JP4010639B2 - 往復動式真空ポンプ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は往復動式真空ポンプに関するものであり、更に詳しくは、油回転ポンプに代わるドライポンプとして使用し得る真空ポンプに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、真空はあらゆる工業分野で利用されているが、大気圧から排気して圧力1Pa程度の真空を発生させるために使用される粗引きポンプは大部分が油回転ポンプである。しかし、油回転ポンプには高真空側へ油蒸気が逆流して真空系の質を低下させるという欠点があることから、最近では油回転ポンプに代わり、油やグリースを使用しないドライポンプが提案され、その一部は商品化されている。
【0003】
提案されているドライポンプのうち、往復動ポンプにはピストン・ポンプ、ダイヤフラム・ポンプ、ベローズ・ポンプ等がある。ピストン・ポンプは吸気弁と排気弁を備えたシリンダー内でピストンを往復動させて低圧側のガスを高圧側へ圧縮移送するポンプである。ダイヤフラム・ポンプはピストンの代わりに薄い弾性体からなる浅い椀状のダイヤフラムを往復動させ、これと筐体とで囲まれた容積を変化させてポンプ作用を行わせるものである。ダイヤフラム・ポンプは摺動部を必要としないが、一般的には容積変化量を大きく取ることは困難である。本願出願人の出願による特願平9ー344057号に係る「ベローズ・ポンプ」において、本発明者等が開示したベローズ・ポンプは摺動部がなく、1回の往復動で移送できる容積がダイヤフラム・ポンプよりも格段に大きいことを特徴とするものである。
【0004】
往復動式の真空ポンプは一般的には複数個のポンプ室を連結して所定の到達圧力を得るように作製されているが、各ポンプ室の吸気口と排気口には逆流を防ぐための弁が不可欠である。しかし、これらに使用されている弁の多くはガスの圧力差で開閉する方式のものであり、数百Pa程度以下の圧力では開閉しなくなる。そのため、通常、この種の弁を使用した往復動式真空ポンプの到達圧力は数百Pa程度である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述のベローズ・ポンプや一部の往復動式真空ポンプでは、数百Pa程度以下でも弁が開閉するように、ベローズやピストンの往復動に同期させて開閉を外力で駆動する方式の弁が採用されている。その駆動にはカム等を利用した機械的方式やコイルと鉄心を組み合わせた電磁的方式があるが、いずれも大型化したりコストがかさむという嫌いがあった。
【0006】
本発明は上述の問題に鑑みてなされ、小型、低コストで、数百Pa以下の低圧力においても確実に開閉する弁を備えたドライタイプの往復動式真空ポンプを提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は請求項1の構成によって解決されるが、その解決手段を実施の形態によって例示すれば、図1は図示されていない駆動機構によって内容積が拡大、縮小されるポンプ室10の吸気開始時(ベローズの拡大開始時)における吸気口12部分の断面図、図2はポンプ室10の排気開始時(ベローズの縮小開始時)における吸気口12部分の断面図であり、図3は図1における[3]−[3]線方向の断面図、図4は図1における[4]−[4]線方向の断面図である。
【0008】
ポンプ室10の吸気口12が設けられている側壁板11には、図3を参照して、5個の扇形開口13が円形状に、またその中央部には後述の弁本体41のストッパー14が5本の脚部14aと共に形成されており、この側壁板11に弁本体41を備えた吸気弁20が取り付けられている。すなわち、吸気弁20は取付短管部21と弁体駆動部31とからなっており、取付短管部21のフランジ22がシール部材Rを介してポンプ室10の側壁板11にボルト21bで取り付けられている。そして、図4を参照して、取付短管部21のフランジ22には5個の扇形開口23が円形状に、かつ上記の側壁板11の扇形開口13と角度位置を整合させて形成されており、その中央部にはガイド孔25を備えたガイド部24が5本の脚部24aと共に形成されており、円形状に形成された5個の扇形開口23の外周部は後述の弁板42の弁座26となっている。
【0009】
弁本体41は円板状の弁板42と、そのシャフト43とからなり、極めて軽量に作製されている。シャフト43は上記のガイド部24の中央のガイド孔25を貫通し、シャフト43の下端は弁体駆動部31内において円筒形状のボビン44の上端の陣笠部44aの先端に固定され、ボビン44は弁体駆動部31のフランジ32に外周部が固定されている環状の磁気回路保持金具33と、ボビン44の陣笠部44aの外周部との間に取り付けられた環状のサスペンション45で支持されている。そして、ボビン44の外周面にはムービング・コイル46が巻装されている。また、磁気回路保持金具33の内周縁部の下面には、軟鉄からなる環状のヨーク48、環状の永久磁石47、およびボビン44内へその上部が遊挿された円筒部と底面板部とからなる軟鉄のヨーク49によって形成され磁気回路が取り付けられており、磁気回路の磁束はムービング・コイル46と交叉する位置関係にある。
【0010】
そして、図1に示すように、ポンプ室10の吸気開始時には弁板42が弁座26から上方へ離れて吸気弁20は開となり、ガスがフランジ22の扇形開口23、側壁板11の扇形開口13を上方へ通過し、また、図2に示すように、ポンプ室10の排気開始時には弁板42が下方の弁座26へ押し付けられて吸気弁20は閉となるが、この吸気弁20の開閉は、弁板42の上下における圧力差が大である場合には主として圧力差で行われ、圧力差が小である場合には、上記の圧力差による弁板42の移動の方向と同一方向に移動するように、ポンプ室10の内容積の拡大、縮小に同期してムービング・コイル46に向きを変えて流される直流と、永久磁石47による磁気回路の磁束とによって発生する電磁気的な力によって行われる。これらのことは排気弁60についてもほぼ同様である。
【0011】
このようにして、本発明の往復動式真空ポンプは、吸気口12の吸気弁20、および排気口15の排気弁60が105 Pa(大気圧)から1Paまでの全領域において、十分に大きい駆動力によって開閉可能となっている。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態による往復動式真空ポンプについて、図面を参照して具体的に説明する。
【0013】
図9はポンプ室(ベローズ)10の斜視図、図10は図9のポンプ室10を横転させた場合の斜視図であり、ポンプ室10は近似的な12面体から構成されている。ポンプ室10の側壁板11には吸気口12、排気口15が形成されており、それらには図示を省略した吸気弁20、排気弁60が取り付けられている。そして図示しない駆動機構によってポンプ室10の内容積が拡大、縮小されてポンプ作用を行う。
【0014】
図1はポンプ室10の吸気開始時(ベローズの拡大開始時)における吸気口12部分の断面図、図2は排気開始時(ベローズの縮小開始時)における吸気口12部分の断面図であり、図3は図1における[3]−[3]線方向の断面図、図4は図1における[4]−[4]線方向の断面図である。
【0015】
ポンプ室10は、図1、図2を参照して、固定された側壁板11に対して、他方の側壁板19が図示しない駆動機構によって回動中心Oの回りに回動されて内容積の拡大、縮小が行われる。それに伴って屈曲する回動中心Oに近いコーナー部16、これと対向する畳み込み面17はウレタンゴムで作製され、側壁板11、19、および畳み込み面17の補強板18はアルミニウム合金で作製されており、両者は接合部において接着剤で強固かつ気密に接合されている。この場合、ウレタンゴムに代えてフッ素ゴムやエチレン・プロピレンゴム、ないしは超高分子量ポリエチレンとしてもよく、またアルミニウム合金に代えてステンレス鋼、チタン、耐蝕性のニッケル合金、ないしは高強度樹脂(エンジニアリングプラスチックス)としてもよい。使用目的に応じて最も適切な材料が選択される。
【0016】
吸気口12が形成されているポンプ室10の側壁板11には、図3を参照して、5個の扇形開口13が円形状に、またその中央部には後述の弁本体41のストッパー14が5本の脚部14aと共に形成されており、この側壁板11に弁本体41を備えた吸気弁20が取り付けられている。すなわち、吸気弁20は取付短管部21と弁体駆動部31とからなっており、取付短管部21のフランジ22がシール部材Rを介してポンプ室10の側壁板11にボルト21bで取り付けられている。また、取付短管部21の下方のフランジ29に対して弁体駆動部31のフランジ32が後述の環状の磁気回路保持部33の外周縁部を間に挟み、その上下のシール部材Rと共にボルト31bで固定されている。そして、図4を参照して、取付短管部21のフランジ22には5個の扇形開口23が円形状に、かつ上記の側壁板11の扇形開口13と角度位置を整合させて形成されている。そして、その中央部にはガイド孔25を備えたガイド部24が5本の脚部24aと共に形成されており、5個の扇形開口23の外周部は後述の弁板42の弁座26となっている。
【0017】
図1、図2を参照し、弁本体41は円板状の弁板42と、そのシャフト43とからなり、極めて軽量に作製されている。すなわち、弁板42は厚さ0.5mmのニトリルゴムで作製され、シャフト43はC・Cコンポジット(炭素繊維・炭素複合材料)のロッドで作製されているが、勿論、これら以外の材料で作製したものであってもよい。またシャフト43は中空パイプとしてもよい。シャフト43は上記のガイド部24の中央のガイド孔25を貫通し、シャフト43の下端は弁体駆動部31内において円筒形状のボビン44の上端陣笠部44aの先端に固定されている。
【0018】
ボビン44は厚さ0.05mmのポリイミド・フィルムを直径20mmの円筒形に成形されたものであり、その外周面にポリイミド被覆アルミニウム・ワイヤからなるムービング・コイル46が50ターン1層に巻かれて、接着剤で固定されている。勿論、ボビン44やムービング・コイル46はこれ以外の材料で作製されたものであってもよい。ムービング・コイル46のリード線は図示を省略したが、弁体駆動部31の側壁に設けた導入端子に接続されている。そして、上述した弁板42、シャフト43、ボビン44、ムービング・コイル46等を含む可動部の総質量は約1.2gとなっている。
【0019】
更には、ボビン44の軸心を取付短管部21、弁体駆動部31の軸心と一致させるために、弁体駆動部31のフランジ32によって固定された環状の磁気回路保持金具33の外周部とボビン44の陣笠部44aの外周部との間に環状のサスペンション45が取り付けられてボビン44を保持している。サスペンション45は繊維補強樹脂からなる‘ひだ’付薄板であり、極めて小さい力で上下方向に変形し得るようになっているが、これを弾性率の小さい薄い金属板としてもよい。なお、図示されていないが、サスペンション45、および磁気回路保持金具33には、それらの機能を損なわない程度にガスの通路としての複数の開口が形成されている。
【0020】
また、磁気回路保持金具33の内周縁部の下面には、軟鉄からなる環状のヨーク48、環状のフェライトからなる永久磁石47、およびボビン44内へその上部が遊挿された円筒部と底面板部とからなる軟鉄のヨーク49によって形成され磁気回路が取り付けられている。永久磁石47はフェライト磁石以外の希土類含有磁石としてもよい。なお、ムービング・コイル46の巻装されたボビン44が入る磁気回路のギャップの幅は1mmとされており、磁気回路の磁束はムービング・コイル46と直交する位置関係にある。
【0021】
そして、図1に示すように、ポンプ室10の吸気開始時には弁板42が弁座26から上方へ離れて吸気弁20は開となり、ガスがフランジ22の扇形開口23、側壁板11の扇形開口13を上方へ流れ、また図2に示すように、ポンプ室10の排気開始時には弁板42が下方の弁座26へ押し付けられて吸気弁20は閉となるが、この吸気弁20の開閉は、弁板42の上下における圧力差が大である場合には主として圧力差で行われ、圧力差が小である場合には、上記の圧力差による弁板42の移動の方向と同一方向に移動するように、ポンプ室10の内容積の拡大、縮小に同期してムービング・コイル46に向きを変えて流される直流と、永久磁石47による磁気回路の磁束とによって発生する電磁気的な力によって行われる。そのために、図示せずとも、ポンプ室10の内容積の拡大、縮小に応じてムービング・コイル46に流す直流の向きを切り換える電気回路が取り付けられている。
【0022】
すなわち、大気圧から数百Paまでの圧力範囲では、弁板42、シャフト43、ムービング・コイル46の巻装されたボビン44を含めた可動部分の重量は上述したように極めて軽量に作製されているので、弁板42の上下に生じる圧力差によって弁本体41は容易に開閉する。例えば、弁座26が形成されるフランジ22の5個の扇形開口23の面積の総和をSm2とし、弁本体41が閉の時の弁板42の上下の圧力差がΔpPa(パスカル)であるとすると、弁板42には(式1)で与えられる力F1 N(ニュートン)が加わる。
1 = ΔpS (式1)
通常の往復動式ドライポンプではSは(1〜3)×10-4 2 であるから、Δpが103 Paの時には、弁板42に(1〜3)×10-1 Nの力が作用する。もし、弁板42、シャフト43、ムービング・コイル46の巻装されたボビン44を含めた可動部分の総質量を(1〜3)×10-3 kgにすることができれば、弁板42にかかる力はおよそ(1〜3)×10-2 Nであり、この値は上記の圧力差から弁板42に作用する力のおよそ1/10である。このことから、圧力が大気圧から数百Paまでの範囲内にあれば弁本体41は圧力差によって容易に開閉することがわかる。
【0023】
一方、数百Pa以下の圧力では圧力差による開閉は期待できず、ムービング・コイル46へ流される直流と磁気回路の磁束とに基づく電磁気的な力によって開閉される。図1、図2を参照して、永久磁石47、ヨーク48、49の磁気回路によって形成される磁束密度BT(テスラー)の磁場の中に、直径Dm、巻きターン数nのムービング・コイル46が置かれており、ムービング・コイル46にIA(アンペア)の直流電流を流すと、ムービング・コイル46には磁場の方向と電流の方向とに直角な方向に(式2)で与えられる力F2 N(ニュートン)が発生する。
2 = πnDIB (式2)
いま、B=0.2T、D=2×10-2 m、n=50、I=0.5Aとすると、
2 = π×50×(2×10-2 )×0.5×0.2
= 0.314
すなわち、ムービング・コイル46には0.314Nの力が発生することになる。これはΔpが103 Paの時に弁板42に作用する力と同程度の力である。
【0024】
図11はS=3×10-4 2 と仮定した場合における、弁板42の上下両側の圧力差Δpを横軸とし、弁板42に作用する力Fを縦軸として示す図である。すなわち、弁板42には図11に実線で示すような力が作用し、105 Pa(大気圧)〜1Paの全領域で弁板42、シャフト43等の重量よりも十分に大きい駆動力が働く。すなわち、弁板42は、圧力差Δpが103 Paよりも大である場合(高圧側)には主として圧力差Δpによって生じる力で開閉され、圧力差Δpが103 Paよりも小であり、圧力差Δpによっては開閉されない場合(低圧側)には、主としてムービング・コイル46に発生する電磁気的な力によって開閉される。
【0025】
また、図5はポンプ室10の吸気開始時(ベローズの拡大開始時)における排気口15部分の断面図、図6は排気開始時(ベローズの縮小開始期)における排気口15部分の断面図であり、図7は図5における[7]−[7]線方向の断面図、図8は図5における[8]−[8]線方向の断面図である。
【0026】
ポンプ室10の排気口15の排気弁60は吸気口12の吸気弁20とは細部において異なるが基本的には同様に構成され、各構成要素も同様な材料で作製されている。図5、図6を参照して、排気口15が形成されている側壁板11には図7を参照して、5個の扇形開口53が円形状に、またその中央部には後述の弁本体81のストッパー54が5本の脚部54aと共に形成されており、円形状に形成された5個の扇形開口53の外周部は後述の弁板82の弁座56となっている。そして、この側壁板11に弁本体81を備えた排気弁60が取り付けられている。
【0027】
すなわち、排気弁60は取付短管部61と弁体駆動部71とからなっており、取付短管部61のフランジ62がシール部材Rを介してポンプ室10の側壁板11にボルト61bで取り付けられている。また、取付短管部61の下方のフランジ69に対して弁体駆動部71のフランジ72が後述の環状の磁気回路保持金具73の外周縁部を挟み、その上下のシール部材Rと共にボルト71bで固定されている。そして、図8を参照して、取付短管部61のフランジ62には5個の扇形開口63が円形状に、かつ上記の側壁板11の扇形開口53と角度位置を整合させて形成されており、その中央部にはガイド孔65を備えたガイド部64が5本の脚部64aと共に形成されている。
【0028】
図5、図6を参照して、弁本体81は円板状の弁板82と、そのシャフト83とからなり、シャフト83は上記のガイド部64の中央のガイド孔65を貫通し、シャフト83の下端は弁体駆動部71内において円筒形状のボビン84の上端陣笠部84aの先端に固定されている。ボビン84の外周面にポリイミド被覆アルミニウム・ワイヤからなるムービング・コイル86が50ターン1層に巻かれて、接着剤で固定されている。また、ムービング・コイル86のリード線は図示を省略したが、弁体駆動部71の側壁に設けた導入端子に接続されている。そして、上述した弁板82、シャフト83、ムービング・コイル86の巻装されたボビン84を含めた可動部分の重量も吸気弁20の場合と同様に極めて軽量に作製されている。
【0029】
更には、ボビン84の軸心を取付短管部61、弁体駆動部71の軸心と一致させるために、弁体駆動部71のフランジ72によって固定された環状の磁気回路保持金具73の外周部とボビン84の上端陣笠部84aの外周部との間に環状のサスペンション85が取り付けられてボビン84を支持している。なお、サスペンション85、および磁気回路保持金具73には、それらの機能を損なわない程度にガスの通路としての複数の開口が形成されている。
【0030】
また、磁気回路保持金具73の内周縁部の下面には、軟鉄からなる環状のヨーク88、環状のフェライトからなる永久磁石87、およびボビン84内へその上部が遊挿された円筒部と底面板部とからなる軟鉄のヨーク89によって形成される磁気回路が保持されている。なお、ムービング・コイル86の巻装されたボビン84が入る磁気回路のギャップの幅は1mmとされており、磁気回路の磁束はムービング・コイル86と直交する位置関係にある。
【0031】
そして、図5に示すように、ポンプ室10の吸気開始時には弁板82が弁座56へ押し付けられて排気弁60は閉となり、図6に示すように、ポンプ室10の排気開始時には弁板82が弁座56から下方へ離れて排気弁60は開となり、ガスが側壁板11の扇形開口53、フランジ62の扇形開口63を下方へ流れるが、この排気弁60の開閉も、前述の吸気弁20におけると同様に、弁板82の上下における圧力差が大である場合には主として圧力差で行われ、圧力差が小である場合には、上記の圧力差による弁板82の移動の方向と同一方向に移動するように、ポンプ室10の内容積の拡大、縮小に同期してムービング・コイル86に流される直流と、永久磁石87による磁気回路の磁束とによって発生する電磁気的な力によって行われる。
【0032】
吸気弁20、排気弁60は上述したように105 Paから1Paまでの範囲内で開閉が可能となっているが、ポンプ室10の内容積は拡大時に0.6リットルから縮小時に0.03リットルであり、その圧縮比は20となっている。従ってポンプ室10単独では大気圧105 Paからの到達真空度は5×103 Pa程度である。しかし、このようなポンプ室10の4個を直列に連結した真空ポンプ、すなわち、隣接する上流側のポンプ室101 の排気口151 を下流側のポンプ室102 の吸気口122 に連結した真空ポンプを、一方のポンプ室101 が内容積の拡大期にある時は、他方のポンプ室102 は内容積の縮小期にあるように作動させることにより、到達真空度1Paの真空ポンプとなり、油回転ポンプに十分に代替可能能力を示すようになる。
【0033】
本発明の実施の形態の往復動式真空ポンプは以上のように構成され作用するが、勿論、本発明はこれに限られることなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
【0034】
例えば本実施の形態においては、ポンプ室10の側面板11に吸気口12と排気口15とを備えたものを例示したが、吸気口12と排気口15との何れか一方を側壁板19に設けるようにしてもよい。
【0035】
また本実施の形態においては、ポンプ室10の圧縮比が20である場合を例示したが、圧縮比が20より小であってもまた大であってもよいことは言うまでもない。
【0036】
また本実施の形態においては、側壁板11に扇形開口13、53をそれぞれ5個、およびフランジ22に扇形開口23、フランジ62扇形開口63をそれぞれ5個ずつ形成させたが、これらの開口の形状、個数、および位置は実施の形態に限られることなく任意に設定される。
【0037】
また本実施の形態においては、複数のポンプ室10を直列に連結し場合の大気に近い圧力で運転されるポンプ室10の吸気弁20、排気弁60のムービング・コイル46、86にも直流を流す場合を説明したが、103 Paより高い圧力でのみ運転されることが明らかな場合には、電流を遮断するような機構を設けてもよく、また、圧力センサーの検出値によって直流電流をオン・オフするような制御部を設けてもよい。
【0038】
また本実施の形態においては、ポンプ室10が単独の往復動式真空ポンプ、およびポンプ室10を直列に連結した往復動式真空ポンプを示したが、ポンプ室10を並列に接続した往復動式真空ポンプとしてもよい。
【0039】
【発明の効果】
本発明は以上に説明したような形態で実施され、次に記載するような効果を奏する。
【0040】
本発明の往復動式真空ポンプはムービング・コイルによってポンプ室の内容積の拡大、縮小に同期させて開閉される吸気弁、排気弁を備えているので、数百Pa以下の低圧力においても弁の開閉が確実に行われ、105Pa〜1Paの全領域において駆動か可能である。従って、これらのポンプ室を直列に連結することにより、また圧縮比を大にした場合には単独で油回転ポンプに代わり得る、小型、低コストで到達真空度1Pa程度のドライ型の真空ポンプが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ポンプ室の吸気開始時における吸気口部分の断面図である。
【図2】 ポンプ室の排気開始時における吸気口部分の断面図である。
【図3】 図1における[3]−[3]線方向の断面図である。
【図4】 図1における[4]−[4]線方向の断面図である。
【図5】 ポンプ室の吸気開始時における排気口部分の断面図である。
【図6】 ポンプ室の排気開始時における排気口部分の断面図である。
【図7】 図5における[7]−[7]線方向の断面図である。
【図8】 図5における[8]−[8]線方向の断面図である。
【図9】 ポンプ室の斜視図である。
【図10】 図9のポンプ室を横転させた斜視図である。
【図11】 弁板の上下両側の圧力差と弁板に作用する力との関係を示す図である。
【符号の説明】
10 ポンプ室
11 側壁板
12 吸気口
13 扇形開口
14 ストッパー
15 排気口
20 吸気弁
21 取付短管部
22 フランジ
23 扇形開口
24 ガイド部
25 ガイド孔
26 弁座
31 弁体駆動部
33 磁気回路保持金具
41 弁本体
42 弁板
43 シャフト
44 ボビン
45 サスペンション
46 ムービング・コイル
47 永久磁石
48 ヨーク
49 ヨーク
53 扇形開口
55 ガイド孔
56 弁座
60 排気弁
61 取付短管部
63 扇形開口
64 ガイド部
65 ガイド孔
71 弁体駆動部
73 磁気回路保持金具
81 弁本体
82 弁板
83 シャフト
84 ボビン
85 サスペンション
86 ムービング・コイル
87 永久磁石
88 ヨーク
89 ヨーク

Claims (5)

  1. 吸気口および排気口と、回動される側壁板および回動の中心に対向する畳み込み面を有し外力によって内容積が拡大、縮小されるポンプ室を備えた往復動式真空ポンプであって、前記吸気口に取り付けられる吸気弁および前記排気口に取り付けられる排気弁の弁本体は、前記吸気口または前記排気口を開閉する弁板と、該弁板に一端を接合されたシャフトとからなり、前記シャフトの他端はシャフトと同一の軸心を有するほぼ円筒形状のボビンに接合されており前記弁板の両面間の圧力差が所定の値より小さい場合に前記弁板を開閉させる駆動部として、磁場形成用永久磁石と、前記ボビンの周面上の前記永久磁石に近接した位置に巻装されたムービング・コイルが設けられていることを特徴とする往復動式真空ポンプ。
  2. 前記シャフトを前記吸気弁においては、前記ポンプ室の内容積の拡大期に前記吸気口を開とする方向、縮小期に前記吸気口を閉とする方向へ移動させ前記排気弁においては、前記ポンプ室の内容積の拡大期に前記排気口を閉とする方向、縮小期に前記排気口を開とする方向へ移動させるように前記ムービング・コイルに通電する直流の方向を前記ポンプ室の内容積の拡大、縮小に同期して切り換えるように構成されている請求項1に記載の往復動式真空ポンプ。
  3. 前記ボビンは、前記永久磁石を固定している静止部と前記ボビンの外周部との間に設けられたひだ付き薄板からなるサスペンションに保持されている請求項1または請求項2に記載の往復動式真空ポンプ。
  4. 前記往復動式真空ポンプの複数基が直列に接続されて、隣接する上流側の前記往復動式真空ポンプの前記排気弁からの排気が下流側の前記往復動式真空ポンプの前記吸気弁へ吸入されるようになっており、かつ上流側の前記往復動式真空ポンプが内容積の縮小期にある時には下流側の前記往復動式真空ポンプは内容積の拡大期にあるように相互に逆位相に作動される請求項1から請求項3までの何れかに記載の往復動式真空ポンプ。
  5. 前記ポンプ室が、一方の側壁板と他方の側壁板との接合部を回動の中心側とし、前記回動の中心と対向する前記畳み込み面を挟んで、前記一方の側壁板を前記他方の側壁板の方へ近接させ、離隔させるように回動させて内容積の拡大、縮小を行う三角筒形状のポンプ室である請求項1から請求項4までの何れかに記載の往復動式真空ポンプ。
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