JP4010300B2 - フルオロモノマーの製造方法 - Google Patents

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Description

技術分野
本発明は、水蒸気の存在下、フルオロポリマーの熱分解により、フルオロモノマーを製造する方法に関する。製造されるフルオロモノマーは、フルオロポリマーを製造するために用いることができる。
背景技術
フルオロポリマーはその高い市場価値のために、ポリテトラフルフルオロエチレン(「PTFE」とも呼ぶ)をはじめとするフルオロポリマーを可能な限りリサイクルすることが望まれている。例えば、フルオロポリマーとしてのPTFEを高温で熱分解することによりフルオロモノマーとしてのテトラフルオロエチレン(「TFE」とも呼ぶ)を回収する方法が、例えば米国特許第3832411号に開示されている。この方法では、多孔性金属プレートによって支持したポリテトラフルフルオロエチレンを高温水蒸気によって加熱することにより熱分解している。この方法では、テトラフルオロエチレンが高い濃度で生成するものの、バッチ式でしか行なうことができない。
また、水蒸気雰囲気下でのポリテトラフルオロエチレンの熱分解方法は、Halina Miesowiczの論文(Przemysl Chemiczny,1987,66/7,333−335)にも開示されている。この方法においては、550℃〜700℃にてPTFE(寸法:2〜3mm)を大気圧に近い圧力でバッチ式で熱分解している。この論文によれば、PTFEと水蒸気の比率(質量比)1:10と1:15の時に生成する気体には79〜88質量%のTFEと5〜9質量%のヘキサフルオロプロピレン(「HFP」とも呼ぶ)が生成するが、同時に粉末状の低分子量ポリマー(「オリゴマー」とも呼ぶ)が固体状副生成物として4〜9質量%生じて沈着する。この論文には、パーフルオロイソブテン(「PFIB」とも呼ぶ)が生成する可能性も示唆されている。この化合物は強い毒性を有するので、この生成を抑制するのが望ましい。
尚、PFIBは、TFEを熱分解してHFPを製造する場合に生成することが知られている(例えば特公昭40−24026号公報、米国特許第5705719号参照)。これらの文献によれば、生成するPFIBとHFPのモル比が約1/5である。
上述のような固体状副生成物としての低分子量ポリマーは、装置内に沈着すると種々の問題が生じる可能性がある。特に配管内に沈着する場合、最終的には配管が閉塞して操業を継続できないという問題が生じ得る。また、そのような低分子量ポリマーは、フルオロモノマーの回収率低下の要因となる。従って、フルオロポリマーを安定して、また、効率良く熱分解するには、そのような固体状副生成物の生成が抑制されるのが望ましい。
特開平7−188073号公報には、流動床を用いてフルオロポリマーを熱分解してフルオロモノマーを製造する方法が開示されている。この方法では、不活性の粒状材料とポリマーを水蒸気によって流動化させ、500℃〜900℃の温度でフルオロポリマーを熱分解している。一般的に流動床の操作は、安定性の観点から、必ずしも容易ではない。尚、この文献では、例えば650℃のような低い熱分解温度では、ろう質生成物が生じ、これが壁に付着し、装置が閉塞するという、その当時の技術の問題点が指摘されている。このろう質生成物も、低分子量ポリマーであり、分子量が異なるものの、上述の粉末状の低分子量ポリマーに類似する固体状副生成物である。以下、これらの固体状副生成物を総称して単に「オリゴマー」と呼ぶ。
発明の開示
上述のようにフルオロポリマーからフルオロモノマーを製造するための方法が知られているものの、必ずしも満足できるものではなく、新たな方法、好ましくは、より簡単に実施できる方法、より好ましくは、上述の方法で生じ得る問題点を緩和できる方法を提供することが望まれている。
上述の課題を解決すべく検討した結果、水蒸気の存在下、フルオロポリマーを熱分解してフルオロモノマーを製造することは、ロータリーキルンを用いて効率的に実施できることが見出された。ロータリーキルンを用いる熱分解は、流動床を用いる熱分解と比較して、安定した連続的な操作を非常に簡単に実施できるという利点がある。
従って、本発明は、ロータリーキルンを用いてフルオロポリマーを熱分解してフルオロモノマーを製造する方法であって、ロータリーキルンにフルオロポリマーおよび水蒸気を供給して、フルオロポリマーを熱分解できる温度以上の温度に加熱することを含む方法を提供する。本発明の方法では、TFEに由来するフルオロポリマーを熱分解し、生成するフルオロモノマーには、TFEに加えて、通常HFPおよびオクタフルオロシクロブタン(C、「C−318」とも呼ぶ)が含まれる。
従って、本発明は、ロータリーキルンを用いてTFEに由来するフルオロポリマーを熱分解してTFEを製造する方法であって、ロータリーキルンにフルオロポリマーおよび水蒸気を供給して、フルオロポリマーを熱分解できる温度以上の温度に加熱することを含む方法を提供する。更に、ロータリーキルンを用いてHFPを製造する方法であって、ロータリーキルンにフルオロポリマーおよび水蒸気を供給して、フルオロポリマーを熱分解できる温度以上の温度に加熱することを含む方法を提供する。
発明を実施するための形態
本発明の1つの態様では、ロータリーキルン内においてフルオロポリマーが熱分解できる温度以上の温度に維持されることによってフルオロモノマーが生成する。生成したフルオロモノマーは、ロータリーキルンに供給された水蒸気に同伴されてロータリーキルンから排出される。本明細書では、そのように維持される温度をフルオロポリマーの「熱分解温度(即ち、熱分解できる温度以上の温度であって、実際に熱分解が生じている温度)」と呼ぶ。そのような熱分解温度は、通常、ロータリーキルン内の雰囲気の温度に対応すると考えてよく、その温度はロータリーキルンの外部(特に壁面)からの加熱によって通常達成されるが、必要に応じてロータリーキルンに供給される水蒸気もそのような温度を達成するのを助ける。
ロータリーキルンは、キルン内に円筒状加熱領域を有する。本明細書において、ロータリーキルン内の雰囲気の温度は、そのような円筒状の加熱領域の長手方向に関して加熱領域の中央部の、長手方向に対して垂直な断面(実質的に円形の断面)の中心にて測定される温度(以下「中心温度」とも呼ぶ)、即ち、キルンの回転軸上の点であって、キルンの長さの中央の点にて測定される温度にて代表されるものとして使用し、その温度が本発明の方法における熱分解温度である。従って、本発明の方法に基づいてフルオロポリマーを熱分解している場合、熱分解温度は、ロータリーキルンの中心温度を意味する。
ロータリーキルン内の雰囲気の温度に関して、ロータリーキルンの回転軸方向に沿って温度を測定すると、全ての温度が中心温度と実質的に同じであるとは限らず、実際、実質的に異なってもよい。そのように異なる場合、回転軸方向に沿ったキルン内の加熱領域の他の温度(即ち、中心温度以外の温度)は通常中心温度±20℃の範囲内であってよく、中心温度±10℃の範囲内であるのが好ましく、中心温度±5℃の範囲内であるのがより好ましい。しかしながら、最も好ましいのは、ロータリーキルンの軸方向に沿って測定される温度がロータリーキルンの軸方向に沿って実質的に同じ(例えば中心温度±2℃の範囲内)である場合である。
上述のように水蒸気は、フルオロポリマーの熱分解温度を補助的に達成する機能および生成するフルオロモノマーを同伴して系内から排出する機能を有する。従って、水蒸気は、通常、過熱状態でロータリーキルンに供給され、必要な熱分解温度を達成するのを助ける必要がある場合には、その温度が供給時よりロータリーキルン内で降下するものの、過熱された状態でロータリーキルンから排出される。多くの場合におけるように、ロータリーキルンが十分な加熱能力を有する場合には、過熱状態の水蒸気の温度は実質的に変化せず、場合によっては温度が若干上昇した状態でロータリーキルンから排出されることも有り得る。
本発明の方法において、ロータリーキルンの温度、従って、フルオロポリマーの熱分解温度は、フルオロポリマーが熱分解できる温度(通常、500℃)以上の温度であり、好ましくは570℃以上(例えば600℃またはそれ以上)、より好ましくは620℃以上(例えば650℃またはそれ以上)である。一般的には、他の要因の制約(例えばロータリーキルンに使用する材料の耐熱性の問題等)が無い限り、熱分解温度は高いのが好ましい。通常、700℃まで、好ましくは680℃まで、より好ましくは670℃までの熱分解温度で実施する。尚、ロータリーキルン内の圧力は、特に限定されるものではないが、通常、0.01MPa〜1.0MPaであってよく、例えば0.02MPa〜0.1MPaである。
本発明の方法において、フルオロポリマーが熱分解するが、フルオロポリマーの全量がフルオロモノマーに分解するとは限らず、通常、低分子量のフルオロポリマー、即ち、オリゴマーが分解生成物に含まれる。このオリゴマーは、それが熱分解する温度で維持されている場合には、より小さな分子量のフルオロポリマーとなり得、その時、フルオロモノマーも生成する。生成したオリゴマーがロータリーキルン内で水蒸気で同伴された後、ロータリーキルンから排出されるまでの間の時間に履歴を受ける温度は、通常、そのようにオリゴマーが熱分解できる温度より高い温度である。従って、水蒸気が生成したオリゴマーを同伴しながらロータリーキルン内に滞留している時間内にオリゴマーが更に分解し、その結果、フルオロモノマーの総括収率が増加する。尚、このオリゴマーが、従来技術にて説明した固体状副生成物に相当する。
このことを考慮すると、水蒸気のロータリーキルン内での平均滞留時間は、他の要因の制約(例えばロータリーキルンの体積が過度に大きくなること等)が無い限り、長いのが望ましい。本発明の方法では、ロータリーキルンにおける水蒸気の平均滞留時間は、少なくとも5秒、例えば8秒以上、好ましくは少なくとも10秒以上、例えば25秒以上、より好ましくは40秒以上、例えば50秒以上または60秒以上である。具体的には、10秒〜30秒の滞留時間で操作することができ、この滞留時間は、620℃〜670℃の熱分解温度と組み合わせるのが特に好ましい。本明細書では、平均滞留時間として、ロータリーキルンの空隙部の体積(キルン内が空の状態の時の空隙部体積(但し、熱分解時に後述の無機質粒状物のような不活性固体が存在する場合は、その体積を差し引いた空隙部の体積)、即ち、加熱領域を構成する空隙部の体積)をロータリーキルンに供給する水蒸気の体積流量(キルンへの入口基準)で除した値を用いる。尚、滞留時間の調節のため、窒素を水蒸気と一緒に供給してもよく、その場合、水蒸気の平均滞留時間は、窒素の供給分に応じて短くなる。
本発明の方法において、熱分解するフルオロポリマーは、フッ素を含むモノマーから生成するポリマー、即ち、フッ素を含むポリマーであり、フッ素樹脂およびフッ素ゴムが含まれる。ポリマーは、ホモポリマーであっても、あるいはコポリマーであってもよい。本発明の方法に適当なポリマーとしては、テトラフルオロエチレン(TFE)から誘導されるもの、例えばポリテトラフルオロエチレン、PFAと呼ばれるTFE/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、FEPと呼ばれるTFE/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(「フッ素ゴム」とも呼ぶ)、ポリクロロトリフルオロエチレン(「PCTFE」とも呼ぶ)等を例示できる。
本発明の方法に使用できるフルオロポリマーは、フルオロポリマーの成形時に発生する屑、加工粉または不良品等、また、回収された廃材等であってよく、従って、本発明の方法は、フルオロポリマーの実質的なリサイクル方法を提供する。また、本発明の方法に使用するフルオロポリマーは、熱分解する前に予め小さい寸法、例えばいわゆる粒状形態となっているのが好ましく、必要に応じて、粉砕等の処理を実施しておく。好ましい寸法は、例えば2〜5mmの最長径である。
本発明の方法において、熱分解して生成するフルオロモノマーは、フルオロポリマーを製造するために使用できるフルオロモノマーであり、主としてテトラフルオロエチレンであるが、通常、HFP、C−318のような他のフルオロモノマーも同時に生成する。このような他のフルオロモノマーには、フルオロポリマーの熱分解により直接生成するもの、およびTEFが熱分解した結果として生成するものも含まれる。従って、有毒なPFIBも同時に生成する。このようなモノマーに加えて、二酸化炭素、上述のオリゴマー(これは、温度が低下すると固化する、即ち、固体状副生成物)もフルオロポリマーの熱分解時に生成する。
使用するロータリーキルンは、産業廃棄物処理等の分野で一般的に使用されているものであってよい。このロータリーキルンは、フルオロポリマーを連続的に処理できるものであっても、回分的に処理できるものであってもよい。尚、熱分解を水蒸気の存在下で実施するので、水蒸気に関しては、ロータリーキルンに連続的に供給すると共に、生成したフルオロモノマー等を含む水蒸気を連続的にロータリーキルンから排出する。
用いる水蒸気は、熱分解温度を達成でき、しかも、生成するフルオロモノマー等を同伴してロータリーキルンから排出できるものが好ましく、一般的に、過熱水蒸気を使用する。例えば、温度400〜800℃の水蒸気を使用できる。尚、ロータリーキルンから排出された水蒸気を冷却して凝縮した水を除去することによって、生成したフルオロモノマー等を水蒸気から分離する。その後、必要に応じて、フルオロモノマーを分離精製した後、次の用途に使用できる。
供給する水蒸気の量は、特に限定されるものではないが、所定の熱分解温度を達成できるように供給する。フルオロポリマーを連続的に熱分解するには、例えば供給するフルオロポリマーの質量に対して通常0.4〜5倍、好ましくは0.6〜3.0倍、より好ましくは0.8〜1.2倍の質量の水蒸気を供給する。
ロータリーキルン内における熱分解の効率を改善するために、フルオロポリマーと一緒に不活性な固体、特に粒状物、より特に無機質粒状物をロータリーキルンに存在させるのが好ましい。例えば、砂、ガラス、セラミックス、金属、または金属酸化物等をフルオロポリマーと一緒にロータリーキルンに供給することにより、フルオロポリマーへの熱の供給をより効率的に達成できる。不活性固体をフルオロポリマーの質量に対して、0.1〜10倍、特に0.5〜3倍の量で使用するのが好ましく、不活性固体は、フルオロポリマーと同じ程度の大きさのものであるのが好ましい。
上述のように、ロータリーキルンの温度、即ち、分解温度(T(K)、絶対温度)および平均滞留時間(t秒)に関して、定性的にはそれぞれ高いほど、また、長いほど、フルオロモノマーを生成するためのフルオロポリマーの熱分解に好ましいが、工業的には、これらはそれぞれ低いほど、また、短いほど好ましい。これらの相反する考えを考慮した結果、本発明の方法において、分解温度(T(K))と平均滞留時間(t秒)との積、即ち、T×tが少なくとも9000(K・秒)となるような条件で実施するのが好ましい。より好ましい態様では、T×tが少なくとも20000(K・秒)となるような条件で実施する。
本発明の方法によりTFEから誘導されたフルオロポリマーを熱分解して得られる分解生成物は、例えば、TFEを20〜60質量%含んで成り、更にHFPを例えば10〜30質量%およびC−318を20〜60質量%を含み、少量の二酸化炭素およびPFIBも含んで成る(水蒸気を凝縮により除去した後に得られる気体(25℃)を基準とする質量パーセント)。また、熱分解により生成物には、上述のオリゴマーが含まれ、これは、排出される水蒸気のラインが冷却、特に急冷される場合には、その壁面等に固体状副生成物として付着する。その量は、相当少なく、通常、分解すべきフルオロポリマーの多くとも10質量%、好ましくは5質量%以下、より好ましくは約2質量%以下、最も好ましくは1質量%以下、例えば0.3質量%以下である。
尚、本発明の方法によって熱分解するフルオロモノマーには、HFPと共に毒性の高いPFIBが含まれるが、その量は相当少ない。上述の従来技術のようにHFPを製造する場合と比較して、生成するPFIBの量が非常に少ない。その意味では、本発明は、上述のようにフルオロポリマーを熱分解してフルオロモノマーを得るに際して、HFPを製造する新たな方法を提供することになる。更に、そのような本発明のHFPの製造方法は、フルオロポリマーの分解温度が700℃までの温度であっても、例えば600〜650℃の温度のような低温条件であっても、PFIBの発生を抑制しながら、良好な収率でHFPを製造できる。
産業上の利用の可能性
本発明によれば、フルオロポリマーを熱分解することによりフルオロモノマーを製造する方法において、特に熱分解装置の連続操作において障害となるオリゴマーの生成を十分に抑制することができる。また、従来のTFEの気相熱分解反応によるHFP製造方法よりも、毒性の高いPFIBの副生を抑制することができる。
実施例
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。
図1に概略的にフローシートで示すロータリーキルン炉を有するロータリーキルン装置を用いて、本発明のフルオロモノマーの製造方法を実施した。ロータリーキルン炉5は、長さ500mm、直径100mmの加熱管6を有し、この加熱管は、その周囲に分割して配置した温度設定が可能な電気ヒーター7により外部から加熱できるように構成されている。加熱管は、約1°の角度で前方(水蒸気の流れ方向基準)が下がるように傾斜し、1〜30rpmで回転できる。ホッパー2から熱分解すべきフルオロポリマー(予め所定の寸法(3〜5mm程度)に微粉砕したもの)と石英砂(3〜5mm程度の寸法)との混合物をフィーダー4により連続的にロータリーキルンに供給し、他方、ライン3から水蒸気を予熱器1を通して加熱してロータリーキルンに連続的に供給した。
ロータリーキルンを通過して排出される水蒸気に、熱分解により生成するガス同伴をさせて、これを水蒸気排出ライン9を経てガス冷却工程(図示せず)に導いて急冷し、水蒸気を凝縮して水分を除去し、水分を除去した後のガスの組成をガスクロマトグラフィーにより求めた。尚、石英砂を回収容器7に回収した。この石英砂は、ホッパー2に戻して再利用できる。このような装置をスケールアップすることによって、工業的にも同様のフローで本発明の方法を実施できる。
上述のロータリーキルンを用いて、表1に示す条件でPTFEの熱分解を実施した。その結果も併せて表1(次頁)に示している。
Figure 0004010300
尚、使用したPTFEは、商品名:ポリフロンTFE(ダイキン工業製)であり、330g/hrの量で供給した。石英砂の供給量は330g/hrであった。熱分解温度は3分割されたロータリーキルンの中心温度を測定することにより求めた。尚、回転軸に沿ったキルンの入口から5cmの箇所および出口から5cmの箇所の温度はそれぞれ590℃(実施例1〜3)または640℃(実施例4〜5)、および590℃(実施例1〜3)または640℃(実施例4〜5)であった。使用した水蒸気は、入口温度600℃(実施例1〜3)または650℃(実施例4および5)、圧力0.1MPa、出口温度は600℃(実施例1〜3)または650℃(実施例4および5)であった。水蒸気の滞留時間は、ロータリーキルンの空隙部体積/供給水蒸気体積流量により求めた。オリゴマーの量は、ロータリーキルンからガス冷却工程につながる(自然冷却される)水蒸気排出ライン9内の壁面へのオリゴマーの付着量から求めた。
実施例2の熱分解条件においては、PTFEの熱分解工程において約5%のオリゴマーが生成し、これは、場合により(例えば配管が細い場合)熱分解方法の連続的な実施の妨げとなることが有り得る。しかしながら、熱分解温度を高くした実施例4において、生成オリゴマー量は2.0%まで低減する。更に、水蒸気滞留時間を長くした実施例5においては、生成オリゴマー量は0.3%に低減する。
このことは、ロータリーキルンに導入されるPTFEなどの高分子量フルオロポリマーが熱分解することによってTFEなどの単量体ガスと低分子量ポリマー(オリゴマー)のガス状物質が生成するが、このオリゴマーのガス状物質が更に熱分解を受けてTFEなどの単量体ガスに分解する温度の雰囲気内にある場合には、その雰囲気内に滞留すること、即ち、オリゴマーがその雰囲気内における滞留時間を有することが、最終的に残る副生物としてのオリゴマー生成の抑制に効果的であることを示している。
上述のような本発明は、次の態様を包含する:
第1の態様: ロータリーキルンを用いてフルオロポリマーを熱分解してフルオロモノマーを製造する方法であって、ロータリーキルンにフルオロポリマーおよび水蒸気を供給して、フルオロポリマーを加熱することを含む方法。
第2の態様: 上記第1の態様において、フルオロポリマーは、テトラフルオロエチレンに由来するポリマーである製造方法。
第3の態様: 上記第2の態様において、テトラフルオロエチレンに由来するポリマーは、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体およびテトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体から選択される少なくとも1種類である製造方法。
第4の態様: 上記第1〜3の態様のいずれかにおいて、フルオロモノマーは、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンおよびオクタフルオロシクロブタンから選択される少なくとも1種類である製造方法。
第5の態様: 上記第1〜4の態様のいずれかにおいて、500〜700℃の温度で熱分解を実施し、水蒸気の平均滞留時間が5秒〜60秒となるように水蒸気をロータリーキルンに供給する製造方法。
第6の態様: 上記第1〜5の態様のいずれかにおいて、570〜680℃の温度で熱分解を実施する製造方法。
第7の態様: 上記第1〜6の態様のいずれかにおいて、620〜670℃の温度で熱分解を実施する製造方法。
第8の態様: 上記第1〜7の態様のいずれかにおいて、水蒸気の平均滞留時間が10秒〜30秒となるように水蒸気をロータリーキルンに供給する製造方法。
第9の態様: 上記第1〜8の態様のいずれかにおいて、オリゴマーの生成量が熱分解すべきフルオロポリマーの2%以下(質量基準)となるように実施する製造方法。
第10の態様: 上記第2〜9の態様のいずれかにおいて、生成するフルオロモノマーに関して、ヘキサフルオロプロピレン/パーフルオロイソブテンのモル比が20/1より大きくなるように実施する製造方法。
第11の態様: 上記第1〜10の態様のいずれかにおいて、熱分解を不活性固体の存在下で行なう製造方法。
第12の態様: 上記第1〜11の態様のいずれかにおいて、熱分解の温度(T(K))と水蒸気のロータリーキルン内での平均滞留時間(t秒)との積(T×t)が少なくとも9000(K・秒)となるような条件で実施する製造方法。
尚、本出願は、「フルオロモノマーの製造方法」を発明の名称とする日本国特許出願である特願2002−55914号(2002年3月1日出願)に基づくパリ条約上の優先権を主張する。当該出願に開示された内容は全て、この引用により、この明細書に含まれるものとする。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の方法を実施する装置の概略的フローシートを示す。
尚、図面中、参照番号は、次の要素を意味する:
1…水蒸気予熱器、2…ホッパー、3…水蒸気ライン、4…フィーダー、5…ロータリーキルン炉、6…加熱管、7…電気ヒーター、8…残渣回収容器、9…水蒸気排出ライン。

Claims (12)

  1. ロータリーキルンを用いてフルオロポリマーを熱分解してフルオロモノマーを製造する方法であって、ロータリーキルンにフルオロポリマーおよび水蒸気を供給して、フルオロポリマーを加熱することを含む方法。
  2. フルオロポリマーは、テトラフルオロエチレンに由来するポリマーである請求項1に記載の方法。
  3. テトラフルオロエチレンに由来するポリマーは、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体およびテトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体から選択される少なくとも1種である請求項2に記載の方法。
  4. フルオロモノマーは、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンおよびオクタフルオロシクロブタンから選択される少なくとも1種である請求項1に記載の方法。
  5. 500〜700℃の温度で熱分解を実施し、水蒸気の平均滞留時間が5秒〜60秒となるように水蒸気をロータリーキルンに供給する請求項1に記載の方法。
  6. 70〜680℃の温度で熱分解を実施する請求項1に記載の方法。
  7. 620〜670℃の温度で熱分解を実施する請求項1に記載の方法。
  8. 水蒸気の平均滞留時間が10秒〜30秒となるように水蒸気をロータリーキルンに供給する請求項1に記載の方法。
  9. オリゴマーの生成量が熱分解すべきフルオロポリマーの2%以下(質量基準)となるように実施する請求項1記載の方法。
  10. 生成するフルオロモノマーに関して、ヘキサフルオロプロピレン/パーフルオロイソブテンのモル比が20/1より大きくなるように実施する請求項2に記載の方法。
  11. 熱分解を不活性固体の存在下で行う請求項1に記載の方法。
  12. 熱分解の温度(T(K)、絶対温度)と水蒸気のロータリーキルン内での平均滞留時間(t秒)との積(T×t)が少なくとも9000(K・秒)となるような条件で実施する請求項1に記載の方法。
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