JP4004936B2 - ゴルフインパクトイメージ習得具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴルフ技術習得のためのイメージトレーニング用具に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、ゴルフの技術に関する議論はグリップであり、スタンスであり、スイングであり、精神論であり、ゴルフの本質ともいえる弾道や球筋や球質については、殆どが感覚的な議論となっている。
ゴルフの技術の本質とは、プレイヤが「望んだ弾道が出せること」、「望んだ球筋が出せること」、「望んだ球質が出せること」である。すなわち、望んだ弾道、球筋、球質の実現に向かって正しい根拠と、適切な判断と、適切な技術を持つことである。
【0003】
図56に示す如く、スイング理論を中心としインパクトを意識しないゴルフの世界では、スイングを重要とし、ボールの飛び方は結果としてスコアの原因となり、ボールの飛び方はスイングの結果であるとなる。しかし、スイングの議論だけではボールの飛び方をコントロールすることは難しい。
これに対し、図57に示す如く、インパクトを科学的に認識したゴルフの世界では、スイングが結果としてインパクトの原因となり、インパクトが結果としてボールの飛び方の原因となり、ボールの飛び方が結果としてスコアの原因となる。
すなわち、インパクトを科学的に認識した状態でスイングを体得することにより、ボールの飛び方が理論的にコントロールできるようになり、その結果として良いスコアを得ることができるのである。
【0004】
インパクトを議論するためには、インパクトの基本的な原理現象を正しく理解することが必要となる。
インパクトやスイングの状態を知るための機器として、例えば、特許文献1に記載の技術の用に、高速カメラや電気的装置によりプレイヤが通常にスイングする状態を捉えて、それを連続写真としたり分析したりする装置が存在する。しかし、これらの装置はインパクトという瞬間を捉えるために大がかりとなり、コストがかかる。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−80112号公報
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明では、ボールの飛び方をコントロールできる技術を習得するために、クラブとボールのインパクトに関するイメージトレーニングを行うことを提案し、そして、インパクトにおいてボールの飛び方を決定する要因となる、「ロフトという機能」、「フェースの向きという機能」、「ギア効果という機能」のイメージを得るための器具を提案する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
即ち、請求項1においては、所望するゴルフボールの飛び方に対するインパクトの在り方のイメージを構築するために用いるゴルフインパクトイメージ習得具であって、本体と、該本体に摺動移動可能に設けたスライドバーと、該スライドバーの端部に脱着可能に固定され前記スライドバーに伴って前記本体に対して移動する際の先端となるフェース面に所定の傾きが設けられたクラブヘッドアタッチメントと、前記クラブヘッドアタッチメントのフェース面に当接して打ち出され、打ち出されたときの回転及びその回転方向を認識可能とするための模様が表面に付された円盤状の疑似ボールで構成したものである。
【0008】
請求項2においては、前記本体とスライドバーとの間に、前記スライドバーを或往復方向に円滑に動くようにガイドするレールを設けるとともに、前記疑似ボールを前記クラブヘッドアタッチメントにて打ち出すために前記スライドバーを勢いをもって移動させる付勢部材を設けたものである。
【0010】
請求項3においては、前記クラブヘッドアタッチメントに磁石を固定し、前記スライドバーの端部に鉄素材から成るソケット部を設けたものである。
【0011】
請求項4においては、前記クラブヘッドアタッチメントを、前記スライドバーの端部に固定する基部と、該基部にステーを介して取り付けたヘッド部で構成し、ステーはヘッド部の重心を支持するようにしたものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は潜在意識と潜在能力の世界のサイクルを説明する図、図2はゴルフボールの飛び方を示す図、図3はゴルフボールの基本的なスピンを示す図、図4は物体とその回転状態を示す図である。
図5はロフト角ゼロ度のスラスト力によるバックスピン現象を説明する図、図6はロフト角10度のスラスト力によるバックスピン現象を説明する図、図7はロフト角30度のスラスト力によるバックスピン現象を説明する図、図8はロフト角45度のスラスト力によるバックスピン現象を説明する図である。図9はロフト角ゼロ度のトルクによるバックスピン現象を説明する図、図10はロフト角10度のトルクによるバックスピン現象を説明する図、図11はロフト角30度のトルクによるバックスピン現象を説明する図、図12はロフト角45度のトルクによるバックスピン現象を説明する図である。図13はボールの垂直方向の重心移動を説明する図、図14はボールの垂直方向の飛び出し角度を説明する図、図15はクラブ番手とゴルフボールの弾道の例を示す側面図、図16はロフトを立てたとき寝かせたときの原理現象を示す図である。
図17はクラブフェースの向きの三態を示す平面図、図18はスクエアフェースでのスラスト力によるサイドスピン現象を説明する図、図19はオープンフェースでのスラスト力によるサイドスピン現象を説明する図、図20はクローズドフェースでのスラスト力によるサイドスピン現象を説明する図である。図21はスクエアフェースでのトルクによるサイドスピン現象を説明する図、図22はオープンフェースでのトルクによるサイドスピン現象を説明する図、図23はクローズドフェースでのトルクによるサイドスピン現象を説明する図、図24はボールの水平方向の重心移動を説明する図、図25はボールの水平方向の飛び出し方向を説明する図である。図26はボールの水平方向への球筋を示す図である。
図27は打撃点がクラブのスイートスポットであるときのインパクトを示す平面図、図28は打撃点がクラブのネックサイドであるときのインパクトを示す平面図、図29は打撃点がクラブのトウサイドであるときのインパクトを示す平面図、図30はボールの水平方向への球筋を示す図である。
図31はスクエアフェースでの球筋を説明する図、図32はスクエアフェースでの球筋を説明する平面図、図33はオープンフェースでの球筋を説明する図、図34はオープンフェースでの球筋を説明する平面図、図35はクローズドフェースでの球筋を説明する図、図36はクローズドフェースでの球筋を説明する平面図である。
【0013】
図37は本発明に係るゴルフインパクトイメージ習得具の全体的な構成を示した平面図、図38は同じく側面図、図39は疑似ボールを示す平面図、図40はロフトという機能のイメージ習得のためのクラブヘッドアタッチメント群を示す図、図41はフェースの向きという機能のイメージ習得のためのクラブヘッドアタッチメント群を示す図、図42はウッドアタッチメントを示す図、図43はアイアンアタッチメントを示す図、図44はゴルフインパクトイメージ習得具による疑似ボールの打ち出し状体を示す平面図である。
図45はロフト角がゼロ度のときのインパクトイメージを示す図、図46はロフト角が10度のときのインパクトイメージを示す図、図47はロフト角が30度のときのインパクトイメージを示す図、図48はロフト角が45度のときのインパクトイメージを示す図である。
図49はスクエアフェースのときのインパクトイメージを示す図、図50はオープンフェースのときのインパクトイメージを示す図、図51はクローズドフェースのときのインパクトイメージを示す図である。
図52はネックサイドで打撃したときのインパクトイメージを示す図、図53はトウサイドで打撃したときのインパクトイメージを示す図、図54はスラスト力のイメージ習得のためのゴルフインパクトイメージ習得具を示す図、図55はスラスト力の作用イメージを示す図である。
図56はスイング理論を中心としたゴルフの世界を示す図、図57はインパクトを科学的に認識したゴルフの世界を示す図である。
【0014】
スポーツに取り組むにあたって、練習による体得や精神力が重視されがちであるが、科学的にスポーツの原理を解明し、仕組みを理解した上で、練習を行うことにより、より効果的で理論的な練習を行うことができれば、飛躍的な技術の向上が期待できる。
【0015】
図1に示す如く、感覚で行っていた物事に対してその原理原則を意識して取り組むことで、暗黙知を形式知に変えることができ、第一の人間の能力である顕在能力の単純な思考サイクルの活用はもちろんのこと、第二の人間の能力である潜在意識と潜在能力を引き出すサイクルを活用する世界を実現することができる。
従って、明確な科学的原理現象の学習と納得の機会が存在すれば、さらなる興味や研究への取り組みが高まり、不可解な原理現象が確信となり、それが自信へと発展し、潜在能力までも引き出して発揮することができると期待できる。
【0016】
本発明に係るゴルフインパクトイメージ習得具は、ゴルフボールの飛び方の重要な決定要因の一つである「インパクト」に焦点を絞り、そのイメージを具現化することで、ゴルフボールとクラブのインパクト時の原理現象を理解するためのものである。なお、インパクトとはクラブヘッドがボールに当たる瞬間のこととする。
最終的な目標は、「欲しいゴルフボールの飛び方」が偶然ではなく、意図的であり、再現性を持って実行できるための、知識と技術を身につけることである。このために、ゴルフインパクトイメージ習得具を利用してゴルフボールとクラブフェースのインパクトの仕組みを理解し知識を得た上で、実際にゴルフボールを打って練習する、いわゆる、「コンセプト・ゴルフ」を実行することによって、ゴルフボールの飛び方を自在にコントロールする技術の効果的な習得を図る。
【0017】
ゴルフボールの飛び方には、図2に示す如く、弾道、球筋及び球質があり、ここで、弾道とは、ボールが放物線を描いて飛んで行く垂直方向への飛翔状況のことであり、球筋とは、ボールの水平方向への曲がりが生ずる飛翔状況のことであり、球質とは、ボールが落下してからの挙動のことである。球質には、バウンド、ランニング及びローリングの三態があり、バウンドとは落下後の跳ね方の状態であり、ランニングとはバウンド後に跳ねながら走る状態のことであり、ローリングとはランニング後に地面上を這うように転がる状態のことである。
また、バックスピンとは、ボールの垂直方向の逆回転のことであり、トップスピンとは、ボールの垂直方向の正回転のことであり、サイドスピンとは、ボールの水平方向左右の回転のことである。
【0018】
ゴルフボールは、クラブフェースで打撃されると垂直方向及び水平方向に回転する。
図3に示す如く、ボールに掛かるスピンは、垂直方向の回転であるバックスピンとトップスピン、水平方向の回転である左右のサイドスピンがある。打ち出されたゴルフボールは、基本的に、バックスピンと左右いずれかのサイドスピンが掛かった状態で飛翔しており、このボールの回転が、ボールの飛び方の高低、左右の曲がりを生み出している原理である。
インパクト時にゴルフボールに回転を与える力は、クラブヘッド側とボール側のそれぞれの立場に立って考えると、『スラスト力』と『トルク』である。以下に、スラスト力とトルクのそれぞれにおいて、詳細に説明する。
【0019】
まず、『スラスト力』に起因するスピンについて説明する。ここでは、クラブヘッド側の立場に立って、ボールに与えるスピンを考察する。
仮に、クラブフェースとボールの反発係数、ボールの弾性係数、クラブフェースとボール間の摩擦係数のそれぞれを1として以下の考察を行う。
【0020】
図6に示す如く、ボールが固定され、クラブヘッドが自由であると仮定すれば、クラブヘッドはボールに衝突したのち、入射角と反射角の法則に従い、反射する。すなわち、クラブによる打ち出し力には、クラブフェースに対する入射角と反射角の法則に従う反力が発生している
そして、ボールが固定され、クラブヘッドが自由であり、フォロースルーが働いていると仮定すれば、クラブヘッドはボールに衝突した後、打ち出し力の反力とフォロースルー力のベクトルの合成方向へ移動する力を受けることとなる。すなわち、クラブフェースに沿って移動する力を受けることとなる。
実際には、クラブヘッドはシャフトの先端に固定されているため、スイングのフォロースルーの軌道に従って移動することになるが、衝突の瞬間において、僅かであるが、クラブヘッドをクラブフェースに沿って移動させる力が働いている。この力を『スラスト力』と呼ぶことにする。この力は、ボールとの接面において発生し、ボールに力が作用して、ボールに回転力が働き、ボールにスピンが掛かる。
【0021】
次に、『トルク』に起因するスピンについて説明する。ここでは、ボール側の立場に立って、ボールに与えられるスピンを考察する。
図4に示す如く、物体の重心を外した位置にある一定強さ以上の外力が加わると、重心を中心とした回転トルクが働く。特に、バランスの取れた物体では顕著にその現象が現れ、重心を外した位置に一定強さ以上の力を与えると、その力が物体を回転させる力となり、さらに、慣性モーメントが作用して、コマのように、回転し続ける。
インパクト時のボールは、図10に示す如く、ボールとクラブフェースの最初の接点が打撃点であり、クラブフェースでボールが打撃されることにより、ボールが回転する。このとき、ボールには、該ボールの重心と打撃点の位置の差により『トルク』が発生し、ボールに回転が掛かるのである。
【0022】
打撃点がボールの重心より上方に位置する場合には、ボールにトップスピンが掛かる。パターやアプローチにおいては、トップスピンが効果的に利用される。
同様に、打撃点がボールの重心よりクラブフェース側から見て左側に位置する場合には右サイドスピンが掛かり、打撃点がボールの重心よりクラブフェース側から見て右側に位置する場合には左サイドスピンが掛かる。
【0023】
次に、ゴルフクラブに備えられボールの飛び方を決定する三つの機能について説明する。
ゴルフクラブには「ロフトという機能」、「クラブフェースの向きという機能」及び「ギア効果という機能」の三つの機能が備わっている。「コンセプト・ゴルフ」の理解を深めるために、これら三つの機能をそれぞれに分けて説明する。
実際には、上記三つの機能は同時に原理現象が働き起こっているが、ここでは、ボールの飛び方の垂直方向と水平方向に分けて、そのイメージを理解する。
【0024】
まず、ゴルフクラブの「ロフトという機能」について説明する。
ゴルフクラブにはボールにバックスピンを与えるために、クラブフェースの地面に対する傾斜角であるロフト角が設定されている。該ロフト角はクラブの番手によりおおよその値が設定されている。そして、クラブの「ロフトという機能」により、インパクト時に二つの原理現象であるスラスト力とトルクが起こり、結果としてボールにバックスピンが与えられるとともに、ボールの垂直方向の飛び出し角度が与えられる。
【0025】
クラブの番手が大きくなるほどシャフトの長さが短くなり、また、ロフト角が大きくなるため、クラブの番手が大きくなるに従ってクラブフェースはボールの重心から下がった位置、すなわち、ボールの重心から離れた位置が打撃点となり、ボールの回転数が増加する。ボールへの打撃力の強弱にもよるが、例えば、3番アイアンのように、ロフト角が小さいクラブよりも、9番アイアンのように、ロフト角が大きいクラブの方が、バックスピンの回転数が多くなる。ボールのバックスピンの回転数が多いほど、ボールに働く揚力が大きくなり、従って、クラブのロフト角が大きくなるほど、高く舞い上がるボールが打てることになる。
つまり、ボールとクラブフェースの擦りや、クラブフェースをボールがせり上がることによりボールのバックスピンが生じるのではなく、ボールの重心より下位の接点部分を激しく打撃することにより、二つの現象であるスラスト力とトルクが働き、ボールにバックスピンが生じるのである。
【0026】
図5乃至図8では、「ロフトという機能」により発生する、ボールを回転させる前記スラスト力とロフト角の関係について示すために、ロフト角をそれぞれゼロ度・10度・30度・45度とし、ボールが固定され、クラブヘッドが自由であり、打ち出し力及びフォロースルー力が働いており、クラブフェースとボールの反発係数・ボールの弾性係数・クラブフェースとボール間の摩擦係数のそれぞれを1であると仮定した状態を想定している。
【0027】
ロフト角がゼロ度のときには、打ち出し力及びフォロースルー力はいずれもボールの回転の中心である重心上を通り、クラブフェースとボールとの間にはスラスト力が発生しない。従って、ロフト角がゼロ度のときには、ボールには回転力が発生しない。
【0028】
また、ロフト角が、10度・30度・45度のときには、ボールが固定されていると想定しているため、ボールに衝突することによりクラブヘッドに反力が働き、その反力の角度は、打ち出し力のクラブヘッドへの入射角によって決定され、入射角と反射角とが等しくなる方向に反力が作用する。そして、フォロースルー力と反力のベクトルが合成された方向に働く力がスラスト力であり、該スラスト力は、クラブフェースに沿って下向きの方向に作用している。すなわち、ロフト角がゼロ度より大きいときには、クラブフェースの角度、すなわち、ロフト角と略等しい方向に下向きの力が発生し、クラブヘッドがボールの下に潜り込もうとすることとなる。
【0029】
そして、等しい打ち出し力及びフォロースルー力であれば、ロフト角が10度→30度→45度と大きくなるに連れて、スラスト力が大きくなる。前述の如く、スラスト力はボールに回転を与える力であるので、スラスト力が大きくなるほど、ボールを激しくスピンさせる回転力が発生することが分かる。
【0030】
実際は、クラブフェースとボールの反発係数・ボールの弾性係数・クラブフェースとボール間の摩擦係数のそれぞれは1ではなく、また、クラブヘッドはシャフトの先端に固定されてフォロースルーの軌道に沿って移動し、ボールは固定されていない。しかし、インパクトの瞬間において、ボールは押し潰された状態でクラブフェースに密着しており、クラブヘッドがフォロースルーの軌道に沿って移動されることにより、クラブヘッドをクラブフェースの傾き、すなわち、ロフト角に沿って下方へ移動させようとする力であるスラスト力はボールに作用し、ボールにバックスピンが発生する。
【0031】
一方、図9乃至図12では、「ロフトという機能」により発生する、ボールを回転させる前記トルクとロフト角の関係について示すために、ロフト角をそれぞれゼロ度・10度・30度・45度とした状態を想定している。
【0032】
ロフト角がゼロ度のときには、打ち出し力の作用方向はボールの回転の中心である重心上を通り、ボールにはトルクが発生しない。従って、ロフト角がゼロ度のときには、ボールには回転力が発生しない。
【0033】
また、ロフト角が、10度・30度・45度のときには、打ち出し力の作用方向が、ボールの回転の中心である重心上に無いため、打ち出し力は、ボールの飛び出し力となる重心方向の分力と、ボールの回転力(トルク)となる接線方向の分力とに別れて、トルクが発生するため、ボールは重心を中心として回転する。
【0034】
そして、等しい打ち出し力であれば、ロフト角が10度→30度→45度と大きくなるに連れて、ボールに作用するトルクが大きくなり、すなわち、ボールを激しくスピンさせる回転力が発生することが分かる。
【0035】
上述の如く、ゴルフクラブの「ロフトという機能」により発生するスラスト力及びトルクにより、ボールにバックスピンが与えられる。バックスピンが与えられたボールは、ジャイロスコープの原理に従って、回転軸(重心)を中心に慣性モーメントが働くことにより、バックスピンを持続しながら、空間に対し一定の姿勢を保持した状態で飛翔する。つまり、ボールのバックスピンは、一定の姿勢を保つために必要不可欠なものであり、風により受ける影響を低減させ、ボールが打ち出された方向に飛翔する重要な役割を果たしている。
なお、バックスピンしていないボールは、ボールに揚力が働かず、また、空間における一定の姿勢を保持できず不安定な状態となり、風船のように失速したり、まともに風の影響を受けて流されたりする。
【0036】
シャフトの長さによる遠心力の掛かり方と、力の伝達度合いの影響も無視できないが、9番アイアンは該9番アイアンよりロフト角の小さい5番アイアンに比較してボールの飛び出し角度が高くなるとともに、ボールのバックスピン数が多くなり、結果として高く舞い上がるが、一方では飛距離が落ちる。ウエッジのように、50度前後と寝ているロフトになってくると飛び出し角度が極端に高くなると同時に激しくボールにバックスピンが掛かり舞い上がる。
インパクト時におけるボールの変形量が、クラブから伝えられるエネルギー量であり仕事量である。このクラブのボールに対する仕事量が一定であれば、インパクトのエネルギーが回転エネルギーとベクトルエネルギーに変換されるために全体の飛距離が落ちることは当然のことである。そして、クラブのロフト角が大きくなるほど、ボールのバックスピン数が増加し、高く舞い上がるため垂直方向への仕事量が大きくなり、水平方向への仕事量が小さくなるため、番手の大きいクラブほど飛距離が落ちることとなる。
【0037】
図15に示す弾道例より、ボールの飛び出し角度とバックスピンはボールの飛距離と飛ぶ高さにおいて最も重要な役割を果たしていることがわかる。
ボールの垂直方向への重心移動は、図13に示す如く、クラブフェースに対する入射角と反射角は略等しく、打ち出し力の作用方向は、入射角反射角の物理的な原理現象に従って決定され、従って、ボールの垂直方向への飛び出し角度は、計算上では、図14に示す如く、打ち出し力と、ボールの飛び出すエネルギーと、フォロースルー力のベクトル合成方向になる。
すなわち、ボールの飛び出し角度はインパクト時のクラブフェースに対する入射角反射角及びベクトル合成が醸し出す結果である。但し。厳密には、材料の弾性係数、反発係数、摩擦係数、打ち出し力の大小、フォロースルー力の大小により、ボールの飛び出し角度は微妙に異なってくる。
【0038】
但し、同一のクラブであっても、本来のロフト角(ソールが地面と略平行である状態)、ロフトを立てる(本来のロフトよりもクラブフェースが上方へ開いた状態)、ロフトを寝かせる(本来のロフトよりもクラブフェースが下方へ閉じた状態)ことによって、打ち出されるボールの垂直方向の飛び方が異なり、ボールの弾道と球質が変化する。この原因と結果について示したものが図16に示す図表である。
【0039】
本来のロフト角では、そのクラブに応じた本来のパフォーマンスである適度なバックスピンと打ち出し角度をボールに与えることができ、そのクラブに応じた適度な弾道となる。
本来のロフト角のときと比較して、ロフトを立てると、本来のロフト角よりもクラブフェースの角度が小さくなるため、打ち出されたボールのバックスピンが少なくなるとともに、飛び出し角度が低くなって、ボールの弾道が低くなる。
本来のロフト角のときと比較して、ロフトを寝かせると、本来のロフト角よりもクラブフェースの角度が大きくなるため、打ち出されたボールのバックスピンが多くなるとともに、飛び出し角度が高くなって、ボールの弾道が高くなる。
このように、ロフトを立てたり、ロフトを寝かせたりすることによっても、ボールの垂直方向の飛び出し角度をコントロールすることができる。
【0040】
次に、クラブの「フェースの向きという機能」について説明する。
「フェースの向きという機能」により起こる二つの原理現象により、結果としてボールに左右いずれかの水平方向のスピンが与えられるとともに、水平方向の飛び出し角度が与えられる。
図17に示す如く、クラブの打ち出し方向が一定であっても、クラブフェースの向きには、打ち出し方向に対してトウサイドが後方に位置するオープンフェース、打ち出し方向と垂直となるスクエアフェース、打ち出し方向に対してネックサイドが後方に位置するクローズドフェースの三態がある。
ボールのサイドスピンは、「フェースの向きという機能」に起因し、ボールの飛翔における球筋、すなわち、水平方向の飛び出し角度と水平方向左右への曲がりを生み出し、ボールの球筋をコントロールする上で重要な役割を果たしている。
【0041】
ボールのサイドスピンは、バックスピンと同様に、ゴルフクラブの「フェースの向きという機能」に起因するスラスト力とトルクにより発生する回転力によるものである。クラブフェースの向きには、インパクト時にクラブヘッドのトウサイドがネックサイドより飛球線方向に後方に位置しクラブフェースが開いてボールに当たるオープンフェース、インパクト時にクラブヘッドのトウサイドとネックサイドが飛球線方向に等距離に位置するスクエアフェース、インパクト時にクラブヘッドのトウサイドがネックサイドより飛球線方向に前方に位置しクラブフェースが閉じてボールに当たるクローズドフェースがある。このクラブフェースの向きにより、打ち出されるボールの水平方向への飛び出し方向と、サイドスピンとにより、球筋が決定される。
【0042】
図18乃至図20では、「フェースの向きという機能」により発生する、ボールを回転させる前記スラスト力とフェースの向きの関係について示すために、フェースの向きをそれぞれオープンフェース・スクエアフェース・クローズドフェースとし、ボールが固定され、クラブヘッドが自由であり、打ち出し力及びフォロースルー力が働いており、クラブフェースとボールの反発係数・ボールの弾性係数・クラブフェースとボール間の摩擦係数のそれぞれを1であると仮定した状態を想定している。
【0043】
フェースの向きがスクエアフェースのときには、打ち出し力及びフォロースルー力はいずれもボールの回転の中心である重心上を通り、クラブフェースとボールとの間にはスラスト力が発生しない。従って、フェースの向きがスクエアフェースのときには、ボールにはサイドスピンを発生させる回転力が発生しない。
【0044】
また、フェースの向きが、オープンフェース及びクローズドフェースのときには、ボールが固定されていると想定しているため、ボールに衝突することによりクラブヘッドに反力が働き、その反力の角度は、打ち出し力のクラブヘッドへの入射角によって決定され、入射角と反射角とが等しくなる方向に反力が作用する。そして、フォロースルー力と反力のベクトルが合成された方向に働く力がスラスト力であり、該スラスト力は、オープンフェースのときはクラブフェースに沿ってネックサイド方向に作用し、クローズドフェースのときはクラブフェースに沿ってトウサイド方向に作用している。
【0045】
すなわち、フェースの向きがオープンフェースのときには、クラブフェースの向きに沿ってネックサイド方向に作用するスラスト力によりボールに回転力が作用し、ボールに右サイドスピンが発生する。また、フェースの向きがクローズドフェースのときには、クラブフェースの向きに沿ってトウサイド方向に作用するスラスト力によりボールに回転力が作用し、ボールに左サイドスピンが発生する
【0046】
一方、図21乃至図23では、「フェースの向きという機能」により発生する、ボールを回転させる前記トルクとフェースの向きの関係について示すために、フェースの向きをそれぞれオープンフェース・スクエアフェース・クローズドフェースとした状態を想定している。
【0047】
フェースの向きがスクエアフェースのときには、打ち出し力の作用方向はボールの回転の中心である重心上を通り、ボールにはトルクが発生しない。従って、ロフト角がゼロ度のときには、ボールには回転力が発生しない。
【0048】
また、フェースの向きが、オープンフェース及びクローズドフェースであるときには、打ち出し力の作用方向が、ボールの回転の中心である重心上に無いため、打ち出し力は、ボールの飛び出し力となる重心方向の分力と、ボールの回転力(トルク)となる接線方向の分力とに別れて、トルクが発生するため、ボールは重心を中心として回転する。フェースの向きがオープンフェースであるときにはトルクによりボールに右サイドスピン、すなわち、平面視において時計方向の回転が掛かり、フェースの向きがクローズドフェースであるときにはトルクによりボールに左サイドスピン、すなわち、平面視において逆時計方向の回転が掛かる。
【0049】
上述の如く、「フェースの向きという機能」により発生する二つの原理現象であるスラスト力とトルクによりボールにサイドスピンが掛かることとなる。
次に、「フェースの向きという機能」により決定されるボールの水平方向の飛び出し角度について説明する。
【0050】
フェースの向きがスクエアフェースのときのボールの水平方向への重心移動方向は、クラブフェースへの入射角反射角の原理より、クラブフェースに対し直角に入射し直角に反射するため、クラブフェースに対し直角方向へ移動する。
また、図24に示す如く、フェースの向きが、オープンフェースやクローズドフェース等、角度を有するときには、ボールの水平方向への重心移動方向は、クラブフェースへの入射角反射角の原理より、クラブフェースに対する入射角と反射角は等しく、オープンフェースのときはインパクト時にボールの重心は打撃方向よりもトウサイドへ移動し、クローズドフェースのときはインパクト時にボールの重心は打撃方向よりもネックサイドへ移動することになる。
【0051】
計算上では、ボールの水平方向の飛び出し角度は、図25に示す如く、ボールの飛び出すエネルギー及びフォロースルー力のベクトルの合成方向となる。但し、実際のボールの水平方向の飛び出し角度は、クラブフェースの向きにより決定されるボールの重心移動方向に加え、ボールの反発係数や打ち出し力等の要因に大きく左右される。
【0052】
従って、オープンフェースのときは右方向にボールが飛び出し、ボールに掛かっている右サイドスピンにより、ボールは右方向に曲がりながら飛翔する球筋となり、クローズドフェースのときは左方向にボールが飛び出し、ボールに掛かっている左サイドスピンにより、ボールは右方向に曲がりながら飛翔する球筋となる。もちろん、同時に、ボールには垂直方向のバックスピンも掛かっている。
【0053】
クラブフェースの向きと、ボールの左右のサイドスピンは、ボールの球筋を左右する重要な要因となっており、ボールの水平方向の飛び出し角度と、ボールのサイドスピンの方向によって球筋が大きく変化することとなり、図26に示す如く、スライスボール、フェードボール、ストレートボール、ドローボール、フックボールを決定する。
【0054】
次に、「ギア効果という機能」について説明する。
前記「クラブフェースの開きという機能」を第一のサイドスピン要因とすれば、「ギア効果」は第二のサイドスピン要因である。インパクト時にクラブフェースの重心を外した位置でボールを打撃すると、クラブヘッドが僅かにぐらつく。このときにクラブフェースとボールの噛み合いによりサイドスピンが発生する現象が「ギア効果」である。特に、ドライバーやロングアイアン等の、シャフトの長いゴルフクラブにおいてギア効果が顕著に現れる。
【0055】
図27に示す如く、クラブフェースのスイートスポット(クラブヘッドの重心と同じ位置)で、ボールがクラブフェースに対し直角方向に打撃された場合は、ボールには、ロフトに起因するバックスピンが掛かり、サイドスピンは掛からず、真っ直ぐに飛翔するストレートボールとなる。
【0056】
図28に示す如く、クラブフェースの中心位置(クラブヘッドの重心と同じ位置)よりネックサイドで、ボールがクラブフェースに対し直角方向に打撃された場合は、瞬時にしかも僅かにクラブヘッドの重心を中心にクラブヘッドが回転し、ボールとクラブヘッドの接点(打撃点)においてギアが噛み合うように回転するが如き現象が発生する。
ボールは、平面視において時計方向のサイドスピンが掛かりながら飛び出し、球筋としてはフェードボールとなる。このとき、ボールにはロフトに起因するバックスピンも掛かっている。
【0057】
図29に示す如く、クラブフェースの中心位置(クラブヘッドの重心と同じ位置)よりトウサイドで、ボールがクラブフェースに対し直角方向に打撃された場合は、瞬時にしかも僅かにクラブヘッドの重心を中心としてクラブヘッドが回転し、ボールとクラブヘッドの接点(打撃点)においてギアが噛み合うように回転するが如き現象が発生する。
ボールは、平面視において逆時計方向のサイドスピンが掛かりながら飛び出し、球筋としてはドローボールとなる。このとき、ボールにはロフトに起因するバックスピンも掛かっている。
【0058】
上述の「ギア効果」により起こるボールのサイドスピンは、球筋を左右する重要な要因である。すなわち、クラブヘッドの重心位置よりトウサイド或いはネックサイドでボールを捉えることにより、ボールの球筋は変化するため、ギア効果はフェースの向きとともに、球筋を決定する重要な要因となるのである。
【0059】
前記「フェースの向きという機能」及び「ギア効果という機能」を理解することによって、ボールの飛び出し角度、或いは、ボールの回転がある程度コントロールできるようになれば、図30に示す如く、クラブフェースの向きと、クラブフェースへのボールの打撃位置により、ドローボール、フックボール、ストレートボール、フェードボール、スライスボール等の、様々な球筋を意図的に出すことができる。
【0060】
図31に示す図表及び図32では、クラブフェースがスクエアフェースであるときの、インパクト時の原理現象を示している。
ボールの打撃位置がクラブフェースのネックサイドであるときは、「ギア効果という機能」によりボールに右サイドスピンが掛かり、ストレートに飛び出し、右方向に曲がりながら飛翔する球筋となり、フェードボールとなる。
ボールの打撃位置がクラブフェースのスイートスポットであるときは、「クラブフェースの向きという機能」と「ギア効果という機能」はいずれも作用せず、ストレートに打ち出されながらストレートに飛ぶ球筋となり、ストレートボールとなる。
ボールの打撃位置がクラブフェースのトウサイドであるときは、「ギア効果という機能」によりボールに左サイドスピンが掛かり、ストレートに飛び出し、左方向に曲がりながら飛翔する球筋となり、ドローボールとなる。
【0061】
図33に示す図表及び図34では、クラブフェースが開き角+10度のオープンフェースであるときの、インパクト時の原理現象を示している。
ボールの打撃位置がクラブフェースのネックサイドであるときは、「クラブフェースの向きという機能」により右方向への飛び出し力が発生し、右サイドスピンが掛かるとともに、「ギア効果という機能」によりボールに右サイドスピンが掛かり、右方向に飛び出し右方向に大きく曲がりながら飛翔する球筋となり、強いスライスボールとなる。
ボールの打撃位置がクラブフェースのスイートスポットであるときは、「クラブフェースの向きという機能」により右方向への飛び出し力が発生し、右サイドスピンが掛かり、右方向に飛び出し、右サイドスピンにより右方向に曲がりながら飛翔する球筋となり、スライスボールとなる。
ボールの打撃位置がクラブフェースのトウサイドであるときは、「クラブフェースの向きという機能」により右方向への飛び出し力が発生し、右サイドスピンが掛かるとともに、「ギア効果という機能」によりボールに左サイドスピンが掛かる。従って、ボールは右方向に飛び出し、右サイドスピンと左サイドスピンが相互に打ち消し合うが、結果として右サイドスピンにより右方向に曲がりながら飛ぶ球筋となり、フェードボールとなる。
【0062】
図35に示す図表及び図36では、クラブフェースが開き角−10度のクローズドフェースであるときの、インパクト時の原理現象を示している。
ボールの打撃位置がクラブフェースのネックサイドであるときは、「クラブフェースの向きという機能」により左方向への飛び出し力が発生し、左サイドスピンが掛かるとともに、「ギア効果という機能」によりボールに右サイドスピンが掛かる。従って、ボールは左方向に飛び出し、右サイドスピンと左サイドスピンが相互に打ち消し合うが、結果として左サイドスピンが掛かりながら飛ぶ球筋となり、ドローボールとなる。
ボールの打撃位置がクラブフェースのスイートスポットであるときは、「クラブフェースの向きという機能」により左方向への飛び出し力が発生し、左サイドスピンが掛かり、左方向に飛び出し、左サイドスピンにより左方向に曲がりながら飛ぶ球筋となり、フックボールとなる。
ボールの打撃位置がクラブフェースのトウサイドであるときは、「クラブフェースの向きという機能」により左方向への飛び出し力が発生し、左サイドスピンが掛かるとともに、「ギア効果という機能」によりボールに左サイドスピンが掛かる。従って、ボールは左方向に飛び出し、左サイドスピンにより大きく左方向に曲がりながら飛ぶ球筋となり、強いフックボールとなる。
【0063】
以上のように、「ロフトという機能」、「クラブフェースの向きという機能」、「ギア効果という機能」によるインパクト時の原理現象が、ボールの飛び方を決定する要因となっている。
そこで、「ロフトという機能」、「クラブフェースの向きという機能」、「ギア効果という機能」のそれぞれを実際に目で見て理解し納得するために、以下に示すゴルフインパクトイメージ習得具を用いて、バーチャルな世界でイメージトレーニングを行うのである。
【0064】
次に、ゴルフインパクトイメージ習得具30について説明する。以後、ゴルフインパクトイメージ習得具30の構造に関する説明において、図37の紙面上における左右を左右方向、紙面上における上下を前後方向と表記する。
【0065】
図37及び図38に示す如く、ゴルフインパクトイメージ習得具30は、主に本体36と、スライドバー31と、該スライドバー31の先端に取り付けられたクラブヘッドアタッチメントPより構成されている。
本体36は、全体として略矩形であって、そのうち一角において平面視略矩形状が切り欠かれ、本実施例では、右前角が切り欠かれている。この切り欠かれた部分36aには、スライドバー31の先端に取り付けられるクラブヘッドアタッチメントPが配置され、切り欠かれた部分36aの短尺方向の長さは、該クラブヘッドアタッチメントPの短尺方向の長さと適合するように構成されている。
【0066】
前記本体36の左部分には、本体36を位置固定したり、本体36を移動させたりするための把手35が取り付けられており、該把手35を手で押えながらスライドバー31を操作することのできるように、スライドバー31は把手35と左右反対側となる本体36の右部分に配置されている。
【0067】
スライドバー31は、バー本体31cと、該バー本体31cの前部に固設されたソケット支持部31b、該ソケット支持部31bの前部に一体的に形成されたソケット部31aで構成されている。少なくともソケット部31aは磁石と引着する素材(鉄を含む素材)で構成されている。
また、バー本体31cの上面には、スライドバー31を操作するためのハンドル31dが固設されて、該ハンドル31dを持って、スライドバー31を前後方向にスライド操作する構成としている。バー本体31cの後部には、該バー本体31cと本体36後部と繋ぐコード38の一端を挿入するための孔31fが穿設されており、同じくバー本体31cの後部には、スライドバー31の付勢部材である紐状弾性体33(例えば、ゴムひも等)を挿通するための挿通孔31eが形成されている。
【0068】
前記スライドバー31のバー本体31cは、本体36の長手方向に合わせて上面に固定されているレール32に図示せぬベアリングを介して嵌され、該スライドバー31はレール32上を前後方向に円滑に摺動し、このとき上下左右に振れないようにガイドするように構成されている。
【0069】
前記本体36の上部には、紐状弾性体33の一端を掛止するための掛止部材39が固設されており、一方、本体36の右側面には、紐状弾性体33の他端を掛止するための掛止部材34・34・34が固設されている。紐状弾性体33は、その中途部が前記バー本体31cの挿通孔31eに挿通され、両端部が掛止部材39・34において掛止されている。
本体36の右側面に設けられた掛止部材34・34・34は、それぞれピン状の部材であって、異なる前後位置に複数設けられており、紐状弾性体33の一端の掛止位置を前後に選択可能としている。このようにして、スライドバー31の後方へのスライド位置を変更可能として、スライドバー31の付勢力を変更可能としている。但し、紐状弾性体33の代わりに本体36とスライドバー31の間にバネを配置することもできる。この場合コード38を省くことができる。
【0070】
上述の如く、本体36とスライドバー31の間に紐状弾性体33を架設することにより、打ち出しという感覚を付加するとともに、疑似ボール11の打ち出し力を略一定にして、一定の打ち出し力でのフェース角θの違いによる飛び出し状態を知ることができるようにしている。
【0071】
図39に示す如く、擬似ボール11として、表面に十字矢印11bの付いた円盤11aを使用する。円盤11aの裏面は滑らかであるものとする。但し、十字矢印11bの代わりに回転及びその回転方向が認識できるものであれば、その形状は限定するものではなく、外周近傍表面上に丸印等を設けてもよい。擬似ボール11は、クラブヘッドアタッチメントPに応じた大きさとする。また、表面が滑らかな滑り易いプレート状の台上に本体36を設置して、疑似ボール11を打ち出してその飛び出し状態を認識するが、台と疑似ボール11ははっきり区別できるように、色やコンスラストが異なるようにするほうが好ましい。また、台上にスライドバー31の左右中心線を描き、更に、疑似ボール11を置く位置にも左右方向に目盛を付しておくことにより、「ギア効果という機能」を認識して習得するときに位置合わせが容易にできる。この台は本体36と一体的に構成することもできる。
なお、クラブヘッドアタッチメントPの大きさに対する疑似ボール11の大きさを変更することにより、該疑似ボール11を、ゴルフボールのみならず、野球ボールや、テニスボールとして見立てることができる。例えば、疑似ボール11を野球ボールと見立てるときには、クラブヘッドアタッチメントPのフェース面Fに対し、疑似ボール11の直径を大きくする。
【0072】
クラブヘッドアタッチメントPは、習得する技術のイメージに応じて備えられている。各クラブヘッドアタッチメントPには、前記スライドバー31のソケット部31aに磁力により引着させるための磁石55が備えられている。
そして、ソケット部31aに形成された嵌合部に、クラブヘッドアタッチメントPの磁石55が嵌合するように構成されており、クラブヘッドアタッチメントPがソケット部31aに確実に位置固定されるようにされている。
上述の如く、ソケット部31aへのクラブヘッドアタッチメントPの固定に磁力を利用することで、クラブヘッドアタッチメントPの脱着を容易としている。
【0073】
図40に示すクラブヘッドアタッチメントP群は、クラブの「ロフトという機能」を学習するためのものであり、ロフトゼロ度アタッチメントP(26)、ロフト10度アタッチメントP(27)、ロフト30度アタッチメントP(28)、ロフト45度アタッチメントP(29)である。
これらのアタッチメントP(26・27・28・29)は、該アタッチメントPの本体56前面であるのフェース面Fに平面視において傾斜が設けられており、該フェース面Fと対向する本体56後部面の角度とフェース面Fが平行であるときをフェース角θがゼロ度である状態とすると、フェース角θは、ロフトゼロ度アタッチメントP(26)では略ゼロ度、ロフト10度アタッチメントP(27)では略10度、ロフト30度アタッチメントP(28)では略30度、ロフト45度アタッチメントP(29)では略45度とされている。
【0074】
上述の如く、クラブヘッドアタッチメントPのフェース面Fに角度を設けてフェース角θを設定することで、異なるロフト角を有するゴルフクラブを想定できるようにしている。
なお、フェース角θはこれらのアタッチメントPに限定されるものではなく、必要に応じて異なるフェース角θのアタッチメントPを製造することが可能である。
【0075】
1番ウッドのロフト角が11度、5番アイアンのロフト角が31度、9番アイアンのロフト角が47度であることを踏まえて、各アタッチメントPのフェース角θが設定されており、それぞれ、ロフト10度アタッチメントP(27)は1番ウッド、ロフト30度アタッチメントP(28)は5番アイアン、ロフト45度アタッチメントP(29)は9番アイアンの状態であると想定されている。
【0076】
また、図41に示すクラブヘッドアタッチメントP群は、クラブの「フェースの向きという機能」を学習するためのものであり、フェース開きゼロ度アタッチメントP(24)、フェース開き+10度アタッチメントP(25)、フェース開き−10度アタッチメントP(23)である。
これらのアタッチメントP(23・24・25)は、該アタッチメントPの本体56前面であるフェース面Fに平面視において傾斜が設けられており、該フェース面Fと対向する本体56後部面の角度とフェース面Fが平行であるときをフェース角θがゼロ度である状体とすると、フェース角θは、フェース開きゼロ度アタッチメントP(24)では略ゼロ度、フェース開き+10度アタッチメントP(25)では略10度、フェース開き+10度アタッチメントP(25)では略−10度とされている。
なお、フェース角θはこれらのアタッチメントPに限定されるものではなく、必要に応じて異なるフェース角θのアタッチメントPを製造することが可能である。
【0077】
フェース開きゼロ度アタッチメントP(24)はクラブフェースがスクエアフェースのとき、フェース開き+10度アタッチメントP(25)はクラブフェースがオープンフェースのとき、フェース開き−10度アタッチメントP(23)はクラブフェースがクローズドフェースのときを想定されている。
【0078】
図42及び図43に示すクラブヘッドアタッチメントPは、クラブの「ギア効果という機能」を学習するためのものであり、ウッドアタッチメントP(20)及びアイアンアタッチメントP(22)である。
【0079】
ウッドアタッチメントP(20)及びアイアンアタッチメントP(22)の本体56の上面にはスライドバー31のソケットに取り付けるための磁石55が固設されており、本体56の側面にはステー57の後部が固定され、該ステー57の前部にはヘッド部58が固定されている。該ステー57は金属板等弾力性を有する板材で構成し、疑似ボール11を打ち出したときに若干撓む材質のステー57が使用される。前記ヘッド部58の前面がフェース面Fとなっており、ステー57はヘッド部58の略重心Gを支持するように構成されている。
【0080】
ウッドアタッチメントP(20)はウッドクラブのクラブヘッドを、アイアンアタッチメントP(22)はアイアンのクラブヘッドを想定して構成されており、ウッドアタッチメントP(20)のヘッド部58は、アイアンアタッチメントP(22)のヘッド部58より丸みを帯びた形状に形成されている。
なお、アイアンアタッチメントP(22)では、パターのクラブヘッドを想定することもできる。
【0081】
上述の如く構成したゴルフインパクトイメージ習得具30では、図44に示す如く、スライドバー31のソケット部31aに取り付けるクラブヘッドアタッチメントPを、習得しようとする目標に応じて変更し、本体36に記されたボール合わせ位置37に擬似ボール11を配置し、スライドバー31のハンドル31dを持ってスライドバー31を後方へ牽引し、ハンドル31dを離すと、紐状弾性体33の弾性力によってスライドバー31が勢いを持って前方へ摺動する。そして、スライドバー31の前部に連結されたクラブヘッドアタッチメントPと、擬似ボール11が当接し打ち出されれば、擬似ボール11が前方へ飛び出す。
【0082】
次に、前記ゴルフインパクトイメージ習得具30を利用したインパクトイメージの習得方法について説明する。以後、ゴルフボールの打ち出しに倣って、前後左右を表現する。
【0083】
まず、「ロフトという機能」を習得するための打ち出しについて説明する。
このとき、ロフトゼロ度アタッチメントP(26)、ロフト10度アタッチメントP(27)、ロフト30度アタッチメントP(28)、ロフト45度アタッチメントP(29)をゴルフインパクトイメージ習得具30のスライドバー31のソケット部31aに取り付けて疑似ボール11の打ち出しを行う。
【0084】
ロフトゼロ度アタッチメントP(26)を使用し、疑似ボール11を打ち出すと、図45に示す如く、疑似ボール11は回転することなく、真っ直ぐに力強く打ち出され、これが「ロフトという機能」の無作用状態のゴルフボールのインパクトイメージとなる。
【0085】
ロフト10度アタッチメントP(27)を使用し、疑似ボール11を打ち出すと、図46に示す如く、疑似ボール11は僅かに回転しながら(十字矢印11bの回転が認識できる)少し左斜め上に向かって飛び出す。これがロフト角10度のクラブでボールを打ったときの、ゴルフボールに掛かるバックスピンであり、ゴルフボールに加わるスラスト力とトルクによる慣性モーメントであり、ゴルフボールが適度に舞い上がる機能の原理である。これによりロフト角10度のクラブでボールを打ったときの、ゴルフボールの飛び出し角度を含めたインパクトイメージを得ることができる。
【0086】
ロフト30度アタッチメントP(28)を使用し、擬似ボール11を打ち出すと、図47に示す如く、擬似ボール11は回転しながら左斜めに向かって飛び出す。これがロフト角30度におけるゴルフボールのバックスピンであり、ゴルフボールに加わるスピンというスラスト力とトルクによる慣性モーメントであり、ゴルフボールが適度に舞い上がる機能の原理である。これによりロフト角30度のクラブでボールを打ったときの、ゴルフボールの飛び出し角度を含めたインパクトイメージを得ることができる。
【0087】
ロフト45度アタッチメントP(29)を使用し、擬似ボール11を打ち出すと、図48に示す如く、擬似ボール11はバックスピンしながら左斜め上に向かって飛び出す。これがロフト角45度におけるゴルフボールのバックスピンであり、ゴルフボールに加わるスピンというスラスト力とトルクによる慣性モーメントであり、ゴルフボールが適度に舞い上がる機能の原理である。これによりロフト角45度のクラブでボールを打ったときの、ゴルフボールの飛び出し角度を含めたインパクトイメージを得ることができる。
【0088】
打ち出された疑似ボール11の勢いは、ロフトゼロ度アタッチメントP(26)→ロフト10度アタッチメントP(27)→ロフト30度アタッチメントP(28)→ロフト45度アタッチメントP(29)の順に弱くなる。
疑似ボール11の打ち出しエネルギーの一部が回転エネルギーと上方へ動くためのエネルギーに転換されたことにより、疑似ボール11の勢いが弱まったのであり、ロフト角が大きくなれば、より上方へ飛翔するが、飛距離が小さくなるイメージを得ることができる。また、バックスピンがゴルフボールの飛距離を生み出すイメージを得ることができる。
【0089】
次に、「クラブフェースの向きという機能」を習得するための打ち出しについて説明する。
フェース開きゼロ度アタッチメントP(24)を使用して、擬似ボール11を打ち出すと、図49に示す如く、擬似ボール11は回転することなく、真っ直ぐ水平方向に飛び出す。この打ち出しによるフェース面Fの状態と擬似ボール11の挙動が、クラブフェースがスクエアフェースであるときのゴルフボールのインパクトイメージとなる。
【0090】
フェース開き+10度アタッチメントP(25)を使用して、擬似ボール11を打ち出すと、図50に示す如く、擬似ボール11は右回転しながら僅かに左斜め上方に向かって飛び出す。右サイドスピンが起こる要因は、フェース面Fの+10度の開きにより擬似ボール11の重心より左の部分が打撃点となるため発生するトルクと、フェース面Fと打ち出し力の方向の差に起因するスラスト力によるものである。そして、この打ち出しによるフェース面Fの状態と擬似ボール11の挙動が、クラブフェースがオープンフェースであるときのゴルフボールの打ち出し方向も含めたインパクトイメージとなる。
【0091】
フェース開き−10度アタッチメントP(23)を使用して、擬似ボール11を打ち出すと、図51に示す如く、擬似ボール11は左回転しながら僅かに左斜め下方に向かって飛び出す。打ち出された擬似ボール11の飛び出し角度は、それぞれの開き角度或いはかぶり角度のインパクトにおける入射角反射角及びベクトル合成が醸し出す結果であり、ボールの飛び出し角度である。
左サイドスピンが起こる要因は、フェース面Fの−10度の開きにより擬似ボール11の重心より右の部分が打撃点となるため発生するトルクと、フェース面Fと打ち出し力の方向の差に起因するスラスト力である。そして、この打ち出しによるフェース面Fの状態と擬似ボール11の挙動が、クラブフェースがクローズドフェースであるときのゴルフボールの打ち出し方向も含めたインパクトイメージとなる。
【0092】
次に、「ギア効果という機能」を習得するための打ち出しについて説明する。
ギア効果は、クラブヘッドの重心位置を外してボールをヒッティングすることにより起こる。
ウッドアタッチメントP(20)を使用し、擬似ボール11をクラブフェースの重心G位置よりネックサイドに置いて打ち出すと、図52に示す如く、擬似ボール11は僅かに右回転しながら飛び出す。この擬似ボール11の右回転が、ゴルフボールが飛翔しながら右に流れていく要因に繋がるギア効果によるものである。そして、この打ち出しによるフェース面Fの状態と擬似ボール11の挙動が、ギア効果が作用しているゴルフボールの打ち出し方向も含めたインパクトイメージとなる。
【0093】
一方、ウッドアタッチメントP(20)を使用し、擬似ボール11をクラブフェースの重心G位置よりトウサイドに置いて打ち出すと、図53に示す如く、擬似ボール11はギア効果により僅かに左回転しながら飛び出す。この擬似ボール11の左回転は、ゴルフボールが飛翔しながら左に流れていく要因に繋がるギア効果によるものである。
【0094】
上述の如く打撃位置のクラブヘッドの重心からのずれによってゴルフボールに生じるギア効果は、僅かな回転であるが、実際、ゴルフボールの到達地点においてはグリーン径の半分程度の位置ずれが生じる。
例えば、左側にOBラインがある場合のティショットにおいて、左側に行かないボールを打つためには、スタンスはフェアウエーの左側に寄って構えて、クラブフェースのネックサイドでボールを打撃する。打ち出されたボールはフェアウエーの左側に沿って飛び出し、やがて右側に向かってボールが流れて落ちていき、結果としてフェアウエーセンターをキープすることができる。
このとき、力んでしまって、クラブフェースの重心位置よりもトウサイドでボールを打撃し、さらにクローズドフェースとなってしまうと、ボールにフックが掛かり、左側のOBゾーンへ飛んでいくという結果となる。
【0095】
また、特に、クラブヘッドとボールとの間に働く『スラスト力』を確認したいときには、図54に示す如く、ゴルフインパクトイメージ習得具30のクラブヘッドアタッチメントPとして、上記「ロフトという機能」及び「フェースの向きという機能」を確かめるために使用したクラブヘッドアタッチメントと同様の形状のクラブヘッドアタッチメントであり、該クラブヘッドアタッチメントに磁石55の付いていない形状のもの(P(40))を使用する。従って、クラブヘッドアタッチメントP(40)はスライドバー31のソケット部31aに引着せず、クラブヘッドアタッチメントP(40)を所定位置において、スライドバー31を後方へ引き持ち手35から手を離す、打ち出し動作を行えば、クラブヘッドアタッチメントP(40)が飛び出すこととなる。
【0096】
『スラスト力』を視認するためには、上記打ち出し動作を行い、位置固定したボール11にクラブヘッドアタッチメントP(40)を衝突させる。図55に示す如く、ボール11に衝突したクラブヘッドアタッチメントP(40)は、そのフェース面Fの傾きに沿って移動する。これから、インパクト時のボールとクラブヘッドの間で、クラブフェースに沿った方向に移動しようとするスラスト力が働くことを確認することができる。
【0097】
上述の如く、ゴルフインパクトイメージ習得具30は、単純に動作するテスト装置であるが、これを用いることにより、ゴルフクラブの持つ「ロフトという機能」、「フェースの向きという機能」「ギア効果という機能」の各現象を実際に目の当たりにすることができる。従来は、大がかりな打撃ロボットやコンピュータ測定器と、超高速撮影機を通じて実験の世界でしか見ることができなかったが、簡易且つコンパクトな装置で、実際に何度も確かめながら確認してその原理を習得することができる。また、飛んでいくボールを支配するのは「ロフトという機能」、「フェースの向きという機能」「ギア効果という機能」の各現象であるということを確信することができる。そして、所望するボールの飛び方に対する最適なインパクトの在り方のイメージを構築することができる。
このようにして、バーチャルな世界でゴルフのインパクトの原理現象を確認することができ、所望するボールの飛び方に対するインパクトの在り方のイメージが整理されれば、次に、このイメージをグリップ、スタンス、スイング等の、打つための準備動作へのフィードバックすることによって、ゴルフ技術の構築が確実なものとなることが期待される。
【0098】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成したので、以下に示すような効果を奏する。
【0099】
即ち、請求項1に示す如く、所望するゴルフボールの飛び方に対するインパクトの在り方のイメージを構築するために用いるゴルフインパクトイメージ習得具であって、本体と、該本体に摺動移動可能に設けたスライドバーと、該スライドバーの端部に脱着可能に固定され前記スライドバーに伴って前記本体に対して移動する際の先端となるフェース面に所定の傾きが設けられたクラブヘッドアタッチメントと、前記クラブヘッドアタッチメントのフェース面に当接して打ち出され、打ち出されたときの回転及びその回転方向を認識可能とするための模様が表面に付された円盤状の疑似ボールで構成したので、安価で簡易な構成でゴルフのインパクト時におけるボールの飛ぶ方向と回転とを擬似的に認識して「ロフトという機能」「フェースの向きという機能」「ギア効果という機能」のイメージを得ることができる。そして、前記クラブヘッドアタッチメントの疑似ボールの打撃面となるフェース面に所定の傾きを設けたので、ロフト角の異なるクラブやクラブフェースの異なる向きの状態を想定することができる。
【0100】
請求項2に示す如く、前記本体とスライドバーとの間に、前記スライドバーを或往復方向に円滑に動くようにガイドするレールを設けるとともに、前記疑似ボールを前記クラブヘッドアタッチメントにて打ち出すために前記スライドバーを勢いをもって移動させる付勢部材を設けたので、疑似ボールを略一定の強度で打ち出すことができ、習得時に疑似ボールの飛ぶ方向にバラツキがなく、疑似ボールの挙動を客観的に認識することができる。
【0102】
請求項3に示す如く、前記クラブヘッドアタッチメントに磁石を固定し、前記スライドバーの端部に鉄素材から成るソケット部を設けたので、クラブヘッドアタッチメントが容易に脱着でき、変更を簡単に行える。
【0103】
請求項4に示す如く、前記クラブヘッドアタッチメントを、前記スライドバーの端部に固定する基部と、該基部にステーを介して取り付けたヘッド部で構成し、ステーはヘッド部の重心を支持するようにしたので、「ギア効果という機能」のイメージを得るクラブヘッドアタッチメントを簡単に構成でき、擬似的再現も容易にできるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】潜在意識と潜在能力の世界のサイクルを説明する図。
【図2】ゴルフボールの飛び方を示す図。
【図3】ゴルフボールの基本的なスピンを示す図。
【図4】物体とその回転状態を示す図。
【図5】ロフト角ゼロ度のスラスト力によるバックスピン現象を説明する図。
【図6】ロフト角10度のスラスト力によるバックスピン現象を説明する図。
【図7】ロフト角30度のスラスト力によるバックスピン現象を説明する図。
【図8】ロフト角45度のスラスト力によるバックスピン現象を説明する図。
【図9】ロフト角ゼロ度のトルクによるバックスピン現象を説明する図。
【図10】ロフト角10度のトルクによるバックスピン現象を説明する図。
【図11】ロフト角30度のトルクによるバックスピン現象を説明する図。
【図12】ロフト角45度のトルクによるバックスピン現象を説明する図。
【図13】ボールの垂直方向の重心移動を説明する図。
【図14】ボールの垂直方向の飛び出し角度を説明する図。
【図15】クラブ番手とゴルフボールの弾道の例を示す側面図。
【図16】ロフトを立てたとき寝かせたときの原理現象を示す図。
【図17】クラブフェースの向きの三態を示す平面図。
【図18】スクエアフェースでのスラスト力によるサイドスピン現象を説明する図。
【図19】オープンフェースでのスラスト力によるサイドスピン現象を説明する図。
【図20】クローズドフェースでのスラスト力によるサイドスピン現象を説明する図。
【図21】スクエアフェースでのトルクによるサイドスピン現象を説明する図。
【図22】オープンフェースでのトルクによるサイドスピン現象を説明する図。
【図23】クローズドフェースでのトルクによるサイドスピン現象を説明する図。
【図24】ボールの水平方向の重心移動を説明する図。
【図25】ボールの水平方向の飛び出し方向を説明する図。
【図26】ボールの水平方向への球筋を示す図。
【図27】打撃点がクラブのスイートスポットであるときのインパクトを示す平面図。
【図28】打撃点がクラブのネックサイドであるときのインパクトを示す平面図。
【図29】打撃点がクラブのトウサイドであるときのインパクトを示す平面図。
【図30】ボールの水平方向への球筋を示す図。
【図31】スクエアフェースでの球筋を説明する図。
【図32】スクエアフェースでの球筋を説明する平面図。
【図33】オープンフェースでの球筋を説明する図。
【図34】オープンフェースでの球筋を説明する平面図。
【図35】クローズドフェースでの球筋を説明する図。
【図36】クローズドフェースでの球筋を説明する平面図。
【図37】本発明に係るゴルフインパクトイメージ習得具の全体的な構成を示した平面図。
【図38】同じく側面図。
【図39】疑似ボールを示す平面図。
【図40】ロフトという機能のイメージ習得のためのクラブヘッドアタッチメント群を示す図。
【図41】フェースの向きという機能のイメージ習得のためのクラブヘッドアタッチメント群を示す図。
【図42】ウッドアタッチメントを示す図。
【図43】アイアンアタッチメントを示す図。
【図44】ゴルフインパクトイメージ習得具による疑似ボールの打ち出し状体を示す平面図。
【図45】ロフト角がゼロ度のときのインパクトイメージを示す図。
【図46】ロフト角が10度のときのインパクトイメージを示す図。
【図47】ロフト角が30度のときのインパクトイメージを示す図。
【図48】ロフト角が45度のときのインパクトイメージを示す図。
【図49】スクエアフェースのときのインパクトイメージを示す図。
【図50】オープンフェースのときのインパクトイメージを示す図。
【図51】クローズドフェースのときのインパクトイメージを示す図。
【図52】ネックサイドで打撃したときのインパクトイメージを示す図。
【図53】トウサイドで打撃したときのインパクトイメージを示す図。
【図54】スラスト力のイメージ習得のためのゴルフインパクトイメージ習得具を示す図。
【図55】スラスト力の作用イメージを示す図。
【図56】スイング理論を中心としたゴルフの世界を示す図。
【図57】インパクトを科学的に認識したゴルフの世界を示す図。
【符号の説明】
θ フェース角
F フェース面
P クラブヘッドアタッチメント
11 疑似ボール
30 ゴルフインパクトイメージ習得具
31 スライドバー
31a ソケット部
32 レール
33 紐状弾性体
36 本体(ゴルフインパクトイメージ習得具)
55 磁石
56 本体(クラブヘッドアタッチメント)
Claims (4)
- 所望するゴルフボールの飛び方に対するインパクトの在り方のイメージを構築するために用いるゴルフインパクトイメージ習得具であって、
本体と、
該本体に摺動移動可能に設けたスライドバーと、
該スライドバーの端部に脱着可能に固定され前記スライドバーに伴って前記本体に対して移動する際の先端となるフェース面に所定の傾きが設けられたクラブヘッドアタッチメントと、
前記クラブヘッドアタッチメントのフェース面に当接して打ち出され、打ち出されたときの回転及びその回転方向を認識可能とするための模様が表面に付された円盤状の疑似ボールで
構成したことを特徴とするゴルフインパクトイメージ習得具。 - 前記本体とスライドバーとの間に、前記スライドバーを或往復方向に円滑に動くようにガイドするレールを設けるとともに、前記疑似ボールを前記クラブヘッドアタッチメントにて打ち出すために前記スライドバーを勢いをもって移動させる付勢部材を設けた、請求項1に記載のゴルフインパクトイメージ習得具。
- 前記クラブヘッドアタッチメントに磁石を固定し、前記スライドバーの端部に鉄素材から成るソケット部を設けた、請求項1又は請求項2に記載のゴルフインパクトイメージ習得具。
- 前記クラブヘッドアタッチメントを、前記スライドバーの端部に固定する基部と、該基部にステーを介して取り付けたヘッド部で構成し、ステーはヘッド部の重心を支持するようにした、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のゴルフインパクトイメージ習得具。
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