JP4014746B2 - 布帛の緊張力検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する属する技術分野】
本発明は、テンターにより緊張移送される布帛の緊張の度合を検出する布帛の緊張力検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、繊維加工業界においては、紡績工場で生産された織物、編物等の長尺布帛の原反を基にして、前処理さらには後処理することが通例であって、その後処理には、シルケット加工、セット加工等が挙げられる。そしてそれらのシルケット加工及びセット加工等を行なうには、一般的に布帛の幅方向を緊張させながら布帛を移送するテンターが使用される。
【0003】
上記テンターには、代表的なものとして、クリップテンター、ピンテンターが周知であって、そのクリップテンター又はピンテンターは、チェーンホイールに掛けられて回動する左右2条のエンドレスチェーンを有し、さらにこのチェーンの長手方向に沿って、クリップ又はピンシートが一定間隔で取付けられており、処理すべき布帛の両側端縁を、上記左右2条のチェーンに取付けられているクリップ又はピンシートに係止せしめながら、そのチェーンの動作に追従して布帛を移送することにより、該移送布帛は、幅方向に緊張されながら連続的に移送されるものである。
【0004】
このように、上記テンターを用いて処理すべき布帛に幅方向の緊張力を与えながら、移送する過程で、その緊張布帛に処理液、熱液、又は洗浄液等を付与せしめることにより所望の処理加工を行なうことができるが、そのテンターにより緊張移送される布帛の厚さ、及び重量は多種多様であって、いずれの布帛も均一なテンションで移送させることは困難である。
【0005】
つまり薄手軽量布帛では、比較的弱い緊張付与力で布帛を有効に緊張させることができるが、例えば厚手の重量布帛では、比較的強力な緊張付与力でなければ有効に緊張させることができない。このために、従来のテンターにあっては、上記布帛への緊張付与力を加減(制御)させることができる制御機構を有している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記緊張付与力の制御機構で移送する布帛の緊張力を調整することは可能であっても、制御機構による布帛への緊張付与力が適切であるか否かの判断を機械的あるいは電気的に検知することは困難であったため、従来においては移送される布帛の緊張の度合を作業者の触感に頼らざるを得なかった。
【0007】
布帛の緊張の度合を作業者の触感で検知する場合、高度な熟練と豊富な経験を要することから、現在のように熟練者及び経験者が不足している現状では移送される布帛の緊張度を適格に検知することが不可能であって、機械的又は電気的に布帛の緊張度を検出することの装置の開発が要求されていた。
【0008】
本発明はかかる要求に答えるためになされたものである。つまり本発明では、テンターにより緊張移送される布帛の表面に風圧を作用せしめ、その風圧の布帛表面での反撥力を基にして布帛の緊張の度合を検知することができる布帛緊張力検出装置の提供を目的とする。
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1では、テンターにより緊張移送される布帛面に向けて、圧力エアーを吹き出す吹出し口と、該吹出し口が中央に連通し、布帛面に対して凹形状に形成された、吹出し口より大径の受圧口とを有する測定ヘッドと、該測定ヘッドから圧力エアーを吹き出させるための送風機と、吹出し口から布帛面に吹き付けて跳ね返ったエアーを、受圧口が受けることにより生じるエアーの吹出し負荷量を表示するエア流量計とを有し、該エア流量計による流量指示値で布帛の緊張の度合を検出する布帛緊張力検出装置であることを特徴としている。
【0010】
また本発明の請求項2では、布帛の緊張幅を調整することができるテンション調整機構を具備せしめたテンターにおいて、該テンターにより緊張移送される布帛面に向けて、圧力エアーを吹き出す吹出し口と、該吹出し口が中央に連通し、布帛面に対して凹形状に形成された、吹出し口より大径の受圧口とを有する測定ヘッドと、該測定ヘッドから圧力エアーを吹き出させるための送風機と、吹出し口から布帛面に吹き付けて跳ね返ったエアーを、受圧口が受けることにより生じるエアーの吹出し負荷量を表示するエア流量計とを有し、該エア流量計による流量指示値に基にして、上記テンション調整機構を駆動制御する布帛の緊張力制御装置であることを特徴としている。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を図面に示す実施の形態に基いて詳細に説明する。
【0012】
先ず図1において、1は長尺布帛2をその幅方向へ緊張させながら連続的に移送せしめるためのテンターであって、このテンター1は、周知構造のものを選択使用することができ、また本発明の要旨ではないので、具体的説明を省くが、概略構造はフレーム3によって横方向(紙面方向)へ延びる2条のガイドレール4が左右に隔設されており、それらのガイドレール4には、クリップ又はピン等からなる多数個の布帛掛止手段5を長手方向に配設してなるエンドレスのチェーン6が回動可能に支持されている。
【0013】
そして処理すべき長尺布帛の幅方向両側辺縁が布帛掛止手段5により掛止されて、左右両側のチェーン6の回動に追従して移送され、さらにその移送進行される長尺布帛2を掛止している左右両側チェーン6の相互間隔が、不図示のテンション調整機構により調整されることにより、移送される布帛2に、所望のテンションを作用させることができる。
【0014】
7はフレーム3によって保持されている測定ヘッドであって、この測定ヘッド7は、テンターにより緊張移送される布帛2の上面略中央部で、その布帛2に近設位置される。この測定ヘッド7の構成は図2で示すように、例えば直径が約30mmであるエア吹出口7Aと、このエア吹出口7Aの外側に形成され、かつ口径が約200mmである受圧口7Bを有している。
【0015】
8は上記測定ヘッド7のエア吹出口7Aからエアーを吹き出させるためのエア源となる送風機、9はエア流量計であって、このエア流量計9の構成は図3で示すように、鉛直に位置されるテーパ管9Aの内部に、エアーの圧力を受けて自由に上下動するフロート9Bを内装したものであって、そのテーパ管9Aの上下両端開口部から作用するエアの差圧によりフロート9Bが変動し、この変動位置を目盛9Cにより読みとることができるようになっている。つまりフロート9Bは、テーパ管の上下開口部から作用するエア圧を受けて上下動し、そのテーパ管9A内における有効重量と平衡する位置で静止する。このフロートの静止した位置を検出して、布帛の緊張度合を検出しようとするものである。
【0016】
10は、送風機8のエア送出管11に接続されている流量調整弁であって、この流量調整弁10の出口側は感度調整絞り弁12と、上記テーパ管9Aの下側開口のそれぞれに分岐接続されている。感度調整絞り弁12の出口側は上記テーパ管9Aの上側開口と、測定ヘッド7及び零点調整絞り弁それぞれに分岐接続されている。
【0017】
以上が構成説明であるが、次にその作用について説明する。先ずはテンター1を動作させ長尺布帛2を所定の緊張状態で移送させると同時に送風機8を駆動して、この送風機8により発生したエアを、流量調整弁10及び感度調整絞り弁12を経て、測定ヘッド7より布帛1の上面に向けて吹き付ける。
【0018】
このとき、布帛1の緊張の程度によって測定ヘッド7の受圧口7Bが受ける布帛面での跳ね返りエア圧が変化する。即ち、移送される布帛の厚さ、糸の打込み本数等によって受圧口7Bで受ける跳ね返りエア圧が異るが、今、布帛の厚さ、糸の打込み本数が一定であると仮定したときに、その布帛2の緊張力(テンション)が弱いと測定ヘッド7から吹き出されるエア圧により測定ヘッドの受圧口7Bと、布帛2上面との間の隙間が大きくなり、これにより測定ヘッド7からのエアーの漏れ量が多くなる。またそれとは逆に布帛2の緊張力が強いと、測定ヘッド7からの吹出圧力があっても、その受圧口7Bと布帛2上面との間の隙間が広げられず、測定ヘッド7からのエアーの漏水量が少なくなる。
【0019】
このように、布帛2の緊張力の変化によって変動する測定ヘッド7からのエアーの漏出量を、エア流量計9で測定することにより布帛2緊張力の程度を検知することができる。つまり、零点調整絞り弁13及び感度調整絞り弁12を操作して、エア流量計9内におけるテーパ管9A内のフロート9Bが、上下方向中間位置(零位置)で均衡が保たれるようにフロート位置を基準位置に調整した上で布帛のテンション測定を開始する。そこで布帛2の緊張力が弱くエア圧力により布帛にたるみが生じやすくなると、測定ヘッド7からのエア漏れ量が多くなり、エア流量計9におけるテーパ管9A内のフロート9B上側の気圧が低下し、このためにフロート9Bが上昇する。
【0020】
これとは逆に布帛2の緊張力が強く、布帛にたるみが生じにくくなると、測定ヘッド7からのエア漏れ量が少なくなり、エア流量計9におけるテーパ管9A内のフロート9B上側の気圧が上昇し、このためにフロート9Bが下降する。このようなフロート9Bの上下動作によりテンター1により緊張移送される布帛の緊張の度合を数値として検知することができる。
【0021】
上記したようにテンター1により移送する処理布帛2の品質には多種多様のものがあり、厚さ、糸の打込み数等の違いにより、エアの透過跳ね返りが様々である。このようなとき、感度調整絞り弁12及び流量調整弁10を操作調整することで、各種布帛のテンター1による移送時の緊張力の度合を有効に知ることができる。
【0022】
また上記エア流量計9によるフロート9Bの上下位置を、公知の適宜センサーを用いて検出し、この検出値でテンター1の両側チェーン相互間を調整するテンション調整機構を動作させれば、テンター1により移送される布帛のテンションを自動的に制御することができる。
【0023】
【発明の効果】
以上のように本発明の布帛緊張力検出装置によれば、テンターにより緊張移送される布帛の緊張の度合、つまり布帛の幅方向テンションの強弱を検出することができる。またこの布帛緊張力検出装置を用いることでテンターによって移送される布帛の緊張の度合を自動的に制御することもできるという作用効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明よりなる布帛緊張力検出装置の実施の形態を示した説明図。
【図2】本発明よりなる布帛緊張力検出装置に用いられる測定ヘッドの説明図。
【図3】本発明よりなる布帛緊張力検出装置に用いられるエア流量計の説明図。
【符号の説明】
1…テンター
2…長尺布帛
3…フレーム
4…ガイドレール
5…布帛掛止手段
6…チェーン
7…測定ヘッド
8…送風機
9…エア流量計
10…流量調整弁
11…エア送出管
12…感度調整絞り弁
13…零点調整絞り弁
Claims (2)
- テンターにより緊張移送される布帛面に向けて、圧力エアーを吹き出す吹出し口と、該吹出し口が中央に連通し、前記布帛面に対して凹形状に形成された、前記吹出し口より大径の受圧口とを有する測定ヘッドと、
該測定ヘッドから圧力エアーを吹き出させるための送風機と、
前記吹出し口から前記布帛面に吹き付けて跳ね返ったエアーを、前記受圧口が受けることにより生じるエアーの吹出し負荷量を表示するエア流量計とを有し、
該エア流量計による流量指示値で布帛の緊張の度合を検出することを特徴とする布帛の緊張力検出装置。 - 布帛の緊張幅を調整することができるテンション調整機構を具備せしめたテンターにおいて、
該テンターにより緊張移送される布帛面に向けて、圧力エアーを吹き出す吹出し口と、該吹出し口が中央に連通し、前記布帛面に対して凹形状に形成された、前記吹出し口より大径の受圧口とを有する測定ヘッドと、
該測定ヘッドから圧力エアーを吹き出させるための送風機と、
前記吹出し口から前記布帛面に吹き付けて跳ね返ったエアーを、前記受圧口が受けることにより生じるエアーの吹出し負荷量を表示するエア流量計とを有し、
該エア流量計による流量指示値を基にして、上記テンション調整機構を駆動制御することを特徴とする布帛の緊張力制御装置。
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