JP4011446B2 - 電子機器 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般に、電子機器用ハウジングの構造に関し、特に、外部コネクタの方向に特徴がある電子機器に関する。
【０００２】
【従来の技術】
オシロスコープ（単に、「スコープ」と呼ぶこともある）の如き電子機器は、回路や、他の電子装置及びシステムを試験及び測定するために用いられている。オシロスコープは、しばしば被試験装置と共に作業台上に配置され、これら被試験装置及びオシロスコープの間に接続が行われる。通常は、オシロスコープは、前面パネルの表面上に前面表示スクリーンとユーザ・インタフェース制御パネルとを具えており、オシロスコープが作業台に配置されているため、この前面パネル面は、垂直、又は略垂直の方向となる。被試験装置用の場所を確保するために、充分な空間があれば、オシロスコープは、一般的には作業台の後方に配置され、被試験装置がオシロスコープの直ぐ前に配置される。
【０００３】
いくつかのオシロスコープ構成にとって都合の良い配置の場合であっても、あるオシロスコープでは、この都合の良い配置が、被試験装置との関係で都合が良くないこともある。あるオシロスコープは、比較的低コストで利用可能な強力マイクロプロセッサを用いたパーソナル・コンピュータ（ＰＣ）回路を内部に具えている。これらオシロスコープは、特別設計のマイクロプロセッサを用いたオシロスコープと比較して、低価格であり、高速且つ計算能力が高い。オシロスコープに用いるＰＣマイクロプロセッサは、通常、従来のＰＣマザーボード上に設けられており、このマザーボードに他の回路ボードが通常は接続されている。オシロスコープ・ハウジングの背面に設けられた電気コネクタに接続されたケーブルによって、プリンタ、他のコンピュータ又はネットワークなどの外部装置がオシロスコープにしばしば接続されて、内部でマザーボードに接続される。（例えば、非特許文献１参照。）
【０００４】
【非特許文献１】
２００１年に米国テクトロニクス・インコーポレイテッドから発行された「テスト・メージャメント・アンド・モニターリング・プロダクト・カタログ」の第６５ページ〜第７０ページ。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
ＰＣプロセッサ及びマザーボードを用いたオシロスコープは、ＰＣプロセッサのコンポーネントや、オシロスコープの回路及びコンポーネントを収容するのに充分大きなハウジングによって組み立てられる。かかるシステム内のマザーボードは、電子機器において、前面から後部に向かって延びる垂直面又は水平面に沿った方向であり、背面にコネクタを設けることができる。これには、望ましいサイズよりも非常に大きな奥行き（前方から後方に向かう長さ）のハウジングが必要となり、オシロスコープの前面に被試験装置を配置するにはしばしば実用的ではない。さらに、ケーブルや、これらのコネクタは、一般的に、背面パネルから更にはみ出しており、電子機器の実際的な奥行きが長くなる。
【０００６】
また、オシロスコープ（電子機器）をラック・マウントに固定して、電子機器の矩形前面パネルのみが露出し、この電子機器の残りの部分がラック・キャビネット内に隠れているのが望ましい。また、ハウジングの側部にケーブル・コネクタが配置されるので、キャビネットの奥行きを短くするためにマザーボードの方向を新たに変えることができない。よって、ケーブルがはみ出してしまい、ハウジング及び前面パネルにとって略適切なサイズのラックの空間内にオシロスコープを挿入することが不可能となる。
【０００７】
したがって、本発明は、奥行きを短くすると共に、ケーブルやコネクタがはみ出さない電子機器の提供にある。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
本発明の電子機器は、矩形本体のハウジング（１２）を具え；このハウジングは、表示スクリーン（３０）を有する前面パネル（１４）を具えると共に、この前面パネルから背面パネル（２６）に直角に延びる対向する側面パネル（１６、２０）を具え；背面パネル（２６）の近傍でハウジング（１２）のコーナーに、互いに直角な３個の面（５４、５６、６２）から成り、これら面の１個（５４）が前面パネル（１４）に直角且つ側面パネル（１６、２０）に平行である凹部（５２）を有し；前面パネルに直角且つ側面パネルに平行である凹部の面（５４）に電気コネクタ（６４、６６、７０）を有し；前面パネルに平行な凹部の面（５６）にハンドル（７６）を有し、このハンドルは、回転可能であり、凹部にしまい込めると共に運搬用に開くことを特徴としている。
【０００９】
本発明の実施例では、電子機器を矩形本体の形状のハウジングとして、上述の従来の制限を克服している。このハウジングは、表示スクリーンを有する前面パネルと、この前面パネルから直角に背面パネルに延びる対向側面パネルとを具えている。このハウジングにより、背面パネルと、少なくとも１個の側面パネルに隣接した空隙（キャビティ：凹部）を形成する。この空隙は、電気コネクタが設けられ且つ引っ込んだ凹部パネル部分を有して、これら電気コネクタに接続されたケーブルが曲がることができて、側部パネルからはみ出すことを防止して、容易にラック・マウントに取り付けることができ、また、背面パネルから突出しないので、作業台での利用可能な空間が広がる。コネクタ及びマイクロプロセッサが接続される回路基板は、背面パネルと平行な方向となり、ハウジングの正面から後方への奥行きを制限する（短くする）ことができる。
【００１０】
【発明の実施の形態】
図１は、本発明の好適な実施例を正面から見た斜視図である。かかる図１に示す電子機器であるオシロスコープ（スコープ）１０は、ほぼ矩形の形状（立方体）のハウジング１２を具えている。このハウジング１２は、垂直の矩形前面パネル１４と、右側面パネル１６と、左側面パネル２０と、上面パネル２２と、底面パネル２４と、背面パネル２６とを具えている。前面パネル１４は、表示スクリーン３０と、ボタン及び制御ノブ３４の配列を有する制御インタフェース・パネル３２と、いくつかのコネクタ３８を有するプローブ接続パネル３６とを具えている。これらコネクタ３８は、ケーブルを介してプローブ４０を被試験電子回路、即ち、被測定装置４２に接続する。好適な用途においては、オシロスコープ１２を水平の作業面に置いて、このオシロスコープの前面の作業面に被測定装置４２を配置する。なお、上面パネル２２には、プリンタ用の印刷紙を排出する開口が設けられているが、本発明と関係がないので、その説明を省略する。
【００１１】
全体的には平行六面体、即ち、矩形容積の包絡線（エンベロープ：全体の外形を定める線であり、実際のハウジングの部分的な凹部などを無視している）４４により、ハウジング１２の形状が決まる。本発明の好適実施例は、完全な矩形本体とは多少異なり、成形製造工程を容易にするように、抜け勾配を設け、また、鋭い外観を避けるためにかど（エッジ）及びすみ（コーナー）に丸みを与えている。本発明の別の実施例では、長方形、筒形、又は卵形の形式を含むように、一層大幅に丸みのあるコーナー及び表面を具えてもよい。包絡線は、好ましくは、電子機器が占める空間で定まる物理的な制約により強制される標準で対称的な形状や任意の他の形状である。
【００１２】
本発明の好適実施例において、電子機器のハウジングの包絡線は、限定された奥行き、即ち、短い奥行きが望ましく、過度に前方に延びすぎた前面パネルを用いることなく、作業台の後部にある壁面に電子機器を配置できる。この場合、適切な作業面が電子機器の前面パネルの前にでき、被測定装置を置くことができる。
【００１３】
矩形の前面パネル１４は、ラック・マウント又はシェルフ（棚）を用いるアプリケーションにぴったりと適合する。ここでは、この電子機器の上下に配置される他の電子機器の間で、且つ、左右の垂直で真っ直ぐなレールの間に矩形の開口ができる。また、この矩形は、全体の電子機器にもぴったりと適合する。よって、包絡線の容積が、ラック・マウント内で利用可能な容積を最大限利用できる。電子機器の前面パネルの左及び右の縁にブラケット（図示せず）を設けて、ラック・レールに直接的に取り付けてもよいし、ラック・レールに取り付けられたシェルフに配置してもよい。
【００１４】
電子機器のハウジング１２の形状は、いくつかの重要でない方向と、１つの重要な方向（空隙５２のための方向）において包絡線から外れている。ハウジング１２は、前面パネルの下部の前方の縁に蝶番の格納式脚部４６を有するので、作業用視界のために、正面パネルをわずかに上方に傾けることができる。これら脚部を開いた場合に、包絡線からはみ出すが、本発明の目的にとっては、重要な意味はない。同様に、種々の制御ノブ３４、コネクタ３８、ケーブル巻き取り案内部５０、表示スクリーン用ベゼル、及びその他の小さな要素は、包絡線の上及び下にわずかにはみ出す。これらはみ出した部分は、オシロスコープが配置される空間を制限しないし影響も及ぼさず、また、ハウジングの有用な容積に大幅な影響を及ぼさず、更に、ハウジング内に収容できる要素のサイズ及び形にも影響を及ぼさないので、これらはみ出した部分をさほど考慮しなくてもよい。本発明の別の実施例では、ハウジングの２つの側部に空隙を設けてもよく、この空隙が上部パネル及び下部パネルの両方に通じて、電子機器の高さの全部にわたって延びるようにして、第３空隙パネル６２を不要にしてもよい。
【００１５】
図２は、図１に示す本発明の好適な実施例を背面から見た斜視図である。この図２に示すように、包絡線４４と異なるハウジング１２の顕著な部分は、空隙５２である。この空隙５２は、包絡線４４の１つのコーナーを除去した矩形の空間であり、ハウジングの表面により３つの側部が決まる。凹んだ横方向に向いた面５４（凹部パネル部分、第２パネル部分又は空隙面部分とも呼ぶ）は、上面パネル２２及び底面パネル２４と直角関係にあり、側面パネル２０に対して凹み、平行な関係にある。この空隙５２は、ハウジングの奥行きの半分未満で、ハウジングの高さのほぼ全体にわたって延びており、ハウジングの幅の約４分の１にわたって凹んでいる。後ろに向いた面５６は、背面パネル２６と平行な関係にあり、横方向面５４の前側の縁から側面パネル２０の縁６０に延びている。第３の空隙用パネル６２は、上側に向いており、空隙の底部となる。
【００１６】
複数の電気コネクタ６４、６６、７０が横方向面５４に設けられている。これら電気コネクタは、パーソナル・コンピュータに共通の種々の形式であり、多ピン直列ポートでシャシーに取り付けられたコネクタ６４、６６が含まれる。また、これら電気コネクタ６４、６６は、プリンタ、他の電子機器、外部モニタ、コンピュータ、又はネットワークに接続されているケーブルとの間で両立性のあるコネクタと接続される。他のコネクタは、マウス又は他の入力装置の如き周辺機器に接続されるケーブル・ターミナルを受ける。背面パネル２６には、電源ソケット７２と、ＢＮＣケーブルと接続される追加の高速信号用コネクタ７４も設けられる。回転するハンドル７６を縁６０に設け、空隙内にしまい込めるようにしてもよいし、電子機器を運搬するために開いてもよい。
【００１７】
図３は、図１に示す本発明の好適な実施例を図２の線３−３に沿った断面図である。この図３は、オシロスコープ１０の内部回路の一部を示している。マザーボード８０は、背面パネル２６の近傍で、平行な関係で位置決めされている。電源装置８１は、背面パネル２６及び右側側面パネル１６の近傍で、ハウジングの容積の一部を占めている。マザーボード８０は、電源装置８１と凹んだパネル部分の横方向面５４との間で決まる幅の全体にわたって延びている。また、マザーボード８０は、パーソナル・コンピュータと同じ方法で接続されたコンポーネントを含んでいる。これらコンポーネントには、夫々水平方向となったマイクロプロセッサ８２や、１個以上のボード・スロット・コネクタ８４があり、また、いくつかの入力／出力の電気コネクタ６４、６６は、上述の如く、外部要素と接続される。ＰＣＩボード８６は、導電エッジ接点８８を有する回路基板であり、この導電エッジ接点８８は、マザーボード８０のスロット・コネクタ８４を受け、かかるコネクタ８４に接続される。このＰＣＩボード８６は、オシロスコープ回路や、他の回路を含んでもよいし、他の回路との接続を含んでもよい。
【００１８】
ケーブル９０及び９２は、コネクタ６４及び６６に接続され、同様に、他のケーブル（図示せず）も空隙内の他のコネクタに接続される。各ケーブルは、ターミナル・ハウジング９４を有し、このターミナル・ハウジングは、オシロスコープの各コネクタに機械的に接続される強固な本体である。ラック・マウントの場合、各ケーブル用ターミナル・ハウジング９４は、包絡線４４及び空隙５２内に完全に収まり、ケーブルは、各ハウジングから延び、空隙内に収まる。ケーブルに対して、充分な半径で折り曲げるのに適切な空間を設けて、左側面パネル２０の平面内の包絡線からケーブルが外に出ないようにして、ラック・マウントの側部に対していかなる妨害もしないようにする。これにより、オシロスコープをラック・マウントに挿入した際に、ケーブルの損傷や干渉を防止できる。オシロスコープを背面の壁又は仕切に対して配置する作業台上でのアプリケーションにおいて、かかるオシロスコープを用いた際のケーブルの位置を点線９０’及び９２’により示す。この場合、ケーブルは、背面パネルの仮想延長面と交差することなく、コネクタから左側に延びる。
【００１９】
本発明の好適実施例において、ハウジング１０は、ノブ、脚部や、他のわずかな突起部を除いた場合、高さが２５．４センチ（１０インチ）で、幅が４３．１８センチ（１７インチ）で、奥行きが２５．４センチ（１０インチ）である。これにより、奥行きに対する幅の比が１．７となる。なお、底面パネルの側部パネルに平行に従来の如く配置したＰＣプロセッサ及びマザーボードを有する典型的なオシロスコープでは、奥行きに対する幅の比が約１．０である。すなわち、本発明では、従来のオシロスコープよりも、幅に対して奥行きを大幅に短くできる（幅が同じならば、奥行きを短くできる）。なお、空隙は、高さが２１．５９センチ（８．５インチ）で、幅が８．２５５センチ（３．２５インチ）で、奥行きが１０．１６センチ（４インチ）である。マザーボードの大きさは、高さが２４．７６５センチ（９．７５インチ）で、幅が２４．１３センチ（９．５インチ）である。
【００２０】
上述は、本発明の好適な実施例について説明したが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱することとなく種々の変形変更が可能である。
【００２１】
【発明の効果】
上述の如く本発明によれば、電子機器の奥行きを幅に対して大幅に短くでき、即ち、奥行きを短くできる。よって、この電子機器を作業台で使用する際、電子機器の場所をとらない。また、電子機器の電気コネクタに接続されるケーブルが側面からはみ出さないので、電子機器をラック・マウントに取り付けて使用するのに適する。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の好適な実施例を正面から見た斜視図である。
【図２】図１に示す本発明の好適な実施例を背面から見た斜視図である。
【図３】図１に示す本発明の好適な実施例を図２の線３−３に沿った断面図である。
【符号の説明】
１０ オシロスコープ（電子機器）
１２ ハウジング
１４ 前面パネル
１６ 右側面パネル
２０ 左側面パネル
２２ 上面パネル
２６ 背面パネル
３０ 表示スクリーン
３２ 制御インタフェース・パネル
３４ ボタン及び制御ノブ
３６ プローブ接続パネル
３８ コネクタ
４０ プローブ
４２ 被試験装置
４４ 包絡線
４６ 脚部
５０ ケーブル巻き取り案内部
５２ 空隙（凹部）
５４ 横方向面（凹部パネル部分、第２パネル部分又は空隙面部分）
５６ 後ろに向いた面
６０ 縁
６２ 空隙用パネル
６４、６６、７０、７４ 電気コネクタ
７２ 電源ソケット
７６ ハンドル
８０ マザーボード
８１ 電源装置
８２ マイクロプロセッサ
８４ ボード・スロット・コネクタ
８６ ＰＣＩボード
８８ 接点
９０、９２ ケーブル
９４ ターミナル・ハウジング

Claims (1)

1. 矩形本体のハウジングを具え、
   該ハウジングは、表示スクリーンを有する前面パネルを具えると共に、該前面パネルから背面パネルに直角に延びる対向する側面パネルを具え、
   上記背面パネルの近傍で上記ハウジングのコーナーに、互いに直角な３個の面から成り、該面の１個が上記前面パネルに直角且つ上記側面パネルに平行である凹部を有し、
   上記前面パネルに直角且つ上記側面パネルに平行である上記凹部の面に電気コネクタを有し、
   上記前面パネルに平行な上記凹部の面にハンドルを有し、
   該ハンドルは、回転可能であり、上記凹部にしまい込めると共に運搬用に開く
   ことを特徴とする電子機器。

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