JP4002789B2 - 無線マルチキャストシステム、ネットワーク機器、無線アクセスポイント装置、無線端末、プログラムおよび記録媒体 - Google Patents
無線マルチキャストシステム、ネットワーク機器、無線アクセスポイント装置、無線端末、プログラムおよび記録媒体 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、無線端末へデータを送信する無線ネットワークを構成する要素にかかる負担を軽減する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
既存のIEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)802.11aやIEEE802.11b等に規格が定められている無線LAN(Local Area Network)や、その他の無線通信網には、無線端末や無線アクセスポイント装置に所定の負荷分散機構に基づいた動作をさせることにより、無線アクセスポイント装置との間に無線通信路を確立することで当該無線アクセスポイント装置に接続する無線端末の台数や、各無線アクセスポイント装置が処理する通信データ量(以下、「トラヒック」とする)を分散させることが可能なものがある。
【0003】
例えば無線端末に、各無線アクセスポイント装置における接続端末数やトラヒックなどの負荷を示す情報と、当該無線端末と各無線アクセスポイント装置との間の通信品質(例えば信号強度などの無線リンクにおける接続品質)を示す情報とを取得させ、これらの情報に基づいて接続する無線アクセスポイント装置を決定させるソフトウェアを記憶させておく。そして、このソフトウェアを当該無線端末に実行させることにより、接続する無線アクセスポイント装置を決定させることが可能である。これにより、ある程度の通信品質を確保しつつ各無線アクセスポイント装置にかかる負荷を分散することができる。また、無線アクセスポイント装置同士を協調動作させることにより、それぞれに接続している無線端末の台数が均等になるようにして、各無線アクセスポイント装置にかかる負荷を分散させることも可能である。
【0004】
次に、このような負荷分散が、実際の通信システムにおいてどのように行われるかについて具体的に説明する。実際の通信システムとしては、図1に示される無線LANシステムが挙げられる。この無線LANシステムは、インターネット等のバックボーンネットワークに接続されたルータ13と、通信線14Aを介してルータ13と通信する無線アクセスポイント装置12Aと、通信線14Bを介してルータ13と通信する無線アクセスポイント装置12Bと、いずれかの無線アクセスポイント装置に接続し、接続した無線アクセスポイント装置と無線通信する四台の無線端末11A、11B、11Cおよび11Dとを有する。この無線LANシステムでは、無線端末11Aおよび11Bは無線アクセスポイント装置12Aの近くに位置し、無線端末11Cおよび11Dは無線アクセスポイント装置12Bの近くに位置している。また、四台の無線端末はいずれも、どちらの無線アクセスポイント装置にも接続可能な位置にある。
【0005】
上述の無線端末がいずれも通信を開始していない状況下では、無線アクセスポイント装置12Aおよび無線アクセスポイント装置12Bに負荷はほとんどかからない。従って、この状況下では、無線端末はどちらの無線アクセスポイント装置に接続しても安定して通信することができる。前述のように、無線端末は、無線アクセスポイント装置に接続する際には、各無線アクセスポイント装置にかかっている負荷と、当該無線端末と各無線アクセスポイント装置との間の通信品質とに基づいて、どちらの無線アクセスポイント装置に接続するかを決定するが、上述の状況下では各無線アクセスポイント装置にはほとんど負荷がかかっていないことから、実質的には通信品質にのみ基づいて上記決定を行うことになる。一般に無線端末と無線アクセスポイント装置との間の通信品質は、無線端末が無線アクセスポイント装置から離れれば離れるほど悪化するから、上述の状況下で四台の無線端末が無線アクセスポイント装置に接続しようとすると、無線端末11Aおよび11Bは無線アクセスポイント装置12Aに、無線端末11Cおよび11Dは無線アクセスポイント装置12Bに接続することになる。
【0006】
このような接続が為された後に無線端末11Cおよび11Dとの接続が解除され、さらに無線端末11Aが無線アクセスポイント装置12Aを介して通信を開始すると、無線アクセスポイント装置12Aにかかる負荷は無線アクセスポイント装置12Bにかかる負荷よりも高くなる。例えば、無線端末11Aが開始した通信の速度が4Mbpsであれば、無線アクセスポイント装置12Aのトラヒックは4Mbpsに相当する量となるのに対して、無線アクセスポイント装置12Bのトラヒックはほとんど零という状況になる。
【0007】
このような状況下で、無線端末11Bが無線アクセスポイント装置12Aを介して2Mbpsの通信を開始すると、無線アクセスポイント装置12Aのトラヒックは6Mbpsに相当する量となる。つまり、無線アクセスポイント装置12Aに負荷が集中してしまう。このような事態を避けるために、通信を開始しようとする無線端末11Bは、各無線アクセスポイントから現在の負荷を示す情報を取得し、これらの情報と、各無線アクセスポイント装置との間の通信品質を示す情報とに基づいて、接続先として最適な無線アクセスポイント装置を選択する。前述のように無線端末11Bはどちらの無線アクセスポイント装置にも接続可能な位置にあり、かつ無線アクセスポイント装置12Aの負荷は無線アクセスポイント装置12Bの負荷に比較して著しく高いことから、最適な無線アクセスポイント装置として無線アクセスポイント装置12Bが選択される。無線端末11Bは、この選択に従って接続先の無線アクセスポイント装置を無線アクセスポイント装置12Bへ変更し、この無線アクセスポイント装置12Bを介して通信を行う。この結果、無線アクセスポイント装置12Aのトラヒックは4Mbpsに相当する量となり、無線アクセスポイント装置12Bのトラヒックは2Mbpsに相当する量となる。
【0008】
従来の負荷分散機構では、このようにして無線アクセスポイント装置の負荷を分散するようにしている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記の説明では、受信者と送信者とが一対一で通信を行う通信態様(以下、このような通信態様を「ユニキャスト」とする)を前提として従来の負荷分散の仕方を説明したが、既存の通信態様はユニキャストだけではない。例えば、送信者から送信されたデータを複数の受信者が受信する通信態様(以下、このような通信態様を「マルチキャスト」とする)も存在する。
【0010】
マルチキャストの一例としては、IPプロトコル層でマルチキャストを実現するIPマルチキャストが広く知られている。IPマルチキャストでは、同一のデータの受信を希望する受信者のグループにマルチキャスト用のIPアドレスを割り当てることでマルチキャストグループを構成する。なお、マルチキャストグループに割り当てられるIPアドレスは当該グループに固有である。
【0011】
あるマルチキャストグループへ宛ててマルチキャストされるデータの受信を希望するクライアントは、まず、クライアントが属するネットワークを管理しているネットワーク機器(例えばルータなど)に、当該ネットワーク内に当該マルチキャストグループに属するクライアントがいることを示す情報を記憶させる。すなわち、クライアントは、まず、マルチキャストグループへ参加する。そして、当該マルチキャストグループのIPアドレス宛てのデータがIPプロトコルに従って上記ネットワーク機器へルーティングされてくると、このネットワーク機器は、このデータを、自器の配下でマルチキャストグループに参加しているクライアントの数だけコピーし、当該データを各クライアントへ送信する。なお、実際のデータの送受信は、当該データを所定のデータサイズで分割した複数個のパケットの送受信として行われるので、上記データのコピーもパケット単位で行われる。
【0012】
このようなマルチキャストは無線LANを使って実現することも可能である。以下では、無線LANにおけるマルチキャストについて、有線区間(例えば、図1においてはルータ13と無線アクセスポイント装置12間の通信区間)と無線区間(例えば、図1においては無線アクセスポイント装置12と無線端末11間の通信区間)とに分けて説明する。有線区間ではルータやスイッチ等のネットワーク機器が、マルチキャストグループへ配信すべきパケットを受信すると、配下のクライアント(マルチキャストグループに参加している無線端末が接続された無線アクセスポイント装置等の機器)の数だけパケットをコピーしてクライアントへ転送する。無線区間では、無線アクセスポイント装置等の機器から送信される電波信号は当該機器に接続している全ての無線端末により受信され得ることから、当該機器においてパケットをコピーする必要はない。このため、ユニキャストで複数のパケットを送信する場合に比較して、無線区間の通信帯域を有効に利用することができる。
【0013】
次に、このようなマルチキャストと前述の負荷分散機構とを共存させた場合の問題点について、図1の無線LANシステムを用いてマルチキャストを行う場合を例にして説明する。ただし、この説明においては無線端末11Aのみが無線アクセスポイント装置12Aに接続しており、この無線アクセスポイント装置12Aを介してマルチキャストグループ宛てのパケットを受信している状態にあるものとする。この状態では無線端末11Bが当該パケットを受信しようとした場合、上述の負荷分散機構により、無線端末11Bは無線アクセスポイント装置12Aの負荷が高いと判定し、無線アクセスポイント装置12Bに接続し、この無線アクセスポイント装置12Bを介して当該パケットを受信することになる。つまり、無線アクセスポイント装置12Aおよび12Bの両方から同一のパケットが送信されるから、当該パケットの送信に使用される無線区間の通信帯域が倍増してしまう。
【0014】
また、例えば、無線アクセスポイント装置12Aに4Mbpsに相当する負荷がかかっていたとすると、無線端末11Bがマルチキャストグループに参加することにより、無線アクセスポイント装置12Aおよび12Bの双方にそれぞれ4Mbpsに相当する負荷がかかることになる。このような状況下で無線端末11Cがユニキャストを行おうとしても、無線アクセスポイント装置12Aおよび12Bの双方にはそれぞれ高い負荷(4Mbpsに相当する負荷)がかかっているため、無線アクセスポイント装置12Aおよび12Bのどちらと接続して通信を開始しても、希望する通信品質で通信を行うことが困難になるおそれがある。
【0015】
結局、無線LANにおける従来の負荷分散機構とマルチキャストとを組み合わせると、無線区間の通信帯域を有効に利用することが困難となるという問題が生じる。
【0016】
本発明は上記問題点に鑑みて為されたものであり、マルチキャストの実現と無線アクセスポイントにかかる負荷の分散とを同時に達成しつつ、無線区間の通信帯域を有効に利用するための技術を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、宛先を内包したデータを受信し、当該データを該宛先へ送信するネットワーク機器と、前記ネットワーク機器から送信された前記データを無線区間へ送信すると共に、無線区間を介して送信されてきた前記データを前記ネットワーク機器へ送信する複数の無線アクセスポイント装置と、前記複数の無線アクセスポイント装置から一つの無線アクセスポイント装置を選択して接続し、接続した無線アクセスポイント装置から無線区間へ送信された前記データを受信する無線端末とを有し、前記ネットワーク機器は、マルチキャストグループ宛ての前記データを無線区間へ送信している無線アクセスポイント装置を識別するための対応情報を記憶し、前記無線アクセスポイント装置に接続している無線端末へ当該対応情報を送信し、前記無線端末は前記ネットワーク機器から送信された前記対応情報を取得し、この対応情報に基づいて、受信しようとするマルチキャストグループ宛ての前記データを送信している無線アクセスポイント装置が存在するか否かを判定し、存在すると判定した場合には該無線アクセスポイント装置を前記複数の無線アクセスポイント装置から選択して接続することを特徴とする無線マルチキャストシステムを提供する。
【0018】
また、上記課題を解決するために、本発明は、無線端末を接続する複数の無線アクセスポイント装置へ宛先を内包したデータを送信するための通信手段と、自器から送信されたマルチキャストグループ宛てのデータを無線区間へ送信している無線アクセスポイント装置を識別するための対応情報を記憶する記憶手段と、無線アクセスポイント装置を介して前記対応情報を当該無線アクセスポイント装置に接続している無線端末へ送信する送信手段とを有するネットワーク機器を提供する。
【0019】
また、上記課題を解決するために、本発明は、ネットワーク機器と通信するための第一の通信手段と、無線端末を接続し、当該無線端末と無線通信するための第二の通信手段と、前記ネットワーク機器と自装置に接続している無線端末との通信を中継すると共に、自装置に接続している無線端末の中にマルチキャストグループに参加している無線端末があるか否かを判定し、当該判定結果を前記ネットワーク機器へ通知するように前記第一の通信手段と前記第二の通信手段とを制御する制御手段とを有する無線アクセスポイント装置を提供する。
【0020】
また、上記課題を解決するために、本発明は、複数の無線アクセスポイント装置の中から一の無線アクセスポイント装置を選択し当該無線アクセスポイント装置に接続して通信すると共に、マルチキャストグループを示す情報を宛先として内包したデータを当該マルチキャストグループへ送信している無線アクセスポイント装置を識別するための対応情報を記憶するネットワーク機器と、自端末を接続した無線アクセスポイント装置を介して通信し、前記ネットワーク機器から送信されてくる前記対応情報を受信する通信手段と、前記マルチキャストグループへ前記データを送信している無線アクセスポイント装置を前記対応情報に基づいて特定し、当該対応情報に基づいて特定された無線アクセスポイント装置に接続を切替える切替え手段と、前記切替え手段により接続を切替えた無線アクセスポイント装置を介して前記ネットワーク機器から前記マルチキャストグループへ送信されてくる前記データを受信する受信手段とを有する無線端末を提供する。
【0021】
また、上記課題を解決するために、本発明は、コンピュータ装置に、無線端末を接続する複数の無線アクセスポイント装置へ宛先を内包したデータを送信するための通信手段と、当該コンピュータ装置から送信されたマルチキャストグループ宛てのデータを無線区間へ送信している無線アクセスポイント装置を識別するための対応情報を記憶する記憶手段と、無線アクセスポイント装置を介して前記対応情報を当該無線アクセスポイント装置に接続している無線端末へ送信する送信手段とを実現させるためのプログラムと当該プログラムを記録したコンピュータ装置読み取り可能な記録媒体とを提供する。
【0022】
また、上記課題を解決するために、本発明は、コンピュータ装置に、ネットワーク機器と通信するための第一の通信手段と、無線端末を接続し、当該無線端末と無線通信するための第二の通信手段と、前記ネットワーク機器と当該コンピュータ装置に接続している無線端末との通信を中継すると共に、当該コンピュータ装置に接続している無線端末の中にマルチキャストグループに参加している無線端末があるか否かを判定し、当該判定結果を前記ネットワーク器機へ通知するように前記第一の通信手段と前記第二の通信手段とを制御する制御手段とを実現させるためのプログラムと当該プログラムを記録したコンピュータ装置読み取り可能な記録媒体とを提供する。
【0023】
また、上記課題を解決するために、本発明は、コンピュータ装置に、複数の無線アクセスポイント装置の中から一の無線アクセスポイント装置を選択し当該無線アクセスポイント装置に接続して通信すると共に、マルチキャストグループを示す情報を宛先として内包したデータを当該マルチキャストグループへ送信している無線アクセスポイント装置を識別するための対応情報を記憶するネットワーク機器と、当該コンピュータ装置を接続した無線アクセスポイント装置を介して通信し、前記ネットワーク機器から送信されてくる前記対応情報を受信する通信手段と、前記マルチキャストグループへ前記データを送信している無線アクセスポイント装置を前記対応情報に基づいて特定し、当該対応情報に基づいて特定された無線アクセスポイント装置に接続を切替える切替え手段と、前記切替え手段により接続を切替えた無線アクセスポイント装置を介して前記ネットワーク機器から前記マルチキャストグループへ送信されてくる前記データを受信する受信手段とを実現させるためのプログラムと当該プログラムを記録したコンピュータ装置読み取り可能な記録媒体とを提供する。
【0024】
このような無線マルチキャストシステム、ネットワーク機器、無線アクセスポイント装置、無線端末、プログラムおよび記録媒体を用いると、マルチキャストグループ宛てに送信されたデータを受信する無線端末は、既に当該マルチキャスグループへ当該データを送信中の無線アクセスポイント装置に接続される。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態について説明する。
【0026】
(1)全体構成
図2は本発明に係る無線LANシステムの全体構成の一例を示す図である。この図に示す無線LANシステムが図1に示す無線LANシステムと異なる点は、無線端末11A、11B、11Cおよび11Dに替えて無線端末21A、21B、21Cおよび21Dを設けた点と、無線アクセスポイント装置12Aおよび12Bに替えて無線アクセスポイント装置22Aおよび22Bを設けた点と、ルータ13に替えてルータ23を設けた点である。なお、以下の説明では、上記四台の無線端末21A、21B、21Cおよび21Dの各々を区別する必要がない場合には「無線端末21」と表記し、上記二台の無線アクセスポイント装置22Aおよび22Bの各々を区別する必要がない場合には「無線アクセスポイント装置22」と表記する。また、上記無線アクセスポイント装置22Aと22Bとには、それぞれ、IPアドレス10.1.1.2と10.1.1.3とが割り当てられているものとする。
【0027】
図2のルータ23には、マルチキャストグループへパケットを送信している無線アクセスポイント装置22を特定する情報(例えば、当該無線アクセスポイント装置22のIPアドレス)と、当該マルチキャストグループを示す情報(例えば、当該マルチキャストグループのIPアドレス)とを内包した対応情報が記憶されている。マルチキャストグループに割り当てられているIPアドレスが234.1.2.3である場合の対応情報の一例を図3に示す。
【0028】
そして、この無線LANシステムは、上記マルチキャストグループ宛てに送信されているパケットを受信する無線端末21に上記対応情報をルータ23から取得させ、当該対応情報に基づいて接続すべき無線アクセスポイント装置22を特定させ、この無線アクセスポイント装置22に接続させている。
【0029】
(2)無線端末21の構成および機能
図4は無線端末21のハードウェア構成の一例を示すブロック図であり、この図に示されるように無線端末21は、制御部41と無線通信部42と記憶部43とを有している。制御部41は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。無線通信部42は無線アクセスポイント装置22と無線通信を行うものであり、無線アクセスポイント装置22から送信されてきた情報を制御部41に渡すと共に、制御部41から渡された情報を無線アクセスポイント装置22へ送信するものである。記憶部43は、例えばEEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)等の不揮発性記憶装置であり、上述した負荷分散機構を実現するためのソフトウェア等の当該無線端末21の機能を実現するためのソフトウェアを記憶している。
【0030】
次に、制御部41が記憶部43に記憶されているソフトウェアを実行することにより無線端末21に付与される機能について説明する。制御部41が記憶部43に記憶されているソフトウェアを実行することにより、無線端末21には一般的な無線端末が有する機能と同一の機能が付与される。具体的には、無線端末21は、従来の負荷分散手法に基づいて、接続する無線アクセスポイント装置を決定し、この無線アクセスポイント装置に接続すること、当該無線アクセスポイント装置と無線通信することができる。
【0031】
無線端末21の制御部41は、ユーザによりマルチキャストグループへの参加を指示されると、本発明のポイントである特徴的な処理を行う。以下、この処理を接続先変更処理と呼ぶ。接続先変更処理を実行中の制御部41は、現在接続している無線アクセスポイント装置22を介してルータ23から対応情報(図3参照)を取得する。そして、制御部41は参加を指示されたマルチキャストグループへパケットを送信している無線アクセスポイント装置22を当該対応情報に基づいて特定し、この無線アクセスポイント装置22へ接続を切替えると共に、当該マルチキャストグループへ参加することを示す通知を当該無線アクセスポイント装置22へ送信する。以下、制御部41は当該無線アクセスポイント装置22から送信されてくるパケットを受信する。そして、無線端末21の制御部41は、ユーザによりマルチキャストグループ宛てのパケットの受信を終了することを指示されると、当該マルチキャストグループから退出することを示す通知を無線アクセスポイント装置22へ送信する。
【0032】
(3)無線アクセスポイント装置22の構成および機能
図5は無線アクセスポイント装置22のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。この図に示す無線アクセスポイント装置22のハードウェア構成が、図4に示す無線端末21のハードウェア構成と異なる点は、記憶部43に替えて記憶部53を設けた点と、有線通信部52および外部記憶部54を新たに設けた点である。ここで、有線通信部52は通信線14を介してルータ23に接続されており、ルータ23から送信されてきた情報を当該通信線14を介して受信し、この情報を制御部41へ渡すと共に、制御部41から渡された情報を通信線14を介してルータ23へ送信するものである。記憶部53は、例えばハードディスクであり、当該無線アクセスポイント装置22の機能を実現するためのソフトウェアを記憶している。外部記憶部54は、例えばCD−ROM(Compact Disk−Read Only Memory)等のコンピュータ装置読み取り可能な記録媒体に記録されているデータを読み取り、読み取ったデータを制御部41に渡すもでのである。
【0033】
次に、制御部41が記憶部53に記憶されているソフトウェアを実行することにより無線アクセスポイント装置22に付与される機能について説明する。制御部41が記憶部53に記憶されているソフトウェアを実行することにより、無線アクセスポイント装置22には、一般的な無線アクセスポイント装置の有する機能と同一の機能が付与される。具体的には、無線アクセスポイント装置22は、無線端末21から送信されてきた接続要求に応じて当該無線端末21を接続し、当該無線端末21とルータ23とのパケットの送受信を中継すること等を行う。より詳細に説明すると、無線アクセスポイント装置22の制御部41は、当該無線端末21から送信されてきたパケットを無線通信部42を介して受信し、当該パケットを有線通信部52を介してルータ23に送信すると共に、ルータ23から送信されてきたパケットを有線通信部52を介して受信し、当該パケットを当該パケットの宛先へ無線通信部42を介して送信する。
【0034】
そして、無線端末21から送信されてきたマルチキャストグループへの参加を示す通知や、マルチキャストグループから退出することを示す通知を受信すると、制御部41は本発明のポイントである特徴的な処理を行う。すなわち、マルチキャストグループへの参加を示す通知を受信した場合には、制御部41は、自装置の配下にマルチキャストグループへの参加を所望する無線端末21があることを示す通知を生成し、この通知を有線通信部52を介してルータ23に送信する。なお、この通知には、自装置を示す情報(例えば、自装置のIPアドレス)とマルチキャストグループを示す情報(例えば、当該マルチキャストグループのIPアドレス)とが内包されている。
【0035】
また、マルチキャストグループから退出することを示す通知を受信した場合には、制御部41は自装置に接続している他の全ての無線端末21に、当該マルチキャストグループへ参加しているか否かを問い合わせ、他に当該マルチキャストグループに参加している無線端末21がない場合には、自装置の配下から当該マルチキャストグループへ参加している無線端末21がなくなったことを示す通知を生成し、当該通知を有線通信部52を介してルータ23に送信する。なお、この通知にも当該無線アクセスポイント装置を示す情報と、参加者のいなくなったマルチキャストグループを示す情報とが内包されている。
【0036】
(4)ルータ23の構成および機能
図6はルータ23のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。この図に示すルータ23のハードウェア構成が、図5に示す無線アクセスポイント装置22のハードウェア構成と異なる点は、無線通信部42に替えて有線通信部62を設けた点のみである。ここで、有線通信部62はバックボーンネットワークに接続されており、当該バックボーンネットワークから送信されてきた情報を受信し、この情報を制御部41へ渡すと共に、制御部41から渡された情報をバックボーンネットワークへ送信するものである。
【0037】
ルータ23の記憶部53には、当該ルータ23の機能を実現させるためのソフトウェアが記憶されており、当該ソフトウェアを制御部41が実行することによりルータ23には、一般的なルータが有する機能と同一の機能が付与される。具体的には、ルータ23は、無線アクセスポイント装置22から送信されてきたパケットを有線通信部52を介して受信し、当該パケットを有線通信部62を介してバックボーンネットワークへ送信すること、バックボーンネットワークから送信されてきたパケットを有線通信部62を介して受信し、当該パケットの宛先である無線端末21を接続している無線アクセスポイント装置22へ有線通信部52を介して当該パケットを送信することなどを行う。
【0038】
そして、無線アクセスポイント装置22から送信されてきたパケットの内容が、当該無線アクセスポイント装置22の配下にマルチキャストグループへ参加する無線端末21があることを示す通知である場合、対応情報の送信要求である場合および当該無線アクセスポイント装置22の配下からマルチキャストグループへ参加する無線端末21がなくなったことを示す通知である場合には、制御部41は本発明に特有な特徴的な処理を行う。
【0039】
すなわち、無線アクセスポイント装置22の配下の無線端末21がマルチキャストグループへ参加することを示す通知である場合には、制御部41は、当該通知に含まれているマルチキャストグループを示す情報と当該無線アクセスポイント装置を示す情報とを対応付けて対応情報(図3参照)を生成し、この対応情報を記憶部53に記憶する。
【0040】
また、当該無線アクセスポイント装置22に接続している無線端末21から送信された対応情報の送信要求である場合には、制御部41は、当該対応情報を記憶部53から読み出し、この対応情報を無線アクセスポイント装置22を介して要求元の無線端末21へ送信する。
【0041】
また、当該無線アクセスポイント装置22の配下からマルチキャストグループへ参加する無線端末21がなくなったことを示す通知である場合である場合には、制御部41は当該通知で示される対応情報を記憶部53から削除する。
【0042】
(5)動作
次に、本実施形態に係る無線LANシステムにおいて、無線端末21がマルチキャスト宛てのパケットを受信する動作について説明する。
【0043】
(5−1)動作例1
まず、何れの無線端末21もマルチキャストグループ(234.1.2.3)へ参加していない状態で、無線端末21Aをマルチキャストグループへ参加させる場合の動作を、図7に示すシーケンス図を用いて説明する。なお、本動作の開始時点では、無線アクセスポイント装置22Aおよび22Bは、いずれも、当該マルチキャストグループへパケットを送信しておらず、ルータ23の記憶部53には、図8に示す対応情報が記憶されているものとする。また、本動作の開始時点では、無線アクセスポイント装置22Aおよび22Bには、同一の負荷がかかっているものとし、無線端末21Aおよび21Bは無線アクセスポイント装置22Aに接続しており、無線端末21Cおよび21Dは無線アクセスポイント装置22Bに接続しているものとする。
【0044】
ユーザによりマルチキャストグループへの参加を指示されると、図7に示すように、まず、無線端末21Aは無線通信部42を介して対応情報の送信を要求するリクエスト71をルータ23へ送信する。このリクエスト71は無線アクセスポイント装置22Aで中継され、ルータ23に到達する。そして、このリクエスト71を有線通信部52を介して受信したルータ23は、記憶部43から対応情報を読み出し、当該対応情報を含むレスポンス72を有線通信部52を介して無線端末21Aへ送信する。
【0045】
このレスポンス72は無線アクセスポイント装置22Aで中継され、無線端末21Aに到達する。このレスポンス72を無線通信部42を介して受信した無線端末21Aは、当該レスポンス72に含まれている対応情報を取得し、当該対応情報に基づいて特定された無線アクセスポイント装置に接続を切替え、当該無線アクセスポイント装置を介してルータ23からマルチキャストグループへ送信されてくるパケットを受信する。以下、図9に示すフローチャートを用いて当該動作の流れを詳細に説明する。
【0046】
無線端末21Aの制御部41は、無線通信部42を介してレスポンス72を受信すると、当該レスポンス72を解析し、当該レスポンス72に含まれている対応情報を取得する(ステップSA1)。
【0047】
次に、制御部41は、ステップSA1にて取得した対応情報に基づいて、参加を指示されたマルチキャストグループにパケットを送信している無線アクセスポイント装置があるか否かを判定する(ステップSA2)。具体的には、ステップSA1にて取得した対応情報で、参加を指示されたマルチキャストグループのIPアドレスに対応付けられた無線アクセスポイント装置のIPアドレスがある場合には、制御部41は該当する無線アクセスポイント装置があると判定し、逆に、マルチキャストグループのIPアドレスに対応付けられた無線アクセスポイント装置のIPアドレスがない場合には、該当する無線アクセスポイント装置はないと判定する。ここで、図8に示されるように、無線アクセスポイント装置22Aおよび22BのIPアドレスには、いずれも、マルチキャストグループのIPアドレスが対応付けられていないので、無線端末21Aの制御部41は該当する無線アクセスポイント装置はないと判定する。
【0048】
該当する無線アクセスポイント装置がないと判定した場合には、制御部41は接続する無線アクセスポイント装置を従来の負荷分散機構に基づいて決定する。なお、本動作例では、従来の負荷分散機構に基づいて無線端末21の制御部41により決定される無線アクセスポイント装置は、無線アクセスポイント装置22Aであり、無線端末21Aは既に無線アクセスポイント装置22Aに接続しているので、接続先の切替えは発生しない。そして、無線端末21Aの制御部41は無線通信部42を介してマルチキャストグループに参加することを示す通知73を無線アクセスポイント装置22Aへ送信する(ステップSA3)。
【0049】
この通知73を無線通信部42を介して受信した無線アクセスポイント装置22Aは、自装置の支配下にマルチキャストグループへの参加を所望するユーザがいることを示す通知74を生成し、当該通知74を有線通信部52を介してルータ23に送信する。一方、この通知74を有線通信部52を介して受信したルータ23は、当該通知74に含まれる無線アクセスポイント装置22AのIPアドレスとマルチキャストグループのIPアドレスとを対応付けて記憶部53に記憶する(図3参照)。
【0050】
以下、ルータ23と無線アクセスポイント装置22Aと無線端末21とは、一般的なマルチキャストと同一の動作を行う。具体的には、ルータ23は自装置の配下にマルチキャストグループに参加するクライアント(無線端末21Aを接続した無線アクセスポイント装置22A)があることをバックボーンネットワークへ通知し、当該マルチキャストグループへバックボーンネットワークから送信されてくるパケットを有線通信部62を介して受信し、このパケットを有線通信部52を介して無線アクセスポイント装置22Aへ送信する。当該パケットを有線通信部52を介して受信した無線アクセスポイント装置22Aは、無線通信部42を介して当該パケットをマルチキャストグループへ送信し、このパケットは無線端末21Aで受信される。
【0051】
以上の動作により、無線端末21Aは、無線アクセスポイント装置22Aを介してマルチキャストグループ宛てのパケットを受信すると共に、ルータ23の記憶部53には、図3に示す対応情報が記憶される。
【0052】
(5−2)動作例2
次に、無線アクセスポイント装置22Aからマルチキャストグループ(234.1.2.3)へ送信されているパケットを無線端末21Aが受信している状態で、新たに無線端末21Cが当該マルチキャストグループに参加する場合の動作を図10に示すシーケンス図を用いて説明する。なお、本動作の開始時点では、無線アクセスポイント装置22Aから当該マルチキャストグループへパケットが送信されているため、図3に示す対応情報がルータ23の記憶部53に記憶されている。
【0053】
ユーザによりマルチキャストグループへの参加を指示された無線端末21Cへ無線アクセスポイント装置22Bを介してルータ23から対応情報が送信されるまでの無線端末21Cと無線アクセスポイント装置22Bとルータ23の動作は、それぞれ、上述した動作例1における無線端末21Aと無線アクセスポイント装置22Aとルータ23の動作と同一である。
【0054】
しかし、ルータ23から無線端末21Cへ送信された対応情報(図3参照)は、上述した動作例1においてルータ23から無線端末21Aへ送信された対応情報(図8参照)と異なっているために、無線端末21Cは、上述した動作例1における無線端末21Aの動作と異なる動作を行う。すなわち、無線端末21Cの制御部41は、当該対応情報に基づいて、参加を指示されたマルチキャストグループへパケットを送信している無線アクセスポイント装置があり、該当する無線アクセスポイント装置は無線アクセスポイント装置22Aであると判定する(ステップSA2:図9参照)。
【0055】
該当する無線アクセスポイント装置があると判定した場合には、制御部41は当該無線アクセスポイント装置との間の通信品質が所定の基準値以上であるか否かを判定する(ステップSA4:図9参照)。そして、当該通信品質が所定の基準値に満たない場合には、制御部41は上述したステップSA3の処理を行い、逆に、当該通信品質が所定の基準値以上である場合には、制御部41は後述するステップSA5(図9参照)の処理を行う。ここで、本動作例では無線端末21Cと無線アクセスポイント装置22Aとの間の通信品質は所定の基準値以上であるため、無線端末21Cの制御部41はステップSA5の処理を行う。具体的には、制御部41はステップSA4にて特定された無線アクセスポイント装置22Aに接続するためにリクエスト101(図10参照)を送信し、当該無線アクセスポイント装置22Aに接続する。
【0056】
以下、無線端末21Cと無線アクセスポイント装置22Aとルータ23とは、それぞれ、上述した動作例1における無線端末21Aと無線アクセスポイント装置22Aとルータ23と同一の動作を行い、無線端末21Cは、無線アクセスポイント装置22Aからマルチキャストグループへ送信されているパケットを受信する。
【0057】
(6)変形例
(6−1)変形例1
上述した実施形態では、マルチキャストグループへパケットを送信する無線アクセスポイント装置22と当該マルチキャストグループとの対応関係を記憶するネットワーク機器としてルータを用いる場合について説明したが、係るネットワーク機器はルータに限定されるものではなく、スイッチであっても良い。要は、当該対応関係を記憶する機能とルーティング機能とを有したネットワーク機器であれば良い。
【0058】
(6−2)変形例2
上述した実施形態では、データを所定のデータサイズで分割したパケットを送受信することにより通信を行う場合について説明したが、本発明に係る無線LANシステムにおけるデータの通信単位はパケットに限定されるものではなく、フレームであっても良い。要は、宛先を内包したデータであれば良い。
【0059】
(6−3)変形例3
上述した実施形態におけるマルチキャストの一例としてIPマルチキャストについて説明したが、本発明に係る通信システムで実行されるマルチキャストは、IPマルチキャストに限定されるものではない。例えばIPプロトコル層より下位のプロトコル階層で実現されるマルチキャストであっても良い。具体的には、データリンク層における通信アドレスであるMACアドレスを用いたマルチキャストであっても良い。
【0060】
(6−4)変形例4
上述した実施形態では、無線通信網として無線LANを用いる場合について説明したが、当該無線通信網は無線LANに限定されるものではなく、移動パケット通信網であっても良い。なお、移動パケット通信網においてマルチキャストを実現する手段としては、パケットの送信宛先をマルチキャストグループを示す特定の宛先にすることにより実現される。
【0061】
(6−5)変形例5
上述した実施形態では、無線端末21から送信された対応情報の送信要求に応じてルータ23は対応情報を無線端末21へ送信する場合について説明したが、ルータ23から無線端末21へ対応情報を送信する態様は、係る態様に限定されるものではなく、例えば定期的にルータ23が当該対応情報を配下にある全ての無線端末21へ送信するとしても良い。
【0062】
具体的には、現在時刻を取得し、取得した現在時刻を制御部41に引き渡すための計時部をルータ23に設け、当該計時部から引き渡された時刻が予め定められた時刻と一致した場合に、制御部41は記憶部53から対応情報を読み出し、当該対応情報を自装置の支配下にある全ての無線端末21へ送信することで実現可能である。
【0063】
また、定期的に無線アクセスポイント装置22がルータ23に対して当該対応情報の送信を要求し、ルータ23から送信されてきた対応情報を自装置に接続している無線端末21に送信するとしても良い。
【0064】
(6−6)変形例6
上述した実施形態では、マルチキャストグループへパケットを送信している無線アクセスポイント装置を示す情報と当該マルチキャストグループを示す情報とを対応づけてルータ23に記憶させることにより、無線アクセスポイント装置とマルチキャストグループとの対応関係を管理する場合について説明したが、無線アクセスポイント装置とマルチキャストグループとの対応の他に、当該無線アクセスポイント装置からマルチキャストグループへ送信されているパケットを受信している無線端末21についても管理することもできる。
【0065】
具体的には、マルチキャストグループへパケットを送信している無線アクセスポイント装置を示す情報と当該マルチキャストグループを示す情報と当該グループに属する無線端末21を示す情報(例えば、当該無線端末21のIPアドレスなど)とを対応付けてルータ23に記憶させることにより、無線アクセスポイント装置とマルチキャストグループと無線端末21との対応関係を管理することができる。
【0066】
また、上述した実施形態では、ルータ23に記憶されている対応情報をそのまま無線端末21に送信する場合について説明したが、当該対応情報の送信態様は係る形態に限定されるものではなく、例えば、無線端末21が対応情報の送信を要求する際に、当該無線端末21が参加を指示されたマルチキャストグループを指定してルータ23に対応情報の送信を要求し、ルータ23は記憶部53に記憶されている対応情報の中から当該マルチキャストグループに対してパケットを送信している無線アクセスポイント装置のIPアドレスを読み出し、当該IPアドレスのリストを生成し、当該リストを無線端末21に送信するとしても良い。
【0067】
(6−7)変形例7
上述した実施形態では、一つのマルチキャストグループに対してパケットを送信している無線アクセスポイント装置が一つである場合について説明したが、一つのマルチキャストグループに対して複数の無線アクセスポイント装置がパケットを送信している場合についても、無線端末21と無線アクセスポイント装置22との通信品質を示す情報や、無線アクセスポイント装置22の負荷を示す情報に基づいて無線端末21に接続する無線アクセスポイント装置22を一意に特定させることが可能である。
【0068】
以下では、通信品質を示す情報として、無線端末21と無線アクセスポイント装置22との無線通信に使用される電波のSNR(Signal to Noise Ration)を用い、無線アクセスポイント装置22の負荷を示す情報としてRTT(Round Trip Time)を用いて、無線端末21が複数の無線アクセスポイント装置22の中から接続する無線アクセスポイント装置22を一意に特定する場合について説明する。なお、SNRとは無線電波における通信信号と雑音との比率であり、当該値が大きいほど通信品質が良いことを示すものである。また、RTTとは無線端末21から無線アクセスポイント装置22へ問い合わせパケットを送信し、当該パケットに対する応答が返ってくるまでの時間であり、当該値が小さいほど無線アクセスポイント装置22にかかっている負荷が軽いことを示すものである。
【0069】
ルータ23から送信されてきた対応情報で複数の無線アクセスポイント装置が特定される場合、無線端末21の制御部41は各無線アクセスポイント装置22に対して、上述したSNRとRTTとを求め、SNRをRTTで除算して接続優先値(すなわち、接続優先値=SNR÷RTT)を求める。そして、無線端末21は当該接続優先値の値が最も大きい無線アクセスポイント装置22を接続先とする。
【0070】
また、通信品質のみに基づいて、接続する無線アクセスポイント装置22を無線端末21に特定させても良い。具体的には、ルータ23から送信されてきた対応情報で示される複数の無線アクセスポイント装置のうち、SNRの値が最も大きい無線アクセスポイント装置に接続させることで実現できる。また、各無線アクセスポイント装置22から送信されてくる当該無線アクセスポイント装置22の負荷を示す情報のみに基づいて、接続する無線アクセスポイント装置22を無線端末21に特定させても良い。具体的には、ルータ23から送信されてきた対応情報で示される複数の無線アクセスポイント装置のそれぞれに対してRTTを無線端末21に計測させ、RTTの値が最も小さい無線アクセスポイント装置に接続させることで実現できる。
【0071】
また、同一のマルチキャストグループ宛てのパケットを送信している複数の無線アクセスポイント装置に対して、接続する優先順位を無線端末21に割り当てさせるための情報を含んだ対応情報をルータ23が無線端末21に送信し、無線端末21は当該対応情報に基づいて最も高い優先順位を割り当てた無線アクセスポイント装置に接続するとしても良い。
【0072】
具体的には、当該複数の無線アクセスポイント装置の各々に対して、各無線アクセスポイント装置がパケットを送信しているマルチキャストグループの数(以下、「グループ数」とする)をルータ23が集計し、このグループ数を含む対応情報を無線端末21に送信する。そして、当該グループ数を含んだ対応情報を受信した無線端末21は、各無線アクセスポイント装置に対して、当該グループ数の小さい順に高い優先順位を割り当てることで実現できる。なお、複数の無線アクセスポイント装置に対して、接続する優先順位を無線端末21に割り当てさせるための情報は、上記グループ数に限定されるものではない。要は、各無線アクセスポイント装置毎にルータ23が取得可能な情報であれば良い。また、上述した変形例では、複数の無線アクセスポイント装置に対して、接続する優先順位を無線端末21に割り当てさせるための情報が小さい順に高い優先順位を割り当てる場合について説明したが、逆に、当該情報が大きい順に高い優先順位を割り当てるとしても良い。
【0073】
(6−8)変形例8
上述した実施形態では、無線アクセスポイント装置22が、無線端末21から送信されたマルチキャストグループへの参加を示す通知や、当該マルチキャストグループからの退出を示す通知を受信したときに、自装置の配下にマルチキャストグループへ参加する無線端末21があるか否かを判定して、判定結果をルータ23に通知し、当該通知に基づいてルータ23は対応情報を更新する場合について説明したが、対応情報の更新態様は係る形態に限定されるものではない。
【0074】
具体的には、現在時刻を取得し、取得した現在時刻を制御部41に引き渡すための計時部を無線アクセスポイント装置22に設け、当該計時部から引き渡された時刻が予め定められた時刻と一致した場合に、自装置がマルチキャストグループへパケットを送信しているか否か判定し、当該判定結果を定期的に無線アクセスポイント装置22からルータ23へ送信させ、当該判定結果に基づいて、ルータ23は対応情報の記憶または削除を行うとしても良い。
【0075】
また、上述した計時部をルータ23に設け、当該計時部から引き渡された時刻が予め定められた時刻と一致した場合に、ルータ23の制御部41は通信線14を介して自装置に接続された無線アクセスポイント装置22に、マルチキャストグループへパケットを送信しているか否かを問い合わせ、マルチキャストグループへパケットを送信している無線アクセスポイント装置22に当該マルチキャストグループを示す情報を返信させ、当該返信に基づいて記憶部53に対応情報を記憶させるとしても良い。
【0076】
また、無線アクセスポイント装置22は、無線端末21とルータ23との通信を中継する機能のみを有する中継装置であり、無線端末21とルータ23とが協調して対応情報の更新を行うとしても良い。
【0077】
具体的には、無線端末21が無線アクセスポイント装置22からマルチキャストグループへ送信されているパケットの受信を開始または終了したときに、当該マルチキャストグループ宛てのパケットの受信を開始または終了したことを示す通知を無線アクセスポイント装置22を介してルータ23に送信し、当該通知に基づいてルータ23は、上述した変形例6に示す対応情報の記憶または削除を行うとしても良い。
【0078】
また、上述した計時部を無線端末21に設け、無線アクセスポイント装置22からマルチキャストグループへ送信されているパケットを当該無線端末21が受信しているか否かを示す通知を定期的に当該無線端末21からルータ23へ送信させ、当該通知に基づいて、ルータ23は変形例6に示す対応情報の記憶または削除を行うとしても良い。
【0079】
(6−9)変形例9
上述した実施形態では、無線アクセスポイント装置22からマルチキャストグループへ送信されているパケットの受信を無線端末21に開始させる際に、ルータ23から送信された対応情報を用いて無線端末21に接続先変更処理を行わせる場合について説明したが、無線端末21が当該マルチキャストグループへ送信されたパケットの受信を開始する際のみならず、当該パケットの受信を既に開始している場合にも、無線端末21に上述した接続先変更処理を行わせ、接続先の無線アクセスポイント装置22を変更させることが可能である。
【0080】
具体的には、無線アクセスポイント装置22からマルチキャストグループへ送信されているパケットを無線端末21が受信中であっても、ルータ23から送信されてきた対応情報を当該無線端末21が受信する度に、当該無線端末21に上述した接続先変更処理を行わせることにより実現できる。なお、無線端末21が対応情報を受信する方法としては、ルータ23が自器の配下にある全ての無線端末へ定期的に送信する対応情報を当該無線端末21が受信するとしても良く、また、無線端末21に上述した計時部を設け、無線端末21が定期的にルータ23に対応情報の送信を要求し、ルータ23が当該要求に応じて対応情報を無線端末21に送信するとしても良い。
【0081】
より詳細に説明すると、無線アクセスポイント装置22から送信されてくるマルチキャストグループ宛てのパケットを受信中の無線端末21は、マルチキャストグループと当該マルチキャストグループ宛てにパケットを送信している無線アクセスポイント装置と各無線アクセスポイント装置に対して接続する優先順位を無線端末21に割り当てさせるための情報とを含んだ対応情報を取得し、当該対応情報に基づいて各無線アクセスポイント装置に優先順位を割り当てる。そして、自端末と接続している無線アクセスポイント装置よりも高い優先順位を割り当てた無線アクセスポイント装置があると判定した場合には、無線端末21は、自端末と接続している無線アクセスポイント装置よりも高い優先順位を割り当てた無線アクセスポイント装置の各々に対して、最高の優先順位を割り当てたものから当該優先順位の順に、当該無線アクセスポイント装置と自端末との間の通信品質を測定し、当該通信品質が基準値以上であれば、接続先を当該無線アクセスポイント装置に切替える。その際、無線端末21は切替え前の接続先無線アクセスポイント装置22に当該マルチキャストグループから退出することを通知し、この通知を行った後に接続先を切替え、切替え後の無線アクセスポイント装置22から送信されてくる当該マルチキャストグループ宛てのパケットを受信する。
【0082】
一方、無線端末21からマルチキャストグループからの退出を通知された無線アクセスポイント装置22は、自装置の配下に当該マルチキャストグループに参加している無線端末21が他にあるか否かを判定し、当該マルチキャストグループへ参加している無線端末21がないと判定した場合には、自装置の配下から当該マルチキャストグループへ参加している無線端末21がなくなったことをルータ23に通知する。この通知を受信したルータ23は、当該通知に基づいて対応情報を記憶部53から削除すると共に、当該マルチキャストグループ宛てのパケットを当該通知を送信した無線アクセスポイント装置22へ送信しなくなる。その結果、当該無線アクセスポイント装置22から当該マルチキャストグループ宛てのパケットが送信されなくなる。
【0083】
上述したように、マルチキャストグループ宛てのパケットを受信中の無線端末21に上述した接続先変更処理を行わせると、例えばユーザが当該無線端末21を携帯し移動することにより、当該無線端末21と各無線アクセスポイント装置22との距離が変化し、当該無線端末21と各無線アクセスポイント装置22との間の通信品質が変化する場合であっても、無線端末21は、その都度、最適な無線アクセスポイント装置22に接続を切替え、所定の通信品質を維持しつつパケットの受信を継続することができるといった効果を奏する。
【0084】
一方、当該接続先の切替えにより無線端末21からマルチキャストグループからの退出を通知された無線アクセスポイント装置22の配下に当該マルチキャストグループへ参加している無線端末21が他にない場合には、当該マルチキャストグループ宛てのパケットは当該無線アクセスポイント装置22から送信されなくなる。すなわち、受信者のいないパケットが無線アクセスポイント装置22から送信されつづけるといった通信帯域の無駄な使用が防止されるといった効果も奏する。
【0085】
(6−10)変形例10
上述した実施形態では、ルータ23に無線アクセスポイント装置22Aおよび22Bが直接接続されている接続形態を有する無線LANシステムについて説明したが、本発明に係る無線LANシステムにおける無線アクセスポイント装置とネットワーク機器との接続形態は、係る接続形態に限定されるものではない。例えば図11に示すように、通信線25によりルータ23にネットワークスイッチ24が接続されており、このネットワークスイッチ24に無線アクセスポイント装置22が接続されているような接続形態であっても良い。
【0086】
図11に示す無線LANシステムでは、ネットワークスイッチ24がIGMP−Snooping機能を有しており、ルータ23から送信されてきたパケットの宛先がマルチキャストグループである場合には、このマルチキャストグループへの参加者を配下に有する無線アクセスポイント装置22にのみ当該パケットを送信する。またルータ23には、上述した対応情報が記憶されており、無線端末21からの要求に応じて当該対応情報を無線端末21に送信する。この対応情報に基づいて接続する無線アクセスポイント装置22を無線端末21が切替えることにより、上述した実施形態と同一の効果が得られる。
【0087】
すなわち、本変形例に示すように、対応情報を記憶し管理する機能と、配下にマルチキャストグループへの参加者を有する無線アクセスポイント装置22にのみ当該マルチキャストグループ宛てのパケットを送信する機能とを、それぞれ個別のネットワーク機器に担わせても良い。
【0088】
(6−11)変形例11
上述した実施形態では、ルータ23に当該ルータ23の機能を実現させるためのソフトウェアを記憶部53に予め記憶させておく場合について説明したが、ルータ23と同一のハードウェア構成を有し、当該ソフトウェアを記憶していないコンピュータ装置に当該ソフトウェアを記憶させることにより、当該ネットワーク機器にルータ23と同一の機能を追加するとしても良い。また、上述した実施形態では、無線アクセスポイント装置22に当該無線アクセスポイント装置22の機能を実現させるためのソフトウェアを記憶部53に予め記憶させておく場合について説明したが、無線アクセスポイント装置22と同一のハードウェア構成を有し、当該ソフトウェアを記憶していないコンピュータ装置に当該ソフトウェアを記憶させることにより、当該コンピュータ装置に無線アクセスポイント装置22と同一の機能を追加するとしても良い。
【0089】
具体的には、外部記憶部54を用いて当該ソフトウェアを記憶したコンピュータ装置読み取り可能な記録媒体から当該ソフトウェアを読み取らせ、このソフトウェアを記憶部53に記憶させることにより、係る機能追加を実現することができる。
【0090】
また、上述した実施形態では、無線端末21に当該無線端末21の機能を実現させるためのソフトウェアを記憶部43に予め記憶させておく場合について説明したが、無線端末21と同一のハードウェア構成を有し、当該ソフトウェアを記憶していないコンピュータ装置に当該ソフトウェアを記憶させることにより、当該コンピュータ装置に無線端末21と同一の機能を追加するとしても良い。
【0091】
具体的には、例えばルータ23の外部記憶部54を用いて当該ソフトウェアを記憶したコンピュータ装置読み取り可能な記録媒体から当該ソフトウェアを読み取らせ、このソフトウェアをルータ23の記憶部53に記憶させる。そして、無線端末21と同一のハードウェア構成を有するコンピュータ装置に無線アクセスポイント装置22を介して当該ソフトウェアをダウンロードさせ、このソフトウェアを当該コンピュータ装置の記憶部43に記憶させることにより、係る機能追加を実現することができる。
【0092】
(6−12)変形例12
上述した実施形態では、従来の負荷分散機構を実現させるためのソフトウェアを無線端末21の記憶部43に記憶させておく場合について説明したが、当該ソフトウェアは、例えば無線端末21の無線通信部42の図示せぬROM(Read Only Memory)に記憶されているファームウェアであっても良い。従来の負荷分散機構を実現するためのソフトウェアがファームウェアとして実装されている場合には、当該ファームウェアを無線通信部42が実行することにより決定された接続先を、制御部41が上述した接続先変更処理を実行することにより再度変更することで、マルチキャストグループ宛てにパケットを送信している無線アクセスポイント装置22に無線端末21を接続させる。
【0093】
【発明の効果】
本発明によれば、マルチキャストグループへの参加を指示された無線端末は、当該マルチキャストグループへデータを送信している無線アクセスポイント装置に接続されるために、同一のマルチキャストグループに対して複数の無線アクセスポイント装置から同一のデータが送信されるといった通信帯域の無駄な使用が防止され、通信帯域を有効に使用できるといった効果を奏する。
【0094】
また、本発明によれば、同一マルチキャストグループに対してデータを送信する無線アクセスポイント装置の数を減少させることができると共に、従来の負荷分散機構も動作するために、マルチキャストグループ毎に当該マルチキャストグループにデータを送信する無線アクセスポイント装置を分散させることができ、マルチキャストグループに対するデータ送信に係る通信トラヒックを各無線アクセスポイント装置に分散することができるといった効果も奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来の負荷分散機構を有する無線LANシステムの全体構成の一例を示す図である。
【図2】 本発明に係る無線LANシステムの全体構成の一例を示す図である。
【図3】 同システムを構成するルータ23に記憶されている対応情報の一例を示す図である。
【図4】 同システムを構成する無線端末21のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図5】 同システムを構成する無線アクセスポイント装置22のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図6】 同システムを構成するルータ23のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図7】 同システムにおける通信シーケンスを一例を示す図である。
【図8】 同システムを構成するルータ23に記憶されている対応情報の一例を示す図である。
【図9】 同無線端末21が実行する接続先変更処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】 同システムにおける通信シーケンスを一例を示す図である。
【図11】 変形例10に係る無線LANシステムの全体構成の一例を示す図である。
【符号の説明】
11A、11B、11C、11D、21A、21B、21C、21D…無線端末、12A、12B、22A、22B…無線アクセスポイント装置、13、23…ルータ、14A、14B、25…通信線、24…ネットワークスイッチ、41…制御部、42…無線通信部、43、53…記憶部、52、62…有線通信部、54…外部記憶部
Claims (20)
- 宛先を内包したデータを受信し、当該データを該宛先へ送信するネットワーク機器と、
前記ネットワーク機器から送信された前記データを無線区間へ送信すると共に、無線区間を介して送信されてきた前記データを前記ネットワーク機器へ送信する複数の無線アクセスポイント装置と、
前記複数の無線アクセスポイント装置から一つの無線アクセスポイント装置を選択して接続し、接続した無線アクセスポイント装置から無線区間へ送信された前記データを受信する無線端末とを有し、
前記ネットワーク機器は、マルチキャストグループ宛ての前記データを無線区間へ送信している無線アクセスポイント装置を識別するための対応情報を記憶し、前記無線アクセスポイント装置に接続している無線端末へ当該対応情報を送信し、
前記無線端末は前記ネットワーク機器から送信された前記対応情報を取得し、この対応情報に基づいて、受信しようとするマルチキャストグループ宛ての前記データを送信している無線アクセスポイント装置が存在するか否かを判定し、存在すると判定した場合には該無線アクセスポイント装置を前記複数の無線アクセスポイント装置から選択して接続する
ことを特徴とする無線マルチキャストシステム。 - 前記無線端末は、前記複数の無線アクセスポイント装置の各々に対して自端末との間の通信品質を計測し、前記対応情報に基づいて特定された無線アクセスポイント装置との間の通信品質が予め定められた基準に満たない場合には、前記対応情報により特定された無線アクセスポイント装置以外の無線アクセスポイント装置で、最も通信品質が良い無線アクセスポイント装置に接続を切替える
ことを特徴とする請求項1に記載の無線マルチキャストシステム。 - 前記無線端末は、前記対応情報に基づいて、受信しようとするマルチキャストグループ宛ての前記データを送信している無線アクセスポイント装置が複数あると判定した場合には、当該複数の無線アクセスポイント装置の各々に対して接続する優先順位を割り当て、最も優先順位の高い無線アクセスポイント装置に接続を切替える
ことを特徴とする請求項1に記載の無線マルチキャストシステム。 - 前記無線端末は、前記対応情報に基づいて、受信しようとするマルチキャストグループ宛ての前記データを送信している無線アクセスポイント装置が複数あると判定した場合には、当該複数の無線アクセスポイント装置の各々に対して自端末との間の通信品質を計測し、当該通信品質が良い順に高い優先順位を割り当て、最も優先順位が高い無線アクセスポイント装置に接続を切替える
ことを特徴とする請求項1に記載の無線マルチキャストシステム。 - 前記無線端末は、前記対応情報に基づいて、受信しようとするマルチキャストグループ宛ての前記データを送信している無線アクセスポイント装置が複数あると判定した場合には、当該複数の無線アクセスポイント装置の各々に対して当該無線アクセスポイント装置にかかっている負荷を取得し、当該負荷が軽い順に高い優先順位を割り当て、最も優先順位が高い無線アクセスポイント装置に接続を切替える
ことを特徴とする請求項1に記載の無線マルチキャストシステム。 - 前記無線端末は、前記対応情報に基づいて、受信しようとするマルチキャストグループ宛ての前記データを送信している無線アクセスポイント装置が複数あると判定した場合には、当該複数の無線アクセスポイント装置の各々に対して自端末との間の通信品質を計測すると共に、当該無線アクセスポイント装置にかかっている負荷を取得し、当該通信品質と当該負荷とに基づいて優先順位を割り当て、最も優先順位が高い無線アクセスポイント装置に接続する
ことを特徴とする請求項1に記載の無線マルチキャストシステム。 - 前記ネットワーク機器は、自器の配下にある全ての無線アクセスポイント装置に、自器に記憶している前記対応情報を定期的に送信し、前記無線端末は、前記ネットワーク機器から送信されてくる前記対応情報を自端末を接続した無線アクセスポイント装置を介して受信し取得する
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一に記載の無線マルチキャストシステム。 - 前記無線アクセスポイント装置は、前記ネットワーク機器に前記対応情報を送信することを定期的に要求すると共に、前記ネットワーク機器から送信されてきた前記対応情報を、自装置に接続している無線端末に送信し、前記無線端末は、自端末を接続している無線アクセスポイント装置から送信されてくる前記対応情報を受信し取得する
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一に記載の無線マルチキャストシステム。 - 前記無線端末は、自端末を接続した無線アクセスポイント装置を介して前記ネットワーク機器に前記対応情報の送信を要求し、前記ネットワーク機器から送信されてくる前記対応情報を受信し取得する
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一に記載の無線マルチキャストシステム。 - 前記ネットワーク機器は、無線アクセスポイント装置から、マルチキャストグループ宛ての前記データの送信を開始したことを示す通知を受信した場合には、当該通知を送信した無線アクセスポイント装置と当該マルチキャストグループとの対応を示す対応情報を記憶し、
当該無線アクセスポイント装置から、マルチキャストグループ宛てのデータの送信を終了したことを示す通知を受信した場合には、当該通知を送信した無線アクセスポイント装置と当該マルチキャストグループとの対応を示す対応情報を削除する
ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一に記載の無線マルチキャストシステム。 - 前記ネットワーク機器は、無線アクセスポイントを介して当該無線アクセスポイント装置に接続している無線端末から、当該無線アクセスポイント装置を介してマルチキャストグループ宛ての前記データの受信を開始することを示す通知を受信した場合には、当該通知で示される無線アクセスポイント装置と当該マルチキャストグループとの対応を示す対応情報を記憶し、
当該無線端末から、当該無線アクセスポイント装置を介してマルチキャストグループ宛ての前記データの受信を終了することを示す通知を受信した場合には、当該通知で示される無線アクセスポイント装置を介して当該マルチキャストグループ宛ての前記データを受信している無線端末が他にあるか否かを判定し、ないと判定した場合にのみ当該無線アクセスポイント装置と当該マルチキャストグループとの対応を示す対応情報を削除する
ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一に記載の無線マルチキャストシステム。 - 前記ネットワーク機器は、前記無線アクセスポイント装置から送信されてくる通知であって、当該無線アクセスポイント装置がマルチキャストグループ宛てに前記データを送信しているか否かを示す通知を定期的に受信し、当該通知に基づいて前記対応情報を記憶する
ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一に記載の無線マルチキャストシステム。 - 前記ネットワーク機器は、無線アクセスポイント装置を介して当該無線アクセスポイント装置に接続している無線端末から送信されてくる通知であって、当該無線端末が当該無線アクセスポイント装置を介してマルチキャストグループ宛ての前記データを受信しているか否かを示す通知を定期的に受信し、当該通知に基づいて前記対応情報を記憶する
ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一に記載の無線マルチキャストシステム。 - 無線端末を接続する複数の無線アクセスポイント装置へ宛先を内包したデータを送信するための通信手段と、
自器から送信されたマルチキャストグループ宛てのデータを無線区間へ送信している無線アクセスポイント装置を識別するための対応情報を記憶する記憶手段と、
無線アクセスポイント装置を介して前記対応情報を当該無線アクセスポイント装置に接続している無線端末へ送信する送信手段と
を有するネットワーク機器。 - ネットワーク機器と通信するための第一の通信手段と、
無線端末を接続し、当該無線端末と無線通信するための第二の通信手段と、
前記ネットワーク機器と自装置に接続している無線端末との通信を中継すると共に、自装置に接続している無線端末の中にマルチキャストグループに参加している無線端末があるか否かを判定し、当該判定結果を前記ネットワーク器機へ通知するように前記第一の通信手段と前記第二の通信手段とを制御する制御手段と
を有する無線アクセスポイント装置。 - 複数の無線アクセスポイント装置の中から一の無線アクセスポイント装置を選択し当該無線アクセスポイント装置に接続して通信すると共に、マルチキャストグループを示す情報を宛先として内包したデータを当該マルチキャストグループへ送信している無線アクセスポイント装置を識別するための対応情報を記憶するネットワーク機器と、自端末を接続した無線アクセスポイント装置を介して通信し、前記ネットワーク機器から送信されてくる前記対応情報を受信する通信手段と、
前記マルチキャストグループへ前記データを送信している無線アクセスポイント装置を前記対応情報に基づいて特定し、当該対応情報に基づいて特定された無線アクセスポイント装置に接続を切替える切替え手段と、
前記切替え手段により接続を切替えた無線アクセスポイント装置を介して前記ネットワーク機器から前記マルチキャストグループへ送信されてくる前記データを受信する受信手段と
を有する無線端末。 - コンピュータ装置に、
無線端末を接続する複数の無線アクセスポイント装置へ宛先を内包したデータを送信するための通信手段と、
当該コンピュータ装置から送信されたマルチキャストグループ宛てのデータを無線区間へ送信している無線アクセスポイント装置を識別するための対応情報を記憶する記憶手段と、
無線アクセスポイント装置を介して前記対応情報を当該無線アクセスポイント装置に接続している無線端末へ送信する送信手段と
を実現させるためのプログラム。 - コンピュータ装置に、
ネットワーク機器と通信するための第一の通信手段と、
無線端末を接続し、当該無線端末と無線通信するための第二の通信手段と、
前記ネットワーク機器と当該コンピュータ装置に接続している無線端末との通信を中継すると共に、当該コンピュータ装置に接続している無線端末の中にマルチキャストグループに参加している無線端末があるか否かを判定し、当該判定結果を前記ネットワーク器機へ通知するように前記第一の通信手段と前記第二の通信手段とを制御する制御手段と
を実現させるためのプログラム。 - コンピュータ装置に、
複数の無線アクセスポイント装置の中から一の無線アクセスポイント装置を選択し当該無線アクセスポイント装置に接続して通信すると共に、マルチキャストグループを示す情報を宛先として内包したデータを当該マルチキャストグループへ送信している無線アクセスポイント装置を識別するための対応情報を記憶するネットワーク機器と、当該コンピュータ装置を接続した無線アクセスポイント装置を介して通信し、前記ネットワーク機器から送信されてくる前記対応情報を受信する通信手段と、
前記マルチキャストグループへ前記データを送信している無線アクセスポイント装置を前記対応情報に基づいて特定し、当該対応情報に基づいて特定された無線アクセスポイント装置に接続を切替える切替え手段と、
前記切替え手段により接続を切替えた無線アクセスポイント装置を介して前記ネットワーク機器から前記マルチキャストグループへ送信されてくる前記データを受信する受信手段と
を実現させるためのプログラム。 - 請求項17〜19のいずれか一に記載のプログラムを記録したコンピュータ装置読み取り可能な記録媒体。
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