JP4002832B2 - タグされた生物学的活性物質の元素分析 - Google Patents
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Description
本発明は、元素でタグされた生物学的に活性な物質の検出および測定のための方法に関し、さらに、対象となっている試料内の元素の検出および測定に関する。より詳細には、本発明は、原子源または原子イオン源を有する原子質量分光計または光学的分光計を用いた、タグされた免疫グロブリンまたはアンチゲン(抗原)の検出および測定に関する。
【0002】
生物学的物質の検出および測定に種々の方法が用いられている。現在までのところ、これらの測定は、放射性または蛍光性のタグあるいは酵素のタグを用いることにより、一般に容易に行われている。これらの方法のいずれも、生物学的に活性な物質、とくに、原子質量分光計または光学的分光計を用いた検出が後に続くことになる免疫グロブリンおよびアンチゲンにおいて、元素のタグ付けを取り扱うことについて成功してはいない。
【0003】
これまで用いられた方法は、(1)免疫学的アッセイ法(免疫学的検定法)による元素タグ付け、(2)放射性同位体を用いた元素タグ付け、(3)蛍光性を向上させる元素タグ付け、(4)タグ付けを行うことなく元素の化学種の免疫学的検定、および(5)細胞摂取研究のための直接的な元素タグ付けを含んでいる。我々は、これらの分野のそれぞれを順に精査してみることにする。
【0004】
免疫学的アッセイ法(免疫学的検定法)による元素タグ付け
Wang(ワング)は、1984年に米国特許第 4,454,233号において、免疫学的検定の一手段として、質量分光計を利用する可能性について開示した。ワングの手法は、抗体/抗原(アンチゲン)に接合されたタグ付“移動ユニット(mobile unit) ”を最初に用意するための厄介な予備的工程の組を必要とした。好ましい実施態様において、“移動ユニット”は、Fe,Ni,Cu,Coのような重いタグ元素が埋設されたラテックス粒子から構成されていた。
【0005】
ワングが“移動ユニット”を利用する理由の中には、(1)未結合の反応体からの結合反応体の分離の容易さ、(2)移動ユニットの大きさが小さいことによる、多くの抗原/抗体複合体の同時検出、および(3)ラテックス内に埋設されたタグが反応に干渉しないことによる、“不安定”または“反応性”タグの利用の可能性があった。しかしながら、移動ユニットを用意するという厄介な要求のために、ワングの方法は実際的なものではなく、免疫学的検定には使用されなかった。
【0006】
たとえばMANOGOLD TM 粒子のようなコロイド金または非常に小さな(直径が数ナノメートルの)金の熔球を用いることにより、元素がタグされた免疫グロブリンおよび抗原を用いる免疫学的検定もまた可能であった。Van Branchet & Heppelmann (1995)、Wagenknecht ら (1994) 、および Wenzel & Baumeister (1995) は、細胞内のタンパク質構造を視覚化して、電子顕微鏡の使用により受容体−リガンド結合を検出するために、コロイド金を使用した。しかしながら、これらの分析は、定量化性能の欠如という難点があった。
【0007】
Qui & Song (1996) による金属標識化の標識化金属イオンまたは陽極性電流による基質の触媒還元に基づいた発生複合体のポーラログラフィー検定が後に続くことになる、電気化学的な免疫学的検定法において、元素タグもまた使用されてきた。上述の例と同様に、この分析は定量化性能に欠けていた。
【0008】
このように、免疫学的検定法において元素タグが用いられてきたが、このタグ方法は面倒であり、または定量化において役に立たなかった。
【0009】
放射性同位体を用いた元素タグ付け
歴史的には、元素タグの最も一般的な使用は、放射性同位体の使用であった。放射能分析は、低いレベルの検体に対して非常に優れた感度を有することにより選択方法に留まっているが、その一般的な使用は、放射性材料を取り扱う際の制限によって制限されている。
【0010】
蛍光性を向上させる元素タグ付け
最近、蛍光性タグのルミネッセンスを向上させるように、元素タグが用いられたきた。Hinshaw らによる米国特許第 4,637,988号は、蛍光化合物およびキレート剤と複合体を形成するランタニド金属の使用について記述している。Josel らによる米国特許第 5,958,783号は、蛍光発光に基づいたまたは電気化学ルミセッセンスに基づいた分析におけるルミネッセンスグループとして、帯電したリンカーを備えた金属複合体の使用について記述している。
【0011】
しかしながら、これらの蛍光タグ法は、相対的に感度が低いことに関連した欠点を有しており、低濃度のターゲット分子を含む試料の定量分析に問題がある。同様に、蛍光性に基づく方法は、1回の分析ごとにただ一つのまたはせいぜい数個のターゲット物質の定量化および分析に限定されている。
【0012】
元素の化学種の免疫学的検定
Blakeら (1998) ならびにDarnish & Blake (2001)は、蛍光タグと結合する抗体を用いて、キレート化合物となる元素の化学種を認識する抗体と元素の化学種との複合体を形成することによる、元素の化学種の検出および定量化の方法を開示した。
【0013】
ゲルの電気泳動と協働する直接的な元素タグ付け
Binetら (2001) は、分離部位のレーザ除去および質量分析による検出が後に続くことになるゲル電気泳動を用いて分離することにより、タグ付けされていないタンパク質を決定する方法を開示した。しかしながら、この方法は、分光分析により無理なく検出可能な分子に限定されていた。
【0014】
Windら (2001) 、ナガオカおよびマイタニ(2000)、ならびに Baldwin(2001)らは、タンパク質を分離するのに、質量分析による検出が後に続くことになるクロマトグラフィーを使用した。同様に、Chenら (2000) は、有機体の質量分析を用いた検出およびクロマトグラフィーによる分離の前に、タンパク質に13C,15Nおよび2Hの同位体タグを組み入れた。しかしながら、クロマトグラフィーによる分離は、面倒な追加工程である。
【0015】
このため、もしタグを付けなければ、分析中のものに制限されてしまうことになり、分離のためにクロマトグラフィーを使用することは、処理に一つの工程を追加することになる。
【0016】
細胞摂取学のための直接的な元素タグ付け
de Llanoら(1996)およびde Llanoら(2000)は、電子顕微鏡および質量/原子分光分析を用いて、細胞によりコロイド金でタグされた低濃度のリボタンパク質(LDL)の摂取を視覚化して測定する方法を開示した。しかしながら、生物学的材料は直接標識化されたものであったため、ゲル電気泳動は利用されなかった。
【0017】
このように、元素でタグされた生物学的に活性な化合物を視覚化して分析するための種々の方法が開発されてきた。しかしながら、これらは、放射性廃棄物の取り扱いから、蛍光性に基づく分析にともなう低い感度に至るまでの固有の制限を有している。
【0018】
質量分光計または光学的分光計による元素検出と組み合わされる元素タグにより提供される可能性を利用する非常に簡単な生物学的分析の開発について、非常に大きな可能性が存在している。質量分析および分光分析は、高感度、正確な定量化、広範な動的範囲を提供する。生物学的に活性な材料を標識化するための元素を用いることにより、識別可能な非常に多くのタグを作製することができる。
【0019】
本発明は、生物学と、とくに免疫学との学問同士の橋渡しをすることを含んでおり、分析的な原子質量分光分析を含んでいる。本発明は、生物学的分子をタグする、容易かつ簡単な手段を提供する。さらに、本発明は、放射能分析に並ぶまたはこれを超える、優れた検出能力を提供する。本発明は、蛍光性に基づく分析の安全性を提供するとともに、多くの生物学的複合体の同時検出という可能性を備えた、非常に多くの利用可能なタグという追加的な特徴を提供している。また、元素分析の際に化学的複合体の元の状態が維持されている必要がないので、反応タグ複合体の取扱いは洗練されたものでなくてもよい。
【0020】
この20年の間、質量分析または光学的分光分析を用いた誘導結合プラズマ(ICP:inductively coupled plasma)源の開発により、化学的分析の改良がなされてきた。このことは、高マトリクス許容差を備えかつ同位体およびスペクトルの干渉を解決する手段を備えた超高感度の分光計に帰着した。本発明は、生物学的分析において迅速かつ正確な検出および測定を提供する継続した要求と、この分野における開発とを結び付けた。
【0021】
その広い観点において、本発明は、原子質量分光計または光学的分光計による反応複合体の検出・測定および生物学的活性材料のタグ付けについての簡単な方法を提供している。本発明の変形例は、キレート化合物となる元素の化学種と抗体とから複合体を作ることによる元素の化学種の検出および測定と、検体(analyte) に直接タグ付けを行うことによる検体の検出および定量化とを含んでいる。
【0022】
また本発明は、生物学的活性物質の同時または連続した検出および測定を許容するように、多数の一連の化学的タグを使用できるようにする。これは、多重処理(multiplexng) として知られている。
【0023】
本発明の一つの特徴部分によれば、試料内の元素を検出して測定するための方法が提供されており、測定される元素は、検体または検体複合体の一つと結合する生物学的活性物質の上のタグである。当該方法は、i)生物学的活性タグ物質を検体または検体複合物の一つと結合させることと、ii) 結合した生物学的活性タグ物質を、結合していないタグ物質から分離することと、iii)イオン源または原子イオン源を有する原子質量分光計または光学的分光計の一方により、結合したタグ元素を検出して測定することと、を備えている。
【0024】
本発明の他の特徴部分によれば、試料内の元素を検出して測定するための方法が提供されており、測定される元素は、検体または検体複合体の一つと結合する生物学的活性物質の上のタグである。当該方法は、i)遷移元素と結合する生物学的活性物質を検体または検体複合物の一つと結合させることと、ii) 遷移元素を検体に導入することと、iii)イオン源または原子イオン源を有する原子質量分光計または光学的分光計の一方により、元素を検出して測定することと、を備えている。
【0025】
本発明の他の特徴部分によれば、試料内の元素を検出して測定するための方法が提供されており、測定される元素は、試料内の検体と結合する生物学的活性物質の上のタグである。当該方法は、i)生物学的活性物質を遷移元素に直接タグすることと、ii) 生物学的活性タグ物質を、当該生物学的活性タグ物質が検体と結合するところの試料内の検体に結合させることと、iii)結合した生物学的活性タグ物質を、結合していないタグ物質から分離することと、iv) 原子源または原子イオン源を有する原子質量分光計または光学的分光計の一方により、結合タグ元素を検出して測定することと、を備えている。
【0026】
本発明の他の特徴部分によれば、試料内の元素を検出して測定するための方法が提供されており、ここでは、第1の生物学的活性物質が試料内の検体と結合しており、測定される元素は、第1の生物学的活性物質と結合する第2の生物学的活性物質の上のタグである。当該方法は、i)第1の生物学的活物質を、当該第1の生物学的活性物質が検体と結合するところの試料内の検体に結合させることと、ii) 結合した生物学的活性物質を、結合していない生物学的活性物質から分離することと、iii)第2の生物学的活性物質を遷移元素に直接タグ付けすることと、iv) 第2の生物学的活性物質が第1の生物学的活性タグ物質に結合するところの試料内に第2の生物学的活性タグ物質を導入することと、v)結合した生物学的活性タグ物質を、結合していないタグ物質から分離することと、vi) 原子源または原子イオン源を有する原子質量分光計または光学的分光計の一方により、結合タグ元素を検出して測定することと、を備えている。
【0027】
本発明の他の特徴部分によれば、試料内の元素を検出して測定するための方法が提供されており、ここでは、第1の生物学的活性物質が試料内の検体と結合するとともに、第2の生物学的活性分子が第1の生物学的活性物質と結合しており、測定された元素は、第2の生物学的活性物質と結合する第3の生物学的活性物質の上のタグである。当該方法は、i)第1の生物学的活物質を、当該第1の生物学的活性物質が検体と結合するところの試料内の検体に結合させることと、ii) 結合した生物学的活性物質を、結合していない生物学的活性物質から分離することと、iii)第2の生物学的活性物質が第1の生物学的活性物質と結合しているところの試料内に第2の生物学的活性物質を導入することと、iv) 結合した生物学的活性物質を、結合していない生物学的活性物質から分離することと、v)第3の生物学的活性物質を遷移元素に直接タグ付けすることと、vi) 第3の生物学的活性タグ物質が第2の生物学的活性物質に結合するところの試料内に第3の生物学的活性タグ物質を導入することと、vii)結合した生物学的活性タグ物質を、結合していないタグ物質から分離することと、viii) 原子源または原子イオン源を有する原子質量分光計または光学的分光計の一方により、結合タグ元素を検出して測定することと、を備えている。
【0028】
本発明の他の特徴部分によれば、試料内の元素の化学種における元素を検出して測定するための方法が提供されており、ここでは、キレート化合物となる元素の化学種に特有の抗体が、キレート化合物となる元素の化学種に結合している。当該方法は、i)元素の化学種のキレート化合物をつくることと、ii) 試料内に抗体を導入することと、iii)抗体が結合したキレート化合物の元素の化学種の複合体を試料から分離することと、v) 原子源または原子イオン源を有する原子質量分光計または光学的分光計の一方により、取り除かれた複合体に含まれていた元素の化学種における元素を検出して測定することと、を備えている。
【0029】
本発明の他の特徴部分によれば、元素の化学種を含む試料内の元素を検出して測定するための方法が提供されており、測定される元素は、キレート化合物となる元素の化学種に特有の抗体の上のタグである。当該方法は、i)元素の化学種のキレート化合物をつくることと、ii) 抗体に遷移元素をタグ付けすることと、iii)タグ抗体がキレート化合物の元素の化学種と結合する試料内にタグ抗体を導入することと、iv) タグ抗体が結合したキレート化合物の元素の化学種を試料から分離することと、v) 原子源または原子イオン源を有する原子質量分光計または光学的分光計の一方により、取り除かれた複合体に含まれていた元素を検出して測定することと、を備えている。この特徴部分の変形例は、元素の化学種における元素の測定および検出を含むとともに、元素の化学種における元素およびタグ元素の双方の測定および検出を含んでいる。
【0030】
本発明の他の特徴部分によれば、試料内の元素を検出して測定するための方法が提供されており、測定される元素は、試料内の検体の上のタグである。当該方法は、i)検体を遷移元素でタグ付けすることと、ii) タグ検体を含む試料を電気泳動させることと、iii)原子源または原子イオン源を有する原子質量分光計または光学的分光計の一方により、タグ検体を検出して測定することと、を備えている。
【0031】
本発明の他の特徴部分によれば、試料内の元素を検出して測定するための方法が提供されており、測定される元素は、試料内の検体と結合する生物学的活性物質の上のタグである。当該方法は、i)遷移元素に結合するところの生物学的活性物質に検体を結合させることと、ii) タグ検体を含む試料を電気泳動させることと、iii)電気泳動させた試料に遷移元素を導入することと、iv) 原子源または原子イオン源を有する原子質量分光計または光学的分光計の一方により、元素を検出して測定することと、を備えている。
【0032】
本発明の他の特徴部分によれば、試料内の元素を検出して測定するための方法が提供されており、測定される元素は、試料内の検体と結合する生物学的活性物質の上のタグである。当該方法は、i)遷移元素に結合するところの生物学的活性物質に検体を結合させることと、ii) 元素が生物学的活性物質にタグ付けするところの試料に遷移元素を導入することと、iii)原子源または原子イオン源を有する原子質量分光計または光学的分光計の一方により、元素を検出して測定することと、を備えている。この特徴部分の好ましい実施態様は、検体が細胞であるところの方法である。
【0033】
本発明の他の特徴部分によれば、試料内の元素を検出して測定するための方法が提供されており、測定される元素は、試料内の検体と結合する生物学的活性物質の上のタグである。当該方法は、i)生物学的活性物質を遷移元素でタグ付けすることと、ii) 検体を含む試料を電気泳動させることと、iii)検体を含む試料に生物学的活性タグ物質を導入することと、iv) 原子源または原子イオン源を有する原子質量分光計または光学的分光計の一方により、元素を検出して測定することと、を備えている。
【0034】
本発明の他の特徴部分によれば、試料内の元素を検出して測定するための方法が提供されている。ここでは、第1の生物学的活性物質が試料内の検体に結合しており、測定される元素は、第1の生物学的活性物質と結合する第2の生物学的活性物質の上のタグである。当該方法は、i)検体を含む試料を電気泳動させることと、ii) 第1の生物学的活性物質が検体と結合するところの試料内に第1の生物学的活性物質を導入することと、iii)第2の生物学的活性物質を遷移元素でタグ付けすることと、iv) 第2の生物学的活性タグ物質が第1の生物学的活性物質と結合するところの試料内に第2の生物学的活性タグ物質を導入することと、v)原子源または原子イオン源を有する原子質量分光計または光学的分光計の一方により、元素を検出して測定することと、を備えている。
【0035】
本発明の好ましい特徴部分によれば、上述した特徴部分のうちのいずれかの測定・検出方法が設けられており、そこでは、生物学的活性タグ物質は、市販された製品である。
【0036】
本発明の他の好ましい特徴部分によれば、上述した特徴部分のいずれかの測定・検出方法が提供されており、そこでは、原子源または原子イオン源が、誘導結合プラズマ、黒鉛炉、マイクロ波誘導プラズマ、グロー放電、容量結合プラズマ、エレクトロスプレー法、MALDI(Matrix Assisted Laser Desorption Ionization /マトリクス支援レーザ遊離イオン化法)およびコロナ放電からなるグループから選択されている。
【0037】
本発明の他の好ましい特徴部分によれば、上述した特徴部分のいずれかの測定・検出方法が提供されており、そこでは、原子源または原子イオン源が、誘導結合プラズマ源である。
【0038】
本発明の他の好ましい特徴部分によれば、上述した特徴部分のいずれかの測定・検出方法が提供されており、そこでは、検出・測定工程が、光学的分光計または質量分光計を使用している。
【0039】
本発明の他の好ましい特徴部分によれば、上述した特徴部分のいずれかの測定・検出方法が提供されており、そこでは、元素が同位体またはイオンである。
【0040】
本発明の他の好ましい特徴部分によれば、上述した特徴部分のいずれかの測定・検出方法が提供されており、そこでは、元素が、貴金属、ランタニド、希土類元素、金、銀、プラチナ、ロジウム、イリジウムよびパラジウムからなるグループから選択されている。
【0041】
本発明の他の好ましい特徴部分によれば、上述した特徴部分のいずれかの測定・検出方法が提供されており、そこでは、タグ工程が、元素を生物学的活性物質および検体の一つに共有結合させることを含んでいる。
【0042】
本発明の他の好ましい特徴部分によれば、上述した特徴部分のいずれかの測定・検出方法が提供されており、そこでは、生物学的活性物質が、抗体、抗原、ホルモン、成長因子、受容体、タンパク質および核酸からなるグループから選択されている。
【0043】
本発明の他の好ましい特徴部分によれば、上述した特徴部分のいずれかの測定・検出方法が提供されており、そこでは、タグが一つ以上の元素を含んでいる。
【0044】
本発明の他の好ましい特徴部分によれば、上述した特徴部分のいずれかの測定・検出方法が提供されており、そこでは、タグが一つ以上の同位体を含んでいる。
【0045】
本発明の他の好ましい特徴部分によれば、上述した特徴部分のいずれかの測定・検出方法が提供されており、そこでは、タグが、同位体の一つ以上の原子を含んでいる。
【0046】
本発明の他の好ましい特徴部分によれば、上述した特徴部分のいずれかの測定・検出方法が提供されており、そこでは、タグが、各同位体の異なる数の原子を含んでいる。
【0047】
本発明の他の好ましい特徴部分によれば、上記特徴部分のいずれかに記述された測定・検出方法が提供されており、その方法は、同時測定のために、識別可能な元素タグを有する2つまたはそれ以上の生物学的活性物質または検体を、対象となる試料内に導入する別の工程を備えている。
【0048】
本発明の他の好ましい特徴部分によれば、上記特徴部分のいずれかに記述された測定・検出方法が提供されており、その方法は、レーザ除去を含む試料導入のための別の工程を備えている。
【0049】
本発明の他の好ましい特徴部分によれば、上記特徴部分のいずれかに記述された測定・検出方法が提供されており、その方法では、試料導入が、少なくとも一つの元素によってタグされた生物学的活性物質または検体を含むポリアクリルアミドまたはアガロースゲルのレーザ除去を含んでいる。
【0050】
本発明の他の好ましい特徴部分によれば、上記特徴部分のいずれかに記述された測定・検出方法が提供されており、その方法では、試料導入が、非自然の(un-natural)同位体組成を有する少なくとも一つの元素の原子によってタグされた生物学的活性物質または検体を含むポリアクリルアミドまたはアガロースゲルのレーザ除去を含んでいる。
【0051】
本発明の他の好ましい特徴部分によれば、上記特徴部分のいずれかに記述された測定・検出方法が提供されており、その方法では、試料導入が、動物組織の試料のレーザ除去を含んでいる。
【0052】
本発明の他の好ましい特徴部分によれば、上記特徴部分のいずれかに記述された測定・検出方法が提供されており、その方法では、試料導入が、細胞培養のレーザ除去を含んでいる。
【0053】
本発明の他の特徴部分によれば、上述した特徴部分のいずれかによる、分子の検出・測定システムが提供されている。
【0054】
本発明の他の特徴部分によれば、上記特徴部分のいずれかに記述された、元素の検出・測定のための原子質量分光計または光学的分光計の一方の使用が提供されている。
【0055】
本発明の他の特徴部分によれば、上記特徴部分のいずれかに記述された、元素の化学種の検出・測定のための原子質量分光計または光学的分光計の一方の使用が提供されている。
【0056】
本発明の他の特徴部分および利点は、以下の詳細な説明により明らかになるだろう。その一方、詳細な説明および本発明の特定の好ましい実施態様が、例示としてのみ与えられているということが理解されるべきである。このため、この詳細な説明から、本発明の精神および目的の範囲内での種々の変更および修正は、当該分野の当業者には明らかであろう
【0057】
定義
本願での使用に関して:
“検体(analyte) ”は、分析において識別されて測定される任意の物質を意味しており、元素の化学種、元素の化学種のキレート複合体、細胞、ウイルス、細胞以下の粒子、より具体的な抗体を含むタンパク質、免疫グロブリン、リポタンパク質、糖タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、DNAおよびRNAを含む核酸、PNA(peptidic nucleic acids)、オリゴ糖、多糖、リボ多糖、細胞代謝、ハプテン、ホルモン、薬理学的活性物質、アルカロイド、ステロイド、ビタミン、アミノ酸、ならびにショ糖を含むが、これらには限定されない。
【0058】
“検体複合体(analyte complex) ”は、他の分子または生物学的活性物質に結合した検体を意味している。
“動物(animal)”は、動物界のすべての構成員を意味している。
【0059】
“原子質量分析計(atomic mass spectrometer)”は、原子イオンを発生するとともに、質量/電荷比に基づいて原子イオンを検出する質量分析計を意味している。
【0060】
“生物学的活性物質(biologically active material(s)) ”は、現実に見出される任意の生物学的物質を意味しており、細胞、ウイルス、細胞以下の粒子、より具体的な抗体を含むタンパク質、免疫グロブリン、リポタンパク質、糖タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、DNAおよびRNAを含む核酸、PNA(peptidic nucleic acids)、オリゴ糖、多糖、リボ多糖、細胞代謝、ハプテン、ホルモン、薬理学的活性物質、アルカロイド、ステロイド、ビタミン、アミノ酸、ならびにショ糖を含んでいる。
【0061】
“容量結合プラズマ(CCP:capacitively coupled plasma)”は、黒鉛または石英の筒内において、大気圧下または低圧(典型的には1〜500トールの圧力)下で高周波の無線周波数の容量結合によってプラズマが確立されるイオン化源を意味している。
【0062】
“コロナ放電(corona)”は、電圧勾配が臨界値を超えて、スパークは生じさせないものの周囲ガスのイオン化を生じさせるように、対向電極面(典型的にはイオンサンプリング開口を含む)に対して導体(典型的には針)に電圧が印加されているイオン化源を意味している。
【0063】
“元素化学種(elemental species) ”は、他の原子または原子団に結合された金属を含む分子を意味している。たとえば、亜セレン酸塩(SO3 -2) 、セレン酸塩(SO4 -2) 、メチルセレノシステイン、セレノメチオニンは、セレニウムの元素化学種である。
【0064】
“タグされた元素(element tagged)”は、貴金属またはランタニドを含む遷移元素でタグされた分子を意味している。
“元素のタグ(elemental tag) ”は、生物学的活性物質または検体をタグ(標識化)するのに用いられる、貴金属またはランタニドを含む任意の遷移元素を意味している。
【0065】
“エレクトロスプレー(electrospray)”は、十分に高い電位が印加されることにより、液体試料がチューブから霧状にされるイオン化源を意味している。このイオン化源はまた、小さな滴に電荷を与えており、その結果として生じる小さな帯電滴は気化して、小さな帯電滴または帯電分子イオンをばらばらにする。
【0066】
“Fab”は、免疫グロブリンとのパパイン反応によって得られる抗体における抗原結合フラグメントを意味している。
“Fab’”は、抗体の抗原結合フラグメントを意味している。Fab’は、2つのジスルフィド結合の開裂(cleavage)が後に続くことになる、免疫グロブリンとのペプシン反応によって得られる。
【0067】
“グロー放電(GD: Glow discharge)”は、典型的にはアルゴン、窒素または空気のような低圧(典型的には0.01トールと10トールの間の圧力)ガス内で電極間に直流(あまり一般的ではないが無線周波数の)電位をかけることにより放電が確立されるイオン化源を意味している。
【0068】
“黒鉛炉(graphite furnace)”は、加熱黒鉛チューブを備えた気化・原子化源を含む分光計システムである。炉内における元素の分光分析は、光吸収または光放出によって達成されている。あるいは、光学分析または質量分析による決定および励起のために、試料は、炉からプラズマ源(たとえば、容量結合プラズマ)に搬送される。
【0069】
“誘導結合プラズマ(ICP:inductively coupled plasma) ”は、高周波エネルギの誘導結合によって、プラズマが不活性ガス(通常、アルゴン)内で確立される原子化・イオン化源を意味している。励起力の周波数は、メガヘルツの範囲内にある。
【0070】
“ランタニド(lanthanide)”は、原子番号58〜71の任意の元素を意味している。これらはまた、希土類元素と呼ばれる。
【0071】
“マトリクス支援レーザ遊離イオン化法(MALDI:Matrix Assisted Laser Desorption Ionization)”は、典型的には低圧下でレーザ照射にさらされることによって、マトリックス(典型的には、クリスタリンの形態で分析される)で混合された試料から、イオンが生成されるイオン化源を意味している。
【0072】
“質量分析計(mass spectrometer) ”は、気体内でイオンを生成させるとともに、その質量/電荷比に応じてイオンを分析するための器械を意味している。
【0073】
“マイクロ波誘導プラズマ(MIP:microwave induced plasma) ”は、マイクロ波結合によって、不活性ガス(典型的には、窒素、アルゴンまたはヘリウム)内でプラズマが確立される原子化・イオン化源を意味している。励起力の周波数は、ギガヘルツの範囲内にある。
【0074】
“多重処理(multiplexing)”は、生物学的活性物質の同時または連続した検定・測定のために、一つ以上の元素タグを使用することを意味している。
【0075】
“貴金属(noble metel) ”は、いくつかの金属元素のうちの任意のものを意味しており、その電気化学的電位は標準的な水素電極の電位よりもかなり高く、したがって、酸化しにくい元素である。この例は、パラジウム、銀、イリジウム、プラチナおよび金である。
【0076】
“光学的分光計(optical spectrometer)”は、光の波長またはプリズムの屈折率のいずれかを測定するように較正された器械を意味しており、原子放出分光計および原子吸収分光計を含んでいる。
【0077】
“プラズマ源(plasma source) ”は、ホットガス(通常、アルゴン)を含む原子源または原子イオン源を意味しており、そこには、(ほぼ)等しい数の電子およびイオンが存在するとともに、デバイ長(Debye length)が源の大きさに対して小さくなっている。
【0078】
“希土類金属(rare earth metals) ”は、原子番号58〜71の任意の元素を意味している。これらはまた、“ランタニド”とも呼ばれている。
【0079】
“試料(sample)”は、検体を含む、または検体を含むと推測される任意の組成の液体、固定または気体を意味している。
【0080】
“遷移元素(transition element)”は、原子番号21〜29、39〜47、57〜79および89を有する任意の元素を意味している。遷移元素は、希土類元素、ランタニドおよび貴金属を含んでいる(Cotton & Wilkinson, 1972, 528-530頁) 。
【0081】
本発明には、多くの特徴部分がある。
第1の特徴部分は、試料内の検体に結合する生物学的活性物質の標識化(labeling)を含んでいる。多くの場合、この生物学的活性物質は、免疫グロブリンまたは抗体(アンチゲン)であろう。元素は、原子源または原子イオン源を有する原子質量分光分析計または光学的分光分析計によって検出される。実例1,2,3,4,5,6,7,8,10,14,15および16は、本発明のこの特徴部分をより詳細に記述している。
【0082】
本発明のこの特徴部分に含まれる個々のステップは、当該分野の当業者には知られているが、免疫学的分析を分光分析に結び付けたことは、新規であり、創作性がある。個々のステップの各々については、本願における材料および方法の欄に記載されている。
【0083】
本発明のこの特徴部分の利点は、以下のとおりである。(1)微量の検体の検出を許容する。(2)多重処理、時間および資源の節約、ならびに試料の良好な分析の提供を許容する。(3)酵素反応を待つ必要がなく、ICP−OES/MSによる測定時間が放射性物質のタグ測定よりも短いので、検体が非常に迅速である。(4)広範な動的範囲を有している。(5)放射性同位体が要求されないので、安全な作業環境を作り出すとともに、有毒廃棄物を排除する。(6)反応複合体を保存する必要がなく、複合体を分解して溶液中の元素を安定させるのに酸発生媒体の使用を許容し、これにより、分析前に試料の貯蔵期間を増加させる。
【0084】
第2の特徴部分は、元素の化学種の決定を含んでいる。質量分光分析(質量分析)が元素の化学種を識別することができない場合には、元素の化学種の検出のために、質量分析に結び付けた抗体の使用が、その識別を許容する。実例11、12および13が、本発明のこの特徴部分をより詳細に記述している。この特徴部分においては、実例13に示すように、多重処理が用いられている。再び、この特徴部分の利点は、以下のとおりである。(1)微量の検体の検出を許容する。(2)多重処理を許容する。(3)検体が非常に迅速である。(4)広範な動的範囲を有している。(5)放射性同位体の使用を回避できる。(6)反応複合体を保存する必要がない。(7)クロマトグラフィーによる分離が必要とされないので、分析速度を速め、分析を簡単にする。
【0085】
第3の特徴部分は、検体の直接的な標識化である。この第3の特徴部分に含まれる個々のステップは、当該分野の当業者には知られているが、直接的標識化を質量分析に結び付けたことは、新規であり、創作性がある。実例17は、本発明のこの第3の特徴部分について記述している。この特徴部分の変形例は、実例9に記述されている。再び、この第3の特徴部分の利点は、以下のとおりである。(1)微量の検体の検出を許容する。(2)多重処理を許容する。(3)検体が非常に迅速である。(4)広範な動的範囲を有している。(5)放射性同位体の使用を回避できる。(6)反応複合体を保存する必要がない。(7)クロマトグラフィーによる分離が必要とされないので、分析速度を速め、分析を簡単にする。
【0086】
本発明のすべての特徴部分において、生物学的活性物質を検体に追加でき、または検体を生物学的活性物質に追加できるということが理解される。さらに、検体の複合体は、以下に略述される実例に見られるように、分子を検体に結合させることによって形成することができる。実例においては、一連の抗体(第1、第2、第3の)が検体と共役になっている。
【0087】
タグ元素 (Tagging Element)
本発明の方法において採用される元素の選択は、調査中の試料マトリックスの天然存在度に基づいて選択されるのが好ましい。選択性、特異性、ならびに再現可能な結果および正確な定量化のための適切な基準を提供する能力を獲得するためには、タグ元素が低い天然存在度を有しているべきであることが明らかである。たとえば、好ましい実施態様においては、タグ物質として、希土類元素または金が用いられている。さらに、他の実施態様においては、試料内に元々存在する元素とタグ物質とを識別するために、稀な同位体組成のタグが使用されている。この場合には、たとえば鉄、カリウム、ニッケルまたはナトリウムの非放射性同位体が、元素分析を採用する、自然界に豊富な同位体から首尾よく識別することができる。
【0088】
各々の特定の組の抗原および抗体について最も安定した高感度の量的結果を生成するためには、元素タグの大きさ(元素分析により検出可能な原子の、各抗原−抗体共役体(antigen-antibody conjugate)に対する比)は、変えられてもよい。
【0089】
本発明の好ましい実施態様においては、タグ物質が各分析で異なるように選択されているのであれば、いくつかの共役体(conjugates)を一つの試料で同時に用いることができる。この実施態様では、採用する装置に応じて、異なるタグ元素を同時にまたは連続して定量化するために、好ましいICP−MS技術が使用されている。
【0090】
本発明の方法による多くのアプリケーションは、各抗体または抗原について単一の元素タグを使用することを含んでいるが、抗体または抗原が一つ以上の元素にタグされるということが当該分野の当業者にはすぐに理解されるべきである。安定した250以上の同位体を有する80以上の元素が自然界には分布しているので、選択のための非常に多くの元素、同位体およびその組合せが存在している。
【0091】
たとえば、たった4個の異なる同位体から構成される識別可能な20個の3原子タグ、異なる10個の同位体から構成される識別可能な100万個の15原子タグ、または異なる5個の同位体から構成される70原子タグがある。組み合わされるときに識別可能なタグを有する必要があることによって定められる制限の範囲内で、非常に多くの生物学的タグ複合体の同時検出を許容する。
【0092】
もしタグ元素の相対存在量が、与えられた分析中の試料内の元素の相対存在量と十分に異なっていれば、有利である。ここで、“十分に異なる”ことによって、本発明の方法において、分析中の試料に含まれるバックグランド元素の上でターゲット抗体または抗原を検出することが可能になるということが意味されている。確かに、これは、タグ抗体または抗原と試料の分析に有利に使用される試料マトリックスとの元素間の比の違いである。
【0093】
分析中に妨害信号を発生しない元素タグを選択することは可能である。したがって、一つの試料において、2つまたはそれ以上の分析的決定が同時になされることになる。さらに、元素タグが多くの原子を含んで作製できるため、測定信号をかなり増幅できる。
【0094】
金属イオンおよび元素化学種の検出
上述したように、本発明による方法の重要なアプリケーションは、有機体、動物および人間を含む周囲環境における有毒金属のような、試料中の金属の検出である。好ましくは、本発明は、周囲環境における金属を検出する。その一方、当該分野の当業者にはすぐに明らかなことであるが、金属の毒性は、酸化状態と、多くの場合、元素化学種の化学的構造とによって決まる。
【0095】
たとえばICP源を使用するような元素検出器は、試料中の元素の総量を決定することができるが、異なる化学種を識別することはまずできない。ICPの前に試料を予め分離するために、異なる形態のクロマトグラフィーを用いようとする試みが継続してなされているが、このアプローチは、試料の完全な状態、つまり試料準備中の酸化状態の維持についての懸念で悩まされてきた。本発明による方法は、種形成の検出についての長年の問題を克服した手段を提供している。
【0096】
本発明のさらなる実施態様においては、好ましくは有毒金属、より好ましくは環境上の/生物学的試料における金属イオンの濃度を測定する方法が提供されている。この方法は、与えられた有毒金属において選択された種形成状態に特有の抗体を準備することと、有毒金属を含むと推測される溶液に前記抗体を反応させることと、ICP−MSの適用により、結果として生じる複合体を検出することとを備えている。与えられた有毒金属において選択された種形成状態に特有の抗体を準備するための方法は、当該分野の当業者には知られており、たとえば、 Bossletら (1999) 、 Blakeら (1998) およびBordesら (1999) に記述されている。
【0097】
本発明のさらなる実施態様においては、タグ抗体が、種形成された元素を含む試料に追加されている。試料は、2つの部分に分割されている。試料の第1の部分は、総種形成元素のために分析される。試料の第2の部分においては、反応複合体が非反応部分から分離されている。タグ元素および種形成元素は、反応試料中で定量化される。種形成元素は、非反応試料中においても定量化される。この例では、結果が相補的なデータを提供しており、問題となっている特定の化学種の一部が決定される。
【0098】
上でも述べたように、本発明による方法の重要なアプリケーションは、タグ分子が電気泳動によって分離されているポリアクリルアミドゲルのレーザ除去によって、試料中のタグの元素を検出することである。このアプリケーションは、試料を破壊することなく、ゲル中の生体分子を迅速に分析するのに用いることができる。
【0099】
また、微小除去技術を採用することにより、癌細胞群のマーカーにとくに装着された元素タグ抗体を用いてバイオプシー試料の組織構造部分において、癌細胞を正常細胞から識別することが可能になる。
以下の項は、本発明を実行するのに必要な方法および物質について記述している。
【0100】
方法および物質
ICP−MS技術
ICP−MSまたはOESを使用する技術は、本発明の目的のために適用され得る。
これは、最近実現されたものでは、たとえば、Tannerら(2000a) 、 Baranovら(1999)、Tannerら (1999) 、Tannerら (2000b)および Banduraら(2000)に記述されている。このように成功した改造型のICP−MSは、動的反応細胞を含んでおり、これは、原子質量分析において同重核の妨害を減少させるために用いられている。簡潔に言えば、ICP−DRC−MS技術は、試料粒子が原子化およびイオン化されている高温のプラズマと、プラズマを検体イオンとともに大気から真空中に輸送するように設計された真空インターフェースと、イオンを集める光学系と、イオン電流および質量分析装置(4極子、TOFまたは磁気セクター)の化学的修飾(chemical modification) のための動的反応細胞とを備えている。試料は、通常、小さな滴の飛沫として(液体試料)、または粒子(固体表面のレーザ除去)の流れとして、プラズマに導入されている。
【0101】
原子源および原子イオン源
原子源または原子イオン源は、以下の源から生成することができる。すなわち、誘導結合プラズマ(ICP)、黒鉛炉、マイクロ波導入プラズマ(MIP)、グロー放電(GD)、容量結合プラズマ(CCP)、電気スプレー、MALDIまたはコロナ放電である。
【0102】
本発明の方法による好ましい実施態様によれば、元素でタグされた抗体、または、問題となっている金属に関する抗体が採用されている。問題となっているターゲットと結合する抗体は、引用することによって本明細書の中に含まれるKohler & Milstein (1975)、 Wakabayashiら(1990)、Frackeltonら(1985)およびGillis(1983)に記述されたような、当該分野で知られた技術を用いて準備することができる(Kennett, McKearn & Bechtol (1980) および Harlow & Lane (1988) も参照のこと.これらもまた、引用することによって本明細書の中に含まれる)。
【0103】
本発明の範囲において、抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、抗体フラグメント(例:Fab’およびF(ab')2)および組み換えで発生した結合パートナーを含むものと理解される。抗体は、10-6Mよりも大きなまたはこれに等しい親和力をもってターゲットに結合するのであれば、ターゲット抗原に対してよく反応するものと理解されている。
【0104】
生物学的活性物質のタグ付け
好ましくは、タグ元素は、活動(タグされた共役体)を低下させることなく、たとえば抗体のような生物学的活性物質に結合されるナノ粒子の形態をとっている。元素のタグを生物学的活性タグ物質に結合させる技術の例は、当該分野の当業者には知られている。
【0105】
たとえば、Barlett, P. A.ら (1978) は、直径0.8nmの11金原子の核を有する金属クラスター化合物(Au11)について記述している。11金原子(undecagold)クラスター化合物における11金原子の金属核は、PAr3グループの有機殻で被われている。この金属クラスター化合物は、たとえば、Au11 をFab' の抗体フラグメントおよび他の生物学的化合物と共役体にすることによって、金の免疫プローブを形成するのに使用されてきた。
【0106】
プローブとして用いられてきたもう一つの金属クラスター化合物は、ナノゴールド (NanogoldTM) である。NanogoldTMは、11金(undecagold)と同様に有機グループ(PAr3)の殻で被われた、50〜70個(正確な数は未だ知られていないが、67個の金属原子があると考えられている)の金属原子を有する金属核である。NanogoldTMの金属核は、直径1.4nmである。
【0107】
本発明による方法で用いられる生物学的タグの準備のための技術の最近の記述は、Hainfeldら (1996) による米国特許第 5,521,289号に見い出される。簡潔に言えば、Hainfeldら (1996) は、とりわけ、チオールを含む化合物を溶液中で金と反応させることで有機−金複合体を形成することにより生成されるチオール金クラスターについて記述している。第2の当量もまたチオール化合物に付加されている。最後に、金の有機化合物が、NaBH4 または他の還元剤で還元されて、有機金属の粒子が生成される。これらは、一般的な式Aun Rm R'1…を有している。ここで、n,mおよび1は整数であり、R,R’は有機チオール(例:アルキルチオール、アリールチオール、チオールを含むタンパク質、チオールを有するペプチドまたは核酸、グルタチオン、システイン、チオグルコース、チオ安息香酸など)である。
【0108】
次に、有機部分は、この粒子を、抗体、脂質、炭水化物、核酸、またはプローブを形成するための分子に共有結合させるために、よく知られた反応で反応させられる。有機チオールの混合物は、クラスターに対して、混合された機能を提供日するように用いられている。これらの有機−金クラスターは、100℃の加熱に対して安定している。
【0109】
これらの有機−チオール金の準備はまた、金の代わりの金属として、プラチナ、銀、パラジウムおよび他の金属を用いて、あるいは、混合金属クラスターに帰着することになる、金および銀のような金属のイオンの混合物を用いて、同様の処理により行うようにしてもよい。金属クラスターおよび試料のその他すべての成分は、後続のMSまたはOES分析のために高温のICPにおいてすぐに原子化されイオン化される。
【0110】
分離技術
本発明の一実施態様によれば、タグされた共役体は、分析のために、ろ過技術を採用することにより分離される。たとえば、タグされた共役体を有する抗原を定温放置した後で、試料は、サイズにより分離する遠心フィルタでろ過処理を受ける。未反応のタグ検体は、未反応の抗原を含む試料混合物の他の成分とともに、フィルタを通過してろ過液に入る。抗原および抗体の共役体の複合体は、フィルタに残り、洗浄された後、酸性溶液中で安定化される。
【0111】
試料の完全な状態(つまり化学的形態において)は、分離後には重要でないので、分離された試料は、(たとえば酸性媒体において)酸性化され/分割され/安定化される。そして、定量分析が、好ましくは、ICP−MS技術を用いて実行される。各システムに対してすべての試薬の最適な濃度は、一連の希釈実験において決定されるべきであり、計量される試薬の濃度は、標準曲線の動的範囲内に存在していなければならない。
【0112】
当該分野の当業者にはすぐに明らかなように、遊離した物質または非複合体タンパク質を複合体物質から分離する他の技術、たとえば、塩析法、クロマトグラフィー、電気泳動、ゲルろ過処理、分別、吸収、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、凝集法、またはこれらの組合せを採用するようにしてもよい。
【0113】
本明細書の開示の観点から、当該分野の当業者は、本発明による方法の他の方法およびアプリケーションをすぐに理解するだろう。
以下の実例は、限定的なものではなく、本発明の種々の側面および特徴部分を表しているのにすぎない。
【0114】
実例
実例1. Nanogold TM 免疫学的検定法
以下は、Nanogold-IgGTM(またはNanogold-Fab'TM ; Nanoprobes (ナノプローブ))免疫学的検定法およびそのプロトコルを用いた本発明による方法の一例を提供している。PBS緩衝液Aは、以下のようにして用意される。すなわち、150mMのNaCl;20mM,pH7.4のリン酸塩;1%のBSA(牛の血清アルブミン)。使用されるすべてのエッペンドルフ管、マイクロタイタープレートおよびフィルタは、室温で1時間の間、PBS緩衝液で静定される。
【0115】
この処理は、プラスチック、抗原およびNanogold-IgGTM間で発生する不特定の相互作用を減少させる。あるいは、低滞留のプラスチック製品(例:Axygen管)を使用できる。続いて、PBS緩衝液Aにおいて1000〜0.5 pg/μl の濃度範囲の抗原(ペプチド、タンパク質など)の溶液が用意される。すべての希釈液は、氷の上で保管される。
【0116】
続いて、100μl の抗原溶液またはPBS緩衝液A(緩衝用)が、マイクロタイタープレート(またはエッペンドルフ管の組)の個々のウエル内にピペットで移される。Nanogold-IgGTMは、300KDa (MICRCONTMまたはCentriconTM)遠心フィルタ装置によって、予め濾過処理されている。濾過処理された、PBS緩衝液A内のNanogold-IgGTMの希釈液は、次のようにして用意される。
【0117】
まず、60μl のNanogold-IgGTMを2940μl のPBS緩衝液A内に追加することによって、1:50の希釈液が生成される。次に、100μl のNanogold-IgGTMを900μl のPBS緩衝液A内に追加することによって、1:500の希釈液が生成される。抗原の濃度範囲に応じて、100〜500μl の1:500のNanogold-IgGTMがプレートのウエルに追加されて、室温で1〜2時間定温放置される。
【0118】
次に、抗原−Nanogold-IgGTMの混合物の総量は、300KDa MICRCONTM遠心フィルタ装置(最大容量2ml)の試料容器(上部チャンバ)内にピペットで移される。この試料は、室温で15分間14,000rpm で遠心力が作用させられる。組立体は遠心分離器から取り外されて、小型容器が試料容器から分離される。試料容器は、新しい小型容器内に上下逆さにされるとともに、濃縮液を新しい容器に移すために、1000rpm で3分間回転させられる。
【0119】
最後に、集められた抗原−Nanogold-IgGTMの抗体混合物は、安定化処理のために、10%HCl/1ppbIrで1ml まで希釈される。Irは、ICP−MS計量のための内部基準を提供しており、元素分析には、酸性溶液が適している。ICP−MS検出器の応答性の直進性は、検体であるヒトIgGの濃度の関数として、図1に提供された結果に示されている。
【0120】
実例2.N anogold-Ig G TM 以外の免疫学的検定法
この実例によれば、検体が、ICP−MSによる分析に適した元素(例:Eu,Ru など)でタグされており、対象となっている抗原(例:ヒト血液タンパク質)を含む試料内に導入されている。元素でタグされた抗体は、とくにターゲット抗原に反応する。その結果として生じる、タグされた抗原−抗体複合体は、(実例1,3,4,5,8,9または10のように)未反応の抗体から分離され、タグ複合体は、ICP−MSによって分析される。
【0121】
この実例の変形例は、以下のものを含んでいる。
a)シグナルを増幅して、検出能を向上させるために多数の原子でタグすること。
b)唯一の同位体分布がターゲット抗原の決定基となるように、a)が、好ましくは自然界にない(珍しい)分布において、タグを除き、同じ元素または異なる元素のいくつかの同位体を含んでいる。250以上の安定した同位体を有する80以上の元素(そのうちの60は本件出願において価値がある)が自然界には存在しているということが認められる。このことは、非常の多くの識別可能なタグの構造を許容している。たとえば、たった4個の異なる同位体から構成される20個の識別可能な3原子タグがあり、10個の異なる同位体から構成される100万個の識別可能な15原子タグがあり、5個の異なる同位体から構成される70個のタグがある。
c)a)およびb)において、異なるターゲット分子を同時に決定できるように、異なるターゲット分子の特異性を有する異なる抗体を備えている。同時決定の数は、結合している識別可能なタグの数により制限されている(これは、上述したように、分離している識別可能なタグの数よりも少ない)。
【0122】
実例3.プロテインAセファロース免疫学的検定法
以下は、プロテインA Sepharose(セファロース)CL−4BTM(Pharmacia社) 免疫学的検定法およびそのプロトコルを使用する本発明の方法による実例を提供している。ターゲットタンパク質(第2の抗体の受容化学種)に特有のNanogold-Fab'TMまたは他の元素で標識化されたFab'が、使用されてもよい。使用される免疫学的検定法には、以下の二つのタイプがある。
【0123】
a)直接的免疫学的検定法
これは、ターゲットタンパク質に特有の多量の抗体を有するプロテインA Sepharose CL−4BTMを定温放置することによって、対象となっているターゲットタンパク質(プロテインX)を捕らえ、未反応の抗体を洗い流し、タンパク質試料を追加し、結合していないタンパク質を洗い流し、次に、PAS−抗体−プロテインX複合体を、元素で標識化された抗XFab'にさらすことを含むだろう。
b)間接的免疫学的検定法
これは、ターゲットタンパク質に特有の多量の第1抗体(例:ポリクローナル)を有するプロテインA Sepharose CL−4BTMを定温放置することによって、対象となっているターゲットタンパク質(プロテインX)を捕らえ、未反応の第1の抗体を洗い流し、タンパク質試料を追加し、結合していないタンパク質を洗い流し、次に、PAS−抗体−プロテインX複合体を、プロテインX(例:モノクローナル抗体)に特有の第2の抗体にさらし、未反応の第2の抗体を洗い流し、次に、PAS−抗体−プロテインX抗体複合体を、元素で標識化された抗第2Fab'とともに定温放置することを含むだろう。あるいは、抗プロテインX抗体に共有結合されたビーズまたはマイクロタイタープレートを使用してもよい。
【0124】
PBS緩衝液Aは、以下のようにして準備される。150mMのNaCl、20mM、pH7.4のリン酸塩および1%のBSA(ウシの血清アルブミン)。すべてのエッペンドルフ管、マイクロタイタープレート、フィルタ、続いて使用されるプロテインA Sepharose CL−4BTMのスラリーは、PBS緩衝液Aとともに室温下で1時間静定される。この処理は、使用されるプラスチック、抗原および Nanogold-Fab'TMの間で発生する、特有でない相互作用を減少させる。あるいは、保持性の低いプラスチック製品(例:Axygen管)が使用可能である。
【0125】
続いて、PBS緩衝液A中の濃度範囲が1000〜0.5 pg/μl の抗原(ペプチド、プロテインなど)溶液が、準備される。すべての希釈液は、氷の上で保管される。引き続いて、100μl の抗原溶液またはPBS緩衝液A(緩衝用)が、マイクロタイタープレート(またはエッペンドルフ管の組)の個々のウエル内にピペットで移される。Nanogold-Fab'TMは、300KDa (MICRCONTMまたはCentriconTM)遠心フィルタ装置によって、予め濾過処理されている。濾過処理された、PBS緩衝液A中の Nanogold-Fab'TMの希釈液は、次のようにして用意される。
【0126】
まず、60μl のNanogold-Fab'TMを2940μl のPBS緩衝液A内に追加することによって、1:50の希釈液が生成される。次に、100μl のNanogold-Fab'TMを900μl のPBS緩衝液Aに追加することによって、1:500の希釈液が生成される。抗原の濃度範囲に応じて、100〜500μl の1:500のNanogold-Fab'TMがプレートのウエルに追加されて、室温で1〜2時間定温放置される。
【0127】
この試料は、室温で2分間14,000rpm で遠心力が作用させられる。ビーズは、PBS緩衝液で4回洗浄される。方法b)において、含まれるべき追加のステップは、未反応のモノクローナル抗体を洗浄するとともに、その後、元素で標識化された抗体−X Fab' を有するPAS−抗体−プロテインX−抗体複合体を定温放置することから構成されている。
【0128】
最後に、一定量の10%HCl/1ppbIrが各ウエルに追加される。Irは、ICP−MS計量のための内部基準を提供しており、元素分析には、酸性溶液が適している。
【0129】
タグされた抗体としてF'ab-Au を備えた検体としてヒトIgGを用いて、方法a)により得られた実験結果が、図2および図3で与えられている。図2は相対的に低濃度範囲の結果を与えており、図3は相対的に高濃度範囲の結果を与えている。いずれも、データは、検体濃度に対する検出器の2次以上の直進性を表している。
【0130】
この実例はまた、分析のための多重処理を許容しており、プロテイン−プロテイン間の相互作用を識別するのに用いることができる。この方法においては、細胞溶解液は集められて、プロテインAおよびプロテインB間の相互作用が疑わしい場合に上述した方法の作用を受ける。この場合、第1の抗体がプロテインAに特異性を有するものであろうし、元素で標識化されたFab'がプロテインBに特異性を有するものであろう。その他の多数のプロテイン(例:プロテインC、プロテインD)との相互作用は、プロテインCに特異性のある抗Fab'およびプロテインDに特異性のある抗Fab'を標識化するのに、もし異なる元素が用いられるのであれば、同時に検出することができるだろう。
【0131】
実例4.D ynabeads TM 免疫学的検定法
以下の方法は、DynabeadsTM(Dynal)免疫学的検定法およびそのプロトコルを用いた本発明の実例を提供している。この免疫学的検定法は、実例3において、プロテインAセファロースCL−4BTMのかわりにDynabeadsTMを用いて達成されている。試料に遠心力を作用させるかわりに、試料は、磁気装置(Dynal MPCTM)にさらされる。これにより、各洗浄ステップの間および各洗浄ステップの後に、ビーズがウエルの底部に抜き出される。ICP−MS計量および元素分析のための内部基準を提供するように、再び10%HCl/1ppbIrが最終ステップにおいて各ウエルに追加される。実例3について記述されたのと同じ方法で、多重処理およびプロテイン−プロテイン間の相互作用が、この方法を用いて識別できる。
【0132】
実例5.培養細胞中の内因性プロテインの検出・定量化方法
培養細胞中における内因性プロテインのレベルのはっきりした変化が測定できる方法は二つある。
a)直接的免疫学的検定法。
この方法では、対象となっているプロテインに特異性のある抗体が要求されている。この抗体は、ICP−MSNによる分析に適した元素で標識化されている。
b)間接的免疫学的検定法
この方法では、対象となっているプロテインに特異性のある抗体(1次抗体)が要求されている。また、1次抗体に特異性のある2次抗体が、ICP−MSによる分析に適した元素で標識化されている。
【0133】
付着した培養細胞の単層は成長して、対象となっている条件で処理される。生育媒体が取り除かれ、細胞は、1xPBSで3回洗浄される。次に、PBSは、よく冷えたメタノールで置き換えられ、培養皿は、−20℃で5分間定温放置される。メタノールが取り除かれて、細胞が完全に乾燥させられる。遮断緩衝液(ウマの10%血清、1%BSA、0.05%ツイーン20、1xPBS)が培養皿に付加されて、皿が室温で1〜2時間定温放置される。
【0134】
方法a)においては、対象となっているプロテインに特異性のある抗体が、遮断緩衝液で希釈されて培養皿に付加される元素で標識化されている。細胞は、室温(または37℃)で抗体混合物に2時間さらされている。この間に、元素でタグされた抗体が、その後部を介してターゲットプロテインを結合させる。
【0135】
方法b)においては、対象となっているプロテインに特異性を有する抗体が、標識化されていない。次のステップにおいて、未反応の1次抗体は、遮断緩衝液で洗浄される。方法b)では、元素でタグされた2次抗体は、遮断緩衝液で希釈されて細胞に加えられる。皿は室温で1〜2時間定温放置される。次に、未反応の2次抗体は、遮断緩衝液で洗浄される。
【0136】
最後に、両方の方法において、タグ元素を解放して分解するために、酸性溶液(例:濃塩酸)が加えられている。酸の中の分解元素は、内標準を提供するために、10%HCl/1ppb Ir で希釈されている。次に、タグ要素を含む酸性溶液は、対象となっているプロテインを定量化するために、ICP−MSによって分析される。
【0137】
方法b)によって得られた実験データは、図4に示されている。これらのデータは、異なる三つの細胞培養である、COS(棒グラフ5,6)、 pCMV5B- Smad2(COS-smad2) (棒グラフ1,2)でトランスフェクトされたCOS、およびC2C12細胞(棒グラフ3,4)におけるSmad2の相対量を比較することによって、この免疫学的検定の感度を調べている。COS細胞は、(ウェスタンブロット分析を用いることにより)検知できないレベルのSmad2プロテインを有していることが知られている。
【0138】
逆に、Smad2は、C2C12細胞溶解液内および pCMV5B- Smad2でトランスフェクトされたCOS細胞内で検出可能である。これらの細胞培養は、メタノールで安定化され、TBST緩衝液で遮断された状態で、60mmの皿内で準備される。次に、ポリクローナル抗Smad2抗体(Upstate Biotech 社)の存在下(棒グラフ2,4,6)または存在していない状態下(棒グラフ1,3,5)で定温放置される。
【0139】
細胞は、金でタグされた抗ウサギ抗体 (Nanoprobes) とともに定温放置されて、濃塩酸で分解され、10%HCl/1ppb Ir で希釈され、ICP−MSを用いて分析される。各棒グラフは、3つの試料の平均である。棒グラフ1,3,5は、1次抗体 (-+) で処理されていないネガティブコントロール培養を表している。1次抗体および2次抗体 (++) の双方で処理された培養は、smad2 を表す二つの細胞培養において (-+) の結果に対するシグナルの実質的な増加が smad2プロテインの存在を示している、ということを表している。第3の培養であるCOSは、smad2 を表すように表現されていないが、ブランクの (-+) の信号に概略匹敵し得る (++) の場合の信号を示している。
【0140】
実例6.細胞トランスフェクションの定量効率化のための方法
細胞培養トランスフェクションの効率性は、まず、テール(例:FLAGTM)を導入するように細胞を変えることによって決定される。実例5と同様に、対象となっている抗原を(直接的または間接的に)検出できる二つの方法がある。
【0141】
a)直接的免疫学的検定法
この方法では、テールに特異性のある抗体が要求される。この抗体は、ICP−MSによる分析に適した元素で標識化されている。
b)間接的免疫学的検定法
この方法では、テールに特異性のある抗体(1次抗体)が要求されている。また、1次抗体に特異性のある2次抗体が、ICP−MSによる分析に適した元素で標識化されている。
【0142】
細胞のトランスフェクション後1〜3日の間に、生育媒体(細胞のタイプによるが、典型的には10%FBS)が取り除かれて、付着した細胞の単層が1xPBSで3回洗浄される。PBSは、冷たく冷やされたメタノールで置き換えられ、培養皿は−20℃で5分間定温放置される。メタノールは取り除かれて、細胞は完全に乾燥させられる。遮断緩衝液(例:ウマの10%血清、1%BSA、0.05%Tween-20、1xPBS)が培養皿に加えられて、皿が室温で1〜2時間定温放置される。
【0143】
方法a)においては、テールに特異性のある抗体が生産され、ICP−MSで分析するのに適した元素で標識化されている。抗体は、遮断緩衝液で希釈され、培養皿に加えられる。細胞は、室温(または37℃)で2時間、抗体混合物にさらされる。この間、元素でタグされた抗体が、そのテールを介してターゲットプロテインを結合する。
【0144】
方法b)においては、対象となっているプロテインに特異性を有する抗体が、標識化されていない。未反応の1次抗体は、遮断緩衝液で洗浄される。方法b)では、元素で標識化された2次抗体が、遮断緩衝液で希釈されて、細胞に与えられる。皿は、室温で1〜2時間定温放置される。未反応の2次抗体は、遮断緩衝液で洗浄される。
【0145】
最後に、双方の方法において、タグ元素を解放して分解するために、酸性溶液(例:濃塩酸)が付加されている。酸の中の分解元素は、内標準を提供するように、10%HCl/1ppb Ir で希釈化されている。タグ元素を含む酸性溶液は、トランスフェクションの効率を定量化するために、ICP−MSで分析される。同時に培養されかつトランスフェクションが行われなかった細胞を含む培養皿は、ネガティブコントロールとして用いることができる。
【0146】
この実例の変形例は、6xHIS-tagged constructTM (インビトロジェン(Invitrogen)社) を使用することを含んでおり、そこでは、特異性のある抗体の必要性がない。6xHIS-tagged constructTMでトランスフェクションを受けた細胞は、メタノールで安定化され、遮断緩衝液で遮断作用を受ける。そして、ニッケルを含む溶液(例:Ni-NTATM:キアゲン (Qiagen)社) で2時間定温放置される。細胞は、遊離したニッケルを取り除くために洗浄され、酸で分解され、ニッケル含有量についてICP−MSを用いて分析される。
【0147】
実例7.レポーター分析
転写因子の研究においては、転写のレベルを定量化する必要がある。特定のプロモーター(またはエンハンサー元素)に対する転写活動のレベルのはっきりした変化を測定できる二つの方法がある。培養細胞は、レポーター遺伝子(例:GFP)に結合した、対象となっているプロモーターを含む同量のプラスミドとともに、対象となっている発現プラスミドを用いてトランスフェクションが行われる。図5と同様に、対象となっている抗原を(直接的にまたは間接的に)検出できる二つの方法がある。
【0148】
a)直接的免疫学的検定法。
この方法では、レポーターに特異性を有する抗体が要求されている。この抗体は、ICP−MSによる分析に適した元素で標識化されている。
b)間接的免疫学的検定法。
この方法では、レポーターに特異性を有する抗体(1次抗体)が要求されている。また、1次抗体に特異性を有する2次抗体が、ICP−MSによる分析に適した元素で標識化されている。
【0149】
培養細胞は成長して、対象となっている条件でトランスフェクションを受ける。分析時には、生育媒体は取り除かれ、細胞は1xPBSで3回洗浄される。PBSは、冷たく冷やされたメタノールで置き換えられており、培養皿は−20℃で5分間定温放置されている。メタノールが取り除かれて、細胞は完全に乾燥させられる。遮断緩衝液(ウマの10%血清、1%BSA、0.05%ツイーン-20 、1xPBS)が培養皿に付加されて、皿が室温で1〜2時間定温放置される。
【0150】
方法a)においては、レポーターに特異性のある抗体が、遮断緩衝液で希釈されて培養皿に付加される元素で標識化されている。細胞は、室温(または37℃)で抗体混合物に2時間さらされている。この間に、元素でタグされた抗体がレポーターに結合する。
【0151】
方法b)においては、レポーターに特異性を有する抗体が、標識化されていない。次のステップにおいて、未反応の抗体が、遮断緩衝液で洗浄される。方法b)では、元素で標識化された2次抗体が、遮断緩衝液で希釈されて細胞に加えられる。皿は室温で1〜2時間定温放置される。次に、未反応の抗体は、遮断緩衝液で洗浄される。
【0152】
最後に、両方の方法において、タグ元素を解放して分解するために、酸性溶液(例:濃塩酸)が加えられている。酸の中の分解元素は、内標準を提供するために、10%HCl/1ppb Ir で希釈されている。次に、タグ要素を含む酸性溶液は、対象となっているプロテインを定量化するために、ICP−MSによって分析される。
【0153】
実例8.タグされた抗体を用いた電気泳動後のタンパク質の検出
タンパク質の試料は、2xSDSの試料緩衝液(1%SDS、2%グリセロール、100mMのTris、pH6.8の5%β−メルカプトエタノール、1%DTT、1%PMSF、0.2%リューペプチン、0.2%ペプスタチン)で希釈され、タンパク質を分離するために、2−Dまたはポリアクリルアミドゲル(SDS−PAGEまたはN−PAGE)で電気泳動の作用を受ける。ゲルからのタンパク質は、半乾燥移送装置(または同等物)を用いてニトロセルロースまで移送される。ニトロセルロースは、遮断緩衝液(例:1xPBS中の5%牛乳)を用いて室温で1時間遮断される。
【0154】
ターゲットタンパク質を認識する元素タグ抗体は、遮断緩衝液に付加され、ニトロセルロースブロットが、抗体を含む緩衝液に室温で2時間さらされる。あるいは、ターゲットプロテインを認識する、標識化されていない1次抗体が、ターゲットプロテインを結合するのに使用され、続いて洗浄緩衝液で洗浄され、次に、元素で標識化される2次抗1次抗体で精査される。ニトロセルロースブロットは、洗浄緩衝液(1xPBS中の0.2%NP40)で3回洗浄される。問題のプロテインは、レーザー吸収により、分析されて定量化される。
【0155】
実例9. 6x HIS -tag TM (Invitrogen) での変異後および電気泳動による分離後のタンパク質の検出
この実例は、実例8に類似しているが、試料中のタンパク質は、元素に対するアフィニティー(生物学的親和性)を有するように、電気泳動の前に変異されている(たとえば、6xHISでの変異は、ニッケルとのアフィニティーを生じる)。分離されたタンパク質を含むゲルまたは吸い取り紙は、タンパク質の変異により結合される元素(例:Ni)を含む溶液で洗浄されている。ゲルまたは吸い取り紙は、レーザー除去(または直接切除)およびICP−MSによって分析される。
【0156】
実例10.サイズ除去ゲル濾過免疫学的検定法
この実例においては、ICP−MSが、特定の抗原の存在を検出するのに使用されている。したがって、抗体は元素(例:Au,Eu,Ru など)でタグされており、対象となっている抗原を含む試料に導入される。元素タグの抗体は、ターゲット抗原に特異性をもって反応する。その結果生じる、タグされた抗原−抗体化合物は、1ppbIrを含む緩衝液を流してゲル濾過処理(たとえばファルマシア社によるHiPrep SephacrylTM)を行うことにより未反応の抗体から分離される。溶出液は、96ウェルプレート内に0.5mlごとに集められ、酸で希釈され、ICP−MSにより分析される。
【0157】
Fab'-Au 抗体を用いてこの方法でIgG検体について得られた実験結果が、図5に示されている。この実験では、IgG検体は、多量のFab'-Au とともに定温放置されている。試料は、0.15MのNaCl、0.02Mのリン酸塩、pH7.4の1ppb Ir の流れる緩衝液を用いて0.5ml/minの流速で sephacryl S-200コラムを通って流れている。
【0158】
図面は、溶出時間(溶出液の数)の関数として検出器の応答性について提供している。観察される第1のピーク(大きな分子量)は、約235 kDa の予想される分子量を有する反応化合物に対応している。第2のピークは、約85 kDa の予想される分子量を有する未反応のタグされた抗体に対応している。
【0159】
実例11.元素の化学種の検出および定量化
この実例では、与えられた酸化状態、分子形態または与えられた金属の化学種に特異性を有する抗体によって認識される金属の量を測定するのに、ICP質量分析が用いられている。正の金属イオンを含むターゲット試料は、金属のない多量モルのキレータと混合される。高いアフィニティーを有するキレータは、試料中のすべての正の金属イオンがキレータと複合体を形成することを保証するように、選択されている。
【0160】
次に、この溶液は、キレータ−金属複合体に特異性のある抗体とともに定温放置される。この溶液は、未反応の抗体および試料中の成分の残留物から、抗体−金属−キレータ複合体を分離するように取り扱われている。とはいっても、外部からの金属が試料から取り除かれることのみが重要なのであるが。
【0161】
好ましくは、抗体は、金属のないキレータへの結合力を全く示さないかまたはほとんど示さず、測定される金属複合体の強固で特異性のある結合を示している。この結合アフィニティーは、10-9〜10-8Mの次数の平衡解離定数(KD ) を示しているのが好ましい。
【0162】
この分析に使用される抗体はまた、分析中の試料内に含まれる他の成分からの干渉に抵抗できる。このような抗体の発生は、 Blakeら (1998) に記述された方法により実行される。
【0163】
抗体−金属−キレーターの複合体を含む溶液は、標準的なICP−MS/OESの分析の作用を受ける。このアプローチは、クロマトグラフィーにより前もって分離する必要性をなくし、これにより、試料の完全性が向上する。これはまた、いくつかの金属/酸化状態/化学種の同時測定を許容しており、当該方法は、試料に導入される抗体の個数によってのみ制限される。
【0164】
実例12.タグされる抗体を使用する元素の化学種の検出および定量化
この実例によると、実例11と同様に、金属キレータ複合体に特異性のある抗体が、当該分野の当業者によく知られた方法により提起されている。この実例における違いは、抗体が、与えられたタグ同位元素または同位元素タグの化学量的な混合物の多数の原子でタグされているということである。このことは、潜在的な二つの利点を有している。
【0165】
第1に、ターゲット金属原子が、典型的なICPベースの干渉(たとえばargideイオンの同重核の干渉)を介して、分析中に干渉作用を受けるのであれば、通常干渉のないタグで抗体をタグ付けすることは、干渉のない定量化を許容して、向上した検出可能性に帰着することになる。
【0166】
第2に、同じターゲット元素の種々の化学種に対して特異性のあるタグが、種々の化学種の同時定量化を許容する。スペクトル中の元素の存在は一つまたはそれ以上の元素化学種が存在していることのみを示すのであろうから、もし元素タグが固有のターゲット元素そのものであれば、この化学種は提供されないだろう。このアプローチによるさらなる利点は、同じ同位元素の多数の原子とのタグ付けが、同じタグ同位体元素の原子数に比例するシグナル増幅を許容していることである。
【0167】
実例13.タグされたまたはタグされていない、試料内の多数の元素化学種の同時定量化
この実例によれば、実例11,12と同様に、金属−キレータ複合物に特異性のある抗体が、当該分野の当業者によく知られた方法により提起されている。この実例における違いは、同一または異なる元素(各元素は異なるようにタグされている)における異なる種形成状態の同時定量化を許容するために、異なる元素化学種に特異性を有する二つまたはそれ以上の抗体が組み込まれている。
【0168】
実例14.動物製品におけるウシ海綿状脳症(BSE)を検出するための免疫学的検定法
実例1,2,3,4,5,8および(または)10の方法が、動物製品中のBSEを検出するの採用されている。この病気の原因となる伝染性成分であると考えられているプリオンタンパク質PrPをターゲットとするいくつかのモノクローナル抗体(15B3, Korth ら(1997)、KG9, Laffling ら(2001)、Bio-Rad Laboratories)が生産されている。
【0169】
Prpに特異性を有するモノクロナール抗体は、元素(例:Au, Eu, Ruなど)で標識化されており、実例1,2,3,4,5,8および(または)10のいずれかにおいて記述された免疫学的検定法で使用されている。BSEがないものと知られている類似の製品が、ネガティブコントロールとして用いられている。同様の手法により、抗体で検出されるその他の病気(例:HIV,HTLV,狂犬病など)をスクリーニングすることができる。
【0170】
実例15.心臓麻痺を患うと考えられている患者の虚血マーカーを検出するための免疫学的検定法
実例1,2,3,4,5,8および(または)10が、ヒト試料内の多数の虚血マーカーを同時に検出するために、採用されている。マーカー候補は、CK−MB、ミオグロビン、トロポニンI、hsp70、BCL2、Bax、IGF、TNFα、アンジオスタチンを含んでいる。
【0171】
実例16.薬発見のための方法
薬の発見を助けるために、動物細胞または動物受容体が多数ウエルプレート内に配置されている。受容体を認識する、元素でタグされた抗体(または元素タグ抗体)とともに、対象となる分子(つまり潜在的な薬)が付加される。潜在的な薬は、受容体への接合作用において、抗体と競争状態にある。未反応の抗体は洗い落とされ、結合された抗体の量がICP−MSで定量化される。これは、受容体を認識する潜在的薬の有効性に逆比例している。
【0172】
もし各ウエルが別のやり方で標識化された抗体を提供されていれば、ウエルの内容物を組み合わせることにより種々の薬の有効性を、また結果として生じるデータをデコンボリュート(deconvolute) することにより薬の成分を同時に決定することができる。
【0173】
同様にして、同じ検体について別のやり方で標識化された検体は、異なるプレートの対応するウエル内で生産されて配置される(たとえば、別のやり方で標識化された10個の検体の各々が10枚のプレートの各ウエル1に配置されている)。各プレートの対応するウエル内の検体の濃度を決定するためのデコンボリュートにより、各プレートの内容物は鉛直方向に組み合わされるとともに、反応した検体が分離されて、同時に分析される。
【0174】
実例17.2Dゲルおよび質量分析を用いたタグタンパク質の検出
この実例では、ICP−DRC−MS技術が、イオンでタグされたタンパク質を含むポリアクリルアミドゲルのレーザー除去と協働して、用いられている。ArN+ およびArO+ がそれぞれ54Fe+ および56Fe+ と干渉することがよく知られている。実例11に記述される方法を容易にするために、イオンの同位元素から同重核で多原子の干渉を取り除くことが重要である。
【0175】
たとえば、イオンでタグされたタンパク質バンドを含むポリアクリルアミドゲルの除去によって直接測定された、m/z=54:m/z=56(ここで、m/zはイオンの質量と電荷の比を示す)における質量分光分析信号の比が、1.14であることが分かった(これに対して、イオンの同位元素の天然存在度に基づいた予測値は0.063である)。
【0176】
DRC環境下で反応ガスとしてアンモニアを利用することにより、電荷転送反応によって、ArN+ およびArO+ の干渉を排除することが可能になる。このアプローチは、予測される54Fe+ /56Fe+ の同位体元素比にほぼ一致するm/z=54:m/z=56の比をもたらした。この一致によって、タグ鉄の定量化が確認できる。また、この測定の精度は、反応細胞のガス状媒体内におけるイオンの部分的時間平衡により、著しく向上している(Bandura, D.R. ら(2000)参照)。
【0177】
本発明は、好ましい実例であると現在考えられるものに関連して記述されてきたが、本発明は、開示された実例に限定されないということが理解されるべきである。それとは逆に、本発明は、添付クレームの精神および範囲内に含まれる種々の変更例および同等装置をカバーするように意図されている。
【0178】
あらゆる刊行物、特許および親出願は、引用することによって、各刊行物、特許または親出願が明確にかつ個々に示されているかの如く同程度に本明細書の中にすべて含まれている。
【0179】
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【0204】
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【0205】
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【0206】
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【0207】
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【0208】
Wagenknecht, T., Berkowitz, J., Grassucci, R., Timerman. A.P., & Fleischer, S. 1994. 電子顕微鏡観察による骨格筋組織からのリアノディン受容体上のカルモデュリン結合部位のローカライゼーション。 Biophys. J. 67: 2286-2295.
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【図面の簡単な説明】
【図1】 ICP−MSによる検出および計量を用いて、金で標識化された抗ヒト抗体との免疫反応およびヒトIgGの希釈液で得られた較正曲線を示すグラフである。
【図2】 ICP−MSを用いた検出および計量による、低濃度範囲におけるヒトIgGおよびFab-Auとの免疫学的検定の結果を示すグラフである。
【図3】 ICP−MSを用いた検出および計量による、高濃度範囲におけるヒトIgGおよびFab-Auとの免疫学的検定の結果を示すグラフである。
【図4】 ICP−MSを用いた検出および計量による、培養細胞中の内因性プロテインの測定結果を示す棒グラフである。
【図5】 ICP−MSによる特定の抗原の検出および計量を示すグラフである。
Claims (33)
- 試料内の二つ以上の異なる元素または同位体の同時検出および測定のための方法であって、測定される元素または同位体が、試料内の二つ以上の検体または検体複合体のうちの一方と結合する生物学的活性物質の上の特異タグであり、この方法が、
i)生物学的活性物質を二つ以上の特異遷移元素または同位体で直接タグして、二つ以上の特異タグ生物学的活性物質を生成することと、
ii) 特異タグされた生物学的活性物質を二つ以上の検体または検体複合体のうちの一方と結合させて、二つ以上の特異タグ検体または特異タグ検体複合体を生成することと、
iii)結合されてタグされた生物学的活性物質を、結合されていない、タグされた物質から分離することと、
iv) 誘導結合プラズマ質量分析計により、結合された各タグ元素または各同位体を同時に検出して測定することと、
を備えた方法。 - 試料内の二つ以上の異なる元素または同位体の同時検出および測定のための方法であって、測定される元素または同位体が、二つ以上の検体または検体複合体のうちの一方と結合する生物学的活性物質の上の特異タグであり、この方法が、
i)遷移元素または同位体を直接結合させる生物学的活性物質を二つ以上の検体または検体複合体のうちの一方と結合させることと、
ii) 特異遷移元素または同位体を生物学的活性物質に結合させて、二つ以上の特異タグ検体複合体を生成することと、
iii)誘導結合プラズマ質量分析計により各元素または各同位体を同時に検出して測定することと、
を備えた方法。 - 試料内の二つ以上の異なる元素または同位体の同時検出および測定のための方法であって、1次生物学的活性物質が試料内の二つ以上の検体と結合しており、測定される元素または同位体が、1次生物学的活性物質と結合する2次生物学的活性物質の上の特異タグであり、この方法が、
i)検体と結合するところの1次生物学的活性物質を試料内の二つ以上の検体に結合させることと、
ii) 結合された生物学的活性物質を、結合されていない生物学的活性物質から分離することと、
iii)2次生物学的活性物質を二つ以上の特異遷移元素または同位体で直接タグして、二つ以上の特異タグ2次生物学的活性物質を生成することと、
iv) タグされた2次生物学的活性物質を1次生物学的活性物質と結合させて、二つ以上の特異タグ検体複合体を生成することと、
v) 結合されてタグされた生物学的活性物質を、結合されていない、タグされた物質から分離することと、
vi) 誘導結合プラズマ質量分析計により、各結合タグ元素または各同位体を同時に検出して測定することと、
を備えた方法。 - 試料内の二つ以上の異なる元素または同位体の同時検出および測定のための方法であって、1次生物学的活性物質が試料内の二つ以上の検体と結合しており、2次生物学的活性物質が1次生物学的活性物質と結合しており、測定される元素または同位体が、2次生物学的活性物質と結合する3次生物学的活性物質の上の特異タグであり、この方法が、
i)検体と結合するところの1次生物学的活性物質を試料内の二つ以上の検体に結合させることと、
ii) 結合された生物学的活性物質を、結合されていない生物学的活性物質から分離させることと、
iii)2次生物学的活性物質を1次生物学的活性物質と結合させることと、
iv) 結合された生物学的活性物質を、結合されていない生物学的活性物質から分離することと、
v) 3次生物学的活性物質を二つ以上の特異遷移元素または同位体で直接タグすることと、
vi) タグされた3次生物学的活性物質を2次生物学的活性物質と結合させて、二つ以上の特異タグ検体複合体を生成することと、
vii) 結合されてタグされた生物学的活性物質を、結合されていない、タグされた物質から分離することと、
viii)誘導結合プラズマ質量分析計により、各結合タグ元素または各同位体を同時に検出して測定することと、
を備えた方法。 - 試料内の二つ以上の異なる元素化学種の元素の同時検出および測定のための方法であって、キレート化される元素化学種に特異性を有する抗体が、キレート化される元素化学種に結合しており、この方法が、
i)二つ以上の異なる元素化学種をキレート化することと、
ii) 抗体を試料内の元素化学種と結合させることと、
iii)抗体が結合したキレート化元素の化学種複合体を試料から分離することと、
iv) 誘導結合プラズマ質量分析計により、取り除かれた複合体に含まれる元素化学種の二つ以上の元素を同時に検出して測定することと、
を備えた方法。 - 二つ以上の異なる元素化学種を含む試料内の二つ以上の元素の同時検出および測定のための方法であって、測定される元素が、キレート化される元素化学種に特異性のある抗体の上の特異タグであり、この方法が、
i)二つ以上の元素の化学種をキレート化することと、
ii) 二つ以上の抗体を二つ以上の特異遷移元素または同位体でタグすることと、
iii)特異タグ抗体を二つ以上のキレート化元素化学種と結合させて、二つ以上の特異タグキレート化元素化学種を生成することと、
iv) タグされた抗体が結合したキレート化元素の化学種を、結合されていない抗体
から分離することと、
v) 誘導結合プラズマ質量分析計により、取り除かれた複合体に含まれる二つ以上の元素または同位体を同時に検出して測定することと、
を備えた方法。 - 請求項6において、
元素化学種の元素を検出して測定することをさらに有している、
方法。 - 請求項6において、
測定される各元素または各同位体が、キレート化元素化学種および元素化学種内の元素に特異性を有する抗体の上のタグである、
方法。 - 試料内の二つ以上の異なる元素または同位体の同時検出および測定のための方法であって、測定される元素または同位体が試料内の二つ以上の抗体の上の特異タグであり、この方法が、
i)二つ以上の検体を二つ以上の特異遷移元素または同位体でタグすることと、
ii) 特異タグされた二つ以上の検体を電気泳動ゲルの上に流すことと、
iii)誘導結合プラズマ質量分析計により、各元素または同位体を同時に検出して測定することと、
を備えた方法。 - 試料内の二つ以上の異なる元素または同位体の同時検出および測定のための方法であって、測定される元素または同位体が、試料内の二つ以上の抗体と結合する生物学的活性物質の上の特異タグであり、この方法が、
i)検体複合体を生成するために遷移元素または同位体と結合する生物学的活性物質に二つ以上の検体を結合させることと、
ii) 検体複合体を電気泳動ゲルの上に流すことと、
iii)二つ以上の特異遷移元素または同位体を二つ以上の検体複合体に結合させて、二つ以上の特異タグ検体複合体を生成することと、
iv) 誘導結合プラズマ質量分析計により、各元素または各同位体を同時に検出して測定することと、
を備えた方法。 - 試料内の二つ以上の異なる元素または同位体の同時検出および測定のための方法であって、測定される元素または同位体が、試料内の二つ以上の検体と結合する生物学的活性物質の上の特異タグであり、この方法が、
i)遷移元素または同位体を結合させるところの生物学的活性物質に二つ以上の検体を結合させることと、
ii) 二つ以上の特異遷移元素または同位体を生物学的活性物質と結合させて、二つ以上の特異タグ検体複合体を生成することと、
iii)誘導結合プラズマ質量分析計により、各元素または各同位体を同時に検出して測定することと、
を備えた方法。 - 請求項11において、
各検体が細胞である、
方法。 - 試料内の二つ以上の異なる元素または同位体の同時検出および測定のための方法であって、測定される元素または同位体が、試料内の二つ以上の検体と結合する生物学的活性物質の上の特異タグであり、この方法が、
i)生物学的活性物質を二つ以上の特異遷移元素または同位体でタグして、二つ以上の特異タグ生物学的活性物質を生成することと、
ii) 検体を電気泳動ゲルの上に流すことと、
iii)二つ以上の特異タグ生物学的活性物質を、二つ以上の検体に結合させて、二つ以上の特異タグ検体複合体を生成することと、
iv) 誘導結合プラズマ質量分析計により、各元素または各同位体を同時に検出して測定することと、
を備えた方法。 - 試料内の二つ以上の異なる元素または同位体の同時検出および定量化のための方法であって、1次生物学的活性物質が試料内の二つ以上の検体と結合しており、測定される元素または同位体が、1次生物学的活性物質と結合する2次生物学的活性物質の上の特異タグであり、この方法が、
i)二つ以上の検体を電気泳動ゲルの上に流すことと、
ii) 1次生物学的活性物質を二つ以上の検体に結合させることと、
iii)2次生物学的活性物質を二つ以上の特異遷移元素または同位体でタグして、二つ以上の特異タグ2次生物学的活性物質を生成することと、
iv) タグされた2次生物学的活性物質を1次生物学的活性物質と結合させて、二つ以上の特異タグ生物学的活性複合体を生成することと、
v) 誘導結合プラズマ質量分析計により、各元素または各同位体を同時に検出して測定することと、
を備えた方法。 - 試料内の遷移元素における二つ以上の異なる同位体の同時検出および測定のための方法であって、測定される同位体が、試料内の二つ以上の検体と結合する生物学的活性物質の上のタグであり、この方法が、
i)生物学的活性物質を遷移元素の二つ以上の異なる同位体で直接タグして、二つ以上 の特異タグ生物学的活性物質を生成することと、
ii) タグされた二つ以上の生物学的活性物質を二つ以上の検体と結合させて、二つ以上の特異タグ検体を生成することと、
iii)結合されてタグされた生物学的活性物質を、結合されていないタグ物質から分離させることと、
iv) 識別可能な同位元素タグを有する、結合されてタグされた二つ以上の生物学的活性物質を、同時定量化のために、対象となっている試料内に導入することと、
v) 誘導結合プラズマ質量分析計により、結合されてタグされた同位体を同時に検出して測定することと、
を備えた方法。 - 請求項1、3、4、6、7、8、13、14または15のいずれかにおいて、
タグされる生物学的活性物質またはタグされる検体が、市販された製品である、
方法。 - 請求項1ないし4、および6ないし14のいずれかにおいて、
タグが同位体またはイオンである、
方法。 - 請求項1ないし4、および6ないし14のいずれかにおいて、
元素または同位体が、貴金属、ランタニド、希土類元素、金、銀、プラチナ、ロジウム、イリジウムおよびパラジウムからなるグループから選択されている、
方法。 - 請求項18において、
元素が、金または銀のいずれか一方である、
方法。 - 請求項1、2、3、4、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15のいずれかにおいて、
タグのステップが、元素を生物学的活性物質または検体の一方と共有結合させることを含んでいる、
方法。 - 請求項1、2、3、4、10、11、12、13、14または15のいずれかにおいて、
生物学的活性物質が、抗体、抗原、ホルモン、成長因子、受容体、タンパク質および核酸からなるグループから選択されている、
方法。 - 請求項1、2、3、4、6、7、8、9、10、11、12、13または14のいずれかにおいて、
タグが一つ以上の元素を含んでいる、
方法。 - 請求項1、2、3、4、6、7、8、9、10、11、12、13または14のいずれかにおいて、
タグが一つ以上の同位体を含んでいる、
方法。 - 請求項1、2、3、4、6、7、8、9、10、11、12、13または14のいずれかにおいて、
タグが一つ以上の同位体原子を含んでいる、
方法。 - 請求項1、2、3、4、6、7、8、9、10、11、12、13または14のいずれかにおいて、
タグが、各同位体について異なる数の原子を含んでいる、
方法。 - 請求項1ないし15のいずれかにおいて、
レーザ除去を含む試料導入の追加のステップを備えた、
方法。 - 請求項1ないし15のいずれかにおいて、
試料導入が、少なくとも一つの元素によってタグされた生物学的活性物質または検体を含むポリアクリルアミドまたはアガロースゲルのレーザ除去を含んでいる、
方法。 - 請求項1ないし15のいずれかにおいて、
試料導入が、非自然の同位体組成を有する少なくとも一つの元素の原子によってタグされた生物学的活性物質または検体を含むポリアクリルアミドまたはアガロースゲルのレーザ除去を含んでいる、
方法。 - 請求項1ないし15のいずれかにおいて、
試料導入が、動物組織の試料のレーザ除去を含んでいる、
方法。 - 請求項1ないし15のいずれかにおいて、
試料導入が、培養細胞のレーザ除去を含んでいる、
方法。 - 請求項2ないし4、6、および10ないし15の方法のいずれかにおける元素の検出および測定のための誘導結合プラズマ質量分析計の使用。
- 請求項5、7または8の方法のいずれかにおける元素化学種の検出および測定のための誘導結合プラズマ質量分析計の使用。
- 分離が、濾過、ゲル濾過、クロマトグラフィー、電気泳動、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、分留、吸収、凝集反応およびこれらの組合せからなるグループから選択されている、
請求項1、3、4、5、6、7、8、15のいずれかの方法。
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