JP4008985B2 - バーチカルクランク軸型エンジンのマウント構造 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンのマウント構造に関し、特に汎用バーチカルクランク軸型エンジンの機枠（筐体）に対する支持に適したマウント構造に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
例えば発電機やポンプ、或いはコンプレッサ等の定置式設備の原動機としてレシプロエンジンを用いる場合、クランク軸回りの振動の伝達を効率良く遮断できる方法でエンジンを支持することが望ましい。
【０００３】
このためのエンジン振動の遮断方法としては、円柱状の防振ゴムを、その軸線を垂直にしてエンジンの重心まわりに配置する手法が周知である。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、この従来の手法によると、エンジンのトルクロール軸（回転運動の中心）から離れた位置に防振ゴムを配置せざるを得ない。トルクロール軸から離れた位置は、力の釣り合いから見て支持力は小さくて済む反面、振動減衰のストロークは大きくなるため、撓み量が過大になって防振ゴムの耐久性が損なわれるという問題が生じる。また重心回りは、エンジンのシリンダやクランクケースの直近であるために高温となるので、この熱によっても防振ゴムの耐久性が低下しがちとなる。しかも、支持位置がエンジンの外形輪郭からはみ出した位置になるので、機枠（筐体）の大型化が避けられない。
【０００５】
本発明は、このような従来技術に課せられた問題点を解消し、十分な振動遮断性を確保した上で高い耐久性が得られ、しかも機枠（筐体）の大型化を招かずに済むように改良されたバーチカルクランク軸型エンジンのマウント構造を提供することを目的になされたものである。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
このような目的を果たすために、本発明においては、機枠（筐体）に対して防振ゴムを介してバーチカルクランク軸型エンジンをマウントするに際し、当該エンジンの上下各端面におけるトルクロール軸を挟む対称な位置に、その取付面を上下方向に向けた各一対の防振ゴムを設けるものとした。これによれば、上下２ヶ所でエンジンを支えることができ、ばね定数の高い圧縮抵抗でエンジンの垂直荷重を受け、ばね定数の低いせん断抵抗で振動を吸収するようにでき、エンジン投影面内に防振ゴムを配置することができ、かつ支持位置をトルクロール軸に近づけることができる。特に上下の防振ゴムを互いに概ね９０度の位相をずらした位置に設けるようにすれば、クランク軸回りのオービタル振動を最低限の支持点数で受けられる。
【０００７】
【発明の実施の形態】
以下に添付の図面を参照して本発明の一実施例について詳細に説明する。
【０００８】
図１および図２は、本発明が適用されたパワーユニットを示している。このパワーユニット１は、シリンダ軸を水平方向に延在させた単気筒のバーチカルクランク軸型エンジン２と、該エンジン２のクランク軸に直結されたロータリーコンプレッサ３とからなり、図示されていない空気調和装置の室外機の筐体内に収容される。
【０００９】
エンジン２は、シリンダブロック４を中央に置き、その上面にフライホイールのハウジング５を、その下面にオイルパン６を、それぞれ結合している。そしてフライホイールハウジング５の上面に、冷媒ガスを圧縮するコンプレッサ３が、そのエンドプレート７を介して固定されている。
【００１０】
このパワーユニット１は、上下の各端面、つまりフライホイールハウジング５の上面とオイルパン６の下面とが、それぞれ各一対の防振ゴム８Ｌ・８Ｕを介して筐体に支持されている。
【００１１】
防振ゴム８Ｌ・８Ｕは、概ね鼓形をなし、その軸線を垂直に向けている。下側の防振ゴム８Ｌは、筐体の底壁９の上面とオイルパン６の底壁下面との間に挟設されている。そして上側の防振ゴム８Ｕは、筐体の底壁９の上面に垂直に立設された逆Ｕ字形をなす一対のスタンド１０の頂部に固設されたブラケット１１の水平部１１ａの上面と、フライホイールハウジング５の上面に立設された各一対のボス５ａの上端面間に掛け渡されてボルト止めされたブリッジ状のブラケット１２の下面との間に挟持されている。また上下の各一対の防振ゴム８Ｌ・８Ｕは、それぞれがエンジン２のトルクロール軸ＴＡ（クランク軸中心と僅かにずれている）を挟んで対称位置に設けられ、かつ、上下の各一対の防振ゴム８Ｌ・８Ｕ同士は、互いに約９０度の位相差を付けた位置に設けられている。
【００１２】
これにより、上下の各一対の防振ゴム８Ｌ・８Ｕは、パワーユニット１の垂直荷重を共に圧縮抵抗で受け、そしてトルクロール軸ＴＡ回りのトルク荷重を共にせん断抵抗で受けるようになっている。
【００１３】
【発明の効果】
このように本発明によれば、以下のような格別な効果が得られる。
１．上下２ヶ所でエンジンを支えるので、エンジン姿勢の過度な変化を防止できる。
２．コンプライアンスの低い圧縮抵抗でエンジンの垂直荷重を受け、コンプライアンスの高いせん断抵抗で回転振動を吸収するので、支持剛性と振動遮断性とをより一層高い次元で両立し得る。
３．エンジンの水平投影面内に防振ゴムを配置できるので、筐体（機枠）の外形寸法が大きくならずに済む。
４．振動減衰ストロークが小さくて済むので、特に高温となるシリンダブロックから離れた位置に防振ゴムを取り付けられることと相俟って、防振ゴムの耐久性をより一層向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明によるパワーユニットの立面図。
【図２】本発明によるパワーユニットの平面図。
【符号の説明】
１ パワーユニット
２ エンジン
３ コンプレッサ
４ シリンダブロック
５ フライホイールハウジング
６ オイルパン
７ エンドプレート
８ 防振ゴム
９ 筐体の底壁
１０ スタンド
１１・１２ ブラケット

Claims (2)

1. バーチカルクランク軸型エンジンのマウント構造であって、
   当該エンジンの上下各端面の水平投影面内におけるトルクロール軸を挟む対称な位置に、その取付面を上下方向に向けた各一対の防振ゴムを配設することを特徴とするバーチカルクランク軸型エンジンのマウント構造。
2. 上下の防振ゴムが互いに概ね９０度の位相をずらした位置に配設されることを特徴とする請求項１に記載のバーチカルクランク軸型エンジンのマウント構造。

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