JP4001161B2 - 光ファイバ引き留め方法及び引き留め装置 - Google Patents

光ファイバ引き留め方法及び引き留め装置 Download PDF

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Description

本発明は、光ファイバ引き留め方法及び引き留め装置に関する。
図6は光海底ケーブルの一例を示す断面図である。
同図に示す光海底ケーブルは光コア1と、光コア1の周囲に設けられた鋼線2と、鋼線2の外周に設けられた銅チューブ3と、光コア1と鋼線2と銅チューブ3との間に設けられた走水防止コンパウンド4と、最外層に設けられた絶縁体5とで構成されている。
図7は図6に示した光海底ケーブルに用いられる光コアの従来例を示す断面図である。
図7に示す光海底ケーブル用の光コア1は、中心張力体6と、中心張力体6の周囲に中心張力体と平行あるいは螺旋に配置された複数の光ファイバ7と、中心張力体6と光ファイバ7との隙間に円形断面形状になるように充填されたプラスチック充填材8とで構成されている。
このような光海底ケーブルを所定の位置に引き留めるには光コア1の中心張力体6を所定位置(図示しないジョイント及び中継器とのカップリング)で機械的に固定していた。
一方、光伝送方式の波長多重化に対応するため、従来の光ファイバとは異なりラージモード及び低分散或いは低分散スロープの光ファイバを使用するようになってきた。これらの光ファイバは複雑なプロファイルを有しているため、従来の光コアの構造では伝送損失が増加しやすかった。
この伝送損失対策として図8に示すような伝送損失が増加しにくいルーズチューブタイプの光コアの構造を採用するようになってきた。
図8は図6に示した光海底ケーブルに用いられる光コアの他の従来例を示す断面図である。
図8に示す光コア9は、平行あるいは螺旋に配置された光ファイバ7と、光ファイバ7の周囲に円形断面形状になるように充填されたジェリー10と、ジェリー10の外周に設けられたプラスチックチューブ11とで構成されている。
しかし、図8に示したルーズチューブタイプの光コア9は、図7に示した光コア1のような中心張力体6が無く、光ファイバ7を直接引き留めることが必要である。
他方、図9(a)は従来の光ファイバの引き留め方法を適用した装置の平面透視図であり、図9(b)は図9(a)のA−A線断面図である。
これは複数の光ファイバ12の引き留め位置を接着剤13でテープ状に形成し、このテープ状の光ファイバ12を、2本の収縮チューブ補強材14の入った収縮チューブ15の貫通孔内に挿入し、熱を加えて一体化し、収縮チューブ15を収縮チューブ固定材16内に収納し、この収縮チューブ固定材16を固定することで光ファイバ12を引き留めるものである。なお、17は収縮チューブ15の貫通孔内に塗布された接着剤である。
この方法は収縮チューブ15で側圧を与え、接着剤17で摩擦係数を上げると共に、接着剤17の接着力を利用しているものと考えられる。この引き留め装置における引き留め力F等の大きさ及び方向は、図10及び数1式で表される。
Figure 0004001161
図10は引き留め装置の光ファイバに及ぼす引き留め力の概念図である。
しかしながら、上述した従来例には以下のような問題点があった。
(1) 光ファイバに側圧を加えて引き留める方法は、その側圧により伝送損失が増加しやすい。
(2) 引き留め力は、固定材と光ファイバとの摩擦係数に依存するが、一方が光ファイバのため、大きな摩擦係数を得ることが難しく、接着剤を塗布し摩擦係数を上げても長期信頼性を得ることが困難である。
(3) 接着剤の接着力の長期信頼性を得ることが困難である。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、光ファイバの伝送損失が少なく、長期信頼性が有り、十分な引き留め力のある光ファイバ引き留め方法及び引き留め装置を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明の光ファイバ引き留め方法は、被覆材料で被覆された光ファイバの引き留め位置を、凸部を有するように、光ファイバの被覆材料と略同一の材料から成る被覆材で覆い、被覆材を、引き留め用の固定材内に、固定材の溝部に形成された凹部と被覆材の凸部とが嵌合するように固定し、固定材を所定位置に引き留めるものである。
上記構成に加え本発明の光ファイバ引き留め方法は、凸部と凹部とが複数箇所あるのが好ましい。
上記構成に加え本発明の光ファイバ引き留め方法は、被覆材がUV硬化樹脂であるのが好ましい。
上記目的を達成するために本発明の光ファイバ引き留め装置は、光ファイバの引き留め位置を被覆する被覆材料、被覆材料を覆い、被覆材料と略同一の材料からなる、凸部を有する被覆材、被覆材の凸部を嵌合させるための凹部を有する固定材とを備えたものである。
上記構成に加え本発明の光ファイバ引き留め装置は、凸部と凹部とが複数箇所あるのが好ましい。
上記構成に加え本発明の光ファイバ引き留め装置は、被覆材がUV硬化樹脂であるのが好ましい。
光ファイバの引き留め位置に光ファイバの被覆材料と略同一の材料、例えばUV硬化樹脂を引き留めが容易になるように中央に凸部を有する形状に成型被覆し、紫外線を照射してUV樹脂を硬化させることで被覆材が形成される。この被覆材は、光ファイバの被覆材料と略同一のため、光ファイバと被覆材との間に高い接着力を得ることができ、化学的な面でも光ファイバに対して全く影響が無く長期信頼性を得ることができる。
一方、固定材は被覆材を側圧で留めるのではなく、固定材の内側に被覆材を収納するための溝を設け、さらに剪断の方向に応力が加わるようにその溝が被覆材の凸部に嵌合するようにすることで光ファイバの引っ張り応力が被覆材の凸部の剪断力となる。この結果、伝送損失がほとんど増加しないで光ファイバを引き留めることができる。
以上要するに本発明によれば、次のような優れた効果を発揮する。
光ファイバの伝送損失が少なく、長期信頼性が有り、十分な引き留め力のある光ファイバ引き留め方法及び引き留め装置の提供を実現できる。
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて詳述する。
図1は本発明の光ファイバ引き留め装置の一実施の形態を示す平面図である。
同図に示す光ファイバ引き留め装置は、少なくとも1本の光ファイバを引き留めるための光ファイバ引き留め装置であって、光ファイバ20の被覆材料と略同一の材料からなり光ファイバ20の引き留め位置に覆うように固定される被覆材21と、被覆材21を覆うように固定され所定位置に引き留められる固定材22とで構成されている。なお、二点鎖線23は被覆材21の剪断面を示す。
被覆材21は、UV硬化樹脂210からなり凸部21aを有している。固定材22は凸部21aに嵌合するように凹部22bが形成された溝22aを有する。
この固定材22を所定位置に固定することにより光ファイバ20が引き留められる。この光ファイバ引き留め装置により、光ファイバ20への側圧の増加がなくなるので、伝送損失の増加がなく、長期信頼性を得ることができる。
図2(a)〜図2(d)は本発明の光ファイバ引き留め方法の一実施の形態を示す説明図である。なお、図2(b)は図2(a)のB−B線断面図である。
なお、複数本の光ファイバを同時に引き留めることが一般的であるため複数本の光ファイバの引き留めについて述べるが、1本の光ファイバを引き留める場合に適用してもよい。
複数本(図では4本であるが限定されない。)の光ファイバ30を平行に並べ、固定材31の長さLaに合わせてUV硬化樹脂320を薄く塗布し光ファイバ30を一体化する(図2(a)、(b))。
一体化した光ファイバ30のUV硬化樹脂320を塗布した部分を固定材31の溝31a内に配置する(図2(c))。
固定材31の溝31a及び凹部31bにUV硬化樹脂320を充填する。紫外線を照射してUV硬化樹脂320を硬化させて被覆材32とし、光ファイバ30、固定材31及び被覆材32を一体化させることにより、光ファイバ引き留め装置が得られる(図2(d))。
図3は本発明の光ファイバ引き留め装置の他の実施の形態を示す平面図である。
図1に示した実施の形態との相違点は、被覆材33の凸部33aと、固定材34の溝部34aに形成された凹部34bとが複数箇所ある点である。
本光ファイバ引き留め装置は、3箇所の凹部34bが形成された固定材34に4本の光ファイバ30が固定されたものであり、UV硬化樹脂330で一体化された4本の光ファイバ30が固定材34内に収納された後、UV硬化樹脂330が充填され紫外線が照射されて硬化し被覆材33として固定されたものである。
この光ファイバ引き留め装置は、凸部33a及び凹部34bの数が複数箇所(図では3箇所であるが限定されない。)形成されているので、光ファイバ30への応力の集中が防止され、さらに引き留め力が増加し伝送損失の増加がなく長期信頼性が得られる。
図4(a)は本発明の光ファイバ引き留め装置の他の実施の形態を示す平面図であり、図4(b)は図4(a)のC−C線断面図である。
図1に示した実施の形態との相違点は、複数の光ファイバ30と張力体35とをUV硬化樹脂32で一体化した点である。
本光ファイバ引き留め装置は、複数の光ファイバ30及び張力体35の一部をUV硬化樹脂32で被覆し、紫外線を照射してUV硬化樹脂32を硬化させ、その張力体35の端部を固定することで光ファイバ30を引き留めるものである。
このような光ファイバ引き留め装置においても光ファイバ30に側圧が加わることがなくなるので、伝送損失の増加がなく長期信頼性を得ることができる。
図5(a)は本発明の光ファイバ引き留め装置の一実施例を示す平面図であり、図5(b)は図5(a)のD−D線断面図である。
本光ファイバ引き留め装置は、3箇所の凹部34bが形成された固定材34に4本の光ファイバ30が固定されたものであり、図3に示した光ファイバ引き留め装置のように引き留め位置がUV硬化樹脂で一体化された4本の光ファイバ30が固定材34内に収納された後、UV硬化樹脂330が充填され紫外線が照射されて硬化し被覆材33として固定されたものである。この固定材34の四隅には固定用孔を有する固定片36が設けられている。固定材34の表面(図5(b)では上側)は蓋37が被せられネジ止めされるようになっている。
この光ファイバ引き留め装置の所定位置への固定は、固定片36の孔をネジ止めすればよい。
以上において本発明の光ファイバ引き留め方法及び引き留め装置は、側圧及び曲げ等、機械的に弱い光ファイバであってもほとんど伝送損失を増加させることなく必要な引き留め力が得られる。すなわち、伝送損失の増加がなく長期信頼性を有するので、波長多重光海底ケーブルの光ファイバ引き留めに適用できるだけではなく、側圧に弱い全ての光ファイバの引き留めに適用できる。
本発明の光ファイバ引き留め装置の一実施の形態を示す平面図である。 (a)〜(d)は本発明の光ファイバ引き留め方法の一実施の形態を示す説明図である。 本発明の光ファイバ引き留め装置の他の実施の形態を示す平面図である。 (a)は本発明の光ファイバ引き留め装置の他の実施の形態を示す平面図であり、(b)は(a)のC−C線断面図である。 (a)は本発明の光ファイバ引き留め装置の一実施例を示す平面図であり、 (b)は(a)のD−D線断面図である。 光海底ケーブルの一例を示す断面図である。 図6に示した光海底ケーブルに用いられる光コアの従来例を示す断面図である。 図6に示した光海底ケーブルに用いられる光コアの他の従来例を示す断面図である。 (a)は従来の光ファイバの引き留め方法を適用した装置の平面透視図であり、(b)は(a)のA−A線断面図である。 引き留め装置の光ファイバに及ぼす引き留め力の概念図である。
符号の説明
20 光ファイバ
21 被覆材
21a 凸部
22 固定材
22a 溝
22b 凹部
210 UV硬化樹脂

Claims (4)

  1. 被覆材料で被覆された光ファイバが配置される溝と該溝の両側に形成された少なくとも1対の凹部とを備えた固定材に、上記光ファイバを配置した後、上記溝と上記凹部内に上記被覆材料と略同一の材料を充填し、上記凹部に嵌合する凸部を有する被覆材を形成して上記光ファイバを上記固定材に固定し、上記固定材を所定位置に引き留めることを特徴とする光ファイバ引き留め方法。
  2. 上記被覆材がUV硬化樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ引き留め方法。
  3. 被覆材料で被覆された光ファイバと、上記光ファイバが配置される溝と該溝の両側に形成された少なくとも1対の凹部とを備えた固定材と、上記溝と上記凹部内に上記被覆材料と略同一の材料を充填して形成された上記凹部に嵌合する凸部を有する被覆材とを備えたことを特徴とする光ファイバ引き留め装置。
  4. 上記被覆材がUV硬化樹脂であることを特徴とする請求項に記載の光ファイバ引き留め装置。
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