JP4017110B2 - 無線リンクの確立方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、対向ノード間に無線リンクを確立する方法に係り、特に、対向ノード間にTDD方式の無線チャネルを新規に立ち上げることにより無線リンクを新規に確立する無線リンクの確立方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
TDD(Time Division Duplex)方式とは、1つの周波数帯域(周波数スロット)において時間軸を一定周期で時分割し(タイムスロット)、これを上り/下りに割り当てることにより、上り回線と下り回線を実現するアクセス方式である。このようなTDDは、TDMA(Time Division Multiple Access)、CDMA(Code Division Multiple Access)等の多重化方式において一般に用いられている。
【0003】
TDMA(Time Division Multiple Access)方式の無線通信システムにおいて、相互に対向するノード間に無線チャネルを立ち上げる技術として、特開平9−116483号公報には、基地局と移動局との間に無線チャネルを追加する技術が開示されている。ここでは、基地局から送信されるバースト信号を移動局が受信し、このバースト信号に含まれるユニークワードUWを検出する。そして、このユニークワードが所望のユニークワードUWと合致していれば、バースト信号の情報を読み出して基地局を発見し、通信を開始する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
TDMA/TDD方式を採用した無線ネットワークでは、ネットワーク内の各ノードが利用できる複数の周波数スロット(FID)が予約されており、無線通信を行おうとする対向ノードは同一のFIDを利用して送受信を行う必要がある。したがって、対向ノードが無線チャネルを新たに立ち上げるのであれば、そのためのネゴシエーションも、同一のFIDを利用して送受信を行わなければならない。このために、上記した従来技術を含めて、現在開発されている無線チャネルの追加手法は、少なくとも一つの無線チャネルを含む無線リンクが確立されている状態から、さらに別の無線チャネルを追加する技術であり、無線チャネルが存在しない状態、すなわち無線リンクが確立されていない状態から無線チャネルを新規に立ち上げて無線リンクを新たに確立するためには、周波数スロットやTDDバウンダリなどを予め固定的に定めておく必要がある。
【0005】
しかしながら、メッシュ状にネットワークを構成するシステムでは、実際のメッシュの形状が一様ではないため、干渉量を考慮して適切に周波数スロットを選択することが難しい。さらに、リンクに複数の無線チャネルを動的に追加・削除するようなシステムでは、周辺のリンクで使用されている周波数スロットが動的に変化するために、周波数スロットを静的に一意には決定できない。また、リンクの立ち上げ用に専用の周波数スロットを予め確保しておく方法も提案されているが、リンクの立ち上げ頻度を勘案すると資源の無駄遣いになってしまう。
【0006】
このような技術的背景から、例えば電源投入などによりリンク確立を指示するだけで、対向ノード間での周波数スロットやTDDバウンダリを意識することなく、無線リンクを新規に確立できるシステムが望まれている。
【0007】
本発明の目的は、上記した従来技術の課題を解決し、無線リンクが確立されていない対向ノード間に無線チャネルを新規に立ち上げて当該ノード間に無線リンクを新規に確立する無線リンクの確立方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、本発明は、対向ノードとの間に無線リンクを確立する無線リンクの確立方法において、自ノードを「送信ノード」および「受信ノード」のいずれかとしてランダムに動作させる第1手順と、「送信ノード」として動作する際に、予め確保されている複数の周波数スロットf1〜fnのいずれかを選択する第2手順と、前記選択された周波数スロットを利用してユニークワードを送信する送信側送信モードおよび応答信号を受信する送信側受信モードを当該順序で実行する第3手順と、前記第2および第3手順を所定回数だけ繰り返した後に前記第1手順へ戻る第4手順と、前記送信側受信モードにおいて応答信号を受信すると、当該応答信号を返信したノードとの間でリンク確立処理を実行する第5手順とを含み、さらに、「受信ノード」として動作する際に、複数の周波数スロットf1〜fnのいずれかを選択する第6手順と、前記選択された周波数スロットを利用して受信側受信モードを実行する第7手順と、前記第6および第7手順を所定回数だけ繰り返した後に前記第1手順へ戻る第8手順と、前記受信側受信モードでユニークワードを受信すると応答信号を返信する第9手順と、前記ユニークワードを送信したノードとの間でリンク確立処理を実行する第10手順とを含むことを特徴とする。
【0009】
上記した特徴によれば、各無線ノードがランダムかつ非同期に送信ノードまたは受信ノードとして繰り返し動作する。そして、送信ノードとして動作するノードは、予約されている複数の周波数スロットを切り換えながらユニークワードの送信動作およびその受信動作を実行する。受信ノードとして動作するノードは、同じく予約されている複数の周波数スロットを切り換えながらユニークワードの受信動作を実行する。したがって、上記動作を繰り返すうちに、相互に対向する一対のノードが、同一の周波数スロットを使用して、一方が送信ノードとして動作し、他方が受信ノードとして動作し、かつ送信ノードにおけるユニークワードの送信期間と受信ノードにおけるユニークワードの受信期間とが重なる期間が確率的に存在する。そして、この期間を利用すれば両者が無線チャネルの立ち上げに必要な情報を送受できるので、FIDやTDDバウンダリを予め固定的に定義することなく、無線リンクが確立されていないノード間に無線チャネルを確保して当該ノード間に無線リンクを新規に確立できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明が適用される無線ネットワークの一部を抜き出して示した図であり、複数の固定無線ノードA,B,C,D,E…が所定の間隔で分散配置されている。無線ノードAに着目すると、これに隣接して無線ノードB,C,D,Eが配置されている。無線ノードAには各無線ノードB,C,D,Eに向けて、パラボラアンテナ等の指向性の鋭いアンテナAT1,AT2,AT3,AT4がそれぞれ設けられている。無線ノードAの各アンテナAT1,AT2,AT3,AT4は、隣接する各無線ノードB,C,D,Eのそれぞれに設けられたアンテナと対向し、それぞれTDD方式の無線リンクL1,L2,L3,L4を確立する。
【0011】
図2は、各無線ノードの主要部の構成を示したブロック図であり、各ノードは、屋外無線装置2および屋内無線装置3を含む。屋外無線装置2は複数の屋外無線ユニット21(#1〜#4)を含む。屋内無線装置3は、複数の無線チャネルユニット33(#1〜#4)、前記各無線チャネルユニット#1〜#4と無線リンクL1〜L4とを対応づけるスイッチ31、および各無線チャネルユニット#1〜#4に周波数スロット(FID)を割り当てる無線チャネルマネージャ32を含む。各無線チャネルユニット#1〜#4は、割り当てられたFIDを利用してTDD方式の無線チャネルを対応ノードとの間に立ち上げる。
【0012】
次いで、対向する無線ノード間に無線リンクを新規に確立する場合の各無線ノードの動作を、図3に示したように、相互に対向する無線ノードA,B間に無線リンクL1を新規に確立する場合を例にして説明する。
【0013】
図4,5,6は、本実施形態の動作を示したフローチャートであり、図7は、そのタイミングチャートである。
【0014】
ノードAでは、図7の時刻t11においてリンク確立スイッチが投入されると、図4のステップS1において、無線チャネルマネージャ(CHM)32によりイニシャル処理が実行される。このイニシャル処理では、後に詳述するように、現在の他の無線リンクにおける無線チャネルの利用状況に基づいて、新規に無線チャネルを立ち上げられる条件が整っているか否かが予め判断される。そして、空きスロット不足が原因で無線チャネルの新規立ち上げ条件が整っていない場合に、複数のチャネルを含むリンクから一部のチャネルを削除して空きスロットを確保したり、空きスロットを確保できない場合に当該処理を中断するなどの前処理が実行される。ここでは、新規に無線チャネルを立ち上げられる条件が整っているものとして説明を続ける。
【0015】
ステップS2では、無線チャネルマネージャ32が自ノードの今回の動作パターンを「送信ノード」および「受信ノード」のいずれかにランダムに決定し、その結果を対応する無線チャネルユニット(CHU)33へ通知する。動作パターンの決定はノード単位で行われ、複数の無線チャネルユニットが無線チャネルを同時に立ち上げようとする場合には、全ての無線チャネルユニットが「送信ノード」および「受信ノード」のいずれかに振り分けられる。
【0016】
このように、本実施形態では無線チャネルを立ち上げようとするリンクが複数ある場合には、全ての無線チャネルユニットが「送信ノード」および「受信ノード」のいずれかに振り分けられて一斉にリンク確立処理を実行するので、周波数スロットが確定するまでの時間を短縮できる。
【0017】
ステップS3では、前記ステップS2で決定された今回の動作パターンが判別され、「送信ノード」であれば図5のステップS4へ進み、「受信ノード」であれば図6のステップS20へ進む。ここでは、ノードAが「送信ノード」に決定されたものとして図5のステップS4へ進む。
【0018】
ステップS4では、予約されている複数のFID(ここでは、F1〜F7)から、いずれのリンクにも未だ割り当てられていない未割当のFIDの全てが、新規に確立しようとするリンクL1に割り当てられるFIDの候補(以下、「割当候補」と表現する場合もある)として選択される。ステップS5では、選択された複数の割当候補の中から、別途に定められたデフォルト周波数プランで定義された優先順位に基づいて、優先度の最も高いFIDが、今回のユニークワード送信用のFIDとして選択され、ノードBに対応する無線チャネルユニットへ通知される。
【0019】
本実施形態では、図8に示したように、7つのFID(F1〜F7)の優先度がデフォルト周波数プランで定義されており、その優先順位はF4>F2>F7>F5>F3>F6>F1である。したがって、全てのFIDが未割当ならば、優先度の最も高いFID(F4)が今回のUW送信用FIDとして選択される。なお、無線リンクを新規に確立しようとしている無線チャネルユニット(CHU)が複数存在する場合には、リンク間の干渉を避けるために、ステップS5では、無線チャネルユニット(CHU)ごとに異なるFIDが選択される。
【0020】
ステップS6では、選択されたFID(ここでは、F4)を利用して、フレームの全期間にわたってユニークワードUWを送信する全送信モード(Tx)が起動(時刻t12)され、ユニークワードUWが1フレーム分だけ連続的に送信される。1フレーム分の送信動作を完了すると、ステップS7では、フレームの全期間にわたってユニークワードUWの受信に備える全受信モード(Rx)が起動(時刻t13)され、これが所定の複数フレーム分だけ継続される。
【0021】
ステップS8では、前記全受信モード(Rx)の期間中に前記ユニークワードUWに対する応答信号ACK(UW)が受信されたか否かが判定される。応答信号ACK(UW)を受信できなければステップS5へ戻り、FIDを現在のF4から次に優先度の高いF2に切り換えて(時刻t14)、前記と同様に、ユニークワードUWの全送信モード(Tx)および全受信モード(Rx)を順次起動する。
【0022】
一方、ノードBでは、図7の時刻t21でリンク確立スイッチが投入されると、図4のステップS1において、後述するイニシャル処理を実行した後、ステップS2において、前記ノードAと同様に、自ノードの今回の動作パターンを「送信ノード」および「受信ノード」のいずれかにランダムに決定する。ステップS3では今回の動作パターンが判別され、ここでは「受信ノード」に決定されたものとして図6のステップS20へ進む。
【0023】
ステップS20では、予約されている複数のFID(F1〜F7)の中から、未割当のFID、および複数のチャネルから構成されるリンクのいずれかのチャネルで運用されており、かつ複数のリンクで共有されていないFIDが割当候補として選択される。ステップS21では、選択された複数の割当候補の中から、優先度の最も高いFID(本実施形態では、F4)が今回のユニークワード受信用のFIDとして選択される。
【0024】
なお、「受信ノード」として動作するノードBでは、前記「送信ノード」として動作するノードAとは異なり、無線リンクを新規に確立しようとしている無線チャネルユニット(CHU)が複数存在する場合でも、全ての無線チャネルユニット(CHU)で同一のFIDが選択される。これにより、ユニークワードUWの誤検出が最小限に抑えられる。
【0025】
ステップS22では、選択されたFIDを利用して、フレームの全期間にわたってユニークワードUWの受信に備える全受信モード(Rx)が起動(時刻t22)される。なお、今回のFIDが自ノードの他のリンクで運用中ならば、この運用チャネルからの干渉を避けるために、運用チャネルとTDDバウンダリおよびその送受信タイミングを一致させることが望ましい。
【0026】
ステップS23では、ユニークワードUWの受信の有無が判定される。図7に示した例では、この時点でノードAのFIDがF2に切り替わっており、両者のFIDが一致しないので、ノードBではユニークワードUWを受信できない。したがってステップS35へ進み、全受信モード(Rx)が所定期間だけ経過したか否かが判定される。最初は所定期間が未だ経過していないと判定されるのでステップS23へ戻り、前記全受信モード(Rx)が継続される。
【0027】
その後、時刻t15でノードAのFIDがF4に切り替わり、ユニークワードUWの送信が開始されると、ノードBはFIDがF4の全受信モード中なので、ステップS23において当該ユニークワードUWを受信(時刻t23)してステップS24へ進む。ステップS24では、今回のFID(F4)が他のリンクにおいて既に運用中であるか否かが判定される。運用中でなければステップS25へ進み、当該ユニークワードUWに対して応答信号ACK(UW)を返信し続ける(時刻t24〜t25)。
【0028】
これに対して、今回のFID(F4)が他のリンクにおいて既に運用中であればステップS38へ進み、TDDバウンダリおよびその送受信タイミングを前記運用中のチャネルに合わせたうえで応答信号ACK(UW)を返信する。ステップS39では、前記運用中のチャネルを削除する「チャネル削除処理」が実行される。
【0029】
この「チャネル削除処理」では、今回のFID(F4)と同一のFIDで運用中のチャネルを含むリンクに他のFIDによるチャネルも確立されているか否か、すなわちFIDの異なる他のチャネルが並列的に確立されているか否かを判別し、他のチャネルが確立されているならば、前記F4以外のFIDで運用中のチャネルが削除される。他のチャネルが確立されていなければ、今回のFID(F4)によるチャネル確立を中止してステップS21へ戻る。
【0030】
ステップS26では、一定期間(時刻t25〜t26)だけ応答信号ACK(UW)の送信を停止する。ステップS27では、無線チャネルマネージャ32から無線チャネルユニット33に対して同期マスタとしての動作が指示され、この無線チャネルユニットが同期マスタへ移行する。ステップS28では、同期確立用のユニークワードUW(SYN)を送信して同期確立処理を実行する。
【0031】
なお、今回のFIDによる全受信モードが所定期間を経過してもユニークワードUWを受信できない場合にはステップS23,S35を経由してステップS36へ進み、前記ステップS20で選択された割当候補の全てのFIDに関して前記ステップS21〜S23、S35の各処理が実行されたか否かが判定される。各処理を実行していないFIDが存在すれば、ステップS21へ戻って次のFIDを選択し、上記したステップS21〜S23、S35の各処理を繰り返す。
【0032】
図5へ戻り、このとき送信ノードとして動作中のノードAは、ノードBが前記ステップS25で返信した応答信号ACK(UW)をステップS8で受信(時刻t16)すると、ステップS9では、各無線チャネルユニットに対して全受信モードの継続が指示される。ステップS10では、前記応答信号ACK(UW)の受信から所定の期間内に当該応答信号ACK(UW)を受信できなくなったか否かが判定される。この応答信号ACK(UW)が正規の対向ノードBから返信されていれば、ノードBが前記ステップS26で応答信号ACK(UW)の送信を一時的に停止し、したがって、ノードAでは当該応答信号ACK(UW)を受信できなくなるのでステップS11へ進む。
【0033】
ステップS11では、前記応答信号ACK(UW)が受信できなくなってから所定期間内に同期確立用のユニークワードUW(SYN)を受信できたか否かが判定される。前記応答信号ACK(UW)が正規の対向ノードBから返信されたものであれば、ノードBが前記ステップS28で同期確立用のユニークワードUW(SYN)を送信し、これを受信できるのでS12へ進む。ステップS12では、ノードAの各無線チャネルユニットに同期スレーブでの動作が指示される。ステップS13では、ノードBとの間で同期確立処理が実行される。
【0034】
同期確立処理が終了すると、ノードA,Bのいずれにおいても、ステップS14(S29)において同期が確立されたか否かが判定され、同期が確立されれば、ステップS15(S30)でノードIDを交換し合う。ステップS16(S31)では、ノードIDが既登録であるか否か、および既登録であれば受信したノードIDと既登録のノードIDとが一致するか否かが判定される。そして、ノードIDが未登録、または一致すると判断されれば当該処理を終了する。なお、ノードIDが不一致と判断されれば、ステップS17(S32)においてアラームが出力される、あるいは送信を停止してリンクを切断する。
【0035】
このように、本実施形態によればノードIDの交換手順が追加されているので、例えばリンク確立後に降雨減衰等によりリンクが遮断され、その後、リンクを再確立する場合でも、相手ノードが正規の対向ノードであるか否かを確実に認識できるようになる。
【0036】
次いで、前記図4のステップS1で実行されるイニシャル処理について説明する。図9はイニシャル処理の手順を示したフローチャートであり、ここでは、無線ノードA,Bが自ノードを一端として確立できる無線リンクの最大値Gmaxが「4」であるものとして説明する。
【0037】
ステップS101では、無線リンクの新規確立に必須の「第1条件」が成立しているか否かが判定され、ここでは、利用可能なFID数を「N」としたときに、次式(1)の条件が成立しているか否かが判定される。そして、「条件1」が成立すれば、リンクを立ち上げるFIDが少なくとも一つは存在するのでステップS2へ進み、「条件1」が成立しなければ、無線リンクの新規立ち上げが不可能な場合が有り得ると判断して当該処理を直ちに終了する。
【0038】
N>2(Gmax−1) … (1)
【0039】
すなわち、図3に示したように、Gmaxが「4」であるときに前記条件(1)が成立せず、利用可能なFID数Nが「6」(:F1〜F6)であると、図10に示したように、ノードAのリンクLaがFID(F1)の無線チャネルを利用し、リンクLbが同F2の無線チャネルを利用し、リンクLcが同F5の無線チャネルを利用している状況下では、空きFIDが3つのみ(F4,F5,F6)となる。したがって、ノードBの各リンクLd,Le,Lfがそれぞれ、FIDがF2,F3,F4の無線チャネルを利用していれば、F5,F6がノードA,Bに共通する空きスロットとなるので、この空きスロットF5,F6のいずれかを利用して、無線チャネルを新規に確立することができる。
【0040】
しかしながら、ノードBの各リンクLd,Le,Lfがそれぞれ、図11に示したように、FIDがF4,F5,F6の無線チャネルを利用していれば、ノードA,Bに共通する空きスロットが存在しないので、ノードA,Bに無線リンクを新規に立ち上げることが物理的に不可能となる。すなわち、利用可能なFID数Nが、Gmax(ここでは、「4」)から「1」だけ減じた値の2倍(ここでは、「6」)以下であると、無線リンクを新規に立ち上げることが物理的に不可能な場合がある。
【0041】
これに対して、利用可能なFID数Nが前記「条件1」を満足し、Gmaxから「1」だけ減じた値の2倍よりも大きい「7」以上であれば、少なくとも一つのFIDが空きスロットとなるので、無線リンクを新規に立ち上げることが物理的には可能になる。
【0042】
そこで、本実施形態では「条件1」として上式(1)を定め、この「条件1」が成立しないときには、その後の処理を全て中断するようにしている。
【0043】
ステップS2では、前記「条件1」が満足されていることを前提として、さらに別の観点から、ノードA,B間に新規に無線チャネルを立ち上げられる「条件2」が整っているか否かが判断される。
【0044】
すなわち、一つのリンクに複数のチャネルが張られている場合には、上記第1条件が成立していても、未割当のFIDが不足してしまう場合がある。一方、このような場合であっても、複数のチャネルが張られているリンクに関しては、少なくとも一つのチャネルを残せば他のチャネルを削除しても当該リンクは保持され、削除したチャネルで利用されていたFIDを未割当として活用できる。
【0045】
このような観点から、本実施形態では、いずれのリンクにも割り当てられていない未割当のFID数を「f」、チャネル数が「1」のリンクに割り当てられているFID数を「k」としたとき、次式(2)で表される条件が成立しているか否かが判定される。
【0046】
f>k … (2)
【0047】
すなわち、上記した実施形態では、対向する2つのノードA,B間に無線チャネルが確実に確立されるためには、送信ノードにおける未割当スロット数「fs」が、対向する受信ノードにおいてチャネル数が「1」のリンクに割り当てられているチャネルで利用されているスロット数「kr」よりも大きければ良い。すなわち、fs>krが成立すれば良い。
【0048】
ここで、ノードAの未割当スロット数を「f1」、ノードAにおいてチャネル数が「1」のリンクに割り当てられているチャネルで利用されているスロット数を「k1」とする。同様に、ノードBの未割当スロット数を「f2」、ノードBにおいてチャネル数が「1」のリンクに割り当てられているチャネルで利用されているスロット数を「k2」とする。
【0049】
ここで、ノードA,Bのいずれもが前記「条件2」を満足(f1>k1かつf2>k2)すれば、k1=k2ならばf1>k2が成立するので、ノードAが送信ノードとして動作するタイミングでチャネル接続が可能であり、同様に、f2>k1が成立するので、ノードBが送信ノードとして動作するタイミングでもチャネル接続が可能となる。
【0050】
また、k1>k2であればf1>k1>k2であってf1>k2が成立するので、ノードAが送信ノードとして動作するタイミングでチャネル接続が可能である。これとは逆に、k2>k1であれば、f2>k2>k1であってf2>k1が成立するので、ノードBが送信ノードとして動作するタイミングでチャネル接続が可能となる。このように、本実施形態ではノードA,Bのいずれもが前記「条件2」を満足すればチャネルの新規立ち上げが可能になる。
【0051】
そして、「条件2」が成立すれば、そのまま次のステップ(図4のステップS2)へ進む。「条件2」が成立しなければステップS103へ進み、未割当FID数「f」を増やして前記「条件2」を満足させるべく、複数のチャネルを含むリンクから少なくとも一つのチャネルを残して他のチャネルを削除する「削除処理」が実行される。
【0052】
このように、本実施形態によれば、各無線ノードが送信ノードまたは受信ノードとしてランダムに動作すると共に、送信ノードとして動作する無線ノードは、予約されている複数のFIDを切り換えながらユニークワードUWを繰り返し送信する一方、受信ノードとして動作する無線ノードも、予約されている複数のFIDを切り換えながらユニークワードUWの受信に備える。このため、対向する無線ノード同士が、同一のFIDで一方が送信ノード、他方が受信ノードで動作するタイミングが確率的に存在し、当該タイミングが訪れれば対向ノード間でネゴシエーションを行って無線チャネルの同期を確立できるようになる。したがって、対向するノードとの間に無線チャネルを新規に立ち上げて無線リンクを新規に確立する場合であっても、TDDバウンダリやFIDを意識することなく、ノードにリンク立ち上げの指示を出すだけ良い。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、以下のような効果が達成される。
(1)リンク確立専用のFIDを確保したり、あるいは対向ノード間で事前にリンク確立時のFIDに関する取り決め等を行うことなく、各ノードにリンク立ち上げの指示を出すだけで対向ノードとの間にTDD方式の無線リンクを新規に確立できるようになる。
(2)ユニークワードを検知した受信ノードが、応答信号の出力を所定の規則に従って停止し、その後、再開するようにしたので、送信ノードでは、受信した応答信号が所定の規則に従って停止され、その後、再開されたか否かに基づいて、当該応答信号が正規の受信ノードから送信されたものであるか否かを簡単に識別できるようになる。
(3)複数のチャネルを含むリンクが存在する場合には、その一部を削除してFIDを確保するようにしたので、未割当のFIDが少ない場合でも無線リンクを高い確率で、あるいは短時間で立ち上げられるようになる。
(4)対向ノード間に無線リンクが新規に確立されると、各ノードがノードIDを交換するようにしたので、その後、当該リンクが何らかの理由で断たれた場合でも、リンクを再確立する際に相手ノードの確認が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明が適用される無線ネットワークの構成を示した図である。
【図2】 各無線ノードの主要部の構成を示したブロック図である。
【図3】 本発明が適湯されるネットワークの最小構成を示した図である。
【図4】 本実施形態の動作を示したフローチャート(その1)である。
【図5】 本実施形態の動作を示したフローチャート(その2)である。
【図6】 本実施形態の動作を示したフローチャート(その3)である。
【図7】 本実施形態の動作を示したタイミングチャートである。
【図8】 デフォルト周波数プランの一例を示した図である。
【図9】 イニシャル処理の動作を示したフローチャートである。
【図10】 リンク確立のための第1条件を説明するための図である。
【図11】 リンク確立のための第2条件を説明するための図である。
【符号の説明】
2…屋外無線装置,3…屋内無線装置,31…スイッチ,32…無線チャネルマネージャ,33…無線リンク制御装置
Claims (7)
- 対向ノードとの間に、複数の周波数スロットのいずれかを利用してTDD方式の無線リンクを確立する無線リンクの確立方法において、
自ノードを「送信ノード」および「受信ノード」のいずれかとしてランダムに動作させる第1手順と、
「送信ノード」として動作する際に、予め確保されている複数の周波数スロットf1〜fnのいずれかを選択する第2手順と、
前記選択された周波数スロットを利用してユニークワードを送信する送信側送信モードおよび応答信号を受信する送信側受信モードを当該順序で実行する第3手順と、
前記第2および第3手順を所定回数だけ繰り返した後に前記第1手順へ戻る第4手順と、
前記送信側受信モードにおいて応答信号を受信すると、当該応答信号を返信したノードとの間でリンク確立処理を実行する第5手順とを含み、さらに、
「受信ノード」として動作する際に、複数の周波数スロットf1〜fnのいずれかを選択する第6手順と、
前記選択された周波数スロットを利用して受信側受信モードを実行する第7手順と、
前記第6および第7手順を所定回数だけ繰り返した後に前記第1手順へ戻る第8手順と、
前記受信側受信モードでユニークワードを受信すると応答信号を返信する第9手順と、
前記ユニークワードを送信したノードとの間でリンク確立処理を実行する第10手順とを含むことを特徴とする無線リンクの確立方法。 - 前記「受信ノード」として動作する際の第9手順が、
ユニークワードを受信して応答信号を所定期間だけ返信し続ける手順と、
その後、応答信号の返信を所定期間だけ停止する手順と、
その後、応答信号を再返信する手順とを含み、さらに、
前記「送信ノード」として動作する際の第5手順が、
前記応答信号の受信後に前記応答信号を受信できなくなり、その後、所定期間内に応答信号を受信できたときに、前記応答信号の送信元を正規の対向ノードと認定してリンク確立手順へ移行する手順を含むことを特徴とする請求項1に記載の無線リンクの確立方法。 - 前記「受信ノード」として動作する際の第9手順が、
前記ユニークワードを受信した際の今回の周波数スロットが自ノードの他のリンクで使用中であるか否かを判定する手順と、
前記今回の周波数スロットが他のリンクで使用中であり、かつ当該リンクに他の周波数スロットによる無線チャネルが確立されていると、前記他のリンクから前記今回の周波数スロットの無線チャネルを削除する手順とを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の無線リンクの確立方法。 - 前記複数の周波数スロットf1〜fnには優先度が付され、前記第2および第6手順では、優先度の高い周波数スロットから順に選択されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の無線リンクの確立方法。
- 前記第10手順の後に 対向ノードとの間でノードIDを交換する第11手順と、
前記対向ノードのノードIDを既登録IDと比較する第12手順と、
前記比較結果に応じて所定の処理を実行する第13手順とを含むことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の無線リンクの確立方法。 - 前記第1手順の前に、予め割り当てられている周波数スロットの個数Nと、各ノードで利用可能な最大リンク数Gmaxとが次の条件式(1)を満足しているか否かを判断する手順を含み、
当該条件式が満足されないときに、それ以降の手順を実行しないことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の無線リンクの確立方法。
N>2(Gmaxー1) … (1) - 前記請求項6の手順と第1手順との間に、未割当の周波数スロット数fと、チャネル数が「1」のリンクに割り当てられているチャネルで利用されているスロット数kとが次の条件式(2)を満足しているか否かを判断する手順を含み、
当該条件式が満足されないときに、複数のチャネルを含むリンクから少なくとも一つのチャネルを削除することを特徴とする請求項6に記載の無線リンクの確立方法。
f>k … (2)
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