JP4018869B2 - 光学式ディスク基板用ポリカーボネート樹脂及び光学式ディスク基板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学式ディスク基板用ポリカーボネート樹脂及び光学式ディスク基板に関し、さらに詳しくは、バリによる欠陥が少ない光学式ディスク基板の素材として適したポリカーボネート樹脂及び該樹脂からなる光学式ディスク基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリカーボネート樹脂は、透明性、耐熱性、低吸水性が優れているため、CD,CD−ROM,MO,CD−R,CD−RW,DVD−ROM,DVD−R,DVD−RAM等の光学式ディスクの基板に広く使用されている。こうした光学式ディスク基板は、通常、射出成形で、金型内に配設されたスタンパと呼ばれるニッケルの薄板にピットやグルーブといった信号が刻印されている面が、成形されるポリカーボネート樹脂製基板に転写され、製造する方法が採用される場合が多い。
【0003】
近年における光学式ディスク基板の製造においては、一つの工場において数十から百台を超える成形機が導入されて省力化が図られ、更なる量産効果の向上が追求されていると同時に品質の管理も徹底的に行われている。しかしながら、その中でスタンパの交換や成形機の成形条件の変更等がなく、かつポリカーボネート樹脂の分子量、分子量分布、ガラス転移温度のほか流動性を規定する因子が一定範囲内で安定しているにもかかわらず、突発的にディスク基板センターホールのスプルーカツト時に離型不良が発生し、その離型不良によってディスク基板外周部もしくは外周部の微細なバリが金型と擦り落ちて発生したと考えられる樹脂屑混入により、ディスク基板の歩留まりが数%〜数十%程度低下する場合がある。この現象を一般にバリによる欠陥と呼び、これを防ぐためには離型剤の添加量を増やすことにより解決できる。しかし、光学的性質の欠陥の発生、特に恒温恒湿下での加速劣化試験においてポリカーボネート樹脂の偏光白濁欠陥の発生が促進される傾向が見られ、光学的ディスクとしての記録データ保存に対する信頼性も低下するために離型剤の添加量を必要以上に増やすことはできない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記状況を鑑みなされたもので、離型剤の添加量を必要以上に増やすことなく、バリによる欠陥が少ない光学式ディスク基板の素材として適したポリカーボネート樹脂及び該樹脂からなる光学式ディスク基板を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、種々検討を重ねた結果、ポリカーボネート樹脂中の鉄分量及び水酸基末端分率とバリによる欠陥発生に相関性があることを見出し、これに基づいて本発明を完成するに到った。
【0006】
すなわち、本発明の要旨は下記の通りである。
1.ビスフェノールAとフェノールの付加物を精製フェノールで洗浄したのち、フェノールとビスフェノールAとに分解し、該フェノールを反応系にリサイクルする方法によって得られたビスフェノールAを原料として製造され、粘度平均分子量が10,000〜17,000であって、鉄分量が0.2ppm以下、水酸基末端分率が7モル%未満で、かつ離型剤を100〜500ppm含有することを特徴とする光学式ディスク基板用ポリカーボネート樹脂ペレット。
2.離型剤を150〜350ppm含有するものである前記1記載の光学式ディスク基板用ポリカーボネート樹脂ペレット。
3.離型剤が多価アルコール脂肪酸エステルである前記1又は2に記載の光学式ディスク基板用ポリカーボネート樹脂ペレット。
4.多価アルコール脂肪酸エステルがグリセリンの脂肪酸モノエステルである前記3記載の光学式ディスク基板用ポリカーボネート樹脂ペレット。
5.前記1〜4のいずれかに記載の光学式ディスク基板用ポリカーボネート樹脂ペレットを成形することにより得られる光学式ディスク基板。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。まず、本発明の光学式ディスク基板に使用されるポリカーボネート樹脂組成物について説明する。そのポリカーボネート樹脂としては、その化学構造や製造法については特に制限はなく種々のものを用いることができる。例えば、二価フェノールとカーボネート前駆体との反応により製造される芳香族ポリカーボネート樹脂が好適に用いられる。製造方法については、溶液法、溶融法いずれも採用できる。
【0008】
上記の二価フェノールとしては、種々のものが用いられるが、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコールなどが好適なものとして挙げられる。これら二価フェノールの中でも、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン、特に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールA〕が好ましい。そして、これらの二価フェノールは、それぞれ単独で用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
【0009】
また、カーボネート前駆体としては、カルボニルハライド、カルボニルエステル、またはハロホーメートなどを用いることができる。さらに具体的には、ホスゲン、二価フェノールのジハロホーメート、ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどである。
【0010】
そして、このポリカーボネート樹脂の化学構造は、その分子鎖が線状構造または環状構造もしくは分岐構造を有しているものを用いることができる。このうち、分岐構造を有するポリカーボネート樹脂としては、分岐剤として、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、α,α’,α”−トリス(4−ビドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、フロログルシン、トリメリット酸、イサチンビス(o−クレゾール)などを用いて製造したものが好ましく用いられる。また、このポリカーボネート樹脂として、テレフタル酸などの2官能性カルボン酸、またはそのエステル形成誘導体などのエステル前駆体を用いて製造されたポリエステル−カーボネート樹脂を用いることもできる。さらに、これら種々の化学構造を有するポリカーボネート樹脂の混合物を用いることもできる。
【0011】
また、これらポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、通常10,000〜30,000である。この粘度平均分子量(Mv)は、ウベローデ型粘度計を用いて、20℃における塩化メチレン溶液の粘度を測定し、これより極限粘度[η]を求め、[η]=1.23×10-5Mv0.83の式により算出した値である。このようなポリカーボネート樹脂の分子量の調節には、フェノール、p−t−ブチルフェノール、p−t−オクチルフェノール、p−クミルフェノール、p−ドデシルフェノールなどが用いられる。
【0012】
上記の方法で製造したポリカーボネート樹脂のフレークに離型剤、必要によりリン系酸化防止剤を20〜100ppm添加した後、押出し機でペレット化する。このペレット中の離型剤が100〜500ppm(好ましくは150〜350ppm)となるようにする必要がある。
離型剤が100ppm未満であると、離型不良によるバリによる欠陥の発生が増大し、500ppmを超えると、光学ディスクとしての偏光白濁欠陥が発生しやすくなり好ましくない。
【0013】
また、そのペレットの粘度平均分子量が10,000〜17,000であって、鉄分量が0.2ppm以下、水酸基末端分率が7モル%未満であることが必須である。ここで、水酸基末端分率とは、ポリカーボネートの全末端に対する水酸基末端の割合(モル%)であり、後に述べる測定方法で測定される値である。
【0014】
上記の性質のうち、鉄分量と水酸基末端分率を満足させるためには、特に限定されないが、例えば、特開平6−48970号公報に記載されている方法、すなわち、ビスフェノールAとフェノールの付加物を精製フェノールで洗浄したのち、フェノールとビスフェノールAとに分解し、該フェノールを反応系にリサイクルする方法のようにビスフェノールAを製造する段階で精製するのがより効果的である。
【0015】
前記の離型剤としては、好ましくは、多価アルコールの脂肪酸エステルが使用され、グリセリン,トリメチルプロパン,ヘキサントリオール等の3価のアルコールや、ペンタエリスリトール,メソエリスリトール,キシリトール,ソルビトール等の4価以上のアルコールと、炭素数10〜30の脂肪酸との部分エステルが挙げられる。脂肪酸としては、カプリン酸,ウンデカン酸,ラウリン酸,トリデカン酸,ミリスチン酸,ペンタデカン酸,パルミチン酸,マルガリン酸,ステアリン酸,ノナデカン酸,エイコサン酸,ベヘン酸等が挙げられる。具体的には、グリセリンモノステアレート,グリセリンモノパルミテート,グリセリンモノミリステート,グリセリンモノラウレート等のグリセリンモノエステル、ペンタエリスリトールジステアレート,ペンタエリスリトールトリステアレート,ペンタエリスリトールモノパルミテート,ペンタエリスリトールジパルミテート,メソエリスリトールトリラウレート,キシリトールジステアレート,キシリトールトリステアレート,キシリトールテトラステアレート等が用いられる。これらのエステルは単独でも、二種以上を併用することもできる。なかでも、グリセリンの脂肪酸モノエステルが好ましい。
【0016】
リン系酸化防止剤として、例えば、トリメチルホスファイト,トリエチルホスファイト,トリブチルホスファイト,トリオクチルホスファイト,トリノニルホスファイト,トリデシルホスファイト,トリオクタデシルホスファイト,ジステアリルペンタエリスチルジホスファイト,トリス(2−クロロエチル)ホスファイト,トリス(2,3−ジクロロプロピル)ホスファイトなどのトリアルキルホスファイト;トリシクロヘキシルホスファイトなどのトリシクロアルキルホスファイト;トリフェニルホスファイト,トリクレジルホスファイト,トリス(エチルフェニル)ホスファイト,トリス(ブチルフェニル)ホスファイト,トリス(ノニルフェニル)ホスファイト,トリス(ヒドロキシフェニル)ホスファイトなどのトリアリールホスファイト;2−エチルヘキシルジフェニルホスファイトなどのモノアルキルジアリールホスファイト;トリメチルホスフェート,トリエチルホスフェート,トリブチルホスフェート,トリオクチルホスフェート,トリデシルホスフェート,トリオクタデシルホスフェート,ジステアリルペンタエリスリチルジホスフェート,トリス(2−クロロエチル)ホスフェート,トリス(2,3−ジクロロプロピル)ホスフェートなどのトリアルキルホスフェート;トリシクロヘキシルホスフェートなどのトリシクロアルキルホスフェート;トリフェニルホスフェート,トリクレジルホスフェート,トリス(ノニルフェニル)ホスフェート,2−エチルフェニルジフェニルホスフェートなどのトリアリールホスフェートなどが挙げられる。これらは単独でも、二種以上を併用することもできる。
【0017】
上述したように、ポリカーボネート樹脂は、ペレットの状態で、粘度平均分子量を10,000〜17,000、鉄分量を0.2ppm以下、水酸基末端分率を7モル%未満とする必要がある。鉄分量が多すぎたり、水酸基末端分率が高すぎると、バリによる欠陥が多く発生する。
【0018】
また、粘度平均分子量が10,000未満であると、成形品の機械的強度が低下し、17,000を超えると、成形時の流動性不足により成形品に歪みが残り、光学的特性が低下し好ましくない。なお、鉄分量、水酸基末端分率の測定法は下記のとおりである。
(1)鉄分量
試料を灰化した後、グラファイトファーネス原子吸光法にて定量分析した。
(2)水酸基末端分率(末端停止剤にp−t−ブチルフェノールを使用した場合)
試料40mgを径5mmのNMR試料管に採取し、重クロロホルム0.6ミリリットルで室温下で均一に溶解させる。日本電子社製500MHzNMR(LAMBDA−500)にて下記の条件で 1H−NMRを測定した。
【0019】
測定条件
パルス幅 45度
パルス繰り返し時間 9sec
積算回数 256回
化学シフト基準 テトラメチルシラン
測定温度 室温
BF値 0.15
NMRスペクトルにて、δ=6.6ppmの末端OHの近傍のo−フェニルの特性シグナル強度をXとし、δ=1.3ppmのt−ブチルの特性シグナル強度をYとし、下記式より求めた。
水酸基末端分率(モル%)=100×(X/2)/〔(X/2)+(Y/9)〕本発明の光学式ディスク基板は、上記ポリカーボネート樹脂ペレットを射出成形法,押出成形法など任意の成形方法で成形することにより得ることができる。なかでも、スタンパを使用した射出成形法が好適である。
【0020】
【実施例】
次に、実施例および比較例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
〔実施例1〕
(1)ビスフェノールAの製造
図1に示すビスフェノールA製造工程図に従って、連続プロセスにより、ビスフェノールを製造した。まず、陽イオン樹脂600gが充填された反応器1に、フェノールを4600g/hr、アセトンを280g/hr及びエチルメルカプタンを16g/hrの速度で温度を75℃に維持しながら、連続的に供給する。反応混合物2は濃縮工程3に導かれ、165℃、53.3kPaの条件でビスフェノールAの濃度が30質量%になるように濃縮され、この濃縮液4は晶析工程5へ導かれ、45℃の条件で冷却処理が施され、ビスフェノールAとフェノールとの付加物が晶析する。次にこの付加物のスラリー6は分離工程7に送られ、付加物結晶と母液とに分離される。付加物結晶8は洗浄工程9において、精製フェノールにより湿ケークの0.5倍(質量比)量で洗浄され、洗浄された付加物結晶10は再結晶を経て付加物分解工程11に送られる。この分解工程においては、2.6kPa、170℃の条件で付加物は分解され、大部分のフェノールが留出する。この留出フェノール12は全量反応器1にリサイクルされる。一方、分解工程11から取り出されたビスフェノールA13は、その中の残留フェノールをスチームストリッピングにより実質上完全に除去して製品ビスフェノールAとする。
【0021】
(2)ポリカーボネートオリゴマーの調製
5質量%水酸化ナトリウム水溶液400リットルに、上記の方法で製造したビスフェノールA60kgを溶解させ、ビスフェノールAの水酸化ナトリウム水溶液を調製した。
次いで、室温に保持したこのビスフェノールAの水酸化ナトリウム水溶液を138リットル/hrの流量で、またメチレンクロライド69リットル/hrの流量で、内径10mm、管長10mの管型反応器にオリフィス板を通して導入し、これにホスゲンを10kg/hrの流量で吹き込み、3時間連続的に反応させた。ここで用いた管型反応器は二重管になっており、ジャケット部には冷却水を通して反応液の反応温度を25℃に保った。
また、排出液のpHを10〜11に示すように調整した。このようにして得られた反応液を静置することにより、水相を分離除去し、メチレンクロライド相(220リットル)を採取し、ポリカーボネートオリゴマー溶液を得た。
【0022】
(3)ポリカーボネートの製造
上記(2)で得られたポリカーボネートオリゴマー溶液10リットルに、p−t−ブチルフェノール118gを溶解させ、これに水酸化ナトリウム水溶液(NaOH;75g,水;1リットル)とトリエチルアミン1.17ミリリツトルを加え、300rpmで常温にて30分間攪拌した。次いで、メチレンクロライド8リットル及びビスフェノールAの水酸化ナトリウム水溶液(ビスフェノールA;607g,NaOH;320g,水;5リットル)を加え、500rpmで常温にて1時間攪拌した。その後、メチレンクロライド5リットルを加え、500rpmで常温にて10分間攪拌した。攪拌停止後、静置分離し、有機相を得た。この有機相を0.03規定の水酸化ナトリウム水溶液5リットルでアルカリ洗浄、0.2規定の塩酸5リットルで酸洗浄及び水5リットルで水洗(2回)を順次行った後、メチレンクロライドを留去し、フレーク状のポリカーボネートを得た。得られたポリカーボネートフレークを120℃で48時間真空乾燥させ、粘度平均14,500のポリカーボネートフレークを得た。同様な操作により約50kgのポリカーボネートフレークを得た。
【0023】
(4)ペレットの製造
上記(3)で得られたフレーク状のポリカーボネートに離型剤としてグリセリンモノステアレートを300ppm、リン系酸化防止剤としてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトを40ppm添加した後、押出し機でペレット化した。このペレットの粘度平均分子量は14,200、鉄分量は0.1ppm、水酸基末端分率は5.4モル%、離型剤量は250ppmであった。
【0024】
(5)成形及び検査
上記(4)で得られたペレットを射出成形機(住友重機械社製:DISK5)に供給し、下記の条件で径130mm、厚み1.2mmのディスク基板を600枚製造した。
シリンダー温度:325℃
金型温度:90℃(スタンパ側)/85℃
スタンパ:CD−ROM用
得られたディスク基板を傷欠陥検査機で検査した結果、バリによる欠陥品は4.5%であった。また、ディスク基板を90℃、90%の恒温恒湿で300時間加速劣化させた後、電気特性検査機を用いて測定したところ、ブロックエラーレートは6であった。
【0025】
〔比較例1〕
(1)ビスフェノールAの製造
図2に示すビスフェノールA製造工程図に従って、連続プロセスによりビスフェノールAを製造した。すなわち、実施例1において、留出フェノール12を反応器1にリサイクルせずに、付加物洗浄工程9において精製フェノールの代わりに用いた以外は、実施例1の(1)と同様に実施し、ビスフェノールAを製造した。
(2)ポリカーボネートオリゴマーの調製
実施例1の(2)と同様にして、比較例1の(1)で製造されたビスフェノールAを使用してポリカーボネートオリゴマー溶液を得た。
(3)ポリカーボネートの製造
実施例1の(3)と同様にして、比較例1の(2)で製造されたポリカーボネートオリゴマー溶液を使用して粘度平均分子量14,300のポリカーボネートフレークを得た。
【0026】
(4)ペレットの製造
上記(3)で得られたフレーク状のポリカーボネートに離型剤としてグリセリンモノステアレートを300ppm、リン系酸化防止剤としてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトを40ppm添加した後、押出し機でペレット化した。このペレットの粘度平均分子量は14,100、鉄分量は0.3ppm、水酸基末端分率は7.5モル%、離型剤量は250ppmであった。
(5)成形及び検査
上記(4)で得られたペレットを使用し、実施例1の(5)と同様にして径130mm、厚み1.2mmのディスク基板を600枚製造した。
得られたディスク基板を傷欠陥検査機で検査した結果、バリによる欠陥品は16%であった。
【0027】
〔比較例2〕
(1)ビスフェノールAの製造
実施例1の(1)と同様にしてビスフェノールAを得た。
(2)ポリカーボネートオリゴマーの調製
実施例1の(2)と同様にしてポリカーボネートオリゴマー溶液を得た。
(3)ポリカーボネートの製造
実施例1の(3)と同様にしてポリカーボネートポリカーボネートフレークを得た。
【0028】
(4)ペレットの製造
上記(3)で得られたフレーク状のポリカーボネートに離型剤としてグリセリンモノステアレートを600ppm、リン系酸化防止剤としてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトを40ppm添加した後、押出し機でペレット化した。このペレットの粘度平均分子量は14,200、鉄分量は0.1ppm、水酸基末端分率は5.4モル%、離型剤量は530ppmであった。
(5)成形及び検査
上記(4)で得られたペレットを使用し、実施例1の(5)と同様にして径130mm、厚み1.2mmのディスク基板を600枚製造した。
得られたディスク基板を傷欠陥検査機で検査した結果、バリによる欠陥品は4%であった。また、ディスク基板を90℃、90%の恒温恒湿で300時間加速劣化させた後、電気特性検査機を用いて測定したところ、ブロックエラーレートは28であった。
【0029】
〔比較例3〕
(1)ビスフェノールAの製造
実施例1の(1)と同様にしてビスフェノールAを得た。
(2)ポリカーボネートオリゴマーの調製
実施例1の(2)と同様にしてポリカーボネートオリゴマー溶液を得た。
(3)ポリカーボネートの製造
実施例1の(3)と同様にしてポリカーボネートポリカーボネートフレークを得た。
【0030】
(4)ペレットの製造
上記(3)で得られたフレーク状のポリカーボネートに離型剤としてグリセリンモノステアレートを30ppm、リン系酸化防止剤としてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトを40ppm添加した後、押出し機でペレット化した。このペレットの粘度平均分子量は14,200、鉄分量は0.1ppm、水酸基末端分率は5.4モル%、離型剤量は20ppmであった。
(5)成形及び検査
上記(4)で得られたペレットを使用し、実施例1の(5)と同様にして径130mm、厚み1.2mmのディスク基板を600枚製造した。
得られたディスク基板を傷欠陥検査機で検査した結果、バリによる欠陥品は17%であった。
【0031】
【発明の効果】
本発明によれば、離型剤の添加量を必要以上に増やすことなく、バリによる欠陥が少ない光学式ディスク基板の素材として適したポリカーボネート樹脂組成物及び該樹脂組成物を成形してなる光学式ディスク基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1,比較例2,比較例3におけるビスフェノールA製造工程図
【図2】比較例1におけるビスフェノールA製造工程図
【符号の説明】
1:反応器
3:濃縮工程
5:晶析工程
7:分離工程
9:洗浄工程
11:付加物分解工程
12:留出フェノール
13:ビスフェノールA
Claims (5)
- ビスフェノールAとフェノールの付加物を精製フェノールで洗浄したのち、フェノールとビスフェノールAとに分解し、該フェノールを反応系にリサイクルする方法によって得られたビスフェノールAを原料として製造され、粘度平均分子量が10,000〜17,000であって、鉄分量が0.2ppm以下、水酸基末端分率が7モル%未満で、かつ離型剤を100〜500ppm含有することを特徴とする光学式ディスク基板用ポリカーボネート樹脂ペレット。
- 離型剤を150〜350ppm含有するものである請求項1に記載の光学式ディスク基板用ポリカーボネート樹脂ペレット。
- 離型剤が多価アルコール脂肪酸エステルである請求項1又は2に記載の光学式ディスク基板用ポリカーボネート樹脂ペレット。
- 多価アルコール脂肪酸エステルがグリセリンの脂肪酸モノエステルである請求項3に記載の光学式ディスク基板用ポリカーボネート樹脂ペレット。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の光学式ディスク基板用ポリカーボネート樹脂ペレットを成形することにより得られる光学式ディスク基板。
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