JP4006368B2 - スラリー原液の比重調整方法および比重調整装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、スラリーモルタル用のスラリー原液の比重を調整する方法と装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
トンネル掘削等で排出される汚泥スラリーを有効活用するものとして、汚泥スラリーを用いたスラリー原液にセメントを配合したスラリーモルタルがある。このスラリーモルタルは非常に安価であるが、比重と粘性が安定しないので、その用途がスラリーモルタルを容易に移送できるコンクリート護岸等の地上に広く開口した場所の埋め戻し用に限定され、長い移送用配管でポンプ圧送する必要があるトンネルの埋め戻しには使用されていなかった。
【0003】
この問題に対して、汚泥スラリーに精製土類、水、増粘剤、解膠剤等を添加して、スラリー原液の比重や粘性を所定の範囲に調整し、送電線、通信線等のケーブル用配管やガス、水道用等の配管を埋設するトンネルの埋め戻しにも、スラリーモルタルを使用可能とし、汚泥スラリーをより幅広く活用できるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
スラリー原液の比重を調整する具体的な手段としては、アジテータを設けた攪拌槽に、比重を測定した汚泥スラリーを供給し、測定された比重が小さすぎる場合は精製土類を、大きすぎる場合は水を添加するとともに、攪拌後にスラリー原液をサンプリングしてその比重を測定し、比重が所定の範囲内にあるか否かを確認する方法が採用されている。比重が所定の範囲内であることを確認されたスラリー原液は、セメントと混合するミキサに送られる(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−285697号公報(第2−3頁)
【特許文献2】
特開平11−173100号公報(第3−4頁、第1図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来のスラリー原液の比重調整方法は、汚泥スラリーが供給される一つの攪拌槽で水や精製土類を添加して比重を調整し、この攪拌槽からスラリー原液をサンプリングして、その比重が所定の範囲内にあるか否かを確認するようにしているので、水や精製土類が汚泥スラリーと十分に攪拌されてからサンプリングしないと、測定される比重のバラツキが大きくなって、調整されたスラリー原液の比重の合否判定が不正確となる問題がある。
【0007】
また、この合否判定を正確にするために、サンプリングまでの攪拌時間を長くすると、水や精製土類を添加してから、比重を調整したスラリー原液を攪拌槽から排出するまでのインターバルが長くなる問題がある。
【0008】
そこで、この発明の課題は、調整されたスラリー原液の比重の合否を的確に判定でき、かつ、比重を調整したスラリー原液をインターバルなしで排出できるようにすることである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、この発明のスラリー原液の比重調整方法は、攪拌槽に供給される汚泥スラリーに、水または精製土類を選択的に添加して、スラリー原液の比重を調整するスラリー原液の比重調整方法において、複数の攪拌槽を上流側から下流側へ通路で直列に接続し、この直列に接続した最上流側の攪拌槽に前記汚泥スラリーを供給して、最下流側の攪拌槽から前記スラリー原液を排出し、最下流側の攪拌槽から排出されるスラリー原液の比重を測定して、この測定結果に基づいて、前記最上流側の攪拌槽に前記水または精製土類を添加する方法を採用した。
【0010】
すなわち、複数の攪拌槽を上流側から下流側へ通路で直列に接続し、汚泥スラリーを最上流側の攪拌槽に供給して、スラリー原液を最下流側の攪拌槽から排出するようにし、この最下流側の攪拌槽から排出されるスラリー原液の比重測定結果に基づいて、最上流側の攪拌槽に水または精製土類を添加することにより、常に汚泥スラリーと水や精製土類が十分に攪拌されたスラリー原液の比重を測定可能とし、調整されたスラリー原液の比重の合否を的確に判定でき、かつ、比重を調整したスラリー原液をインターバルなしで排出できるようにした。
【0011】
また、この発明のスラリー原液の比重調整装置は、攪拌槽に供給される汚泥スラリーに、水または精製土類を選択的に添加して、スラリー原液の比重を調整するスラリー原液の比重調整装置において、前記攪拌槽を複数に設けて、これらを上流側から下流側へ通路で直列に接続し、最上流側の攪拌槽に前記汚泥スラリーの供給口を、最下流側の攪拌槽に前記スラリー原液の排出口を設け、この排出口に排出されるスラリー原液の比重を測定する比重測定手段を設けて、この比重測定手段の測定結果に基づいて、前記最上流側の攪拌槽に前記水または精製土類を添加する構成を採用した。
【0012】
前記比重測定手段としては、前記排出口に取り付けてスラリー原液の比重を直接測定する比重測定器や、排出口にサンプリング口を設けて、サンプリングしたスラリー原液の比重を測定する手段を採用することができる。なお、最下流側の攪拌槽から排出されるスラリー原液の比重の変動は緩やかであるので、比重の測定タイミングは適当に間隔を開けてもよい。
【0013】
前記排出口に取り付け可能な比重測定器としては、例えば、排出口に一定内径のパイロット配管を接続し、このパイロット配管に排出口との間に一定の落差hを設けて圧力計を取り付けたものを採用することができる。すなわち、スラリー原液の比重をρとすれば、圧力計で検出される圧力pは、次式で表されるので、検出される圧力pから比重ρを逆算することができる。
ρ = p/h (1)
【0014】
前記最上流側の攪拌槽への汚泥スラリーの供給口に、供給される汚泥スラリーの比重を測定する比重測定手段を設けることにより、この供給口の比重測定手段の測定結果に基づいて、水や精製土類の添加によるスラリー原液の比重の粗調整を行うことができ、前記排出口でのスラリー原液の比重の変動をより少なくして、排出口の比重測定手段の測定結果に基づく水や精製土類の添加量を減らし、比重が調整されたスラリー原液をより安定して排出することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に、図面に基づいて、この発明の実施形態を説明する。このスラリー原液の比重調整装置は、図1に示すように、汚泥スラリーの供給配管1が設けられた上流側の攪拌槽2と、その下流側に通路配管3で接続され、スラリー原液の排出配管4が設けられた下流側の攪拌槽5とから成り、各配管1、4には比重測定器6が設けられている。また、各攪拌槽2、5には攪拌ポンプ7が設けられ、通路配管3の入口には、攪拌槽2内のスラリー原液を攪拌槽5に送るサンドポンプ8が設けられている。
【0016】
前記汚泥スラリーは、トンネル等の掘削土から土砂回収装置9により、固結粘度や粗い砂礫を除去して得られるものであり、その比重は様々である。攪拌槽2に供給される汚泥スラリーは、後述するように、各配管1、4に設けた比重測定器6の測定結果に基づいて、水と精製土類の選択的な添加で比重を所定の範囲(1.090〜1.145g/cm3)に調整されて、配管3から攪拌槽5に送られ、さらに攪拌されて排出配管4からスラリー原液として、セメントとの混合用のミキサ10に送られる。
【0017】
前記比重測定器6は、図1に示すように、それぞれ配管1、4に接続した一定内径のパイロット配管11に、各配管1、4との間に一定の落差hを設けて圧力計12を取り付けたものである。この圧力計12はダイアフラムと圧力センサを組み合わせて、その取り付け位置の落差hでのパイロット配管11内の流体による圧力pを検出するものであり、流体の比重ρは前記(1)式から逆算することができる。
【0018】
前記パイロット配管11には分岐する排出管13が設けられ、パイロット配管11の上部入口と排出管13には、それぞれ開閉弁14a、14bが設けられている。したがって、比重を測定する際には、開閉弁14aを開けてパイロット配管11内に各配管1、4内の流体を導入し、比重測定後には、開閉弁14bを開けてパイロット配管11内の測定した流体を排出するとともに、開閉弁14aを閉める。
【0019】
この実施形態では、配管1に設けた比重測定器6の測定結果に基づいて、攪拌槽2に供給される汚泥スラリーの比重が一定となるように粗調整し、配管4に設けた比重測定器6の測定結果に基づいて、配管4から排出されるスラリー原液の比重が1.090〜1.145g/cm3 の範囲に入るように、攪拌槽2に水と精製土類を選択的に投入するようにしている。なお、配管1での比重の測定は、供給される汚泥スラリーのロットが替わる毎に行い、配管4での比重の測定は、10〜30分の間隔で行っている。
【0020】
上述した実施形態では、攪拌槽を上流側と下流側とに2槽に接続したが、3槽以上に接続することもできる。
【0021】
また、上述した実施形態では、汚泥スラリーとスラリー原液の比重を、それぞれ供給配管1と排出配管4に設けた比重測定器6で直接測定するようにしたが、従来のように、これらをサンプリングして測定することもできる。なお、供給配管1の比重測定器6は省略してもよい。
【0022】
【発明の効果】
以上のように、この発明のスラリー原液の比重調整方法は、複数の攪拌槽を上流側から下流側へ通路で直列に接続し、汚泥スラリーを最上流側の攪拌槽に供給して、スラリー原液を最下流側の攪拌槽から排出するようにし、この最下流側の攪拌槽から排出されるスラリー原液の比重測定結果に基づいて、最上流側の攪拌槽に水または精製土類を添加し、常に汚泥スラリーと水や精製土類が十分に攪拌されたスラリー原液の比重を測定可能としたので、調整されたスラリー原液の比重の合否を的確に判定でき、かつ、比重を調整したスラリー原液をインターバルなしで連続的に排出することができる。
【0023】
また、この発明のスラリー原液の比重調整装置は、攪拌槽を複数に設けて、これらを上流側から下流側へ通路で直列に接続し、最上流側の攪拌槽に汚泥スラリーの供給口を、最下流側の攪拌槽の攪拌槽にスラリー原液の排出口を設け、この排出口に排出されるスラリー原液の比重を測定する比重測定手段を設けて、この比重測定手段の測定結果に基づいて、最上流側の攪拌槽に水または精製土類を添加し、常に汚泥スラリーと水や精製土類が十分に攪拌されたスラリー原液の比重を測定可能としたので、調整されたスラリー原液の比重の合否を的確に判定でき、かつ、比重を調整したスラリー原液をインターバルなしで連続的に排出することができる。
【0024】
前記最上流側の攪拌槽への汚泥スラリーの供給口に、供給される汚泥スラリーの比重を測定する比重測定手段を設けることにより、この供給口の比重測定手段の測定結果に基づいて、水や精製土類の添加によるスラリー原液の比重の粗調整を行うことができ、前記排出口でのスラリー原液の比重の変動をより少なくして、排出口の比重測定手段の測定結果に基づく水や精製土類の添加量を減らし、比重が調整されたスラリー原液をより安定して排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】スラリー原液の比重調整装置の実施形態を示す構成図
【図2】図1の比重測定器の取り付け状態を示す概略斜視図
【符号の説明】
1 配管
2 攪拌槽
3、4 配管
5 攪拌槽
6 比重測定器
7 攪拌ポンプ
8 サンドポンプ
9 土砂回収装置
10 ミキサ
11 パイロット配管
12 圧力計
13 排出管
14a、14b 開閉弁
Claims (3)
- 攪拌槽に供給される汚泥スラリーに、水または精製土類を選択的に添加して、スラリー原液の比重を調整するスラリー原液の比重調整方法において、複数の攪拌槽を上流側から下流側へ通路で直列に接続し、この直列に接続した最上流側の攪拌槽に前記汚泥スラリーを供給して、最下流側の攪拌槽から前記スラリー原液を排出し、最下流側の攪拌槽から排出されるスラリー原液の比重を測定して、この測定結果に基づいて、前記最上流側の攪拌槽に前記水または精製土類を添加するようにしたことを特徴とするスラリー原液の比重調整方法。
- 攪拌槽に供給される汚泥スラリーに、水または精製土類を選択的に添加して、スラリー原液の比重を調整するスラリー原液の比重調整装置において、前記攪拌槽を複数に設けて、これらを上流側から下流側へ通路で直列に接続し、最上流側の攪拌槽に前記汚泥スラリーの供給口を、最下流側の攪拌槽に前記スラリー原液の排出口を設け、この排出口に排出されるスラリー原液の比重を測定する比重測定手段を設けて、この比重測定手段の測定結果に基づいて、前記最上流側の攪拌槽に前記水または精製土類を添加するようにしたことを特徴とするスラリー原液の比重調整装置。
- 前記最上流側の攪拌槽への汚泥スラリーの供給口に、供給される汚泥スラリーの比重を測定する比重測定手段を設けた請求項2に記載のスラリー原液の比重調整装置。
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JP2003200488A JP4006368B2 (ja) | 2003-07-23 | 2003-07-23 | スラリー原液の比重調整方法および比重調整装置 |
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-
2003
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