そこでこの発明は、カバーの開操作を自動化して利用者が片手でワンタッチにて開操作を行うことができ、また手動操作によってカバーを直に動かしても開操作できるようにして利用性能を高めることができ、しかも携帯に便利な薄型に作製することができる回転支持機構および電子機器を提供することを目的とする。
この発明は、本体とカバーとを重ね合せて閉じた閉位置から前記カバーを重ね合せたままの平面方向に回転させて180度回転した開位置に回転停止させる回転支持機構であって、前記本体を基準に前記カバーを開方向に回転させる回転力を付与する回転力付与手段と、前記回転力付与手段の回転力に抗して前記カバーを少なくとも一方の閉方向に回転させて前記閉位置に至ったとき、該カバーの回転を停止させる閉位置係止手段と、前記閉位置係止手段の係止を、本体の外面に備えられた手動解除部材の解除操作に連動して解除させる係止解除手段と、前記係止解除手段を解除操作したとき、前記回転力付与手段の回転力を受ける方向に前記カバーを回転させて、該カバーが前記開位置に至ったとき、該カバーの回転を停止させる開位置係止手段とを備え、且つ、前記閉位置係止手段は、本体側とカバー側との間に介在する係止部材と、前記係止部材を前記本体側の係止部に押圧付勢して係止させる押圧手段と、前記係止部材が係止部から外れて係止解除されたとき、該係止部材を前記カバー側に一体に係止させて前記回転力付与手段の回転力により閉位置から開位置まで回転移動させる回動手段とを備えたことを特徴とする。
ここで回転力付与手段とは、例えばバネを用い、このバネの持つ弾性力をカバー開方向の回転力に利用して、カバーを閉位置から平面方向に180度向きの異なる開位置に自動的に回転させる役目を有するものである。
前記手動解除部材とは、例えば利用者の指先で横方向にスライド移動可能な小さな美観を損なわない解除レバーを設け、この解除レバーを指先で一側にスライド移動させることに基づいて、回転力付与手段の回転力に抗して係止している部分を解除するように構成すればよい。また、解除レバーに限らず、解除ボタンなどの操作部材を用いても構成することができる。
前記開位置係止手段とは、カバーを閉位置から開位置に180度回転させたとき、該カバーの開位置での回転を係止し、それ以上の過剰回転を規制する。例えば、カバーを共通の閉位置から左回転と右回転との両方向に対して開操作を可能に構成した場合は、その180度向きの異なる共通の開位置の回転軌跡上に規制部材を配設して、その規制部材の一方の片面を左回転方向の回転規制面に設け、他方の片面を右回転方向の回転規制面に設ければ一部材で両ストッパ機能が得られる。
この発明によると、本体とカバーとが重ね合せられた待機状態ではカバーを閉位置に係止した閉位置係止状態にある。この閉位置係止状態から利用者が手動解除部材を解除操作すると、閉位置でのカバーの係止が解除され、この解除操作に連動してカバーは回転力付与手段の回転力を受けて開方向に勢いよく180度回転し、その回転した開位置に至った時点で、カバーは開位置係止手段により回転規制されて回転停止する。一方、開位置からはカバーを手動により閉方向に180度回転させてカバーを元の閉位置に戻せば、その位置で閉位置係止手段が係止動作してカバーを閉位置に回転停止させることができる。
このように、カバーを開操作するときは利用者がワンタッチで本体の外面に備えられた手動解除部材を解除操作するだけでよく、その後は回転力付与手段の回転力によってカバーを自動的に開操作できる。このため、カバーを開操作するときは片手で済み、カバーの開操作性が向上する。また、カバーの開方向は一点を基準に一方に180度回転するように構成してもよく、左右両方に180度ずつ回転するように構成することもできる。
また、カバーの回転量を180度程度に規制することができるため、内部の配線も180度程度の回転範囲内の動きに制限できる。このため、内部の配線はカバーの過剰な回転による捩り作用を受けなくなり、配線の耐久性も向上する。
さらに、重ね合せて連結される本体とカバーとは回転支持機構を介して相対的に回転する構成のため、この回転支持機構を構成する部材を本体側とカバー側の一方と他方に対応させて取付けるだけでなく、これらの取付け側を逆にして取付けることもできる。
また、閉位置係止手段の前記係止部材は押圧手段と組合せることによって、カバーを閉位置に係止してカバーを回転停止させる係止機能が得られる。例えば、係止部材に昇降ピンを用い、この昇降ピンを係止側に付勢するコイルバネなどの押圧手段で押圧させれば係止させることができる。そして、昇降ピンが本体側より解除されると同時にカバー側の係止部に係止するようにすれば、昇降ピンをカバー側に一体化させてカバーとともに回転させることができる。
また、係止部材は係止機能だけでなく、回動手段と組合せることによって回転移動機能が得られる。つまり、この係止部材が係止解除されたときに回動手段によって閉位置から開位置まで180度連れ回りされる。さらに、係止部材は回動手段によって開位置に180度回転したとき、該係止部材は開位置係止手段によって位置決めされて係止される位置決め機能をも持たせることができる。またこの場合も、係止部材が一部品で係止機能と回転移動機能との両機能を有するため、部品点数の削減を図ることができる。
この発明の別の構成の回転力付与手段として、コイル状のバネの一端を、該バネの他端を基準に前記カバーに開方向への回転力を与えて閉位置から開位置まで回転許容された一方の閉位置係止手段に係止させ、前記バネの他端を、該バネの一端を基準に前記開方向とは逆向きの開方向への回転力を与えて閉位置から開位置まで回転許容された他方の閉位置係止手段に係止させる左右対称の構造にして構成することができる。
前記バネは、例えばコイル状に巻回された捩りバネ、あるいはゼンマイバネを用い、この1個のバネの弾性力を利用して、該バネの一端をカバーの左回転方向の開操作用に、他端を右回転方向の開操作用に使い分けることができる。
具体的には、一方の係止解除手段により一方の閉位置係止手段の係止を解除すれば、これに連動してバネの一端は開放され、この開放された一端部が該バネの他端の固定位置を基準に開方向に回転し、これに連動してカバーは180度回転して開操作される。同様の理由で、左右対称の構造を有する他端側は係止解除されると、逆方向に180度回転して開操作される。
特に、回転力付与手段は左右対称の構造を有しているため、カバーを開操作する場合に左右両方向の一方を選択して任意に開操作することができる。また、1個のバネを両方向の回転駆動源に共通して有効利用できるため、部品点数の削減と小型化とを図ることができる。
この発明の別の構成では、本体とカバーとを重ね合せて閉じた閉位置から前記カバーを重ね合せたままの平面方向に回転させて180度回転した開位置に回転停止させる回転支持機構であって、前記本体を基準に前記カバーを開方向に回転させる回転力を付与する回転力付与手段と、前記回転力付与手段の回転力に抗して前記カバーを少なくとも一方の閉方向に回転させて前記閉位置に至ったとき、該カバーの回転を停止させる閉位置係止手段と、前記閉位置係止手段の係止を、本体の外面に備えられた手動解除部材の解除操作に連動して解除させる係止解除手段と、前記係止解除手段を解除操作したとき、前記回転力付与手段の回転力を受ける方向に前記カバーを回転させて、該カバーが前記開位置に至ったとき、該カバーの回転を停止させる開位置係止手段とからなる第1の回転支持機構と、前記平面方向に回転し、その同軸上の回転位置の180度向きの異なる一方の外周面上に凹状の閉位置対応部を有し、他方の外周面上に凹状の開位置対応部を有する回転板と、前記回転板の外周面上の閉位置対応部側から軸心に向かう方向を押圧方向に設定して突出する凸状を有して前記回転板の外周面を押圧し、前記回転板の閉位置対応部と凹凸対応して押圧したとき回転板の回転規制力を高めて回転板の回転を停止させ、前記回転板の開位置対応部と凹凸対応して押圧したとき回転板の回転規制力を高めて回転板の回転を停止させる押圧手段とを設け、前記カバーに手動回転力が加わって、該カバーに連結された前記回転板が少なくとも一方の定められた回転方向に180度回転したとき、その180度を超える過剰回転を規制する過剰回転規制手段とを設け、前記回転板と押圧手段の一方を前記本体に取付け、他方を前記カバーに取付けてカバーを回転支持する第2の回転支持機構とを備え、且つ、前記第1の回転支持機構の前記閉位置係止手段は、本体側とカバー側との間に介在する係止部材と、前記係止部材を前記本体側の係止部に押圧付勢して係止させる押圧手段と、前記係止部材が係止部から外れて係止解除されたとき、該係止部材を前記カバー側に一体に係止させて前記回転力付与手段の回転力により閉位置から開位置まで回転移動させる回動手段とを備えたことを特徴とする。
前記回転板は、カバーを開閉操作したときの回転方向の閉位置と開位置との位置決めを行うものであり、さらに薄型化に適した板状にできるため、嵩を低くして組込むことができる。
前記押圧手段は、押圧用に伸縮する弾性体、例えばバネを用いて押圧力を付与することができる。このバネの押圧力を本体側から回転板の外周面に押圧させることができるため、これらを凹凸対応させて設ければ、押圧手段が回転板の開位置と閉位置とで凹凸対応することになり、180度の向きの異なる開閉位置を正確に位置決めして、カバーを回転停止させることができる。
従って、カバーを平面方向に回転させて開操作した場合は、その開位置で凹凸対応してカバーの開状態を維持する。そして、カバーを逆向きに回転させて戻せば、元の位置に戻すことができる。
この場合は、利用者が指先の操作でカバーを自動的に開操作させるのではなく、利用者がカバーを直接手で掴んで、そのまま平面方向に力を加えながら180度回転させても開操作することができる。またこの場合は、上下方向に嵩張らず、回転支持機構の小型化ひいては本体およびカバーからなる携帯電話機などの電子機器の薄型化につながる。
このときの凹凸形状としては、例えば円弧形の凹面と凸面とを互いに凹凸対応させれば実現できる。この凹凸形状の深さ、幅、傾斜面および角度などを変えれば、係止強さの度合い、係止解除度合い、開閉操作したときの操作感触(クリック感)および解除角度を所望の値に変えることができる。上述の凹凸対応は回転板と押圧手段との一方を凹部に他方を凸部に設ければよい。
この場合、押圧手段の凸部と回転板の外周面に形成された凹部とが凹凸対応し、定められた位置で回転板は回転停止される。このため、閉位置の待機状態からさらに閉方向に少し回転させると、凸部は凹部から外れ、このとき回転板の回転が許容される。その後、開位置に回転した回転板は、過剰回転規制手段によって、それ以上の開方向の回転は規制され、元に戻る閉方向には回転が許容される。
また、カバーと一体に回転する回転板と、本体に支持されて押圧する押圧手段とを閉位置と開位置とで凹凸対応させるため、カバーを、凹凸対応させる回転停止位置の一点で正確に位置決めすることができる。
さらに、押圧手段の押圧力は、カバーを手動により少し回転させたとき、前記回転板との凹凸対応が外れて該回転板の回転規制力を解除する手動回転操作に適した押圧力に設定する。このため、利用者が力を加えたときの手によるカバーの回転操作力に適した良好な操作感触が得られる回転規制力に設定することができる。また、手動操作する利用者側にあっても無理がなく、円滑な開閉操作が得られる。
この発明によると、カバーの開操作を自動化した第1の回転支持機構と、カバーの開操作を手動的にした第2の回転支持機構とを備えているため、電子機器に適用した場合に利用者はどちらでも使い易い方から開操作できる。従って、利用者はカバーの開操作の仕方に制限を受けず、何れの方法にても開操作が可能になり、電子機器の使い易さが向上する。
このような回転支持機構を備えた電子機器を用いれば、回転力付与手段の回転力がカバーの閉方向から開方向に作用するため、閉位置よりカバーを少し回転させて係止解除するだけで該カバーは勢いよく開方向に180度回転する。このため、利用者は電子機器のカバーを片手で簡単に開操作することができ、電子機器の利便性が向上する。
具体的には、利用者が電子機器を保持した片手の指先で手動解除部材を少しスライド移動させるか、あるいはカバーを利用者が直接手で掴んで180度回転させるだけで係止解除して開操作できるため、電子機器の開操作性が向上する。逆に、カバーを元の閉位置に戻す場合は、手でカバーを逆向きの閉方向に180度回転させれば元に戻すことができる。上述の電子機器としては、回転支持機構に支持されて開閉操作される本体とカバーとからなる携帯電話機、電子手帳等のモバイル機器に適用することができる。
この発明によれば、本体に平面的に取付けられるカバーの平面方向の開操作を利用者が片手で簡単に開操作できる回転支持機構を構築して、使用性能を高めることができる。
この発明の一実施例を以下図面に基づいて説明する。
図面は水平回転型の携帯電話機を示し、図1において、この水平回転型の携帯電話機11は長方板形状の本体12と、同形状のカバー13とを重ね合せ、その重ね合せたままの平面方向にカバー13を回転させて開閉操作する水平回転型に構成している。
前記本体12とカバー13の上面および側面等の外表面には、電話や電子メールなどを含む様々な電子情報を利用するための図示しない表示器や入力装置およびアンテナを装備している。このうち、前記本体12の一端面の左右位置には、カバー13をワンタッチで開操作するための左解除レバー(図中右側)L1と右解除レバー(図中左側)L2とを付設している。
前記本体12とカバー13との連結に際しては、図2に示すように、下側の本体12と上側のカバー13とを、回転支持機構14を介して平面方向に回転可能に連結している。
前記回転支持機構14は、利用者がワンタッチでカバー13を開操作できる自動回転支持機構と、カバー13の開操作を手で動かして終始手動操作によって行う手動回転支持機構との両機構を備えている。このため、携帯電話機11は自動的にも手動的にも開操作できる2通りの開操作機能を有して、何れの開操作が行われても利用できるようにしている。さらに、これらの回転支持機構は左右対称の構造に設けて、カバー13を初期位置としての共通する1つの閉位置から共通する1つの開位置へと180度回転させて左開きと右開きとの両方向からの開操作を可能にしている。
先ず、自動回転支持機構を利用して平面方向にカバー13を開操作させる場合の概略操作について説明すると、利用者が右解除レバーL2を指先で少しスライド移動させると、これに連動して自動回転支持機構の係止(後述する)が外れる。この右解除レバーL2の係止解除操作によって、カバー13には右開き方向(右回転方向)への回転力が生じ、カバー13は、図3(A)に示すように、右開き方向に回転し始める。その後は自動的に開方向に回転し、180度回転したとき、図3(B)に示すように、本体12とカバー13は縦長に真っ直ぐ伸びた開状態で停止する。
一方、左解除レバーL1が操作された場合も前記右解除レバーL2を操作したときとは、自動回転支持機構が左右対称の構造を有しているため、カバー13の開方向が左右に異なるだけであり、同じ動きをするため同様にカバー13は開操作される。
つまり、利用者が左解除レバーL1を解除操作すれば、これに連動して自動回転支持機構の左側の係止が外れ、図4(A)に示すように、カバー13に左開き方向(左回転方向)への回転力を生じさせることができ、これに基づいてカバー13は自動的に左開き方向に回転し始める。その後は、図4(B)に示すように、自動的に左開き方向に180度回転して開くことができ、本体12とカバー13は縦長に真っ直ぐ伸びた開状態で停止する。
これに対し、手動回転支持機構を利用して平面方向にカバー13を開操作させる場合の概略操作について説明すると、利用者が手でカバー13を直接掴んで左右何れかの平面方向に180度回転させれば、その回転した方向に開操作できる。このときは、カバー13が180度回転して開操作が完了した開位置でカバー13が回転停止したときの操作感触(後述する)が得られるようにして利用者への応答性を持たせている。この手動回転支持機構も左右対称の構造を有しているため、カバー13を左開きと右開きとの両方向の回転を同じ構造による動きで可能にしている。
このような自動と手動との両回転支持機能を有する回転支持機構14は、平面方向にカバー13を閉位置から開位置に180度回転させる回転力を付与する弾性機能を備えた水平回転型に設けている。
この水平回転型の回転支持機構14は、図5および図6に示すように、ベース15の上面に、左スライド片16と、右スライド片17と、捩りバネ18と、左昇降ブロック19と、右昇降ブロック20と、左係止バネ21と、右係止バネ22と、左ガイドリング23と、右ガイドリング24と、感触バネ保持円盤25と、感触バネ26と、感触リング27と、過剰回転規制円板28と、プレート29とを搭載し、このうち回転主要部のプレート29は前記ベース15上に回転可能にカシメ筒30でカシメ固定し、これに基づいて、これら全体の上下間を保持して組立ている。
次に、回転支持機構14を構成する前記各部品15〜30について順に説明する。
前記ベース15は正方板形状を有して、該ベース15を本体12の上面一側の凹部12a(図2参照)内に沈み込ませて一体に固定している。このベース15の上面には、軸支筒31と、起立ストッパ32と、環状ガイドレール33とを突設し、さらに左右のピン挿通孔34,35を開口している。そして、これらに対応して前記した各部品が搭載される。
先ず、軸支筒31はベース15の上面中央部に突設し、この突設した下部には大径部を有し、上部には小径部を有する段付き筒体を有している。この軸支筒31の筒内にカシメ筒30が挿通され、大径部の外周面側に捩りバネ18を挿通させ、外周面側の小径部に感触バネ保持円盤25と感触リング27とを嵌挿している。さらに、小径部には両側に平行する回り止め用の切欠き係止面36を形成しており、この切欠き係止面36に前記感触バネ保持円盤25を嵌挿して回り止め固定している。一方、感触リング27は小径部の外周面上に回転自由に軸支して、前記感触バネ保持円盤25の上部側に取付けている。
続いて、起立ストッパ32はカバー13を共通の閉位置から左回転と右回転との両方向に対して開操作を可能にした180度向きの異なる共通の開位置の回転軌跡上に位置決め用として、ベース15の上面に板状を有して立設し、この起立ストッパ32の左右の両平面を位置規制用のストッパ面に設けている。そして、この起立ストッパ32に後述する過剰回転規制円板28が閉位置から開位置に回転したときに位置規制して、カバー13の過剰回転を規制する役目を有している。
この起立ストッパ32の左側の位置には左スライド片16を配設し、右側の位置には右スライド片17を配設している。そして、起立ストッパ32の両側のストッパ面で各スライド片16,17を係止して、これらの各スライド片16,17のスライド待機位置に相当する閉位置でのスライド位置を規制する役目も有している。
次に、環状ガイドレール33は軸支筒31を同心円とするベース15上に大径の環状に起立突設し、この環状ガイドレール33の内周面をガイド面に設け、この内周のガイド面に沿って左ガイドリング23と右ガイドリング24とを回転自由に取付けている。
前記左右のピン挿通孔34,35は起立ストッパ32の位置を基準とする左右対称の位置に、かつ後述する左右の昇降ブロック19,20の回転軌跡上に対応する位置に開口し、ここに左昇降ブロック19と右昇降ブロック20の後述する下部ピン19b,20bが挿通したとき、係止して回転規制し、カバー13の閉位置での係止部の役目を有している。
前記左スライド片16は本体12の外面に備えられた左解除レバーL1の内端部に接続されて、本体内部のベース15上に横方向にスライド許容して取付けられ、通常は後述する左昇降ブロック19によって起立ストッパ32側に位置規制されている。さらに、この左スライド片16の上面には円弧形の押上げ面16aを有しており、左解除レバーL1の外力を受けて該左スライド片16が起立ストッパ32とは反対側の係止解除側にスライド移動したときに、該左スライド片16の押上げ面16aが左昇降ブロック19の下面を滑らかに押上げて、左昇降ブロック19を上動させ、該左昇降ブロック19の下部ピン19bとピン挿通孔34との係止を解除する。
この左スライド片16と左右対称の同構造を有する右スライド片17は、左右の向きが異なるだけで同じであり、右スライド片17は解除レバーの動きに連動してスライド移動して昇降ブロックの係止を解除するという同じ動きをするため、その同一の構造および説明は省略する。
前記捩りバネ18は軸支筒31より大径のコイル状に設けられ、この捩りバネ18の弾力性をカバー開方向の駆動源に利用している。この場合、捩りバネ18は両端部18a,18bを延出して設け、このうち一端部18aを後述する左ガイドリング23のバネ係止凹部23aに係止させ、この係止状態で他端部18bを開方向への回転力を高めた回転力付与状態で後述する右ガイドリング24のバネ係止凹部24aに係止させている。これにより、捩りバネ18は閉位置に回転停止されている両ガイドリング23,24に捩りバネ18の回転力を生じさせて待機させている。
前記左昇降ブロック19は上面に突出する上部ピン19aと、下面に突出する下部ピン19bと、前記左スライド片16側に突出する解除力受圧片19cとを備えて構成している。
この場合、上部ピン19aは上方に長く突出し、該上部ピン19a上にコイル状の左係止バネ21を挿通した状態で後述する左ガイドリング23のピン軸支孔23bに挿通させている。このとき、左係止バネ21を圧縮させて下向きに加圧させた状態で挿通するため、下部ピン19bを下向きに押圧付勢して、図7に示すように、ベース15上の左ピン挿通孔34に挿通され、左昇降ブロック19はベース15に回転係止された状態に維持される。
また、解除力受圧片19cは前記左スライド片16の押上げ面16aに対応する傾斜面を下面に有して、左解除レバーL1の解除操作に連動して左スライド片16がスライド移動したときに、該左スライド片16の押上げ面16aが解除力受圧片19cを押上げて、左昇降ブロック19を左係止バネ21の下向きの押圧付勢力に抗して上動させる。この上動時に下部ピン19bはベース15の左ピン挿通孔34より外れて上動し、捩りバネ18の回転規制力から開放されて左昇降ブロック19およびこれと一体の左ガイドリング23とプレート29は開方向に回転する。
この左昇降ブロック19と左右対称の同構造を有する右昇降ブロック20は、左右の向きが異なるだけで同じものであり、右昇降ブロック20は解除レバーおよびスライド片の動きに連動して係止解除された昇降ブロックを平面方向に回転させるという同じ動きが得られるため、その同一の構造および説明は省略する。
前記左ガイドリング23は筒状体の外周面の一部に逆凹形状のバネ収納部23cを径方向に外向きに突設し、このバネ収納部23cに上部ピン19aに支持された前記左係止バネ21を収納保持している。また、前記左係止バネ21を挿通支持した上部ピン19aはバネ収納部23cの上面に縦貫されたピン軸支孔23bに挿通ガイドされて上下動する。さらに、バネ収納部23cの外周面は前記環状ガイドレール33の内周面に沿って回転可能にガイドされるほぼ同曲率の円弧面に設けている。
この左ガイドリング23と左右対称の同構造を有する右ガイドリング24は、左右の向きが異なるだけで同じものであり、係止解除時にガイドリングが昇降ブロックと一体に連れ回りして回転するという同じ動きをするため、その同一の構造および説明は省略する。
また、左右のガイドリング23,24は同軸上で上下方向にリングのみを重ね合せて1つの筒状体の如く積層し、この筒状体の内周面と、軸支筒31の外周面と、ベース15の底面との間で囲まれる断面凹状の環状のスペースに大径の捩りバネ18の収納部を形成し、この環状のスペースに捩りバネ18が収納保持される。
前記感触バネ保持円盤25は断面凹形状の中空円盤を有し、この中空内周面の左右両側に回り止め係止面25aを切欠き形成し、この回り止め係止面25a 前記軸支筒31の小径部外周面に平行して切欠き形成した切欠き係止部36に係止対応させて嵌合固定している。さらに、断面凹形状の内部には後述する環状の感触バネ26を収納し、この凹部内の一方と他方の内周面には感触バネ26を位置決めするための扇形の小さな第1突部25bと第2突部25cとを突設している。
前記感触バネ26は一端を開口した8の字形に形成され、この一端開口部26aの開口部間が前記第1突部25bを両側より挟んだ状態に取付けられて回り止め固定している。また、感触バネ26の他端閉鎖側は前記第2突部25cにより支持させて感触バネ26を感触バネ保持円盤25内の中央側へと位置させて、感触バネ26の弾性変位を許容している。さらに、感触バネ26は8の字形の両側中央部を内向きに少し絞って突出させ、その180度向きの異なる一方の第1凸部26bと他方の第2凸部26cとを対向させて設け、この対向部間に介在される後述する感触リング27の両側の凹部に前記両側の凸部26b,26cを対応させて凹凸対応させる。
前記感触リング27は中空円板に設けられ、その中空部の軸孔27aを前記軸支筒31の小径部に回転自由に挿通して取付けられる。さらに、この感触リング27の軸心を基準に180度向きの異なる一方と他方には第1凹部27bと第2凹部27cを有している。そして、これらの凹部27b,27cに、図8に示すように、感触バネ26の第1凸部26bと第2凸部26cが両側よりそれぞれ凹凸対応する。
さらに、感触リング27の上面の1つの位置には感触リング連結ピン27dを立設しており、この感触リング連結ピン27dを、該感触リング27の上方に重ね合せて取付けられる後述するプレート29の係合開口部29aに挿通して、該感触リング27とプレート29とを一体に回転可能に連結している。そして、プレート29の上面に連結されたカバー13の動きに応じて感触リング27とプレート29とは軸支筒31を基準に一体に回転する。
前記過剰回転規制円板28は前記感触リング27を挿通可能な大きさの中空円板に設けられ、その上面に規制円板連結ピン28aを立設し、この規制円板連結ピン28aを、該円板28の上方に重ね合せて取付けられるプレート29の同心円上の円弧形長孔29bに挿通して連結し、該過剰回転規制円板28がプレート29の回転に伴って回転するように連結している。
さらに、外周面の一部には小さな扇形突片28bを突設しており、過剰回転規制円板28が回転して閉位置から開位置に180度回転したとき、この扇形突片28bがベース15上の起立ストッパ32に当接して回転規制され、これによりプレート29の開位置での過剰回転を規制している。また、円弧形長孔29bの長さを調整することによって、左右の回転方向の回転量が正確に180度になるように設定している。
ところで、感触バネ26の第1凸部26bと第2凸部26cは円弧形状に突出させ、これと凹凸に対応する感触リング27の凹部側も円弧形状にして、互いに円弧形状にて凹凸対応させている。このような円弧形状にて凹凸対応させたとき、凹凸対応した部分が回転方向に加わる僅かな負荷では回転方向に外れない回転規制面に設定している。そして、感触リング27に手動回転操作力と認められる一定の負荷以上の回転力が加わった場合には、凹凸対応部が外れて感触リング27の回転が許容される。
このように、円弧形状にて凹凸対応させれば、180度向きの異なる回転方向の2つの対向位置でそれぞれ正確な位置決めができる。さらに、凹凸形状としては、円弧形状に限らず、回転方向の負荷に応じた所望の回転規制・回転許容ができる形状であればよい。また、この凹凸形状の深さ、幅、傾斜面および角度などを変えれば、係止、係止解除度合いの調整、開閉操作したときの操作感触および解除角度を所望の値に設定できる。
前記プレート29は中央部を凹形にした平板状に設けられ、その中央部にカシメ筒挿入孔29cを開口し、さらにカシメ筒挿入孔29cの一側に連通して設けたU字形の係合開口部29aに、前記感触リング27の上面に突出する感触リング連結ピン27dを係合可能に対応させている。さらに、円弧形長孔29bと反対側で両側の左右の昇降ブロック19,20の閉位置での上部ピン19a,20aと対応するプレート29の位置には、上部ピン19a,20aを挿通するための左右のピン挿通長孔29d,29eを有している。そして、左昇降ブロック19または右昇降ブロック20が閉位置にあるとき、その上面に突出する上部ピン19a,20aが前記ピン挿通長孔29d,29eに挿入する。
さらに、このプレート29の両側にはカバー連結用の連結穴29f,29gを開口し、これらの連結穴29f,29gをカバー13の図示しない連結ピンに固定して一体に取付けている。これにより、回転支持機構14を介して、本体12とカバー13との間を回転自由に一体に連結している。
このため、カバー13は本体12の軸支筒31を中心に、感触リング27、過剰回転規制円板28およびプレート29とともに一体に回転し、このうちのプレート29を介してカバー13は平面方向に180度左回転または右回転する。
前記カシメ筒30は軸支筒31の筒内に挿通して、上部のプレート29と下部のベース15との上下端部をカシメ固定して、中間部の捩りバネ18、左ガイドリング23、右ガイドリング24、感触リング27、過剰回転規制円板28を回転可能にして保持している。また、このカシメ筒30の筒内に配線を挿通して、本体12とカバー13との間を接続する配線に捩れが生じないようにしている。
ところで、回転支持機構14のうち自動回転支持機構はベース15上の下部側に位置する各部品16〜24により構成され、本体12の外面に取付けられた解除レバーL1,L2のレバー操作に連動して、内部のプレート29を既述した各部品16〜24により回転させ、このプレート29と一体のカバー13を開方向に回転させることによってカバー13の開操作の自動化を図っている。
これに対し、手動回転支持機構は回転支持機構14の各部品のうち、自動回転支持機構の上部側に位置する感触バネ保持円盤25と、感触バネ26と、感触リング27と、過剰回転規制円板28との数少ない部品を手動用に設定して、プレート29と一体のカバー13を、手で直に動かして開操作する手動開操作も許容して構築している。この場合は、利用者がカバー13を手で掴んでカバー13をそのまま平面方向に力を加えながら180度回転操作するという利用者の回転操作力を利用して回転させことができる。
このように構成された回転支持機構14を備えた携帯電話機11の開閉動作を次に説明する。
通常、携帯電話機11の待機状態では、図1に示すように、本体12とカバー13とが閉じられて重ね合された閉状態にある。この閉状態では、図2および図5にも示すように、カバー13と一体のプレート29は閉位置で待機している。
このとき、待機状態の左右の解除レバーL1,L2は、その内部の左右のスライド片16,17を介して閉位置に係止されている左右の昇降ブロック19,20により閉位置に待機されている。前記左右の昇降ブロック19,20の係止状態にあっては、図7〜図9に示すように、左右の下部ピン19b,20bが左右のピン挿通孔34,35にそれぞれ係止されて回転規制されている。このため、捩りバネ18の開方向の回転力は左右の昇降ブロック19,20に加わっているが、該昇降ブロック19,20は回転することはない。
次に、このような待機状態にある携帯電話機11に備わっている自動回転支持機構によってカバー13を左開きさせる操作について説明する。
今、利用者が例えば携帯電話機11を左手に持つと、左手の親指の指先が左解除レバーL1に位置し、人差し指の指先が右解除レバーL2に位置して開操作がし易くなる配置関係を考慮して各解除レバーL1,L2を取付けている。このため、携帯電話機11を手に載せた状態では、自然に指先が左右の解除レバーL1,L2をスライド操作可能な位置に接触対応する。
そして、利用者がカバー13を左開きさせる目的で左解除レバーL1をスライド操作してカバーが自動的に開くように開指示を与えると、この左解除レバーL1のスライド移動に連動して左スライド片16が、図10に示すように、係止解除方向にスライドし、該左スライド片16の押上げ面16aが解除力受圧片19cに次第に強く接して、左係止バネ21の押圧力に抗して左昇降ブロック19の全体を上方に押上げる。
このとき、図11に示すように、左昇降ブロック19の下動ピン19bがピン挿通孔34より上動してベース15より外れ、係止解除される。この係止解除された時点では、既に上部に突出する上動ピン19aが上動してプレート29のピン挿通長孔29bに挿通して、左昇降ブロック19が上方のプレート29に係止された連結切換え状態にある(図10参照)。
このため、左昇降ブロック19は下動ピン19bがピン挿通孔34より外れた係止解除時点で、図12に示すように、捩りバネ18の係止されている右昇降ブロック20側を基準に左昇降ブロック19側が開放されてバネの復元作用を受けるため、この左昇降ブロック19は、図13に示すように、左方向に勢いよく回転し、この左昇降ブロック19の回転に、左ガイドリング23、感触リング27、過剰回転規制円板28およびプレート29が追従して回転し、180度回転すると、図14に示すように、過剰回転規制円板28の扇形突片28bが起立ストッパ32に係止されて、これ以上の過剰回転が規制される。そして、プレート29と一体のカバー13は閉位置で回転が停止する。
一方、開位置からはカバー13を手動により閉方向に180度回転させてカバー13を元の閉位置に戻せば、その閉位置で左係止バネ21の押圧力を受けた左昇降ブロック19の下動ピン19bがピン挿通孔34に嵌り込んで係止し、これによりカバー13は元の閉位置に回転停止される。
次に、携帯電話機11に備わっている手動回転支持機構によってカバー13が利用者により左方向に回転された左開き操作を図15を参照して説明する。
今、利用者が携帯電話機11のカバー13を直接手で掴んで左方向に180度回転させれば、内部の手動回転支持機構に対応する感触リング27と感触バネ26との凹凸対応している両側の対向部分が感触バネ26の押圧力に抗して外れ、この係止解除作用によって感触リング27は回転が許容される。そして、手動操作によりカバーが180度回転した開位置で再び感触リング27と感触バネ26とは両側の対向位置でそれぞれ凹凸対応するため、回転係止される。
この開位置に回転係止されたときは、感触バネ26の弾性変形が元に戻ることによる弾性変動および負荷変動作用によりカバー13を持つ利用者の手に操作完了したことが明確に分る操作感触が伝えられる。また、これと同時に過剰回転規制円板28の扇形突片28bが起立ストッパ32に当接して係止され、これ以上の過剰回転は規制される。
逆に、カバー13を元の閉状態に戻す場合は、手でカバー13を逆向きの閉方向に回転させて戻せば元に戻すことができる。
この手動回転支持機構を用いた場合は、プレート29と左昇降ブロック19とは終始非連結状態にあるため、プレート29を回転操作しても捩りバネ18の回転力は受けず、内部の左昇降ブロック19を回転停止させた状態を維持している。
前記カバーの開操作に際して、右解除レバーL2が操作されても、また右開き方向の手動操作がなされても、前記左開きの開操作と同じ動きであるため左右対称の同様な作用効果が得られる。
上述のように、カバーを開閉支持する回転支持機構の開操作を自動化してワンタッチで簡単に開操作ができるためカバーの開操作が容易になる。さらに、カバーの開操作を終始手動によっても行なえるため、利用者はカバーの開操作の仕方に制限を受けず、何れの方法にても開操作が可能になり、携帯電話機の使い易さが向上する。
この発明の構成と、上述の一実施例の構成との対応において、
この発明の回転力付与手段は、実施例の捩りバネ18に対応し、
以下同様に、
閉位置係止手段は、左右の下部ピン19b,20bと左右のピン挿通孔34,35とに対応し、
係止解除手段は、左解除レバーL1と右解除レバーL2に対応し、
開位置係止手段および過剰回転規制手段は、扇形突片28bと起立ストッパ32とに対応し、
係止部材は、左昇降ブロック19と右昇降ブロック20とに対応し、
本体側の係止部は、左ピン挿通孔34と右ピン挿通孔35とに対応し、
押圧手段は、左係止バネ21と右係止バネ22とに対応し、
回動手段は、左ガイドリング23と右ガイドリング24とに対応し、
回転板は、感触リング27に対応し、
回転板に凹凸対応する押圧手段は、感触バネ26に対応し、
第1の回転支持機構は、自動回転支持機構を構成する各部品15〜24,29,L1,L2に対応し、
第2の回転支持機構は、手動回転支持機構を構成する各部品25〜29に対応し、
電子機器は、携帯電話機11に対応するも、この発明は請求項に示される技術思想に基づいて応用することができ、上述の一実施例の構成のみに限定されるものではない。
例えば、上述の一実施例では回転支持機構14のベース15を本体12に取付け、回転支持機構14のプレート29をカバー13に取付けて回転支持するように構成したが、本体12とカバー13は回転支持機構14を介して相対的に回転する支持機構のため、前記ベース15をカバー13に取付け、前記プレート29を本体12に取付けて、逆向きに取付けて構成することもできる。
また、閉位置から開位置までのカバー13を開操作する方向を左回転方向と右回転方向との何れでも開操作できるように設定したが、左右どちらか一方向に設定して構成することもできる。