JP4010362B2 - 量子チューリング機械 - Google Patents

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    • G06N10/00Quantum computing, i.e. information processing based on quantum-mechanical phenomena

Description

本発明は、超伝導体を用いて形成した量子チューリング機械に関するものである。
複数の超伝導秩序パラメーター間の位相差をエレクトロニクスに応用する手法として、複数種類の超伝導電子間に生じる位相差ソリトンを利用することを特徴とする超伝導エレクトロニクスについては、すでに、本発明に先立ち、下記の特許文献1(以下、「前発明」という)に開示されている。
特開2003−209301公報
一方、量子チューリング機械においては、種々の量子ビットが考案されている。代表的なものとして、核スピンを使う方法や、原子のエネルギー準位を使う方法がある。また、半導体による人工原子を作成することも試みられている。通常の超伝導体による量子ビットも提案されている。
前発明において、情報ビットとなるバンド間位相差ソリトンSは、繋がっている回路上に遍在するため、その操作が煩雑であった。これを、空間的に狭い領域に閉じ込め、ビット操作を容易にする必要がある。
また前発明においては、量子重ね合わせ状態を作り量子ビットを構成する方法は提供したが、この量子ビットを使って、量子チューリング機械を構成するための、基本的な演算方法は提供されていなかった。
現在までに、量子チューリング機械を作るために提案されている量子ビットにおいては、提案されているいずれの方法も、現在のテクノロジーでは、多ビット化が困難であり、実用化には100年以上がかかるとされている。
また、超伝導等の巨視的量子状態を使わない量子ビットでは、量子チューリング機械を機能させるための重ね合わせ状態が、外界との相互作用によって崩壊しやすく、量子チューリング機械を使って、量子アルゴリズムを実行するのに十分な時間を得ることが出来ない。
この発明は上記に鑑み提案されたもので、量子ビットの構成を容易に行うことができ、基本的な論理演算も確実に実行することができ、また多ビット化が可能であり、さらに量子アルゴリズムを実行するのに十分な時間を確保することができる量子チューリング機械を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、超伝導体を用いて形成した量子チューリング機械において、上記超伝導体の複数のバンドの各々に存在する、複数種類の超伝導電子間に生じる位相差ソリトンを利用して作った量子ビットで構成し、上記量子ビットは、上記超伝導体で形成した線状回路本体と、上記線状回路本体の少なくとも2箇所に径を細くして形成した井戸状部分と、を備える線状回路に、位相差ソリトンを局在化させることで構成する、ことを特徴としている。
また、請求項に記載の発明は、超伝導体を用いて形成した量子チューリング機械において、上記超伝導体の複数のバンドの各々に存在する、複数種類の超伝導電子間に生じる位相差ソリトンを利用して作った量子ビットで構成し、上記量子ビットは、上記超伝導体で形成したリング本体と、上記リング本体の少なくとも2箇所に径を細くして形成した井戸状部分と、を備えるリングに、位相差ソリトンを局在化させることで構成する、ことを特徴としている。
さらに、請求項に記載の発明は、上記した請求項に記載の発明の構成に加えて、上記2つの井戸状部分のうち、第1の井戸状部分をその一部に有する第1の補助リングをリングに付加し、第2の井戸状部分をその一部に有する第2の補助リングをリングに付加するとともに、リングと第1の補助リングと第2の補助リングの各々にスイッチを設けて量子ビットを構成する、ことを特徴としている。
また、請求項に記載の発明は、上記した請求項に記載の発明の構成に加えて、上記リングに位相差ソリトンを局在させ、第1の補助リングおよび第2の補助リングの各スイッチの操作により、量子ビットのユニタリ変換を実現する、ことを特徴としている。
また、請求項に記載の発明は、上記した請求項に記載の発明の構成に加えて、上記量子ビットのユニタリ変換は、先ずリングの中に、位相差ソリトンによる位相スリップに相当する磁場をかけながらそのリングのスイッチをオンしてリングに位相差ソリトンを作り、次に第1、第2の補助リングの何れか一方の選択補助リングのスイッチをオンし、その選択補助リングの中に外場としての磁束を入れ、その後選択補助リングのスイッチをオフし、所定時間経過後再度オンすることにより行われる、ことを特徴としている。
請求項に記載の発明は、上記した請求項に記載の発明の構成に加えて、上記量子ビットを2つ並列に配置し、一方の量子ビットの第1の補助リングに、スイッチを備えたバランスリングを重ね合わせ、さらに一方の量子ビットの第2の補助リングと他方の量子ビットの第2の補助リングとの双方に渡って、スイッチを備えた相互作用リングを重ね合わせて、2量子ビット間の制御NOTゲートを構成する、ことを特徴としている。
また、請求項に記載の発明は、上記した請求項に記載の発明の構成に加えて、上記2量子ビット間の制御NOTの演算は、先ず2つの量子ビットの各リングの中に、位相差ソリトンによる位相スリップに相当する磁場をかけながらその各リングのスイッチをオンして位相差ソリトンを作り、その後相互作用リングのスイッチをオンすることにより実行される、ことを特徴としている。
この発明の量子チューリング機械では、超伝導の電線の形状を工夫することで、複数の超伝導秩序パラメーターを持つ超伝導体にソリトンSを局在化させることができ、ビット操作が簡単になり、量子ビットの構成を容易に行うことができる。また、基本的な論理演算処理を確実に実行させることができる。また、多ビット化、集積化が可能である。さらに超伝導という巨視的量子状態を使うことにより、コヒーレンスを保ちやすく、量子アルゴリズムを実行するのに十分な時間を確保することができる。
以下にこの発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
この発明では、超伝導体の複数のバンドの各々に存在する超伝導秩序パラメーター間の位相差を利用して作った量子ビットで、量子チューリング機械を構成している。この超伝導秩序パラメータ間の位相差の利用は、ここでは例えば複数種類の超伝導電子間に生じる位相差ソリトンSの利用である。
先ず、この位相差ソリトンSを局在させる構成について説明する。図1(a)に示すように、複数のバンドを有する超伝導体で作ったリングRが、スイッチSWによって開閉できるようにしておく。複数のバンドを有する超伝導体としてはCuxBa2Ca3CuOy等がある。
バンド間位相差ソリトンSによる位相スリップΘsolitonに相当する磁場ΦsolitonをかけながらスイッチSWをオンすると、リングRにソリトンSが発生する(図1(b))。ここで、ソリトンSは矢印で示す。位相のずれる方向を矢印の向きで示した。
このようにして作ったソリトンSは、リングRの中のどこにいてもエネルギーは同じなので、リングRの中に遍在する。その存在確率は、量子力学的確率分布に従う。
次に、ソリトンSを局在化させるための形状の工夫の一例を示す。図1では、回路(リング)は太さを持たない電線で書きあらわしたが、実際に回路を構成する超伝導電線は太さを持つ。図2にその電線の概念図を示す。仮に、この電線C上にソリトンSを1個置いたときには、図2(a)では、どこにソリトンSがあってもいいので、ソリトンSは遍在する。ソリトンSのエネルギーは、電線Cの断面積に比例するので、図2(b)のように電線Cに細い部分を作ると、ソリトンSはそこにはまり易くなる(局在しやすくなる)。図2(c)に、ソリトンSの感じるポテンシャルエネルギーを縦軸に、電線Cの延びている方向を横軸にして、この様子を概念的に示した。
このように、電線Cを部分的に細くする等の加工によって、ソリトンSを局在させることができる。
次に、上記のような方法で局在化させたソリトンSを使って、量子ビットを構成する例を示す。
図3(a)に示すように、電線Cに細くした部分(井戸状部分)W1,W2を、左右2箇所に作る。この電線Cの作るポテンシャルを図3(b)に図示する。ここにソリトンSを一個入れると、古典的には、左(左側の井戸状部分W1)に入るか右(右側の井戸状部分W2)に入るかどちらかになる。図4(a)と図4(b)にその様子を図示した。ここでは黒い丸でソリトンSを表した。量子力学的には、この問題は、2つの井戸型ポテンシャルを持つ系に、一つ粒子を入れた状態に相当する。ソリトンSが粒子に相当する。ソリトンSは、ポテンシャルバリアを通して、トンネルすることができる。左にソリトンSを作る生成演算子をa+ L、消滅演算子をaLとし、右にソリトンSを作る生成演算子をa+ R、消滅演算子をaRとし、トンネル確率をTA、井戸型ポテンシャルの深さを図4(a)に示すようにVL,VRとすると、この系のハミルトニアンHは、下記の式(1)のようになる。
Figure 0004010362
このようなハミルトニアンHにソリトンSを1個投入すると、量子ビットになる。ソリトンSが左にあったときの波動関数をΨL、右にあったときの波動関数をΨRとすると、この量子ビットの波動関数Ψ(t)は、次式(2)で表される。
Figure 0004010362
上記の式(2)で、cL(t),cR(t)は、時間と共に変化する係数であり、複素数でかつ次式(3)を満たしている。
Figure 0004010362
ところで、量子ビットを使って量子チューリング機械を実現する場合、その量子ビットに要求される性質は、
(1)1量子ビットに任意のユニタリ変換が施せること
(2)2量子ビットで、制御NOTゲートを構成できること
の2点である(西野哲郎著、岩波講座、物理の世界、「量子コンピューターと量子暗号」2002年3月15日発行、ISBN4−00−011159−0、第36頁参照)。この2点を満たす量子チューリング機械を、上記した局在化ソリトンSを使って構成した量子ビットで実現した。その例を以下に示す。
先ず、1量子ビットのユニタリ変換の実現法の例を示す。
図5(a)(b)に示すように、超伝導体で形成したリング本体R1と、このリング本体R1上に設けたスイッチSWと、リング本体R1の2ヶ所で径を細くして形成した部分(井戸状部分)W1,W2とでリングR0を形成した。そして、図1と同じ手法でソリトンSをリングR0上につくる。図5(b)では、ソリトンSは、井戸状部分W1,W2のどちらかに生成する。また、外場は、ずっとかけたままにしておく。この段階では、ハミルトニアンHは、上記の式(1)と同じ形を持つ。また、井戸状部分W1,W2の形状を同じにしておく。すなわち、VL=VRとする。このとき、ハミルトニアンHの固有関数Ψ(t)は、次式(4)となる。
Figure 0004010362
式(4)において、通常はスイッチオン直後(t=0)は、cA(t=0)=0である。
さて、ここで、図6に示すように、上記のリングR0の2つの井戸状部分W1,W2のうち、第1井戸状部分W1をその一部に有する第1補助リングRLをリングR0に付加し、第2井戸状部分W2をその一部に有する第2補助リングRRをリングR0に付加するとともに、第1補助リングRLと第2補助リングRRの各々にスイッチSW1,SW2を設けて量子ビットを構成する。
そして、図7に示すように、第1補助リングRLのスイッチSW1をオンにして、その第1補助リングRLの中に、外場として磁束を
Figure 0004010362
だけいれることにする。
境界条件から、リングR0の第1井戸状部分W1にソリトンSがいる場合は、次式(6)が成立し、
Figure 0004010362
第2井戸状部分W2にソリトンSがいる場合は、次式(7)が成立する。
Figure 0004010362
上記の式(6)(7)において、μLは第1補助リングRLの自己誘導係数、ILは第1補助リングRLに誘起される誘導超伝導電流、ΦsolitonはソリトンSによる位相スリップを補償するための磁束量である。
ソリトンSがある場合、
Figure 0004010362
だけエネルギーが高くなり、ソリトンSがない場合、
Figure 0004010362
だけエネルギーが高くなる。
ここで、
Figure 0004010362
とおくと、系のハミルトニアンHは、式(1)を使って、
Figure 0004010362
となる。
Figure 0004010362
となるようにすると、
Figure 0004010362
とおいてあげて、系の波動関数Ψ(t)は、
Figure 0004010362
という形になる。
上記の式(14)において、taは、第1補助リングRLのスイッチSW1をオンにした時の時刻である。
次に第1補助リングRLのスイッチSW1のオン、オフで、波動関数Ψ(t)の時間的発展がどうなるかを例をあげて説明する。
図7において、リングR0のスイッチSWをオンにした時をt=0ととる。0<t<taでは、時間的発展はなく、正確にいうと、ΨLとΨRの係数に位相差が生じないで、次式(15)が成立する。
Figure 0004010362
次にt=taの時点で、第1補助リングRLのスイッチSW1をオンにしたとする。このときの時間的発展は、
Figure 0004010362
となる。
Figure 0004010362
となる時間t=tbまで第1補助リングRLのスイッチSW1をいれておく。この時間になると
Figure 0004010362
になるので、スイッチSW1をオフにする。
t=tbにおける波動関数Ψ(t)は、次式(19)で表される。
Figure 0004010362
SW1をオフにした後の、t>tbにおける時間的発展は、再び式(4)の形に戻り、
Figure 0004010362
とおくと、
Figure 0004010362
となり、再び、t=tcに第1補助リングRLのスイッチSW1をいれてあげると、それ以降の時間的発展は、
Figure 0004010362
とおいて、
Figure 0004010362
とおいてあげて、
Figure 0004010362
となる。
α0とβは0から2πの間で任意に選べるので、上記の式(24)は、量子チューリング機械を構成要素である1量子ビットに対する、n任意のユニタリー変換を提供する。すなわち、図6、図7は量子チューリング機械を構成するための、構成要素である1量子ビットの例を提供している。右側の第2補助リングRRも同様の働きを持つことは明らかである。
次に、量子チューリング機械を作るために必要な、2量子ビットの間の制御NOTゲートの作成法を説明する。図6、図7で説明した量子ビットを量子ビットBとして、それに、あらたに、量子ビットBと同一構成の量子ビットAを付け加える。これを図8で示した。分かりやすくするために、制御NOTゲートに関係する電線のみを残してある。さらに、量子ビットA,B同士を相互作用させるための相互作用リングM、バランスリングNを用意した。
すなわち、図8に示すように、この2つの量子ビットA,Bを並列に配置し、量子ビットBの第1補助リングRLに、スイッチSW3を備えたバランスリングNを重ね合わせ、さらに量子ビットBの第2補助リングRRと量子ビットAの第2補助リングRRとの双方に渡って、スイッチSW4を備えた相互作用リングMを重ね合わせて、2量子ビット間の制御NOTゲートを構成する。
簡単のために、ここでは、相互作用リングMの自己誘導係数とバランスリングNの自己誘導係数は同じになるように設計してあるとする。その自己誘導係数をμcouplingとおく。また、量子ビットBの第1補助リングRLとバランスリングNとは電気的な絶縁をとった上で、ぴったり上下に重ね、量子ビットBの第1補助リングRLに発生した磁束のみを感じるようにしておく。
相互作用リングMとバランスリングNとはいずれも、単一のオーダーパラメータからなる超伝導体で構成し、量子ビットA,Bの補助リングRL,RR上に発生する磁束をすべて打ち消すように超伝導電流が流れるようにする。すなわち、磁束は量子ビットA、Bの各補助リングRLの中を通り、相互作用リングMの中から反発されて、その相互作用リングMの外側に抜けていく道筋を通る。
そして、2量子ビットA,B間の制御NOTの演算は、先ず2つの量子ビットA,Bの各リングR0の中に、位相差ソリトンSによる位相スリップΘsolitonに相当する磁場をかけながらその各リングR0にソリトンSを作り、その後相互作用リングMのスイッチSW4をオンすることにより実行される。
このときに実現される状態は、図9〜図12に挙げられる状態の重ね合わせ状態である。図9〜図12では、バランスリングNのスイッチSW3、相互作用リングMのスイッチSW4は入れたものとして、省略してある(スイッチをいれることにより、相互作用が始まる。)
さて、図9〜図12で定義されるそれぞれの状態を|00>、|01>、|10>、|11>で書き、それぞれが、第1成分から第4成分までになったときのハミルトニアンの行列を書き下すと、次式(25)となる。
Figure 0004010362
ここで、簡単のため、補助リングRL,RRにかける外場は切った。また、量子ビットA,Bの補助リングRL,RRは同じ自己誘導係数を持つものと考え、そこで環状超伝導電流によって生じるエネルギーは、下駄としてあらかじめ差し引いた。また相互誘導係数による磁場のエネルギーも簡単のため無視した。
Aは量子ビットAでのソリトンSのトンネル確率、TBは量子ビットBでのソリトンSのトンネル確率である。また、
Figure 0004010362
は、相互作用リングM、バランスリングNで生じるエネルギーである。上記の行列式(25)から、さらに下駄になっている、εを引き去ると、次式(27)となる。
Figure 0004010362
次にTA<<TBとすると、次式(28)が成立する。
Figure 0004010362
A<<TBは、量子ビットA,B同士を相互作用させる前に、量子ビットA,Bを構成する電線を繋ぎかえて、長くしたりして、変更することができる。また、後述するように、補助リングを使ってトンネル確率を変更することもできる。
さらに、TB<<εの時には、
Figure 0004010362
となる。
系の波動関数Ψ(t)の時間的発展は、次式(30)で表される。
Figure 0004010362
上記の式(30)において、
Figure 0004010362
は複素数の定数である。特に、
Figure 0004010362
の時、|10>は|11>に、|11>は|10>に変換される。
すなわち、このとき、波動関数に対するユニタリ変換行列は、
Figure 0004010362
となる。ただし、この式には下記に示す位相項が付随している。
Figure 0004010362
この位相項は、上記の1量子ビットに対するユニタリ変換で1にすることができる。このユニタリ変換を施すことにより、最終的には、目的とした制御NOTゲート
Figure 0004010362
を実現することができる。
上記では、トンネル確率をTA<<TBとする設定は、量子ビットA,B同士を相互作用させる前に、量子ビットの電線を繋ぎかえて、長くしたりして、変更するようにしたが、補助リングを使ってトンネル確率を変更することもできる。例えば図13に示すように、補助リングR10をつけて、その中に、外場を入れると、実効的にポテンシャルバリアを変化させることができて、ソリトンSのトンネル確率を変化させることができる。
なお、上記の事例は、量子ビットを1つまたは2つとして説明したが、この量子ビットを任意の数備えて多ビット化することもできる。
またビットの読み出しは、補助リングRL,RRに発生する磁束を測定することで可能である。一度読み出したあと、ソリトンSのサイトエネルギーをトンネルエネルギーより大きくとるように変更することで、ソリトンSを古典的な情報ビットとして扱うことができる。すなわち、位相差ソリトンSが局在する確率を0%と100%の何れかとし、重ね合わせ状態を使わない古典的なデジタル論理を行わせるようにしてもよい。
また、本発明に使う、複数の超伝導秩序パラメーターは、複数のバンドに存在するだけでなく、同一のバンドに存在するケースもある。たとえば、d波超伝導体で、図14に示すように、フェルミ面の縦じまで示した領域内、横じまで示した領域内では、強い相互作用が働き、縦じまと横じまの間では弱い相互作用が働くような超伝導体では、縦じまと横じまの部分でそれぞれ別々の超伝導秩序パラメーターが定義でき、同一バンドを持つ超伝導体にソリトンSを存在させることができる。このソリトンSでも、この発明で開示した構成および効果を発現できる。
以上述べたように、この発明の量子チューリング機械では、超伝導の電線の形状を工夫することで、複数の超伝導秩序パラメーターを持つ超伝導体にソリトンSを局在化させることができる。
したがって、ビット操作が簡単になり、量子ビットの構成を容易に行うことができる。また、ユニタリ変換や制御NOT演算といった基本的な論理演算処理を確実に実行させることができる。また、多ビット化、集積化が可能である。さらに超伝導という巨視的量子状態を使うことにより、コヒーレンスを保ちやすく、量子アルゴリズムを実行するのに十分な時間を確保することができる。
超伝導体中にソリトンを発生させる方法の説明図である。 ソリトンを局在化させるための電線の形状例と局在化させる原理を示す図である。 二つの井戸型ポテンシャルとソリトンにより量子ビットを構成する方法を示す図である。 図3の井戸型ポテンシャルにソリトンを一つ放り込む方法を説明する図である。 二つの井戸型ポテンシャルをもつ超伝導電線にソリトンを発生させる状況を説明する図である。 量子ビットで任意のユニタリ変換を可能にする一形態を説明するための図である。 量子ビットで任意のユニタリ変換を可能にする一形態を説明するための図である。 2量子ビットを使った、制御NOTゲートを可能にする一形態を説明するための図である。 2量子ビットでの、制御NOTゲートが機能する様子を説明するための図である。 2量子ビットでの、制御NOTゲートが機能する様子を説明するための図である。 2量子ビットでの、制御NOTゲートが機能する様子を説明するための図である。 2量子ビットでの、制御NOTゲートが機能する様子を説明するための図である。 量子ビットを構成するソリトンのトンネル確率を電気的な方法で変調する一形態を説明する図である。 単バンドでも複数の秩序パラメーターがたつ一形態を説明するための図である。
符号の説明
A 量子ビット
B 量子ビット
C 電線
M 相互作用リング
N バランスリング
R0 リング
R1 リング本体
R10 補助リング
RL 第1補助リング
RR 第2補助リング
S バンド間位相差ソリトン
SW リングRのスイッチ
SW1 第1補助リングRLのスイッチ
SW2 第2補助リングRRのスイッチ
SW3 バランスリングNのスイッチ
SW4 相互作用リングMのスイッチ
W1 井戸状部分
W2 井戸状部分

Claims (7)

  1. 超伝導体を用いて形成した量子チューリング機械において、
    上記超伝導体の複数のバンドの各々に存在する、複数種類の超伝導電子間に生じる位相差ソリトンを利用して作った量子ビットで構成し、
    上記量子ビットは、
    上記超伝導体で形成した線状回路本体と、
    上記線状回路本体の少なくとも2箇所に径を細くして形成した井戸状部分と、
    を備える線状回路に、位相差ソリトンを局在化させることで構成する、
    ことを特徴とする量子チューリング機械。
  2. 超伝導体を用いて形成した量子チューリング機械において、
    上記超伝導体の複数のバンドの各々に存在する、複数種類の超伝導電子間に生じる位相差ソリトンを利用して作った量子ビットで構成し、
    上記量子ビットは、
    上記超伝導体で形成したリング本体と、
    上記リング本体の少なくとも2箇所に径を細くして形成した井戸状部分と、
    を備えるリングに、位相差ソリトンを局在化させることで構成する、
    ことを特徴とする量子チューリング機械。
  3. 上記2つの井戸状部分のうち、第1の井戸状部分をその一部に有する第1の補助リングをリングに付加し、第2の井戸状部分をその一部に有する第2の補助リングをリングに付加するとともに、リングと第1の補助リングと第2の補助リングの各々にスイッチを設けて量子ビットを構成する、請求項2に記載の量子チューリング機械。
  4. 上記リングに位相差ソリトンを局在させ、第1の補助リングおよび第2の補助リングの各スイッチの操作により、量子ビットのユニタリ変換を実現する、請求項3に記載の量子チューリング機械。
  5. 上記量子ビットのユニタリ変換は、先ずリングの中に、位相差ソリトンによる位相スリップに相当する磁場をかけながらそのリングのスイッチをオンしてリングに位相差ソリトンを作り、次に第1、第2の補助リングの何れか一方の選択補助リングのスイッチをオンし、その選択補助リングの中に外場としての磁束を入れ、その後選択補助リングのスイッチをオフし、所定時間経過後再度オンすることにより行われる、請求項4に記載の量子チューリング機械。
  6. 上記量子ビットを2つ並列に配置し、一方の量子ビットの第1の補助リングに、スイッチを備えたバランスリングを重ね合わせ、さらに一方の量子ビットの第2の補助リングと他方の量子ビットの第2の補助リングとの双方に渡って、スイッチを備えた相互作用リングを重ね合わせて、2量子ビット間の制御NOTゲートを構成する、請求項3に記載の量子チューリング機械。
  7. 上記2量子ビット間の制御NOTの演算は、先ず2つの量子ビットの各リングの中に、位相差ソリトンによる位相スリップに相当する磁場をかけながらその各リングのスイッチをオンして位相差ソリトンを作り、その後相互作用リングのスイッチをオンすることにより実行される、請求項6に記載の量子チューリング機械。
JP2003316252A 2003-09-09 2003-09-09 量子チューリング機械 Expired - Lifetime JP4010362B2 (ja)

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