記回転体は、該回転体の端面環状方向に極性の異なる永久磁石を交互に備えたことを特徴とする
    請求項記載の入力装置。
  4. 前記回転体は、左右一対の円形くし歯体を互いに突き合せて一体に組合わせ外周面周方向に極性の異なる永久磁石を交互に周設したことを特徴とする
    請求項1記載の入力装置。
  5. 前記回転体の軸方向を装置本体の上面左右方向に横架し、該回転体の下面側に対向する押下検知スイッチを、前記回転体の軸方向中心線上の位置より手前側に設定して配設したことを特徴とする
    請求項1、2、3または4記載の入力装置。
  6. 請求項1、2、3、4または5記載の入力装置を備えた電子機器。
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