JP4009779B2 - 液晶素子及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、反射/透過型の液晶表示装置に用いる液晶素子及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置として、その使用環境の光である外光を利用する反射表示と、後側に配置された面光源からの照明光を利用する透過表示との両方の表示を行なう反射/透過型のものがある。
【0003】
前記反射/透過型の液晶表示装置には様々な構成のものがあるが、その一つとして、表示の観察側である前側の基板とこの前側基板に対向する後側基板との間に液晶層が設けられ、前記前側基板と後側基板の対向する内面の一方に少なくとも1つの電極が、他方の内面に前記少なくとも1つの電極と対向する領域により複数の画素を形成するための複数の電極が設けられるとともに、前記液晶層よりも後側に前記複数の画素内の予め定められた領域にそれぞれ対応させて設けられた複数の反射膜を有し、前記複数の画素の前記反射膜が設けられた領域により、前側から入射した光を前記反射膜により反射して前側に出射させる反射部が形成され、前記複数の画素の前記反射部以外の領域により、後側から入射した光を透過させて前側に出射させる透過部が形成された構成の液晶素子を備え、前記液晶素子の前側と後側とに前側偏光板及び後側偏光板を配置し、前記後側偏光板の後側に面光源を配置したものがある(特許文献1参照)。
【0004】
この反射/透過型液晶表示装置は、充分な照度の使用環境下では外光を利用する反射表示を行ない、充分な明るさの外光が得られないときに、前記面光源から照明光を出射させてその照明光を利用する透過表示を行なうものであり、前記液晶素子の複数の画素の反射部を利用して反射表示し、前記液晶素子の複数の画素の透過部を利用して透過表示する。
【0005】
前記反射/透過型液晶表示装置には、白黒画像を表示するものと、カラー画像を表示するものとがあり、カラー画像を表示する液晶表示装置には、前側基板と後側基板のいずれか、例えば前側基板の内面に、前記複数の画素にそれぞれ対応させて複数の色のカラーフィルタを備えた液晶素子が用いられている。
【0006】
しかし、前記カラーフィルタを備えた液晶素子は、その各画素の反射部からの出射光の色純度及び強度と、透過部からの出射光の色純度及び強度とが大きく異なる。
【0007】
すなわち、この液晶素子は、前側から各画素の反射部に入射し、前記カラーフィルタと液晶層を透過して反射膜により反射された光を、前記液晶層とカラーフィルタを再び透過させて前側に出射させ、後側から各画素の透過部に入射し、前記液晶層とカラーフィルタを透過した光を前側に出射させるため、前記反射部からの出射光は、前記カラーフィルタを往復して透過した着色光であり、前記透過部からの出射光は、前記カラーフィルタを1回だけ透過した着色光である。
【0008】
そのため、この液晶素子は、各画素の反射部からの出射光が、前記画素の透過部からの出射光に比べて、強度が低い。
【0009】
したがって反射/透過型液晶表示装置は、各画素の反射部からの出射光を最適化するようにカラーフィルタの膜厚を設定した場合、透過表示のときの表示品質が悪く、また、各画素の透過部からの出射光を最適化するようにカラーフィルタの膜厚を設定した場合は反射表示のときの表示品質が悪い。
【0010】
そこで、従来から、前記液晶素子のカラーフィルタは透過表示に適した膜厚に形成し、前記カラーフィルタに、前記画素の反射部内に部分的に対応する開口を形成することが提案されている(特許文献2参照)。
【0011】
この液晶素子は、カラーフィルタが透過表示に適した膜厚に形成されているため、前記透過部から、色純度と強度の両方が充分な光を出射させることができるとともに、前記カラーフィルタに画素の反射部内に部分的に対応する開口を形成しているため、各画素の反射部から、前記カラーフィルタの開口以外の部分を透過して着色された着色光と前記カラーフィルタの開口内を透過した非着色光とを含む光を出射させることができ、したがって、前記反射/透過型液晶表示装置に、反射表示のときも透過表示のときも良好な品質のカラー画像を表示させることができる。
【0012】
【特許文献1】
特開平11−264964号公報
【0013】
【特許文献2】
特開平10−288706号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、カラーフィルタに画素の反射部内に部分的に対応する開口を形成した従来の液晶素子は、前記カラーフィルタの前記開口の周囲の断面が、基板の法線に対して斜めに傾いた形状に形成される。
【0015】
すなわち、前記カラーフィルタは、基板上に感光性レジストに顔料を分散させたカラーレジストを塗布し、そのカラーレジスト膜を露光及び現像処理してパターニングすることにより形成されるが、前記カラーレジスト膜の露光時に、照射光がカラーレジスト中の顔料により散乱されるため、前記カラーレジスト膜の非露光領域もある程度露光され、また露光後の現像処理が表面から進行するため、パターニングされたカラーフィルタの周縁部及び前記開口の周囲の断面が、フィルタ外縁及び前記開口に向かって徐々に膜厚が薄くなるように傾斜した形状に形成される。
【0016】
しかも、従来の液晶素子は、前記カラーフィルタの開口に対応する領域の液晶層厚が他の領域の液晶層厚よりも大きく、液晶層の電気光学特性にムラがある。
【0017】
そのため、従来の液晶素子は、複数の画素の反射部のうち、前記カラーフィルタの開口以外の部分に対応する領域から出射する着色光と、前記カラーフィルタの開口に対応する領域から出射する非着色光との比率を正確に設定することが難しく、反射表示における色再現性が劣る。
【0018】
この発明は、複数の画素の反射部から着色光と非着色光とを精度の良い比率で出射させることができる光再現性に優れた液晶素子を提供するとともに、その液晶素子の製造方法を提供することを目的としたものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
この発明の液晶素子は、表示の観察側である前側の基板とこの前側基板に対向する後側基板との間に液晶層が設けられ、前記前側基板と後側基板の対向する内面の一方に少なくとも1つの電極が、他方の内面に前記少なくとも1つの電極と対向する領域により複数の画素を形成するための複数の電極が設けられるとともに、前記液晶層よりも後側に前記複数の画素内の予め定められた領域にそれぞれ対応させて設けられた複数の反射膜を有し、前記複数の画素毎に前記反射膜が設けられた領域により、前側から入射した光を前記反射膜により反射して前側に出射させる反射部が形成され、前記複数の画素毎に前記反射部以外の領域により、後側から入射した光を透過させて前側に出射させる透過部が形成され、さらに、前記前側基板と後側基板のいずれかの内面に、前記複数の画素それぞれの前記反射部の内側の一部に対応させて感光性透明樹脂からなる非着色層が設けられ、前記複数の画素毎の、前記非着色層が形成された基板の内面の前記非着色層が設けられた部分を除いた他の部分に、前記複数の画素それぞれに対応する1つの色のカラーフィルタが、前記非着色層を囲んで設けられていることを特徴とする。
【0020】
この液晶素子は、前後いずれかの基板の内面に、複数の画素それぞれの前記反射部の内側の一部に対応させて非着色層を設け、その基板の内面の前記非着色層が設けられた部分を除いた他の部分に、前記複数の画素それぞれに対応する1つの色のカラーフィルタを、前記非着色層を囲んで設けているため、前記複数の画素の透過部から、前記カラーフィルタを一方向に透過して着色された着色光を出射させ、前記複数の画素の反射部から、前記カラーフィルタを往復して透過して着色された着色光と、前記非着色層を透過した非着色光とを出射させることができる。
【0021】
しかも、この液晶素子では、前記非着色層を感光性透明樹脂により形成しているため、この非着色層を、前記基板の内面に前記感光性透明樹脂を塗布して露光及び現像処理することにより、周面が前記基板面に対して略垂直な形状に精度良く形成することができる。
【0022】
そして、この液晶素子では、前記カラーフィルタの前記非着色層を囲むフィルタ側面を前記非着色層の周面に密着させているため、前記カラーフィルタの前記反射部に対応する部分の膜厚を、その全体にわたって均一にすることができる。
【0023】
したがって、この液晶素子によれば、複数の画素の反射部から出射する着色光と非着色光との比率を予め定めた割合で正確に設定し、前記反射部から出射する光の色再現性を向上させることができる。
【0024】
このように、この発明の液晶素子は、液晶層よりも後側に複数の画素内の予め定められた領域に対応させて反射膜を設け、前記複数の画素毎に前記反射膜が設けられた領域により、前側から入射した光を前記反射膜により反射して前側に出射する反射部を形成し、前記複数の画素毎に前記反射部以外の領域により、後側から入射した光を透過させて前側に出射する透過部を形成するとともに、前記前側基板と後側基板のいずれかの内面に、前記複数の画素それぞれの前記反射部の内側の一部に対応させて感光性透明樹脂からなる非着色層を設け、前記複数の画素毎の、前記非着色層が形成された基板の内面の前記非着色層が設けられた部分を除いた他の部分に、前記複数の画素それぞれに対応する1つの色のカラーフィルタを、前記非着色層を囲んで設けることにより、複数の画素の反射部から着色光と非着色光とを精度の良い比率で出射させ、優れた光再現性が得られるようにしたものである。
【0025】
この発明の液晶素子においては、前記非着色層を前記カラーフィルタの表面と面一に形成するか、あるいは、前記非着色層を前記カラーフィルタ上に予め定められた厚さに突出させて形成し、前記非着色層の突出端を他方の基板の内面に当接させることにより、この非着色層によって前側基板と後側基板との間隔を規定するのが望ましい。
【0026】
また、この発明の液晶素子の製造方法は、前側基板と後側基板のいずれかの内面に感光性透明樹脂を塗布し、その樹脂膜を露光及び現像処理して複数の画素の反射部内の一部にそれぞれ対応する形状にパターニングすることにより、複数の非着色層をカラーフィルタの膜厚以上の厚さに形成し、その後に、前記基板上に顔料が添加された感光性カラーレジストを塗布し、そのカラーレジスト膜を露光及び現像処理して前記複数の画素に対応する外形にパターニングすることにより、複数の色のカラーフィルタを形成するとともに、前記非着色層の上の前記カラーレジストを除去することを特徴とする。
【0027】
この製造方法によれば、前後いずれかの基板の内面に複数の画素の反射部内にそれぞれ部分的に対応させて非着色層を設け、その基板の内面に、前記非着色層が設けられた部分を除いて、複数の画素にそれぞれ対応する複数の色のカラーフィルタを、前記非着色層を囲むフィルタ側面を前記非着色層の周面に密着させて設けた前記液晶素子を得ることができる。
【0028】
この発明の液晶素子の製造方法においては、前記非着色層を前記カラーフィルタの膜厚よりも厚く形成し、前記カラーフィルタを形成した後に、前記非着色層の前記カラーフィルタ上に突出する部分をその突出部に付着したカラーレジストと一緒に除去し、前記非着色層の頂面を前記カラーフィルタの表面と面一にするか、あるいは、前記非着色層を前記カラーフィルタの膜厚に、液晶層の厚さに相当する予め定められた高さを加算した厚さに形成し、前記カラーフィルタを形成した後に、前記非着色層の前記カラーフィルタ上に突出する部分の頂面の上に付着したカラーレジストを除去するのが望ましい。
【0029】
【発明の実施の形態】
図1〜図3はこの発明の第1の実施例を示しており、図1は液晶素子の一部分の断面図、図2は前記液晶素子の複数の画素及び非着色層とカラーフィルタの平面図、図3は前記液晶素子の製造における非着色層とカラーフィルタの形成方法を示す工程図である。
【0030】
この実施例の液晶素子は、図1に示したように、表示の観察側である前側(図1において上側)の透明基板1と、この前側基板1に対向する後側の透明基板1との間に液晶層3が設けられ、前記前側基板1と後側基板1の対向する内面の一方に少なくとも1つの透明電極4が、他方の内面に前記少なくとも1つの電極4と対向する領域により複数の画素Aを形成するための複数の透明電極4が設けられるともに、前記液晶層3よりも後側に、前記複数の画素A内の予め定められた領域にそれぞれ対応させて設けられた複数の反射膜7を有し、前記複数の画素Aの前記反射膜7が設けられた領域により、前側から入射した光を前記反射膜7により反射して前側に出射する反射部A1が形成され、前記複数の画素Aの前記反射部A1以外の領域により、後側から入射した光を透過させて前側に出射する透過部A2が形成された構成となっている。
【0031】
この液晶素子は、例えばTFT(薄膜トランジスタ)をアクティブ素子とするアクティブマトリックス液晶素子であり、前側基板1の内面に設けられた電極4は一枚膜状の対向電極、後側基板1の内面に設けられた電極4は行方向及び列方向にマトリックス状に配列させて形成された複数の画素電極である。
【0032】
そして、前記後側基板1の内面には、前記複数の画素電極4にそれぞれ対応させて複数のTFT6が設けられるとともに、各行のTFT6にゲート信号を供給する複数のゲート配線と、各列のTFT6にデータ信号を供給する複数のデータ配線(いずれも図示せず)が設けられている。
【0033】
なお、図1ではTFT6を簡略化して示しているが、このTFT6は後側基板1面に形成されたゲート電極と、このゲート電極を覆って前記基板1の略全体に形成されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜の上に前記ゲート電極と対向させて形成されたi型半導体膜と、前記i型半導体膜の両側部の上にn型半導体膜を介して形成されたソース電極及びドレイン電極とからなっている。
【0034】
また、図示しない前記ゲート配線とデータ配線のうち、ゲート配線は、後側基板2の基板面に前記TFT7のゲート電極と一体に形成されて前記ゲート絶縁膜により覆われており、データ配線は、前記ゲート絶縁膜の上に形成され、前記TFT7のドレイン電極につながっている。
【0035】
そして、前記複数の画素電極4は、図示しない前記ゲート絶縁膜の上に形成されており、これらの画素電極4に、その画素電極4に対応するTFT6のソース電極が接続されている。
【0036】
また、前記複数の反射膜7は、アルミニウム系合金等からなる高反射率の鏡面反射膜であり、この実施例では、図1のように、前記複数の反射膜7を後側基板1の内面(例えば図示しないゲート絶縁膜の上)に形成し、前記複数の画素電極4を、その一部を前記反射膜7の上に重ねて形成している。
【0037】
なお、この実施例では、前記反射膜7を前記複数の画素Aの略半分の領域にそれぞれ対応させて設け、前記複数の画素Aの略半分の領域を反射部A1とし、他の略半分の領域を透過部A2としている。
【0038】
また、前記前側基板1の内面には、前記複数の画素Aの間の部分に対応する格子状の遮光膜8が形成されている。なお、図1では前記遮光膜8を単層膜としているが、この遮光膜8は、前側基板1面に被着された酸化クロム膜とその上に積層されたクロム膜とからなっている。
【0039】
さらに、前記前側基板1の内面には、前記複数の画素Aの反射部A1内にそれぞれ部分的に対応させて、非散乱性の感光性透明樹脂からなる非着色層9が設けられるとともに、この前側基板1の内面に、前記非着色層9が設けられた部分を除いて、前記複数の画素Aにそれぞれ対応する複数の色、例えば赤、緑、青の3色のカラーフィルタ10R,10G,10Bが、前記非着色層9を囲むフィルタ側面を前記非着色層9の周面に密着させて設けられており、これらのカラーフィルタ10R,10G,10B及び前記非着色層9の上に前記対向電極4が形成されている。
【0040】
なお、この液晶素子は、図2に示したように、赤色フィルタ10Rを設けた画素Aと、緑色フィルタ10Gを設けた画素Aと、青色フィルタ10Bを設けた画素Aとを行方向に交互に並べるとともに、同じ色のフィルタ10R,10G,10Bを設けた画素Aを各行毎に左右方向に交互に1.5ピッチずらして配列したデルタ配列型(モザイク配列型とも言う)のものであり、図1は、赤、緑、青のカラーフィルタ10R,10G,10Bが対応する各画素Aがジグザグに並んだ画素列に沿う断面を示している。
【0041】
この実施例では、図1及び図2に示したように、前記非着色層9を、各画素Aの反射部A1の周縁部を除く中央部に対応させて形成し、前記赤、緑、青のカラーフィルタ10R,10G,10Bを、各画素Aの前記非着色層9が対応する部分以外の全域に対応させて、前記画素Aよりも大きい外形、つまりカラーフィルタ10R,10G,10Bの周縁部が、複数の画素Aの間の部分に対応する外形に形成している。
【0042】
さらに、この実施例では、前記赤、緑、青のカラーフィルタ10R,10G,10Bをそれぞれ、前記各画素Aの反射部A1に対応する部分から透過部A2に対応する部分にわたって同じ膜厚に形成し、前記非着色層9を、前記カラーフィルタ10R,10G,10Bの膜厚と同じ厚さに形成している。
【0043】
そして、前記赤、緑、青のカラーフィルタ10R,10G,10Bはそれぞれ、各画素Aの透過部A2からの出射光の色再現性を重視して、これらのカラーフィルタ10R,10G,10Bを一方向に透過した光が充分な色再現性が得られる膜厚に、つまり充分な色純度、明度、彩度、及びホワイトポイントを得られる膜厚に形成されており、また、前記カラーフィルタ10R,10G,10Bの前記反射部A1に対応する部分の面積と前記非着色層9の面積との比は、前記カラーフィルタ10R,10G,10Bの反射部A1に対応する部分を往復して透過して着色された着色光と、前記非着色層9を透過した非着色光とを合成した光が、充分な色再現性が得られる割合、つまり充分な明るさ、色純度、及びホワイトポイントが得られる割合に設定されている。
【0044】
すなわち、前側から各画素Aの反射部A1に入射し、反射膜7により反射されて前側に出射する光のうち、前記カラーフィルタ10R,10G,10Bにより着色された着色光は、前記カラーフィルタ10R,10G,10Bを往復して透過して2度の吸収を受けた光であり、したがって、後側から各画素Aの透過部A2に入射し、前記カラーフィルタ10R,10G,10Bを一方向に1回だけ透過して前側に出射する着色光に比べて、強度が極端に低い光である。
【0045】
それに対し、前側から前記各画素Aの反射部A1に入射し、前記反射膜7により反射されて前側に出射する光のうち、前記非着色層9を往復して透過した光は、前記カラーフィルタ10R,10G,10Bによる吸収を受けない高強度の非着色光である。
【0046】
そのため、前記カラーフィルタ10R,10G,10Bの反射部A1に対応する部分の面積に対する前記非着色層9の面積の比、つまり前記カラーフィルタ10R,10G,10Bを往復して透過して着色した着色光と、前記非着色層9を往復して透過した非着色光との光量比を適正に設定することにより、前記反射部A1から出射する着色光と比着色光とが混合された、充分な明るさと色純度を持った色再現性に優れた着色光を出射することができる。なお、前記赤、緑、青のカラーフィルタ10R,10G,10Bの反射部A1に対応する部分の面積に対する前記非着色層9の面積の比は、50%以下が好ましい。
【0047】
また、図では省略しているが、前記前側基板1と後側基板2のいずれか一方、例えば後側基板2の内面には、前記複数の画素Aの間の部分に、予め定められた高さの複数の柱状スペーサが画素ピッチと同じピッチで設けられており、さらに、前記前側基板1と後側基板2内面にはそれぞれ、前記電極4,5及び前記柱状スペーサを覆って配向膜11,12が設けられている。
【0048】
そして、前記前側基板1と後側基板2は、前記後側基板2の内面に設けられた図示しない複数の柱状スペーサの先端を他方の前側基板1の内面に当接させることにより、前記複数の柱状スペーサにより前側基板1と後側基板2との間隔を規定され、前記複数の画素Aがマトリックス状に配列する表示エリアを囲む図示しない枠状シール材を介して接合されている。
【0049】
また、前記液晶層3は、前記前側基板1と後側基板2の間の前記枠状シール材により囲まれた領域に設けられており、この液晶層3の液晶分子は、前記配向膜11,12によりそれぞれの基板1,2の近傍における配向方向を規定され、前後の基板1,2間において予め定められた初期配向状態に配向している。
【0050】
なお、この液晶素子は、前記液晶層3をネマティック液晶により形成し、その液晶分子をツイスト配向させたTNまたはSTN型のものでも、前記ネマティック液晶の液晶分子を分子長軸を一方向に揃えてホモジニアス配向させたホモジニアス配向のものでも、あるいは、前記液晶層3を強誘電性または反強誘電性液晶により形成した強誘電性または反強誘電性液晶素子等でもよい。
【0051】
前記液晶素子は、前記前側基板1の内面に、前記遮光膜8と、複数の非着色層9と、赤、緑、青のカラーフィルタ10R,10G,10Bと、配向膜11とを形成し、前記後側基板2の内面に、前記複数のTFT6と、図示しないゲート配線及びデータ配線と、複数の画素電極5と、複数の柱状スペーサと、配向膜12とを形成し、前記前側基板1と後側基板2とを、前記複数の柱状スペーサにより基板間隔を規定して前記枠状シール材を介して接合した後、これらの基板1,2間の前記枠状シール材により囲まれた領域に、前記枠状シール材の一辺を部分的に欠落させて形成された図示しない液晶注入口から真空注入法により液晶を充填し、その後に前記液晶注入口を封止する方法で製造する。
【0052】
なお、この製造方法において、前側基板1に設ける遮光膜8と配向膜11及び後側基板2に設けるTFT6とゲート配線及びデータ配線と画素電極5と柱状スペーサと配向膜12の形成、前後の基板1,2の接合及び液晶の充填は、いずれも公知の方法で行なうため、その説明は省略する。
【0053】
この製造方法において、前記非着色層9とカラーフィルタ10R,10G,10Bは、次のようにして形成する。
【0054】
まず、前側基板1の内面に遮光膜8を形成した後、前記基板1の内面に、非散乱性の感光性透明樹脂をスクリーン印刷等により塗布し、その樹脂膜を露光及び現像処理して複数の画素Aの反射部A1内にそれぞれ部分的に対応する形状にパターニングすることにより、図3(a)のように、複数の非着色層9を前記カラーフィルタ10R,10G,10Bの膜厚以上の厚さに形成する。なお、この実施例では、前記非着色層9を、前記カラーフィルタ10R,10G,10Bの膜厚よりも厚く形成している。
【0055】
この場合、前記感光性透明樹脂は、光を散乱させる粒子や顔料を含まない非散乱性樹脂であるため、基板1の内面に塗布した樹脂膜の露光時に照射光が散乱されることはなく、したがって、基板1面に対して垂直な方向から光を照射することにより、複数の非着色層9を、その周面が前記基板1面に対して略垂直な形状に精度良く形成することができる。
【0056】
次に、前記複数の非着色層9を形成した基板1上に、顔料が添加された感光性カラーレジストをスクリーン印刷等により塗布し、そのカラーレジスト膜を露光及び現像処理して、複数の画素Aに対応し、且つ前記画素Aよりも大きい外形にパターニングすることにより、図3(b)のように、周縁部が複数の画素Aの間の部分に対応する外形の赤、緑、青のカラーフィルタ10R,10G,10Bを順次形成する。
【0057】
このカラーフィルタ10R,10G,10Bの形成においては、前記カラーレジスト膜の露光時に、照射光がカラーレジスト中の顔料により散乱されるため、前記カラーレジスト膜の非露光領域もある程度露光され、露光後に現像処理してパターニングされたカラーフィルタ10R,10G,10Bの周縁部が、図3(b)に示したようにフィルタ外縁に向かって徐々に膜厚が薄くなるように傾斜した断面形状に形成されるが、この実施例では、前記カラーレジスト膜を画素Aよりも大きい外形、つまり周縁部が複数の画素Aの間の部分に対応する外形にパターニングしているため、複数の画素A内に対応する部分の膜厚が前記非着色層9上の部分を除いて均一なカラーフィルタ10R,10G,10Bを形成することができる。
【0058】
次に、前記複数の非着色層9の前記カラーフィルタ10R,10G,10B上に突出する部分を、エッチングまたは切削等により、その突出部に付着した前記カラーレジストと一緒に除去し、図3(c)のように、前記カラーフィルタ10R,10G,10Bの前記非着色層9の周囲の部分の表面を他の部分の表面と面一に仕上げるとともに、前記複数の非着色層9の頂面を前記カラーフィルタ10R,10G,10Bの表面と面一にする。
【0059】
すなわち、この液晶素子の製造方法は、前記前側基板1の内面に、複数の非着色層9をカラーフィルタ10R,10G,10Bの膜厚以上の厚さに形成した後、前記基板1上に感光性カラーレジストを塗布して前記複数の画素Aに対応する外形にパターニングすることにより、赤、緑、青のカラーフィルタ10R,10G,10Bを形成し、その後に前記非着色層9の上の前記カラーレジストを除去するものである。
【0060】
この実施例の液晶素子は、前側基板1の内面に、複数の画素Aの反射部A1内にそれぞれ部分的に対応させて非着色層9を設け、その基板1の内面に、前記非着色層9が設けられた部分を除いて、前記複数の画素Aにそれぞれ対応する赤、緑、青のカラーフィルタ10R,10G,10Bを設けているため、前記複数の画素Aの透過部A2から、前記カラーフィルタ10R,10G,10Bを一方向に透過して着色された着色光を出射させ、前記複数の画素Aの反射部A1から、前記カラーフィルタ10R,10G,10Bを往復して透過して着色された着色光と、前記非着色層9を透過した非着色光とを出射させることができる。
【0061】
しかも、この液晶素子では、前記非着色層9を非散乱性の感光性透明樹脂により形成しているため、この非着色層を、前記基板1の内面に前記感光性透明樹脂を塗布して露光及び現像処理することにより、周面が前記基板1面に対して略垂直な形状に精度良く形成することができる。
【0062】
そして、この液晶素子では、前記カラーフィルタ10R,10G,10Bの前記非着色層を囲むフィルタ側面を前記非着色層の周面に密着させているため、前記カラーフィルタ10R,10G,10Bの前記反射部A1に対応する部分の膜厚を、その全体にわたって均一にすることができる。
【0063】
したがって、この液晶素子によれば、複数の画素Aの反射部A1から出射する着色光と非着色光との割合を予め定めた割合で正確に設定し、前記反射部A1から出射する光の色再現性を向上させることができる。
【0064】
また、上記液晶素子の製造方法は、図3に示したように、前側基板1の内面に、非散乱性の感光性透明樹脂を塗布し、その樹脂膜を露光及び現像処理して複数の画素Aの反射部A1内にそれぞれ部分的に対応する形状にパターニングすることにより、複数の非着色層9をカラーフィルタ10R,10G,10Bの膜厚以上の厚さに形成し、その後に、前記基板1上に顔料が添加された感光性カラーレジストを塗布し、そのカラーレジスト膜を露光及び現像処理して前記複数の画素Aに対応する外形にパターニングすることにより、赤、緑、青のカラーフィルタ10R,10G,10Bを形成するとともに、前記非着色層9の上の前記カラーレジストを除去することを特徴とするものであり、この製造方法によれば、前記前側基板1の内面に、複数の画素Aの反射部A1内にそれぞれ部分的に対応させて非着色層9を設け、その基板1の内面に、前記非着色層9が設けられた部分を除いて、複数の画素Aにそれぞれ対応する赤、緑、青のカラーフィルタ10R,10G,10Bを、前記非着色層9を囲むフィルタ側面を前記非着色層9の周面に密着させて設けた前記液晶素子を得ることができる。
【0065】
なお、前記カラーフィルタ10R,10G,10Bは、上述したように、カラーレジスト膜の露光時の照射光の散乱により、周縁部がフィルタ外縁に向かって徐々に膜厚が薄くなるように傾斜した形状に形成されこの実施例では、カラーフィルタ10R,10G,10Bを、その周縁部が複数の画素Aの間の部分に対応する外形に形成しているため、前記カラーフィルタ10R,10G,10Bの複数の画素A内に対応する部分の膜厚を均一にし、前記複数の画素Aの反射部A1の着色光出射領域から、色純度及び強度がより均一な着色光を出射させることができるとともに、前記複数の画素Aの透過部A2からも色純度及び強度がより均一な着色光を出射させることができる。
【0066】
そして、この実施例では、前側基板1の内面に、複数の画素Aの間の部分に対応する格子状の遮光膜8を形成しているため、前記カラーフィルタ10R,10G,10Bの膜厚が薄くなった周縁部を透過して着色された光が前記複数の画素Aの間の部分から出射することはなく、したがって、前記カラーフィルタ10R,10G,10Bの周縁部が傾斜した形状に形成されても、前記画素Aからの出射光の色再現性に影響することはない。
【0067】
さらに、この実施例では、前記前側基板1の内面に非着色層9とカラーフィルタ10R,10G,10Bを形成する際に、前記非着色層9をカラーフィルタ10R,10G,10Bの膜厚よりも厚く形成し、前記カラーフィルタ10R,10G,10Bを形成した後に、前記非着色層9のカラーフィルタ10R,10G,10B上に突出する部分をその突出部に付着したカラーレジストと一緒に除去することにより、前記非着色層9を前記カラーフィルタ10R,10G,10Bの表面と面一にしているため、前記複数の画素Aの反射部A1の液晶層厚を、前記カラーフィルタ10R,10G,10Bに対応する着色光出射領域から前記非着色層9に対応する非着色光出射領域にわたって均一にし、前記反射部A1の着色光出射領域と非着色光出射領域の液晶層3の電気光学特性を同じにすることができる。
【0068】
なお、前記前側基板1の内面に非着色層9とカラーフィルタ10R,10G,10Bを形成する場合、前記非着色層9は、最初からカラーフィルタ10R,10G,10Bの膜厚と同じ厚さに形成してもよく、その場合は、前記カラーフィルタ10R,10G,10Bを形成した後に、前記非着色層9の上のカラーレジストだけを除去すればよい。
【0069】
前記液晶素子は、反射表示と透過表示の両方の表示を行なう反射/透過型液晶表示装置に用いられるものであり、この反射/透過型液晶表示装置は、前記液晶素子の前側と後側とに前側偏光板及び後側偏光板を配置し、前記後側偏光板の後側に面光源を配置して構成される。
【0070】
前記液晶素子を用いた反射/透過型液晶表示装置は、前記液晶素子が、複数の画素Aの反射部A1から着色光と非着色光とを精度の良い比率で出射させる優れた色再現性を有しており、しかも、前記反射部A1の着色光出射領域(非着色層9以外の部分に設けられたカラーフィルタ10R,10G,10Bに対応する領域)から、均一な着色光を出射させるため、反射表示のときも透過表示のときも、色再現性の良い高品質のカラー画像を表示することができる。
【0071】
図4及び図5はこの発明の第2の実施例を示しており、図4は液晶素子の一部分の断面図、図5は前記液晶素子の製造における非着色層とカラーフィルタの形成方法を示す工程図である。
【0072】
この実施例の液晶素子は、前側基板1の内面に、複数の画素Aの反射部A1内にそれぞれ部分的に対応させて設ける非着色層9を、カラーフィルタ10R,10G,10B上に予め定められた高さに突出させ、前記非着色層9の突出端を他方の基板である後側基板2の内面に当接させることにより、この非着色層9により前側基板1と後側基板2との間隔を規定したものである。
【0073】
なお、この実施例の液晶素子は、前記非着色層9に基板間隔を規定するための柱状スペーサを兼ねさせたものであるが、他の構成は上述した第1の実施例の液晶素子と同じであるから、重複する説明は図に同符号を付して省略する。
【0074】
この実施例の液晶素子の製造方法においては、前記非着色層9とカラーフィルタ10R,10G,10Bを次のようにして形成する。
【0075】
まず、前側基板1の内面に遮光膜8を形成した後、前記基板1の内面に、非散乱性の感光性透明樹脂をスクリーン印刷等により塗布し、その樹脂膜を露光及び現像処理して複数の画素Aの反射部A1内にそれぞれ部分的に対応する形状にパターニングすることにより、図5のように、複数の非着色層9を前記カラーフィルタ10R,10G,10Bの膜厚に予め定められた高さを加算した厚さに形成する。
【0076】
この場合も、前記感光性透明樹脂は、光を散乱させる粒子や顔料を含まない非散乱性樹脂であるため、複数の非着色層9を、その周面が前記基板1面に対して略垂直な形状に精度良く形成することができる。
【0077】
次に、前記複数の非着色層9を形成した基板1上に、顔料が添加された感光性カラーレジストをスクリーン印刷等により塗布し、そのカラーレジスト膜を露光及び現像処理して、複数の画素Aに対応し、且つ前記画素Aよりも大きい外形にパターニングすることにより、図5のように、周縁部が複数の画素Aの間の部分に対応する外形の赤、緑、青のカラーフィルタ10R,10G,10Bを順次形成する。
【0078】
次に、前記複数の非着色層9のカラーフィルタ10R,10G,10B上に突出する部分に付着したカラーレジストのうち、前記非着色層9の頂面の上のカラーレジストを、エッチングまたは切削等により図5のように除去する。
【0079】
すなわち、この液晶素子の製造方法は、前記前側基板1の内面に、複数の非着色層9をカラーフィルタ10R,10G,10Bの膜厚に予め定められた高さを加算した厚さに形成した後、前記基板1上に感光性カラーレジストを塗布して前記複数の画素Aに対応する外形にパターニングすることにより、赤、緑、青のカラーフィルタ10R,10G,10Bを形成し、また、前記非着色層9の頂面の上のカラーレジストを除去するものである。
【0080】
この実施例の液晶素子は、複数の画素Aの反射部A1のカラーフィルタ10R,10G,10Bに対応する着色光出射領域と透過部A2の全域から、前記カラーフィルタ10R,10G,10Bにより着色された着色光を、液晶層3を透過させて出射させ、前記複数の画素Aの反射部A1の非着色層9に対応する非着色光出射領域から、前記非着色層9を透過した非着色光を、液晶層3を透過させずに出射させるようにしたものであり、この液晶素子においても、複数の画素Aの反射部A1から着色光と非着色光とを精度の良い比率で出射させ、優れた光再現性を得ることができる。
【0081】
しかも、この実施例では、前記非着色層9に基板間隔を規定するための柱状スペーサを兼ねさせているため、前記柱状スペーサの形成工程を不要とし、液晶素子の製造工程を簡略化することができる。
【0082】
また、この実施例の液晶素子の製造方法は、図5に示したように、前側基板1の内面に、非散乱性の感光性透明樹脂を塗布し、その樹脂膜を露光及び現像処理して複数の画素Aの反射部A1内にそれぞれ部分的に対応する形状にパターニングすることにより、複数の非着色層9をカラーフィルタ10R,10G,10Bの膜厚に予め定められた高さを加算した厚さに形成するとともに、前記非着色層9の頂面の上の前記カラーレジストを除去することを特徴とするものであり、この製造方法によれば、前記前側基板1の内面に、複数の画素Aの反射部A1内にそれぞれ部分的に対応させて、基板間隔を規定するための柱状スペーサを兼ねる非着色層9を設け、その基板1の内面に、前記非着色層9が設けられた部分を除いて、複数の画素Aにそれぞれ対応する赤、緑、青のカラーフィルタ10R,10G,10Bを、前記非着色層9を囲むフィルタ側面を前記非着色層9の周面に密着させて設けた前記液晶素子を得ることができる。
【0083】
なお、上記第1及び第2の実施例では、複数の画素Aの略半分の領域を反射部A1とし、他の略半分の領域を透過部A2としているが、前記反射部A1と透過部A2は任意の面積比及び形状に形成すればよく、さらに、反射部A1と透過部A2の一方または両方を、1つの画素A内に複数形成してもよい。
【0084】
さらに、上記実施例では、非着色層9を複数の画素Aの反射部A1の中央部に対応させて設けているが、前記非着色層9は、前記反射部A1内の他の部分に対応させて設けてもよく、また、前記非着色層9を前記反射部A1内の複数箇所に設けてもよい。
【0085】
また、上記実施例では、前記反射部A1を形成するための反射膜8を液晶素子の後側基板2の内面に設け、後側基板2の内面に設ける透明電極(複数の画素電極)6を前記反射膜8の上に重ねて形成しているが、前記電極5の反射部A1に対応する部分を金属膜により形成し、この電極5の前記反射部A1に対応する部分に反射膜を兼ねさせてもよく、さらに、前記反射膜8は、液晶層3よりも後側であれば、例えば前記後側基板2の外面に設けてもよい。
【0086】
さらに、上記実施例では、非着色層9とカラーフィルタ10R,10G,10Bを前側基板1の内面に設けているが、前記非着色層9とカラーフィルタ10R,10G,10Bは、後側基板2の内面に設けてもよい。
【0087】
また、この発明は、アクティブマトリックス型の液晶素子に限らず、単純マトリックス型の液晶素子にも適用することができる。
【0088】
【発明の効果】
この発明の液晶素子は、液晶層よりも後側に複数の画素内の予め定められた領域に対応させて反射膜を設け、前記複数の画素毎に前記反射膜が設けられた領域により、前側から入射した光を前記反射膜により反射して前側に出射する反射部を形成し、前記複数の画素毎に前記反射部以外の領域により、後側から入射した光を透過させて前側に出射する透過部を形成するとともに、前記前側基板と後側基板のいずれかの内面に、前記複数の画素それぞれの前記反射部の内側の一部に対応させて感光性透明樹脂からなる非着色層を設け、前記複数の画素毎の、前記非着色層が形成された基板の内面の前記非着色層が設けられた部分を除いた他の部分に、前記複数の画素それぞれに対応する1つの色のカラーフィルタを、前記非着色層を囲んで設けたものであるため、複数の画素の反射部から着色光と非着色光とを精度の良い比率で出射させ、優れた光再現性を得ることができる。
【0089】
この液晶素子において、前記非着色層は、前記カラーフィルタの表面と面一に形成するのが好ましく、このようにすることにより、複数の画素の反射部の液晶層厚を、前記カラーフィルタに対応する着色光出射領域から前記非着色層に対応する非着色光出射領域にわたって均一にし、前記反射部の着色光出射領域と非着色光出射領域の液晶層の電気光学特性を同じにすることができる。
【0090】
また、この液晶素子においては、前記非着色層を前記カラーフィルタ上に予め定められた厚さに突出させて形成し、前記非着色層の突出端を他方の基板の内面に当接させることにより、この非着色層によって前側基板と後側基板との間隔を規定するのが望ましく、このようにすることにより、前記非着色層に基板間隔を規定するための柱状スペーサを兼ねさせることができる。
【0091】
また、この発明の液晶素子の製造方法は、前記前側基板と後側基板のいずれかの内面に感光性透明樹脂を塗布し、その樹脂膜を露光及び現像処理して前記複数の画素の反射部内の一部にそれぞれ対応する形状にパターニングすることにより、前記複数の非着色層を前記カラーフィルタの膜厚以上の厚さに形成し、その後に、前記基板上に顔料が添加された感光性カラーレジストを塗布し、そのカラーレジスト膜を露光及び現像処理して前記複数の画素に対応する外形にパターニングすることにより、前記複数の色のカラーフィルタを形成するとともに、前記非着色層の上の前記カラーレジストを除去するものであるため、前記液晶素子を得ることができる。
【0092】
この製造方法においては、前記非着色層を前記カラーフィルタの膜厚よりも厚く形成し、前記カラーフィルタを形成した後に、前記非着色層の前記カラーフィルタ上に突出する部分をその突出部に付着したカラーレジストと一緒に除去し、前記非着色層の頂面を前記カラーフィルタの表面と面一にするのが好ましく、このようにすることにより、前記反射部の着色光出射領域と非着色光出射領域の液晶層の電気光学特性を同じにした液晶素子を得ることができる。
【0093】
また、この製造方法においては、前記非着色層を前記カラーフィルタの膜厚に、液晶層の厚さに相当する予め定められた高さを加算した厚さに形成し、前記カラーフィルタを形成した後に、前記非着色層の前記カラーフィルタ上に突出する部分の頂面の上に付着したカラーレジストを除去するのが望ましく、このようにすることにより、前記非着色層に基板間隔を規定するための柱状スペーサを兼ねさせた液晶素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施例を示す素子の一部分の断面図。
【図2】前記液晶素子の複数の画素及び非着色層とカラーフィルタの平面図。
【図3】第1の実施例の液晶素子の製造における非着色層とカラーフィルタの形成方法を示す工程図。
【図4】この発明の第2の実施例を示す素子の一部分の断面図。
【図5】第2の実施例の液晶素子の製造における非着色層とカラーフィルタの形成方法を示す工程図。
【符号の説明】
1,2…基板
3…液晶層
4,5…電極
A…画素
A1…反射部
A2…透過部
7…反射膜
8…遮光膜
9…非着色層
10R,10G,10B…カラーフィルタ
Claims (6)
- 表示の観察側である前側の基板とこの前側基板に対向する後側基板との間に液晶層が設けられ、前記前側基板と後側基板の対向する内面の一方に少なくとも1つの電極が、他方の内面に前記少なくとも1つの電極と対向する領域により複数の画素を形成するための複数の電極が設けられるとともに、前記液晶層よりも後側に前記複数の画素内の予め定められた領域にそれぞれ対応させて設けられた複数の反射膜を有し、前記複数の画素毎に前記反射膜が設けられた領域により、前側から入射した光を前記反射膜により反射して前側に出射させる反射部が形成され、前記複数の画素毎に前記反射部以外の領域により、後側から入射した光を透過させて前側に出射させる透過部が形成され、さらに、前記前側基板と後側基板のいずれかの内面に、前記複数の画素それぞれの前記反射部の内側の一部に対応させて感光性透明樹脂からなる非着色層が設けられ、前記複数の画素毎の、前記非着色層が形成された基板の内面の前記非着色層が設けられた部分を除いた他の部分に、前記複数の画素それぞれに対応する1つの色のカラーフィルタが、前記非着色層を囲んで設けられていることを特徴とする液晶素子。
- 非着色層は、カラーフィルタの表面と面一に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶素子。
- 非着色層は、カラーフィルタ上に予め定められた高さに突出しており、前記非着色層の突出端が他方の基板の内面に当接され、この非着色層により前側基板と後側基板との間隔が規定されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶素子。
- 請求項1に記載の液晶素子を製造する方法において、前側基板と後側基板のいずれかの内面に感光性透明樹脂を塗布し、その樹脂膜を露光及び現像処理して複数の画素の反射部内の一部にそれぞれ対応する形状にパターニングすることにより、複数の非着色層をカラーフィルタの膜厚以上の厚さに形成し、その後に、前記基板上に顔料が添加された感光性カラーレジストを塗布し、そのカラーレジスト膜を露光及び現像処理して前記複数の画素に対応する外形にパターニングすることにより、複数の色のカラーフィルタを形成するとともに、前記非着色層の上の前記カラーレジストを除去することを特徴とする液晶素子の製造方法。
- 非着色層をカラーフィルタの膜厚よりも厚く形成し、前記カラーフィルタを形成した後に、前記非着色層のカラーフィルタ上に突出する部分をその突出部に付着したカラーレジストと一緒に除去し、前記非着色層の頂面を前記カラーフィルタの表面と面一にすることを特徴とする請求項4に記載の液晶素子の製造方法。
- 非着色層をカラーフィルタの膜厚に、液晶層の厚さに相当する予め定められた高さを加算した厚さに形成し、前記カラーフィルタを形成した後に、前記非着色層の前記カラーフィルタ上に突出する部分の頂面の上に付着したカラーレジストを除去することを特徴とする請求項4に記載の液晶素子の製造方法。
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