JP4020428B6 - 炭化水素の接触部分酸化法 - Google Patents

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Description

炭化水素の接触部分酸化法
【0001】
本発明は炭化水素の接触部分酸化法、特にメタン、天然ガス、随伴ガス又は他の軽質炭化水素源から一酸化炭素と水素の混合物を製造する方法に関する。
【0002】
触媒の共存下における例えばメタンや天然ガス等の炭化水素の部分酸化は、当該技術分野で合成ガスとして知られる一酸化炭素と水素の混合物の魅力的な製法である。炭化水素の部分酸化は高発熱反応であり、炭化水素がメタンである場合には下式反応:
2CH4+O2−−−−→2CO+4H2
により進行する。
【0003】
接触部分酸化反応を実施する方法は多数の型のものが当該技術分野で提案されている。商業的規模で適用するのに最適な方法の1つは固定配置に保持した触媒とフィードガスを接触させる方法である。固定層配置で多様な触媒を使用した炭化水素(特にメタン)の接触部分酸化に関する実験が多数の文献に詳細に開示されている。
【0004】
触媒粒子の固定層形態で触媒を使用した多数の学術的実験が文献に報告されている。
【0005】
例えば、A.T.アシュクロフトら(「遷移金属触媒を用いたメタンの合成ガスへの選択酸化」,ネイチャー,344号,No.6264,319〜321頁,1990年3月22日)は、ある種のルテニウム含有触媒の共存下におけるメタンから合成ガスへの部分酸化を開示している。実験の目的は、温和な条件下で低温で部分酸化法を実施できることを立証することであった。このために、実験は40,000/hrといった低いガス毎時空間速度、圧力1気圧及び温度約775℃で実施された。使用された触媒は少量の固体粉末触媒を含んでいた。
【0006】
P.D.F.フェルノンら(「メタンの合成ガスへの部分酸化」,カタリシス レターズ 6(1990)181〜186)はアルミナに担持するか又は混合酸化物前駆物質の成分としてニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウム又は白金を含む触媒を適用した一連の実験を開示している。この場合も、報告された実験は温和な作業条件のみを使用し且つ固定層に保持した少量のペレット状の触媒を使用した接触部分酸化法に限られている。著者らは「メタンの合成ガスへの部分酸化、及びメタンの変換における酸化剤としての二酸化炭素」,カタリシス トゥデイ,13(1992)417〜426にも同一の実験を報告している。
【0007】
R.H.ジョーンズら(「ユウロピウムイリデートEu2Ir27によるメタンの合成ガスへの接触変換」,カタリシス レターズ 8(1991)169〜174)はユウロピウムイリジウムパイロクロアEu2Ir27を使用したメタンの選択的部分酸化を報告している。反応は圧力1気圧及び温度873K(600℃)の温和な条件下で試験された。触媒は、粉砕後に圧縮してペレットを形成することにより製造された。ペレット状にした触媒を多孔質シリカフリットに充填し、実験で直接使用している。
【0008】
米国特許第5,149,464号(US−A−5,149,464)は、温度約650℃〜900℃の反応体ガス混合物を、一般に
a)式:MxM’yz(式中、MはMg、B、Al、Ln、Ga、Si、Ti、Zr及びHfから選択される少なくとも1種の元素であり、Lnはランタン及びランタニド系列元素の少なくとも1員であり、M’はd−ブロック遷移金属であり、比x/y、y/z及び(x+y)/zの各々は独立して0.1〜8である)の触媒、
b)d−ブロック遷移金属の酸化物、
c)耐火性担体に担持したd−ブロック遷移金属、又は
d)a)もしくはb)を反応条件下もしくは非酸化条件下で加熱することにより形成される触媒
のいずれかとして表される固体触媒と接触させることによりメタンを一酸化と水素に選択的に酸素化する方法に関する。
【0009】
US−A−5,149,464には、d−ブロック遷移金属は原子番号21〜29、40〜47及び72〜79の金属即ち金属スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルトニッケル、銅、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金及び金から選択されると述べられている。US−A−5,149,464には、好適金属は元素の周期表のVIII族金属、即ち鉄、オスミウム、コバルト、レニウム、イリジウム、パラジウム、白金、ニッケル及びルテニウムであると述べられている。
【0010】
US−A−5,149,464に記載の方法は650℃〜900℃の範囲の温度で実施され、700℃〜800℃の範囲が好適である。US−A−5,149,464には、酸化ルテニウム、酸化プラセオジム/酸化ルテニウム、パイロクロア、アルミナ担持ルテニウム、アルミナ担持ロジウム、アルミナ担持パラジウム、アルミナ担持白金、酸化ニッケル/酸化アルミニウム、灰チタン石及び酸化ニッケル等のVIII族金属を含む種々の触媒を試験した一連の実験が記載されている。
【0011】
接触部分酸化法で使用する触媒については、国際特許出願公開第WO92/11199号にも同様の一般開示がある。WO92/11199は具体的に、アルミナに担持したイリジウム、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、ニッケル及び白金を含む触媒を適用した実験を開示している。全実験は温和な作業条件下で実施され、典型的な条件は圧力1気圧、温度1050K(777℃)及びガス毎時空間速度約20,000/hrであった。
【0012】
US−A−5,149,464及びWO92/11199に記載されている実験はいずれも2つのシリカウールプラグの間で反応管に充填することにより固定層配置に保持した固体粉末粒子形態の触媒を使用している。
【0013】
ヨーロッパ特許出願公開第0303438号(EP−A−0303438)は炭化水素性フィードストックの接触部分酸化法を開示しており、該方法は炭化水素性フィードストック、酸素又は酸素含有ガス、及び任意に水蒸気の混合ガスを接触部分酸化ゾーンに導入し、該ゾーンに保持した触媒と接触させる。この方法で使用される触媒は多様な触媒活性成分、例えばパラジウム、白金、ロジウム、イリジウム、オスミウム、ルテニウム、ニッケル、クロム、コバルト、セリウム、ランタン及びその混合物を含み得る。更に、EP−A−0303438は、例えば菫青石、ムライト、チタン酸アルミニウムムライト、ジルコニアスピネル及びアルミナ等の耐火性酸化物などのように一般には触媒活性であるとみなされない物質も触媒として使用できると述べている。触媒は例えば波形金属シートを圧縮して細長いチャネルを形成するようにしたものや金網など種々の形態をとり得る。但し、EP−A−0303438は押出ハネカムモノリス形態の触媒を使用するのが好ましいと述べている。これらのモノリスはフィード及び生成物ガスの流れの方向に構造を通って伸びる多数の平行なチャネルを含む。
【0014】
ヨーロッパ特許第0262947号(EP−B−0262947)は炭化水素の部分酸化により水素を生成する方法を開示しており、該方法は炭化水素と酸素の混合物を触媒体に注入する。EP−B−0262947に開示されている触媒は、耐火性固体に担持した酸化白金及び酸化クロムを含む。EP−B−0262947に記載されている担体構造は、自動車又は化学プラントからの排気ガスを浄化するのに使用される型の一体ハニカム担体、及び好ましくは最大寸法1〜4mm、例えば1.5mmの粒子を含む粒状担体である。
【0015】
D.A.ヒックマンとL.D.シュミット(「Ptモノリスを用いたメタンの直接酸化による合成ガスの製造」,ジャーナル オブ カタリシス 138,267〜282,1992)は白金又はロジウムのいずれかを含む触媒の共存下でメタンの部分酸化実験を行った。部分酸化反応は実質的に大気圧で600〜1500K(327〜1227℃)の温度で実施された。使用した触媒は金属ゲージ、金属被覆フォームモノリス及び金属被覆押出モノリスの形態であった。金属ゲージ触媒は16ワイヤ/cm(40メッシュ)又は32ワイヤ/cm(80メッシュ)のゲージ1〜10層から構成した。フォームモノリスはαアルミナから構成され、連続気泡スポンジ様構造を有すると記載されている。使用した試料は12〜20個/cm(1インチ当たり細孔30〜50個(ppi))の見かけの多孔度を有していた。押出モノリスは正方形セル62個/cm2(400個/in2)をもつ菫青石押出モノリスであり、直線状の平行なチャネルから構成し、試験ガス流速条件下でチャネルを通って層状ガス流を生じるようにした。
【0016】
J.K.ホックマス(「モノリス担持型触媒を用いたメタンの接触部分酸化」,アプライド カタリシス B:環境,1(1992)89〜100)は、菫青石モノリス体に担持した白金とパラジウムの組み合わせからなる触媒を使用したメタンの接触部分酸化を報告している。
【0017】
ヨーロッパ特許出願公開第0576096号(EP−A−0576096)は、酸素対炭素モル比が0.45〜0.75となるように炭化水素フィードストック、酸素含有ガス及び場合により水蒸気を含むフィードを断熱条件下で反応ゾーンで触媒と接触させる、炭化水素フィードの接触部分酸化法を開示している。触媒は担体に担持した元素の周期表のVIII族金属から構成され、(構造を流れるガスが辿る経路の長さと構造を通る可能な最短直線経路の長さとの比として定義される)高い蛇行度をもつ固定配置で反応ゾーンに保持されている。EP−A−0576096には多様な担体材料及び構造が開示されており、例えば担体材料粒子、金属ゲージ及び耐火性フォームが挙げられる。担体材料として使用するのに適した材料は、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア及びその混合物等の耐火性酸化物を含むと記載されている。アルミナが特に好ましい担体材料であると述べられている。
【0018】
ヨーロッパ特許出願公開第0548679号(EP−A−0548679)は、ジルコニア又は安定化ジルコニアを含む担体に活性成分としてロジウム及び/又はルテニウムを堆積することにより製造された触媒の共存下でメタンの接触部分酸化により一酸化炭素と水素を製造する方法を開示している。EP−A−0548679には、触媒は微粉、ビーズ、ペレット、プレート、膜又はモノリス等の任意の適切な形態であると記載されている。EP−A−0548679には、接触部分酸化法は350〜1200℃、好ましくは450〜900℃の温度で300kg/cm2Gまで、好ましくは50kg/cm2G未満の圧力下で実施されると記載されている。EP−A−0548679には、典型的な作業ガス空間速度は1000〜40000h-1、好ましくは2000〜20000h-1の範囲であると記載されている。EP−A−0548679の特定実施例には、大気圧で300〜750℃の温度及び16,000〜43,000h-1の空間速度で実施した実験が記載されている。EP−A−0548679に記載されている全実験で、触媒は粒子の固定層形態に保持されている。
【0019】
ヨーロッパ特許出願公開第0656317号(EP−A−0656317)明細書は、炭化水素を酸素含有ガスと混合して触媒と接触させる、炭化水素フィードストックの接触部分酸化法を記載している。触媒は、(構造を流れるガスが辿る経路の長さと構造を通る可能な最短直線経路の長さとの比として定義される)
少なくとも1.1といった高い蛇行度と1cm2当たり少なくとも750個の細孔をもつ固定配置に保持されている。触媒は好ましくは担体に担持した触媒活性金属から構成される。適切な担体材料はシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア及びその混合物等の耐火性酸化物を含むと記載されている。ジルコニア耐火性フォームを担体として含む触媒が具体的に例示されている。
【0020】
商業規模で適用するのに有利な接触部分酸化法は、典型的には10バール以上、例えば約30バールの高圧と典型的には500,000〜1,000,000h-1の高いガス毎時空間速度で実施される。部分酸化反応の熱力学的挙動を考慮すると、高圧で高収率の一酸化炭素と水素を得るためには、高温で反応を行うことが必要である。商業プロセスに要求される収率を得るには、1000℃以上のオーダーの温度が必要である。
【0021】
商業的に有利な条件下で炭化水素の接触部分酸化に使用する触媒に最適な固定配置は、触媒を一体構造形態に保持したものであることが判明した。このような方法で使用する触媒は、モノリス形態の耐火性酸化物担体に担持した1種以上の触媒活性成分からなる。本明細書で「モノリス」又は「一体構造」という場合には、細孔が単位構造を通って延びる直線又は蛇行した平行又はランダムな細長いチャネルを構成し、即ち連続多孔性をもつ任意の単一多孔質材料単位、適切には任意の単一多孔質耐火性材料単位を意味する。
【0022】
上述のように、部分酸化反応は非常に発熱性であり、商業規模作業を首尾よく行うには1000℃を越える典型的反応条件が必要である。しかし、モノリス形態の触媒を使用すると、部分酸化法の実施に重大な問題が生じ得ることが今般判明した。特に、耐火性一体触媒構造は接触部分酸化法で一般的な非常に高い温度条件下で熱衝撃を非常に受け易いことが判明した。熱衝撃が生じるのは、触媒が迅速な温度変化を受けて触媒構造に実質的な温度勾配を生じたときである。緊急時に商用反応器の運転を停止する際にも熱衝撃が生じることがあり、その場合には反応器とその内容物を迅速に冷却することが必要になる。冷触媒を加熱フィード又は早期発火加熱ガスと接触させる場合には始動工程中、供給速度と組成の変動が生じる場合には通常工程作業中にも触媒は熱衝撃を受けることがある。
【0023】
商業規模でプロセスの作業中に触媒が熱衝撃を受けないようにするために必要な手段としては、例えば緩慢な熱交換による予熱が典型的な方法であるが、これらの方法は非常に高価で場所をとる。従って、一酸化炭素及び水素に対する高レベルの選択性と、高レベルの触媒安定性と、耐熱衝撃性を兼備する接触部分酸化法が必要とされている。
【0024】
驚くべきことに、ジルコニアをベースとするモノリス構造は、他の材料から製造したモノリスよりも接触部分酸化法の作業条件下で有意に高い耐熱衝撃性を提供することが今般判明した。
【0025】
従って、本発明は触媒が800〜1200℃の温度範囲にわたって60〜100℃/秒の熱衝撃を受けた状態で、炭化水素フィードストック及び酸素含有ガスを含むフィードを950〜1400℃の温度及び50,000〜50,000,000Nl/kg/hrのガス毎時空間速度で触媒と接触させることを特徴とする炭化水素フィードストックの接触部分酸化法を提供するものであり、前記触媒は多孔質一体構造形態であり、ジルコニアをベースとする担体に担持した触媒活性金属から構成される。
【0026】
本発明により提供される方法は、使用される特定触媒が接触部分酸化反応で一般的な極限条件下で特に耐性であることが判明したという点で特に有利である。
特に、本方法は触媒が熱衝撃を受ける状況で耐性であることが判明した。ジルコニアをベースとする一体触媒はアルミナをベースとする触媒等の慣用触媒よりも部分酸化条件下で著しく優れた耐熱衝撃性を示すことが判明した。
【0027】
本明細書の目的で「熱衝撃」なる用語は、広い温度範囲にわたって触媒が迅速な温度変化を受ける状態を意味し、このような変化は、触媒表面に配置した熱電対又は光学高温計と外観の変化の度合いによって判断できる。熱衝撃の尺度は使用される分析法によって異なるが、参考までに次の尺度を使用できる。特に、「熱衝撃」なる用語は、触媒に加えられる温度が800〜1200℃の温度範囲にわたって60〜100℃/秒の速度で変化するような状態を意味する。上述のように、このような衝撃は商用接触部分酸化反応器の始動作業又は運転停止時に生じ得る。本発明の好適態様では、本発明の方法はフィードを触媒と接触させる前又はそれと同時に、中温で清浄に発火する任意の適切なガス又は蒸気から選択される場合により予熱した所定量の早期発火ガス又は早期発火蒸気、例えばメタノール、水素、一酸化炭素及び/又は水素を含むか又は現場で形成する合成ガス又は他のガスを触媒と接触させることを特徴とする。この結果、触媒は早期発火温度からより高い早期燃焼温度まで上昇し、この温度で触媒はフィードガスの接触燃焼を維持することができる。このような始動により、800〜1200℃の範囲にわたって60〜100℃/秒の熱衝撃が生じ得る。
【0028】
本発明の方法は任意の一酸化炭素又は炭化水素フィードストックから一酸化炭素と水素の混合物を製造するために使用することができる。炭化水素は触媒との接触時に気相である。本方法はメタン、天然ガス、随伴ガス又は他の軽質炭化水素源の部分酸化に特に適している。この点で「軽質炭化水素」なる用語は炭素原子数1〜5の炭化水素を意味する。本方法は、実質的な量の二酸化炭素を含む天然産出埋蔵メタンからのガスの変換に有利に適用することができる。フィードは好ましくは少なくとも50容量%、より好ましくは少なくとも70容量%、特に少なくとも80容量%のメタンを含む。
【0029】
炭化水素フィードストックは酸素含有ガスとの混合物として触媒と接触させる。酸素含有ガスとして使用するには空気が適している。但し、実質的に純粋な酸素を酸素含有ガスとして使用するほうが好ましい。この結果、多量の不活性ガス(例えば酸素含有ガスとして空気を使用する場合には窒素)を取り扱う必要がなくなる。フィードは場合により水蒸気を含んでいてもよい。
【0030】
炭化水素フィードストックと酸素含有ガスは、0.3〜0.8、より好ましくは0.45〜0.75の範囲の酸素対炭素比を与えるような量でフィード中に存在するのが好ましい。本明細書中で酸素対炭素比という場合には、炭化水素フィードストック中に存在する分子形態の酸素(O2)と炭素原子の比を意味する。
好ましくは、酸素対炭素比は0.45〜0.65であり、理論比である0.5付近の酸素対炭素比即ち0.45〜0.65が特に好ましい。フィード中に水蒸気が存在する場合には、水蒸気対炭素比は好ましくは>0.0〜3.0、より好ましくは>0.0〜2.0である。炭化水素フィードストック、酸素含有ガス及び場合により存在する水蒸気は、触媒と接触させる前に十分に混合するのが好ましい。
【0031】
本発明の方法は任意の適切な圧力で実施することができる。商業規模で適用するには高圧、即ち大気圧を有意に上回る圧力を加えると最適である。本方法は150バールまでの圧力で実施することができる。好ましくは、本方法は2〜125バール、特に5〜100バールの圧力で実施される。
【0032】
本方法は任意の適切な温度で実施することができる。商業規模で実施される方法で一般的な好ましい高圧条件下では、フィードを高温で触媒と接触させるのが好ましい。好ましい高圧で高い変換レベルを達成しようとする場合にはこうすることが必要である。従って、950〜1400℃の範囲の温度、特に1000〜1300℃の範囲の温度でフィード混合物を触媒と接触させる。フィード混合物は触媒と接触させる前に予熱するのが好ましい。
【0033】
フィードは本方法の操作中に任意の適切な空間速度で供給することができる。
本発明の方法の1つの利点は、非常に高いガス空間速度を達成できることである。即ち、本方法のガス空間速度(触媒1kg当たりの毎時ガス標準リットルとして表す)は50,000〜50,000,000Nl/Kg/hrである。本方法で使用するには、500,000〜30,000,000Nl/kg/hrの空間速度が特に適している。
【0034】
本発明の方法で使用される触媒はジルコニアをベースとする一体構造に担持した触媒活性金属からなる。触媒に含まれる触媒活性金属は、元素の周期表のVIII族から選択される。本明細書中で周期表という場合には、CRC化学及び物理ハンドブック,第68版に記載されているようなCAS版を指す。本発明の方法で使用するのに好適な触媒はルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム及び白金から選択される金属を含む。ルテニウム、ロジウム又はイリジウムを触媒活性金属として含む触媒が特に好ましい。イリジウムが最適な触媒活性金属である。
【0035】
触媒はジルコニアをベースとする一体担体に担持した触媒活性金属からなる。
任意の適切なジルコニアベース材料を使用することができる。適切なジルコニア材料は市販されている。担体は好ましくは、例えば公知形態の(部分)安定化ジルコニア又は実質的に純粋なジルコニアから選択される少なくとも70重量%のジルコニアを含む。周期表の希土類、IIIB族又はIIA族元素の1種以上の酸化物を含む(部分)安定化ジルコニアが特に好ましいジルコニアベース材料である。最も好ましいジルコニアベース材料はMg、Ca、Al、Y、La又はCeの1種以上の酸化物により安定化又は部分的に安定化されたジルコニアを含む。安定化又は部分的に安定化されたジルコニアは粒子、繊維又はホイスカーをベースとする複合体等の任意の市販形態であり得る。
【0036】
ジルコニアベース一体担体は、耐熱衝撃性の強化(例えばSiC、SiO2、Al23又はその混合物)、触媒安定性の強化又は熱安定性の強化等の望ましい性質をもつ別の材料で上記のようなジルコニアベース材料を被覆したものでもよい。
【0037】
担体は多孔質一体構造の形態である。一体構造は1cm〜1m又はそれ以上の最大寸法をとることができ、1又は複数の独立一体担体部分から構成され得る。
複数の担体部分から構成したほうが類似の単一部分担体よりも高い耐熱衝撃性が得られるが、本発明では高い空間速度を使用するので、各部分間に良好な界面を維持及び獲得することが問題となり得る。他方、担体は公知方法によるセグメント一体担体から構成してもよい。多孔質一体構造は任意の適切な形態をとり得る。一体構造の1形態は押出ハネカム形態であり、その適切な材料は当業者に公知であり、市販されている。押出ハネカム材料は構造を通って延びる複数の直線状の細長い平行なチャネルをもつことを特徴とする。しかし、好適一体構造は高い蛇行度をもつものである。「蛇行度」なる用語は当該技術分野の慣用語であり、本明細書では構造を流れるガスが辿る経路の長さと構造を通る可能な最短直線経路の長さの比として定義される。従って、押出ハネカム構造は1.0の蛇行度をもつ。本発明の方法で使用される一体構造は好ましくは高い蛇行度、即ち1.1を上回る蛇行度をもつ。一体構造は好ましくは1.1〜約10.0、より好ましくは1.1〜約5.0の範囲の蛇行度をもつ。一体構造に最適な蛇行度の範囲は1.3〜4.0である。
【0038】
本発明の方法で使用される一体構造は本明細書中で既に定義したように多孔質である。一体構造は高い多孔度をもつことが好ましい。これらの細孔は担体材料中に存在し得る微細孔と区別すべきである。一体構造は好ましくは少なくとも500個/cm2、より好ましくは少なくとも750個/cm2の細孔を含む。好適一体構造は、1000〜15000個/cm2、より好ましくは1250〜10000個/cm2の細孔をもつものである。
【0039】
一体構造は好ましくは0.4〜0.9、より好ましくは過剰の圧力低下を避けるために0.6〜0.9の範囲の気孔率をもつ。
【0040】
本発明の方法で使用される触媒担体に最適な特に好ましい一体構造はフォームである。本発明の方法で使用するのに適したジルコニアをベースとするフォームは市販されている。
【0041】
本発明の方法で使用される触媒は当該技術分野で公知の方法により製造することができる。最適な方法はジルコニアをベースとする材料に触媒活性金属の化合物を含浸させる方法である。
【0042】
フィードは断熱条件下で触媒と接触させるのが好ましい。本明細書の目的で「断熱」なる用語は、反応器の気体流出流中に放出される熱を除き、反応ゾーンからの熱損失及び放射を実質的に完全に阻止する反応条件を意味する。
【0043】
別の側面において、本発明は上記方法により任意の時点で製造された一酸化炭素又は水素に関する。
【0044】
本発明の方法により製造された一酸化炭素と水素は、これらの化合物の一方又は両方を利用する任意のプロセスで使用することができる。本方法により製造された一酸化炭素と水素の混合物は、例えばフィッシャー−トロプシュ法による炭化水素の合成、又は酸素化物(例えばメタノール)の合成で使用するのに特に適している。一酸化炭素と水素をこのような生成物に変換する方法は当該技術分野で周知である。あるいは、一酸化炭素と水素生成物は水性ガス移動反応による水素の製造で使用することもできる。生成物の他の用途には、ヒドロホルミル化及びカルボニル化法がある。
【0045】
以下、実施例により本発明の方法を更に説明するが、これらの実施例中、実施例1、2及び3は本発明の態様の実施例であり、実施例4は単に比較の目的である。
【0046】
実施例1
アルミニウムで安定化したジルコニアをベースとする市販フォーム(Al−PSZ、細孔990個/cm2)に慣用フォーム含浸法で最終ロジウム添加量5重量%までロジウムを含浸させた。
【0047】
含浸ジルコニアフォームを鋼反応器に仕込んだ。触媒構造は1.5〜2.5の蛇行度をもつものとした。天然ガスと酸素を十分に混合し、得られた混合物をフィードとして使用して反応器に導入し、触媒と接触させた。フィードの酸素対炭素比は0.54とした。フィードは750,000Nl/kg/hr(毎時触媒1kg当たりの標準リットル)のガス毎時空間速度(GHSV)と1.0バールの圧力で供給した。
【0048】
触媒の作業温度を光学高温計で測定した。反応器から放出されるガスの組成をガスクロマトグラフィーにより測定した。(変換されたメタンに基づいて)一酸化炭素と水素に対するプロセスの変換率及び選択性を決定した。実験の作業条件と結果を下表に要約する。
【0049】
フィードを温度250℃まで予熱した。しかし、初めは反応が観察されなかった。プロパンと酸素の混合物の燃焼により発生する熱を使用して触媒の小領域を発火させた。この結果、発火点から約15秒以内に触媒構造を迅速に横切る赤熱光が観察され、触媒構造全体が迅速に発火した。このとき、触媒全体は250℃の初期温度から1240℃の最終作業温度まで迅速に加熱された。こうして990℃の温度範囲にわたって60℃/秒を上回る熱衝撃を触媒に加えた。実験の終点における触媒の状態を下表に示す。
【0050】
実施例2
アルミニウムで安定化したジルコニアをベースとする市販フォーム(Al−PSZ、細孔990個/cm2)に慣用含浸法で最終イリジウム添加量5重量%までイリジウムを含浸させた。
【0051】
上記実施例1に記載した一般実験手順に従ってイリジウム/ジルコニア触媒を試験した。実験の作業条件と結果を下表に示す。
【0052】
実施例3
マグネシウムで安定化したジルコニアをベースとする市販フォーム(Mg−PSZ、細孔990個/cm2)に慣用含浸法で最終ロジウム添加量5重量%までロジウムを含浸させた。
【0053】
上記実施例1に記載した一般実験手順に従ってロジウム/ジルコニア触媒を試験した。実験の作業条件と結果を下表に示す。
【0054】
実施例4
比較として、慣用含浸法を使用して市販のアルミナフォーム(Al23)に最終ロジウム添加量5重量%までロジウムを含浸させた。
【0055】
上記実施例1に記載した一般実験手順に従ってロジウム/アルミナ触媒を試験した。実験の作業条件と結果を下表に示す。
【表1】
Figure 0004020428

Claims (27)

  1. 触媒が800〜1200℃の温度範囲にわたって60〜100℃/秒の熱衝撃を受ける条件下で、炭化水素フィードストックと酸素含有ガスを含むフィードを、ジルコニアをベースとする担体に担持した触媒活性金属を含む多孔質一体構造形態の触媒と、950〜1400℃の温度及び50,000〜50,000,000Nl/kg/hrのガス毎時空間速度で接触させることを特徴とする、炭化水素フィードストックの接触部分酸化法。
  2. フィードを触媒に接触させる前又はそれと同時に、早期発火ガス又は早期発火蒸気を触媒と接触させることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 早期発火ガス又は早期発火蒸気を予熱することを特徴とする請求項2に記載の方法。
  4. 早期発火ガス又は早期発火蒸気がメタノール、水素又は合成ガスであることを特徴とする請求項2又は3に記載の方法。
  5. 炭化水素フィードストックがメタン、天然ガス、随伴ガス又は軽質炭化水素源を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 酸素含有ガスが純粋な酸素であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. フィードが0.3〜0.8の酸素対炭素比を与える量の炭化水素フィードストックと酸素含有ガスを含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 酸素対炭素比が0.45〜0.75であることを特徴とする請求項7に記載の方法。
  9. 酸素対炭素比が0.45〜0.65であることを特徴とする請求項7に記載の方法。
  10. 150バールまでの圧力でフィードを触媒と接触させることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 圧力が2〜125バールであることを特徴とする請求項10に記載の方法。
  12. 圧力が5〜100バールであることを特徴とする請求項10に記載の方法。
  13. 1000〜1300℃の温度でフィードを触媒と接触させることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 500,000〜30,000,000Nl/kg/hrのガス毎時空間速度でフィードを触媒と接触させることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 触媒が触媒活性金属として元素の周期表のVIII族金属を含むことを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 触媒がロジウム、イリジウム又はルテニウムから選択される金属を含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
  17. 触媒がイリジウムを含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
  18. 一体触媒担体が少なくとも70重量%のジルコニアを含むことを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 一体触媒担体が周期表の希土類、IIIB族又はIIA族元素の1種以上の酸化物を含む(部分)安定化ジルコニアを含むことを特徴とする請求項18に記載の方法。
  20. 触媒が1.1〜10.0の蛇行度をもつ一体構造形態であることを特徴とする請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 一体構造形態の触媒が1.3〜4.0の蛇行度をもつことを特徴とする請求項20に記載の方法。
  22. 触媒が少なくとも750個/cm 2 の細孔をもつ一体構造であることを特徴とする請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法。
  23. 一体構造が1000〜15000個/cm 2 の細孔をもつことを特徴とする請求項22に記載の方法。
  24. 触媒がフォームの形態であることを特徴とする請求項1〜23のいずれか一項に記載の方法。
  25. 触媒が0.4〜0.9の範囲の気孔率をもつことを特徴とする請求項1〜24のいずれか一項に記載の方法。
  26. 触媒が0.6〜0.9の範囲の気孔率をもつことを特徴とする請求項25に記載の方法。
  27. 断熱条件下でフィードを触媒と接触させることを特徴とする請求項1〜26のいずれか一項に記載の方法。
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