JP4006285B2 - 容器搬送装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、容器を搬送する装置に関し、特に軽量のボトルを倒すことなく集合状態から単列化することのできる容器搬送装置および搬送コンベアのガイド等に関する。
【0002】
【従来の技術】
容器(以下、壜とする)に飲料等を充填するプラントにおいて、壜を搬送する形態として複数のチェーンコンベアを利用したコンベア搬送が知られている。飲料充填プラントでは充填機、検査機、包装機等が高速で運転されるようになってきている。これらの各機器では、壜を一本ずつ処理するため、壜を一列に並べて(以下、壜を一列に並べることを単列化と称する)供給する必要がある。
【0003】
飲料充填プラントに納入された壜は、開梱されてパレタイザによって搬送される。そして壜は、パレタイザによって所定の数だけまとめてコンベアへと載せられる。まとまった状態(集合状態)の壜を単列化するためには、速度の異なるチェーンコンベア間での壜の乗り移り(移送)を行う。そのために、各々のチェーンコンベア間にまたがるように、ガイドが設けられている。コンベアに載せられた壜はガイドに衝突し、ガイドに沿って搬送および移送されながら単列化される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
飲料等を充填する壜としては、ガラス壜、ペットボトルまたは缶等が用いられている。特に最近市場で急増しているペットボトルは、なるべく薄く、少ない材料を用いて、かつ圧力に耐え得るように設計されており、ガラス壜と比べて軽量である。また、ペットボトル等の壜は、略円筒状または略直方体のものを立てた状態でコンベア搬送されるため、搬送中における重心は比較的高い位置にある。つまり、軽量かつ重心位置の高い壜は、不安定な状態で搬送される。
このような壜がガイドに衝突する際に、壜が倒れてしまう(以下、壜が倒れることを倒壜とする)ことがある。そこで、複数のチェーンコンベアおよびガイドからなる単列化装置は、壜が衝突した際にも倒壜を起こすことがなく、かつ各々のチェーンコンベア間での壜の移送をスムーズに行い、単列化することができるように設計される。
【0005】
従来より、比較的質量の大きなガラス壜を単列化するためのガイド設計が行われていた。このガイドの設計は、倒壜を起こさないようなガイドの形状等を主に経験的に把握することによって行われ、ペットボトル等の不安定な壜を単列化する際に用いられるガイドについても、上述した設計のガイドが流用されていた。容器搬送装置では多種多様の軽量かつ重心の位置が比較的高い壜を、倒壜させることなく、かつ効率良く搬送および移送する必要があり壜を単列化する際に倒壜が頻発する場合、コンベアの搬送方向に対するガイドの傾斜角度を小さくする安全側の措置がとられていた。しかしながら、これでは、単列化に要する距離が長くなってしまう問題があった。
【0006】
また、壜をパレタイザから直接単列で取りだして搬送する方法も知られているが、省スペース化を図った構造だけに、一旦トラブルが発生すると修復に時間を要し、飲料充填プラントの稼動率を低下させる危険が大きい。
【0007】
そこで、本発明は、コンベアの制御および全体構造を複雑化することなく、かつ倒壜を起こすことがないかまたは倒壜を抑制して搬送および移送を行い、集合状態で供給された壜を単列化することのできる容器搬送装置を提供することを目的とする。
また本発明は、コンベア上に設けられると共に、倒壜を起こすことがないかまたは倒壜を抑制した搬送路を形成することのできる搬送コンベアのガイドを提供することを他の目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
容器搬送装置において、倒壜の可能性がある部分は限られており、その部分において倒壜が発生する危険性を回避すれば、本発明の目的を達成することができる。それに伴い、最も効率良く容器を搬送および移送することのできる容器搬送装置を提供することができる。
そこで、本発明は、以上の課題を解決するために、次のように構成されたことを特徴とする容器搬送装置を提供する。この搬送速度の異なるコンベア間で容器を移送する容器搬送装置は、容器を集合状態で搬送する第1の搬送コンベアと、第1の搬送コンベアよりも下流側に設けられると共に、第1の搬送コンベアよりも搬送速度の速い第2の搬送コンベアと第1の搬送コンベアから第2の搬送コンベアにわたって容器の搬送路を形成するガイドとを有する。そして第2の搬送コンベアは、nを2以上の任意の整数とすると、第1のコンベアから第nのコンベアへと搬送路に沿って容器を搬送する多列のコンベアを有し、1列目のコンベアである第1のコンベアの搬送速度をv1、n列目のコンベアである第nのコンベアの搬送速度をvnとすると、第1のコンベアから第nのコンベアにかけての搬送速度v1〜搬送速度vnは、略等差級数をなすように増加し、第nのコンベアに隣接し、かつ第nのコンベアよりも上流側に配設された第(n−1)のコンベアの速度をv n−1 、第nのコンベアに対するガイドの傾斜角度をθ n−1 、第(n−1)のコンベア上で容器が搬送路に沿って搬送される速度をv n−1 cosθ n−1 とし、第(n−1)のコンベアに隣接する第nのコンベアの速度をv n 、第nのコンベアに対するガイドの傾斜角度をθ n 、第nのコンベア上で容器が搬送路に沿って搬送される速度をv n cosθ n とすると、第(n−1)のコンベアおよび第nのコンベアが容器を、第(n−1)のコンベアおよび第nのコンベアの搬送方向に対して垂直な方向(横断する方向)に移送する移送速度v n−1 cosθ n−1 sinθ n−1 およびv n cosθ n sinθ n を、v n−1 cosθ n−1 sinθ n−1 ≒v n cosθ n sinθ n とする。つまり、移送速度が略一定となるように、コンベアの搬送速度vnおよびガイドの傾斜角度θnが設定される。
ここで、第1のコンベアから第nのコンベアまでの速度分布は、第2の搬送コンベア全体における搬送速度の等差級数の差分に対するずれを、±17%の範囲内とする。コンベアの速度分布が以上の範囲内であれば、容器の底部とコンベアとの間の摺動力とその作用時間が略一定となる。
より具体的には、第nのコンベアに隣接し、かつ第nのコンベアよりも上流側に配設された第(n−1)のコンベアと第nのコンベアとの速度差を、0.15m/s以下とする。そうすることによって、容器が急激に加速される危険がなくなる。
さらに、第(n−1)のコンベア上における容器の移送速度vn−1cosθn−1sinθn−1と、第nのコンベア上における容器の移送速度vncosθnsinθとの差を、(−5)〜30%の範囲内とする。隣接するコンベア上における移送速度の差が以上の範囲内であれば、容器の移送速度が多少異なっていても特定の容器に急激な摺動力変化を与えるのを防止することができる。
第1の搬送コンベアに対するガイドの平均傾斜角度θ0は、第1のコンベアに対するガイドの傾斜角度θ1よりも大きく設定され、第1の搬送コンベアの搬送速度v0は、第1のコンベアの搬送速度v1よりも遅く制御される。そうすることによって、集合状態で供給された容器を第2の搬送コンベアに一定量ずつスムーズに移送することができる。ただし、第1の搬送コンベアに対するガイドと第1のコンベアに対するガイドは滑らかにつなぐ必要があり、この間のガイド傾斜角度はθ0からθ1へと滑らかに移行する。また、第1の搬送コンベアに対するガイドの入り口部についても、多列で供給された容器をガイドに沿った動きに移行させるため、傾斜角度を0からθ0に向けて、滑らかに変化させる必要がある。
更に、第1の搬送コンベアに対するガイドの傾斜角度θ0は、35°〜60°の範囲内とする。搬送される容器の形状が多種多様なものであっても、ガイドの傾斜角度をこの範囲に設定することによって、第1の搬送コンベアの搬送速度に対して第2の搬送コンベア間への容器の移送速度を大きく取る事ができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に示す本実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明する。
図1は、本実施の形態における容器搬送装置の平面図である。図示するように容器搬送装置は、矢印方向に移動して壜50を搬送する供給コンベア20と、それぞれ搬送速度が異なる複数のチェーンコンベア30a〜30oによって構成された多列コンベア30とを備える。チェーンコンベア30a〜30oの搬送速度は、供給コンベア20から遠ざかるにつれて速くなるように制御されるものとする。供給コンベア20および多列コンベア30上には、各々のコンベアにまたがるようにガイド10が配設されている。供給コンベア20より供給された壜50はガイド10に沿って搬送され、多列コンベア30上をガイド10に沿った方向(搬送方向と傾斜した方向)に移送されて単列化される。つまりガイド10は、壜50が搬送される搬送路を形成している。
【0012】
図1の容器搬送装置において、供給コンベア20の領域を壜50が供給される供給領域41とする。またチェーンコンベア30a〜30nにかけての領域を、壜50が搬送方向に対して傾斜した方向に搬送されながら単列化される単列化領域42とする。さらに単列化された壜50が排出されるチェーンコンベア30oの領域を単列化壜排出領域43とする。また、供給領域41から供給された壜50がガイド10に衝突して微小なバウンド(衝突と反発)を繰り返しながら搬送される領域をガイド10の上流側11、壜50とガイド10との間のバウンドが減衰し、壜50がガイド10と摺動しつつ搬送される領域をガイド10の下流側12として以下の説明を行う。
【0013】
図2は、本実施の形態における容器搬送装置上の壜50の流れを示す図である。図2(a)に示すように集合状態の壜50は、パレタイザ等によって供給コンベア20上に載せられ、供給領域41から供給される。これらの壜50はガイド10に衝突し、またはガイド10に衝突した他の壜50からの干渉を受け、供給コンベア20から多列コンベア30へと移送される。多列コンベア30上に移送された壜50は、図2(b)および図2(c)に示すように、各々のチェーンコンベア上で搬送速度を速められながらガイド10にて形成された搬送路に沿って搬送および移送される。集合状態の壜50は、単列化領域42において徐々にその列数を減少させられて、単列化される。図2(d)に示すように、ガイド10に沿って単列化壜排出領域43まで搬送された壜50は単列化されている。そして図2(e)に示すように、単列化壜排出領域43には単列化された壜50が次々に搬送されてくる。
【0014】
このとき、壜50の径をDとした場合、互いに隣接する壜同士の間隔は次工程において必要な間隔に応じて、例えば1.4D程度になるように設定される。そして単列化された壜50は単列化壜排出領域43より、次工程へと排出、搬送される。隣接する壜同士の間隔は、容器搬送装置の設計により任意に制御できる。ところで、ペットボトル等の壜50は弾性体なので、壜50がガイド10と衝突した場合には反発してはね返り、倒壜のおそれがある。そこで本実施の形態の容器搬送装置は、以下のように設計されたガイド10、供給コンベア20および多列コンベア30を備える。
【0015】
本実施の形態による容器搬送装置は、以下の特徴を有している。供給コンベア20により集合状態で搬送された壜50がガイド10に最初に衝突する供給領域41における、ガイド10と供給コンベア20とがなす角度(以下、ガイド10の傾斜角度とする)を所定の範囲内に定める。また多列コンベア30を構成するチェーンコンベア30a〜30o部分では、隣接するチェーンコンベア同士の速度差をできるだけ小さくする。さらに、単列化領域42におけるガイド10の傾斜角度を各々のチェーンコンベアの速度に対応した角度に定める。そして、搬送方向に対して垂直方向に移送される速度(以下、移送速度とする)の差を所定の範囲内とする。さらに容器搬送装置に設けられるガイド10の上流側11では、壜50の重心近傍あるいは重心よりもやや高い位置で、ガイド10に衝突と共に、ガイド10との間で微小にバウンドする壜50の側面を支持する形状とする。一方、下流側12では、できるだけ低い位置でガイド10に摺動しながら搬送される壜50の側面を支持する形状とする。そうすることによって、後述するように、壜50が弾性体にて形成されたものであっても、壜50とガイド10との衝突および摺動に伴う転倒モーメントの作用を防止することができ、倒壜させることなく壜50を搬送することができる。
【0016】
図3は、ガイド10の上流側11付近の部分拡大図である。供給コンベア20上に集合状態で載せられた壜50は、速度v0で矢印方向に移動する供給コンベア20によって搬送されてガイド10に衝突する。速度v0で移動する供給コンベア20に対するガイド10の平均傾斜角度はθ0である。そして壜50は、それぞれ速度v1〜v8で矢印方向(搬送方向)に移動するチェーンコンベア30a〜30hによって搬送される。このとき壜50は、既にガイド沿いに移動する壜50の上から前方へ次々と入り込み、ガイド10との間で微小なバウンドを繰り返しながら、ガイド10によって搬送路を制御されて(搬送方向に対して垂直方向の力を受けて)各々のチェーンコンベアの搬送方向に対して所定角度傾斜した方向に搬送および移送される。速度v1〜v8で移動するチェーンコンベア30a〜30hに対するガイド10の傾斜角度はθ1〜θ8である。
【0017】
ガイド10の、供給コンベア20に対する傾斜が開始する部分の傾斜角度は、平均傾斜角度θ0よりも小さくなるように設定される。そうすると、壜50がガイド10に衝突した際に倒壜するのを防止することができ、さらに壜50の側面が損傷するのを防止することができる。また、供給コンベア20の搬送速度v0は、多列コンベア30の搬送速度よりも遅いものとする。これら平均傾斜角度θ0および搬送速度v0によって移送速度v0cosθ0sinθ0が決まる。供給コンベア20から多列コンベア30への移送速度v0cosθ0sinθ0が遅くなるように規定すれば、壜50を集合状態ではなく一定量ずつスムーズに移送することができる。そして壜50が、供給コンベア20と多列コンベア30の搬送速度の変化による急激な加速を受けることがなくなるため、倒壜する危険性を回避または低減することができる。
【0018】
供給領域41において、壜50は集合状態で搬送されてくるので、ガイド10側からみて最前列の壜50以外(ガイド10から離れた位置の壜50)は、ガイド10に衝突しない。しかしながら図示するように、供給コンベア20の幅が広く形成されているので、ガイド10に対して最前列以外の壜50は、ガイド10に衝突・反発した最前列の壜50からの干渉を受ける。したがって集合状態の壜50が、ガイド10または他の壜50からの干渉を受けずに(移送速度を規定されることなく)いきなり多列コンベア30上に押しだされ、加速されるのを防止することができる。
【0019】
多列コンベア30上で、壜50’が搬送速度の異なるチェーンコンベア間(例えば隣接するチェーンコンベア30a,30b間)にまたがって両方のチェーンコンベア上に載っている場合(隣接するチェーンコンベア間での移送が行われる場合)は、壜50’と各々のチェーンコンベアとの間で摺動が生じる。壜50’とチェーンコンベア30a,30bとが摺動している間は、倒壜の可能性がある。また隣接するチェーンコンベア30a,30bの速度v1,v2の差が大きいと、壜50’との間で摺動する時間が長くなり、かつ移送の際に受ける摺動力が大きくなり、倒壜の危険性が増す。
そこで、隣接するチェーンコンベア同士の速度差が小さくなるように各々のチェーンコンベアの速度を制御する。また壜50の移送の際に、壜50の底部が略均一の摺動力を受けるようにするため、隣接するチェーンコンベア間における壜50の移送速度の差が小さくなるように各々のチェーンコンベアの速度を制御すると共に、ガイド10の傾斜角度を規定する。
【0020】
図4は、チェーンコンベア30a〜30oの速度v1〜v15の一例を示す図である。図示するように、1〜15列目までの隣接するチェーンコンベア30a〜30o間の速度差は、ほぼ等しくなるように制御されている。また、チェーンコンベア30a〜30oといったように、チェーンコンベアを多列に配置することで、隣接するチェーンコンベア間の速度差が小さくなっている。一方、チェーンコンベアを多列に配置することで、一列目のチェーンコンベア30aの速度v1と最終列のチェーンコンベア30oの速度v15との速度差を大きくすることができる。各チェーンコンベアの速度を結ぶと、略直線状となる。つまり、多列コンベア30における各々のチェーンコンベアの速度v1〜v15は、供給コンベア20から遠ざかる(下流側12となる)につれて増加する等差級数をなすように制御されている。
【0021】
図示した速度分布は、ほぼ等差級数的に増加するが、実験データの平均値に基づいて判断すると、倒壜することなく壜50を搬送することのできる隣接するチェーンコンベア同士の速度差は、約0.1m/s(6m/min)であった。このときの速度分布は等差級数的に増加し、その傾きは破線で示す通りである。また、壜50と各々のチェーンコンベアとの摩擦係数、および壜50の重心高さ、径等の条件によっては、隣接するチェーンコンベア同士の速度差を2点鎖線で示すように約0.15m/s(9m/min)とすることができた。したがって、隣接するチェーンコンベアの速度分布がほぼ等差級数的に増加し、隣接するチェーンコンベア同士の速度差が0.15m/s以下であれば、倒壜することなく壜50の搬送および移送を行うことのできる許容範囲とすることができる。
本実施の形態では、15列のチェーンコンベア30a〜30oにて多列コンベア30を形成する場合について例示するが、チェーンコンベアの列数はこれに限られるものではない。また、各々のチェーンコンベア間の速度差は、後に説明するガイド10の傾斜角度を規定することにより適宜変更することができる。
【0022】
さて、図3に示すように、チェーンコンベア30aは搬送方向に速度v1で移動するが、壜50はガイド10に摺動しながら搬送方向に対してcosθ1だけ傾斜した方向に速度v1cosθ1で搬送される。それに伴い壜50は、搬送方向に対して垂直方向(チェーンコンベア30b側)には、速度v1cosθ1sinθ1で移送される。またチェーンコンベア30b上で壜50は搬送方向に対して垂直方向に速度v2cosθ2sinθ2で移送される。それ以降においても壜50は、ガイド10と摺動している間は同様に、搬送方向に対して垂直方向に速度vncosθnsinθnで移送される。この移送速度(搬送方向に対して垂直方向に移送される速度)vncosθnsinθnがばらつくと、壜50が各々のチェーンコンベア間を移送される際に、摺動状態にもばらつきが生じる。
【0023】
そこで、壜50のチェーンコンベア30a上における移送速度v1cosθ1sinθ1と、チェーンコンベア30b上における移送速度v2cosθ2sinθ2との差が所定の範囲内(所定の範囲内については後述する)となるようにガイド10のそれぞれの部位における傾斜角度θ1,θ2を定める。つまり、チェーンコンベア30aにおける移送速度とチェーンコンベア30bにおける移送速度の関係が、v1cosθ1sinθ1≒v2cosθ2sinθ2となるようにする。またチェーンコンベア30b〜30oについても同様に、隣接するチェーンコンベア30n-1,30n間における移送速度がvn-1cosθn-1sinθn-1≒vncosθnsinθnとなるように、傾斜角度θnの値を定める。つまり、隣接するチェーンコンベア間における移送速度vncosθnsinθnの差が所定の範囲内となるように傾斜角度θnの値を定める。このように、単列化領域42における壜50の移送速度vncosθnsinθnを制御すれば、壜50と各々のチェーンコンベアとの間の摺動によって倒壜の可能性を低減することができる。
【0024】
図5は、チェーンコンベア30a〜30oによる移送速度の一例を示す図である。図示するように2〜15列目までの隣接するチェーンコンベア同士の移送速度vncosθnsinθnの差は、約(−5)%〜27%の範囲内となるように制御されている。チェーンコンベア30a〜30cについては、供給コンベア20との間で壜50の受け渡しを行う領域であり、ガイドから離れた位置でチェーンコンベアを横切る容器も多いことから移送速度vncosθnsinθnの差を極力小さくしている。また、チェーンコンベア30d〜30j間では単列化のために移送速度vncosθnsinθnにも差が生じてしまうが、単列化が完了する30k以降のチェーンコンベアにおいても、容器の搬送速度が高いことを考慮し移送速度vncosθnsinθnの差を極力小さくしている。 本実施の形態における容器搬送装置にて搬送される壜50が多種多様な形状のものであることを考慮すると、隣接するチェーンコンベア間における移送速度vncosθnsinθnの差は、(−5)%〜30%の範囲内となるように制御することが望ましい。
【0025】
図6は、ガイド10とチェーンコンベア30a〜30oがなす傾斜角度θ1〜θ15の一例を示す図である。図示するように、ガイド10と1〜15列目までのチェーンコンベア30a〜30oとがなす傾斜角度θnは、図4および図5に示した速度v1〜v15に対応した角度となるように規定される。これらの傾斜角度θnは、各々のチェーンコンベアの速度に応じて適宜変更される。そうすることによって、隣接するチェーンコンベア間での移送速度vncosθnsinθnの差を所定の範囲内とすることができる。
【0026】
ガイド10のチェーンコンベア30a部分の傾斜角度θ1は、供給コンベア20の平均傾斜角度θ0と比較してかなり小さい。これは、供給コンベア20を横切る形でチェーンコンベア30aに移送される多列容器を、極力単列に近い形でチェーン搬送方向に送ろうとするためである。傾斜角度θ1をこのようにすれば、供給コンベア20からチェーンコンベア30aへと壜50が移送される際に倒壜するのを回避または低減することができると共に、壜50がガイド10との衝突および摺動によって壜50の側面が損傷するのを防止することができる。尚、本実施の形態ではθ0を50°になるようにガイド10を設けたが、容器搬送装置にて搬送される壜50が多種多様な形状のものであることを考慮し、傾斜角度θ0は、壜50の種類に応じて35°〜60°の範囲内で選定することが望ましい。
【0027】
以下、図7を用いて、容器搬送装置の上流側11および下流側12におけるガイド10形状について説明する。上述したように壜50は、図7(a)に示す上流側11でガイド10に衝突し、微小なバウンドを繰り返す。また壜50は、下流側12で定常摺動状態となってガイド10に沿って摺動しながら搬送される。壜50の衝突に伴う転倒モーメントと、壜50の摺動に伴う転倒モーメントとは異なるので、ガイド10の上流側11と下流側12を以下のような形状とする。
【0028】
図7(b)は、ガイド10の上流側11のA−A矢視断面図である。図示するように上流側11のガイド10は、多列コンベア30または供給コンベア20に対してほぼ垂直となるように配設された平板状の母材10aと、母材10aに取付けられると共に壜50が衝突するレール10bとから構成される。
多列コンベア30または供給コンベア20の力によって矢印方向(壜50下部に図示)に搬送された壜50は、矢印方向(壜50の重心Gからガイド10の方向)の慣性力にてレール10bへと衝突する。そうすると壜50は、白抜矢印方向(ガイド10から壜50の方向)のレール10bからの反力(転倒モーメント)を受ける。そして壜50はガイド10との間で微小なバウンドを繰り返しつつ、搬送および移送される。
衝突に伴う転倒モーメントの発生を防止するためには、壜50が重心Gの位置でレール10bに衝突することが望ましい。しかしながら、重心Gの位置における壜50の外周面にはラベルが貼られており、壜50が重心Gの位置でレール10bが衝突すると、ラベルが損傷するおそれがある。そもそも容器同志が接触する状態でラベルが損傷しないように、ラベル部分の容器径はその上下部の径より小さく作られている上、横断面の形状も種々あるため、ラベル部分はガイドを当てにくいという事情がある。従って、上流側11においてレール10bは、壜50の重心Gよりも若干高い位置に設けられる。そうすることによって、壜50とガイド10との衝突に伴う転倒モーメントの作用を軽減することができる。反対に重心Gより低い位置で衝突する場合は、足元をすくわれる形の転倒モーメントが作用し倒壜発生の危険が大きいので、レール10bは重心よりやや高めに設けておいた方がむしろ安全側と言える。
【0029】
図7(c)は、ガイド10の下流側12のB−B矢視断面図である。図示するようにガイド10の下流側12では、多列コンベア30に対してほぼ垂直となるように平板状の母材10aが配設されており、母材10a下端部12付近に壜50が摺動するレール10cが取付けられた構成となっている。
多列コンベア30から矢印方向に摺動力を受けつつガイド10に沿って搬送される壜50は、下流側12においてレール10cとの間で定常摺動状態となる。そうすると壜50は、白抜矢印方向のレール10cから多列コンベア30との摺動力に対する反力(転倒モーメント)を受ける。従って、多列コンベア30にできるだけ近い位置にレール10cを設ければ、摺動に伴う転倒モーメントの作用を軽減することができる。
レール10bおよびレール10cは一体に形成されるものとし、両者の接続部分は滑らかなカーブを描きながら垂直方向に変位するように形成されるものとする。
【0030】
また、図7(b)および図7(c)に示した以外にもガイド10は、平板状の母材10aの上部および下部にレールをそれぞれ1本ずつ備えた構成とすることができる。上述のものと同様に、上部のレールは、壜50の重心Gよりも若干高い位置に、下部のレールは、多列コンベア30にできるだけ近い位置にそれぞれ設けられる。ガイド10をこのような構成とした場合、上部のレールは、上流側11では壜50側に凸部を設けることにより壜50と接触し、下流側12では凸部をなくすことにより壜50と接触しない形状とする。また、下部のレールは、上流側11では壜50と接触せず、下流側12では壜50側に設けられた凸部によって壜50と接触する形状とする。そうすれば上述のものと同様の効果を得ることができる。
【0031】
以上のように本実施の形態では、壜50が集合状態で供給される供給コンベア20から多列コンベア30への移送速度を小さくしているので、多列コンベア30への壜50の供給量を一定量とし、かつスムーズに移送することができる。また、隣接するチェーンコンベア同士の速度差を所定の範囲内とし、その速度が等差級数的に増加するように制御することによって、壜50と移送先のチェーンコンベアとの摺動力が急激に変化することがなくなり、倒壜の危険性を回避または低減することができる。さらに各々のチェーンコンベアによる移送速度の差を所定の範囲内とすることにより、倒壜の可能性のばらつきをも低減することができ、容器搬送装置の信頼性がさらに向上する。
またさらに、ガイド10の上流側11および下流側12を、壜50の衝突および摺動による転倒モーメントが発生しないような最適な形状とすることにより、壜50とガイド10との間の力が要因となって倒壜の危険性をも回避または低減することができる。
【0032】
容器搬送装置を以上のような構成としたことによって、倒壜することなく、かつ効率良く壜50を搬送および移送し、単列化することができる。その結果、従来用いられていた装置よりも、搬送方向の長さを20〜30%程短縮することができた。また、容器搬送装置に不具合が発生した場合においても、設計されたどの部位に問題があるかを計算することができるようになるので、復旧に要する時間を短縮することが可能となる。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、コンベアの制御および全体構造を複雑化することなく、かつ倒壜を起こすことがないかまたは倒壜を制御して壜の搬送および移送を行い、壜を集合状態で供給された壜を単列化することのできる容器搬送装置を提供することができる。
【0034】
また、本発明によれば、コンベア上に設けられると共に、容器が衝突した際および容器が摺動搬送される際にも倒壜を起こすことがないかまたは倒壜を抑制した搬送路を形成することのできる搬送コンベアのガイドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施の形態における容器搬送装置の平面図である。
【図2】 本実施の形態における容器搬送装置上の壜50の流れを示す図である。
【図3】 本実施の形態におけるガイド10の上流側11付近の部分拡大図である。
【図4】 チェーンコンベア30a〜30oの速度v1〜v15を示す図である。
【図5】 チェーンコンベア30a〜30oによる移送速度の一例を示す図である。
【図6】 ガイド10とチェーンコンベア30a〜30oがなす傾斜角度θ1〜θ15を示す図である。
【図7】 容器搬送装置の上流側11および下流側12におけるガイド10形状を示す図である。
【符号の説明】
10…ガイド、10a…母材、10b…レール、10c…レール、11…上流側、12…下流側、20…供給コンベア、30…多列コンベア、30a,30b,30c,30d,30e,30f,30g,30h,30i,30j,30k,30l,30m,30n,30o…チェーンコンベア、41…供給領域、42…単列化領域、43…単列化壜排出領域、50…壜
Claims (6)
- 搬送速度の異なるコンベア間で容器を搬送する容器搬送装置であって、
前記容器を集合状態で搬送する第1の搬送コンベアと、
前記第1の搬送コンベアよりも下流側に設けられると共に、当該第1の搬送コンベアよりも搬送速度の速い第2の搬送コンベアと、
前記第1の搬送コンベアから前記第2の搬送コンベアにわたって前記容器の搬送路を形成するガイドと、を有し、
前記第2の搬送コンベアは、
nを2以上の任意の整数とすると、
第1のコンベアから第nのコンベアへと前記搬送路に沿って前記容器を搬送する多列のコンベアを有し、
1列目のコンベアである前記第1のコンベアの搬送速度をv1、n列目のコンベアである前記第nのコンベアの搬送速度をvnとすると、
前記第1のコンベアから前記第nのコンベアにかけての搬送速度v1〜搬送速度vnは、略等差級数をなすように増加し、
前記第nのコンベアに隣接し、かつ当該第nのコンベアよりも上流側に配設された第(n−1)のコンベアの速度をv n−1 、当該第nのコンベアに対する前記ガイドの傾斜角度をθ n−1 、当該第(n−1)のコンベア上で前記容器が前記搬送路に沿って搬送される速度をv n−1 cosθ n−1 とし、
前記第(n−1)のコンベアに隣接する前記第nのコンベアの速度をv n 、当該第nのコンベアに対する前記ガイドの傾斜角度をθ n 、当該第nのコンベア上で前記容器が前記搬送路に沿って搬送される速度をv n cosθ n とすると、
前記第(n−1)のコンベアおよび前記第nのコンベアが前記容器を、当該第(n−1)のコンベアおよび当該第nのコンベアの搬送方向に対して垂直な方向(横断する方向)に移送する移送速度v n−1 cosθ n−1 sinθ n−1 およびv n cosθ n sinθ n を、
v n−1 cosθ n−1 sinθ n−1 ≒ v n cosθ n sinθ n
とすることを特徴とする容器搬送装置。 - 前記第1のコンベアから前記第nのコンベアまでの速度分布は、前記第2の搬送コンベア全体における搬送速度の前記等差級数の差分に対するずれを、±17%の範囲内とすることを特徴とする請求項1に記載の容器搬送装置。
- 前記第(n−1)のコンベアと当該第nのコンベアとの速度差を、0.15m/s以下とすることを特徴とする請求項1に記載の容器搬送装置。
- 前記第(n−1)のコンベア上における前記容器の移送速度vn−1cosθn−1sinθn−1と、
前記第nのコンベア上における前記容器の移送速度vncosθnsinθnとの差を、
(−5)〜30%の範囲内とすることを特徴とする請求項1に記載の容器搬送装置。 - 前記第1の搬送コンベアに対する前記ガイドの平均傾斜角度θ0は、前記第1のコンベアに対する前記ガイドの傾斜角度θ1よりも大きく設定され、
前記第1の搬送コンベアの搬送速度v0は、前記第1のコンベアの搬送速度v1よりも遅く制御されることを特徴とする請求項1に記載の容器搬送装置。 - 前記第1の搬送コンベアに対する前記ガイドの平均傾斜角度θ0は、
35°〜60°の範囲内とすることを特徴とする請求項5に記載の容器搬送装置。
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