JP4012316B2 - 直焚き対流加熱による残渣油溶媒抽出法 - Google Patents

直焚き対流加熱による残渣油溶媒抽出法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は残渣油溶媒抽出法での改良に関し、また一層特定的に種々のプロセス流を加熱するために直焚きの対流加熱(direct fired convection heating)が用いられるような改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
溶媒脱瀝は1930年代以来知られている。このような方法は例えば米国特許第2,940,920号および、テキサス州、San AntonioのConvention Centerで1996年3月17〜19日に催された1996年度のNPRA Annual Meetingに提出されたA.H.Northupらの「Advances in Solvent Deaspbalting Technology」およびテキサス州、Houstonで1985年3月24〜25日に催された1985年度春季A.I.Ch.E Meetingに提出されたS.R.Nelsonらの「ROSETM:The Energy−Efficient,Bottom−of−the−Barrel Alternative」のような公刊物中に見られ、これらはすべて参照によって本記載に加入されている。商業的に入手できるROSETM法の技術を導入することで、溶媒脱瀝法ではエネルギー効率が一層高くなりまた費用効果が高くなっている。溶媒脱瀝技術は高度転化製油所においてボトム−オブ−ザ−バレル的な(bottom−of−the−barrel:最も重質な油までを取扱う)主要な品位向上装置として今日広く使用されており、また流動接触分解(FCC)供給物、潤滑油ブライトストック、水素化処理装置および水素化分解装置のための脱瀝ガス油供給物、特製樹脂、ならびに重質燃料およびアスファルト配合成分をつくるためにも使用される。
【0003】
典型的な残渣油溶媒抽出法では、残渣油が亜臨界の高い圧力および温度で軽質炭化水素溶媒と接触される。得られる混合物は溶媒脱瀝油(DAO)相とアスファルテン相とに分離される。アスファルテン相は加熱され、次いで水蒸気でストリッピングされてアスファルテン製品流となる。溶媒−DAO相は溶媒の平衡温度を超える温度に加熱され、溶媒−DAO相の溶媒相とDAO相とへの分離が行なわれる。DAO相が回収され、加熱されそして水蒸気でストリッピングされてDAO製品流となる。いくつかの方法では、樹脂の中間的分離がより高い温度でも実施されることができ、DAOの回収に先立って溶媒−DAO相から樹脂留分が得られる。
【0004】
いずれにせよ、アスファルテン相、溶媒−DAO相およびDAO相を加熱し、またアスファルテン相およびDAO相の水蒸気ストリッピングで使用する水蒸気を過熱することが必要である。従来は、これらのプロセス流および水蒸気の温度を上昇するのに必要な熱を供給するために加熱媒体として熱油システムが使用されてきた。流体流の加熱は一般にいくつかの多管式熱交換器内で達せられる。
【0005】
熱油システムを使用するのが一般に十分でありまたエネルギーの点で効率的であるが、改良の余地はある。例えば熱油システムには直焚きの熱油加熱炉およびかなりの相互に接続する熱油配管が必要である。より少ない基数の装置を使用しまた相互に接続する熱油配管からの熱損失を減少するのが好ましいであろう。エネルギーを節約するために熱油加熱炉の効率を改善するのもまた好ましいであろう。コンパクトな装置配置を利用できるとともに加熱系統の投下資本および運転費用を減少することがさらに好ましいであろう。慣用の熱油加熱炉管の治金学的材質(metallurgy)は典型的に最低P5材料であるが、P9管は、熱油管内でのポリチオン酸による腐触のため一層頻繁に使用されている。
【0006】
温度の僅かな変動が例えばアスファルテンの沈澱を生み、これが熱交換器管を汚染しそして閉塞するので、熱油によって加熱されるプロセス流体の温度制御もまた極めて重要である。熱油の温度が高いため極めて急速な温度変化が起きうるので、温度制御はしばしば困難でありうる。従って、温度制御が一層容易でありまた汚染および閉塞への抵抗力がより良い、アスファルテン相、溶媒−DAO相およびDAO相のための加熱系統が好ましいであろう。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は熱油加熱系統を直焚きの対流加熱によっておきかえることにより残渣油溶媒抽出法を改善する。これによって熱油配管が省かれまた必要な装置、特に熱交換器の基数が減少する。一方、これによって熱油の相互接続配管からの熱損失がすべてなくなる。煙道ガスの温度は、煙道ガスを燃焼帯に戻して循環(recirculating)することにより、低下させることができる。管の壁温がより低いので、このことはプロセス流体(アスファルテン相、溶媒−DAO相およびDAO相)の劣化を防止するという利益を生む。加えて対流加熱炉内の管の直径がより大きく、また直径方向に管を汚染しあるいは閉塞する可能性が減少する。より穏和な操作によって直焚きの対流加熱炉の一層良好な温度制御が可能になる。さらに、直焚きの加熱炉では、冷却された煙道ガスの循環のため、燃焼生成物の温度がより低いので、燃料の燃焼から発生する窒素酸化物の水準は低い。
【0008】
【課題を解決するための手段】
従って本発明は残渣油の溶媒抽出法での改良を提供する。この溶媒抽出法には、1)亜臨界の高い圧力および温度で残渣油を軽質炭化水素溶媒と接触させ、2)溶媒−脱瀝油(脱アスファルト油:DAO)の混合相をアスファルテン相から分離し、3)工程(2)からのアスファルテン相を加熱しそしてこの加熱した相を水蒸気でストリッピングしてアスファルテン製品流を生成し、4)工程(2)からの溶媒−DAO相を溶媒の平衡温度を超える温度まで加熱して、溶媒−DAO相を溶媒相とDAO相とへ分離し、5)DAO相を回収し、そして6)工程(5)からのDAO相を加熱しそしてこのDAO相を水蒸気でストリッピングしてDAO製品流を生成する工程が包含される。
この改良は、工程(3)、(4)及び(6)での加熱が、
(a)燃焼帯内で燃料と空気を燃焼して、循環された(recirculated)煙道ガスと混合して高温の煙道ガスを形成し、
(b)工程(a)からの高温の煙道ガスを対流加熱帯に供給し、
(c)工程(2)からのアスファルテン相、工程(2)からの溶媒−DAO、そして工程(5)からのDAOを管側を通じて対流加熱帯に通過させて、管側流体を加熱しそして煙道ガスを冷却し、
(d)工程(c)からの冷却された煙道ガスを収集しそしてこの煙道ガスの一部を工程(a)の燃焼帯に循環する(recirculate)
工程を包含することによってもたらされる。
【0009】
管側流体および高温の煙道ガスは並行して操作される複数の対流加熱部のそれぞれに通過されるのが好ましい。溶媒抽出方法の工程(3)にはアスファルテン製品流の一部を加熱しそしてアスファルテンストリッピングに循環することが包含されてよく、この場合、循環されたアスファルテンは管側を通じて工程(c)の対流加熱帯に通過される。溶媒抽出プロセスには工程(3)および(6)でのストリッピングのための水蒸気を過熱する工程(7)が包含されてよく、また管側を通じて工程(c)の対流加熱部に通過させることにより水蒸気を過熱することが改良に含まれてもよい。工程(a)からの高温の煙道ガスは800°F〜1400°Fの温度を有するのが好ましい。
【0010】
好ましい態様において本発明は、1)亜臨界の高い圧力および温度で残渣油を軽質炭化水素溶媒と接触させ、2)溶媒−脱瀝油(DAO)の混合相をアスファルテン相から分離し、3)工程(2)からのアスファルテン相を加熱して第1の高温アスファルテン流を形成し、4)この工程(3)からの第一の高温アスファルテン流をアスファルテンの水蒸気ストリッピング装置に供給して、溶媒を実質的に含まないアスファルテン製品流を形成し、5)工程(4)からのアスファルテン製品流の一部を加熱して第2の高温アスファルテン流を形成し、6)第2の高温アスファルテン流を工程(4)のアスファルテンの水蒸気ストリッピング装置に供給し、7)工程(2)からの溶媒−DAO相を溶媒の平衡温度を超える温度まで加熱して、溶媒−DAO混合相を溶媒相とDAOとへ分離し、8)工程(7)で分離されたDAO相を回収し、9)工程(8)からのDAO相を加熱し、10)工程(9)からの高温のDAO相を水蒸気でストリッピングして、溶媒を実質的に含まないDAO製品流を形成し、そして11)工程(4)および(10)で使用するための水蒸気を過熱する工程からなる残渣油の溶媒抽出方法における改良を提供する。この改良は工程(3)、(5)、(7)、(9)および(11)における加熱が、
(a)燃焼帯内で燃料と空気を燃焼して、循環された煙道ガスと混合して高温の煙道ガスを形成し、
(b)工程(a)からの高温の煙道ガスを、平行する複数の対流加熱部を含む対流加熱帯に供給し、
(c)工程(2)からのアスファルテン相を、管側を通じて対流加熱部の一つに通過させて、アスファルテン相を加熱しそして煙道ガスを冷却し、
(d)工程(2)からの溶媒−DAO相を、管側を通じて対流加熱部の一つに通過させて、溶媒−DAOを加熱しそして煙道ガスを冷却し、
(e)工程(8)からの溶媒の乏しい(solvent−lean)DAOを管側を通じて対流加熱部の一つに通過させて、DAOを加熱しそして煙道ガスを冷却し、
(f)工程(4)からのアスファルテン製品流の一部を管側を通じて対流加熱部の一つに通過して、アスファルテンを加熱しそして煙道ガスを冷却し、
(g)水蒸気を管側を通じて対流加熱部の一つに通過して、水蒸気を加熱しそして煙道ガスを冷却し、
(h)対流加熱部からの冷却された煙道ガスを収集し、そして
(i)この工程(h)から収集された煙道ガスの一部を工程(a)の燃焼帯に循環する
工程を包含することである。
【0011】
工程(a)からの高温の煙道ガスは800°F〜1400°Fの温度を有し、また工程(f)および(g)でアスファルテンと水蒸気を通過させるための管は、対流加熱部の一つで直列に配置されるのが好ましい。
【0012】
図1に例示するような典型的な残渣油の溶媒抽出方法では、配管100中の残渣油を混合器102に供給し、そこで配管104を経て供給される溶媒と混合して配管106中の混合物を得る。配管106中の混合物を熱交換器108内で冷却しそして混合物を底部流112と頂部流114とに分離するアスファルテン分離器110に供給する。底部流112はアスファルテンといくらかの溶媒との混合物であるが、頂部流114は脱瀝油(DAO)と大部分の溶媒との混合物からなる。底部流112をポンプ116によりポンプ送入し、熱交換器108および118内で加熱し、対流加熱コイル120を通過させそしてアスファルテンストリッパー122に供給する。底部流124はポンプ126により配管128、130にポンプ送入する。配管128中のアスファルテン製品を熱交換器118内で冷却する。配管130中の循環されたアスファルテン流を対流加熱コイル132内で加熱しそしてアスファルテンストリッパー122に循環する。過熱水蒸気を配管134を経てアスファルテンストリッパー122に供給する。アスファルテンストリッパー122からの頂部流が配管136中に得られ、これは溶媒と水とを含みこれらは凝縮器138内で凝縮されそして溶媒サージドラム140内に収集する。
【0013】
頂部流114を十字流熱交換器(cross exchanger)142、十字流熱交換器144および対流加熱コイル146で加熱しそしてDAO分離器148に供給する。DAO分離器148からの頂部流を配管150で取り出し、十字流熱交換器で配管114中の溶媒−DAO相と熱交換して冷却し、そしてさらに熱交換器152で冷却する。主にDAOを含みそして残留する溶媒を含む、DAO分離器148からの底部流を配管154を経てDAOストリッパー156に送入する。塔底流158をポンプ160で配管162、164にポンプ送入する。配管162中の脱瀝油製品は十字流熱交換器144で冷却する。配管164中の循環されたDAO流を対流加熱コイル166で加熱しそしてDAOストリッパー156に循環する。過熱水蒸気を配管168によってDAOストリッパー156に供給する。DAOストリッパー156から溶媒と水とを含む塔頂流を配管170に取り出し、それを凝縮器138で凝縮しそしてアスファルテンストリッパー122から配管136を経てくる溶媒および水とともに溶媒サージドラム140中に収集する。サージドラム140の浸漬脚(dip leg:ディップレッグ)から配管172により水を除去する。熱交換器152からの冷溶媒とともに、サージドラム140からの溶媒を配管174およびポンプ176により配管178に循環する。配管178中の一緒にされた溶媒を上記したように混合器102に供給するためにポンプ180によって配管104にポンプ送入できる。
【0014】
配管182に水蒸気を供給しそして上記したように配管134、168に供給するために対流加熱コイル184で過熱する。
【0015】
同じ参照数字が同じ部分を示すように使用されている図2および3を参照するとし、本発明の一態様の直焚きの対流加熱系統200では、燃料と空気を燃焼して循環された煙道ガスと混合して、対流加熱コイル120、132、146、166および184を加熱するための高温の煙道ガスをつくる。燃料は配管204を経てバーナー202に供給する。酸素が富化されていてよい空気は吸入口206、ファン208およびダクト210を経て供給する。循環された煙道ガスを循環ファン214およびダクト216を経てバーナーのハウジング212に供給する。煙道ガスの所望の燃焼温度と流量とを得るように燃料、燃焼空気および循環煙道ガスの割合をきめる。バーナーのハウジング212から流出しそして高温煙道ガス供給ダクト218に流入する煙道ガスは800°F〜1400°Fの温度であるのが好ましい。燃焼過程で生成される酸化窒素を減少しそしてプロセス流体がおかれるであろう温度を低下するために低い温度が好ましい。他方、加熱する工程にとって必要な煙道ガスの流量を減少しそして伝熱管または伝熱コイルに必要な面積を減少するためにより高い温度が好ましい。
【0016】
供給ダクト218からの煙道ガスは、各々の対流加熱コイル146、166、120、132/184を加熱するために、平行する伝熱帯220、222、224、226に供給する。尚ここで、当該各々の対流加熱コイルを通って、プロセス流体が各々の配管114、164、112、130から供給され、そして過熱するために配管182を経て水蒸気が供給される。煙道ガスが伝熱帯のそれぞれを通過するにつれ、各々のコイル中の流体が加熱されそして煙道ガスが冷却される。冷却された煙道ガスを多重戻り配管228、230、232、234に収集する。戻りヘッダー236は煙道ガスを循環用ファン214に供給する。煙道ガスの一部を戻りヘッダー236から配管238および排気ファン240を経て煙突242に向けて抜き出す。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1〜3に例示するような直焚き燃焼加熱炉を使用する残渣油の溶媒抽出プロセスを1日あたり残渣油を35,000バーレルの割合で処理するように設計した。直焚きの対流加熱系統200は供給ダクト218内で煙道ガス温度1185°Fを有した。管の破損および管内のコーキングを最少にするためにコイル146、166、120および132内のフィルム温度を650°Fより低く保った。
【0018】
コイル146は6.625インチの外径、0.378インチの厚さおよび19フィートの有効長を有した。コイル146は1列あたりの管を12本とし、12パスとするように配列した。14列には1インチあたり5個のフィンを設けた。各フィンは高さ0.75インチ、太さ0.05インチであった。管を通る溶媒−DAOの流れは煙道ガスに対して向流であった。煙道ガスは379.4°Fの出口温度を有した。プロセス流体は314°Fの入口温度と335°Fの出口温度とを有した。煙道ガスの圧力降下は水柱1.34インチであった。プロセス流体の圧力降下は11.0psiであった。対流帯220の巾は149インチで高さは15フィートであった。伝熱量は毎時83.0MMBTUと算出された。
【0019】
コイル166は有効長が19フィートの公称4インチのスケジュール40の5Cr−1/2Moの鋼として設計した。コイル166は1列あたりの管6本として配列し、6パスとした。22列に以下のようにフィンを施した:2列が高さ0.25インチのフィンを1インチあたり2個有し;2列が高さ0.25インチのフィンを1インチあたり2.5個有し;2列が高さ0.25インチのフィンを1インチあたり3個有し;2列が高さ0.25インチのフィンを1インチあたり4個有し;2列が高さ0.25インチのフィンを1インチあたり5個有し;2列が、高さ0.375インチのフィンを1インチあたり4個有し;2列が高さ0.375インチのフィンを1インチあたり5個有しそして8列が高さ0.5インチのフィンを1インチあたり5個有した。管を通るDAOの流れは煙道ガスに対して並流であった。煙道ガスは672°Fの出口温度を有した。プロセス流体は500°Fの入口温度と580°Fの出口温度を有した。煙道ガスの圧力降下は水柱4.1インチであった。プロセス流体の圧力降下は7.36psiであった。対流帯222の巾は52インチで高さは17フィートであった。伝熱量は毎時28.845MMBTUと算出された。
【0020】
コイル120は外径4.5インチ、壁厚0.295インチおよび有効長19フィートに設計した。コイル120は1列あたり管6個に配列し、6パスとした。24列にそれぞれ厚さが0.05インチのフィンを1インチあたり5個設け、2列は高さ0.25インチのフィンを有し、2列は高さ0.5インチのフィンを有し、そして20列は高さ0.75インチのフィンを有した。管を通るアスファルテンの流れは煙道ガスに対して向流であった。煙道ガスは400°Fの流出(出口)温度を有した。プロセス流体は343.3°Fの流入(入口)温度と464°Fの流出温度とを有した。煙道ガスの圧力降下は水柱19.97インチであった。プロセス流体の圧力降下は7.08psiであった。対流帯224の巾は52インチでありまた高さは17フィートであった。伝熱量は毎時35.7MMBTUと算出された。
【0021】
コイル132は外径4.5インチ、壁厚0.237インチおよび有効長19フィートに設計した。コイル132は1列あたり管6個に配列し、3パスとした。16列はフィンのない裸管であった。4列は高さ0.25インチのフィンを1インチあたり1個有した。2列は高さ0.25インチのフィンを1インチあたり2個有した。2列は高さ0.25インチのフィンを1インチあたり4個有した。2列は高さ0.375インチのフィンを1インチあたり5個有した。8列は高さ0.75インチのフィンを5個有した。すべてのフィンは厚さ0.05インチの炭素鋼であった。管を通るアスファルテンの流れは煙道ガスに対して並流であった。煙道ガスは623°Fの流出温度を有した。プロセス流体は525°Fの流入温度と580°Fの流出温度とを有した。煙道ガスの圧力降下は水柱1.0インチであった。プロセス流体の圧力降下は75psiと算出された。
【0022】
コイル184は外径4.5インチ、壁厚0.207インチおよび有効長19フィートに設計した。コイル184は1列あたり管6個に配列し、3パスとした。列のうち9つにそれぞれ厚さが0.05インチで高さが0.75インチのフィンを1インチあたり5個設けた。管を通る水蒸気の流れは煙道ガスに対して向流であった。煙道ガスは623°Fの流入温度と471°Fの流出温度を有した。煙道ガスの圧力降下は水柱0.5インチであった。水蒸気の圧力降下は14.4psiと算出された。
【0023】
対流帯226は設計上、巾52インチおよび高さ29フィートを有した。伝熱量は毎時16.9MMBTUと算出された。
【0024】
多管式ベースの熱油系と本実施例の直焚き加熱との間で資本費用の比較を行った。直焚き加熱炉は、設備費が約3,500,000ドル(すべての価格は1995年時点の米ドル)の7基の多管式熱交換器と設備費が約2,750,000ドルの熱油加熱器を不用とする。対流加熱系統200の設備費は約2,750,000ドルである。従って、熱油配管系を不用とすることからくる節約(直焚きシステムに対しての)および熱油ポンプ、貯蔵タンクなどの費用がなくなることからくる節約を考慮しなくてさえ、資本費用の推定節減額は約3,500,000ドルである。さらに管の閉塞の問題は著るしく低減し、従って保守の軽減が更に費用節減となる。また、直焚きされる管は20年もつことが期待できるが、従来技術の熱油系統の多管式熱交換器の予想寿命はほんの10年である。
【0025】
以上、本発明は、上記した態様について言及することにより例示される。上記の開示に鑑み、技術上熟達する者によって、本発明に対して様々な修正がなされることができる。冒頭に記した特許請求の範囲に属しまたその趣意のうちにあるこのような修正および変更はすべて特許請求の範囲に包含されると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の典型的な残渣油溶媒抽出方法の簡略化されたプロセス流れ図である。
【図2】本発明の一態様に従う直焚き対流加熱炉の略解的平面図である。
【図3】図2の直焚き対流加熱炉の並列する対流加熱部の一つの略解的立面図である。

Claims (8)

  1. 1)亜臨界の高い圧力および温度で残渣油を軽質炭化水素溶媒と接触させ、2)溶媒−脱瀝油(DAO)の混合相をアスファルテン相から分離し、3)工程(2)からのアスファルテン相を加熱しそしてこの加熱した相を水蒸気でストリッピングしてアスファルテン製品流を生成し、4)工程(2)からの溶媒−DAO相を溶媒の平衡温度を超える温度まで加熱して、溶媒−DAO相を溶媒相とDAO相とへ分離し、5)DAO相を回収し、そして6)工程(5)からのDAO相を加熱しそしてこのDAO相を水蒸気でストリッピングしてDAO製品流を生成する工程からなる残渣油の溶媒抽出方法において、工程(3)、(4)および(6)での加熱が、
    (a)燃焼帯内で燃料と空気を燃焼して、循環された煙道ガスと混合して高温の煙道ガスを形成し、
    (b)工程(a)からの高温の煙道ガスを対流加熱帯に供給し、
    (c)工程(2)からのアスファルテン相、工程(2)からの溶媒−DAO、そして工程(5)からのDAOを管側を通じて対流加熱帯に通過させて、管側流体を加熱しそして煙道ガスを冷却し、
    (d)工程(c)からの冷却された煙道ガスを収集しそしてこの煙道ガスの一部を工程(a)の燃焼帯に循環する
    工程を包含する改良された溶媒抽出方法。
  2. 工程(c)が、管側流体と高温の煙道ガスをそれぞれ、並行して操作される複数の対流加熱部に通過させることからなる請求項1記載の溶媒抽出方法。
  3. 工程(3)が、アスファルテン製品流の一部を加熱しそしてアスファルテンストリッピングへと循環することを包含し、循環されたアスファルテンが管側を通じて工程(c)の対流加熱帯を通過することにより加熱される請求項1記載の溶媒抽出方法。
  4. 工程(3)および(6)でのストリッピングのための水蒸気を加熱する工程7)を包含し、水蒸気が管側を通って工程(c)の対流加熱部を通過することにより過熱される請求項1記載の溶媒抽出方法。
  5. 工程(a)からの高温の煙道ガスの温度が800°F〜1400°Fである請求項1記載の溶媒抽出方法。
  6. 1)亜臨界の高い圧力および温度で残渣油を軽質炭化水素溶媒と接触させ、2)溶媒−脱瀝油(DAO)の混合相をアスファルテン相から分離し、3)工程(2)からのアスファルテン相を加熱して第1の高温アスファルテン流を形成し、4)この工程(3)からの第一の高温アスファルテン流をアスファルテンの水蒸気ストリッピング装置に供給して、溶媒を実質的に含まないアスファルテン製品流を形成し、5)工程(4)からのアスファルテン製品流の一部を加熱して第2の高温アスファルテン流を形成し、6)第2の高温アスファルテン流を工程(4)のアスファルテンの水蒸気ストリッピング装置に供給し、7)工程(2)からの溶媒−DAO相を溶媒の平衡温度を超える温度まで加熱して、溶媒−DAO混合相を溶媒相とDAOとへ分離し、8)工程(7)で分離されたDAO相を回収し、9)工程(8)からのDAO相を加熱し、10)工程(9)からの高温のDAO相を水蒸気でストリッピングして、溶媒を実質的に含まないDAO製品流を形成し、そして11)工程(4)および(10)で使用するための水蒸気を過熱する工程からなる残渣油の溶媒抽出方法において、工程(3)、(5)、(7)、(9)および(11)での加熱が、
    (a)燃焼帯内で燃料と空気を燃焼して、循環された煙道ガスと混合して高温の煙道ガスを形成し、
    (b)工程(a)からの高温の煙道ガスを、平行する複数の対流加熱部を含む対流加熱帯に供給し、
    (c)工程(2)からのアスファルテン相を、管側を通じて対流加熱部の一つに通過させて、アスファルテン相を加熱しそして煙道ガスを冷却し、
    (d)工程(2)からの溶媒−DAO相を、管側を通じて対流加熱部の一つに通過させて、溶媒−DAOを加熱しそして煙道ガスを冷却し、
    (e)工程(8)からの溶媒の乏しい(solvent−lean)DAOを管側を通じて対流加熱部の一つに通過させて、DAOを加熱しそして煙道ガスを冷却し、
    (f)工程(4)からのアスファルテン製品流の一部を管側を通じて対流加熱部の一つに通過して、アスファルテンを加熱しそして煙道ガスを冷却し、
    (g)水蒸気を管側を通じて対流加熱部の一つに通過して、水蒸気を過熱しそして煙道ガスを冷却し、
    (h)対流加熱部からの冷却された煙道ガスを収集し、そして
    (i)この工程(h)から収集された煙道ガスの一部を工程(a)の燃焼帯に循環する
    工程を包含する改良された溶媒抽出方法。
  7. 工程(a)からの高温の煙道ガスの温度が800°F〜1400°Fである請求項6記載の溶媒抽出方法。
  8. 工程(f)および(g)におけるアスファルテンおよび水蒸気を通過させるための管が対流加熱部の一つにおいて直列に配置されている請求項7記載の溶媒抽出方法。
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