JP4013091B2 - 接着剤及び接着剤層付きフィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、接着剤及び接着剤層付きフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、エレクトロニクスの分野において用いられる接着剤、例えば印刷回路用基板における金属箔とポリイミドフィルム等の支持材との接着剤や樹脂封止型等の半導体装置内におけるリードフレームと半導体素子(チップ)の接着剤やいわゆるTABテープの金属箔とポリイミドとの接着剤には高温特性、純度、作業性にすぐれた材料が求められている。
【0003】
従来、これらの接着剤として用いられてきたエポキシ系、ゴム変性エポキシ系、フェノール系、アクリル系等の熱硬化性樹脂はすぐれた接着力を示すが、耐熱性、純度に劣り、また硬化時に副性するアウトガスにより被着体を汚染するという欠点がある。
【0004】
一方、耐熱性にすぐれ、また硬化が不要のためアウトガスの発生も少ない接着剤として、耐熱性の高い熱可塑性樹脂が提案されている(例えば、特開昭61−143479号公報、特開平1−268778公報参照)。
しかし、これらの熱可塑性樹脂を溶融接着型の接着剤として用いた場合、溶融接着時の粘度が低いため吸湿水分に起因する接着時の発泡や接着時の流れ過ぎに起因する接着剤の厚み減りが大きいといった問題が存在する。
このような問題点を改善するために接着前に接着剤の吸湿水分を乾燥したり、接着温度や接着圧力を調整することで一定の改善効果はみられたものの、これらの方法では容易に安定した接着強度を得ることは難しく、さらに改善することが求められていた。
【0005】
上記の問題点の要因の一つとして、合成段階で熱可塑性樹脂と化学的に結合し得る官能基を有するカップリング剤を熱可塑性樹脂中に添加しても該熱可塑性樹脂を板、フィルム、薄膜に加工/または形成する際に、その環境条件や加工/または形成に用いる治具や基板材料の物性等の影響を受け、カップリング剤濃度が熱可塑性樹脂の表面で低下する場合があり、結果として接着強度が安定しないという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
請求項1〜3記載の発明は、上記問題を解決し、接着強度に優れ、かつ接着強度の安定した接着剤を提供するものである。請求項4記載の発明は、接着強度に優れ、かつ接着強度の安定した接着剤層を有する接着剤層付きフィルムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、アミド基、エステル基、イミド基またはエーテル基を生成する反応により得られる一般式(I)で示される熱可塑性樹脂を含む接着剤層の表面に、この熱可塑性樹脂と化学的に結合し得る官能基を有するカップリング剤の極性溶剤溶液を塗布し、150℃以上、5分以上の熱を加えて溶剤を乾燥させると同時に反応させることにより接着剤層の表面をカップリング剤で処理してなる接着剤に関する。
【0008】
アミド基、エステル基、イミド基またはエーテル基を生成する反応により得られる熱可塑性樹脂が化4〔一般式(I)〕
【化4】
〔ただし、一般式(I)中、R1、R2、R3およびR4はそれぞれ独立に水素、低級アルキル基、低級アルコキシ基またはハロゲンを示し、Xは結合、化5
【化5】
(ここでR5およびR6は各々独立して水素、低級アルキル基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基またはフェニル基を示す)で表される基を示し、Xは繰り返し単位毎に相違してもよく、Yは化6
【化6】
(ここで、Arは芳香族の2価の基をAr′は3価の基を示す)で表される基を示し、Yは繰り返し単位毎に相違してもよい〕で表される繰返し単位を有する樹脂である。
【0009】
本発明は、また、これらの接着剤において、接着剤層が熱可塑性樹脂及びカップリング剤を含みこれらが反応しているものである接着剤に関する。
本発明は、また、これらの接着剤において、カップリング剤がシランカップリング剤である接着剤に関する。
本発明は、支持フィルムの片面または両面に上記のいずれかに記載の接着剤を積層してなる接着剤付きフィルムに関する。
【0010】
【発明の実施の態様】
前記したアミド基、エステル基、イミド基またはエーテル基を生成する反応により得られる熱可塑性樹脂、すなわち、原料熱可塑性樹脂としては、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステルイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂等がある。
【0011】
原料熱可塑性樹脂としては、具体的には、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂等がある。
【0012】
ポリイミド樹脂は、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを反応させて得られるものが好ましい。
【0013】
テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3′4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2′,3,3′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3′,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス (3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ベンゼン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、3,4,3′,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,2′,3′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3,′,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,6−ジクロルナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,7−ジクロルナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−テトラクロルナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、フェナンスレン−1,8,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジメチルシラン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メチルフェニルシラン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジフェニルシラン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェニルジメチルシリル)ベンゼン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルジシクロヘキサン二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、4,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、1,4−ビス(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼンビス(トリメリテート無水物)、1,3−ビス(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼンビス(トリメリテート無水物)、1,2−(エチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,3−(トリメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,4−(テトラメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,5−(ペンタメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,6−(ヘキサメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,7−(ヘプタメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,8−(オクタメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,9−(ノナメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,10−(デカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,12−(ドデカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,16−(ヘキサデカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,18−(オクタデカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)の芳香族テトラカルボン酸がある。
【0014】
また、テトラカルボン酸二無水物として、芳香族テトラカルボン酸二無水物以外のテトラカルボン酸二無水物としては、エチレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、ピラジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、チオフェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、デカヒドロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、4,8−ジメチル−1,2,3,5,6,7−ヘキサヒドロナフタレン−1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ピロリジン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ビス(エキソ−ビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物)スルホン、ビシクロ−(2,2,2)−オクト(7)−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、テトラヒドロフラン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物等がある。
テトラカルボン酸二無水物として、芳香族テトラカルボン酸二無水物が好ましく、テトラカルボン酸二無水物の全量に対して、50〜100モル%使用されることが好ましい。
【0015】
ジアミン化合物としては、例えば、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,3′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,3′−ジアミノジフェニルメタン、3,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、4,4′−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、3,3′−ジアミノジフェニルスルホン、3,4′−ジアミノジフェニルスルホン、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、3,3′−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4′−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4′−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3′−ジアミノジフェニルケトン、3,4′−ジアミノジフェニルケトン、4,4′−ジアミノジフェニルケトン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−(3,4′−ジアミノジフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−(3,4′−ジアミノジフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,3′−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスアニリン、3,4′−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスアニリン、4,4′−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスアニリン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン等の芳香族ジアミンがある。
【0016】
また、ジアミン化合物には、芳香族ジアミン化合物以外のジアミン化合物として、1,2−ジアミノエタン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルポリシロキサンなどが挙げられる。
芳香族ジアミン化合物は、ジアミン化合物の総量に対して、50〜100モル%使用されることが好ましい。
【0017】
本発明におけるテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とは、ほぼ等モルで反応させることが膜特性の点で好ましい。
【0018】
テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物の反応は、有機溶媒中で行う。有機溶媒としては、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の含窒素化合物、スルホラン、ジメチルスルホキシド等の硫黄化合物、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、γ−ヘプタラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン等のラクトン類、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチル(又はジエチル、ジプロピル、ジブチル)エーテル、トリエチレングリコール(又はジエチル、ジプロピル、ジブチル)エーテル、テトラエチレングリコールジメチル(又はジエチル、ジプロピル、ジブチル)エーテル等のエーテル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン等のケトン類、ブタノール、オクチルアルコール、エチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールモノメチル(又はモノエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はモノエチル)エーテル、テトラエチレングリコールモノメチル(又はモノエチル)エーテル等のアルコール類、フェノール、クレゾール、キシレノール等のフェノール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート等のエステル類、トルエン、キシレン、ジエチルベンゼン、シクロヘキサン等の炭化水素類、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、モノクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類などが用いられる。
【0019】
これらは単独又は混合して用いられる。溶解性、低吸湿性、低温硬化性、環境安全性等を考慮するとラクトン類、エーテル類、ケトン類等を用いることが好ましい。
【0020】
反応温度は80℃以下、好ましくは0〜50℃で行う。反応が進行するにつれ反応液は徐々に増粘する。この場合、ポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミド酸が生成する。このポリアミド酸を部分的にイミド化してもよく、これもポリイミド樹脂の前駆体に含まれる。
【0021】
ポリイミド樹脂は、上記反応物(ポリアミド酸)を脱水閉環して得られる。脱水閉環は、120℃〜250℃で熱処理する方法(熱イミド化)や脱水剤を用いて行う方法(化学イミド化)で行うことができる。120℃〜250℃で熱処理する方法の場合、脱水反応で生じる水を系外に除去しながら行うことが好ましい。この際、ベンゼン、トルエン、キシレン等を用いて水を共沸除去してもよい。
【0022】
脱水剤を用いて脱水閉環を行う方法は、脱水剤として無水酢酸、無水プロピオン酸、無水安息香酸等の酸無水物、ジシクロヘキシルカルボジイミド等のカルボジイミド化合物等を用いるのが好ましい。このとき必要に応じてピリジン、イソキノリン、トリメチルアミン、アミノピリジン、イミダゾール等の脱水触媒を用いてもよい。脱水剤又は脱水触媒は、芳香族テトラカルボン酸二無水物1モルに対し、それぞれ1〜8モルの範囲で用いることが好ましい。
【0023】
本発明におけるポリアミドイミド樹脂又はその前駆体は、前記ポリイミド又はその前駆体の製造において、テトラカルボン酸二無水物の代わりに、トリメリット酸無水物又はトリメリット酸無水物のクロライド等のトリメリット酸無水物誘導体などの3価のトリカルボン酸無水物又はその誘導体を使用することにより製造することができる。また、ジアミン化合物及びその他のジアミン化合物の代わりにアミノ基以外の残基がそのジアミン化合物に対応するジイソシアネート化合物を使用して製造することもできる。使用できるジイソシアネート化合物としては、前記芳香族ジアミン化合物又はその他のジアミン化合物とホスゲン又は塩化チオニルを反応させて得られるべきものがある。
【0024】
本発明におけるポリアミド樹脂は、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸等のジカルボン酸、これらのジクロライド、酸無水物等の誘導体と前記したジアミン化合物又はこれと他のジアミン化合物を反応させることにより製造することができる。
【0025】
本発明におけるポリエステル樹脂としては、上記のテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸等のジカルボン酸、これらのジクロライド、酸無水物等の誘導体と、1,4−ジヒドロキシベンゼン、ビスフェノールF、ビスフェノールA、4,4′−ジヒドロキシビフェニル等の芳香族ジオール化合物を反応させて得られるものがある。
【0026】
また、本発明におけるポリアミドイミド樹脂としては、テトラカルボン酸二無水物とイソフタル酸ジヒドラジドを必須成分として含有するジアミン化合物とを反応させて得られるポリアミドイミド樹脂が好ましく用いられる。テトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物としては前記のものが用いられる。イソフタル酸ジヒドラジドの芳香族ジアミン化合物中のモル比は1〜100モル%とすることが好ましい。1モル%未満では構成樹脂に対する耐溶解性が低下する傾向にあり、イソフタル酸ジヒドラジドの含有量が多いと接着剤層の耐湿性が低下する傾向にあるので10〜80モル%がより好ましく、20〜70モル%が特に好ましく用いられる。このポリアミドイミド樹脂はテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との配合比、使用有機溶媒、合成法などを前記ポリイミド樹脂の合成と同様にして得ることができる。
【0027】
原料熱可塑性樹脂としては、芳香族ポリイミド樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、芳香族ポリエーテル樹脂、芳香族ポリアミドイミド樹脂、芳香族ポリエステルイミド樹脂、芳香族ポリエーテルイミド樹脂等が好ましい。これらの樹脂はいずれも、塩基成分である芳香族ジアミンおよび/またはビスフェノール化合物と酸成分であるジカルボン酸、トリカルボン酸、テトラカルボン酸もしくはこれらの塩化物等の反応性誘導体を重縮合させて製造することができる。酸成分としては、芳香族化合物が好ましい。
これらの原料熱可塑性樹脂中、カップリング剤と反応する官能基としては、分子鎖末端のアミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基等がある。したがって、これらの官能基を有する樹脂であれば、本発明における原料熱可塑性樹脂の構造は特に限定されるものではない。
【0028】
本発明における原料熱可塑性樹脂の例としては、下記化7に示すような繰り返し単位を有する樹脂を挙げることができる。
【0029】
【化7】
【0030】
前記一般式(I)で表される繰り返し単位としては、下記化8、化9で示される例がある。
【化8】
【化9】
【0031】
前記一般式(I)で表される繰り返し単位を有する重合体は、例えば、芳香族ジカルボン酸、芳香族トリカルボン酸またはこれらの反応性誘導体と化10〔一般式(II)〕
【化10】
〔ただし、一般式(II)中R1、R2、R3、R4、X、は一般式(I)におけるのと同じ意味である〕
で表される芳香族ジアミンを重縮合させて製造することができる。
【0032】
前記芳香族ジカルボン酸、芳香族トリカルボン酸及び芳香族テトラカルボン酸において、芳香環は、ヘテロ環が縮合しているものでもよく、また、2個以上の芳香環がメチレン基、2,2−イソプロピリデン基等のアルキレン基、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルフォニル基、スルフィド基などを介して結合しているものでもよい。さらに芳香環に、たとえば、アルコキシ基、アリルオキシ基、アルキルアミノ基、ハロゲン原子などの縮合反応に関与しない置換基が導入されていてもよい。
【0033】
上記芳香族ジカルボン酸は、芳香環に2つのカルボキシル基が結合しているものであり、具体的には、テレフタル酸、イソフタル酸、4,4′−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4′−ジフェニルスルホンジカルボン酸、4,4′−ジフェニルジカルボン酸および1,5−ナフタレンジカルボン酸等を挙げることができるが、テレフタル酸、イソフタル酸が入手容易であり好ましい。また、上記芳香族ジカルボン酸の反応性誘導体とは前記芳香族ジカルボン酸のジクロライド、ジプロマイドおよびジエステル等を挙げることができる。テレフタル酸ジクロライド、イソフタル酸ジクロライドが特に好ましい。
【0034】
本発明における芳香族トリカルボン酸は、芳香環に、3つのカルボキシル基のうち2つが隣接炭素に結合しているものであり、具体的には、トリメリット酸、3,3,4′−ベンゾフェノントリカルボン酸、2,3,4′−ジフェニルトリカルボン酸、2,3,6−ピリジントリカルボン酸、3,4,4′−ベンツアニリドトリカルボン酸、1,4,5−ナフタリントリカルボン酸、2′−メトキシ−3,4,4′−ジフェニルエーテルトリカルボン酸、2′−クロロベンツアニリド−3,4,4′−トリカルボン酸などを挙げることができる。また、前記芳香族トリカルボン酸の反応性誘導体としては、前記芳香族トリカルボン酸の酸無水物、ハライド、エステル、アミド、アンモニウム塩等がある。これらの例としては、トリメリット酸無水物、トリメリット酸無水物モノクロライド、1,4−ジカルボキシ−3−N,N−ジメチルカルバモイルベンゼン、1,4−ジカルボメトキシ−3−カルボキシベンゼン、1,4−ジカルボキシ−3−カルボフェノキシベンゼン、2,6−ジカルボキシ−3−カルボメトキシピリジン、1,6−ジ−5−カルバモイルナフタリン、上記芳香族トリカルボン酸とアンモニア、ジメチルアミン、トリエチルアミンなどからなるアンモニウム塩類などが挙げられる。これらのうちでは、トリメリット酸、トリメリット酸無水物モノクロライドが特に好ましい。
【0035】
前記一般式(II)で表される芳香族ジアミンとしては、2,2−ビス[4− (4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−メチル−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[3−メチル−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[3,5−ジメチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[3,5−ジブロモ−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス[3−メチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]シクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシフェニル]シクロペンタン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、4,4′カルボニルビス(p−フェニレンオキシ)ジアニリン、4、4′−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル等がある。これらのうちでは、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンが好ましい。必要ならば上記のジアミンの混合物を用いることができる。
【0036】
更に前記の芳香族ジアミン以外の既知ジアミン、たとえば4,4′−ジアミノジフェニルエ−テル、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、メタフェニレンジアミン、ピペラジン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、3−メチルヘプタメチレンジアミン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチレンジアミン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン等を併用することができる。これらのジアミン化合物のジアミン化合物全体に対する割合としては40モル%以下であることが好ましい。この割合が40モル%を越えると熱安定性あるいは接着性が悪くなる傾向がある。
【0037】
芳香族ジカルボン酸、芳香族トリカルボン酸またはこれらの反応性誘導体の酸性分はジアミンの総量に対して80〜120モル%使用することが好ましく、特に95〜105モル%使用することが好ましい。これらを等モル使用したときにもっとも高分子量のものが得られる。ジアミンに対して上記酸成分が多すぎても少なすぎても分子量が低下して機械的強度、耐熱性等が低下する傾向がある。
このような反応に際しては、アミンと酸との反応に用いられている公知の方法をそのまま採用することができ、諸条件などについても、特に限定されるものでない。
【0038】
芳香族ジカルボン酸、芳香族トリカルボン酸またはこれらの反応性誘導体とジアミンの重縮合反応については公知の方法が利用できる。2種以上の芳香族ジアミンを使用すること、あるいは2種以上の芳香族ジカルボン酸もしくはその反応性誘導体、2種以上の芳香族トリカルボン酸もしくはその反応性誘導体を使用することにより前記一般式(I)で表される繰り返し単位が相違する重合体を得ることができる。また、芳香族トリカルボン酸もしくはその反応性誘導体とを併用することにより、前記の一般式(I)で表される繰り返し単位が相違する重合体を得ることができる。重合体は、ジメチルホルムアミド0.2〜2.0dl/gであるのが好ましい。この還元粘度が小さ過ぎると、耐熱性、機械的強度が低下し、大き過ぎると接着性が低下する傾向にある。
【0039】
本発明において使用するカップリング剤は、その分子中に2個以上の官能基を有し、そのうちの少なくとも1個は前記原料熱可塑性樹脂と反応し、残りの官能基は前記熱可塑性樹脂と反応するか官能基同士で反応することができる基である。このような2個以上の官能基を有する限り、その分子構造、分子量などに特に制限はない。
このようなカップリング剤としてシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等がある。前記原料熱可塑性樹脂の官能基としては分子末端のアミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基などが考えられるので、カップリング剤中の自己反応する官能基としてはメトキシ基、エトキシ基などが挙げられる。
【0040】
本発明におけるカップリング剤として好ましいのは、シランカップリング剤であり、例えばγ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチレンジメトキシシランなどが挙げられる。
【0041】
本発明において、前記熱可塑性樹脂を含む層(以下、熱可塑性樹脂層という)の処理に用いるカップリング剤の量的な割合は、両者を合計した固形分全体に対し、カップリング剤の割合を0.1〜20重量部にすることが好ましい。さらに好ましくは0.5〜10重量部である。カップリング剤が少なすぎる場合には、接着時の発泡防止や接着剤の流れ過ぎ防止の効果が低く、また、カップリング剤が多すぎる場合には接着強度が低下する傾向にある。
【0042】
本発明における接着剤は熱可塑性樹脂層をその熱可塑性樹脂とカップリング剤と化学的に結合し得る官能基を有するカップリング剤で処理するものであるが、その方法については特に制限はない。例えば、カップリング剤をN−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の極性溶剤に溶解した溶液を、熱可塑性樹脂層に塗布し、熱を加えて溶剤を乾燥させると同時に反応させるのが効率的である。
このときの温度としては150℃以上、好ましくは150〜200℃である。加熱時間は5分以上であれば十分である。このようにして充分に反応させることにより、上記のような熱可塑性樹脂層の表面は極性有機溶剤に容易に溶解しないという溶剤耐性が付与されるが、溶融可能である。
【0043】
熱可塑性樹脂層の厚さについては使用するカップリング剤の量により異なるためは特に制限しないが、接着強度を向上させるためには可能な限り薄くした方がよい。また、塗工/または膜形成方法についても様々な方法や装置があり、これらは熱可塑性樹脂の形態や大きさによって適宜選定すればよい。
【0044】
この熱可塑性樹脂層は、熱可塑性樹脂を溶剤に溶解して作製したワニスをガラス板、ステンレス板等に流延、乾燥して膜として形成することができ、また、この膜を引き剥がすことにより、フィルムとして形成することができる。また、このようなワニスをポリイミドフィルム、ポリエステルフィルム、テトロンフィルムの片面、または両面に塗工した後、加熱して乾燥し、これらのフィルムの表面に熱可塑性樹脂層を形成することができる。
このように熱可塑性樹脂層の表面をカップリング剤で処理することにより、
フィルムに耐熱性接着剤層を形成してなる耐熱性接着剤層付きフィルムを得ることができる。
【0045】
前記の熱可塑性樹脂層は、上記のワニスをガラス繊維等の耐熱性に優れた繊維の薄布マットに含浸させた後、加熱乾燥させて繊維強化型のシートとして得ることができる。また、このワニスをそのまま被着物に塗布して熱可塑性樹脂層を形成することができる。
【0046】
前記の熱可塑性樹脂層に用いる熱可塑性樹脂としては、前記の熱可塑性樹脂と前記したのと同様のカップリング剤を前記のカップリング剤とは別に、反応させたものであってもよい。反応は、熱可塑性樹脂とカップリング剤とをN−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の極性溶剤に溶解し、加熱して反応させる。溶剤を乾燥させると同時に反応させるのが効率的である。このときの温度としては150℃以上、好ましくは150〜200℃で、時間は5分以上であることが好ましい。この反応に際して、反応と同時に溶剤を蒸発除去させること効率的で好ましい。このようにして充分に反応させることにより、上記のような極性有機溶剤に対する耐性が付与され、また、溶融可能な樹脂となる。
【0047】
熱可塑性樹脂層をカップリング剤により処理することにより、その表面にカップリング剤の層ができ、極性有機溶剤に対して耐性を有するが、加熱により軟化する接着剤層を形成することができる。
【0048】
【実施例】
実施例1
温度計、撹拌機、窒素導入管、冷却管を取り付けた4つ口フラスコに窒素下、2,2−ビス〔4(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン205g(0.5モル)、プロピレンオキサイド69.6g(1.2モル)を入れN−メチル−2−ピロリドン1200gに溶解した。この溶液を−5℃に冷却し、この温度でイソフタル酸ジクロライド101.5g(0.5モル)を温度が20℃を越えないように添加した。室温で3時間撹拌を続けた。得られた反応液をメタノール中に投入して、重合体を単離させた。これを乾燥した後、ジメチルホルムアミドに溶解し、これをメタノール中に投入し、減圧して精製された芳香族ポリアミドの粉末を得た。この芳香族ポリアミドの還元粘度(ηSP/C)(ジメチルホルムアミド0.2重量%溶液、30℃で測定、以下同様)は1.02dl/gであった。
【0049】
得られた芳香族ポリアミド粉末60gをN−メチル−2−ピロリドン200gに溶解してワニスAを得た。このワニスAをユーピレックスS(宇部興産製)上に90μmの厚さに形成し、100℃で10分乾燥後、ユーピレックスSから引き剥がし、鉄枠に固定し、200℃で10分、300℃で10分乾燥して厚さ25μmのフィルムを得た。
【0050】
一方、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製、シランカップリング剤SH−6040)3.0gをN−メチル−2−ピロリドン20gに溶解した。得られた溶液を上記で得たフィルム上に2μmの厚さに塗布し、100℃で10分乾燥後、200℃で10分、300℃で10分乾燥して全厚25.2μmの接着剤フィルムを得た。
【0051】
ついで、この接着剤フィルムを5mm角に切り取り、40℃、65%RHの恒温恒湿器に24時間放置し、厚さ0.2mmの鉄−ニッケル合金製のリードフレームの0.2mm間隔の0.2mm幅のインナーリード上に乗せ、350℃で20kg/cm2の圧力で3秒間、加熱圧着した。接着した後の接着フィルムに変形も見られなかった。さらにリードフレームに接着した接着剤フィルムの上に5mm角のシリコンチップを350℃の温度で20kg/cm2の圧力で3秒間、加熱圧着した。5個の接着した試料についてチップのせん断接着強度をプッシュ・プルゲージを用いて測定した結果を表1に示す。
【0052】
比較例1
温度計、撹拌機、窒素導入管、冷却管を取り付けた4つ口フラスコに窒素下、2,2−ビス〔4(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン205g(0.5モル)、プロピレンオキサイド69.6g(1.2モル)を入れN−メチル−2−ピロリドン1200gに溶解した。この溶液を−5℃に冷却し、この温度でイソフタル酸ジクロライド101.5g(0.5モル)を温度が20℃を越えないように添加した。室温で3時間撹拌を続けた。得られた反応液をメタノール中に投入して、重合体を単離させた。これを乾燥した後、ジメチルホルムアミドに溶解し、これをメタノール中に投入し、減圧して精製された芳香族ポリアミドの粉末を得た。この芳香族ポリアミドの還元粘度(ηSP/C)は1.02dl/gであった。
【0053】
得られた芳香族ポリアミド粉末60gとγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製、シランカップリング剤SH−6040)3.0gをN−メチル−2−ピロリドン200gに溶解してワニスを得た。このワニスをユーピレックスS(宇部興産製)上に90μmの厚さに形成し、100℃で10分乾燥後、ユーピレックスSから引き剥がし、鉄枠に固定し、200℃で10分、300℃で10分乾燥して厚さ25μmの接着剤フィルムを得た。それ以外は実施例1と同じ方法で作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0054】
比較例2
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを全く添加しないこと以外は実施例1の方法と同様に接着剤フィルムを作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0055】
実施例2
実施例1で芳香族ポリアミド粉末60gとγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製、シランカップリング剤SH−6040)3.0gをN−メチル−2−ピロリドン200gに溶解してワニスを得た。このワニスをユーピレックスS(宇部興産製)上に90μmの厚さに形成し、100℃で10分乾燥後、ユーピレックスSから引き剥がし、鉄枠に固定し、200℃で10分、300℃で10分乾燥して厚さ25μmのフィルムを得た。
【0056】
さらに、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製、シランカップリング剤SH−6040)3.0gをN−メチル−2−ピロリドン20gに溶解した。この溶解したものを上記フィルム上に2μmの厚さに塗布し、100℃で10分乾燥後、200℃で10分、300℃で10分乾燥して全厚25.2μmの接着剤フィルムを得た。
【0057】
さらにこの接着剤フィルムを用い、実施例1に準じて接着剤フィルムが接着したリードフレームを作製してこれに5mm角のシリコンチップを350℃の温度で20kg/cm2の圧力で3秒間、加熱圧着した。このようにして得られた5個の接着した試料についてチップのせん断接着強度をプッシュ・プルゲージを用いて測定した。結果を表1に示す。
【0058】
比較例3
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを全く添加しない以外は実施例1の方法と同様に接着剤フィルムを作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
【発明の効果】
請求項1〜4における接着剤は吸湿状態で使用しても接着強度に優れ、かつ接着強度のばらつきの少ない安定した優れた特性を有する。
請求項5における接着剤層付きフィルムは、吸湿状態で使用しても接着強度に優れ、かつ接着強度のばらつきの少ない安定した優れた特性を有する。
Claims (4)
- アミド基、エステル基、イミド基またはエーテル基を生成する反応により得られる一般式(I)で示される熱可塑性樹脂を含む接着剤層の表面に、この熱可塑性樹脂と化学的に結合し得る官能基を有するカップリング剤の極性溶剤溶液を塗布し、150℃以上、5分以上の熱を加えて溶剤を乾燥させると同時に反応させることにより接着剤層の表面をカップリング材で処理してなる接着剤。
- 接着剤層が熱可塑性樹脂及びカップリング剤を含みこれらが反応しているものである請求項1記載の接着剤。
- カップリング剤がシランカップリング剤である請求項1又は2に記載の接着剤。
- 支持フィルムの片面または両面に請求項1乃至3のいずれかに記載の接着剤を積層してなる接着剤付きフィルム。
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JP36151097A JP4013091B2 (ja) | 1997-12-26 | 1997-12-26 | 接着剤及び接着剤層付きフィルム |
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JP36151097A JP4013091B2 (ja) | 1997-12-26 | 1997-12-26 | 接着剤及び接着剤層付きフィルム |
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