《本実施の形態の要約》
〔1〕リードインエリアにおける基本的なデータ構造を再生専用/追記型/書換え型の全てで一致させる。
〔2〕リードインエリアをシステムリードインエリアとデータリードインエリアに分割する。
〔3〕システムリードインエリア内のピットのトラックピッチとピットピッチをデータリードインエリアよりも粗くする。
〔4〕システムリードインエリアではレベルスライス法によりピットからの再生信号を検出し、データリードインエリア及びデータ領域ではPRML(Pertial Response Maximum Likelihood)法で信号検出する。
実施の形態の説明に先立ち、実施の形態の多義に渡るポイントを図1、図2を参照して説明する。図1、図2では、上位概念のポイント内容をアルファベット番号(A等)で分類し、各上位概念ポイントを実行するための工夫(中位概念のポイント)内容を○印でまとめ、更に、その内容を実現する時に必要な細かい内容(下位概念のポイント)を☆印で記載するようにして実施の形態のポイント内容を階層構造的にまとめて記載してある。
ポイント(A)
ファイル分離またはディレクトリ(フォルダ)分離により従来のSD(Standard Definition)用のオブジェクトファイル及び管理ファイルと高画質映像に対応したHD(High Definition)用のオブジェクトファイル及び管理ファイルに対して情報記憶媒体上での分離管理を可能とする(図3、図4)。
ポイント(B)
副映像情報の4ビット表現と圧縮規則(図14〜図20)。
ポイント(C)
再生専用情報記憶媒体において複数種類の記録形式を設定可能とする(図40、図41)。
◇何度でも自由に複製が可能な(それ程重要で無い)コンテンツ内容の場合は、従来と同様、各セグメント毎に繋げて(詰めて)連続にデータを記録する構造。
◇コピー制限の対象となる重要なコンテンツ内容の場合は、情報記憶媒体上で各セグメント毎に分離配置し、その隙間(前後のセグメントの間)に再生専用情報記憶媒体の識別情報、コピー制御情報、暗号鍵関連情報、アドレス情報等を記録可能な構造とし、情報記憶媒体内のコンテンツ保護とアクセスの高速性を保証出来る。
○同一ディスク内ではフォーマットは共通とする(ディスクの途中からフォーマット変更不可)。
○記録するコンテンツ内容に応じて同一ディスク内で2フォーマット混在を許す。
ポイント(D)
積符号を用いたECC(Error Correction Code)ブロック構造(図31、図32)。
図31と図32に示すように本実施の形態では情報記憶媒体に記録するデータを2次元状に配置し、エラー訂正用付加ビットとして行方向に対してはPI(Parity in)、列方向に対してはPO(Parity out)を付加した構造になっている。
○32セクタで一つのエラー訂正単位(ECCブロック)を構成。
図32に示すように本実施の形態では0セクタから31セクタまでの32セクタを縦に順次並べてECCブロックを構成する構造になっている。
ポイント(E)同一セクタ内を複数に分割し、分割された各部分毎に異なる積符号(小ECCブロック)を構成する。
図26に示すようにセクタ内データを172バイト毎に左右に交互配置し、左右で別々にグルーピングされる(左右のグループに属するデータはそれぞれ入れ子状にインターリーブされた形になっている)。この分割された左右のグループは図32に示すように32セクタ分ずつ集められて左右で小さなECCブロックを構成する。図32内での例えば、“2−R”などの意味はセクタ番号と左右グループ識別記号(例えば、2番目の右側のデータ)を表している。(図32中のLは左を表す。)
○同一セクタ内をインターリーブ(等間隔で交互に別のグループに含ませる)し、各グループ毎に異なる小さいECCブロックに属させる。
ポイント(F)
ECCブロックを構成するセクタにより複数種類の同期フレーム構造を規定する。
1個のECCブロックを構成するセクタのセクタ番号が偶数番号か奇数番号かで図34に示すように同期フレーム構造を変化させるところに特徴がある。すなわち、セクタ毎に交互に異なるPOグループのデータが挿入される構造(図33)になっている。
○POのインターリーブ・挿入位置が左右で異なる構造を有する(図33)。
ポイント(G)
ECCブロック内物理セグメント(Physical Segment)分割構造(図53)。
ポイント(H)
ECCブロック間のガード領域配置構造(図47)。
○再生専用/追記型/書換え型間でデータ内容を変える(識別に利用するため)。
○DVD−ROMヘッダにランダム信号を利用する
○ガード領域(のエキストラ領域)内にコピー制御関連または不正コピー防止関連情報を記録する(図42〜図44)。
ポイント(I)
記録可能な情報記憶媒体に対する記録フォーマットでガードエリアが一部重複して記録される。
図68に示すように拡張ガード領域528と後側のVFO領域522が重複し、書換え時の重複箇所541が生じる(図68、図70)。
○書換え時の重複箇所541が無変調領域590内に記録されるように設定されている。
☆物理セグメントの先頭から24ウォブル以降にデータセグメント内のVFO領域が開始する。
○書換え単位を表す記録用クラスタの最後に拡張ガード領域528が形成される。
☆拡張ガード領域528の寸法が15データバイト以上である。
☆拡張ガード領域528の寸法が24バイトとする。
○ランダムシフト量をJm/12(0≦Jm≦154)より大きな範囲とする。
○バッファ領域のサイズを15データバイト以上に設定する。
ポイント(J)
配置を工夫し、連続3個ずつのシンクコードの組み合わせが1個ずれた時のコード変化数を2以上にする(図36〜図38)。
○ガード領域を含まないセクタ構造が繰り返す配置でもコード変化数が2以上になるように工夫。
○ガード領域を挟んでセクタ構造が配置される場合でもコード変化数が2以上になるように工夫。
ポイント(K)
ウォブル変調領域よりウォブル無変調領域の占有率を高く設定する(図53(d)、図58、図59)
○変調領域を分散配置させ、ウォブルアドレス情報を分散記録する(図53(d)、図55)。
☆ウォブルシンク情報580を12ウォブルで構成する(図53(d))。
☆ゾーン情報とパリティ情報605を隣接配置(図53(e))。
☆ユニティ領域608を9アドレスビットで表現(図53(e))。
ポイント(L)
ランド/グルーブ(Land/Groove)記録+ウォブル変調によりアドレス情報を記録(図50)。
ポイント(M)
グルーブ領域にも不定ビットを分散配置する。
○グルーブ作成時に局所的にグルーブ幅を変え、ランド幅一定領域作成。
☆グルーブ領域作成時に露光量を局所的に変化させてグルーブ幅を変化させる。
☆グルーブ領域作成時に2個の露光用集光スポットを用い、両者間の間隔を変えてグルーブ幅変化。
○グルーブでのウォブル振幅幅を変えてグルーブ領域内に不定ビットを配置する(図74)。
ポイント(N)
ランド/グルーブ記録+ウォブル変調で不定ビットをランドとグルーブの両方に分配配置する(図53(e)のトラック情報606、607、図71)。
○局所的にグルーブ幅を変える時にグルーブ幅を制御し、隣接部のランド幅が一定になるようにする。
ポイント(O)
ランド/グルーブ記録において180度(±90度)のウォブル位相変調を採用する(図49)。
ポイント(P)
トラックアドレスに対してグレイコードまたは特殊トラックコードを採用する(図51、図52)。
ポイント(Q)
ガード領域内のシンクデータ領域内に変調規則に従ったデータが記録される(図41)。
○ガード領域内の先頭位置に配置されるポストアンブル領域内にセクタ内と同じシンクコードを記録。
○エキストラ領域はデータ領域の後ろに配置される。
○エキストラ領域はポストアンブル領域の直後に配置される。
ポイント(R)
システムリードインエリアでのトラックピッチと最小マーク長(最小ピットピッチ)を粗くする(図90)。
○システムリードインエリアではレベルスライス法により信号再生(2値化)処理を行う(図138)。
○媒体の識別情報がエンボス領域のシステムリードインエリア内に記録される(図94)。
図94に示したコントロールデータゾーン内の規格書タイプ(Book type)とパートバージョン(Part version)が記録される。規格書タイプに、本実施の形態における再生専用情報記憶媒体では“0100b”(再生専用ディスクのためのHD−DVD規格)、書換え型情報記憶媒体では“0101b”(書換え可能型ディスクのためのHD−DVD規格)を設定する。
図94に示したコントロールデータゾーン内のディスク構造(disc structure)の中に記録されるレイヤタイプ(Layer type)に媒体の再生専用(b2=0,b1=0,b0=1)か、追記型(b2=0,b1=1,b0=1)か、書換え型(b2=1,b1=0,b0=1)かの識別情報と、媒体が再生専用の場合の記録形式(図40(a)に示した第1の例の場合にはb3=0,b2=0,b1=0,b0=1となり、図40(b)に示した第2の例の場合にはb3=1,b2=0,b1=0,b0=1となる。)が記載される。
○既存のDVDディスクか本実施の形態の高密度対応ディスクかの識別情報及びそれに伴う線密度とトラックピッチ情報をシステムリードインエリアに記録すると共にシステムリードインエリアでの線密度とトラックピッチを現行DVDのリードインエリアとの違いが±3割以下に設定する(図94、図90)。
ポイント(S)
データリードインエリア、データ領域、データリードアウト領域ではPRML(partial response maximum likelihood)法による信号再生処理を行う(図140)。
○再生専用情報記憶媒体においてデータリードインエリア内にリファレンスコードゾーンを配置(図87)。
○記録型情報記憶媒体においてデータリードインエリアとシステムリードインエリアとの間にコネクションゾーン(コネクション領域)を配置する(図102、図108)。
ポイント(T)
変調後の“0”の最小連続繰り返し回数を1(d=1)の変調方式を採用する(図112〜図130)。
ポイント(U)
書換え単位を表す記録用クラスタが1個以上のデータセグメントから構成される(図68(c)、図69)。
○同一記録用クラスタ内では全てのデータセグメントのランダムシフト量が一致している。
○ECCブロックの間にあるガード領域内で調整を行い、記録タイミングの修正を行う。
○記録用クラスタ開始位置がウォブルシンク領域直後の無変調領域から記録される。
☆物理セグメントの切り替わり位置から24ウォブル以上ずらした位置から記録を開始する。
上記各ポイント(A)〜(U)にかかる効果〈1〉から〈27〉を図1、図2に示す。一覧表の中で独自効果を発揮する中心となるポイント内容に対しては○印を、独自効果内容に対して関連するが、付加的であり、必ずしも必須では無いポイント内容には△印を付けた。
〔図1、図2に対応した各効果番号毎の効果説明〕
《高画質映像に合わせた大容量を保証した(加えて、高画質映像へのアクセス信頼性を高めた)》
効果〈1〉
従来のSD映像に対して、ファイル又はフォルダ分離によりHD映像を情報記憶媒体に記録する場合、HD映像は解像度が高いため情報記憶媒体の記録容量増加が必須となる。グルーブ記録よりランド/グルーブ記録の方が記録容量の増加が可能であり、プリピットアドレス上には記録マークを形成できないのでプリピットアドレスよりウォブル変調によるアドレス情報記録の方が記録効率が高いので、ランド/グルーブ記録+ウォブル変調が最も記録容量が増加する。この場合、トラックピッチが密になるため、より一層のアドレス検出性能を向上させてアクセスの信頼性を高める必要がある。
本実施の形態では、ランド/グルーブ記録+ウォブル変調で問題となる不定ビットの発生に対して、グレイコードまたは特殊トラックコードを採用して不定ビットの発生頻度を下げてアドレスの検出精度を大幅に増加させることが可能である。シンクコードの組み合わせを工夫してシンクコードに対する誤検知に対して自動修正可能にしたため、シンクコードを用いたセクタ内の位置検出精度が飛躍的に向上した結果、アクセス制御の信頼性と高速性を高めることが出来る。
ランド/グルーブ記録によりトラックピッチを詰めた場合の隣接トラッククロストーク及び上記不定ビットにより記録マークからの再生信号へのノイズ成分の混入が増え、再生信号検出の信頼性が低下する。これに対して、再生にPRML法を採用すると、ML復調時に再生信号に対するエラー訂正機能が備わっているため、再生信号検出の信頼性を向上させることができるので、記録容量増加を目指して記録密度を上げても安定した信号検出が保証できる。
効果〈2〉
情報記憶媒体に記録する映像の高画質化に合わせて副映像の高画質化も必要となるが、副映像を従来の2ビットから4ビット表現にすると、記録すべきデータ量が増大し、それを記録する情報記憶媒体の大容量化が必要となる。グルーブ記録よりランド/グルーブ記録の方が記録容量の増加が可能であり、プリピットアドレス上には記録マークを形成できないので、プリピットアドレスよりウォブル変調によるアドレス情報記録の方が記録効率が高いので、ランド/グルーブ記録+ウォブル変調が最も記録容量が増加する。この場合、トラックピッチが密になるため、より一層のアドレス検出性能を向上させてアクセスの信頼性を高める必要がある。
本実施の形態では、ランド/グルーブ記録+ウォブル変調で問題となる不定ビットの発生に対して、グレイコードまたは特殊トラックコードを採用して不定ビットの発生頻度をアドレスの検出精度を大幅に増加させることが可能となる。シンクコードを用いたセクタ内の位置検出精度が飛躍的に向上した結果、アクセス制御の信頼性と高速性を高めることが出来る。
ランド/グルーブ記録によりトラックピッチを詰めた場合の隣接トラッククロストーク及び上記不定ビットにより記録マークからの再生信号へのノイズ成分の混入が増え、再生信号検出の信頼性が低下する。これに対して、再生時にPRML法を採用すると、ML復調時に再生信号に対しするエラー訂正機能が備わっているため再生信号検出の信頼性を向上させることができるので、記録容量増加を目指して記録密度を上げても安定した信号検出が保証できる。
効果〈20〉
従来のSD映像に対して、ファイル又はフォルダ分離によりHD映像を情報記憶媒体に記録する場合、HD映像は解像度が高いため情報記憶媒体の記録容量増加が必須となる。本実施の形態では“d=1”となる変調方式(ランレングス変調方式:RLL(1,10))を採用し、エンボスピットもしくは記録マークの記録密度を高めて大容量化を達成した。
従来のDVDで採用された“d=2”の変調方式と比べると、検出信号に対するサンプリングタイミングに対する許容ずれ量を表すウィンドマージン幅(ジッタマージン幅または△T)が広い(従来と物理的なウィンドマージン幅を同じにすれば、その分だけ記録密度が向上する)が、最密なエンボスピットピットまたは最密な記録マークピッチが詰まり、そこでの再生信号振幅が大幅に低下して従来のレベルスライス法では信号検出(安定な2値化処理)が出来ないと言う問題があった。
それに対して、本実施の形態では“d=1”となる変調方式を採用すると共に、PRML法を用いた信号検出を採用することで、再生信号検出の信頼性を向上させ、高密度化の達成を可能にした。
効果〈21〉
情報記憶媒体に記録する映像の高画質化に合わせて副映像の高画質化も必要となるが、副映像を従来の2ビットから4ビット表現にすると、記録すべきデータ量が増大するため、それを記録する情報記憶媒体の大容量化が必要となる。本実施の形態では“d=1”となる変調方式を採用し、エンボスピットもしくは記録マークの記録密度を高めて大容量化を達成した。
従来のDVDで採用された“d=2”の変調方式と比べると、検出信号に対するサンプリングタイミングに対する許容ずれ量を表すウィンドマージン幅(ジッタマージン幅または△T)が広い(従来と物理的なウィンドマージン幅を同じにすれば、その分だけ記録密度が向上する)が、最密なエンボスピットピットまたは最密な記録マークピッチが詰まり、そこでの再生信号振幅が大幅に低下して従来のレベルスライス法では信号検出(安定な2値化処理)が出来ないと言う問題があった。
それに対して、本実施の形態では“d=1”となる変調方式を採用すると共に、PRML法を用いた信号検出を採用することで再生信号検出の信頼性を向上させ、高密度化の達成を可能にした。
《効率の良いゾーン分割を可能として記録効率を高め、高画質映像に合わせた大容量を保証した》
効果〈3〉
従来のSD映像に対して、ファイル又はフォルダ分離によりHD映像を情報記憶媒体に記録する場合、HD映像は解像度が高いため情報記憶媒体の記録容量増加が必須となる。グルーブ記録よりランド/グルーブ記録の方が記録容量の増加が可能であり、プリピットアドレス上には記録マークを形成できないのでプリピットアドレスよりウォブル変調によるアドレス情報記録の方が記録効率が高いので、ランド/グルーブ記録+ウォブル変調が最も記録容量が増加する。グルーブ記録よりランド/グルーブ記録の方が記録容量の増加が可能であり、プリピットアドレス上には記録マークを形成できないのでプリピットアドレスよりウォブル変調によるアドレス情報記録の方が記録効率が高いので、ランド/グルーブ記録+ウォブル変調が最も記録容量が増加する。ランド/グルーブ記録の場合には、図48のゾーン構造を取るが、1周をECCブロックの整数倍になるようにゾーン配置をすると記録効率が非常に悪くなる。
それに対して、本実施の形態のように1個のECCブロックを複数(本実施の形態では7個)の物理セグメントに分割し、情報記憶媒体上の1周を物理セグメントの整数倍になるようにゾーンを配置するように設定すると記録効率が非常に高くなる。
効果〈4〉
情報記憶媒体に記録する映像の高画質化に合わせて副映像の高画質化も必要となるが、副映像を従来の2ビットから4ビット表現にすると記録すべきデータ量が増大するため、それを記録する情報記憶媒体の大容量化が必要となる。グルーブ記録よりランド/グルーブ記録の方が記録容量の増加が可能であり、プリピットアドレス上には記録マークを形成できないのでプリピットアドレスよりウォブル変調によるアドレス情報記録の方が記録効率が高いので、ランド/グルーブ記録+ウォブル変調が最も記録容量が増加する。ランド/グルーブ記録の場合には図48のゾーン構造を取るが、1周をECCブロックの整数倍になるようにゾーン配置をすると記録効率が非常に悪くなる。
それに対して、本実施の形態のように1個のECCブロックを複数(本実施の形態では7個)の物理セグメントに分割し、情報記憶媒体上の1周を物理セグメントの整数倍になるようにゾーンを配置するように設定すると記録効率が非常に高くなる。
《高画質映像に合わせて記録密度を上げても、現行と同じ長さの表面の傷まで訂正可能である》
効果〈7〉
従来のSD映像に対して、ファイル又はフォルダ分離によりHD映像を情報記憶媒体に記録する場合、HD映像は解像度が高いため情報記憶媒体の記録容量増加が必須となる。本実施の形態では“d=1”となる変調方式を採用することで、従来DVDと比べてより一層記録密度を上げている。記録密度が高くなると、情報記憶媒体表面に付いた同じ長さの傷が及ぼす記録データへの影響範囲が相対的に大きくなる。
従来のDVDでは、16セクタで1ECCブロックを構成していたのに対して、本実施の形態ではその2倍の32セクタで1ECCブロックを構成することで高画質映像に合わせて記録密度を上げても、現行と同じ長さの表面の傷まで訂正できることを保証した。さらに、1ECCブロック内を2個の小さいECCブロックで構成させると共に1セクタ内を2個のECCブロックに分散配置することで同一セクタ内のデータを実質的にインターリーブしたことになり、より一層長い傷やバーストエラーに対する影響を軽減できる。再生時にPRML法を採用することでML復調時にエラー訂正処理が行われるため、より表面のゴミや傷による再生信号劣化の影響を受け辛くしている。
従来のDVD規格では、情報記憶媒体表面に付いた傷によりシンクコードに対して誤検知が生じた場合、フレームシフトが発生してECCブロック内のエラー訂正能力を著しく低下させていた。それに比べて、本実施の形態では情報記憶媒体表面に付いた傷によりシンクコードに対して誤検知が生じた場合に、フレームシフトとの区別が付くためにフレームシフトを防止させるだけで無く、図136のST7に示すようにシンクコードの誤検知を自動修正出来るため、シンクコードの検出精度と検出安定性が飛躍的に向上する。
図41に示すようにガード領域内もシンクコード433とシンクデータ434の組み合わせ構造を有するため、ガード領域前後に傷やゴミが付いてシンクコードを誤検知してもセクタ内と同様にシンクコードの自動修正が可能となる。その結果、ECCブロックのエラー訂正能力の劣化を防止し、精度と信頼性の高いエラー訂正が可能となる。特に、システムリードインエリアでは記録密度を大幅に下げているため、同じ物理的長さの傷やゴミが付いてもエラー伝搬する距離が短くなる(同一ECCブロック内でのエラーになるデータビット数が相対的に少なくなる)ため、ECCブロックによるエラー訂正の効果がより大きくなる。また、システムリードインエリア内ではシンクコード間の物理的間隔が広くなるため、同じ物理的長さの傷やゴミが付いても同時に2個のシンクコードがエラーになる確率が大幅に低減されるので飛躍的にシンクコードの検出精度が向上する。
効果〈8〉
情報記憶媒体に記録する映像の高画質化に合わせて副映像の高画質化も必要となるが、副映像を従来の2ビットから4ビット表現にすると記録すべきデータ量が増大するため、それを記録する情報記憶媒体の大容量化が必要となる。本実施の形態では“d=1”となる変調方式を採用することで、従来DVDと比べてより一層記録密度を上げている。記録密度が高くなると、情報記憶媒体表面に付いた同じ長さの傷が及ぼす記録データへの影響範囲が相対的に大きくなる。
従来のDVDでは16セクタで1ECCブロックを構成していたのに対して本実施の形態ではその2倍の32セクタで1ECCブロックを構成することで高画質映像に合わせて記録密度を上げても表面の傷が現行と同じ長さまで付くのを保証した。更に、1ECCブロック内を2個の小さいECCブロックで構成させると共に1セクタ内を2個のECCブロックに分散配置することで、同一セクタ内のデータを実質的にインターリーブしたことになり、より一層長い傷やバーストエラーに対する影響を軽減できる。また、再生にPRML法を採用することで、ML復調時にエラー訂正処理が行われるため、より表面のゴミや傷による再生信号劣化の影響を受け辛くしている。また、従来のDVD規格では情報記憶媒体表面に付いた傷によりシンクコードに対して誤検知が生じた場合、フレームシフトが発生してECCブロック内のエラー訂正能力を著しく低下させていた。それに比べて、本実施の形態では情報記憶媒体表面に付いた傷によりシンクコードに対して誤検知が生じた場合にフレームシフトとの区別が付くために、フレームシフトを防止させるだけで無く、図136のST7に示すようにシンクコードの誤検知を自動修正出来るため、シンクコードの検出精度と検出安定性が飛躍的に向上する。
また、図41に示すようにガード領域内もシンクコード433とシンクデータ434の組み合わせ構造を有するため、ガード領域前後に傷やゴミが付いてシンクコードを誤検知してもセクタ内と同様にシンクコードの自動修正が可能となる。その結果、ECCブロックのエラー訂正能力の劣化を防止し、精度と信頼性の高いエラー訂正が可能となる。特に、システムリードインエリアでは記録密度を大幅に下げているため、同じ物理的長さの傷やゴミが付いてもエラー伝搬する距離が短くなる(同一ECCブロック内でのエラーになるデータビット数が相対的に少なくなる)ため、ECCブロックによるエラー訂正の効果がより大きくなる。また、システムリードインエリア内ではシンクコード間の物理的間隔が広くなるため、同じ物理的長さの傷やゴミが付いても同時に2個のシンクコードがエラーになる確率が大幅に低減されるので飛躍的にシンクコードの検出精度が向上する。
効果〈9〉
従来のSD映像に対して、ファイル又はフォルダ分離によりHD映像を情報記憶媒体に記録する場合、HD映像は解像度が高いため情報記憶媒体の記録容量増加が必須となる。本実施の形態では“d=1”となる変調方式を採用することで、従来DVDと比べてより一層記録密度を上げている。記録密度が高くなると、情報記憶媒体表面に付いた同じ長さの傷が及ぼす記録データへの影響範囲が相対的に大きくなる。
従来のDVDでは16セクタで1ECCブロックを構成していたのに対して、本実施の形態ではその2倍の32セクタで1ECCブロックを構成することで高画質映像に合わせて記録密度を上げても表面の傷が現行と同じ長さまで付くのを保証した。更に、本実施の形態では1ECCブロック内を2個の小ECCブロックで構成させると共に、セクタ毎に異なる小ECCブロックに属するPOデータを挿入するため、小ECCブロック内のPOデータが1個おきのセクタ内にインターリーブ配置(分散配置)されるので、POデータの傷による信頼性が上がり、精度の良いエラー訂正処理が可能となる。
従来のDVD規格では、情報記憶媒体表面に付いた傷によりシンクコードに対して誤検知が生じた場合、フレームシフトが発生してECCブロック内のエラー訂正能力を著しく低下させていた。それに比べて、本実施の形態では情報記憶媒体表面に付いた傷によりシンクコードに対して誤検知が生じた場合にフレームシフトとの区別が付くために、フレームシフトを防止させるだけで無く、図136のST7に示すようにシンクコードの誤検知を自動修正出来るため、シンクコードの検出精度と検出安定性が飛躍的に向上する。
図41に示すようにガード領域内もシンクコード433とシンクデータ434の組み合わせ構造を有するため、ガード領域の前後に傷やゴミが付いてシンクコードを誤検知してもセクタ内と同様にシンクコードの自動修正が可能となる。その結果、ECCブロックのエラー訂正能力の劣化を防止し、精度と信頼性の高いエラー訂正が可能となる。特に、システムリードインエリアでは記録密度を大幅に下げているため、同じ物理的長さの傷やゴミが付いてもエラー伝搬する距離が短くなる(同一ECCブロック内でのエラーになるデータビット数が相対的に少なくなる)ため、ECCブロックによるエラー訂正の効果がより大きくなる。また、システムリードインエリア内ではシンクコード間の物理的間隔が広くなるため、同じ物理的長さの傷やゴミが付いても、同時に2個のシンクコードがエラーになる確率が大幅に低減されるので飛躍的にシンクコードの検出精度が向上する。
効果〈10〉
情報記憶媒体に記録する映像の高画質化に合わせて副映像の高画質化も必要となるが、副映像を従来の2ビットから4ビット表現にすると、記録すべきデータ量が増大するため、それを記録する情報記憶媒体の大容量化が必要となる。本実施の形態では“d=1”となる変調方式を採用することで、従来DVDと比べてより一層記録密度を上げている。記録密度が高くなると、情報記憶媒体表面に付いた同じ長さの傷が及ぼす記録データへの影響範囲が相対的に大きくなる。従来のDVDでは、16セクタで1ECCブロックを構成していたのに対して、本実施の形態ではその2倍の32セクタで1ECCブロックを構成することで高画質映像に合わせて記録密度を上げても表面の傷が現行と同じ長さまで付くのを保証した。更に、本実施の形態では1ECCブロック内を2個の小ECCブロックで構成させると共に、セクタ毎に異なる小ECCブロックに属するPOデータを挿入するため、小ECCブロック内のPOデータが1個置きのセクタ内にインターリーブ配置(分散配置)されるので、POデータの傷による信頼性が上がり、精度の良いエラー訂正処理が可能となる。
従来のDVD規格では、情報記憶媒体表面に付いた傷によりシンクコードに対して誤検知が生じた場合、フレームシフトが発生してECCブロック内のエラー訂正能力を著しく低下させていた。それに比べて、本実施の形態では情報記憶媒体表面に付いた傷によりシンクコードに対して誤検知が生じた場合にフレームシフトとの区別が付くために、フレームシフトを防止させるだけで無く、図136のST7に示すようにシンクコードの誤検知を自動修正出来るため、シンクコードの検出精度と検出安定性が飛躍的に向上する。
図41に示すようにガード領域内もシンクコード433とシンクデータ434の組み合わせ構造を有するため、ガード領域の前後に傷やゴミが付いてシンクコードを誤検知しても、セクタ内と同様にシンクコードの自動修正が可能となる。その結果、ECCブロックのエラー訂正能力の劣化を防止し、精度と信頼性の高いエラー訂正が可能となる。特に、システムリードインエリアでは記録密度を大幅に下げているため、同じ物理的長さの傷やゴミが付いてもエラー伝搬する距離が短くなる(同一ECCブロック内でのエラーになるデータビット数が相対的に少なくなる)ため、ECCブロックによるエラー訂正の効果がより大きくなる。システムリードインエリア内ではシンクコード間の物理的間隔が広くなるため、同じ物理的長さの傷やゴミが付いても同時に2個のシンクコードがエラーになる確率が大幅に低減されるので飛躍的にシンクコードの検出精度が向上する。
効果〈26〉
本実施形態ではデータを高密度に記録しても従来と同じ長さの傷に対してエラー訂正出来るようにECCブロック構造を工夫している。しかし、いくらECCブロックを強化しても表面に付いた傷の影響により希望の場所へアクセス出来なければ、情報再生は不可能となる。本実施の形態では変調領域より無変調領域の占有率を高くし、ウォブルアドレス情報を分散配置することで長い傷が付いても検出すべきウォブルアドレス情報に対するエラー伝搬の影響を低減するばかりでなく、図36、図37に示すように同期コードの配置方法を工夫し、1箇所の同期コード検出エラーに対してエラー訂正を可能にしている。この組み合わせにより情報記憶媒体表面に従来と同じ長さの傷が付いても安定にアドレス情報とセクター内の位置情報が読み取れ、再生時の高い信頼性を確保できる。
《情報記憶媒体に記録された情報(からの再生信号検出)の信頼性が大幅に向上する》
効果〈22〉
本実施の形態では上記効果(D)〜(F)に示した技術的工夫を行うことで、従来のDVDフォーマットに比べて大幅にエラー訂正能力を向上させ、情報記憶媒体に記録した情報(からの再生信号検出)の信頼性を向上させている。
一般に、ECCブロックを用いたエラー訂正方法では、訂正前のエラー量が限度を超えるとエラー訂正不能になることから分かるように、エラー訂正前の元のエラー率とエラー訂正後のエラー率との関係には非線形な関係があり、エラー訂正前の元のエラー率低下がECCブロックを用いたエラー訂正能力向上に大きく貢献する。
本実施の形態で採用したPRML法にはML復調時にエラー訂正する能力が備わっているので、PRML法とECCブロックを用いたエラー訂正法を組み合わせることで両者の訂正能力を加算させた以上の情報信頼性を発揮する。
効果〈23〉
従来のSD映像に対して、ファイル又はフォルダ分離によりHD映像を情報記憶媒体に記録する場合、HD映像は解像度が高いため情報記憶媒体の記録容量増加が必須となる。また、情報記憶媒体に記録する映像の高画質化に合わせて副映像の高画質化も必要となるが、副映像を従来の2ビットから4ビット表現にすると記録すべきデータ量が増大するため、それを記録する情報記憶媒体の大容量化が必要となる。そのため、本実施の形態ではランド/グルーブ記録とウォブル変調を組み合わせることでHD映像と高画質な副映像の記録に適した情報記憶媒体を提供できることを効果〈1〉、〈2〉で説明した。
ランド/グルーブ記録を採用した場合、ランドとグルーブの段差(グルーブの深さ)を使用波長λ、透明基板の屈折率nに対してλ/(5n)〜λ/(6n)に設定すると、再生時の隣接トラック間のクロストーク量が小さくできることが知られている。しかし、HD映像と高画質な副映像の記録に適した情報記憶媒体を目指して大容量化実現のためにランドとグルーブのピッチを狭めると、再生時の隣接トラック間のクロストークが発生し、再生信号に大きなノイズ成分が重畳される。この問題点に対して本実施の形態ではPRMLを採用してML復調時にノイズの影響を除去し、狭いランドとグルーブピッチを実現した。
効果〈25〉
従来のSD映像に対して、ファイル又はフォルダ分離によりHD映像を情報記憶媒体に記録する場合、HD映像は解像度が高いため情報記憶媒体の記録容量増加が必須となる。同時に、情報記憶媒体に記録する映像の高画質化に合わせて副映像の高画質化も必要となるが、副映像を従来の2ビットから4ビット表現にすると記録すべきデータ量が増大するため、それを記録する情報記憶媒体の大容量化が更に、必要となる。
本実施の形態では“d=1”となる変調方式を採用することで、従来DVDと比べてより一層記録密度を上げると共に、L/G記録とウォブル変調を併用して更なる記録密度向上を実現している。記録密度が高くなると情報記憶媒体に記録した記録マークからの安定した信号再生・検出が難しくなる。この密度が詰まった記録マークからの信号再生・検出を安定化させるために本実施の形態ではPRML法を採用している。PRML法では再生信号に局所的なレベル変化が現れると、再生信号検出の精度が落ちる。
本実施の形態ではランド領域とグルーブ領域でそれぞれ異なるトラック情報を設定しているため、図50に示すような不定ビットが生じてしまう。不定ビット領域ではグルーブまたはランドの幅が局所的に変化するため、不定ビットの所で再生信号の局所的なレベル変化が生じる。
この不具合を低減するため本実施の形態ではトラック情報を指定する場所にグレイコードまたは特殊トラックコードを採用し、不定ビットの発生頻度を抑えるだけでなくランド領域とグルーブ領域に不定ビットを分散配置して再生信号のレベル変化発生頻度を大幅に低減させている。更に、上記不定ビットはウォブルの変調領域にのみ現れることを利用し、上記の低減方法と組み合わせて変調領域より無変調領域の占有率を高くすることで再生信号のレベル変化発生頻度を極度に低下させ記録マークからの信号再生・検出の精度を飛躍的に向上させている。
《再生専用と追記型との完全互換が取れるとともに、細かい単位での追記処理が可能》
効果〈11〉
従来のDVD−RもしくはDVD−RWでは細かい単位での追記/書換えが不可能で、無理にそれを行おうとして限定オーバーライト(Restricted Overwrite)処理を行うと、既に記録されている情報の一部が破壊されるという問題があった。本実施の形態のように再生専用で複数種類の記録形式を設定可能とし、ECC間にガード領域を持つ記録構造を再生専用で持てるようにしたことで、再生専用と追記型との完全互換が可能となる。更に、このガード領域の途中から追記/書換えを行えるので、追記/書換え処理による既に記録されたECCブロック内の情報を破壊する危険性も無い。同時に、このガード領域の中で追記/書換え時にガード領域が一部重複して記録されるため、ガード領域内に記録マークが存在しないギャップ領域の存在を防止するため、このギャップ領域による2層間のクロストークの影響が除去でき、片面2記録層における層間クロストークの問題も同時に解消できる。
また、このガード領域の中で追記/書換え時にガード領域が一部重複して記録されるが、本実施の形態では一部重複して記録されても図41に示すシンクコード433とシンクデータ434の構造はそのまま保持されるので、シンクコードを用いた位置検出機能は保持されると言う効果がある。
本実施の形態では図33に示すようなECCブロックを構成している。従って、再生時または記録時には最低限1個のECCブロック単位での再生もしくは記録を行う必要がある。従って、高速でかつ効率良く再生または記録を行う場合にはECCブロック単位での処理が最も細かい単位となる。従って、本実施の形態に示すように書換えまたは記録の単位である記録用クラスタを1個のECCブロックのみを含むデータセグメントの集まりとして構成することにより、実質的に最も細かい単位での追記または書き換えを可能としている。
《高画質映像の保護と媒体種別の識別》
効果〈5〉
従来のSD映像に対して、ファイル又はフォルダ分離によりHD映像を情報記憶媒体に記録する場合、HD映像は解像度が高く、不正コピーの保護を強化したいという要求が高い。本実施の形態のようにECCブロック内を複数のセグメントに分割し、再生専用情報記憶倍体内で2種類の記録フォーマットを持ち、不正コピーの保護をしたい高画質映像に対してECCブロック間にガード領域を持たせることで、再生専用/追記型/書換え型間でのフォーマット互換性を確保できるだけでなく、媒体種別の識別が容易となる。
また、媒体種別の識別もしくは不正コピー防止のための保護情報(暗号化の鍵情報)やコピー制御情報について、図41に示すようにガード領域内のエキストラ領域482に記録し、不正コピーの保護を強化出来る。特に、書換え型と追記型での書換え単位または追記単位を表す記録用クラスタ内では(図41に示す)再生専用情報記憶媒体のデータセグメントと全く同じ構造を持ったデータセグメントが連続して並ぶ構造になっているため、記録用クラスタ内では再生専用/追記型/書換え型間のフォーマット互換性が極端に高いため互換性を確保した情報記録再生装置または情報再生装置を作り易い。また、追記型/書換え型の情報記憶媒体も再生専用と同様に強力に不正コピー保護が可能となる。
効果〈6〉
情報記憶媒体に記録する映像の高画質化に合わせて副映像の高画質化も必要となる。従来の2ビットから4ビット表現にした高画質の副映像に対して不正コピーの保護を強化したいという要求が高い。本実施の形態のようにECCブロック内を複数のセグメントに分割し、再生専用情報記憶倍体内で2種類の記録フォーマットを持ち、不正コピーの保護をしたい高画質の副映像に対してECCブロック間にガード領域を持たせることで、再生専用/追記型/書換え型間でのフォーマット互換性を確保できるだけでなく、媒体種別の識別が容易となる。
媒体種別の識別もしくは不正コピー防止のための保護情報(暗号化の鍵情報)やコピー制御情報について、図41に示すようにガード領域内のエキストラ領域482に記録し、不正コピーの保護を強化出来る。特に書換え型と追記型での書換え単位または追記単位を表す記録用クラスタ内では(図41に示す)再生専用情報記憶媒体のデータセグメントと全く同じ構造を持ったデータセグメントが連続して並ぶ構造になっているため、記録用クラスタ内では再生専用/追記型/書換え型間のフォーマット互換性が極端に高いため互換性を確保した情報記録再生装置または情報再生装置を作り易い。また、追記型/書換え型の情報記憶媒体も再生専用と同様に強力に不正コピー保護が可能となる。
《アドレス情報の確定精度を高め、アクセス速度を確保する》
効果〈12〉
不定ビットを持たず、エラー検出コードが付加された部分では非常に高い精度でトラック情報を検出できる。そのため、本実施の形態ではグルーブ領域にも不定ビットを配置し、ランド領域とグルーブ領域の両方に不定ビットを分散配置することでランド領域内にも不定ビットを持たず、エラー検出コードが付加された部分の形成を可能としている。その結果、アドレス情報の確定精度を高め、一定のアクセス速度を確保できる。また、本実施の形態では±90度のウォブル位相変調を採用しているため、グルーブ領域でも不定ビットの作成が容易となる。
《基準クロック抽出精度の向上》
効果〈13〉
本実施の形態ではウォブル周波数(ウォブル波長)は至るところ一定になっているので、このウォブル周期を検出して
(1)ウォブルアドレス情報検出用の基準クロックの抽出(周波数と位相合わせ)、
(2)記録マークからの信号再生時の再生信号検出用の基準クロックの抽出(周波数と位相合わせ)、
(3)書換え型および追記型情報記憶媒体に記録マークを形成する時の記録用基準クロックの抽出(周波数と位相合わせ)、
を行っている。
本実施の形態ではウォブル位相変調を用いてウォブルアドレス情報を予め記録している。
ウォブルでの位相変調を行った場合、波形整形のために再生信号をバンドパスフィルタに通過させると位相変化位置前後で整形後の検出信号波形振幅が小さくなる現象が現れる。従って、位相変調による位相変化点の頻度が多くなると波形振幅変動が多くなって上記のクロック抽出精度が落ち、逆に変調領域内で位相変化点の頻度が低いとウォブルアドレス情報検出時のビットシフトが発生しやすくなると言う問題点が生じる。そのため、本実施の形態では位相変調による変調領域と無変調領域を構成し、無変調領域の占有率を高くすることで上記のクロック抽出精度を向上させる効果がある。
本実施の形態では変調領域と無変調領域の切り替わり位置が予め予想できるので、上記のクロック抽出に対しては無変調領域にゲートを掛けて無変調領域のみの信号を検出し、その検出信号から上記クロック抽出を行うことが可能となる。
《ランドでも確実にトラック番号を再生できることで、ランド上でのトラック番号再生精度が上がる》
効果〈14〉
不定ビットを持たず、エラー検出コードが付加された部分では非常に高い精度でトラック情報を検出できる。そのため、本実施の形態ではグルーブ領域にも不定ビットを配置し、ランド領域とグルーブ領域の両方に不定ビットを分散配置することでランド領域内にも不定ビットを持たず、エラー検出コードが付加された部分の形成を可能としている。その結果、ランド上でも高い再生精度でのトラック番号の読み取りが可能となり、ランド部でのアクセス安定性と高いアクセス速度を確保できる。
《ECCブロック内で不定ビットが縦一直線に並ぶのを防止し、エラー訂正能力を確保する》
効果〈15〉
本実施の形態ではECCブロック内を構成するセクタ数32とセグメント数7とが互いに割り切れない関係(非定倍の関係)にあるため、図33に示すECCブロック内で各セグメントの先頭位置はそれぞれずれた位置に配置される。図53に示したウォブルアドレスフォーマットではグルーブトラック情報606とランドトラック情報607のところに図50に示した不定ビット504が混入する可能性がある。この不定ビット領域504ではグルーブ幅あるいはランド幅が変化するため、ここからの再生信号のレベルが変動し、エラー発生の原因となる。本実施の形態のようにECCブロックを構成するセクタ数とセグメント数を互いに非定倍の関係にすることで、上記の各セグメントの先頭位置と同様に図33に示すECCブロック内で不定ビットが縦に一直線に並ぶことを防止する効果がある。このように不定ビットの配置をずらし、ECCブロック内で不定ビットが縦に並ぶのを防止し、ECCブロック内でのエラー訂正能力に対する性能確保が可能となる。その結果、情報記憶媒体に記録した記録マークからの再生情報の(訂正後の)エラー率を低減し、精度の高い再生を可能にする。
さらに、本実施の形態では情報記憶媒体の欠陥などによりシンクコードに対して誤検知が生じた場合にフレームシフトとの区別が付くためにフレームシフトを防止させるだけで無く、図136のST7に示すようにシンクコードの誤検知を自動修正出来るためシンクコードの検出精度と検出安定性が飛躍的に向上する。その結果、ECCブロックのエラー訂正能力の劣化を防止し、精度と信頼性の高いエラー訂正が可能となる。
このようにECCブロック内で不定ビットが縦一直線に並ぶのを防止し、エラー訂正能力を確保すると共にシンクコードの検出精度を高めてフレームデータのECCブロック内の配置場所設定確度を高めることにより両者の重畳作用でより一層エラー訂正能力を高める(エラー訂正能力低下をくい止める)作用がある。
《現在の位置情報が高速で分かるので、高速アクセスや再生の信頼性向上が可能となる》
効果〈16〉
高画質の主映像と共に高画質な副映像情報を従来のSD映像とは別のファイル又はフォルダに記録する場合には、本実施の形態では図40(b)及び図41に示すように1個のECCブロックを構成するデータ領域470毎にガード領域を挿入するフォーマットで情報記憶媒体に記録する。このガード領域内の先頭にシンクコード433が記録されるポストアンブル領域481が設定されているため、図136と図36及び図37に示す方法によりガード領域内、データ領域470内いずれにおいても現在再生している場所が高速かつ非常に高い精度で分かる。図27のデータフレーム番号の情報でセクタ番号が分かるが、現在再生中の場所が分かれば、連続再生中においてどの位後にこのデータフレーム番号位置が来るかが予測でき、検知するゲートを開くタイミングが事前に分かるため、セクタ番号の読み取り精度が大幅に向上する。セクタ番号の読み取り精度が向上することで
(1)アクセス途中であれば、読み取りエラーを起こすこと無く目標到達位置とのずれ量が正確に測定でき、アクセスの高速化が実現できる。
(2)連続再生時であれば、再生場所のセクタ番号を精度良く確認しながら再生処理を継続でき、再生処理の信頼性が大幅に向上する。
更に、同一の記録用クラスタ内ではガード領域内先頭に配置されたシンクコード433の間隔が至るところで一定なため、データフレーム番号位置でのゲートを開くタイミングをより精度良く予想できるので、セクター番号の読み取り精度が更に、向上する。
《リードインエリアの再生信頼性確保と記録効率の同時確保》
効果〈17〉
詳細を後述するようにDVD−RとDVD−RW(Version1.0)の規格では予め記録された場合のリードインエリアの情報を安定に再生することが難しい(読み取り不能エンボス(Unreadalbe emboss))。特に、密度が詰まった部分からの再生信号振幅が減少するので、全体の記録密度を下げれば最密ピット位置からの相対的な再生信号振幅が向上し、信号再生の安定性・信頼性が向上する。しかし、その場合にリードインエリアの記録密度が低下するため、情報記憶媒体全体の記録容量が低下するという問題が生じる。
本実施の形態によれば、再生専用/追記型/書換え型のいずれの情報記憶媒体においても、従来リードインエリアと呼ばれていた部分をシステムリードインエリアとデータリードインエリアに分割し、再生専用/追記型/書換え型の媒体種類によらず共通に必要な情報を記録密度の低いシステムリードインエリアに記録し、再生専用と書換え型の情報記憶媒体特有の情報を記録密度の高いデータリードインエリアに記録する(このデータリードインエリアでは“d=1”の変調方式を使い、PRMLによる信号検出を行うことで従来以上の高密度化を達成できる)と共に、追記型情報記憶媒体に対してはデータリードインエリアを試し書き領域として活用することでリードインエリア全体の利用効率低下を防止し、情報記憶媒体全体の大容量化を達成できる。
効果〈18〉
記録密度を低くしても追記型情報記憶媒体ではエンボス上のピットの深さが浅いため、システムリードインエリアでの信号再生時の信頼性は、再生信号振幅が低いので、再生専用または書換え型と比べると劣る。
そのため、図31〜図33に示すECC構造を採用することで信号再生時の信頼性を向上できる。
効果〈19〉
記録密度を低くしても追記型情報記憶媒体ではエンボス上のピットの深さが浅いため、システムリードインエリアでの信号再生時の信頼性は(再生信号振幅が低いので)再生専用または書換え型と比べると劣る。
そのため、図34〜図37に示すシンクコードパターン(シンクフレーム構造)を採用し、図136に示した方法でシンクコードに対するエラー訂正処理することでシステムリードインエリアからの信号再生信頼性を確保できる。
《繰り返し書換え後でのアドレス情報信頼性確保》
効果〈27〉
本実施の形態では記録用クラスタの最後に拡張ガード領域を設け、この部分で次に追記する又は書換える記録用クラスタとの間で重複して記録する構造になっている。このように記録用クラスタ間で隙間を設けない構造にすることで片面2記録層の追記型または書換え型情報記憶媒体での再生時の層間クロストークを除去している。ところで、書換え回数が多くなるとこの重複部分でのウォブルグルーブまたはウォブルランドの形状が変化し、そこから得られるウォブルアドレス検出信号特性が劣化する。記録時にトラックずれが発生すると、既に記録されてあるデータを破壊する危険性があるので、トラックずれを早く検出する必要がある。本実施の形態では上記の記録の重複部分をECCブロック間にあるガード領域に設定してあるので、書換え回数を多くしてもECCブロック内でのウォブルアドレス検出信号劣化を軽減でき、ECCブロック内でのトラックずれを早く検知出来る。さらに、変調領域より無変調領域の占有率を高く設定し、上記重複して記録する場所が無変調領域に来るように設定できるので、書換え回数が多くなっても安定したウォブルアドレス信号検出を保証できる。
《媒体の製造性》
効果〈24〉
本実施の形態ではウォブル変調に±90度の位相変調を用いているため、原盤記録時にグルーブ領域作成時にフォトレジスト層に対する露光強度を変化させる方法などの非常に簡単な方法でグルーブ領域にも不定ビットを分散配置し、不定ビットをランド/グルーブに分散配置できるため、書換え型情報記憶媒体の製造コストが安くなり、低価格な書換え型情報記憶媒体をユーザーに提供できる。
以下、実施の形態に係る情報記憶媒体の詳細を説明する。
〔1〕情報記憶媒体への映像情報記録形式の説明
図3に情報記憶媒体上への映像情報ファイル配置の一例を示す。従来のSD(Standard Definition)用のオブジェクトファイル(既存SD用特定タイトルのオブジェクト(VTS1TT_VOBS)ファイル216)と管理ファイル206、208、211、123と高画質映像に対応したHD(High Definition)用のオブジェクトファイル(高画質HD用特定タイトルのオブジェクト(VTS2TT_VOBS)ファイル217)及び管理ファイル201、209、212、214を互いに分離独立させて従来のDVD−video専用ディレクトリ202内に共存配置している。
図4に示す他の例では従来のSD用のオブジェクトファイル(既存SD用特定タイトルのオブジェクト(VTS1TT_VOBS)ファイル216)及び管理ファイル206、208、211、123と高画質映像に対応したHD用のオブジェクトファイル(高画質HD用特定タイトルのオブジェクト(VTS2TT_VOBS)ファイル217)及び管理ファイル201、209、212、214をそれぞれ別のディレクトリ203、204の下に分けて配置している。このようにオブジェクトファイルと管理ファイルがSD用とHD用で分離されていると、ファイル管理が容易になるばかりで無く、オブジェクトファイルの再生前にSD用かHD用のデコーダの事前準備が可能となり、映像再生を開始するまでの準備時間が大幅に短縮される。
〔本実施の形態の個々ポイントとその個々ポイント毎の独自効果説明〕
ポイント(A)
図3と図4に示すように、ファイル分離またはディレクトリ(フォルダ)分離により従来のSD(Standard Definition)用のオブジェクトファイル及び管理ファイルと高画質映像に対応したHD(High Definition)用のオブジェクトファイル及び管理ファイルに対して情報記憶媒体上での分離管理を可能とする。
[効果]
情報記憶媒体上に記録されたオブジェクトファイルと管理ファイルがSD用とHD用で分離されていると、オブジェクトファイルの再生前にどちらのファイルかが事前に判別可能となる。その結果、オブジェクトファイルの再生前にSD用かHD用のデコーダの事前準備が可能となり、映像再生を開始するまでの準備時間が大幅に短縮され、ユーザが見たい時にすぐに映像再生を開始できる。
本実施の形態は図5に示すようにMPEGレイヤ2で規定された多重化規則に則り、プログラムストリーム(Program Stream)の形で情報記憶媒体に記録している。すなわち、映像情報内の主映像情報をビデオパック252〜254内に分散配置させ、音声情報をオーディオパック255内に分散配置させている。本実施の形態システムでは図示してないが映像情報の最小単位であるビデオオブジェクトユニットVOBU(Video Object Unit)の先頭位置にナビゲーションパック251を配置している。また、ビデオパック252〜254内に記録される主映像とは別に、字幕やメニューなどを示す副映像情報SB(Sub picture)が定義されている。副映像情報はサブピクチャーパック256〜258内に分散配置されている。情報記憶媒体から映像情報を再生する時には前記サブピクチャーパック256〜258内に分散記録されている副映像情報を集めてサブピクチャーユニット259を構成させた後、図示してないビデオプロセッサにより映像処理をした後、ユーザへ表示する。
本実施の形態では2048バイトサイズを持ったセクタ231〜238が情報記憶媒体221上に記録される情報の管理単位となっている。従って、各パック241〜248の1個当たりのデータサイズも前記セクタサイズに合わせて2048バイトに設定している。
〔2〕副映像情報の表現形式と圧縮規則(ポイント(B))。
ランレングス圧縮規則(Run-length compression rule)
ランレングス圧縮は、サブピクチャーを圧縮するのに採用されている。その幾つかの圧縮規則をここで説明する。SD対応、HD対応として幾つかのランレングス圧縮規則が開発された。
(1)4ビットが1つの単位(ユニット)として設定されるケース(図6の(a)の副映像情報の圧縮規則(1)参照)。
同じ値の画素データ(ピクセルデータ)が1〜3連続する場合、最初の2ビットは、画素数(ピクセル数)を示し、次に続く2ビットで具体的なピクセルデータが表される。
(2)8ビットが1つの単位(ユニット)として設定されるケース(図6の(b)の副映像情報の圧縮規則(2)参照)。
同じ値のピクセルデータが4〜15連続する場合、最初の2ビットは、0とされる。そして次に続く4ビットがピクセル数を示し、次に続く2ビットで具体的なピクセルデータが表される。
(3)12ビットが1つの単位(ユニット)として設定されるケース(図6の(c)の副映像情報の圧縮規則(3)参照)。
同じ値のピクセルデータが16〜63連続する場合、最初の4ビットは、0とされる。そして次に続く6ビットがピクセル数を示し、次に続く2ビットで具体的なピクセルデータが表される。
(4)16ビットが1つの単位(ユニット)として設定されるケース(図6の(d)の副映像情報の圧縮規則説明図(4)参照)。
同じ値のピクセルデータが64〜255連続する場合、最初の6ビットは、0とされる。そして次に続く8ビットがピクセル数を示し、次に続く2ビットで具体的なピクセルデータが表される。
(5)16ビットが1つの単位(ユニット)として設定されるケース(図6の(e)の副映像情報の圧縮規則説明図(5)参照)。
同じ値のピクセルデータが1ラインの最後まで連続する場合、最初の14ビットは、0とされる。そして次に続く2ビットで具体的なピクセルデータが表される。
(6)もし、1ライン分のピクセルを表現したときに、バイトアラインメントが実現できなったとき、4ビットのダミー“0000b”が調整のために挿入される。
上記はSD用の副映像を圧縮する際に用いられる規則であるが、HD用の副映像を圧縮する際に用いられる規則も開発されている。
図7は、画素データを4ビットで表現し、それぞれの画素データに画素名を割り当てた様子を示している。
画素データは生データあるいはランレングス圧縮規則に記述される特殊なランレングス圧縮法によりライン毎にビットマップデータを圧縮したデータである。ビットマップデータの画素には図7に示す画素データが割当てられる。
画素データは図8に示すようにフィールドに区別されたデータ、あるいはプレーンデータに割り付けられる。各副映像ユニット(SPU)内で画素データは1フィールドの間に表示される画素データの部分の全てが連続するように編成される。図8の(a)に示す例では、トップフィールド用画素データが最初(SPUHの後)に記録され、次いでボトムフィールド用画素データが記録され、インターレース表示に適する画素データの割り付けがなされている。図8の(b)に示す例では、プレーンデータとして記録され、ノンインターレース表示に適する画素データの割り付けがなされている。
図9は、副映像情報をまとめるために用いられる副映像ユニットを示している。画素データは、副映像ユニット内でフィールドに区別されたデータ、あるいはプレーンデータに割り付けられる。各副映像ユニット(SPU)内で画素データは1フィールドの間に表示される画素データの部分の全てが連続するように編成される。この副映像ユニットは、複数の副映像パケットを集合することで構築されるユニットである。
図8の(a)に示す例では、トップフィールド用画素データが最初(SPUHの後)に記録され、次いでボトムフィールド用画素データが記録され、インターレース表示に適する画素データの割り付けがなされている。図8の(b)に示す例では、プレーンデータとして記録され、ノンインターレース表示に適する画素データの割り付けがなされている。SP_DCSQTのサイズ制限に合致するように画素データの終わりに偶数個の“00b”を付加しても良い。図9には、副映像パック(SP_PCK)と副映像ユニット(SPU)の関係を示している。
副映像ユニットヘッダ(SPUH)は、副映像ユニット(SPU)内の各データのアドレス情報で構成され、図10に示すように、4バイトの副映像ユニットのサイズ(SPU_SZ)、4バイトの表示制御シーケンステーブルの先頭アドレス(SP_DCSQT_SA)、4バイトの画素データ幅(PXD_W)、4バイトの画素データ高(PXD_H)、1バイトの副映像カテゴリー(SP_CAT)、1バイトの予約が記述されている。
副映像ユニットのサイズ(SPU_SZ)は副映像ユニットのサイズをバイト数で記述する。最大サイズは524,287バイト(“7FFFFh”)である。サイズは偶数バイトでなければならない。サイズが奇数バイトならば偶数バイトにするために副映像データの最後に“FFh”の1バイトを追加する。副映像ユニット(SPU)内の先頭アドレス(SP_DCSQT_SA)のサイズはSPUのサイズ以下である。
先頭アドレス(SP_DCSQT_SA)は表示制御シーケンステーブル(SP_DCSQT)の先頭アドレスを副映像ユニットの先頭バイトからの相対バイト番号RBNで記述する。画素データ幅(PXD_W)の最大値は1920、画素データ高(PXD_H)の最大値は1080である。
副映像カテゴリー(SP_CAT)は図11に示すようにビット番号b7からb2が予約(リザーブ)、ビット番号b1に4ビット/1画素の画素データPXD領域へのデータ格納方法を示すフラグ(Stored_Form)、ビット番号b0に画素データPXDのランレングス圧縮/非圧縮を示すフラグ(Raw)が記述される。
PXD領域へのデータ格納方法を示すフラグ(Stored_Form)はインタレース表示を行う場合は、“0b”(トップ/ボトム)を指定し、表示データをトップとボトムに分けて別々の場所に格納することで、データが取り出しやすく、インタレース表示がしやすいデータ構造を実現できる。ノンインターレース表示を行う場合は、“1b”(プレーン)を指定し、表示データを一括格納することで、データが取り出しやすく、ノンインタレース表示がしやすいデータ構造を実現できる。SD方式ではインターレース表示が行われ、HD方式ではノンインターレース表示が行われる。このフラグ(Stored_Form)は、HD用デコーダのスタンバイに利用することができる。
ランレングス圧縮/非圧縮を示すフラグ(Raw)は字幕等の圧縮率が良い字幕のストリームには、“0b”(圧縮)を指定し、模様等の圧縮率が悪く、圧縮後にデータの増加を招く様な少し複雑なイメージストリームには“1b”(非圧縮)を指定する。これにより、副映像ユニット(SPU)単位での圧縮/非圧縮の指定が可能となり、主映像データや他のデータ(オーディオ等)に情報を割当てることができ、情報記録媒体への副映像情報の効率的な記録が可能となるので、高品位なコンテンツを維持することができる。このフラグ(Raw)は、HD用デコーダのスタンバイに利用することができる。
DVDビデオディスクに高品位TV方式の高画質コンテンツを収録する際に、字幕やメニュー情報として利用されてきた副映像情報も同様に高品位TV方式で収録することが求められている。本実施の形態による副映像のランレングス圧縮規則を以下に説明する。
図12に示すように、ビットマップデータの画素は各ライン毎に以下の規則に従って、圧縮される。圧縮された画素パターンは基本的に5つの部分:ランレングス圧縮フラグ(Comp)、画素データ領域(Pixel data)、カウンタ拡張フラグ(Ext)、カウンタフィールド(Counter)、拡張カウンタフィールド(Coutner (Ext))からなる。ランレングス圧縮フラグ(Comp)は画素データが圧縮されていないならば“0b”が、ランレングス符号化で圧縮されているならば“1b”が記述される。画素データが圧縮されていない場合は、一つのデータユニットは1画素のみを表し、カウンタ拡張フラグ(Ext)以降は存在しない。
画素データは図7に示した16の画素データの何れかを記述し、この値はカラールックアップテーブルのインデックスを表す。カウンタ拡張フラグ(Ext)はカウンタフィールドが3ビットならば“0b”が、7ビットならば“1b”が記述される。カウンタフィールドは連続する画素の数を指定する。フラグ(Ext)が“0b”にセットされる場合は、このフィールドは3ビットであり、“1b”にセットされる場合は、このフィールドは7ビット(拡張カウンタフィールドが使用される)である。
この圧縮規則で圧縮されたデータは複数のユニットで構成される。各ユニットは画素の変更点で4箇所の点を持つ。ユニットは図13の(a)に示す4つのランレングスフラグの束を形成するユニットヘッダとこれに後続する図13の(b)から(e)に示す4種類の圧縮パターンからなる。
図13の(a)に示すユニットヘッダはランレングスが存在するか否かを示すランレングス圧縮フラグ(Comp)の集合であり、ランレングスが継続しないならば“0b”が、ランレングスが継続するならば“1b”が記述される。図13の(b)に示す圧縮パターン(A)は同じ値の画素が続かなければ、ランレングス圧縮フラグ(Comp)を“0b”として、4ビットの画素データを記述する。図13の(c)に示す圧縮パターン(B)は同じ値の画素が1〜7個後続すれば、ランレングス圧縮フラグ(Comp)を“1b”として、最初の4ビットに画素データを記述し、次の1ビット(フラグExt)は“0b”を指定し、次の3ビットにカウンタを記述する。図13の(d)に示す圧縮パターン(C)は同じ値の画素が8〜127個後続すれば、ランレングス圧縮フラグ(Comp)を“1b”として、最初の4ビットに画素データを記述し、次の1ビット(フラグExt)は“1b”を指定し、次の3ビットにカウンタを、次の4ビットにカウンタ拡張を記述する。図13の(e)に示す圧縮パターン(D):ライン終了コードは同じ値の画素がラインの終了に連続する場合、8ビット全てに“0b”を記述し、ランレングス圧縮フラグ(Comp)を“1b”とする。
1ラインの画素の記述が終了した時にバイト調整が未完了ならば、調整のために4ビットのダミーデータ“0000b”を挿入する。1ライン内のランレングスコード化データのサイズは7,680ビット以下である。
本実施の形態に係るエンコード/デコード方法は、以下の(1)〜(4)の組み合わせによるランレングス圧縮/伸張を行うものである。
(1)ランが連続するか否かを示し、これにより圧縮/無圧縮を決定するランレングス圧縮フラグ(Comp)を有する。(2)ランの連続数に応じて、ラン連続のカウンタ(Counter)を拡張して拡張カウンタ(Counter (Ext))を付加するべくカウンタ拡張フラグ(Ext)を有する。(3)4つのラン変化点を一つのユニットとして扱い、バイト整合化し易い、ニブル(4ビット)構成とすることで、処理の容易なデータ構造を有する。(4)ランレングス圧縮/伸張をライン毎に終了コードEを有する(ただし、一ライン分の容量がいくらかという情報を事前にエンコード装置、デコード装置に与えることができれば、この終了コードを省略することも可能である)。
図14は本実施の形態に係るランレングス圧縮ルールである「3ビットデータにおける3ビット8色表現のランレングス圧縮ルール(ライン単位)」を示す図(この場合は、4ビット単位で扱えるので、特にユニットを必要としない例)、図15は「4ビットデータにおける4ビット16色表現のランレングス圧縮ルール(ライン単位)」を示す図、図16は本実施の形態に係るランレングス圧縮ルールに応じた実用的なデータ構造の一例を示す図、図17乃至図19はこのデータ構造をユニット化した例を示す図、図20は「4ビットデータにおける4ビット16色表現のランレングス圧縮ルール(ライン単位)」の他の例を示す図である。
本実施の形態に係る副映像エンコーダ部のエンコード方法によれば、ラン非連続が比較的多く続く1画素4ビット表現(16色)の副映像の画像データであっても、画素データが連続無しの場合はカウンタを使用することがないので、データ長が却って長くなるということがない。また、所定数以上に長く続くラン連続がある場合でも、拡張カウンタ(Counter (Ext))を用いてこれを確実に再現することができる。従って、これらランレングス圧縮フラグ(Comp)や、基本カウンタ(Counter)や拡張カウンタ(Counter (Ext))とカウンタ拡張フラグ(Ext)等の働きにより十分な圧縮効果を発揮することが可能となる。このランレングス圧縮フラグ(Comp)を4ビット表現(又はこの倍数)としてまとめてデータ列の先頭に配置することで、4ビット情報によるデコード処理しやすい形態をとることにより、デコード処理速度を向上させることも可能となる。
ライン終了コード生成部で生成するライン終了コードEは、一ラインの画素数が予めわかっていれば、エンコード/デコード処理の際に必ずしも要するものではない。すなわち、ライン終了位置がわからなくとも、開始位置から画素数をカウントすることにより、ラインごとの副映像の画像データをエンコード/デコード処理することが可能となる。
本実施の形態に係る副映像デコーダ部のデコード方法によれば、ラン非連続が比較的多く続く1画素4ビット表現(16色)の副映像の画像データであっても、これらランレングス圧縮フラグ(Comp)や、基本カウンタ(Counter)や拡張カウンタ(Counter (Ext))、カウンタ拡張フラグ(Ext)等の働きにより十分な圧縮効果を発揮することが可能となる。このランレングス圧縮フラグ(Comp)を4ビット表現(又はこの倍数)としてまとめてデータ列の先頭に配置することで、4ビット情報によるデコード処理しやすい形態をとることにより、デコード処理速度を向上させることも可能となる。
エンコード処理の場合と同様に、ライン終了コード検出部で検出するライン終了コードEは、エンコード/デコード処理の際に必ずしも要するものではなく、一ラインの画素数が予めわかっていればこの画素数に応じて、ラインごとにデコード処理を行うことが可能となる。
次に、本実施の形態に係るエンコード/デコード方法により圧縮/伸張されたデータ構造の例を説明する。
図14は4ビットデータにおいて3ビット8色表現のランレングス圧縮ルール(ライン単位)を示したものである。基本的なデータ構造は、ラン連続の有無を示す1ビットのランレングス圧縮フラグ(Comp)(d0)、ラン画素データを示す3ビットのピクセルデータ(d1〜d3)、ランレングス圧縮フラグ(Comp)=1(有り)の時、カウンタ拡張の有無を示す1ビットのカウンタ拡張フラグ(Ext)(d4)、連続するランの3ビットのカウンタ(Counter)(d5〜d7)、及びカウンタ拡張フラグ(Ext)=1(有り)の時、前記3ビットのカウンタと結合して7ビットのランカウンタとして利用される4ビットの拡張カウンタ(Counter (Ext))(d8〜d11)から構成される。
図14の(a)に示すパターンは、ラン連続無しの1画素データを表現することが可能であり、図14の(b)に示すパターンは、ラン連続する2〜8画素データをカウンタ(Counter)を用いて表現することが可能である。図14の(c)に示すパターンは、ラン連続する9〜128画素データをカウンタ(Counter)及び拡張カウンタ(Counter (Ext))を用いて表現することが可能である。図14の(d)に示すパターンは、ライン単位のランレングス圧縮の終了を示すライン終端コードEである。
図14の(a)〜(d)に示した各パターンのデータ構造は、4ビット(ニブル)構成になっており、図15と異なり、ユニット化しなくても、バイト整合しやすく、システムが比較的容易に構築することができる。
図15は、本実施の形態の基本となるランレングス圧縮ルール(ライン単位)を示した図である。この図において、基本的なデータ構造は、ラン連続の有無を示す1ビットのランレングス圧縮フラグ(Comp)(d0)、ラン画素データを示す4ビットのピクセルデータ(d1〜d4)、ランレングス圧縮フラグ(Comp)=1(有り)の時、カウンタ拡張の有無を示す1ビットのカウンタ拡張フラグ(Ext)(d5)、連続するランの3ビットのカウンタ(Counter)(d6〜d8)及びカウンタ拡張フラグ(Ext)=1(有り)の時、前記3ビットのカウンタと結合して7ビットのカウンタとして利用される4ビットの拡張カウンタ(Counter (Ext))(d9〜d12)から構成される。
図15の(a)に示すパターンは、ラン連続無しの1画素データを表現することが可能であり、図15の(b)に示すパターンは、ラン連続する2〜8画素データをカウンタ(Counter)を用いて表現することが可能である。図15の(c)に示すパターンは、ラン連続する9〜128画素データをカウンタ(Counter)及び拡張カウンタ(Counter (Ext))を用いて表現することが可能である。図15の(d)に示すパターンは、ライン単位のランレングス圧縮の終了を示すライン終端コードEである。
図15の(a)〜(d)に示した各パターンのデータ構造は、奇数ビット構成になっており、このままではバイト整合されず、処理システムが複雑になる傾向にある。
図16は、本実施の形態における実用的なデータ構造を示す。同図では、図15の(a)〜(d)に示した各パターンのデータ構造を、バイト整合し易い、ニブル(4ビット)構成となるように、4つのラン変化点を1つのユニットとし、4つのランレングス圧縮フラグ(Comp)を4ビットのユニットフラグ(d0〜d3)としたものである(図12参照)。こうすることで、4つのラン変化点をユニットとするバイト処理し易いシステムが比較的容易に構築できる。
図17は、図16のユニット化したデータ構造を用いたランレングス圧縮の1つのユニット例を示したものである。
(1)先ず4ビットのランレングス圧縮フラグ(Comp)(d0〜d3)により、後続のデータパターンが決定されることになる。
(2)d0=0から、最初のランは非連続の1画素で構成されることが分かり、図16の(a)のパターンが適用され、続くピクセルデータ(d4〜d7)が展開される。
(3)d1=1から、2番目のランは連続であることが分かり、図16の(b)〜(d)の何れかのパターンが適用されることになる。先ずピクセルデータ(d8〜d11)を保持し、引き続き拡張カウンタ(Counter (Ext))(d12)により、d12=0及びカウンタ(d13〜d15)の数が零でないことから、拡張カウンタの無い図16の(b)のパターンであり、ピクセルデータ(d8〜d11)を展開し、続けて3ビットのカウンタ(d13〜d15)で示される7以下の数のピクセルデータ(d8〜d11)を展開する。
(4)d2=1から、3番目のランは連続であることが分かり、(3)と同様に、図16の(b)〜(d)の何れかのパターンが適用されることになる。先ずピクセルデータ(d16〜d19)を保持し、引き続きランレングス圧縮フラグ(Comp)(d20)により、d20=1から、図16の(c)のパターンであり、カウンタ(Counter)(d21〜d23)と、拡張カウンタ(Counter (Ext))(d24〜d27)とを組み合わせ、ピクセルデータ(d16〜d19)を展開し、続けて7ビットのカウンタ(d21〜d27)で示される127以下の数のピクセルデータ(d16〜d19)を展開する。
(5)d3=0から、最後のランは非連続の1画素で構成されることが分かり、図16の(a)のパターンが適用され、続くピクセルデータ(d28〜d31)が展開される。
このようにして、4つの変化点を1つのユニットとして、ランレングス展開する。
図18は、本実施の形態に係るランレングス圧縮ルールのユニット例を示す。
図18の(a)は、全て無圧縮の場合を示し、4画素のピクセルデータをそのまま表現する。図18の(b)は、8画素以下のラン連続と、3画素の無圧縮のピクセルデータを表現する。図18の(c)は、128画素以下のラン連続と、3画素の無圧縮のピクセルデータを表現する。図18の(d)は、全て圧縮の場合を示し、4つの128画素以下のラン連続(最大512画素)のピクセルデータを表現する。
図19は、本実施の形態に係るランレングス圧縮ルールのライン終端を示す終端コードEを有するユニット例、背景コードを有するユニット例を示す。終端コードEの挿入でユニットは終了し、それ以降のユニット内のランレングス圧縮フラグ(Comp)は、無視される。図19の(a)は、終端コードEのみで構成される例である。図19の(b)は、1画素と終端コードEで構成される例である。図19の(c)は、2画素と終端コードEで構成される例である。図19の(d)は、2〜8画素のラン連続と終端コードEで構成される例である。図19の(e)は、128画素以下のラン連続と終端コードEで構成される例、図19の(f)は、背景コードを用いた例を示す図である。
図19の(f)は、図19の(b)と同等のデータ列であるが、1ラインの画素数が判っており、終了コードを使用しない場合において、“00000000”を背景コードとして用いている。すなわち、1ラインについて、全て同一の画像データによる背景画像を作っている場合は、ランレングス圧縮フラグ(Comp)のユニットの後に、一つのピクセルデータを置き、その後に、1ラインが同一の背景画像であることを意味する背景コードを置くことにより、これを表示することも可能である。このように背景画像を表示してエンコードし、これに応じて、一つのピクセルデータに応じた背景画像をデコードすることにより、背景画像を高い圧縮率で圧縮し伸張することが可能となる。
図20は、図15で示した基本となるランレングス圧縮ルール(ライン単位)の別パターンである。基本的なデータ構造は、図15と同様に、ラン連続の有無を示す1ビットのランレングス圧縮フラグ(Comp)(d0)、ランレングス圧縮フラグ(Comp)=1(有り)の時、カウンタ拡張の有無を示す1ビットのカウンタ拡張フラグ(Ext)(d1)、連続するランの3ビットのカウンタ(Counter)(d2〜d4)及びカウンタ拡張フラグ(Ext)=1(有り)の時、前記3ビットのカウンタと結合して7ビットのカウンタとして利用される4ビットの拡張カウンタ(Counter (Ext))(d5〜d8)、そして図20の(a)〜(c)の各パターンに応じて、ラン画素データを示す4ビットのピクセルデータ((a)d1〜d4、(b)d5〜d8及び(c)d9〜d12)から構成される。
図15と同様に、図20の(a)に示すパターンは、ラン連続無しの1画素データを表現することが可能であり、図20の(b)に示すパターンは、ラン連続する2〜8画素データをカウンタを用いて表現することが可能である。図20の(c)に示すパターンは、ラン連続する9〜128画素データをカウンタ(Counter)及び拡張カウンタ(Counter (Ext))を用いて表現することが可能である。図20の(d)に示すパターンは、ライン単位のランレングス圧縮の終了を示すライン終端コードEである。
本実施の形態に係るエンコード/デコード方法は、ディスク装置のエンコーダ部及びデコーダ部だけではなく、広く、一つのエンコード/デコード方法として一般的なデジタルデータ処理に適用することができる。従って、これをマイクロコンピュータとこれに命令を与えるコンピュータプログラムという形態によって同等の手順を取ることにより、同等の作用効果を発揮するものである。
〔本実施の形態の個々ポイントとその個々ポイント毎の独自効果説明〕
ポイント(B)
副映像情報の4ビット表現と圧縮規則(図6〜図20)
[効果]
副映像も含めた高画質映像をユーザに提供できる。
次に、図21を参照して、副映像のヘッダと表示制御シーケンスを説明する。
表示制御シーケンステーブル(SP_DCSQT)は副映像ユニット(SPU)の有効期間中に副映像データの表示開始/停止と属性を変更するための表示制御シーケンスであり、図21の(a)に示すように、表示制御シーケンス(SP_DCSQ)がその実行順に記述されている。同一の実行時刻を持つ表示制御シーケンス(SP_DCSQ)が表示制御シーケンステーブル(SP_DCSQT)内に存在してはならない。副映像ユニットに一個以上の表示制御シーケンス(SP_DCSQ)が記述されなければならない。
各表示制御シーケンス(SP_DCSQ)には、図21の(b)、図21の(c)に示すように、2バイトの表示制御シーケンス(SP_DCSQ)の開始時刻(SP_DCSQ_STM)、4バイトの次の表示制御シーケンスの先頭アドレス(SP_NXT_DCSQ_SA)、1つ以上の表示制御コマンド(SP_DCCMD)が記述されている。
表示制御シーケンスの開始時刻(SP_DCSQ_STM)は、表示制御シーケンス(SP_DCSQ)内に記述されたSP表示制御コマンド(SP_DCCMD)の実行開始時刻を、SP_PKT内に記述されたPTSからの相対PTMで記述する。記述された実行開始時刻後の最初のトップフィールドから表示制御シーケンスはその表示制御シーケンス(SP_DCSQ)に従って、開示される。
最初の表示制御シーケンス(SP_DCSQ(SP_DCSQ#0))内の開始時刻(SP_DCSQ_STM)は“0000b”でなければならない。実行開始時刻はSPパケットヘッダ内に記録されたPTS以上でなければならない。従って、表示制御シーケンスの開始時刻(SP_DCSQ_STM)は“0000b”又は以下で計算される正整数値でなければならない。
SP_DCSQ_STM[25…10]
=(225×n)/64
なお、0≦n≦18641(625/50 SDTVシステムの場合)
SP_DCSQ_STM[25…10]
=(3003×n)/1024;
なお、0≦n≦22347(525/60 SDTVシステムの場合)
SP_DCSQ_STM[25…10]
=225×n)/64
なお、0≦n≦18641(HDTVシステムの場合)
上式でnはSPUのPTS後のビデオフレーム番号である。n=0は丁度PTS時刻のビデオフレームを意味する。“/”は小数点以下切捨てによる整数除算を意味する。
SPU内の最後のPTMは次のSPUを含むSPパケット内に記述されたPTS以下でなければならない。最後のPTMは次のように定義される。
最終PTM SPU#I
=PTM SPU#I + SP_DCSQ_STMlast SPDCSQ
+ 1ビデオフレーム期間
次の表示制御シーケンスの開始アドレス(SP_NXT_DCSQ_SA)は次の表示制御シーケンス(SP_DCSQ)の先頭アドレスをSPUの先頭バイトからの相対バイト番号(RBN)で記述する。次の表示制御シーケンス(SP_DCSQ)が存在しない場合には本表示制御シーケンス(SP_DCSQ)の先頭アドレスをSPUの先頭バイトからのRBNで記述する。
SP_DCCMD#nは本表示制御シーケンス(SP_DCSQ)内で実行される一個以上の表示制御コマンド(SP_DCCMD)を記述する。同一の表示制御コマンド(SP_DCCMD)を二回以上記述してはならない。
図22は、ディスク形状の情報記憶媒体Dから、そこに格納されている情報を読み出してデコード処理し再生する再生処理、および/または映像信号、副映像信号、音声信号を受けて、エンコード処理し、これをディスク形状の情報記憶媒体Dへと記録する記録処理を行うディスク装置を示している。
情報記憶媒体Dは、ディスクドライブ部211Lに装着されている。このディスクドライブ部211Lは、装着された情報記憶媒体Dを回転駆動し、光ピックアップ(情報記憶媒体Dが光ディスクの場合)等を用いて情報記憶媒体Dに格納されている情報を読み取りデコードし再生し、および/またはエンコードされた信号に応じた情報を情報記録媒体に記録するものである。
以下、再生処理について本実施の形態に係るディスク装置を説明する。
ディスクドライブ部211Lで読み取られた情報は、MPU(Micro Processing Unit)部213Lに供給され、エラー訂正処理が施された後、図示しないバッファに格納され、この情報のうち、制御データ領域の管理情報は、メモリ部214Lに記録され、再生制御やデータ管理等に利用される。
上記バッファに格納された情報のうち、ビデオ・オブジェクト領域の情報は、分離部226Lに転送され、主映像パック203L、音声パック204L及び副映像パック205L毎に分離される。主映像パック203Lの情報は映像デコーダ部227、音声パック204の情報は音声デコーダ部229L、副映像パック205Lの情報は副映像デコーダ部228Lにそれぞれ供給され、デコード処理が行なわれる。映像デコーダ部227でデコード処理された主映像情報と、副映像デコーダ部228Lでデコード処理された副映像情報とは、D−プロセッサ部230Lに供給されて重畳処理が施された後、D/A(Digital/Analogue)変換部231でアナログ化され、副映像情報は、そのままD/A変換部232Lでアナログ化され、映像信号として図示しない映像表示装置(例えば、CRT:Cathode Ray Tube等)に出力される。音声デコーダ部229Lでデコード処理された音声情報は、D/A変換部233Lでアナログ化され、音声信号として図示しない音声再生装置(例えば、スピーカ等)に出力される。
上記のような情報記憶媒体Dに対する一連の再生動作は、MPU部213によって統括的に制御されている。MPU部213Lは、キー入力部212Lからの操作情報を受け、ROM(Read Only Memory)部215Lに格納されたプログラムに基づいて、各部を制御している。
記録処理について、本実施の形態に係るディスク装置を説明する。
映像、音声及び副映像の各入力端子を通して入力される各データが、A/D変換部217L,218L,219Lに供給され、アナログ信号からデジタル信号に変換する。A/D変換部218でデジタル変換されたビデオデータは、映像エンコーダ部220Lに供給されエンコードされる。A/D変換部218でデジタル変換された副映像データは、副映像エンコーダ部221に供給されエンコードされる。A/D変換部219Lでデジタル変換されたオーディオデータは、音声エンコーダ部222Lに供給されエンコードされる。
各エンコーダでエンコードされたビデオ、オーディオ及び副映像の各データは、多重部(MUX:Multiplexer)216Lに供給され、それぞれパケット及びパック化し、ビデオパック、オーディオパック及び副映像パックとしてMPEG−2プログラムストリームを構成する。多重化されたデータ群は、ファイルフォーマッタ部225に供給され、このディスク装置で記録再生可能なファイル構造に準拠したファイルに変換する。このファイルは、ボリュームフォーマッタ部224に供給され、このディスク装置で記録再生可能なボリューム構造に準拠したデータフォーマットを形成する。ここでは、ファイルフォーマッタ部225Lでファイル化されたデータ及びそのファイル化されたデータを再生するための再生制御情報等を付加する。その後、物理フォーマッタ223Lに供給され、ディスクドライブ部211Lにより、ディスクDへファイル化されたデータを記録する。
このような再生動作や記録動作は、このディスク装置のROM部215Lに記憶された一連の処理プログラムに基づいて、キー入力部212Lからの指示のもと、MPU部213Lで実行することにより行われるものである。なお、このディスク装置では、副映像データのエンコード処理とデコード処理との両方を行っているが、エンコード処理のみがオーサリングシステム等で単独で行われたり、デコード処理のみがディスク装置で行われる場合も可能である。
光ディスク装置は、光ディスク10の論理フォーマットを参照して動作する。光ディスク10はリードインエリアからリードアウトエリアまでのボリューム空間は、先に説明したようなボリューム及びファイル構造を有している。この構造は、論理フォーマットとして特定の規格、例えば、マイクロUDF(micro UDF)及びISO9660に準拠されて定められている。ボリューム空間は、既に説明したように物理的に複数のセクタに分割され、その物理的セクタには、連続番号が付されている。論理アドレスは、マイクロUDF及びISO9660で定められるように論理セクタ番号LSNを意味し、論理セクタは、物理セクタのサイズと同様に2048バイトであり、論理セクタの番号LSNは、物理セクタ番号の昇順とともに連続番号が付加されている。
図23は、上記した装置の信号処理系統を詳しく示したプレーヤ基準モデルを示す。再生期間中、ディスクから読まれたプログラムストリーム内の各パックは復号/エラー訂正回路102Kのインターフェース部(先に説明した)からトラックバッファ104Kに送られ、そこで蓄えられる。トラックバッファ104Kの出力はデマルチプレクサ114Kで分離され、ISO/IEC 13818−1で規定される各ターゲットデコーダ124K、126K、126K、130K、132K、134K用の入力バッファ116K、118K、120K、122Kに転送される。トラックバッファ104Kはデコーダ124K、126K、128K、130K、132K、134Kへのデータ連続供給を確保するために設けられる。ナビパック内のDSI_PKTはトラックバッファ104Kに蓄えられると同時にデータサーチ情報(DSI)バッファ106Kにも蓄えられ、DSIデコーダ110Kでデコードされる。DSIデコーダ110KにはDSIデコーダ・バッファ112Kも接続され、復号/エラー訂正回路102Kにはシステム・バッファ108Kも接続される。
ビデオバッファ116Kの出力(主映像)はHD用デコーダ124K、SD用デコーダ126Kに供給される。HD用デコーダ124K、SD用デコーダ126Kの出力はそのままセレクタ156Kに供給されるとともに、バッファ136K、138Kを介してセレクタ156Kに供給される。セレクタ156Kの出力はレターボックスコンバータ160Kを介してミキサ162Kに供給される。
副映像バッファ118Kの出力はHD用デコーダ128K、SD用デコーダ130Kに供給される。HD用デコーダ128K、SD用デコーダ130Kの出力はそのままセレクタ158Kに供給されるとともに、バッファ142K、144Kを介してセレクタ158Kに供給される。セレクタ158Kの出力はミキサ162Kに供給される。
オーディオバッファ120Kの出力はオーディオデコーダ132Kに供給される。再生制御情報(PCI)バッファ122Kの出力はPCIデコーダ134Kに供給される。オーディオデコーダ132Kにはオーディオデコーダバッファ146Kも接続され、オーディオデコーダ132Kの出力はそのまま出力される。PCIデコーダ134KにはPCIデコーダバッファ148Kも接続され、PCIデコーダ134Kの出力はハイライト(HIL)バッファ150を介してHILデコーダ152Kに供給される。HILデコーダ152KにはHILデコーダバッファ154Kも接続され、HILデコーダ152Kの出力はそのまま出力される。
各デコーダ124K、126K、128K、130K、132K、134Kの電源投入タイミングは上述したバージョン番号、圧縮/非圧縮フラグに応じて制御され、SD/HD方式に応じて必要なデコーダがスタンバイされ、節電しつつ、再生開始を迅速に行うことができる。
図24を用いて複数の副映像パケットの副映像データにより構成される副映像ユニットについて説明する。1GOP内に十数画面分の静止画のデータ(たとえば字幕)としての副映像ユニットが記録できるようになっている。副映像ユニット(SPU)は、副映像ユニットヘッダ(SPUH)、ビットマップデータで構成される画素データ(PXD)、表示制御シーケンステーブル(SP_DCSQT)により構成されている。
表示制御シーケンステーブル(SP_DCSQT)のサイズは副映像ユニットの半分以下である。表示制御シーケンス(SP_DCSQ)は各画素の表示制御の内容を記述する。各表示制御シーケンス(SP_DCSQ)は連続して互いに接して記録される。
副映像ユニット(SPU)は整数個の副映像パックSP_PCKに分割され、ディスク上に記録されている。副映像パックSP_PCKは一つの副映像ユニット(SPU)の最終パックに限り、パディングパケット又はスタッフィングバイトを持つことができる。ユニットの最終データを含むSP_PCKの長さが2048バイトに満たない場合は調整される。最終パック以外のSP_PCKはパディングパケットを持つことができない。
副映像ユニット(SPU)のPTSは例えば、トップフィールドに整合されなければならない。副映像ユニット(SPU)の有効期間は副映像ユニット(SPU)のPTSから次に再生される副映像ユニット(SPU)のPTSまでである。ただし、副映像ユニット(SPU)の有効期間中にナビゲーションデータにスチルが発生する場合は、副映像ユニット(SPU)の有効期間はそのスチルが終了するまでである。
副映像ユニット(SPU)の表示は以下に定義される。
(1)表示制御コマンドによって副映像ユニット(SPU)の有効期間中に表示がオンされた場合、副映像データが表示される。
(2)表示制御コマンドによって副映像ユニット(SPU)の有効期間中に表示がオフされた場合、副映像データがクリアされる。
(3)副映像ユニット(SPU)の有効期間が終了した時副映像ユニット(SPU)は強制的にクリアされ、副映像ユニット(SPU)はデコーダバッファから破棄される。副映像ユニットヘッダ(SPUH)については、先に説明した通りである。
〔3〕再生専用情報記憶媒体(次世代DVD−ROM)、追記型情報記憶媒体(次世代DVD−R)、書換え型情報記憶媒体(次世代DVD−R/W、次世代DVD−RAM)間で共通なデータ構造部分。
情報記録媒体のデータ領域に記録されるデータは、図25に示すように、信号処理段階に応じて、データフレーム(data frame)、スクランブルドフレーム(scrambled frame)、記録フレーム(recording frame)または記録データ領域(recorded data field)と称される。データフレームは、2048バイトからなり、メインデータ、4バイトのデータID、2バイトのIDエラー検出コード(IED)、6バイトの予約バイト、4バイトのエラー検出コード(EDC)を有する。図25は記録データ領域を構成するための処理の順番を示す。
エラー検出コード(EDC)が付加された後、メインデータに対するスクランブルが実行される。ここで、スクランブルされた32個のデータフレーム(スクランブルドフレーム)に対して、クロスリードソロモンエラーコレクションコード(Cross Reed-Solomon error correction code)が適用されて、所謂ECCエンコード処理が実行される。これにより、記録フレームが構成される。この記録フレームは、アウターパリティコード(Parity of Outer-code (PO))、インナーパリティコード(Parity of Inner-code(PI))を含む。
PO、PIは、それぞれ32個のスクランブルドフレームによりなる各ECCブロックに対して作成されたエラー訂正コードである。
記録フレームは、4/6変調される。そして、91バイト毎に先頭にシンクコード(SYNC)が付加され記録フィールドとなる。1つのデータ領域に4つの記録フィールドが記録される。
図25は、メインデータから記録フレームまで、データが変遷する様子を示している。図26は、データフレームの形態を示している。データフレームは、172バイト×2×6行からなる2064バイトであり、そのなかに2048バイトのメインデータを含む。
図27は、データID内のデータ構造を示す。データIDは、4バイトで構成される。ビットb31−b24の最初の1バイトは、データフレーム情報であり、残りの3バイト(ビットb23−b0)は、データフレーム番号である。
データフレーム情報は、セクタフォーマットタイプ、トラッキング方法、反射率、記録タイプ、エリアタイプ、データタイプ、レイヤーナンバ等の情報を含む。
セクタフォーマットタイプ:
0b…CLVフォーマットタイプ
1b…ゾーンフォーマットタイプ
トラッキング方法:
0b…ピットトラッキング
1b…グルーブトラッキング
反射率:
0b…40%以上
1b…40%と等しいかそれ以下
記録タイプ:
0b…予約、
エリアタイプ:
00b…データエリア
01b…システムリードインエリア、あるいはデータリードインエリア
10b…データリードアウトエリア、あるいはシステムリードアウトエリア
11b…ミドルエリア
データタイプ:
0b…リードオンリデータ
1b…リライタブルデータ
レイヤーナンバ:
0b…2層(デュアルレイヤー)ディスクの層0、或は単一層(シングルレイヤー)ディスク
1b…デュアルレイヤーディスクの層1
リライタブルデータゾーンの中のデータフレーム情報は、次のようになっている。
セクタフォーマットタイプ:
1b…ゾーンフォーマットタイプ
トラッキング方法:
1b…グルーブトラッキング
反射率:
1b…40%と等しいかそれ以下
記録タイプ:
0b…ジェネラルデータ(ブロックに欠陥がある場合は対応するセクタを含むブロックにはリニア置換アルゴリズムが適用される)
1b…リアルタイムデータ(ブロックに欠陥がある場合でも対応するセクタを含むブロックにはリニア置換アルゴリズムが適用されない)(図29参照)
エリアタイプ:
00b…データエリア
01b…リードインエリア
10b…リードアウトエリア
データタイプ:
1b…リライタブルデータ
レイヤーナンバ:
0b…デュアルレイヤーの層0、或は単一層ディスク
1b…デュアルレイヤーの層1
データフレーム番号:図28参照
これらのビットは以下のルールで割り当てられなければならない。
セクタフォーマットタイプ:
0b…再生専用ディスクまたは記録可能ディスク用のCLVフォーマットタイプ
1b…書換え可能なディスク用のゾーンフォーマットタイプ
トラッキング方法:
0b…ピットトラッキング
1b…グルーブトラッキング
反射率:
0b…40%以上
1b…40%と等しいかそれ以下
記録タイプ:書換え可能ディスクのデータエリアの場合
0b…ジェネラルデータ
1b…リアルタイムデータ
エリアタイプ:
00b…データエリア
01b…システムリードインエリア、あるいはデータリードインエリア
10b…データリードアウトエリア、あるいはシステムリードアウトエリア
11b…ミドルエリア
データタイプ:
0b…リードオンリデータ
1b…リードオンリデータ以外
レイヤーナンバ:
0b…デュアルレイヤーの層0、或は単一層ディスク
1b…デュアルレイヤーの層1
データフレーム番号:物理セクタ数
図28は、書換え型情報記憶媒体におけるデータフレーム番号の内容を示す。データフレームが、システムリードインエリア、欠陥管理エリア、ディスク識別ゾーンに所属する場合は、いずれの場合も物理セクタ番号が記述される。データフレームがデータエリアに所属する場合、そのデータフレーム番号は、論理セクタ番号:(LSN)+030000hとなる。このときは、使用ブロックはユーザデータを含むECCブロックである。
また、データフレームがデータエリア内に所属するが、このデータフレームはユーザデータを含まず、すなわち、未使用ブロックである場合がある。未使用ブロックはユーザデータを含まないECCブロックである。このような場合は、次の3つのいずれかである。(1)最初のセクタの0から3ビットが0であり、続くセクタにはシリアルにインクリメントされた数字が記述される。ECCブロック内の全てのセクタは同一条件である。(2)“00 0000h”から“00 000Fh”の間の数字が記述される。(3)あるいは何も記述されない。
図29は、書換え型情報記憶媒体における記録タイプの定義を示している。
データフレームがシステムリードインエリアにあるときは、“0b”である。データフレームがデータリードインエリア、データリードアウトエリアにあるときは、“0b”である。データフレームがデータにあるときは、“0b”:ジェネラルデータ、“1b”:リアルタイムデータである。ジェネラルデータの場合は、ブロックに欠陥がある場合は対応するセクタを含むブロックにはリニア置換アルゴリズムが適用される。リアルタイムデータの場合は、ブロックに欠陥がある場合でも対応するセクタを含むブロックにはリニア置換アルゴリズムが適用されない。
次に、データIDのエラー検出コード(IED)について説明する。
今、マトリックスに配置された各バイトが、Ci,j(i=0〜11、j=0〜171)IEDのための各バイトがC0,j(j=4〜5)とすると、IEDは、以下のように表せる。
αは一次多項式の一次ルートを示す。
P(x)=x8+x4+x3+x2+1
次に、6バイトの予約データRSVについて説明する。
RSVは全ビットが“0b”の6バイトのデータである。
エラー検出コード(EDC)は、4バイトのチェックコードであり、スクランブル前のデータフレームの2060バイトに付随している。データIDの最初のバイトのMSBがb16511であるとし、最後のバイトのLSBがb0であるとする。すると、EDCのための各ビットbi(i=31〜0)は、
図30の(a)は、スクランブルドフレームを作成するときに、フィードバックシフトレジスタに与える初期値の例を示し、図30の(b)は、スクランブルバイトを作成するためのフィードバックシフトレジスタを示している。16種類のプリセット値が用意されている。
r7(MSB)からr0(LSB)が、8ビットずつシフトし、スクランブルバイトとして用いられる。図30の(a)の初期プリセット番号は、データIDの4ビット(b7(MSB)〜b4(LSB))に等しい。データフレームのスクランブルの開始時には、r14〜r0の初期値は、図30の(a)のテーブルの初期プリセット値にセットしなければならない。
16個の連続するデータフレームに対して、同じ初期プリセット値が用いられる。次には、初期プリセット値が切り換えられ、16個の連続するデータフレームに対しては、切り換わった同じプリセット値が用いられる。
r7〜r0の初期値の下位8ビットは、スクランブルバイトS0として取り出される。その後、8ビットのシフトが行なわれ、次にスクランブルバイトが取り出され、2047回このような動作が繰り替えされる。r7〜r0より、スクランブルバイトS0〜S2047が取り出されると、データフレームは、メインバイトDkからスクランブルドバイトD’kとなる。このスクランブルドバイトD’kは、
となる。
次に、ポイント(D)、(E)に関係するECCブロックの構成について説明する。
図31はECCブロックを示している。ECCブロックは、連続する32個のスクランブルドフレームから形成されている。縦方向に192行+16行、横方向に(172+10)×2列が配置されている。B0,0、B1,0、…はそれぞれ1バイトである。POは、PIは、エラー訂正コードであり、アウターパリティ、インナーパリティである。
図32のECCブロックは、(6行×172バイト)単位が1スクランブルドフレームとして扱われる。このようにスクランブルドフレーム配置として書き直した図が図33である。すなわち、1ECCブロックは連続する32個のスクランブルドフレームからなる。さらに、このシステムでは(ブロック182バイト×207バイト)をペアとして扱う。左側のECCブロックの各スクランブルドフレームの番号にLを付け、右側のECCブロックの各スクランブルドフレームの番号にRを付けると、スクランブルドフレームは、図32に示すように配置されている。すなわち、左側のブロックに左と右のスクランブルドフレームが交互に存在し、右側のブロックにスクランブルドフレームが交互に存在する。
すなわち、ECCブロックは、32個の連続スクランブルドフレームから形成される。奇数セクタの左半分の各行は、右半分の行と交換されている。172×2バイト×192行は172バイト×12行×32スクランブルドフレームに等しく、データ領域となる。16バイトのPOが、各172×2列にRS(208,192,17)のアウターコードを形成するために付加される。また10バイトのPI(RS(182,172,11))が、左右のブロックの各208×2行に付加される。PIは、POの行にも付加される。
フレーム内の数字は、スクランブルドフレーム番号を示し、サフィックスのR,Lは、スクランブルドフレームの右側半分と、左側半分を意味する。図32に示したPO,PIの生成は以下のような手順で行なわれる。
先ず、列j(j=0〜171と、j=182〜353)に対して、16バイトのBi,j(i=192〜207)が付加される。このBi,jは、次の多項式Rj(x)により定義されており、この多項式は、アウターコードRS(208,192,17)を各172×2列に形成するものである。
次に、行i(i=0〜207)に対して、10バイトのB
i,j(j=172〜181、j=354〜363)が付加される。このB
i,jは、次の多項式Ri(x)により定義されており、
この多項式は、インナーコードRS(182,172,11)を(208×2)/2の各行に形成するものである
αは一次多項式の一次ルートを示す。
P(x)=x8+x4+x3+x2+1
〔本実施の形態の個々ポイントとその個々ポイント毎の独自効果説明〕
ポイント(D)
積符号を用いたECCブロック構造(図31、図32)。
図31と図32に示すように本実施の形態では情報記憶媒体に記録するデータを2次元状に配置し、エラー訂正用付加ビットとして行方向に対してはインナーパリティPI(Parity in)、列方向に対してはアウターパリティPO(Parity out)を付加した構造になっている。
[効果]
イレイジャー訂正および縦と横の繰り返し訂正処理による高いエラー訂正能力を持つ。
○32セクタで一つのエラー訂正単位(ECCブロック)を構成。
図32に示すように本実施の形態では0セクタから31セクタまでの32セクタを縦に順次並べてECCブロックを構成する構造になっている。
[効果]
次世代DVDにおいては、現世代DVDと同じ程度の長さの傷が情報記憶媒体表面に付いた場合でも、エラー訂正処理で正確な情報が再生できることが要求される。本実施の形態では高画質映像に対応した大容量化を目指して記録密度を高めた。その結果、従来通り、16セクタで1ECCブロックを構成する場合、エラー訂正で補正可能な物理的傷の長さが従来のDVDに比べて短くなる。本実施の形態のように1ECCブロックを32セクタで構成する構造にすることで、エラー訂正可能な情報記憶媒体表面傷の許容長さを長くできると共に、現行DVDECCブロック構造の互換性・フォーマット継続性を確保できる。
ポイント(E)
同一セクタ内を複数に分割し、分割された各部分毎に異なる積符号(小ECCブロック)を構成する。
図32に示すようにセクタ内データを172バイト毎に左右に交互配置し、左右で別々にグルーピングされる(左右のグループに属するデータはそれぞれ入れ子状にインターリーブされた形になっている)。この分割された左右のグループは図32に示すように32セクタ分ずつ集められて左右で小さなECCブロックを構成する。図32内での例えば、“2−R”などの意味はセクタ番号と左右グループ識別記号(例えば、2番目の右側のデータ)を表している(図32中のLは左を表す。)
[効果]
セクタ内データのエラー訂正能力を向上させることによる記録データの信頼性向上。
例えば、記録時にトラックが外れて既記録データ上をオーバーライトしてしまい、1セクタ分のデータが破壊された場合を考える。本実施の形態では1セクタ内の破壊データを2個の小ECCブロックを用いてエラー訂正を行うため、1個のECCブロック内でのエラー訂正の負担が軽減され、より性能の良いエラー訂正が保証される。
本実施の形態ではECCブロック形成後でも各セクタの先頭位置にデータID(data ID)が配置される構造になっているため、アクセス時のデータ位置確認が高速で行える。
○同一セクタ内をインターリーブ(等間隔で交互に別のグループに含ませる)し、各グループ毎に異なる小さいECCブロックに属させる。
[効果]
本実施の形態によりバーストエラーに強い構造を提供する。
例えば、情報記憶媒体の円周方向に長い傷が付き、172バイトを越えるデータの判読が不可能になったバーストエラーの状態を考える。この場合の172バイトを越えるバーストエラーは2つの小さいECCブロック内に分散配置されるので、1個のECCブロック内でのエラー訂正の負担が軽減され、より性能の良いエラー訂正が保証される。
図31の各Bマトリックスの要素であるBi,jは、208行×182×2列を構成している。このBマトリックスは、Bi,jがBm,nで再配置されるように、行間においてインターリーブされている。このインターリーブの規則は以下の式で表される。
この結果、図33に示す様に、16のパリティ行は、1行ずつ分散される。すなわち、16のパリティ行は、2つの記録フレーム置きに対して、1行ずつ配置される。したがって、12行からなる記録フレームは、12行+1行となる。この行インターリーブが行なわれた後、13行×182バイトは、記録フレームとして参照される。したがって、行インターリーブが行なわれた後のECCブロックは32個の記録フレームからなる。1つの記録フレーム内には、図32で説明したように、右側と左側のブロックの行が6行ずつ存在する。また、POは左のブロック(182×208バイト)と右のブロック(182×208バイト)間では、異なる行に位置するように配置されている。図では、1つの完結型のECCブロックとして示している。しかし、実際のデータ再生時には、このようなECCブロックが連続してエラー訂正処理部に到来する。このようなエラー訂正処理の訂正能力を向上するために、図33に示すようなインターリーブ方式が採用された。
次に、記録データ領域の構成(ポイントF)について説明する。
13行×182バイトの記録フレーム(2366バイト)が連続変調され、これに2つのシンクコードが付加される。1つのシンクコードは第0列の前、もう1つのシンクコードは第91番目の列の前に付加される。
記録データ領域の開始時は、シンクコードSY0の状態は、Stete1である。記録データ領域は、図34に示すように、13セット×2シンクフレームである。29016チャンネルビット長の1つの記録データ領域は、変調前は、2418バイトに等価である。
図34のSY0−SY3はシンク(SYNC)コードであり、図35に示すコードの中から選択されたものである。図34に記載されている数字24、数字1092はチャンネルビット長である。
図34において偶数記録データ領域(Even Recorded data field)及び奇数記録データ領域(Odd Recorded data field)のいずれも最後の2シンクフレーム(すなわち、最後のシンクコードがSY3の部分とその直後のシンクデータ及びシンクコードがSY1の部分とその直後のシンクデータが並んだ部分)内のシンクデータ領域に図33で示したアウターパリティPOの情報が挿入される。
偶数記録データ領域内の最後の2シンクフレーム箇所には図32に示した左側のPOの一部が挿入され、奇数記録データ領域内の最後の2シンクフレーム箇所には図32に示した右側のPOの一部が挿入される。図32に示すように1個のECCブロックはそれぞれ左右の小ECCブロックから構成され、セクタ毎に交互に異なるPOグループ(左の小ECCブロックに属するPOか、右の左の小ECCブロックに属するPOか)のデータが挿入される。
シンクコードSY3,SY1が連続する左側のデータ領域は、図34の(a)に示されており、シンクコードSY3,SY1が連続する右側のデータ領域は、図34の(b)に示されている。
〔本実施の形態の個々ポイントとその個々ポイント毎の独自効果説明〕
ポイント(F)
ECCブロックを構成するセクタにより複数種類の同期フレーム構造を規定する。
1個のECCブロックを構成するセクタのセクタ番号が偶数番号か奇数番号かで図34(a)、(b)に示すように同期フレーム構造を変化させるところに特徴がある。すなわち、セクタ毎に交互に異なるPOグループのデータが挿入される構造(図33)になっている。
[効果]
ECCブロックを構成した後でも、セクタの先頭位置にデータIDが配置される構造になっているため、アクセス時のデータ位置確認が高速で行える。また、同一セクタ内に異なる小ECCブロックに属するPOを混在挿入することにより、図33のようなPO挿入方法を採る方法が構造が簡単になり、情報再生装置内でのエラー訂正処理後の各セクタ毎の情報抽出が容易になると共に、情報記録再生装置内でのECCブロックデータの組立て処理の簡素化が図れる。
○POのインターリーブ・挿入位置が左右で異なる構造を有する(図33)。
[効果]
ECCブロックを構成した後でも、セクタの先頭位置にデータIDが配置される構造になっているため、アクセス時のデータ位置確認が高速で行える。
図35に具体的なシンクコード内容について説明する。本実施の形態の変調規則(詳細説明は後述)に対応してState0からState2までの3状態(State)を有する。SY0からSY3までのそれぞれ4種類のシンクコードが設定され、各状態に応じて図35の左右のグループから選択される。現行DVD規格では変調方式として8/16変調(8ビットを16チャネルビットに変換)のRLL(2,10)(Run Length Limited:d=2、k=10:“0”が連続して続く範囲の最小値が2、最大値が10)を採用しており、変調にState1からState4までの4状態、SY0からSY7までの8種類のシンクコードが設定されている。それに比べると本実施の形態はシンクコードの種類が減少している。情報記録再生装置または情報再生装置では情報記憶媒体からの情報再生時にパターンマッチング法によりシンクコードの種別を識別する。本実施の形態のようにシンクコードの種類を大幅に減らすことにより、マッチングに必要な対象パターンを減らし、パターンマッチングに必要な処理を簡素化して処理効率を向上させるばかりで無く、認識速度を向上させることが可能となる。
図35において“#”で示したビット(チャネルビット)はDSV(Digital Sum Value)制御ビットを表している。上記DSV制御ビットは後述するようにDSV制御器(DSVコントローラ)によりDC成分を抑圧する(DSVの値が“0”に近付く)ように決定される。すなわち、上記シンクコードを挟んだ両側のフレームデータ領域(図34の1092チャネルビットの領域)を含め、巨視的に見てDSV値が“0”に近付くように“#”の値を“1”か“0”に選択される。
図35に示すように本実施の形態におけるシンクコードは下記の部分から構成されている。
(1)同期位置検出用コード部
全てのシンクコードで共通なパターンを持ち、固定コード領域を形成する。このコードを検出することでシンクコードの配置位置を検出出来る。具体的には図35の各シンクコードにおける最後の18チャネルビット“010000 000000 001001”のところを意味している。
(2)変調時の変換テーブル選択コード部
可変コード領域の一部を形成し、変調時のState番号に対応して変化するコードである。図35の最初の1チャネルビットのところが該当する。すなわち、State1、State2のいずれかを選択する場合にはSY0からSY3までのいずれのコードでも最初の1チャネルビットが“0”となり、State0選択時にはシンクコードの最初の1チャネルビットが“1”となっている。但し、例外としてState0でのSY3の最初の1チャネルビットは“0”となる。
(3)シンクフレーム位置識別用コード部
シンクコード内でのSY0からSY3までの各種類を識別するコードで、可変コード領域の一部を構成する。図35の各シンクコードにおける最初から1番目から6番目までのチャネルビット部がこれに相当する。後述するように連続して検出される3個ずつのシンクコードのつながりパターンから同一セクタ内の相対的な位置を検出できる。
(4)DC抑圧用極性反転コード部
図35における“#”位置でのチャネルビットが該当し、上述したようにここのビットが反転もしくは非反転することで前後のフレームデータを含めたチャネルビット列のDSV値が“0”に近付くように働く。
本実施の形態では変調方法に8/12変調(ETM:Eight to Twelve Modulation)、RLL(1,10)を採用している。すなわち、変調時に8ビットを12チャネルビットに変換し、変換後の“0”が連続して続く範囲は最小値(d値)が1、最大値(k値)が10になるように設定している。本実施の形態ではd=1とすることで従来より高密度化を達成できるが、最密マークのところでは充分に大きな再生信号振幅を得難い。
そこで、図132に示すように本実施の形態の情報記録再生装置では、PR等化回路130とビタビ復号器156を持ち、PRML(Partiral Response Maximum Likelihood)の技術を用いて非常に安定な信号再生を可能としている。また、k=10と設定しているので、変調された一般のチャネルビットデータ内には“0”が連続して11個以上続くことが無い。この変調ルールを利用し、上記の同期位置検出用コード部では変調された一般のチャネルビットデータ内には現れ無いパターンを持たせている。すなわち、図35に示すように同期位置検出用コード部では“0”を連続的に12(=k+2)個続けている。情報記録再生装置または情報再生装置ではこの部分を見付けて同期位置検出用コード部の位置を検出する。また、余りに長く“0”が連続的に続くとビットシフトエラーが起き易いので、その弊害を緩和するため同期位置検出用コード部内ではその直後に“0”の連続個数が少ないパターンを配置している。本実施の形態ではd=1なので、対応パターンとしては“101”の設定は可能であるが、上述したように“101”のところ(最密パターンのところ)では充分に大きな再生信号振幅が得難いので、その代わりに“1001”を配置し、図35に示すような同期位置検出用コード部のパターンにしている。
本実施の形態において、図35に示すようにシンクコード内の後ろ側の18チャネルビットを独立して(1)同期位置検出用コード部とし、前側の6チャネルビットで(2)変調時の変換テーブル選択コード部、(3)シンクフレーム位置識別用コード部、(4)DC抑圧用極性反転コード部を兼用しているところに特徴がある。シンクコード内で(1)同期位置検出用コード部を独立させることで単独検出を容易にして同期位置検出精度を高め、6チャネルビット内に(2)〜(4)のコード部を兼用化することでシンクコード全体のデータサイズ(チャネルビットサイズ)を小さくし、シンクデータの占有率を高めることで実質的なデータ効率を向上させる効果がある。
図35に示す4種類のシンクコードの内、SY0のみを図34に示すようにセクタ内の最初のシンクフレーム位置に配置したところに本実施の形態の特徴がある。その効果としてSY0を検出するだけで即座にセクタ内の先頭位置が割り出せ、セクタ内の先頭位置抽出処理が非常に簡素化される。
また、連続する3個のシンクコードの組み合わせパターンは同一セクタ内で全て異なると言う特徴もある。
図34の実施の形態では、偶数記録データ領域、奇数記録データ領域いずれの場合にもセクタ先頭のシンクフレーム位置ではSY0が現れ、次にSY1、SY1と続く。この場合の3個のシンクコードの組み合わせパターンはシンクコード番号だけを並べて(0,1,1)となる。この組み合わせパターンを列方向に縦に並べ、1個ずつ組み合わせをずらした時のパターン変化を横方向に並べると図36のようになる。例えば、図36での最新のシンクフレーム番号が“02”の列は(0,1,1)の順にシンクコード番号が並んでいる。図34において偶数記録データ領域での“02”のシンクフレーム位置は最上行の左から3番目のシンクフレーム位置を表している。このシンクフレーム位置でのシンクコードはSY1となっている。セクタ内データを連続に再生している場合には、その直前に配置されたシンクフレーム位置でのシンクコードはSY1であり、2個前のシンクコードはSY0(シンクコード番号は“0”)となる。図36から明らかなように最新のシンクフレーム番号が“00”から“25”の範囲で列方向に並ぶ3個のシンクコード番号の組み合わせパターンは全て異なる組み合わせになっている。この特長を生かし、連続する3個のシンクコードの組み合わせパターンから同一セクタ内の位置を割り出すことが可能となる。
図36における6行目は連続する3個のシンクコードの組み合わせを1個ずらした時のパターン変化内でのシンクコード番号が変化する数を表している。例えば、最新のシンクフレーム番号が“02”の列は(0,1,1)の順にシンクコード番号が並んでいる。この組み合わせを1個ずらした時の組み合わせパターンは最新のシンクフレーム番号が“03”の列で記載され、(1,1,2)になっている。この2パターンを比較すると、中央部では“1→1”とシンクコード番号は変わって無いが、前の方が“0→1”と変化し、後ろの方が“1→2”と変化しているので合計2箇所変化し、隣接間のコード変化数は“2”となる。図36から明らかなように最新のシンクフレーム番号が“00”から“25”に至る全範囲内で隣接間のコード変化数が2以上になる(すなわち、連続する3個ずつのシンクコードの組み合わせを1個ずらした組み合わせパターンは、少なくとも2箇所以上シンクコード番号が変化する)ように工夫してセクタ内のシンクコード番号を配列したところに本実施の形態の特徴がある。
図40と図41を用いて後述するように、本実施の形態では再生専用情報記憶媒体における特定のデータ構造及び追記型情報記憶媒体と書換え型情報記憶媒体ではECCブロックの間にガード領域を持ち、このガード領域内のPA(Postamble:ポストアンブル)領域の最初にシンクコードが配置され、ガード領域内のシンクコードは図37に示すようにSY1が設定されている。このようにシンクコード番号を設定することでガード領域を挟んで2個のセクタが配置されている場合でも、連続する3個ずつのシンクコードの組み合わせを1個ずつずらした時の隣接間のコード変化数は図37に示すように常に2以上が保たれる。
図36及び図37における7行目は連続する3個ずつのシンクコードの組み合わせを2個ずつずらした時のコード変化数を表している。例えば、(0,1,1)の順にシンクコード番号が並んでいる最新のシンクフレーム番号が“02”の列に対して、組み合わせを2個ずらした時のパターンは最新のシンクフレーム番号が“04”の列に対応し、(1,2,1)の順にシンクコード番号が並ぶ。この時は後ろの方は“1→1”とシンクコード番号は変わって無いが、前の方が “0→1”と変化し、中央が“1→2”と変化しているので合計2箇所変化し、組み合わせを2個ずらした時のコード変化数は“2”となる。
情報記憶媒体に記録された情報を連続して再生する時に情報記憶媒体上が無欠陥であり、フレームシフトやトラック外れが無い理想的な場合には、フレームデータを再生すると同時にシンクコードのデータも正確に順次検知が行われている。この場合には連続する3個ずつのシンクコードの組み合わせパターンは1個ずつずらした隣接パターンが順次検出される。図34に示すような本実施の形態のシンクコード配列を行った場合には図36、図37に示すように連続する3個ずつのシンクコードの組み合わせパターンは必ず2箇所以上シンクコード番号が変化している。従って、もし上記組み合わせパターンが隣接間で1個のみシンクコード番号が変化した場合には、シンクコード(番号)を一部誤検知したかトラック外れを起こした可能性が高い。
情報記憶媒体上の情報再生時に何らかの原因で同期が外れ、1シンクフレーム分ずれて同期を掛けていたとしても、次のシンクコードを検出した時点で先行する2個のシンクコードとの組み合わせパターンにより同一セクタ内の現在の再生位置を確認することが出来る。その結果、1シンクフレーム分ずらして(位置補正して)同期をリセットすることが可能となる。連続再生時に同期が外れて1シンクフレーム分ずれたことを検出した時は、連続する3個ずつのシンクコードの組み合わせを2個ずらした時のパターン変化が現れる。この時にパターン内でシンクコード番号が変化する場所の数を示したのが図36と図37の7行目である。フレームシフトが生じた場合のフレームシフト量は大多数の場合に±1シンクフレーム分なので、1シンクフレームずれた時のパターン変化状況を把握していれば大多数のフレームシフトを検出できる。図36と図37の7行目から分かることは、本実施の形態のシンクコード配列方法では±1シンクフレーム分のフレームシフトが生じた時に
(イ)ほとんどの場合はパターン内でシンクコード番号が変化する場所は2箇所以上になっている、
(ロ)パターン内でシンクコード番号が変化する場所は1箇所のみなのはセクタ内の先頭に近い場所だけ(最新のシンクフレーム番号で“03”と“04”の所だけ)になっている、
(ハ)パターン内でシンクコード番号が変化する場所は1箇所のみなのは検出された組み合わせパターンが(1,1,2)か(1,2,1)(最新のシンクフレーム番号で“03”と“04”のところ)及び(1,2,2)か(2,1,2)(最新のシンクフレーム番号で“03”と“04”のところに対して1シンクフレーム分ずらした場所(組み合わせ場所を2個ずらした場所)での組み合わせパターン)のところのみになっている、
と言う特徴がある。
以上の特徴から多くの場合(仮にフレームシフトが生じてもシフト量が±1シンクフレーム分の場合)には「連続する3個ずつのシンクコードの組み合わせパターン内でシンクコード番号が変化する場所の数が1箇所のみで、検出された組み合わせパターンが(1,1,2)、(1,2,1)、(1,2,2)、(2,1,2)のいずれに該当しない場合にはシンクコードの誤検知かトラック外れが生じた」と判断できる。
トラック外れが生じた場合には図26に示すデータIDの連続性、もしくは後述するウォブルアドレス情報の連続性の可否で検知(トラックが外れると連続性が途切れる)できる。
図34に示した本実施の形態におけるシンクコード配列方法による特徴を利用し、連続する3個ずつのシンクコードの組み合わせパターン変化の状態でフレームシフト、シンクコードの誤検知、トラック外れのいずれかを識別可能となる。以上で説明した内容を図38にまとめて記載する。パターン内でシンクコード番号が変化する場所の数が1箇所のみか否かでフレームシフトかシンクコードの誤検知/トラック外れを識別できるところに本実施の形態の特徴がある。
図38において各ケースでのパターンの変化状況は列方向(縦方向)にまとめて記載している。例えば、ケース1では予定した組み合わせパターンと2箇所以上異なり、予定パターンに対して±1シンクフレームずれたパターンに一致していればフレームシフトと見なすのに対して、ケース2では予定パターンと1箇所のみ異なる、予定パターンに対して±1シンクフレームずれたパターンに一致、検出されたパターンが(1,1,2)、(1,2,1)、(1,2,2)、(2,1,2)のいずれに該当の3つの状況が重ならないとフレームシフトが起きたと見なされない。
〔本実施の形態の個々ポイントとその個々ポイント毎の独自効果説明〕
ポイント(J)
配置を工夫し、連続3個ずつのシンクコードの組み合わせが1個ずれた時のコード変化数を2以上にする(図36〜図38)
[効果]
情報記憶媒体表面に付着したゴミや傷、あるいは記録膜(光反射膜)上の微細な欠陥等により記録されたシンクコードが正しく読めず誤って別のシンクコード番号として認識される(誤検知)ことがしばしば起こる。従来のDVDのシンクコード配列では隣接するシンクコードの組み合わせパターン間で1箇所のみシンクコード番号が変化する場所が存在している。そのため、1箇所シンクコードのシンクコード番号を読み違える(誤検知する)と、フレームシフトが生じたと誤って判断され、誤った位置に再同期を掛けられて(リセットされて)しまう。この場合、シンクフレーム内のシンクコードを除いた残りのフレームデータは、例えば、図33に示すECCブロック内の間違った位置に割り当てられてエラー訂正処理されてしまう。1シンクフレーム分のフレームデータ量は図33に示すECCブロックを構成する左右の小ECCブロック内での半ライン分に相当する。
従って、上記の誤検知により、1シンクフレーム分ECCブロック内での割り当て位置を間違われると、大幅にエラー訂正能力が低下し、ECCブロック内の全データにまで影響が波及する。本実施の形態のように連続3個ずつのシンクコードの組み合わせが1個ずれた時のコード変化数が2以上になるようにシンクコード配列を工夫することで情報記憶媒体表面に付着したゴミや傷、あるいは記録膜(光反射膜)上の微細な欠陥等によりシンクコード番号を誤検知したとしてもフレームシフトが生じたと誤って判断されことが少なく、ECCブロックによるエラー訂正能力の大幅な劣化を防止できる。
更に、シンクコードの組み合わせパターン内で1箇所だけ予想外のシンクコード番号が検出されたとしてもシンクコードの誤検知か否かを判定できるため、誤検知結果に対して自動的に正しいシンクコード番号に直す『自動修正処理』(図136のST7)が可能になる。その結果、従来のDVDと比べてシンクコードの検出およびそれを用いた同期処理の信頼性が飛躍的に向上する。
○ガード領域を含まないセクタ構造が繰り返す配置でもコード変化数が2以上になるように工夫。
○ガード領域を挟んでセクタ構造が配置される場合でもコード変化数が2以上になるように工夫。
[効果]
図40と図41に示すように再生専用情報記憶媒体におけるデータ記録形式が2種類存在した場合でも、データ記録形式に依らず追記型情報記憶媒体と記録型情報記憶媒体に関してもシンクコード配列を利用した同じ検出方法が利用できるため、同期検出から見た媒体種類および(再生専用情報記憶媒体における)データ記録形式に関する互換性が確保可能となる。その結果、媒体種類や記録形式に依らずシンクコード配列を利用した検出処理回路/処理プログラムの共通化が図れ、情報記録再生装置内の簡素化と低価格化が可能となる。
〔4〕再生専用情報記憶媒体(次世代DVD−ROM)の第1の例
ポイント(C)
本実施の形態では再生専用情報記憶媒体(次世代DVD−ROM)における記録データのデータ構造は2種類許容し、記録するデータ内容によりコンテンツプロバイダがどちらか一方を選択可能としている。
〔4−1〕再生専用情報記憶媒体(次世代DVD−ROM)の第1の例におけるデータ構造説明
本実施の形態では情報記憶媒体221の種類(再生専用/追記可能型/書換え可能型)に依らず、情報記憶媒体221上に記録されるデータは図39に示すような記録データの階層構造を持っている。
すなわち、データのエラー検出もしくはエラー訂正が可能となる最も大きなデータ単位である一個のECCブロック401内は32個のセクタ230〜241から構成されている。各ECCブロック401の詳細は図33に示したものである。図39に示す各セクタ230〜241は図5に示したパック単位で記録するセクタ231〜238と同じ内容を示している。図34で既に説明し、図39に再度示すように各セクタ230〜241内はそれぞれ26個ずつのシンクフレーム(#0)420〜(#25)429から構成される。1個のシンクフレーム内は図39に示すようにシンクコード431とシンクデータ432を構成する。1個のシンクフレーム内は図34に示すように1116(=24+1092)チャネルビットのデータが含まれ、この1個のシンクフレームが記録される情報記憶媒体221上の物理的距離であるシンクフレーム長433は至るところほぼ一定(ゾーン内同期のための物理的距離の変化分を除いた場合)になっている。
〔4−2〕再生専用情報記憶媒体の第2の例におけるデータ構造との比較(ポイント(C)、(Q))
再生専用情報記憶媒体において複数種類の記録形式を設定可能とするところ(ポイント(C)に対応)にも本実施の形態の特徴がある。具体的には再生専用情報記憶媒体の第1の例と第2の例に示す2種類の記録形式がある。本実施の形態再生専用情報記憶媒体における第1の例と第2の例の違いを図40に示す。図40(a)は第1の例を示し、各ECCブロック(#1)411〜(#5)415間は物理的に詰めて連続して情報記憶媒体221上に記録される。それに対して第2の例では図40(b)に示すように各ECCブロック(#1)411〜(#8)418間にそれぞれガード領域(#1)441〜(#8)448が挿入配置されているところが異なる(ポイント(H)に対応)。各ガード領域(#1)441〜(#8)448の物理的長さは前記シンクフレーム長433に一致している。
図34から分かるように情報記憶媒体221に記録されるデータの物理的距離は前記シンクフレーム長433を基本単位として扱われているため、各ガード領域(#1)441〜(#8)448の物理的長さもシンクフレーム長433に一致させることで情報記録媒体221上に記録されるデータに対する物理配置の管理やデータへのアクセス制御が容易になるという効果を持つ。
図40(b)に示す第2の例におけるガード領域内の詳細な構造を図41に示す。セクタ内の構造はシンクコード431とシンクデータ432の組み合わせから構成されることを図39に示したが、ガード領域内も同様にシンクコード433とシンクデータ434の組み合わせから構成され、ガード領域(#3)443内のシンクデータ434領域内もセクタ内のシンクデータ432と同じ変調規則に従って、変調されたデータが配置されるところに本実施の形態の特徴がある。
図39に示す32個のセクタから構成される1個分のECCブロック(#2)412内の領域を本実施の形態ではデータ領域470と呼ぶ。
図41におけるVFO(Variable Frequency Oscillator)領域471、472はデータ領域470を再生する時の情報再生装置または情報記録再生装置の基準クロックの同期合わせに利用する。この領域471、472内に記録されるデータ内容として、後述する共通の変調規則における変調前のデータは“7Eh”の連続繰り返しとなり、変調後の実際に記録されるチャネルビットパターンは“010001 000100”の繰り返しパターン(“0”が連続3個ずつ繰り返すパターン)となる。なお、このパターンが得られるためにはVFO領域471、472の先頭バイトは変調におけるState2の状態に設定される必要がある。
プリシンク領域477、478はVFO領域471、472とデータ領域470間の境目位置を表し、変調後の記録チャネルビットパターンは“100000 100000”(“0”が連続5個ずつ繰り返すパターン)の繰り返しになっている。情報再生装置または情報記録再生装置ではVFO領域471、472内の“010001 000100”の繰り返しパターンから、プリシンク領域477、478内の“100000 100000”の繰り返しパターンのパターン変化位置を検出し、データ領域470が近付くことを認識する。
ポストアンブル領域481はデータ領域470の終了位置を示すと共に、ガード領域443の開始位置を表している。ポストアンブル領域481内のパターンは図35に示すシンクコードの内SY1のパターンと一致している。
エキストラ領域482はコピー制御や不正コピー防止用に使われる領域である。特に、コピー制御や不正コピー防止用に使われ無い場合にはチャネルビットで全て“0”に設定する。
バッファ領域はVFO領域471、472と同じ変調前のデータは“7Eh”の連続繰り返しとなり、変調後の実際に記録されるチャネルビットパターンは“010001 000100”の繰り返しパターン(“0”が連続3個ずつ繰り返すパターン)となる。なお、このパターンが得られるためにはVFO領域471、472の先頭バイトは変調におけるState2の状態に設定される必要がある。
図41に示すようにSY1のパターンが記録されているポストアンブル領域481がシンクコード領域433に該当し、その直後のエキストラ領域482からプリシンク領域478までの領域がシンクデータ領域434に対応する。また、VFO領域471からバッファ領域475に至る領域(すなわち、データ領域470とその前後のガード領域の一部を含む領域)を本実施の形態ではデータセグメント490と呼び、後述する物理セグメントとは異なる内容を示している。また、図41に示した各データのデータサイズは変調前のデータのバイト数で表現している。
〔本実施の形態の個々ポイントとその個々ポイント毎の独自効果説明〕
ポイント(Q)
ガード領域内のシンクデータ領域内に変調規則に従ったデータが記録される(図41)。
[効果]
ガード領域内においてもセクタ内のデータと同様なシンクコードと変調後のパターンが記録できるため、ガード領域のデータを作成するための特定のパターン発生回路を持つ必要が無く、セクタ内と同様の変調処理の一部としてガード領域のデータを作ることが出来るため、データ領域470内のデータを再生する回路でガード領域の信号再生・検出が可能となる。その結果、情報記録再生装置または情報再生装置の回路規模の簡素化が図れる。
○ガード領域内の先頭位置に配置されるポストアンブル領域内にセクタ内と同じシンクコードを記録する。
[効果]
ガード領域内がセクタ内と同様なシンクコード433とシンクデータ434の組み合わせ構造なのでデータ領域内と同様のシンクコード433の位置検出を用いたガード領域の位置検出が容易となり、ECCブロック先頭位置の検索が容易となる。
○エキストラ領域はデータ領域の後ろに配置される。
[効果]
エキストラ領域482に記録された情報単独で使用される場合と後述するようにエキストラ領域482に記録された情報と図32に示したリザーブ領域(RSV)に記録された情報とを組み合わせて使用する場合があるが、いずれにしても直前のデータ領域470に記録された情報に対して処理を行う。データ領域470内は1個のECCブロックを構成しており、エラー訂正後の情報に対してエキストラ領域482に記録された情報に関連した処理を行う。そのため、データ領域470内でエラーが多く、エラー訂正不能な場合にはエキストラ領域482に記録された情報に関連した処理が行えないため、エキストラ領域482に記録された情報を再生する必要が無くなる。従って、エキストラ領域482をデータ領域470の後ろに配置し、データ領域470のエラー訂正の可否に応じてエキストラ領域482の情報を読み飛ばすか否かを判定できるため、再生処理の簡素化と高速化が図れる。
○エキストラ領域はポストアンブル領域の直後に配置される。
[効果]
ポストアンブル領域481にはシンクコードが記録されているため、ポストアンブル領域481の位置検出は高速で行える。そのため、本実施の形態において高速で位置検出が可能なポストアンブル領域481の直後にエキストラ領域482を配置することでエキストラ領域482の位置検出(検索)の高速化が図れると言う効果がある。
本実施の形態は図41に示した構造に限らず、他の例として下記の方法を採用することもできる。すなわち、VOF領域471とデータ領域470の境界部にプリシンク領域477を配置する代わりに、図41のVOF領域471、472の途中にプリシンク領域477を配置する。この例では、データブロック470の先頭位置に配置されるSY0のシンクコードとプリシンク領域477との間の距離を離すことで距離相関を大きく取り、プリシンク領域477を仮シンク領域として設定し、本物のシンク位置の距離相関情報(他のシンク間距離とは異なるが)として利用する。もし本物のシンクコードが検出できなければ、仮シンク領域から生成した本物が検出されるであろう位置でシンクコードを挿入する。このようにしてプリシンク領域477を本物のシンク(SY0)と多少の距離を取るところにこの実施の形態の特徴がある。プリシンク領域477をVFO領域471、472の始めに配置すると、読み取りクロックのPLLがロックしていない為プリシンクの役目が弱くなる。従って、プリシンク領域477をVFO領域471、472の中間位置に配置するのが望ましい。
〔4−3〕再生専用情報記憶媒体の第2の例におけるエキストラ領域の活用方法
図41は、ガード領域を含めた記録データブロックをデータセグメントとし、その配置構造を示した例である。先頭側には、変調処理された記録信号を復調する時のチャネルビット読出しクロック生成PLL(Phase Locked Loop)が位相ロックし易いように、VFO領域領域471を配置している。後段は、次のデータセグメント490のガード領域を連結したとき、データ領域470のフレーム構成と同じような構成となるように、ガード領域の同期信号とポストアンブル領域481、データ領域の保護・制御信号等として利用されるエキストラ領域482、接続されるデータセグメントの先頭側ガード領域に配置されるVFO領域と接続しやすいようなバッファ領域475で構成される。
但し、記録系媒体への記録処理においては、データセグメント記録開始時、記録膜の保護の為に記録スタート位置を前後に移動して書き始める、ランダムシフトライトが行われたり、追記記録時の記録ズレなどが発生する為、ガード領域は常に93バイト/フレーム長が保障されるものでは無い。
以上のような各データセグメント490の記録において、エキストラ領域482のデータは、データ領域で保護されたデータでは無いため、外部から管理されない領域となることから、データ領域のメインデータ、例えば、映像・音声等のコンテンツ著作権保護用制御信号を格納する秘匿情報記録再生領域として利用可能である。しかし、僅かな範囲のガード領域に配置されるため、ディフェクト等によるデータエラー発生からの防御が困難になることから、本実施の形態ではデータセグメントの番号(ECCブロック番号)から指定される複数のデータセグメントに配置された、エキストラ領域のデータを集合させ、著作権保護用秘匿情報に用いるようにする。
図42は、本実施の形態のエキストラ領域に配置された、秘匿情報信号の配置に関する構成図を示す。ここでは、4組のデータセグメントに配置されたエキストラ領域の4バイトデータが4組集合し、8バイトのデータと8バイトのパリティで構成している。4箇所に分散配置することで、エラー対策を施している。
図43は、他の例であり、ガード領域のエキストラ領域に配置された4バイトデータと、図26における各データセクタ内に構成されたリザーブデータRSVをリンクして利用する方式のデータ構成例を示す。各データセクタには6バイトのリザーブデータがあり、4組のデータセグメントから、(6バイト×32)×4=768バイトの制御データブロックが構成される。このデータは、データ領域のECCブロックとしてエラー訂正処理が行われる為、信頼性の高いデータとして利用可能である。但し、外部から管理される可能性があるため、図42におけるエキストラ領域に配置された秘匿情報で暗号化処理して記録しておく。このようにすることで、外部にオープンな制御情報リザーブデータは、秘匿情報で復号しない限り、外部に出力されても、情報開示が出来ない。このとき、リザーブデータ情報は、メインデータの暗号化暗号鍵とした場合、そのままでは暗号鍵として利用できず、エキストラ領域に記録された秘匿情報で復号する処理を必要とする。本実施の形態によれば、外部にオープンされていない少ない情報で、必要規模の秘匿制御信号記録再生システムを構成可能である。
図44は、上記のエキストラ領域のデータ構造変形例である。各データセグメントのエキストラ領域データは4バイトであるが、4組のデータセグメントで集合される16バイトのデータに、図26に示すデータセクタのリザーブデータにおいて指定のセクタの6バイトを加え、10バイト×4=40バイトで誤り訂正符号を含む秘匿情報データブロックとし、残りのリザーブデータをメインデータの著作権保護制御信号等に利用するものである。ここでは図43と同様に、リザーブデータ領域は暗号化暗号鍵とした場合、秘匿情報で復号して暗号鍵を生成する方法は同様に考えられる。このように、秘匿情報そのものもエキストラ領域のデータと外部から見ることが可能なデータセクタのリザーブデータの一部をリンクして使うことで、秘匿性能力を損なわずに、4バイトが集中して記録されることによるエラー発生時の弱さを防止することが可能になる。
〔5〕再生専用情報記憶媒体(次世代DVD−ROM)における第2の例に関する応用例
〔5−1〕ECCブロック間にROM対応ガード領域を配置する構造説明。
本実施の形態の再生専用情報記憶媒体における第2の例に示す記録形式は上述した図41に示すように各ECCブロック(#1)411〜(#8)418間にガード領域(#1)441〜(#8)448を挿入配置した構造となっている(ポイント(C)に対応)。
〔5−2〕第2の実施の形態におけるROM対応ガード領域内の具体的なデータ構造説明(ポイント(H)に対応)。
従来のROMメディアにおける再生動作では、先ず要求データブロックが含まれた誤り訂正ブロックを読み出す必要があり、現在位置から指定ブロックが存在するであろう位置をブロック番号差などから計算し、位置を予測してシーク動作を開始する。予測された指定場所までシークした後に、情報データから読出しクロックを抽出してチャネルビット同期やフレーム同期信号の検出並びにシンボル同期を行いシンボルデータを読出し、その後にブロック番号を検出して指定ブロックであることを確認することになる。即ち、一般のROMメディア再生では、情報ピットによるRF信号しか検出信号が存在しない為、ディスク回転制御や情報線速度、さらにはデータ読出しクロックであるチャネルビット読出しクロック生成など全てがRF信号に委ねられる。記録再生メディアでは記録場所を指定するために、本実施の形態の目指すところであるアドレス情報等がデータ情報の記録とは別の信号形態で存在することから、チャネルビットクロック生成PLLなどは、そのような信号を用いて、線速度等を検出することが可能であり、PLLの発振周波数を正しいチャネルビットクロック周波数の近傍に制御させておくことが可能となる。このためPLLのロックアップタイムを短縮できるだけでなく、暴走防止も可能など最適なシステムの提供が可能になっている。しかしながら、ROMメディアではこのような信号が利用できないことから、同様の制御システムが利用できない為、従来は情報信号の最大符号長(Tmax)や最短符号長(Tmin)信号を利用するなどでシステムを構築していた。即ち、ROMメディアでは如何にPLLを早期ロック状態にすることができるかが重要であり、その為の信号形態の提供が望まれていた。しかし、既存のCDやDVDにおけるROMメディアは、記録密度のみに着目してデータ/トラック構造が決められ、その後に記録再生メディアのデータ/トラック構造を構築したことから、メディア毎に異なるデータストリームなどになっている。
ROMメディアやR/W・RAMメディアなどの記録再生メディアのデータストリームを近似させながら、更に、次世代メディアの記録方式開発にあたっては、記録密度向上施策が導入が検討されている。この記録密度向上技術の一つとして、変調効率向上があり、記録再生ビーム径に対する最短ピット長(Tmin)の縮小される、新しい変調方式導入が考えられている。ビーム系に対して最短ピット長が縮小されると、信号振幅は取れなくなりデータの読出しはPRML技術などで可能になっても、チャネルビット分離を行うチャネルビットクロック生成用PLLの位相検出が困難となる。上記に記載したとおりピット信号のみに頼るROMメディアでのPLLロック容易性は、高密度化技術の導入で益々厳しくなることから、高速シーク等も難しくなり、そのための補助信号挿入が必要になってきている。
本実施の形態再生専用情報記憶媒体における第2の実施の形態に示す記録形式は上述した図41に示すように、ROMメディアも各ECCブロック(#1)411〜(#8)418間にガード領域(#1)441〜(#8)448を挿入配置した構造とし、ガード領域にシーク容易性並びにチャネルビットクロック生成用PLLのロック容易性に必要な信号を挿入することで、記録再生メディアの再生処理と同様な制御が実現可能を実現する目的もある。
図45は、ROMメディアにおけるガード領域の一例を示した図である。ガード領域はシンクコードSY1と特定コード1002から構成され、特定コードは誤り訂正ECCブロックナンバーやセグメント番号、更に、著作権保護信号やその他の制御情報信号を構成させる。特定コードはデータ領域では構成されない特殊制御信号を配置させることに利用できる。例えば、著作権保護信号やメディア固有情報信号等であり、そのような特殊情報領域を確保しておくことで、システム発展性も可能になる。
図46は、別の実施の形態を示した図である。図45の特定コードの領域をチャネルビットクロック生成用PLLが容易にロック状態に入れるようなランダム信号を配置するものである。従来、DVD−RAM等の記録メディアではPLLが容易にロック状態を実現できるよう、一定符号長の繰り返し信号(VFO:Variable Frequency Oscillator)を挿入していた。ROMメディアでは、トラッキングエラー信号検出方法として位相差検出法が採用される可能性が高く、この位相差検出法では、隣接トラックの信号パターンが本トラックの信号パターンと近似したまま続くと、隣接トラックからのクロストークによってトラッキングエラー信号が検出出来なくなる現象が発生する。このため、記録メディアなどに使われる一定周期の信号で構成されるVFO信号の採用は問題がある。一方で、高密度化対応としてPRML方式等使われる場合の最短符号長では、チャネルビットクロック生成PLLでの位相差検出が困難な信号が多くなる。当然PLLの位相ロック容易化からは、位相検出回数が多いほうが検出感度が高くなるため、その点を考慮する必要がある。
そこで、図46におけるランダムコード部分は、PLL位相検出に信頼性がない最短ピット側の一部符号長と検出回数が少なくなる最長ピット側の一部符号長を削除した限定された符号長の組合せによるランダム信号を導入するものである。即ち、ラン長制限された符号によるランダム信号を利用する。
尚、図45における特定コードもセグメントナンバーで初期値が指定される乱数発生器からのランダム信号でスクランブルすることも考えられる。このときのスクランブルデータを記録信号に変調する時、変調テーブルを変形して、ラン長制限された記録信号ストリームになるよう構成することが望ましい。このような処理によって、現行DVD−ROMのデータ領域で対応しているスクランブル処理機能と同様に、特定コード領域での隣接トラックパターンの一致を防止することが可能になる。
〔6〕記録可能型情報記憶媒体と上記再生専用情報記憶媒体(次世代DVD−ROM)とのフォーマット上の関係説明
図47を用いて本実施の形態における記録可能型記憶媒体と再生専用情報記憶媒体での記録形式(フォーマット)上の関係を説明する。図47の(a)と(b)は図40に示した再生専用情報記憶媒体の第1の例と第2の例をそのまま転記したものである。記録可能型情報記憶媒体に対しては再生専用情報記憶媒体の第2の例と同じく、各ECCブロック(#1)411〜(#8)418の間にシンクフレーム長433と同じ長さのガード領域を設けている。但し、再生専用情報記憶媒体と図47の(c)に示す追記型情報記憶媒体のガード領域(#2)452〜(#8)458とではそれぞれガード領域に記録するデータ(記録マーク)のパターンが異なる。同様に、図47の(b)に示す再生専用情報記憶媒体のガード領域(#2)442〜(#8)448と図47の(d)に示す書換え型情報記憶媒体のガード領域(#2)462〜(#8)468では、それぞれヘッダ領域に記録するデータ(記録マーク)のパターンが異なる。それにより情報記憶媒体221の種別判別が可能となる。本実施の形態によれば追記型情報記憶媒体及び書換え型情報記憶媒体いずれの場合も、ECCブロック(#1)411〜(#8)418単位で情報の追記、書換え処理が行われる。
また、本実施の形態によれば図47の(a)〜(d)のいずれにおいても、各ガード領域442〜468の開始位置には、図示してないがポストアンブル領域PA(Postamble)が形成され、更に、そのポストアンブル領域の先頭位置には図37のPA欄に示すようにシンクコード番号“1”のシンクコードSY1が配置されている。
再生専用情報記録媒体のガード領域の利用方法に関しては、前記〔5〕項で説明したが、ここで改めて再生専用情報記録媒体と記録可能型情報記録媒体について、その違いからくるガード領域の利用方法について、図47の(b)、(c)、(d)にて説明する。尚、ここで示した追記型情報記録媒体とは、記録動作が一回のみのライトワンス型記録媒体であり、通常は連続した記録処理が行われるが、特定のブロック単位で記録する場合は、前に記録したブロックに連続して、追記方式で次にデータブロックを記録する方式が採られる為、図47では追記型情報記録媒体と読んでいる。
各メディアのガード構造に違いを説明する前に、再生専用情報記録媒体と記録再生型媒体のデータストリームの違いを説明する。再生専用情報記録媒体は、チャネルビット及びシンボルデータの関係が、ガード領域も含めて全データブロックで、指定された関係で連続している。しかしながら、追記型情報記録媒体では、記録動作が停止したブロック間では、少なくともチャネルビットの位相は変化してしまう。書換え型情報記録媒体では、ECCブロック単位で書換えるため、ECCブロック単位で位相が変化してしまう可能性が高い。即ち、再生専用媒体では、チャネルビット位相は最初から最後まで連続しているが、記録型媒体では、ガード領域内でチャネルビット位相が大きく変化してしまう性質がある。
一方で、記録型媒体は記録トラックは物理的に記録トラック溝が構成され、その溝は記録レート制御やアドレッシング情報の挿入などの目的で、ウォブリングされていることから、チャネルビットクロック生成PLLの発振周波数を制御可能であり、可変速再生などの処理動作においても、発振周波数の暴走防止が可能である。但し、追記型情報記録媒体では、記録完了後の媒体は再生専用として用いられることから、〔5〕項で説明したトラッキングエラー検出方法が位相差方式を導入された場合の配慮である、隣接トラック間での記録信号パターン一致は避けたい。書換え型情報記録媒体では、一般にトラッキングエラー検出法として位相差方式(DPD:Differential Phase Detection)が利用されない構造の場合は、隣接トラックでの情報信号パターン一致に対しては問題が生じないため、ガード領域はチャネルクロック生成PLLが容易にロックできるような構造、即ち図46におけるランダムコード領域はVFOのような一定周期の信号が望ましい。
このような媒体の種類で、異なる性質があることから、図47の(b)ガード領域442、(c)のガード領域452、(d)のガード領域462では、その構造が媒体の特質を考慮した最適化されたデータ構造を導入される。
再生専用情報記録媒体のヘッダ領域では、線速度検出が容易なパターン及びランダム信号によるチャネルビット生成PLLのロック容易化信号で構成、
追記型情報記録媒体のヘッダ領域は、チャネルビットクロック生成用PLLの発振周波数はウォブリング検出で暴走防止がされて近傍制御が可能であるから、ヘッダ領域での位相変動に対処した、ランダム信号によるチャネルビット生成PLLのロック容易化信号で構成、
書換え型情報記録媒体は、PLLロック容易化は一定周期のVFOパターンが導入可能であり、その他ヘッダマーク信号等で構成、が最適である。
尚、これら情報記録媒体の種別でガード領域を異ならせることによって、メディア識別が容易であり、著作権保護システムからも再生専用と記録可能型媒体が異なることにより、保護能力を向上させることになる。
〔本実施の形態の個々ポイントとその個々ポイント毎の独自効果説明〕
ポイント(H)
ECCブロック間のガード領域配置構造(図47)。
[効果]
再生専用/追記型/書換え型間でのフォーマット互換性を確保しつつ、ガード領域内に記録する情報内容を媒体の種類により変えることで再生専用/追記型/書換え型間の識別が高速かつ容易に可能となる。
○再生専用/追記型/書換え型間でデータ内容を変える(識別に利用するため)(図45)。
○DVD−ROMヘッダにランダム信号を利用する(図46)。
[効果]
隣接トラック間で位置が一致してもDVD−ROMヘッダ位置で安定してDPD信号検出が行える
○ガード領域(のエキストラ領域)内にコピー制御関連または不正コピー防止関連情報を記録する(図42〜図44)。
[効果]
ガード領域は追記型または書換え型情報記憶媒体においてもユーザが利用できる場所では無い。従って、再生専用情報記憶媒体に記録された情報をそっくりそのままコピーするディスクコピー処理を行ったとしても、追記型または書換え型の情報記憶媒体ではガード領域内にそれぞれ媒体種類に応じた専用の情報が記録されるため、エキストラ領域の情報を利用することでディスクコピーによっても不正コピーを防げる。
〔7〕書換え可能型情報記憶媒体実施の形態における共通な技術的特徴の説明
〔7−1〕ゾーン構造の説明
本実施の形態における書換え可能型情報記憶媒体では図48に示すようにゾーン構造を取る。
本実施の形態では
再生線速度:5.6〜6.0m/s
(システムリードインエリアは6.0m/s)
チャネル長:0.087〜0.093μm
(システムリードインエリアは0.204μm)
トラックピッチ:0.34μm
(システムリードインエリアは0.68μm)
チャネル周波数:64.8MHz
(システムリードインエリアは32.4MHz)
記録データ(RF信号):(1,10)RLL
ウォブル搬送波周波数:約700KHz(937/ウォブル)
変調位相差[deg]:±900.0
ゾーン数:19ゾーン
としている。
〔7−2〕アドレス情報の記録形式説明(位相変調+NRZ法によるウォブル変調)
本実施の形態では記録型情報記憶媒体におけるアドレス情報はウォブル変調を用いてあらかじめ記録されている。ウォブル変調方式として±90度(180度)の位相変調を用いると共にNRZ(Non Returen to Zero)方法を採用している。また、書換え型情報記憶媒体に対してはランド/グルーブ記録方法を使っている。ランド/グルーブ記録方法でウォブル変調方式を採用しているところに本実施の形態の特徴がある。
図49を用いて具体的な説明を行う。本実施の形態では1アドレスビット(アドレスシンボルとも呼ぶ)領域511内を8ウォブルまたは12ウォブルで表現し、1アドレスビット領域511内は至るところ周波数および振幅と位相は一致している。また、アドレスビットの値として同じ値が連続する場合には各1アドレスビット領域511の境界部(図49の黒塗りの三角印を付けた部分)で同位相が継続し、アドレスビットが反転する場合にはウォブルパターンの反転(位相の180度シフト)が起きる。
〔本実施の形態の個々ポイントとその個々ポイント毎の独自効果説明〕
ポイント(O)
ランド/グルーブ記録において180度(±90度)のウォブル位相変調を採用する(図49)。
[効果]
ランド/グルーブ記録+グルーブのウォブル変調においてグルーブのトラック番号が変わることによるランド上で不定ビットが発生すると、その上に記録された記録マークからの再生信号の全体レベルが変化し、そこでの記録マークからの再生信号のエラー率が局所的に悪化すると言う問題がある。しかし、本実施の形態のようにグルーブに対するウォブル変調を180度(±90度)の位相変調にすることでランド上での不定ビット位置ではランド幅が左右対称でかつ正弦波の形で変化するため、記録マークからの再生信号の全体レベル変化が正弦波形状に近い非常に素直な形になる。更に、安定にトラッキングが掛かっている場合には事前にランド上での不定ビット位置が予想できる。従って、本実施の形態によれば記録マークからの再生信号に対して回路的に補正処理を掛けて再生信号品質を改善し易い構造を実現できる。
〔7−3〕ランド/グルーブ記録方法とウォブル変調による不定ビット混入の説明。
情報記憶媒体221上のアドレスを示す情報として本実施の形態における書換え可能型情報記憶媒体ではゾーン識別情報であるゾーン番号情報とセグメントアドレス情報であるセグメント番号情報およびトラックアドレス情報を示すトラック番号情報の3種類のアドレス情報を持つ。セグメント番号は1周内の番号を意味し、トラック番号はゾーン内の番号を意味している。図48に示すゾーン構造を採用した場合には上記アドレス情報の内ゾーン識別情報とセグメントアドレス情報は隣接トラック間で同じ値を取るが、トラックアドレス情報に関しては隣接トラック同士で異なるアドレス情報を取る。
図50に示すようにグルーブ領域501においてトラックアドレス情報として“…0110…”が記録され、グルーブ領域502においてトラックアドレス情報として“…0010…”が記録される場合を考える。この場合、隣接するグルーブ領域で“1”と“0”の間に挟まれたランド領域503ではランド幅が周期的に変化し、ウォブルによるアドレスビットが確定しない領域が発生する。本実施の形態ではこの領域のことを不定ビット領域504と呼ぶ。この不定ビット領域504を集光スポットが通過すると、ランド幅が周期的に変化するため、ここから反射し、図示しない対物レンズを通過して戻ってくるトータル光量が周期的に変化する。前記ランド内の不定ビット領域504内にも記録マークを形成するため、この記録マークに対する再生信号が上記の影響で周期的に変動し、再生信号検出特性を劣化(再生信号のエラーレイトの悪化)を引き起こすと言う問題が発生する。
〔7−4〕本実施の形態に採用されるグレイコードと特殊トラックコード(本実施の形態対象)についての内容説明。
本実施の形態では上記不定ビット504領域の発生頻度の低減を目指し、既存に知られているグレイコードもしくは前記グレイコードを改良し、本実施の形態で新たに提案する特殊トラックコードを使用する(ポイント(O)に対応)。
図51にグレイコードを示す。10進数で“1”変化する毎に1ビットのみ変化する(交番2進的になる)ところにグレイコードの特徴がある。
図52に本実施の形態で新規に提案する特殊トラックコードを示す。この特殊トラックコードは10進法の値で“2”変化する毎に1ビットのみ変化する(トラック番号mとm+2が交番2進的になる)と共に、整数値nに対して2nと2n+1の間では最上位ビットのみが変化し、それ以外の全下位ビットが全て一致する特徴を持っている。本実施の形態における特殊トラックコードは上記実施の形態に限らず、10進法の値で“2”変化する毎に1ビットのみ変化する(トラック番号mとm+2が交番2進的になる)と共に、2nと2n+1の間である特定の関係を保持しながらアドレスビットが変化する特徴を持っているコードを設定することで本実施の形態の範囲を満足する。
〔本実施の形態の個々ポイントとその個々ポイント毎の独自効果説明〕
ポイント(P)
トラックアドレスに対してグレイコードまたは特殊トラックコードを採用する(図51、図52)。
[効果]
ランド/グルーブ記録+グルーブのウォブル変調においてグルーブのトラック番号が変わることによるランド上での不定ビット発生頻度を抑える。ランド上での不定ビット位置ではランド幅が左右対称な形で局所的に変化する。その結果、ランド上での不定ビット位置からはウォブル検出信号が得られないばかりか、その上に記録された記録マークからの再生信号の全体レベルが変化し、そこでの記録マークからの再生信号のエラー率が局所的に悪化する問題がある。このようにランド上での不定ビット発生頻度を抑えることにより上記問題箇所の発生頻度を抑え、ウォブル検出信号と記録マークからの再生信号の再生安定化を図れる。
〔8〕書換え型情報記憶媒体におけるウォブルアドレスフォーマット配置に関する説明。
〔8−1〕物理セグメントフォーマットの説明
図53を用いて本実施形態の記録可能型情報記憶媒体におけるウォブル変調を用いたアドレス情報の記録形式について説明する。本実施の形態におけるウォブル変調を用いたアドレス情報設定方法では図39に示したシンクフレーム長433を単位として割り振りを行っているところに特徴がある。図34に示すように1セクターは26シンクフレームから構成され、図33から分かるように1ECCブロックは32セクターから成り立っているので、1ECCブロックは26×32=832個のシンクフレームから構成される。図47に示すようにECCブロック411〜418間に存在するガード領域462〜468の長さは1シンクフレーム長433に一致するので、1個のガード領域462と1個のECCブロック411を足した長さは832+1=833個のシンクフレームから構成される。ここで、
833=7×17×7 (101)
に素因数分解できるので、この特徴を生かした構造配置にしている。すなわち、図53(b)に示すように1個のガード領域と1個のECCブロックを足した領域の長さに等しい領域を書換え可能なデータの基本単位としてデータセグメント531と定義(後述するように書換え可能な情報記憶媒体及び追記可能な情報記憶媒体におけるデータセグメント内の構造は図41に示した再生専用情報記憶媒体におけるデータセグメント構造と全く一致している)し、1個のデータセグメント531の物理的な長さと同じ長さの領域を7個の物理セグメント(#0)550〜(#6)556に分割し、各物理セグメント(#0)550〜(#6)556毎にウォブルアドレス情報610をウォブル変調の形で事前に記録しておく。図53に示すようにデータセグメント531の境界位置と物理セグメント550の境界位置は一致せずに後述する量だけずれている。さらに、各物理セグメント(#0)550〜(#6)556毎にそれぞれ17個のウォブルデータユニット(WDU:ウォブルデータユニット)(#0)560〜(#16)576に分割する(図53(c))。式(101)から1個のウォブルデータユニット(#0)560〜(#16)576の長さにはそれぞれ7個のシンクフレーム分が割り当てられることが分かる。各ウォブルデータユニット(#0)560〜(#16)576の中は16ウォブル分の変調領域と68ウォブル分の無変調領域590、591から構成される。本実施の形態では変調領域に対する無変調領域590、591の占有比を大幅に大きくしているところに特徴がある。無変調領域590、591は常に一定周波数でグルーブまたはランドがウォブルしているため、この無変調領域590、591を利用してPLL(Phase Locked Loop)を掛け、情報記憶媒体に記録された記録マークを再生する時の基準クロックまたは新たに記録する時に使用する記録用基準クロックを安定に抽出(生成)することが可能となる。
このように本実施の形態に於いて変調領域に対する無変調領域590、591の占有比を大幅に大きくすることで、再生用基準クロックの抽出(生成)または記録用基準クロックの抽出(生成)の精度と抽出(生成)安定性を大幅に向上させることが出来る。無変調領域590、591から変調領域に移る時には4ウォブル分を使って変調開始マーク581、582を設定し、この変調開始マーク581、582を検出直後にウォブル変調されたウォブルアドレス領域586、587が来るように配置されている。実際にウォブルアドレス情報610を抽出するには、図53の(d)、(e)に示すように各ウォブルセグメント(#0)550〜(#6)556内での無変調領域590、591と変調開始マーク581、582を除いたウォブルシンク領域580と各ウォブルアドレス領域586、587を集めて図53の(e)に示すように再配置する。本実施の形態では図49に示すように180度の位相変調とNRZ(Non Return to Zero)法を採用しているので、ウォブルの位相が0度か180度かでアドレスビット(アドレスシンボル)の“0”か“1”かを設定している。
図53の(d)に示すようにウォブルアドレス領域586、587では12ウォブルで3アドレスビットを設定している。すなわち、連続する4ウォブルで1アドレスビットを構成している。本実施の形態では図49に示すようにNRZ法を採用しているので、ウォブルアドレス領域586、587内では連続する4ウォブル内で位相が変化することは無い。この特徴を利用してウォブルシンク領域580と変調開始マーク561、582のウォブルパターンを設定している。すなわち、ウォブルアドレス領域586、587内では発生し得無いウォブルパターンをウォブルシンク領域580と変調開始マーク561、582に対して設定することでウォブルシンク領域580と変調開始マーク561、582の配置位置識別を容易にしている。本実施の形態では連続する4ウォブルで1アドレスビットを構成するウォブルアドレス領域586、587に対してウォブルシンク領域580位置では1アドレスビット長を4ウォブル以外の長さに設定しているところに特徴がある。すなわち、ウォブルシンク領域580ではウォブルビットが“1”になる領域を4ウォブルとは異なる6ウォブルに設定すると共に1個のウォブルデータユニット(#0)560内での変調領域(16ウォブル分)全てをウォブルシンク領域580に割り当てることでウォブルアドレス情報610の開始位置(ウォブルシンク領域580の配置位置)の検出容易性を向上させている。
ウォブルアドレス情報610は以下を含む。
1.トラック情報606、607
ゾーン内のトラック番号を意味し、グルーブ上でアドレスが確定する(不定ビットを含まないので、ランド上で不定ビットが発生する)グルーブトラック情報606とランド上でアドレスが確定する(不定ビットを含まないので、グルーブ上で不定ビットが発生する)ランドトラック情報607が交互に記録されている。また、トラック情報606、607の部分のみトラック番号情報が図51で示したグレイコードまたは図52で示した特殊トラックコードで記録されている。
2.セグメント情報601
トラック内(情報記憶媒体221内での1周内)でのセグメント番号を示す情報である。セグメントアドレス情報601としてセグメント番号を“0”からカウントすると、セグメントアドレス情報601内に6ビット“0”が続く“000000”のパターンが現れてしまう。この場合には、図51に示すようなアドレスビット領域511の境界部(黒塗りの三角印の部分)の位置検出が難しくなり、アドレスビット領域511の境界部の位置をずれて検出するビットシフトが発生し易くなる。その結果、ビットシフトによるウォブルアドレス情報の誤判定が起きる。上記の問題を回避するため、本実施の形態ではセグメント番号として“000001”からカウントしているところに特徴がある。
3.ゾーン識別情報602
情報記憶媒体221内のゾーン番号を示し、図48に示したZone(n)の“n”の値が記録される。
4.パリティ情報605
ウォブルアドレス情報610からの再生時のエラー検出用に設定されたもので、セグメント情報601から予約情報604までの17アドレスビットを個々に加算し、加算結果が偶数の場合には“0”、奇数の場合には“1”を設定する。
6.ユニティ領域608
前述したように各ウォブルデータユニット(#0)560〜(#16)576の中は16ウォブル分の変調領域と68ウォブル分の無変調領域590、591から構成されように設定し、変調領域に対する無変調領域590、591の占有比を大幅に大きくしている。更に、無変調領域590、591の占有比を広げて再生用基準クロックまたは記録用基準クロックの抽出(生成)の精度と安定性をより向上させている。図53の(e)に示したユニティ領域608が含まれる場所は図53の(c)のウォブルデータユニット(#16)576と、図示して無いがその直前のウォブルデータユニット(#15)内とがそっくりそのまま該当する。モノトーン情報608は6アドレスビット全てが“0”になっている。従って、このモノトーン情報608が含まれるウォブルデータユニット(#16)576と図示して無いがその直前のウォブルデータユニット(#15)内とには変調開始マーク581、582を設定せず、全て均一位相の無変調領域になっている。
以下に図53に示したデータ構造について詳細に説明を行う。
データセグメント531は77376バイトのデータを記録可能なデータ領域525を含む。データセグメント531の長さは通常77469バイトであり、データセグメント531は67バイトのVFO領域522、4バイトのプリシンク領域523、77376バイトのデータ領域525、2バイトのポストアンブル領域526、4バイトのエキストラ領域(予約領域)524、16バイトのバッファ領域フィールド527からなる。データセグメント531のレイアウトは図53の(a)に示す。
VFO領域522のデータは“7Eh”に設定される。変調の状態はVFO領域522の最初のバイトにState2と設定される。VFO領域522の変調パターンは次のパターンの繰り返しである。
“010001 000100”
ポストアンブル領域526は図35に示すシンクコードSY1で記録される。
エキストラ領域524はリザーブとされ、全てのビットが“0b”とされる。
バッファ領域527のデータは“7Eh”に設定される。バッファ領域527の最初のバイトの変調の状態は予約領域の最終バイトに依存する。最初のバイト以外のバッファ領域の変調パターンは次のパターンである。
“010001 000100”
データ領域525に記録さえるデータは、信号処理の段階に応じて、データフレーム、スクランブルドフレーム、記録フレーム、あるいは物理セクタと呼ばれる。データフレームは2048バイトのメインデータ、4バイトのデータID、2バイトのIDエラー検出コード(IED)、6バイトの予約データ、4バイトのエラー検出コード(EDC)からなる。EDCスクランブルドデータがデータフレーム中の2048バイトのメインデータに加算された後、スクランブルドフレームが形成される。クロスリードソロモンエラー訂正コード(Cross Reed-Solomon error correction code)がECCブロックの32スクランブルドフレームに渡って与えられる。
記録フレームはECCエンコーディング後、外側符号(PO)と内側符号(PI)が付け足されてスクランブルドフレームとなる。32スクランブルドフレームからなるECCブロック毎にPOとPIが発生される。
91バイト毎の記録フレームの先頭にシンクコードを付加するETM処理後、記録データ領域は記録フレームとされる。32物理セクタが1つのデータ領域に記録される。
図53、図58から図62のNPW、IPWは図54に示す波形でトラックに記録される。NPWはディスクの外側に向かって変動開始し、IPWはディスクの内側に向かって変動開始する。物理セグメントの開始点はシンク領域の開始点と等しい。
物理セグメントはウォブルで変調された周期的ウォブルアドレス位置情報(WAP:Wobble address in Periodic position)に整列される。各WAP情報は17ウォブルデータユニット(WDU)で示される。物理セグメントの長さは17WDUと等しい。
WAP情報のレイアウトを図55に示す。各フィールドの数字は物理セグメント内のWDU番号を示す。物理セグメント内の最初のWDU番号は0である。
ウォブルシンク領域580は物理セグメントの開始点とビット同期が取られる。
セグメント情報領域は予約され、全てのビットが“0b”に設定される。この領域は図53の予約領域604に対応する。セグメント情報領域601はトラック上の物理セグメント番号を示す。トラック当たりの物理セグメントの最大番号。
データエリア、ゾーン情報領域602はゾーン番号を示す。ゾーン情報領域はデータリードインエリアでは0とされ、データリードアウトエリアでは18とされる。
パリティ情報領域605はセグメント情報フィールド、セグメント領域、ゾーン領域のパリティである。パリティ情報領域605はこれら3フィールドの1尾とエラーを検出でき、次のように構成される。
グルーブトラック情報領域606は物理セグメントがグルーブセグメント内にある時、ゾーン内のトラック番号を示し、グレィコードの形で記録される。グルーブトラックフィールド内の各ビットは次のように計算される。
gmはbmとbm+1から変換されたグレィコードである(図57参照)。
ランドセグメント内のグルーブトラックフィールド内では、全てのビットは無視される。
ランドトラック情報領域607は物理セグメントがランドセグメント内にある時、ゾーン内のトラック番号を示し、グレィコードの形で記録される。ランドトラックフィールド内の各ビットは次のように計算される。
gmはbmとbm+1から変換されたグレィコードである(図57参照)。
グルーブセグメント内のランドトラックフィールド内では、全てのビットは無視される。
ウォブルデータユニット(WDU)は84ウォブルを含む(図58〜図602参照)。
シンク領域内のWDUを図58に示す。
アドレス領域内のWDUを図59に示す。アドレス領域内の3ビットは、ノーマル位相ウォブルNPW(Normal Phase Wobble)の場合は“0b”が、反転位相ウォブルIPW(Invert Phase Wobble)の場合は“1b”が記録される。
ユニティ領域内のWDUを図60に示す。ユニティ領域内のWDUは変調されない。
外側マークのWDUを図61に示す。
内側マークのWDUを図62に示す。
〔本実施の形態の個々ポイントとその個々ポイント毎の独自効果説明〕
ポイント(G)
ECCブロック内の物理セグメント(Physical Segment)分割構造(図53)。
[効果]
再生専用/追記型/書換え型間のフォーマットの互換性が高く、特に書換え型情報記憶媒体において記録マークからの再生信号のエラー訂正能力低下を防止できる。
ECCブロック内を構成するセクタ数32とセグメント数7とが互いに割り切れない関係(非倍数の関係)にあるため、記録マークからの再生信号のエラー訂正能力低下を防止可能である。
〔本実施の形態の個々ポイントとその個々ポイント毎の独自効果説明〕
ポイント(K)
ウォブル変調領域(580〜587)よりウォブル無変調領域(590、591)の占有率が高い(図53(d)、図58、図59)。
[効果]
本実施の形態ではウォブル周波数(ウォブル波長)は至るところ一定になっているので、このウォブル周期を検出して
(1)ウォブルアドレス情報検出用の基準クロックの抽出(周波数と位相合わせ)
(2)記録マークからの信号再生時の再生信号検出用の基準クロックの抽出(周波数と位相合わせ)
(3)書換え型および追記型情報記憶媒体に記録マークを形成する時の記録用基準クロックの抽出(周波数と位相合わせ)
を行っている。本実施の形態ではウォブル位相変調を用いてウォブルアドレス情報を予め記録している。ウォブルでの位相変調を行った場合、波形整形のために再生信号をバンドパスフィルタに通過させると位相変化位置前後で整形後の検出信号波形振幅が小さくなる現象が現れる。
従って、位相変調による位相変化点の頻度が多くなると波形振幅変動が多くなって上記のクロック抽出精度が落ち、逆に変調領域内で位相変化点の頻度が低いとウォブルアドレス情報検出時のビットシフトが発生しやすくなると言う問題点が生じる。そのため、本実施の形態では位相変調による変調領域と無変調領域を構成し、無変調領域の占有率を高くすることで上記のクロック抽出精度を向上させる効果がある。また、本実施の形態では変調領域と無変調領域の切り替わり位置が予め予想できるので、上記のクロック抽出に対しては無変調領域にゲートを掛けて無変調領域のみの信号を検出し、その検出信号から上記クロック抽出を行うことが可能となる。
○変調領域を分散配置させ、ウォブルアドレス情報610を分散記録する(図53(d)、図55)。
[効果]
ウォブルアドレス情報610を情報記憶媒体内の一箇所に集中記録すると、表面のゴミや傷が付いた時に全ての情報が検出困難になる。図53(d)に示すように本実施の形態ではウォブルアドレス情報610を1個のウォブルデータユニット560〜576に含まれる3アドレスピット(12ウォブル)毎に分散配置し、3アドレスビットの整数倍アドレスビット毎にまとまった情報を記録し、ゴミや傷の影響で一箇所の情報検出が困難な場合でも他の情報の情報検出を可能な構造にしている。
☆ウォブルシンク情報580を12ウォブルで構成する(図53(d))
[効果]
ウォブルシンク情報580を記録する物理的長さを上記3アドレスビット長に一致させる。また、ウォブルアドレス領域では1アドレスビットを4ウォブルで表現させているので、ウォブルアドレス領域では4ウォブル毎にしかウォブルパターン変化は無い。その現象を利用してウォブルシンク領域580内では6ウォブル→4ウォブル→6ウォブルと言うウォブルアドレス領域内では起こり得ないウォブルパターン変化を起こすことでウォブルアドレス領域586、587とは異なるウォブルシンク領域580の検出精度を向上させている。
☆5アドレスビットのゾーン情報602と1アドレスビットのパリティ情報605を隣接配置(図53(e))。
[効果]
5アドレスビットのゾーン情報602と1アドレスビットのパリティ情報605を加えると3アドレスビットの整数倍である6アドレスビットとなりゴミや傷の影響で一箇所の情報検出が困難な場合でも他の情報の情報検出を可能な構造にしている。
☆ユニティ領域608を9アドレスビットで表現(図53(e))。
[効果]
上記と同じウォブルデータユニットに入る3アドレスビットの整数倍にした。
〔本実施の形態の個々ポイントとその個々ポイント毎の独自効果説明〕
ポイント(L)
ランド/グルーブ記録+ウォブル変調によりアドレス情報を記録(図50)。
[効果]
最も大容量化が可能。グルーブのみに記録マークを形成するよりグルーブとランドの両方に記録マークを形成した方が記録効率は上がる。また、アドレスがプリピットの状態で予め記録されている場合には、プリピット位置に記録マークを形成することが出来ないが、本実施の形態のようにウォブル変調されたグルーブ/ランド領域の上にも重複して記録マークの記録が可能なため、プリピットアドレス方式よりウォブル変調によるアドレス情報記録方法の方が記録マークの記録効率が高い。従って、上記の両方の方式を採用する方法が最も大容量化に適している。
〔本実施の形態の個々ポイントとその個々ポイント毎の独自効果説明〕
ポイント(M)
グルーブ領域にも不定ビットを分散配置する(図53(e)のトラック情報606、607、図74)。
[効果]
ランド部でも不定ビットが入らずにトラックアドレスが確定する領域を持たせることでランド部においても精度の良いアドレス検出が可能となる。
ランド部、グルーブ部それぞれ不定ビットが入らずにトラックアドレスが確定する領域を事前に予想できるのでトラックアドレス検出精度が上がる。
○グルーブ作成時に局所的にグルーブ幅を変え、ランド幅一定領域を作成する。
☆グルーブ領域作成時に露光量を局所的に変化させてグルーブ幅を変化させる。
☆グルーブ領域作成時に2個の露光用集光スポットを用い、両者間の間隔を変えてグルーブ幅変化。
○グルーブでのウォブル振幅幅を変えてグルーブ領域内に不定ビットを配置する(図74)。
〔本実施の形態の個々ポイントとその個々ポイント毎の独自効果説明〕
ポイント(N)
ランド/グルーブ記録+ウォブル変調で不定ビットをランドとグルーブの両方に分配配置する(図53(e)のトラック情報606、607、図74)。
[効果]
ランドまたはグルーブのどちらか一方に不定ビットを集中配置すると不定ビットが集中配置された部分でのアドレス情報再生時に誤検知が発生する頻度が非常に高くなる。不定ビットをランドとグルーブに分配配置することで誤検知のリスクを分散し、トータルとして安定にアドレス情報を検出し易いシステムを提供できる。
○局所的にグルーブ幅を変える時にグルーブ幅を制御し、隣接部のランド幅が一定になるようにする。
グルーブ幅変化部分ではグルーブ領域では不定ビットになるが、隣接部のランド領域では幅が一定に保たれるのでランド領域内では不定ビットを回避できる。
〔8−2〕サーボ回路調整用マーク配置構造に関する説明
サーボキャリブレショーンマークのための物理セグメントは、ユーザデータが書込まれない各ゾーンの最終グルーブトラックの内側に隣接し、それと等しいグルーブトラック内に配置される。各ゾーンの最終グルーブトラックの内側に隣接する物理セグメントのWDU#14はアウターマークのWDUである。各ゾーンの最終グルーブトラックの物理セグメントのWDU#14はインナーマークのWDUである。サーボキャリブレショーンマークはグルーブ構造の一部を取り除き、グルーブトラック内にランド部を作ることにより作られる。サーボキャリブレショーンマークの構成を下記に示す。
高周波(HF)信号
高周波信号はリードチャンネル1から測定されたサーボキャリブレショーンマークからの回析光により得られる。
a.サーボキャリブレショーンマーク1(SCM1)からの信号
SCM1から発生されたピーク−ピーク値はISCM1であり、オントラック信号は(Iot)grooveである。ゼロレベルはディスクが挿入されていない時に測定された信号のレベルである。これらの信号は次のような関係を満たし、図63に示す。
ISCM1/(Iot)groove:0.30min.
SCM1からの波形の平均周期は8T±0.5T
b.サーボキャリブレショーンマーク2(SCM2)からの信号
SCM2から発生されたピーク−ピーク値はISCM2であり、オントラック信号は(Iot)grooveである。ゼロレベルはディスクが挿入されていない時に測定された信号のレベルである。これらの信号は次のような関係を満たし、図64に示す。
ISCM2/(Iot)groove:1.50min.
以下、本実施の形態におけるサーボ回路調整用マークを用いた情報記憶媒体の半径方向の傾き量検出方法を示す。
半径方向の傾き量検出
記録装置はディスクの半径方向の傾き量を補償することが好ましい。1回転における半径方向の傾き量の変動は許容値以下に抑えられる。そこで、記録装置はトラックの半径位置に応じた大きな偏移のみ補償すればよい。サーボキャリブレショーンマークの物理セグメントの間に位置するランドトラックn−1の物理セグメントは半径方向の傾き量を検出するために使われる。
SCD=(Iiscm−Ioscm)/(Iot)land
定義:アウターマークのためのWDUのSCM2とインナーマークのためのWDUのSCM2の位置の出力(Ia+Ib+Ic+Id)の正規化した差。
ここで、
Iiscm=[Ia+Ib+Ic+Id]iscm
Ioscm=[Ia+Ib+Ic+Id]oscm
である(図65参照)。
ランドトラックn−1の中心を光ビームがトレースする時、Iiscm、Ioscm、(Iot)landが検出される。導かれたSCD値は半径方向の傾き量に比例する。図66はSCD値の測定結果例を示す。
半径方向の位置の半径方向の傾き量の平均値はランドトラックn−1の1回転中の連続したSCD値の平均を取ることにより求めることが出来る。
SDC値は光ビームの非対称性に基づきオフセットを有する。そのため、測定前に較正することが好ましい。
トラッキングエラーの残差もSCD値の測定に影響を与える。しかし、半径方向の誤差を許容値以下に保つことはSCD値の現実的な精度を得ることが出来る。
〔8−3〕物理セグメントレイアウトと物理セクターレイアウト
データリードインエリア、データエリア、データリードアウトエリアは全てゾーン、トラック、物理セグメントを有する。
物理セグメントは図67に示すようにゾーン番号、トラック番号、物理セグメント番号により特定される。
同一物理セグメント番号の各物理セグメントは各ゾーン内で揃えられる。各ゾーン内の隣接トラックの物理セグメントの最初のチャンネルビット間の角度差は±4チャンネルビット以内である。
物理セグメント番号が0である最初の物理セグメントはゾーン間で揃えられる。データリードインエリア、データエリア、データリードアウトエリア内のどの2つの開始物理セグメントの最初のチャンネルビット間の角度差は±256チャンネルビット以内である。
ゾーン境界に隣接するランドトラックのアドレスは読み取り不能である。
システムリードインエリアはエンボスピット列からなるトラックを含む。システムリードインエリア内のトラックは360°の連続螺旋を形成する。トラックの中心はピットの中心である。
データリードインエリアからデータリードアウトエリアへのトラックは360°の連続螺旋を形成する。
データリードインエリア、データエリア、データリードアウトエリアはグルーブトラック列と、ランドトラック列を含む。グルーブトラックはデータリードインエリアの開始からデータリードアウトエリアの終了まで連続する。ランドトラックはデータリードインエリアの開始からデータリードアウトエリアの終了まで連続する。グルーブトラックとランドトラックはそれぞれ連続螺旋である。グルーブトラックは溝として形成され、ランドトラックは溝としては形成されない。溝はトレンチ形状であり、その底部はランドに比べて読取り表面に近く配置されている。
ディスクは読取り面から見て半時計方向に回転する。トラックは内径から外径に向かう螺旋である。
システムリードインエリア内の各トラックは複数のデータセグメントに分割される。データセグメントは32個の物理セクタを含む。システムリードインエリア内のデータセグメントの長さは7物理セグメントの長さと等しい。システムリードインエリア内の各データセグメントは77469バイトである。データセグメントはギャップを含まず、システムリードインエリア内に連続して置かれる。システムリードインエリア内のデータセグメントは、1データセグメントの最初のチャンネルビットと次のデータセグメントの最初のチャンネルビットとの間隔が929628ビットとなるようにトラックの上に均等に配置される。
データリードインエリア、データエリア、データリードアウトエリア内の各トラックは複数の物理セグメントに分割される。データエリア内のトラック当たりの物理セグメント数はどのゾーンにおいても記録密度が一定になるように内径から外径のゾーンになるにつれて増加する。データリードインエリア内の物理セグメント数はデータエリア内のゾーン18の物理セグメント数と等しい。各物理セグメントは11067バイトである。データリードインエリア、データエリア、データリードアウトエリアの物理セグメントは、1物理セグメントの最初のチャンネルビットと次の物理セグメントの最初のチャンネルビットとの間隔が132804ビットとなるようにトラックの上に均等に配置される。
システムリードインエリア内の物理セクタ番号はシステムリードインエリアの最後の物理セクタの物理セクタ番号が158719(“02 6AFFh”)となるように決められる。
ランドトラック内のシステムリードインエリア以外の物理セクタ番号はデータリードインエリアの次に配置されるデータエリアの最初に配置される物理セクタの物理セクタ番号が196608(“03 0000h”)となるように決められる。物理セクタ番号はランドトラック内のデータリードインエリアの開始物理セクタからデータリードアウトエリアの最後の物理セクタにおいて増加する。
グルーブトラック内のシステムリードインエリア以外の物理セクタ番号はデータリードインエリアの次に配置されるデータエリアの最初に配置される物理セクタの物理セクタ番号が8585216(“83 0000h”)となるように決められる。物理セクタ番号はグルーブトラック内のデータリードインエリアの開始物理セクタからデータリードアウトエリアの最後の物理セクタにおいて増加する。
〔8−4〕記録データの記録/書換え方法に関する説明
書換え型情報記憶媒体に記録する書換え可能なデータの記録フォーマットを図68に示す。図68(a)は前述した図47(d)と同じ内容を示している。本実施の形態では書換え可能なデータに関する書換えは図68(b)及び(e)に示す記録用クラスタ540、541単位で行われる。1個の記録用クラスタは後述するように1個以上のデータセグメント529〜531と、最後に配置される拡張ガード領域528から構成される。すなわち、1個の記録用クラスタ531の開始はデータセグメント531の開始位置に一致し、VFO領域522から始まる。複数のデータセグメント529、530を連続して記録する場合には、図68(b)、(c)に示すように同一の記録用クラスタ531内に複数のデータセグメント529、530が連続して配置されると共に、データセグメント529の最後に存在するバッファ領域547と次のデータセグメントの最初に存在するVFO領域532が連続してつながっているため、両者間の記録時の記録用基準クロックの位相が一致している。連続記録が終了した時には記録用クラスタ540の最後位置に拡張ガード領域528を配置する。この拡張ガード領域528のデータサイズは変調前のデータとして24データバイト分のサイズを持っている。
図68(a)と(c)の対応から分かるように書換え型のガード領域461、462の中にポストアンブル領域546、536、エキストラ領域544、534、バッファ領域547、537、VFO領域532、522、プリシンク領域533、523が含まれ、連続記録終了場所に限り拡張ガード領域528が配置される。
図47(b)、(c)、(d)に示すように各ECCブロックの間にガード領域を挿入するデータ配置構造は再生専用、追記型、書換え型のいずれの情報記憶媒体においても共通である。また図41と図53(a)を比較すると明らかであり、また追記型については図示して無いがデータセグメント490、531内のデータ構造も再生専用、追記型、書換え型のいずれの情報記憶媒体においても共通である。さらに、ECCブロック411、412内のデータ内容も図47に示すように再生専用情報記憶媒体(図47(a)(b))、追記型情報記憶媒体(図47(c))など媒体の種類に依らず全て同じ形式のデータ構造を持っており、それぞれ77376データバイト(変調前の元のデータのバイト数)分のデータが記録可能になっている。すなわち、ECCブロック#2内の書換え可能データ525のデータ内容は図33に示す構造を有する。ECCブロックを構成する各セクターデータは図39あるいは図34(データ領域構造)に示すように26個ずつのシンクフレームから構成される。
書換え単位の物理的範囲の比較をするため、図68(c)に情報の書換え単位である記録用クラスタ540の一部と、図68(d)に次に書換える単位である記録用クラスタ541の一部を示している。書換え時の重複箇所541で拡張ガード領域528と後側のVFO領域522が一部重複するように書換えを行うところに本実施の形態の特徴がある(発明ポイント(I)に対応)。そのように一部重複させて書換えすることで、片面2記録層の記録可能な情報記憶媒体における層間クロストークを除去できる。
記録クラスタ540、541はデータリードインエリア、データエリア、データリードアウトエリア内にある。
記録クラスタ540、541は1つ以上のデータセグメント529、530と、拡張ガード領域528を含む(図69参照)。データセグメント529、530の長さは7物理セグメントの長さに等しい。記録クラスタ540、541の数は各記録時に1つである。
ランドトラック内のデータセグメントはギャップを含まない。グルーブトラック内のデータセグメントはギャップを含まない。データセグメントの開始物理セグメント番号は次式で表される。
{(トラック当たりの物理セク゛メント数)×(トラック番号)+(物理セク゛メント番号)} mod7 = 0
“A mod B”はAをBで除した余りである。
すなわち、上記式は物理セグメントとして7の倍数位置から記録を開始するという意味である。
記録用クラスタ540、541のレイアウトを図69に示す。図中の数字は領域の長さをバイトで示す。
図69中の“n”は1、または1以上である。
拡張ガード領域528のデータは“7Eh”であり、拡張ガード領域528の変調パターンは次のパターンの繰り返しである。
“010001 000100”
記録クラスタの実際の開始位置は物理セグメントの開始位置から24ウォブルはなれている理論上の開始位置に対して±1バイト以内である。理論上の開始位置はNPWの開始位置から始まる(図70参照)。
記録クラスタの開始位置は何回もの上書きサイクル後に記録層上のマークとスペースの位置の平均確率を同一とするために、実際の開始位置からJ/12バイトシフトしている(図70参照)。
図70の数字はバイト単位で示す長さである。Jmは0から167の間でランダムに変化し、Jm+1は0から167の間でランダムに変化する。
図53(a)から分かるように本実施の形態における1個のデータセグメント内の書換え可能なデータサイズは
67+4+77376+2+4+16=77469テ゛ータハ゛イト (102)
となる。また図53(c)、(d)から分かるように1個のウォブルデータユニット560は
6+4+6+68=84ウォフ゛ル (103)
で構成されており、17個のウォブルデータユニットで1個の物理セグメント550を構成し、7個の物理セグメント550〜556の長さが1個のデータセグメント531の長さに一致しているので1個のデータセグメント531の長さ内には
84×17×7=9996ウォフ゛ル (104)
が配置される。従って、(2)式と(4)式から1個のウォブルに対して
77496÷9996=7.75テ゛ータハ゛イト/ウォフ゛ル (105)
が対応する。
図70に示すように物理セグメントの先頭位置から24ウォブル以降に次のVFO領域522と拡張ガード領域528の重なり部分が来るが、図53(d)から分かるように物理セグメント550の先頭から16ウォブルまではウォブルシンク領域580となるが、それ以降68ウォブル分は無変調領域590内になる。したがって24ウォブル以降の次のVFO領域522と拡張ガード領域528が重なる部分は無変調領域590内となる。
本実施の形態における書換え型情報記憶媒体における記録膜は相変化形記録膜を用いている。相変化形記録膜では書換え開始/終了位置近傍で記録膜の劣化が始まるので、同じ位置での記録開始/記録終了を繰り返すと記録膜の劣化による書換え回数の制限が発生する。本実施の形態では上記問題を軽減するため、書換え時には図70に示すようにJm+1/12データバイト分ずらし、ランダムに記録開始位置をずらしている。
図53(c)、(d)では基本概念を説明するため、拡張ガード領域528の先頭位置とVFO領域522の先頭位置が一致しているが、本実施の形態では厳密に言うと図70のようにVFO領域522の先頭位置がランダムにずれている。
現行の書換え型情報記憶媒体であるDVD−RAMデイスクでも記録膜として相変化形記録膜を使用し、書き換え回数向上のためにランダムに記録開始/終了位置をずらしている。現行のDVD−RAMディスクでのランダムなずらしを行った時の最大ずらし量範囲は8データバイトに設定してある。また、現行のDVD−RAMディスクでの(ディスクに記録される変調後のデータとして)チャネルビット長は平均0.143μmに設定されている。本実施の形態の書換え型情報記憶媒体ではチャネルビットの平均長さは図101から
(0.087+0.093)÷2=0.090μm (106)
となる。物理的なずらし範囲の長さを現行のDVD−RAMディスクに合わせた場合には、本実施の形態でのランダムなずらし範囲として最低限必要な長さは上記の値を利用して
8バイト×(0.143μm÷0.090μm)=12.7バイト (107)
となる。本実施の形態では再生信号検出処理の容易性を確保するため、ランダムなずらし量の単位を変調後のチャネルビットに合わせた。本実施の形態では変調に8ビットを12ビットに変換するETM変調(Eight to Twelve modulation)を用いているので、ランダムなずらし量を表す数式表現としてデータバイトを基準として
Jm/12データバイト (108)
で表す。Jmの取り得る値としては(107)式の値を用いて
12.7×12=152.4 (109)
なので、Jmは0から152となる。以上の理由から(109)式を満足する範囲で有ればランダムなずらしの範囲長さは現行DVD−RAMディスクと一致し、現行DVD−RAMディスクと同様な書換え回数を保証できる。本実施の形態では現行以上の書換え回数を確保するため(107)式の値に対してわずかにマージンを持たせ、
ランダムなずらし範囲の長さ=14データバイト (110)
に設定した。(110)式の値を(108)式に代入すると、14×12=168なので、
Jmの取り得る値は0〜167 (111)
と設定した。
図68において記録用クラスタ540内でのバッファ領域547とVFO領域532の長さは一定となっている。また、図69からも明らかなように同一の記録用クラスタ540内では全てのデータセグメント529、530のランダムずらし量Jmは至るところ同じ値になっている。内部に多量のデータセグメントを含む1個の記録用クラスタ540を連続して記録する場合には、記録位置をウォブルからモニターしている。すなわち、図53に示すウォブルシンク領域580の位置検出をしたり、無変調領域590、591内ではウォブルの数を数えながら情報記憶媒体上の記録位置の確認を記録と同時に行う。この時にウォブルのカウントミスや情報記憶媒体を回転させている回転モータ(例えば図131のモータ)の回転ムラによりウォブルスリップ(1ウォブル周期分ずれた位置に記録すること)が生じ、情報記憶媒体上の記録位置がずれることが希にある。
本実施の形態の情報記憶媒体では上記のように生じた記録位置ずれが検出された場合には、図68の書換え型のガード領域461内で調整を行い、記録タイミングの修正を行うところに特徴がある。図68においてポストアンブル領域546、エキストラ領域544、プリシンク領域533ではビット欠落やビット重複が許容できない重要な情報が記録されるが、バッファ領域547、VFO領域532では特定パターンの繰り返しになっているため、この繰り返し境界位置を確保している限りでは1パターンのみの欠落や重複が許容される。従って、本実施の形態ではガード領域461の中で特にバッファ領域547またはVFO領域532で調整を行い、記録タイミングの修正を行う。
図70に示すように本実施の形態では位置設定の基準となる実際の開始ポイント位置はウォブル振幅“0”の(ウォブルの中心)位置と一致するように設定される。しかし、ウォブルの位置検出精度は低いので本実施の形態では図70内の“±1max”と記載されているように、
実際の開始ポイント位置=最大±1データバイトまでのずれ量 (112)
を許容している。
図68および図70においてデータセグメント530でのランダムシフト量をJmとし(上述したように記録用クラスタ540内は全てのデータセグメント529のランダムシフト量は一致する)、その後に追記するデータセグメント531のランダムシフト量をJm+1とする。(11)式に示すJmとJm+1の取り得る値として、例えば中間値を取り、Jm=Jm+1=84であり、実際の開始ポイント位置精度が充分高い場合には、図68に示すように拡張ガード領域528の開始位置とVFO領域522の開始位置が一致する。
これに対してデータセグメント530が最大限後位置に記録され、後で追記または書換えられるデータセグメント531が最大限前位置に記録された場合には(110)式に明示した値と(112)式の値からVFO領域522の先頭位置がバッファ領域537内へ最大15データバイトまで入り込むことがある。バッファ領域537の直前のエキストラ領域534には特定の重要情報が記録されている。従って、本実施の形態において
バッファ領域537の長さは15データバイト以上 (113)
必要となる。図68に示した実施例では1データバイトの余裕を加味し、バッファ領域537のデータサイズを16データバイトに設定している。
ランダムシフトの結果、拡張ガード領域528とVFO領域522の間に隙間が生じると片面2記録層構造を採用した場合にその隙間による再生時の層間クロストークが発生する。そのため、ランダムシフトを行っても必ず拡張ガード領域528とVFO領域522の一部が重なり、隙間が発生しない工夫がされている。従って、本実施の形態において(113)式の同様な理由から拡張ガード領域528の長さは15データバイト以上に設定する必要がある。後続するVFO領域522は71データバイトと充分に長く取ってあるので、拡張ガード領域528とVFO領域522の重なり領域が多少広くなっても信号再生時には支障が無い(重ならないVFO領域522で再生用基準クロックの同期を取る時間が充分確保されるため)。従って、拡張ガード領域528は15データバイトより大きな値に設定することが可能である。連続記録時に希にウォブルスリップが発生し、1ウォブル周期分記録位置がずれる場合があることを既に説明した。(105)式に示すように1ウォブル周期は7.75(約8)データバイトに相当するので(113)式にこの値も考慮して本実施の形態では
拡張ガード領域528の長さ
=(15+8=)23データバイト以上 (114)
に設定している。図68に示した実施例ではバッファ領域537と同様に1データバイトの余裕を加味し、拡張ガード領域528の長さを24データバイトに設定している。
図68(e)において記録用クラスタ541の記録開始位置を正確に設定する必要がある。本実施の形態の情報記録再生装置では書換え型または追記型情報記憶媒体に予め記録されたウォブル信号を用いてこの記録開始位置を検出する。図53(d)から分かるようにウォブルシンク領域580以外は全て4ウォブル単位でパターンがNPWからIPWに変化している。それに比べて、ウォブルシンク領域580ではウォブルの切り替わり単位が部分的に4ウォブルからずれているため、ウォブルシンク領域580が最も位置検出し易い。そのため、本実施の形態の情報記録再生装置ではウォブルシンク領域580の位置を検出後、記録処理の準備を行い、記録を開始する。そのため、記録用クラスタ541の開始位置はウォブルシンク領域580の直後の無変調領域590の中にくる必要がある。
図70ではその内容を示している。物理セグメントの切り替わり直後にウォブルシンク領域580が配置されている。図53(d)に示すようにウォブルシンク領域580の長さは16ウォブル周期分になっている。更に、そのウォブルシンク領域580を検出後、記録処理の準備にマージンを見越して8ウォブル周期分必要となる。従って、図70に示すように記録用クラスタ541の先頭位置に存在するVFO領域522の先頭位置がランダムシフトを考慮して物理セグメントの切り替わり目位置から24ウォブル以上後方に配置される必要がある。
図68に示すように書換え時の重複箇所541では何度も記録処理が行われる。書換えを繰り返すとウォブルグルーブまたはウォブルランドの物理的な形状が変化(劣化)し、そこからのウォブル再生信号品質が低下する。本実施の形態では図68(f)または図53(a)、(d)に示すように、書換え時の重複箇所541がウォブルシンク領域580やウォブルアドレス領域586内にくるのを避け、無変調領域590内に記録されるように工夫している。無変調領域590は一定のウォブルパターン(NPW)が繰り返されるだけなので、部分的にウォブル再生信号品質が劣化しても前後のウォブル再生信号を利用して補間できる。
〔実施の形態の個々ポイントとその個々ポイント毎の独自効果説明〕
ポイント(I)
記録可能な情報記憶媒体に対する記録フォーマットでガードエリア内が一部重複して記録される。
図54に示すように拡張ガード領域528と後側のVFO領域522が重複し、書換え時の重複箇所541が生じる(図68、図70)
[効果]
セグメント間で前と後ろのガードエリア間で隙間(記録マークが存在しない部分)があると記録マーク有無で光反射率の違いがあるためその隙間部分で、巨視的に見た時に光反射率の違いが発生する。そのため、片面2記録層の構造にした場合にその部分からの影響で他層からの情報再生信号が乱れ、再生時のエラーが多発する。本実施の形態のようにガードエリアを一部重複させることで記録マークが存在しない隙間の発生を防止し、片面2記録層における既記録領域からの層間クロストークの影響を除去でき、安定した再生信号が得られる。
○書換え時の重複箇所541が無変調領域590内に記録されるように設定されている。
[効果]
書換え時の重複箇所541位置を無変調領域590内に来るように設定したため、ウォブルシンク領域580またはウォブルアドレス領域586内での形状劣化によるウォブル再生信号品質の劣化を防止し、ウォブルアドレス情報610からの安定なウォブル検出信号を保証できる。
☆物理セグメントの先頭から24ウォブル以降にデータセグメント内のVFO領域が開始する。
○書換え単位を表す記録用クラスタの最後に拡張ガード領域528が形成される。
[効果]
記録用クラスタの最後に拡張ガード領域528を形成することで、図68において前側の記録用クラスタ540と後側の記録用クラスタ541が必ず一部で重なるように設定できる。前側の記録用クラスタ540と後側の記録用クラスタ541との間に隙間が発生しないので、片面2記録層を持った書換え型または追記型情報記憶媒体において層間クロストークの影響を受けずに安定に記録マークからの再生信号を得ることが出来、再生時の信頼性を確保できる。
☆拡張ガード領域528の寸法が15データバイト以上である。
[効果]
(113)式の理由からランダムシフトによっても記録用クラスタ540、541間に隙間が現れず、層間クロストークの影響を受けずに安定に記録マークからの再生信号を得られる。
☆拡張ガード領域528の寸法を24バイトとする。
[効果]
(114)式の理由からウォーブルスリップを考慮しても記録用クラスタ540、541間に隙間が現れず、層間クロストークの影響を受けずに安定に記録マークからの再生信号が得られる。
○ランダムシフト量をJm/12(0≦Jm≦154)より大きな範囲とする。
[効果]
(109)式を満足し、ランダムシフト量に対する物理的な範囲の長さが現行DVD-RAMと一致するため、現行DVD-RAMと同様な繰り返し記録回数を保証できる。
○バッファ領域のサイズを15データバイト以上に設定する。
[効果]
(113)式の理由からランダムシフトによっても図54におけるエキストラ領域537が隣のVFO領域522に書き重ねされること無く、エキストラ領域534のデータ信頼性が確保される。
〔本実施の形態の個々ポイントとその個々ポイント毎の独自効果説明〕
ポイント(U)
書換え単位を表す記録用クラスタが1個以上のデータセグメントから構成される(図68(c)、図69)。
[効果]
少ないデータ量を何度も書換えることの多いPCデータ(PCファイル)と多量のデータを一度に連続して記録するAVデータ(AVファイル)の同一情報記憶媒体への混在記録処理を容易にする。
パーソナルコンピュータ用に使われるデータは比較的少量のデータを何度も書換える場合が多い。従って、書換え又は追記のデータ単位を極力小さく設定するとPCデータに適した記録方法になる。本実施の形態では図33に示すように32セクタからECCブロックが構成される。ECCブロックを1個のみ含むデータセグメント単位で書換え又は追記を行うことが効率良く書換え又は追記を行う最小の単位となる。従って、書換え単位を表す記録用クラスター内に1個以上のデータセグメントが含まれる本実施の形態における構造がPCデータ(PCファイル)に適した記録構造となる。AV(Audio Video)データでは非常に多量な映像情報や音声情報が途中で途切れること無く連続的に記録される必要がある。この場合、連続的に記録されるデータは1個の記録用クラスタとしてまとめて記録される。AVデータ記録時に1個の記録用クラスタを構成するデータセグメント毎にランダムシフト量やデータセグメント内の構造、データセグメントの属性などを切り替えると、切り替わり処理の時間が掛かり、連続記録処理が難しくなる。
本実施の形態では、図69に示すように同一形式(属性やランダムシフト量を変えず、データセグメント間に特定情報を挿入すること無く)のデータセグメントを連続して並べて記録用クラスタを構成することで多量のデータを連続して記録するAVデータ記録に適した記録フォーマットを提供できるだけでなく、記録用クラスタ内の構造の簡素化を果たして記録制御回路と再生検出回路の簡素化を達成して情報記録再生装置または情報再生装置の低価格化を可能とする。
また、図68に示された記録用クラスタ540内の(拡張ガード領域528を除いた)データセグメント529、530が連続して並んだデータ構造は図41に示した再生専用情報記憶媒体と全く同じ構造をしている。図示してないが、本実施の形態では追記型情報記憶媒体に対しても同じ構造を取っている。このように再生専用/追記型/書換え型に依らず全ての情報記憶媒体で共通のデータ構造になっているため、媒体の互換性が確保され、互換性が確保された情報記録再生装置または情報再生装置の検出回路の兼用化が図れ、高い再生信頼性が確保できると共に、低価格化の実現が可能となる。
○同一記録用クラスタ内では全てのデータセグメントのランダムシフト量が一致している。
[効果]
本実施の形態では同一記録用クラスタ内では全てのデータセグメントのランダムシフト量が一致しているので、同一記録用クラスタ内で異なるデータセグメントを跨って再生した場合にVFO領域(図68の532)での同期合わせ(位相の設定し直し)が不要となり連続再生時の再生検出回路の簡素化と再生検出の高い信頼性確保が可能となる。
○ECCブロックの間にあるガード領域内で調整を行い、記録タイミングの修正を行う。
[効果]
図68(c)に示すデータ構造の中でECCブロック410、411内のデータはエラー訂正対象のデータであり、基本的には1ビットでもデータ欠落は望ましくない。
それに比べ、バッファ領域547やVFO領域532のデータは同じパターンの繰り返しなため、繰り返しの切れ目を確保したままでの部分欠落や部分重複が発生しても問題は生じない。従って、連続記録時に記録位置ずれが検出された場合、ガード領域461内で調整を行い、記録タイミングの修正を行ってもECCブロック410、411内のデータに影響を及ぼすこと無く、安定に記録・再生制御を行うことが可能である。
○記録用クラスタ開始位置がウォブルシンク領域直後の無変調領域から記録される。
[効果]
最も検出し易いウォーブルシンク領域580を検出直後に記録開始をするため、記録開始位置精度が高く、安定な記録処理が可能となる。
☆物理セグメントの切り替わり位置から24ウォブル以上ずらした位置から記録を開始する。
[効果]
ウォブルシンク領域580の検出時間と記録処理の準備時間が相応に取れるので、安定した記録処理を保証できる。
〔8−5〕トラック情報の記録方法と再生方法に関する説明(ポイント(N)、(M)、(P))
図53(e)に示すグルーブトラック情報606とランドトラック情報607に関するウォブル変調方法とその再生方法に関するいくつかの例について以下に説明する。
グルーブ幅を一定にしてウォブル変調を施し、アドレス情報を埋め込む場合にはランド部の一部にトラック幅の変化する領域が発生し、その部分のアドレスデータが不定ビット(ウォブル信号のレベルダウンが起こり、その発生場所を利用してデータを検出することは可能であるが、ノイズなどが多い場合は信頼性が落ちる可能性が高い)となる。この現象を逆に利用して、グルーブ幅の一部を変化させることで、あたかもランドトラックにデータを記録させたようなグルーブウォブル変調処理が可能になる。
図71は、グルーブn+1、ランドn+1、グルーブn+2の関係を示したものであるが、グルーブn+1トラックのウォブル変調ではアドレスデータ(・・100X2・・)と記録するが、X1の部分はランドnが“1”で、ランドn+1が“0”となるためのグルーブ幅が変化する振幅変調で形成している。同様に、グルーブn+2のX2領域はランドn+1が“0”でランドn+2が“1”とグルーブ幅を変化させた振幅変調でグルーブを形成させている。このようにグルーブ幅を一部変化させる方式を導入すると、グルーブトラックを対峙するランドトラックのアドレスデータが異なる場合も、要求するランドデータが正しく検出されるウォブル変調が可能になる。
図53(e)に示す本実施の形態ではあらかじめ位置が定まっているグルーブトラック情報606とランドトラック情報607の領域にランドとグルーブのアドレスデータを配置する。すなわち、
◎グルーブトラック情報606のところは至るところグルーブ幅を一致させてグルーブ側のトラックアドレス情報を図51に示したグレイコードを用いてウォブル変調により記録し(ランド側の幅を局所的に変化させてランド側に不定ビットを配置)、
◎ランドトラック情報607のところは至るところランド幅を一致させてランド側のトラックアドレス情報を図51に示したグレイコードを用いてウォブル変調により記録(グルーブ側の幅を局所的に変化させてグルーブ側に不定ビットを配置)させる。
このようにした場合には、
☆グルーブ上をトレースしている場合にはトラック番号が確定しているグルーブトラック情報606を再生する。また、後述するようにトラック番号の奇数/偶数判定技術を利用してランドトラック情報607対してトラック番号の予測判定が可能となる。また
☆ランド上をトレースしている場合にはトラック番号が確定しているランドトラック情報607を再生する。また、後述するようにトラック番号の奇数/偶数判定技術を利用してグルーブトラック情報606に対してトラック番号の予測判定が可能となる。
このようにグルーブ領域内で不定ビットを含まずにグルーブのトラックアドレス情報が確定する部分と、グルーブ領域内で不定ビットを含むが後述する手法を用いてグルーブのトラックアドレスが予測判定可能な部分を同一トラック内で予め設定しておくことも可能である。この場合には同時にランド領域内で不定ビットを含まずにランドのトラックアドレス情報が確定する部分と、ランド領域内で不定ビットを含むが後述する手法を用いてランドのトラックアドレスが予測判定可能な部分を同一トラック内で予め設定しておくことになる。
グルーブ幅を変化させてランドアドレスを形成した他の例を図72に示す。図53(e)に示したアドレス設定方法に比べて、グルーブトラックアドレス位置を識別させる為のG同期信号(G−S)をグルーブトラック情報とランドトラック情報の先頭位置に配置させ、トラック情報位置を検出し易くしたところに特徴がある。この場合、対峙するランドアドレスデータが異なる場合は、あたかもランドトラックのウォブル変調で記録したようにグルーブ幅を変化させて記録する。この処理で、ランドトラック記録再生でのアドレス情報検出では正しい検出信号を得ることが可能になる。図72では、グルーブトラック用アドレスデータとランドトラック用アドレスデータを別々に配置したが、上記グルーブ幅を変化させる技術を用いて、同一のグルーブウォブリング変調でランドとグルーブのアドレスデータを形成させることも可能である。
図73はその一例を示した図である。同一のグルーブウォブルによってランドとグルーブのアドレスデータを意味させる為には、ランドの奇数/偶数識別が確定できれば可能であることは、上述した通りである。この奇数/偶数識別にグルーブ幅変調が利用できる。即ち、奇数ランドに“0”を、偶数ランドに“1”のデータを図73のトラック番号の次のビットに配置する方式である。グルーブトラックはトラック番号が確定している為、トラック番号の後ろに冗長ビットを付加しても検出を無視すれば良い。ランドトラックではトラック番号の検出後にビットが“0”か“1”かで奇数ランドか偶数ランドかを判定すれば良いことになる。ランドトラックでは、結果として奇数/偶数トラック識別データを含めたデータ列でトラック番号を確定することになり、特別の奇数/偶数トラック識別マークが無くても、グルーブ/ランドアドレスデータが検出可能となる。更に、グレイコードによってランドトラックにのみ発生していたトラック幅の変化領域がグルーブトラックにも発生し、グルーブ/ランド検出系を同じ手法で構成することとなり、システムバランスが最適化できる。
不定ビットを分散配置する方法としては、
(イ)グルーブ付き原盤作成時に原盤表面にコーディングされたフォトレジストに対する露光量を局所的に変化させる方法、
(ロ)グルーブ付き原盤作成時に原盤表面にコーディングされたフォトレジストに露光するビームスポットを2個持たせ、この2個のビームスポット間の相対的移動量を変化させる方法、の他に
(ハ)図74に示すようにグルーブ領域502内のウォブル振幅幅を変化させる方法がある。
グルーブ領域502内の不定ビット領域710では壁面が直線なため、ウォブル検出信号は得れないが、それに隣接するランド領域503と507のε位置とη位置ではもう一方の壁がウォブルしているため、ウォブル信号が得れる。上記(イ)や(ロ)に示した方法と比べると不定ビット領域内のグルーブ幅変動が小さいので、その上に記録する記録マークからの再生信号のレベル変動が小さく、書換え可能な情報のエラー率の悪化を抑える効果がある。この方法を用いた場合のフォーマット方法としては図53(e)または図72に示した形式と全く同じ構造を取ることが出来る。
以上、不定ビットをグルーブにも持たせる実施の形態について説明したが、本発明の他の実施の形態として不定ビットをグルーブには一切持たせず、トラック情報の並び順を用いてランド上のトラック情報を読み取る方法もある。
図53(e)のグルーブトラック情報606のところを図75ではトラック番号情報A606と呼び、図53(e)のランドトラック情報607のところを図75ではトラック番号情報B607と呼ぶ。いずれのトラック番号情報に対しても図52に示した特殊トラックコードを採用する。図75に示した実施の形態ではグルーブ領域にトラック番号情報A611とB612に対してジグザグにトラック番号を設定するところに特徴がある。隣接するグルーブ領域で同じトラック番号が設定された場所ではランド領域も同様なトラック番号が設定され、ランド上でも不定ビット無しにトラック情報を読み取ることが出来る。隣接するグルーブ領域で異なるトラック番号が設定された場所ではトラック番号は確定しないが後述する方法によりトラック番号の予測判定は可能となる。図75に示した情報の繋がりの中での特徴を抽出すると、
1.グルーブ上ではAとBの内、小さい方の値がトラック番号と一致する。
2.ランド上では偶数トラックではAが、奇数トラックではBのトラック番号が確定する。
3.ランド上では偶数トラックではBが、奇数トラックではAのトラック番号が不確定(であるが、後述する方法によりトラック番号の予測判定は可能)。
また、図52に示す本実施の形態の特殊トラックコードによれば
4.グルーブ上で特殊トラックコード変換後の値が偶数トラックのところで最上位ビット以外は下位ビット全てのパターンが一致し、奇数トラックのところで下位ビットも変化すると言う項目が上げられる。
更に、トラック情報の設定方法に関する他の例を示す。この方法はグレイコードの設定方法を工夫し、不定ビットが有ってもアドレス検出を可能とする方法である。
従来、ランド/グルーブ記録トラックにおけるアドレッシング方式は、DVD−RAMのようにエンボスプリピットによって形成されていたが、グルーブトラックのウォブリングを利用して、アドレス情報を埋め込む方法が考えられていたが、大きな問題はランドトラックのアドレス形成であった。
一つの案として、グルーブウォブリングで、グルーブ用とランド用を別々に配置し、ランド用はランドを挟む隣接のグルーブをウォブリングさせるが、あたかもランドウォブリングされたような構成を採ることでランドアドレスを実現させていた。
しかしながら、この方法ではトラックアドレス領域として2倍以上が必要であり無駄が多く、一組のアドレス情報でグルーブアドレス情報としてもランドアドレス情報としても利用できれば、効率良い配置が可能になる。その実現手段として、トラックアドレスデータとしてグレイコードを利用する方法がある。
図76は、グルーブウォブルをトラックアドレスデータによって位相変調させた時のトラック形態と、ランドでのウォブル検出信号の関係を図示したものである。
グルーブnのアドレスデータ“・・100・・”とグルーブn+1のアドレスデータ“・・110・・”に挟まれたランドnでアドレスデータをウォブル信号検出すると“・・1x0・・”となる。ここで、x部分はグルーブnの“0”とグルーブn+1の“1”によって挟まれた領域で、ウォブル検出信号はセンターレベルの振幅0信号となる。実際のシステムでは、読取りビームのトラック外れ量や検出器のアンバランスなどで、他の領域のレベルより下がるがデータ“1”側か“0”側の信号が検出される可能性が高い。このように異なるグルーブアドレスデータで挟まれたランド領域では検出レベルが下がることを利用して、その部分がアドレスデータのポジションと照らし合わせて、ランドアドレス信号を検出することも考えられる。しかしこの方法も、ウォブル検出信号のC/Nが高い場合は良いが、ノイズが大きい場合等は信頼性が取れない可能性があった。
そこで、ランドトラックでのウォブル検出信号からアドレスデータを読み出す方法として、グルーブウォブルデータが異なって対峙しているランドウォブル検出データは不定(“0”と判断しても“1”と判断しても良い)でも正しいランドアドレスデータを確定できる方法が望まれていた。
そこで、グルーブトラックアドレスは、グレイコードデータでウォブル変調する方式を採用し、ランドトラックに対しては、特殊マークを付加したりウォブル変調で特殊識別コードを付加するなどによって、奇数(odd land)ランドと偶数ランド(even land)を容易に判断できる構造を採用する方式を提案するものである。
ランドトラックが、奇数/偶数の判定可能であれば、グレイコードの性質から、ランドアドレスデータの確定は容易になる。その証明を図77を用いて説明する。
グレイコードは、図51に示されるように1ステップのコード変更は1ビットのみになるよう構成されたコードである。このグレイコードでグルーブトラックのアドレッシングを行うすれば、各グルーブウォブルで構成されるランドのウォブルは、図76のように1ビットのみが不定のコードとして検出される。即ち、図77のようなアドレスデータがグルーブトラックに配置されると、グルーブトラックに対峙されたランドトラックのウォブル検出信号は1ビットのみが“0”か“1”か不定のビットで他のビットは隣接グルーブウォブル信号と同じ値が検出される。図77の偶数ランドnでのウォブル検出信号は(n)または(n+1)が検出される。同様に、奇数ランドn+1は(n+1)または(n+2)が検出される。
ここで、ランドトラックは予め、奇数ランドまたは偶数ランドが識別されていれば、奇数ランドn+1の場合は、(n+1)が検出された場合はそのデータがアドレス値、(n+2)が検出された場合は(検出値−19がアドレス値となる。同様に偶数ランドnの場合は、(n)が検出されたらその値がアドレス値で(n+1)が検出されたら(検出値−1)がアドレス値となる。但し、nは偶数の場合である。
以上のように、ランドトラックが奇数トラックか偶数トラックか判定されていれば、ランドトラックでのウォブル検出値に不定のビットが有っても簡単に正しいアドレス値が確定できることになる。グルーブトラックはウォブル検出信号がそのままトラックアドレスになる。
図78は、トラックアドレスが4ビットのグレイコードを配置した場合の具体的な検出内容を図示したものである。グルーブトラックG(n)のグレイコードアドレスデータが“0110”、G(n+1)が“1100”とした場合、偶数ランドL(n)は“1100”または“0100”がウォブル信号として検出されるが、図77で説明した考えでいけば、偶数ランドであることから“0100”が正しいアドレス値として確定する。
しかし、図77で説明した検出値から“0”または“−1”を補正しなくても、ランドトラックは先ず奇数/偶数識別があるとすれば、夫々2つのアドレス値を持っているとも考えられる。図78における偶数ランドL(n)で“1100”、“0100”のどちらが検出されても、他の偶数ランドにはこのコードは存在しない。このため、検出された値でアドレスデータを確定することが可能なのである。
上記内容は図52に示した特殊トラックコードに対しても同じ特徴を持っている。
書換え可能型情報記録媒体にて、グルーブトラックとランドトラックを共に記録再生トラックとして利用する場合のアドレッシングフォーマット案の一例を図79に示す。図47に示された各ECCブロックの間に存在するガード領域内にランドの奇数/偶数識別情報を挿入配置する。
図77、図78で示したランドの奇数/偶数識別は、ランドのヘッダ領域にプリピットでマークを入れている。
本実施の形態によるところのグルーブウォブルアドレッシング方式では、ランドのアドレス検出には奇数ランド/偶数ランド識別が重要であり、その識別マーク方式としては各種方法が考えられる。
図80〜図83はその識別マーク方式を図示したものである。
図80は、グルーブウォブルで特殊なパターンをいれ、図76で示されたようなレベルダウン部分の位置関係を使って奇数/偶数ランド判定を行う。
図81は、図79と同様にランドのヘッダ領域にエンボスプリピットマークを配置させる方法である。
図82は、奇数(又は偶数)グルーブトラックのみの記録トラックを切断させるような物理的マークを設置させる方法である。ランドトラック検出ではグルーブトラックの物理的変形構造がクロストーク信号として検出され、対峙するグルーブの一方向のみからマーク信号が検出される為、方向性を伴うことから、奇数/偶数ランド検出が可能になる。
図83は、奇数トラックの奇数セグメントにおけるヘッダと偶数トラックの偶数セグメントヘッダに図82のようなマークを配置するものである。この方法では、全てのトラックにウォブリング以外のヘッダ領域識別マークがつくことになり、ヘッダ位置検出のも上記マークが利用でき、奇数/偶数ランド判定はウォブリング変調で記録されたセグメント番号データの奇数/偶数情報を合わせて利用することで、奇数/偶数ランド識別を可能にするものである。
図82または図83に関する他の例を図84、図85に示す。図84に示した例ではグルーブ領域502の一部を切断し、グルーブ切断領域508を作成している。図示してないが再生用集光スポットがランド領域503,504上をトレースしている場合に、トラック差信号の急変する方向を検知することでランド上の偶数トラック上をトレースしているか奇数トラック上をトレースしているかの判定が行える。図85には他の例を示す。グルーブ領域502内で局所的に大きく蛇行するグルーブ蛇行領域509を構成する方法と他の例として図84に示すようにグルーブを一部切断すると共に、その切断部分にランドプリピットを形成するグルーブ切断+ランドプリピット領域500を設ける。いずれもトラック差信号の変化方向でランド上の偶数トラック上をトレースしているか奇数トラック上をトレースしているかの判定が行える。
〔9〕追記型情報記憶媒体実施の形態におけるウォブルフォーマットの説明
本実施の形態の追記型情報記憶媒体では物理セグメント構造やデータセグメント構造は図53と同じ構造を持っている。本実施の形態の書換え型情報記憶媒体では図48に示すようにゾーン構造をしているのに比べて、本実施の形態の追記型情報記憶媒体ではゾーン構造を取らず、本実施の形態の再生専用情報記憶媒体と同様なCLV(Constant Linear Velocity)構造を取るところに特徴がある。
〔10〕情報記憶媒体全体のデータ配置構造に関する説明
〔10−1〕各種情報記憶媒体に共通する情報記憶媒体全体としてのデータ配置構造に関する説明(ポイント(R)、(S))
本実施の形態においては再生専用/追記型/書換え型における情報記憶媒体間の互換性確保を重視し、情報記憶媒体全体構造に対して下記の部分で再生専用/追記型/書換え型での共通構造を採用する。
(イ)リードインエリア、データ領域、データリードアウト領域を共通に持つ。
(ロ)リードインエリア内はコネクションエリアを挟んでシステムリードインエリアとデータリードインエリアに共通に分割されている。
(ハ)再生専用/追記型/書換え型いずれも単層(単一の光反射層または記録層)と2層(光反射層または記録層が片面から再生可能な形で2層存在する)の構造を許容する。
(ニ)情報記憶媒体全体の合計厚み、内径、外径寸法が一致する。
図88に示すように再生専用の2層(Opposite track Path)のみにシステムリードインエリアを持つ。
上記において(イ)と(ニ)については現行DVDにおいても同様な特徴を持っていた。本実施の形態として特に(ロ)の特徴について説明する。ディスク内の情報エリアはディスクのモードに応じて次の5つの部分に分割される:システムリードインエリア、コネクション領域、データリードインエリア、データ領域、データリードアウト領域。情報エリアはエンボスピットの列からなるトラックを有する。システムリードインエリア内のトラックは360°一周する連続した螺旋である。データリードインエリア、データ領域、データリードアウト領域のトラックは360°一周する連続した螺旋である。トラックの中心はピットの中心である。
現行DVDにおいても再生専用、追記型、書換え型のいずれの情報記憶媒体にもリードインエリアを持っている。また、現行DVDにおける書換え型情報記憶媒体(DVD−RAMディスク、DVD−RWディスク)と追記型情報記憶媒体(DVD−Rディスク)ではエンボスリードインエリアと言って微細な凹凸形状を持ったピット領域が存在している。
上記の書換え型情報記憶媒体、追記型情報記憶媒体のいずれにおいてもピット領域でのピット深さはデータ領域内のプリグルーブ(連続溝)の深さと一致している。現行DVDにおける再生専用情報記憶媒体である現行DVD−ROMではこのピットの深さは使用波長をλ、基板の屈折率をnとした時、λ/(4n)が最適な深さと言われている。現行DVDにおける書換え型情報記憶媒体である現行DVD−RAMではデータ領域内での隣接トラックの記録マークからのクロストーク(再生信号への漏れ込み量)を最も小さくする条件としてプリグルーブの深さはλ/(5n)〜λ/(6n)が最適な深さと言われている。従って、現行DVD−RAMではそれに合わせてエンボスリードインエリアのピットの深さもλ/(5n)〜λ/(6n)に設定されている。深さがλ/(4n)もしくはλ/(5n)〜λ/(6n)のピットからは(深さが充分深いので)充分大きな振幅を持った再生信号が得られる。それに比べて、現行DVD−Rでは、データ領域内のグルーブの深さが非常に浅いため、同じ深さを持ったエンボスリードインエリア内のピットからは大きな再生信号振幅が得られず、安定な再生が出来ないと言う問題があった。
そのため、再生専用/追記型/書換え型のいずれの情報記憶媒体に対してもフォーマットの互換性を確保しつつ追記型情報記憶媒体のリードインエリアからの安定な再生信号を保証するためにシステムリードインエリアを設け、ここでのトラックピッチと最短ピットピッチをデータリードインエリアおよび データ領域でのトラックピッチと最短ピットピッチ(最短マークピッチ)よりも大幅に大きくしたところに本実施の形態の特徴がある。
現行DVDではレベルスライス法を用いて再生信号検出(アナログ再生信号に対する2値化処理)を行っている。現行DVDでも微細な凹凸形状を持ったピットの最短ピットピッチもしくは記録膜の光学的特性変化により形成される記録マークの最短マークピッチが再生用光学ヘッド(図131)に使われる対物レンズのOTF(Optical Transfer Function)特性における遮断(カットオフ)周波数に近いため、最短ピットピッチ/最短マークピッチからの再生信号振幅は大幅に減少している。更に、最短ピットピッチ/最短マークピッチを詰めればレベルスライス法での再生信号検出は不可能となる。また、上述した理由から現行の追記型情報記憶媒体(現行DVD−R)では最短ピットピッチが詰まっているので、リードインエリアからの安定した再生信号が得れない問題がある。本実施の形態ではこの相反する問題点を解決するため、
〔α〕リードインエリア内をシステムリードインエリアとデータリードインエリアに分離し、両者のトラックピッチと最短ピットピッチを変化させる。
〔β〕システムリードインエリアではトラックピッチと最短ピットピッチを大幅に広げて最疎ピットピッチからの再生信号振幅に対する最短ピットピッチからの再生信号振幅の低下量を少なくする。それにより最短ピットからの信号再生を容易にしてピット深さの浅い追記型情報記憶媒体におけるシステムリードインエリアからの信号再生を可能にする。
〔γ〕情報記憶媒体自体の記憶容量増加を目指してデータリードインエリア、データエリア、データリードアウトエリアの記録密度を上げるため最短ピットピッチ/最短マークピッチを狭くし、再生信号検出(アナログ信号からの2値化)が難しい現行のレベルスライス法に変えてPRML(Partial Response Maximum Likelihood)法を採用する。
〔δ〕最短ピットピッチ/最短マークピッチを詰めて記録密度を向上させるのに適した変調方式を採用する。
すなわち、変調後の“0”が連続する最小数(変調後の(d,k)制約におけるdの値)を現行DVDではd=2に対してd=1の変調規則を採用するという4つの工夫の組み合わせを行っている。
本実施の形態におけるPRML(Partial Response and Maximum Likelihood (PRML))法を説明する。
これは、HF信号からバイナリ信号を検出する処理である。典型的には、イコライザとビタビ復号器からなる。イコライザはHF信号のインターシンボル干渉を制御し、HF信号をパーシャルレスポンスチャンネルにフィットさせる。パーシャルレスポンスチャンネルはインパルス応答が多数のサンプル点を示し、それは線形で時間不変であることを意味する。例えば、PR(1,2,2,2,1)チャンネルの伝達関数H(z)は
H(z)=z−1+2z−2+2z−3+2z−4+z−5
ビタビ復号器はHF信号の周知の相関を用いてバイナリデータを検出する。
〔本実施の形態の個々ポイントとその個々ポイント毎の独自効果説明〕
ポイント(R)
システムリードインエリアでのトラックピッチと最小ピットピッチを粗くする(図68)。
[効果]
再生専用、追記型、書換え型のいずれの情報記憶媒体にもシステムリードインエリアを持たせることで異なる種類の情報記憶媒体間のデータ構造互換性を持たせ、各種媒体の互換機能を持った情報再生装置または情報記録再生装置の制御回路と制御プログラムの簡素化を図ることで情報再生装置または情報記録再生装置の低価格化と性能安定化(信頼性向上)を実現できる。
○システムリードインエリアではレベルスライス法により信号再生(2値化)処理を行う(図138)。
○媒体の識別情報がエンボス領域のシステムリードインエリア内に記録される(図94)。
図94に示したコントロールデータゾーン内の規格書タイプ(Book type)とパートバージョン(Part version)の規格書タイプで、本実施の形態における再生専用情報記憶媒体では“0100b”(再生専用ディスクのためのHD−DVD規格)、書換え型情報記憶媒体では“0101b”(書換え可能型ディスクのためのHD−DVD規格)を設定する。
更に、図94に示したコントロールデータゾーン内のディスク構造(disc structure)の中に記録されるレイヤタイプ(Layer type)に媒体の再生専用(b2=0,b1=0,b0=1)か、追記型(b2=0,b1=1,b0=1)か、書換え型(b2=1,b1=0,b0=1)かの識別情報と、媒体が再生専用の場合の記録形式(図40(a)に示した第1の例の場合にはb3=0,b2=0,b1=0,b0=1となり、図40(b)に示した第2の例の場合にはb3=1,b2=0,b1=0,b0=1となる。)が記載される。
[効果]
媒体の識別情報は再生専用/追記型/書換え型のいずれの情報記憶媒体にも共通に必要な情報であり、いずれの種類の情報記憶媒体にも共通に存在するシステムリードインエリア内に記録することで各種類の情報記憶媒体間の互換性を確保し、互換を保証する情報再生装置(あるいは情報記録再生装置)の制御回路、制御ソフトの共通化・簡素化が図れる。
○既存のDVDディスクか本実施の形態の高密度対応ディスクかの識別情報及びそれに伴う線密度とトラックピッチ情報をシステムリードインエリアに記録すると共に、システムリードインエリアでの線密度とトラックピッチを現行DVDのリードインエリアとの違いが3割以下に設定する(図94、図90)
図90に記載された本実施の形態の再生専用情報記憶媒体の寸法と現行DVD−ROMの比較を図86に示す。図138に示すレベルスライス回路を用いた場合に、トラックピッチ、最ピット長の変化が±3割以下の範囲なら安定に再生可能であることを実験により確かめて有り、図86に示すようにシステムリードインエリアにおける寸法が現行DVD−ROMの規格値に対する±3割内の範囲として示した許容上限値と許容下限値が本実施の形態範囲に含まれる。すなわち、本実施の形態におけるシステムリードインエリア内の各寸法の許容範囲は単層ディスクでのトラックピッチは0.52〜0.96μm、最短ピット長0.28〜0.52μmとなり、2層ディスクではトラックピッチは0.52〜0.96μm、最短ピット長0.31〜0.57μmになる。
また、システムリードインエリアの許容範囲は再生専用情報記憶媒体に限らず、追記型情報記憶媒体及び書換え型情報記憶媒体に対しても同じ値が適用される。
[効果]
図89に示すように本実施の形態の情報記憶媒体は再生専用/追記型/書換え型に依らず機械的な寸法は従来の現行DVDディスクと一致している。従って、ユーザが間違えて
a)本実施の形態情報記憶媒体を既存のDVDプレーヤーやDVDレコーダに装着したり、
b)従来の現行DVDディスクを本実施の形態の情報再生装置または情報記録再生装置に装着する危険性がある。
その場合にシステムリードインエリアのエンボスピットのトラックピッチと最短エンボスピット長を従来の現行DVDディスクのリードインエリアのエンボスピット寸法に近い値に設定することで上記(a)や(b)の現象が生じた場合でも装置内で新旧媒体の識別を可能とし、その媒体種別に応じた安定な対応を可能とする。
現行の再生専用のDVD−ROMディスクや書換え型のDVD−RAMディスクでは内周部のリードインエリアにエンボス形状のピットが形成されているが、現状の情報再生装置または現状の情報記録再生装置ではレベルスライス法を使ってリードインエリアのエンボスピットからの信号検出を行っている。本実施の形態の情報再生装置または情報記録再生装置ではシステムリードインエリアに対して図138に示したレベルスライス回路を採用している。本実施の形態によれば、現行の再生専用のDVD−ROMディスクや書換え型のDVD−RAMディスク内周部のリードインエリアに存在するエンボスピットに対しても図138に示した同じ検出回路を使うことが出来、情報再生装置または情報記録再生装置の簡素化が可能となり低価格化を実現できる。実験によるとトラックピッチ、最短ピット長が±30%変化しても図138の回路で安定にスライスレベルを検出出来ることを確認している。本実施の形態情報記憶媒体のデータ領域での再生が不可能な既存の情報再生装置においてもわずかな改良を加えるだけで内蔵されたレベルスライス回路を兼用させて本実施の形態の情報記憶媒体におけるシステムリードインエリアの情報再生が可能となり、上記(a)の誤操作をユーザが行ったとしても,システムリード領域の情報を再生し、媒体の識別を行いユーザに通知することが可能となる。
〔本実施の形態の個々ポイントとその個々ポイント毎の独自効果説明〕
ポイント(S)
データリードインエリア、データエリア、データリードアウトエリアではPRML法による信号再生処理を行う(図140)。
[効果]
情報記憶媒体の大容量化を目指して記録ピットまたは記録マークの高密度化を行うと、上述したように対物レンズのOTF特性の関係から最密ピットピッチまたは最密記録マークピッチのところでほとんど再生信号振幅が得られず、従来のレベルスライス法では安定に信号再生処理が行えない。本実施の形態において信号再生処理にPRML法を用いることで記録ピットまたは記録マークの高密度化を図り、情報記憶媒体の大容量化を実現できる。
○再生専用情報記憶媒体においてデータリードインエリア内にリファレンスコードゾーンを配置する(図87)。
[効果]
図87に示すようにデータリードインエリア内にリファレンスコードゾーンが配置されている。
リファレンスコードは図140に示す再生回路内(特にプリイコライザ内の各タップ係数値の設定やAGC内)での自動回路調整に使用する。すなわち、データ領域内に記録された情報を安定に再生/信号検出するために先に上記リファレンスコードを再生しながら自動回路調整を行う。従って、このリファレンスコードをデータリードインエリア内に配置することでリファレンスコードでのトラックピッチと最短ピット長をデータ領域内の値に合わせ、再生回路の自動調整精度を向上させることが可能となる。
○記録型情報記憶媒体においてデータリードインエリアとシステムリードインエリアとの間にコネクションゾーン(コネクションエリア)を配置する(図102、図108)。
[効果]
本実施の形態における記録型情報記憶媒体には図102及び図108に示すようにエンボスピットで記録されたシステムリードインエリアと追記または書換え可能な記録マークで記録されたデータリードインエリアとの間にコネクションゾーンを配置し、システムリードインエリアとデータリードインエリアとの間で距離を置いて配置されるような構成になっている。本実施の形態における記録型情報記憶媒体では片面のみからの記録・再生が可能な2記録層を有している。一方の記録層から再生している時に他方の記録層で反射する光が光検出器の中に入り込み、再生信号特性を劣化させる層間クロストークと言う現象がある。特に他方の記録層で反射する光がシステムリードインエリアに照射されているかデータリードインエリアに照射されているかで反射量が大きく異なる。従って、2記録層間の相対的な偏心量の違いにより再生対象としている記録層に沿って1周トレースしている間に他方の記録層で反射する光がシステムリードインエリアとデータリードインエリアに交互に出入りすると、層間クロストークの影響が大きくなる。その問題点を回避するため、本実施の形態ではエンボスピットで記録されたシステムリードインエリアと追記または書換え可能な記録マークで記録されたデータリードインエリアとの間にコネクションゾーンを配置し、システムリードインエリアとデータリードインエリアとの距離を離し、層間クロストークの影響を軽減して安定な再生信号が得られるような配置にしている。
〔本実施の形態の個々ポイントとその個々ポイント毎の独自効果説明〕
ポイント(T)
変調後の“0”の最小連続繰り返し回数を1(d=1)の変調方式を採用する(図112〜図130)。
[効果]
d=1の変調規則を採用することで最密ピットピッチまたは最密記録マークピッチを詰めて記録ピットまたは記録マークの高密度化を実現し、情報記憶媒体の大容量化が達成できる。
また、d=1の変調規則を採用すると、d=2である従来のDVD変調方式に比べてウィンドマージン(ΔTの幅)が広がり、PRML検出時の信号検出安定性・信頼性が向上する。
ポイント(ハ)
パラレルトラックパス(PTP)モードにおける単層(シングルレイヤー:SL)ディスク、2層(デュアルレイヤー:DL)ディスクでは、モード毎に1つの情報エリアがある。オポジットトラックパス(OTP)モードにおける2層ディスクでは、2層に渡って1つの情報エリアがある。OTPモードにおける2層ディスクでは、情報エリアは読み出しビームをレイヤー0からレイヤー1へ移動するために各レイヤーにおいてミドルエリアを有する。OTPモードにおける2層ディスクのレイヤー1では、情報エリアはコネクションエリアに隣接するシステムリードアウトエリアを有する。データエリアはメインデータを記録するためである。システムリードインエリアはコントロールデータとリファレンスコードを含む。データリードアウトエリアは連続してスムーズな読出しを可能とする。レイヤーはディスクの1つの読み出し面に対向して定義される。単層ディスクは読み出し面毎に1トラックを有するが、1つの読み出し面に2層ディスクは記録面に近いレイヤー0のトラックとともに、記録面から遠いレイヤー1のトラックを有する。単層ディスクと2層ディスクのレイヤー0は内側から外側に読み出す。PTPモードの2層ディスクのレイヤー1は内側から外側に読み出すが、OTPモードの2層ディスクのレイヤー1は外側から内側に読み出す。ディスクは読み出し面から見て反時計方向に回転する。単層ディスクと、2層ディスクのレイヤー0では、トラックは内径から外径にかけての螺旋である。PTPモードの2層ディスクのレイヤー1では、トラックは内径から外径にかけての螺旋であるが、OTPモードの2層ディスクのレイヤー1では、トラックは外径から内径にかけての螺旋である。トラック上のデータセグメントはギャップを含まず、ミドルエリアの開始からリードアウト領域の終了までとともに、システムリードインエリアにおいて、データリードインエリアの開始からデータリードアウト領域の終了まで、あるいはデータリードインエリアの開始からミドルエリアの終了まで、あるいはシステムリードインエリアにおいて、あるいは連続的に配置される。
〔10−2〕再生専用情報記憶媒体におけるデータ配置構造に関する説明(ポイント(R)、(S))。
図87に再生専用情報記憶媒体におけるリードインエリアのデータ構造を示す。リードインエリア内はコネクションエリアを挟んでシステムリードインエリアとデータリードインエリアに分割されている。また、システムリードインエリア内はイニシャルゾーンとコントロールデータゾーンが存在し、それぞれの間にバッファゾーンが配置された構造になっている。図87に示す物理セクタとは図40に示すセクタと同じものを示し、各セクタ毎のセクタ番号は図26内のデータID内に記録され、図27に示すデータフレーム番号の値と一致する。各領域の開始位置でのセクタ番号を図87の右の列に明記した。
なお、図87に示したシステムリードインエリア内のイニシャルゾーン/バッファゾーン/コントロールデータゾーン/バッファゾーンのデータ配置内容及びデータ配置順は再生専用、追記型、書換え型のいずれの情報記憶媒体においても共通な構造となっている。
図87に示したシステムリードインエリア内に於いて、イニシャルゾーンはエンボスデータエリアを含む。イニシャルゾーン内の記録データエリアとして記録されたデータフレームのメインデータは“00h”に設定される。バッファゾーンは32個のECCブロック(1024セクタ)を含む。このゾーンに物理セクタとして記録されたデータフレームのメインデータは“00h”に設定される。コントロールデータゾーンはエンボスデータ領域を含む。データ領域はエンボスコントロールデータを含む。コネクション領域はシステムリードインエリアとデータリードインエリアとを接続するものである。システムリードインエリアの終了であるセクタ“02 6AFFh”のセンタラインと、データリードインエリアの開始であるセクタ“02 6C00h”のセンタラインとの距離は1.4μmから20.0μm(一例)である。コネクションエリアは物理セクタ数が割り振られていないので、物理セクタ数を含まない。リファレンスコードゾーンを除いたデータリードインエリアの全ビットはリザーブとされる。リファレンスコードゾーンはエンボスデータセグメントを含む。データエリアはエンボスリファレンスコードを含む。リファレンスコードはセクタ番号1965576(“02 FFE0h”)から始まる1つのECCブロック(32セクタ)からなる。メインデータの各セクタ(2048バイト)はメインデータの分布に従って、次のように定義される。
データシンボル“164”が繰り返されているメインデータD0〜D2047の2048バイトのセクタが生成される。
32セクタのためのリファレンスコードがセクタのメインデータにスクランブルデータを加算することにより次のように生成される。
セクタ0〜15
初期プリセット値“0Eh”のスクランブルデータをセクタメインデータに加算する。しかしながら、セクタ0のD0〜D331の部分に対しては、スクランブルデータをマスクし、加算をしない。
セクタ16〜31
初期プリセット値“0Eh”のスクランブルデータをセクタメインデータに加算する。
リファレンスコードの目的はディスク上に特定ピットパターンの1ECCブロック長(32セクタ)を形成するためである。従って、変調前の記録フレームのデータは、ID、EDC、PI、PO以外はデータシンボル“164”(=0A4h)で充填される。
次に、リファレンスコードの32セクタからメインデータをどのように生成するかを説明する。スクランブルを2回実行することは、スクランブルしないことと同じであるので、スクランブル後の特定データパターンを発生する処理は簡単である。データフレームのメインデータバイトは、スクランブル値既に加算された(プレスクランブルされた)データバイトの特定パターンで充填される。これらのプレスクランブルされたバイトが通常に処理されると、記録データ領域は特定パターンを表す全てのバイトを含む。
ECCブロックの第1セクタのD0〜D159は、プレスクランブルマスクがされない限り、変直前に現れる大きいDSVを伴う連続するデータを含むブロック内の幾つかのPO行の制御不能なDSVを防止するためにプレスクランブルされない。
2層構造を有する再生専用情報記憶媒体におけるデータ構造とセクタ番号付与方法を図88に示す。
各データセグメントは32個の物理セクタを含む。単層ディスク、あるいはPTPモードの2層ディスクの両レイヤーの物理セクタ番号はシステムリードインエリア内で連続して増加し、各レイヤー内のデータリードインエリアの開始からリードアウトエリアの終了まで連続して増加する。OTPモードの2層ディスク上では、レイヤー0の物理セクタ番号はシステムリードインエリアで連続して増加し、各レイヤー内のデータリードインエリアの開始からミドルエリアの終了まで連続して増加する。しかしながら、レイヤー1の物理セクタ番号はレイヤー0の物理セクタ番号のビット反転した値を有し、ミドルエリア(外側)の開始からデータリードアウトエリア(内側)の終了まで連続して増加し、システムリードアウトエリアの外側からシステムリードアウトエリアの内側まで連続して増加する。レイヤー1のデータエリアの第1物理セクタ番号はレイヤー0のデータエリアの最終物理セクタ番号のビット反転した値を有する。ビット反転した数字はビット値が0になり、その逆も成り立つように計算されている。
パレレルトラックパスの2層ディスク上では、同一セクタ番号の各レイヤー上の物理セクタはディスクの中心から略同じ距離にある。オポジットトラックパスの2層ディスク上では、互いにビット反転されているセクタ番号の各レイヤー上の物理セクタはディスクの中心から略同じ距離にある。
システムリードインエリアの物理セクタ番号はシステムリードインエリアの終了に位置しているセクタのセクタ番号が158463“02 6AFFh”となるように計算される。
システムリードインエリア以外の物理セクタ番号はデータリードインエリアの後のデータエリアの開始に位置しているセクタのセクタ番号が196608“03 0000h”となるように計算される(図88参照)。
再生専用の2層(オポジットトラックパス)のみにシステムリードインエリアを持つと言う特徴がある。
ミドルエリアに物理セクタとして記録されたデータフレームの全メインデータは“00h”とされる。
データリードアウトエリアに物理セクタとして記録されたデータフレームの全メインデータは“00h”とされる。
システムリードアウトエリアに物理セクタとして記録されたデータフレームの全メインデータは“00h”とされる。
上記の“00h”とは変調前のデータ情報を示している。従って、後述する変調規則に従って、変調を行った後のチャネルビットパターンが情報記憶媒体に記録される。そのため、データリードアウトエリアやシステムリードアウトエリアにおいても至るところにピット列が配置される。
図89に本実施の形態の再生専用情報記憶媒体における各エリアの寸法関係を示す。
図90に本実施の形態の再生専用情報記憶媒体における各エリアの記録データ密度の比較表を掲載する。
トラックピッチ、最小マーク長(最小ピットピッチ)、最大マーク長(最大ピットピッチ)、チャネルビット長のいずれにおいてもシステムリードインエリアがデータリードインエリア、データエリア、データリードアウトエリアに比べて全て2倍の値になっているところに特徴がある。
〔10−3〕再生専用情報記憶媒体におけるデータリードインエリア内に記録される情報内容。
本実施の形態では、情報記録再生媒体として再生専用情報記録再生媒体(ROMメディア)、追記型(ライトワンスタイプ)情報記録再生媒体(Rメディア)、書換え型情報記録再生媒体(RAMメディア)のデータ構造共通性によって、異なる記録媒体に対してもシステムプラットホームが共通化を可能とし、最終商品の製造を容易化、さらには製品の信頼性を向上できるというメリットを生み出す。
このような共通化によってメリットはあるが、性質の異なる情報記録再生媒体では、不要な機能は発生し、それらは対応記録再生媒体の性質から、効果的な利用方法が提案可能となる。
その例として、リードインエリアのデータ構造からくる領域の利用方法を、情報記録再生媒体の性質から新たに効果的な利用方法として提案するものである。
RメディアやRAMメディアなどの記録系メディアにおけるリードインエリアは、エンボスピットで構成された再生専用のシステムリードインエリアと、ディスクやドライブテスト及びディフェクトマネージメントなどに利用するデータ記録再生を行うデータリードインエリアがある。しかし、再生専用ROMメディアは、記録系のデータリードインエリアの機能は不要であった。
図87は、再生専用ROMメディアのリードインエリアの構造図の一例である。図65でシステムリードインエリアの領域は、Rメディアではグルーブ記録方式を採る場合、サーボ信号検出と記録信号読出し時のRF信号特性の関係から、グルーブ深さを浅くする必要があり、エンボスピットによる信号読取り特性は厳しくなる。そこで、各メディアの共通性を取ろうとすると、Rメディアに合わせて記録密度を下げて構成することが必要になる。
その為、データエリアと同じ記録形態は、データリードインエリアの信号で対応する。このことから、ROMメディアでは、データエリアの基準信号となるリファレンスコードはデータリードインエリアに配置する。但し、エリアの範囲から膨大な容量が利用でき、ROMメディア特有の機能を割り付けることが可能である。
ROMメディアは、大量生産が可能であり、情報の配布方法としては優れている。それら情報のデータ構造や映像音声などの圧縮方式等における符号化方式では、物理系の規格化時とは異なる方式が提案利用される可能性がある。即ち、情報記録媒体のデータ構造等の物理規格では、データ格納場所として定義しておき、その利用形態にフレキシビリティーを持たせることが望まれる。一方で標準化による生産性容易化から多くのユーザに利用されることが望まれる。そこで、コンテンツ等の最終信号再生処理用デコード方式を、符号化されたコンテンツと共に記録しておき、デコーダシステムでは、デコードプログラムを読出し、そこで示されたデコーダ方法で符号化コンテンツをデコードして利用する方法が考えられる。このデコード用プログラムの格納エリアを、データリードインエリアに適用したのが、図91に図示した提案方式である。
図92は、データリードインエリアの他の利用方法の新提案を示した図である。次世代ROMメディアでは、高画質なHDビデオ対応が中心となる。そこでは、著作権保護システムにおいて違法行為がより困難なシステム提供が必要になる。それらの中で、現行DVDにおけるリージョンシステムでは、本来のリージョン制御の目的に合ったシステム提供が必要である。即ち、コンテンツ提供を行うプロバイダの意思によって、コンテンツ提供時期の制御が可能であれば良く、従来のように地域ごとに別のリージョンコードを変更したメディアを製造して、発売時期をコントロールすることなく、時期がくればリージョン制限されているメディアも再生が可能なシステムが理想である。その対応方法の一例として、データリードインエリアの利用がある。
図92のシステムについて説明する。
暗号化されたコンテンツの再生処理においては、先ず暗号化鍵を抽出し、暗号化コンテンツを復号し、AVデコーダボードなどで最終的な映像・音声・文字信号を再生することになる。このような再生処理を行う点には、先ずシステムリードインエリアのコントロールデータからメディアキーブロックMKBとアルバムID等を読出し、メディアキーブロック処理部2010にてデバイスキー2011を使ってメディア固有鍵を抽出する。このメディア固有鍵にてデータエリア内の暗号化コンテンツをコンテンツ復号部2012で復号化しコンテンツデータを再生する。こんコンテンツデータをAVデコーダボードであるコンテンツデコーダ2013に送って、映像・音声等のベースバンド信号を再生し、ディスプレイ部に送り出す。
このとき、リージョン制限されているメディアであるが、期限的にはフリーにしても良い時期に来ている場合は、メディアに付けられたメディアIDもしくはそれに順ずる識別コードにドライブ内の時計(日時)情報を連結器2015で連結して、メディア固有鍵で暗号化器2016で暗号化し、インターネットで、外部に組織化された管理団体に転送する。管理団体からは、時限的なデバイス鍵の基となる暗号化された情報が送られてくるので、復号器2017によってメディア固有鍵を用いて復号し、時計データを連結器2018で連結して時限デバイス鍵を生成し、データリードインエリア内にリザーブされた領域を使ってメディアキーブロック2を読出して時限デバイス鍵で、暗号化コンテンツを復号できるメディア固有鍵Dを検出する。この結果、リージョン制御された暗号化コンテンツは復号可能になる。管理団体では、メディアID情報等から暗号コンテンツの復号許可が出来ない場合、例えば、時期が早すぎる場合等はその旨の情報を送り返し、許可可能時期までメディア再生は待機していただく。本来ならば、ドライブ内に設置された時計を不正利用しないことが確認されれば、このようなシステムは不要であるが、一般に設置された時計は時刻変更が容易(時間設定システムを入れる必要があるから)であるため、ドライブ内で閉じた時限制御が困難なことから、上記のようなシステムが必要になる。
時計では、電波時計のようなシステム内蔵であれば、その必要は無い為、図70におけるインターネットでの時限制御情報を外部から得る必要は無く、メディア固有鍵と時計情報で時限デバイス鍵を生成、メディアキーブロック2によって、メディア固有鍵Dを抽出する方法でも良い。
〔10−4〕コントロールデータゾーン内の情報
図87に示したコントロールデータゾーン内のデータ配置を図93に示す。図93に示す構造は再生専用、追記型、書換え型いずれの情報記憶媒体に対しても共通な構造を有している。また、再生専用情報記憶媒体における図93に示した物理フォーマット情報の中の情報内容を図94に示す。本実施の形態の情報記憶媒体における物理フォーマット情報内の情報は再生専用、追記型、書換え型いずれにおいても図94内の0バイト目(規格書タイプとパートバージョン)から16バイト目(BCA記述子)までは共通な情報を持っている。ディスク製造情報に書かれたテキストあるいはコードデータは交換時に無視される。
図94において、BP0〜BP31はDVDファミリに使用される共通データを含み、BP32〜BP2047は各ブロック独自の情報に使われる。
各バイト位置の機能の説明は以下の通りである。
(BP 0)規格書タイプとパートバージョン(図95参照)
規格書タイプ:
0100b…再生専用ディスクに対するHD−DVD規格
これらのビットはDVDフォーラムによって発行されたDVD規格書を定義するために割当てられる。次のルールに従って、割当てられる。
0000b…再生専用ディスクに対するDVD規格
0001b…書換え可能ディスク(DVD―RAM)に対するDVD規格
0010b…追記可能ディスク(DVD―R)に対するDVD規格
0011b…再記録可能ディスク(DVD―RW)に対するDVD規格
0100b…再生専用ディスクに対するHD−DVD規格
0101b…書換え可能ディスクに対するHD−DVD規格
その他 …リザーブ
パートバージョン:
0000b…バージョン0.9(バージョン0.9はテスト使用のみで、一般製品には適用無し)
0001b…バージョン1.0
0100b…バージョン1.9(バージョン1.9はテスト使用のみで、一般製品には適用無し)
0101b…バージョン2.0
その他 …リザーブ
(BP 1)ディスクサイズとディスクの最大転送速度(図96参照)
ディスクサイズ:
0000b…12cmディスク
これらのビットは以下のルールに従って、割当てられる。
0000b…12cmディスク
0001b…8cmディスク
その他 …リザーブ
ディスクの最大転送速度:
0100b…後日決定(TBD(to be determined later) Mbps)
これらのビットは以下のルールに従って、割当てられる。
0000b…2.25Mbps
0001b…5.04Mbps
0010b…10.08Mbps
0100b…後日決定(TBD(to be determined later) Mbps)
1111b…指定されていない
その他 …リザーブ
(BP 2)ディスク構造(図97参照)
レイヤー数:
00b…シングル
01b…2層
その他…リザーブ
トラックパス:
0b…PTPあるいはSL
1b…OTP
レイヤータイプ:
0100b…各ビットは以下のルールに従って、割当てられる。
b3:0b…エンボスユーザデータが図40(a)の形式で記録される
1b…エンボスユーザデータが図40(b)の形式で記録される
b2:0b…ディスクは書換え可能なユーザデータエリアを含まない
1b…ディスクは書換え可能なユーザデータエリアを含む
b1:0b…ディスクは記録可能なユーザデータエリアを含まない
1b…ディスクは記録可能なユーザデータエリアを含む
b0:0b…ディスクはエンボスユーザデータエリアを含まない
1b…ディスクはエンボスユーザデータエリアを含む
(BP 3)記録密度(図98参照)
リニア密度(Linear density)(データエリア)
0101b…0.153μm/bit
これらのビットは次のルールに従って、割当てられる。
0000b…0.267μm/bit
0001b…0.293μm/bit
0010b…0.409〜0.435μm/bit
0100b…0.280〜0.291μm/bit
0101b…0.153μm/bit
0100b…0.130〜0.140μm/bit
その他 …予約
トラック密度(Track density)(データエリア)
0011b…0.40μm/track(SLディスク)
0100b…0.44μm/track(DLディスク)
これらのビットは次のルールに従って、割当てられる。
0000b…0.74μm/track
0001b…0.80μm/track(記録可能ディスク)
0010b…0.615μm/track
0011b…0.40μm/track(SLディスク)
0100b…0.44μm/track(DLディスク)
0101b…0.34μm/track
その他 …予約
(BP 4〜BP 15) データエリアアロケーション
図99は再生専用/追記型/書換え型情報記憶媒体におけるデータエリアアロケーション情報内容の説明図である。
(BP 16) BCA記述子(図100参照)
このバイトはディスク上にバーストカッティングエリア(BCA)があるか否かを示す。ビットb6〜b0は“000 0000b”に設定され、ビットb7はBCAがあるか否かを示す。
これらのビットは次のルールに従って、割当てられる。
BCAフラグ:
1b…BCAが存在する
(BP 17〜BP 31) リザーブ
全バイトは“00h”とされる。
(BP 32〜BP 2047) リザーブ
全バイトは“00h”とされる。
〔10−5〕書換え型情報記憶媒体におけるデータ配置構造説明(ポイント(R)、(S))
本実施の形態の書換え型情報記憶媒体における各領域の記録データ密度説明図を図101に示す。図101と図90の比較から分かるようにシステムリードインエリアにおける各種寸法は再生専用と書換え型で全て一致している。また、図示して無いが、本実施の形態においては追記型情報記憶媒体のシステムリードインエリアにおける各種寸法も図90または図101に示した値と一致している。
図102に本実施の形態の書換え型情報記憶媒体におけるリードインエリアのデータ構造を示す。図102におけるシステムリードインエリアではエンボス状のピットが形成されており、データリードインエリアでは書換え可能な記録マークで形成される。
図102において、イニシャルゾーンはエンボスデータエリアを含む。記録データエリアとしてイニシャルゾーンに記録されたデータフレームのメインデータは“00h”とされる。バッファゾーンは32個のECCブロック(1024セクタ)を含む。物理セクタとしてイニシャルゾーンに記録されたデータフレームのメインデータは“00h”とされる。コントロールデータゾーンはエンボスデータエリアを含む。データエリアはエンボスコントロールデータを含む。
コネクションエリアはシステムリードインエリアとデータリードインエリアとを接続するものである。システムリードインエリアの最後のセクタ“02 6BFFh”のセンタラインとデータリードインエリアの最初のセクタ“02 6C00h”のセンタラインとの距離は、図103に示すように、1.4μm〜20.0μm(一例)である。
コネクションエリアは物理セクタ番号あるいは物理アドレスが割当てられていないので、物理セクタ番号あるいは物理アドレスを含まない。
ガードトラックゾーンのデータセグメントはデータを含まない。
ディスクテストゾーンはディスク製造者による品質テストのためである。
ドライブテストゾーンはドライブによるテストのためである。
情報記録再生装置はこの領域に試し書きを行い、記録条件の最適化を図る。
データリードインエリア内のディスクIDゾーンはドライブ情報とリザーブエリアを含む。
ドライブ情報はランドトラックとグルーブトラック内の各ECCブロックからなり、ランドトラック内では“02 CD00h”から始まり、グルーブトラック内では“82 CD00h”から始まる。
各ドライブ情報ブロック内の1ブロックの内容は同じである。リードインエリア内のディスクIDゾーンの構造を図104に示す。
ドライブ情報は物理セクタ番号の昇順に読み出し、書き込みされる。
ドライブ情報の使用は任意である。この情報が使用される場合は、このフィールドの使用は次の条件を満たさなければならない。
ドライブ情報ブロックの構造を図105に示す。
ドライブ情報ブロックを更新する時は、次の処理が行われる。
(1)ドライブ情報が読み出せる場合
ドライブ情報1、ドライブ情報2の相対セクタ番号0に新ドライブ記述0が書込まれ、ドライブ情報1の相対セクタ番号0〜14に以前に書込まれていた内容はドライブ情報1、ドライブ情報2の相対セクタ番号1〜15に書込まれる。
(2)ドライブ情報1が読み出せず、ドライブ情報2が読み出せる場合
ドライブ情報1、ドライブ情報2の相対セクタ番号0に新ドライブ記述0が書込まれ、ドライブ情報2の相対セクタ番号0〜14に以前に書込まれていた内容はドライブ情報1、ドライブ情報2の相対セクタ番号1〜15に書込まれる。
(3)ドライブ情報1、ドライブ情報2が読み出せない場合
ドライブ情報1、ドライブ情報2の相対セクタ番号0に新ドライブ記述0が書込まれ、ドライブ情報1、ドライブ情報2の相対セクタ番号0〜14は“00h”が充填される。
ドライブ記述の内容を図106に示す。
(BP 0〜BP 47)ドライブ製造者名
このフィールドはドライブ製造者名に相当する48バイトのASCIIコードで充填される。
このフィールドに利用可能なASCIIコードは“0Dh”に限定され、“20h”から“7Eh”のコードに限定される。
ドライブ製造者名の最初の1文字はこのフィールドの最初のバイトに指定される。
ドライブ製造者名はもしもこのフィールドがフルでなければ、“0Dh”で終わらなければならない。このフィールドの“0Dh”以降のバイトは“20h”で充填される。
例:ドライブ製造者名=“Manufacture”
BP 0=4Dh=“M”
BP 1=61h=“a”
BP 2=6Eh=“n”
BP 3=75h=“u”
BP 4=66h=“f”
BP 5=61h=“a”
BP 6=63h=“c”
BP 7=74h=“t”
BP 8=75h=“u”
BP 9=72h=“r”
BP 10=65h=“e”
BP 11=0Dh=キャリッジリターンコード
BP 12〜 BP 47=20h=スペースコード
(BP 48〜BP 95) 付加情報
製造者シリアル番号、日付、場所等がこのフィールドに書込まれる。
このフィールドはドライブ製造者名付加情報に相当する48バイトのASCIIコードで充填される。
このフィールドに利用可能なASCIIコードは“0Dh”に限定され、“20h”から“7Eh”のコードに限定される。
ドライブ製造者名付加情報はもしもこのフィールドがフルでなければ、“0Dh”で終わらなければならない。このフィールドの“0Dh”以降のバイトは“20h”で充填される。
例:付加情報=“SN11A”
BP 48=4Ch=“S”
BP 49=6Fh=“N”
BP 50=74h=“1”
BP 51=31h=“1”
BP 52=41h=“A”
BP 53=0Dh=キャリッジリターンコード
BP 54〜BP 95=20h=スペースコード
(BP 96〜BP 2047)ドライブ状態
BP 0〜BP 47に定義されたドライブ製造者のみがこのフィールドにデータを書込むことができる。ドライブ製造者はどのようなデータもこのフィールドに書込むことができる。
図107に本実施の形態の書換え型情報記憶媒体におけるリードアウトエリア内のデータ構造を示す。
ランドとグルーブに適応した物理セクタ番号の設定方法が従来の書換え型情報記憶媒体と異なる。この特徴は図102、図104にも共通に当てはまる。本実施の形態ではランド領域とグルーブ領域でそれぞれ異なる物理セクタ番号を設定するため、それに最適なアドレス割付をすることで情報記録再生装置または情報再生装置における記録処理または再生処理の簡素化と安定化を実現している。
本実施の形態の書換え型情報記憶媒体におけるデータレイアウトを図108に示す。本実施の形態では データエリア内が18個のゾーンに分割され、データリードインエリア内も含めて物理セクタ番号の設定順がディスク全面に渡りランド部で連続番号を付けた後、グルーブ部でディスク全面に渡る連続番号が付く構造になっている。物理セクタ番号ではランド部からグルーブ部への移り目で番号の飛びがある。
本実施の形態の書換え型情報記憶媒体におけるデータエリア内でのアドレス番号設定方法を図109に示す。
論理セクタ番号(LSN:Logical Sector Number)もランド部側からアドレスが付与され、ランド部からグルーブ部への移り目で番号の継続性を持っているところが図108に示す物理セクタ番号設定方法とは異なるところに特徴がある。
〔10−6〕追記型情報記憶媒体におけるデータ配置構造説明
図110に本実施の形態における追記型情報記憶媒体のリードインエリア内のデータ構造を示す。
図110に示すように本実施の形態の追記型情報記憶媒体ではエンボス状のピットが記録されているシステムリードインエリア内に各種媒体に共通なコントロールデータゾーンを持ち、追記型記録マークが記録されるデータリードインエリア内に試し書き用のディスクテストゾーンとドライブテストゾーン及び図139に示した再生回路調整用の基準信号が記録されたリファレンスコードゾーン及びディスクIDゾーン、R−物理フォーマット情報ゾーンが存在する。
〔11〕変調方式に関する説明(ポイント(T))
〔11−1〕変調方式の概説
本実施の形態において再生専用/追記型/書換え型のいずれの情報記憶媒体に対しても下記に説明する共通の変調方式を採用している。
データフィールドの8ビットのデータワードは8/12変調(ETM:Eight to Twelve Modulation)法によりディスク上のチャンネルビットに変換される。ETM法により変換されたチャンネルビット列はチャンネルビット1bが少なくとも1、最大では10チャンネルビット離れているというRLL(1,10)というランレングスの制約を満足する。
〔11−2〕変調方法詳細説明
変調は図115〜図120に示すコード変換テーブルを用いて行われる。変換テーブルは、各データワード“00h”〜“FFh”と各State0〜2毎に対応するコードワードの12チャネルビットと次のデータワードのStateを示す。
変調ブロックの構成を図111に示す。
X(t)=H{B(t),S(t)}
S(t+1)=G{B(t),S(t)}
Hはコードワード出力機能、Gは次のState出力機能である。
コード変換テーブル内の幾つかの12チャンネルビットは“0b”、“1b”とともにアスタリスクビット“*”とシャープビット“#”とを含む。
コード変換テーブル内のアスタリスクビット“*”はビットがマージングビットであることを示す。変換テーブル内の幾つかのコードワードはLSBにマージングビットを有する。マージングビットは自身に後続するチャンネルビットに応じてコードコネクタにより“0b”、“1b”の何れかに設定される。後続チャンネルビットが“0b”であれば、マージングビットは“1b”に設定される。後続チャンネルビットが“1b”であれば、マージングビットは“0b”に設定される。
変換テーブル内のシャープビット“#”はビットがDSV制御ビットであることを示す。DSV制御ビットはDSVコントローラによりDC成分抑圧制御を行うことにより決定される。
図112に示すコードワードのための連結ルールはコードテーブルから得られたコードワードを連結するために使用される。隣接する2つのコードワードがテーブル内の前コードワードと現コードワードとして示されるパターンと一致すると、これらのコードワードはテーブルに示される連結コードワードに置き換えられる。“?”ビットは“0b”、“1b”、“#”の何れかである。連結コードワード内の“?”ビットは置き換えることなく前コードワードと現コードワードとして割当てられる。
コードワードの連結は前連結ポイントで先ず適用される。テーブル内の連結ルールは各連結ポイントでインデックスの順番に適用される。いくつかのコードワードは前コードワードと後コードワードと接続するために2回置き換えられる。前コードワードのマージングビットは連結のためのパターンマッチングの前に決定される。前コードワード、あるいは現コードワードのDSV制御ビット“#”はコード接続の前後の特別ビットとして扱われる。DSV制御ビットは“0b”でも“1b”でもなく、“?”である。コードワードの連結ルールはコードワードをシンクコードに接続するためには使われない。コードワードとンクコードとの接続のためには図113に示す連結ルールが使われる。
(11−3)レコーディングフレーム変調
レコーディングフレーム(recording frame)の変調時には、シンクコードは91バイトのデータワードの各変調コードワードの先頭に挿入される。変調はシンクコードの後のState2から始まり、変調コードワードが各変換コードワードの先頭にMSBとして順次出力され、ディスクに記録される前にNRZI変換される。
〔11−4〕シンクコードの選別方法
シンクコードはDC成分抑圧制御を行うことにより決定される。
〔11−5〕DC成分抑圧制御(DCC:DC component suppression control)方法
DC成分抑圧制御(DCC)はNRZI変換変調チャンネルビットストリームにおける累積DSV(digital sum value:“1b”を+1とし、“0b”を−1として加算する)の絶対値を最小化する。DCCアルゴリズムはDSVの絶対値が最小化するように以下の(a)と(b)のケース毎にコードワードとシンクコードの選択を制御する。
(a)シンクコードの選択(図35参照)
(b)連結コードワードのDSV制御ビット“#”の選択
選択は連結コードワードとシンクコードとの各DSVビットの位置における累積DSVの値により決定される。
計算の基となるDSVは、変調の開始時には0の初期値と加算され、変調が終了するまで以下順次加算が続き、0にはリセットされない。DSV制御ビットの選択は、開始点はDVS制御ビットであり、次のDSV制御ビットの直前でDSVの絶対値を最小化するためのチャンネルビットストリームの選択を意味する。2つのチャンネルビットストリームのうちDSVの絶対値の小さい方が選択される。もしも、2つのチャンネルビットストリームのDSVの絶対値が同じ場合は、DSV制御ビット“#”は“0b”とされる。
論理的に可能性のあるシナリオの計算における最大のDSVを考慮すると、DVS計算の範囲は少なくとも±2047必要である。
〔11−6〕復調方法
復調器は12チャンネルビットのコードワードを8ビットのデータワードに変換する。コードワードは読み出しビットストリームから図114に示す分離規則を用いて再生される。隣接する2つのコードワードが分離規則のパターンと一致すると、これらのコードワードはテーブルに示される現コードワードと次コードワードに置き換えられる。“?”ビットは“0b”、“1b”、“#”の何れかである。現コードワードと次コードワードの“?”ビットは読み出しコードワードにおいては置き換わることなくそのまま割当てられる。
シンクコードとコードワードの境界は置き換えなく分離される。
コードワードからデータワードへの変換は、図121〜図130に示す復調用テーブルに従って、実行される。可能性のある全てのコードワードが復調用テーブルに記載されている。“z”は“00h”〜“FFh”までのいずれのデータワードでもよい。分離された現コードワードは次のコードワードの4チャンネルビット、あるいは次のシンクコードのパターンを観察することによりデコードされる。
ケース1:次のコードワードは“1b”で始まる、あるいは次のシンクコードはState0のSY0〜SY2である。
ケース2:次のコードワードは“0000b”で始まる、あるいは次のシンクコードはState0のSY3である。
ケース3:次のコードワードは“01b”、“001b”、“0001b”で始まる、あるいは次のシンクコードはState1、2のSY0〜SY3である。
本実施の形態における情報再生装置ないしは情報記録再生装置に用いられる光学ヘッドの構造を図131に示す。光学ヘッド内部では偏光ビームスプリッタ(Polarizing Beam Splitter)と1/4波長板(λ/4 Plate)が使用され、信号検出用には4分割光検出器(Photo Detector)が使われる。
本実施の形態における情報再生装置ないしは情報記録再生装置の全体構造を図132に示す。図132に示した情報記録再生部141の中に図131に示した光学ヘッドが配置されている。本実施の形態では情報記憶媒体の高密度化を目指して極限近くまでチャネルビット間隔を短くしている。その結果、例えば、d=1のパターンの繰り返しである“101010101010101010101010”のパターンを情報記憶媒体に記録し、そのデータを情報記録再生部141で再生した場合には再生光学系のMTF特性の遮断周波数に近付いているため、再生生信号の信号振幅はほとんどノイズに埋もれた形に成る。従って、そのようにMTF特性の限界(遮断周波数)近くまで密度を詰めた記録マークまたはピットを再生する方法として本実施の形態ではPRML(Partial Response Maximum Likelihood)の技術を使っている。すなわち、情報記録再生部141から再生された信号はPR等化回路130により再生波形補正を受ける。AD変換器169で基準クロック発生回路160から送られてくる基準クロック198のタイミングに合わせてPR等化回路130通過後の信号をサンプリングしてデジタル量に変換し、ビタビ復号器156内でビタビ復号処理を受ける。ビタビ復号処理後のデータは従来のスライスレベルで2値化されたデータと全く同様なデータとして処理される。PRMLの技術を採用した場合、AD変換器169でのサンプリングタイミングがずれるとビタビ復号後のデータのエラー率は増加する。従って、サンプリングタイミングの精度を上げるため、本実施の形態の情報再生装置ないしは情報記録再生装置では特にサンプリングタイミング抽出用回路(シュミットトリガー2値回路155とPLL回路174の組み合わせ)を別に持っている。
本実施の形態の情報再生装置ないしは情報記録再生装置では2値化回路にシュミットトリガー回路を使用しているところに特徴がある。このシュミットトリガー回路は2値化するためのスライス基準レベルに特定の幅(実際にはダイオードの順方向電圧値)を持たせ、その特定幅を越えた時のみ2値化される特性を持っている。従って、例えば、上述したように“101010101010101010101010”のパターンが入力された場合には信号振幅が非常に小さいので2値化の切り替わりが起こらず、それよりも疎のパターンである例えば、“1001001001001001001001”などが入力された場合に再生生信号の振幅が大きくなるのでシュミットトリガー2値化回路155で“1”のタイミングに合わせて2値化信号の極性切り替えが起きる。本実施の形態ではNRZI(Non Return to Zero Invert)法を採用しており、上記パターンの“1”の位置と記録マークまたはピットのエッジ部(境界部)が一致している。
PLL回路174ではこのシュミットトリガー2値化回路155の出力である2値化信号と基準クロック発生回路160から送られる基準クロック198信号との間の周波数と位相のずれを検出してPLL回路174の出力クロックの周波数と位相を変化させている。基準クロック発生回路160ではこのPLL回路174の出力信号とビタビ復号器156の復号特性情報(具体的には図示してないがビタビ復号器156内のパスメトリックメモリー内の収束長(収束までの距離)の情報)を用いてビタビ復号後のエラーレートが低くなるように基準クロック198(の周波数と位相)にフィードバックを掛ける。
図132におけるECCエンコーディング回路161、ECCデコーディング回路162、スクランブル回路157、デスクランブル回路159はいずれも1バイト単位の処理を行っている。変調前の1バイトデータを(d,k;m,n)変調規則(前述した記載方法ではm/n変調のRLL(d,k)を意味している)に従って、変調すると変調後の長さは
8n÷m (201)
となる。従って、上記回路でのデータ処理単位を変調後の処理単位で換算すると変調後のシンクフレームデータ106の処理単位は(201)式で与えられるので、シンクコードと変調後のシンクフレームデータ間の処理の統合性を指向した場合、シンクコードのデータサイズ(チャネルビットサイズ)は(201)式の整数倍に設定する必要がある。従って、本実施の形態においてシンクコード110のサイズとして
8Nn÷m (202)
にしてシンクコード110と変調後のシンクフレームデータ106間の処理の統合性を確保するところに本実施の形態の特徴がある((202)式においてNは整数値を意味する)。本実施の形態の実施の形態として今まで
d=1、k=10、m=8、n=12
で説明して来たので、その値を(202)式に代入するとシンクコード110のトータルデータサイズは
12N (203)
となる。現行DVDのシンクコードサイズは32チャネルビットなので、本実施の形態に於いてシンクコードのトータルデータサイズを32チャネルビットより小さくした方が処理が簡素化され、位置検出/情報識別の信頼性が向上する。従って、本実施の形態に於いてシンクコードのトータルデータサイズは図42に示すように24チャネルビットにしている。
図132に示したシンクコード位置検出部145の周辺部に関する詳細構造説明図を図133に示す。
図34に示したシンクコード配置方法に対して連続する3個のシンクコードでの前後の情報の並びを利用して現在再生中のデータの物理セクタ内の位置を割り出す方法を図132〜図135を用いて説明する。図135(b)に示すような図132のビタビ復号器156の出力データ(図134のST51)はシンクコード位置検出部145でシンクコード110の位置を検出する(図134のST52)。その後、検出されたシンクコード110の情報は制御部143を経由して図135(c)に示すようにメモリー部175に順次保存される(図134のST53)。シンクコード110の位置が分かれば、ビタビ復号器156から出力されたデータの内変調後のシンクフレームデータ106のみを抜き出してシフトレジスタ回路170へ転送できる(図134のST54)。次に制御部143はメモリー部175内に記録されたシンクコード110の履歴情報を読み出し、シンクフレーム位置識別用コードの並び順を識別し(図134のST55)、シフトレジスタ回路170内に一時保存された変調後のシンクフレームデータ106の物理セクタ内の位置を割り出す(図134のST56)。
例えば、図135に示すようにメモリー部175に保存されたシンクコードの並びが
SY0→SY1→SY1なら最後のSY0の直後には、
最新のシンクフレーム番号02直後に配置された変調後のシンクフレームデータが存在し、
SY3→SY1→SY2なら最後のSY2の直後には、
最新のシンクフレーム番号12直後に配置された変調後のシンクフレームデータが存在する、
と割り出すことが可能となる。
このようにセクタ内の位置を割り出し、希望の位置の変調後のシンクフレームデータ106がシフトレジスタ回路170内に入力されたことが確認出来た場合には、そのデータを復調回路152に転送して復調を開始する(図134のST57)。
このように検出したシンクコードの組み合わせパターンが事前予測と異なっていた場合の現象推測方法と対策方法を図136に示す。本実施の形態では図38に示した関係説明図を用いて推測する。図136に示した特徴は検出したシンクコードの組み合わせパターンが事前予測と異なる場所が1箇所か否かを判定するところ(ST3)にある。異なる場所が1箇所のみの場合、検出パターンが(1,1,2),(1,2,1),(1,2,2),(2,1,2)のいずれかの場合にはフレームシフト が発生した可能性が高く、そうで無い場合にはシンクコードを誤検知したと見なせる。上記判定結果に基づき、
○フレームシフトが発生した場合には再度同期合わせを行い(ST6)、
○シンクコードを誤検知した場合には事前予測値に合わせて誤検知したシンクコードを自動修正する(ST7)、
の処理を行う。また、平行してデータIDの連続性チェック(ST8)とウォブルアドレスの連続性チェック(ST9)を行い、トラック外れ検出とトラック外れが生じた時の対応(ST10)を行う。
システムリードインエリア内ではレベルスライス法を用いて信号検出を行い、データリードインエリア、データエリア、データリードアウトエリアではPRML法を用いて信号検出を行うところに本実施の形態の特徴がある。
図137にシステムリードインエリア内の信号再生に用いられる信号検出/信号評価回路を示す。図131に示した光学ヘッドの4分割光検出器の出力の合計を取り、ハイパスフィルタHPF(High Pass Filter)を通過させた後、プリイコライザ(Pre-equalizer)で波形補正した後、スライサ(Slicer)にてレベルスライスを行う。図137に示した回路の回路特性は
(1)位相ロックループ(PLL)
4Tにおけるナチュラル周波数: ωn=300Krads/s
4Tにおけるダンピングレシオ: δ=0.70
(2)ハイパスフィルタ(HPF)
1次 fc(−3dB)=1.0KHz
(3)プリイコライザ
周波数特性を以下に示す。
例としては、7次のイクィリップルフィルタ(Equiripple)がある。
ブートレベルk1は9.0±0.3dBで、カットオフ周波数は16.5±0.5MHzである。
(4)スライサ
デューティフィードバック方法:fc=5.0KHz
(5)ジッタ
ディスクの1/4回転中のジッタを測定する。
測定周波数帯域は1.0KHzからHFまでである。
レベルスライスを行う部分である図137に示したスライサ内の具体的な回路図を図138に示す。
基本的には比較器(Comparator)を用いてプリイコライザ出力信号(Read channel1)を2値化した構造になっている。
データリードインエリア、データエリア、データリードアウトエリア内ではPRML法を用いて信号検出を行うが、その検出回路図を図139に示す。図139に示した光学ヘッドの4分割光検出器の出力の合計を取り、HPFを通過させた後、プリイコライザで波形補正した後の信号波形を使用するところは図137の回路構成と一致するが、自動利得制御AGC(Auto Gain Control)回路を用いて再生信号振幅レベルを一定に制御するところにPRML回路に入力する前の前段回路の特徴がある。図139に示した回路ではアナログ/ディジタル変換ADC(Analog to Digital Converter)回路でデジタル変換し、デジタル処理により信号処理をしている。図139に示した回路の特性を下記にまとめて記載する。
(1)位相ロックループ(PLL)
4Tにおけるナチュラル周波数: ωn=580Krads/s
4Tにおけるダンピングレシオ: δ=1.1
(2)ハイパスフィルタ(HPF)
1次 fc(−3dB)=1.0KHz
(3)プリイコライザ
周波数特性を以下に示す。
例としては、7次のイクイリップルフィルタがある。
ブートレベルk1は9.0±0.3dBで、カットオフ周波数は16.5±0.5MHzである。
(4)自動ゲイン制御(AGC)
−3dB閉ループ帯域:100Hz
(5)アナログディジタル変換(ADC)
ADCとHF信号のダイナミックレンジの関係
サンプルクロック:72MHz
解像度:8ビット
I11Lのレベル:64±5
I11Hのレベル:192±5
(8)イコライザ
9タップトランスバーサルフィルタがイコライザとして使用される。係数はタップコントローラにより制御される。
タップ係数の解像度:7ビット
等価信号の解像度:7ビット
(9)タップコントローラ
イコライザのタップ係数は最小二乗誤差(Minimum Square Error (MSE))アルゴリズムにより計算される。係数計算の前には係数は初期値が使用されれる。
図139内で使用されるビタビ復号器(viterbi decoder)内の構造を図140に示す。本実施の形態ではPRクラスとして、PR(1,2,2,2,1)を採用している。この場合の状態遷移図を図141に示す。
データリードインエリア、データエリア、データリードアウトエリアからのリードチャンネルはETMコードと組み合わされ、PR(1,2,2,2,1)チャンネルに合わされる。
PRチャンネルの状態遷移を図141に示す。Sabcdは前の4ビットの入力がabcdであることを示し、e/fは次の入力データがeであり、信号レベルがfであることを示す。
ビタビ復号器のブロック図を図140に示す。ビタビ復号器は以下のように等価信号からバイナリデータを出力する。
時刻tのブランチメトリックは次のように計算される。
BM(t,i)=(yt−i)2
ここで、ytはイコライジング後のHF信号を示し、i=0,1,…8である。
ブランチメトリックの解像度は10ビットと等しいかそれ以上である。
時刻tでのパスメトリックは次のように計算される。
PM(t,S0000)
= min{PM(t−1,S0000)+BM(t,0),PM(t−1,S1000)+BM(t,1)}
PM(t,S0001)
= min{PM(t−1,S0000)+BM(t,1),PM(t−1,S1000)+BM(t,2)}
PM(t,S0011)
= min{PM(t−1,S0001)+BM(t,3),PM(t−1,S1001)+BM(t,4)}
PM(t,S0110)
= PM(t−1,S0011)+BM(t,4)
PM(t,S0111)
= PM(t−1,S0011)+BM(t,5)
PM(t,S1000)
= PM(t−1,S1100)+BM(t,3)
PM(t,S1001)
= PM(t−1,11000)+BM(t,4)
PM(t,S1100)
= min{PM(t−1,S0110)+BM(t,4),PM(t−1,S1110)+BM(t,5)}
PM(t,S1110)
= min{PM(t−1,S0111)+BM(t,6),PM(t−1,S1111)+BM(t,7)}
PM(t,S1111)
= min{PM(t−1,S0111)+BM(t,7),PM(t−1,S1111)+BM(t,8)}
パスメトリックの解像度は11ビットと等しいかそれ以上である。
加算・比較・選択(Add-compare-select)ブロックは新パスメトリックを計算し、パスメトリックメモリへ新メトリックを供給し、パスメモリへセレクションを供給する。
select 0 = 0
(PM(t−1,S0000)+BM(t,0) < PM(t−1,S1000)+BM(t,1)の場合)
select 0 = 1 (上記以外の場合)
select 1 = 0
(PM(t−1,S0000)+BM(t,1) < PM(t−1,S1000)+BM(t,2)の場合)
select 1 = 1 (上記以外の場合)
select 2 = 0
(PM(t−1,S0001)+BM(t,3) < PM(t−1,S1001)+BM(t,4)の場合)
select 2 = 1 (上記以外の場合)
select 3 = 0
(PM(t−1,S0110)+BM(t,4) < PM(t−1,S1110)+BM(t,5)の場合)
select 3 = 1 (上記以外の場合)
select 4 = 0
(PM(t−1,S0111)+BM(t,6) < PM(t−1,S1111)+BM(t,7)の場合)
select 4 = 1 (上記以外の場合)
select 5 = 0
(PM(t−1,S0111)+BM(t,7) < PM(t−1,S1111)+BM(t,8)の場合)
select 5 = 1 (上記以外の場合)
パスメモリの説明図を図142に示す。パスメモリは20メモリセルを有する。I/Oとパスメモリセルの構成を図143、図144に示す。最終パスメモリセルは端子output 0からバイナリデータとして1つの信号のみを出力する。
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
221…情報記憶媒体;401、411〜418…ECCブロック;230〜241…セクタ;420〜429…シンクフレーム;431…シンクコード(同期コード);432…シンクデータ;441〜468…ガード領域。