JP3999722B2 - 掘削システム - Google Patents
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Description
土壌試料の採取には、一般に、回転掘削方法が採用されている。現在、最も新しい工法は、掘削装置やサンプリング装置を回転させ、ロッドを通じて、界面活性剤などの発泡剤と圧縮空気を混合した高圧流体(ジェットフォーム)を送り込み、サンプリング装置の先端から湧水や掘削屑(スライム)を気泡流体と共に地上に排出させながら、地盤サンプルを採取する気泡工法と称されるものである。
本発明者は、先に、更に改良されたJFB工法として、特開平10−220159号公報(特許文献4)に記載の方法を提案した。この掘削工法は、回転するビットによって掘削面を掘削する際に、硬膜泡を掘削面に送り込み、該硬膜泡にスライムを付着させて排出する硬膜泡式掘削工法において、界面活性ミセルを形成する起泡剤を発泡させて、界面活性ミセルによって覆われた微粒気泡を形成する第1工程、該微粒気泡を送気流体中に分散させてエアロゾル状とし、加圧して掘削面に送り込む第2工程及びビットから該微粒気泡を掘削面に噴射し、該微粒気泡を膨張させて該硬膜泡を形成する第3工程を含むことを特徴とするものである。
JFB工法用に開発された「硬膜泡」なる気泡性状は、掘削理論によく適合し、さらに施工現場周辺及び掘削対象地盤の環境を考慮したものになっている。旧来のJFB工法で使用する界面活性剤は、植物性油脂から製造され、分子量も比較的小さく、発泡放出された後はバクテリア等により速やかに分解される特性を有する。しかしながら、その気泡膜は脆く、発泡率は低く、更に溶解性が大きい。かかる性状を有する界面活性剤をそのまま気泡剤として使用しても、環境にはやさしいが、掘削には殆ど不適格な界面活性剤である。
不安定地盤では、掘削孔壁の全長にわたって脆弱であるが、特に著しく脆弱な部分は水脈による影響を受け、孔壁崩壊と同時に大量の地下水の湧出を引き起こし、サンプリング施工は殆ど不可能になり、その応急作業には、相当の時間と手間(経費を含め)を要することとなる。
[1]本発明の掘削流体生成装置は、掘削用エアを供給するコンプレッサーと、エアホース及びロッドを介して、先端に掘削刃(ビット)及びサンプラーを具備するボーリング部を含む掘削システムにおいて、該エアホースの途中に備えられる掘削流体発生装置であって、高速圧気流が通過する流路管と、該流路管の中途部に接続されて噴射口を流路管内に露出させた複数のノズルを具備し、該ノズルは、第1の水溶液を微細粒子として流路管内に噴射する少なくとも一つのノズル及び該第1の水溶液と異種又は同種異性状の第2の水溶液を微細粒子として噴射する他のノズルからなることを特徴とする(請求項1の発明)。
なお、本発明において「噴射口を流路管内に露出させた複数のノズル」の「露出」とは、ノズルが流路管内に突出する場合のみならず、管壁と同一レベルあるいは引っ込んだ状態にある非突出状態も含むものである。
各ノズルの噴射口の位置関係は任意に設定可能である。例えば、高速圧気流に対して上流側と下流側に沿った位置関係となるように配置すると、下流側ノズルから噴射された微細粒子に対して、上流側ノズルから噴射されて高速圧気流に乗って移動してきた微細粒子を効率よく衝突させて、所望性状の結合粒子からなる掘削流体を生成することができる。
各ノズルの噴射口からの噴射方向をこのように設定することにより、各微細粒子を確実に衝突させて任意の性状を有する結合粒子からなる掘削流体を生成することができる。
噴射口を流路管内に露出させたノズルは、流路管内に突出させても、管壁と同一レベルにしても、管壁よりも引っ込めてよいが、流路管内に突出させることにより、噴射された水溶液の微細粒子を高速圧気流に効率よく乗せることができ、微細粒子間の衝突を効率良く実現させて、衝突の結果得られる結合粒子の性状を任意にコントロールすることができる。
[5]本発明の掘削流体生成装置は、[4]の発明において、複数のノズルのうち少なくとも一つは、先端が屈曲した形状を有することを特徴とする(請求項5の発明)。
この場合には、流路管内の高速圧気流の速度を比較的低く設定するとともに、ノズルからの水溶液の噴射速度(噴射圧力)を大きくするのが好ましいが、高速圧気流の速度を大きく設定するとともに、水溶液の噴射速度を小さく設定することにより、掘削流体の性状を任意にコントロールすることも可能である。この発明は、掘削流体の性状を慎重に制御する必要がある場合や掘削流体の噴射流量を微細に制御する必要がある場合に好適である。
この場合には、流路管内の高速圧気流の速度を大きく設定するとともに、ノズルからの水溶液の噴射速度(噴射圧力)を小さくするのが好ましいが、高速圧気流の速度を小さく設定するとともに、水溶液の噴射速度を大きく設定することにより、掘削流体の性状を任意にコントロールすることも可能である。この発明は、掘削流体自体の絶対量を多量に必要とする場合や混合流体としての性状を厳しく制御する必要がない場合に好適である。
複数ノズルから噴射される水溶液の微細粒子を衝突させることによって得られる結合粒子の性状を任意の状態に微細制御するためには、例えばノズルの噴射口の方向、角度を機構的に微調整可能に構成しておき、状況に対応させて任意の角度に変更できるようにしておくことが有効である。
これらの水溶液のうちの一種を一つのノズルから微細粒子として噴射するとともに、他のノズルから他種水溶液又は同種異性状の水溶液を噴射して、両者を衝突結合させることにより、使用目的、使用場面に対応した多様なパターンの掘削流体を生成することができる。
[9]本発明の掘削流体生成装置は、[8]の発明において、第1の水溶液を有機高分子系界面活性剤溶液とし、第2の水溶液を、水、鉱物系水溶液(泥水)または高分子化合物水溶液のうちの何れか一つとすることを特徴とする(請求項9の発明)。
このような組み合わせを選択することにより、界面活性溶液からなる硬膜泡を含む結合粒子を得ることが可能となり、理想的な掘削流体とすることができる。
各ノズルから噴射された粒子が気相である場合は、噴射時に発泡して気泡となる。噴射される粒子が液相である場合は、細かい粒子(霧雨状)または雨粒状となる。
[11]本発明の掘削流体生成装置は、[1]〜[10]のいずれかの発明において、一方のノズルから噴射される微細粒子は、異種水溶液の微細粒子であり、他方のノズルから噴射される微細粒子は、界面活性ミセルによる硬膜泡であることを特徴とする(請求項11の発明)。
このようにして生成される掘削流体は、一方のノズルから噴射された第1の水溶液の微細粒子の表面全体に、他方のノズルから噴射された第2の水溶液である界面活性溶液の微細気泡粒子が、衝突結合により付着してこれを被覆した性状を備えるものと推定される。また、一方のノズルから噴射された第1の水溶液の複数の微細粒子の間に、他方のノズルから噴射された第2の水溶液の複数の微細粒子が入り込んで一体化した形をとることも考えられる。さらに、一方のノズルから噴射された第1の水溶液の微細粒子の集合体の表面全体に、他方のノズルから噴射された第2の水溶液である界面活性溶液の微細気泡粒子が、衝突結合により付着してこれを被覆した性状を備える構成をとることもあると推定される。
[1]の掘削流体生成装置は、JFB工法で使用されている複雑な形状を有する気泡発生装置及びそのシステムに容易に適合するのみならず、従来の各種気泡工法で使用されている気泡発生装置への適用、送水掘削工法に使用されている送水(清水又は泥水)ポンプに対しての接続も可能であるから、この掘削システムは、広い適用範囲を有しているものである。
本発明に係る掘削システムの構成の概略は、図1のとおりである。
図1において、エアコンプレッサー4、気泡発生装置6、サンプラー3は、エアホース5及びロッド2を介して接続されている。1は、ボーリングマシンである。サンプラーや掘削刃の構成を含むサンプリング技術等に係る周辺構造は、本発明と直接の関係はなく、例えば特許文献2、4等に具体的に開示されているので、その詳細な説明は省略する。
本発明は、従来の気泡発生装置6に代えて、以下に詳述する構成を備えた掘削流体生成装置10を用いることにより、前記した発明の効果を発現させることができるものである。
図2において、10は掘削流体生成装置、11は流路管、12はエアコンプレッサーから送り出される気流(高速圧気流)、13は第1ノズル、14は第2ノズル、15及び16は、異種又は同種異性状の水溶液、13a及び14aは、ノズルの噴射口である。
図2(A)及び(B)は、それぞれ、第1及び第2の実施形態の構造を示す。第1の実施形態における流路管11内に流れる気流12の速度v(km/hr)は、第2の実施形態における流路管11内に流れる気流12の速度V(km/hr)に比べて小さい。
掘削流体生成装置10は、図1のエアホース5の途中に接続される流路管11と、流路管11の中途部に接続されて、各噴射口13a及び14aを流路管11内の気流12内に突出させた第1ノズル13及び第2ノズル14を備えている。
第1ノズル13及び第2ノズル14は、各々、水、泥水、ポリマー水溶液又は界面活性溶液等の水溶液のうちの何れか一種を噴射する手段である。一方のノズルからある水溶液(第1の水溶液)を噴射する場合には、他方のノズルからは、第1の水溶液とは異種又は同種異性状の水溶液(第2の水溶液)を噴射する。各ノズル13、14は、異種又は同種異性状の水溶液を個別に供給するための供給手段(貯留タンク、圧送手段)(図示しない)と接続されている。
一般的には、噴射生成される粒子径は、気流速度に比例して微細流となるため、気流速度が小さい場合は、生成される粒子径は大きくなる。ただし、噴射により生成する粒子の形状は、水溶液自体の圧力と噴射量、粘性と比重等のファクターに依存するほか、噴射口の形状、寸法、ノズルの突出長さ、角度等によっても大きく変化することは周知のとおりである。
例えば、JFB工法以外の気泡工法においては、界面活性剤と希釈水の混合について充分な検討が行われていないため、適切な組み合わせ、配合、混合方法を確定することができず、タンク等に界面活性溶液として蓄えられている場合には、その溶液の混合状態は非常に不均質なものになり易く、このような界面活性溶液を流路管11に噴射させても、生成された気泡性状は、界面活性分子の配列の不均質に由来して、劣悪な性状の掘削流体となってしまう。
ノズル13、14は、ストレートな形状であり、噴射方向は、気流12の流動方向と直交する方向へ向いている。この実施形態の場合には、流路管11内に流れる気流12の速度V(km/hr)は、第1の実施形態、図2(A)に示した速度vよりも、相当に高速とする。
この流路管11に接続される第1ノズル13及び第2ノズル14より噴射される気相15(又は液相16)に使用する水溶液自体は、ほとんど圧力を有しない状態で霧状に噴射されるので、一般にこの噴射により生成された粒子は、流路管11内の気流の速度V(km/hr)に比例して、その形状、サイズを微粒とすることができる。したがって、各ノズル13、14が接続された溶液タンク(図示しない)は、密閉してそれ自体に圧力を加える必要がなくなるので、資材設備を簡素化することができる。
これに対して、図2(B)に示した、本発明の第2の実施形態である掘削流体発生装置は、掘削流体自体を多量に必要とする場合又は混合流体としての性状の制御をそれほど厳しくしなくてもよい場合に適している。例えば、土木工事におけるアンカーボルト用穿孔工事等に適用するような場合である。ただし、これら使用タイプの判別(高速圧気流の速度とノズルからの噴射圧力とのバランス関係を含む)は、現場状況に合わせて、適宜選別して対応すればよい。
これらの実施形態では、2本以上のノズル13、14(本実施形態では2本)を気流12の移動方向と交叉(この例では直交)する方向に沿って左右対称に配置する。また、このように対向し合う一組のノズル群13、14を、気流12の移動方向に沿って複数組配置することも有効な手段である。
図3(B)に示した第4の実施形態では、図2(B)の第2の実施形態と同様に、ストレート形状のノズル13、14を用い、各ノズルの噴射口13a、14aから噴射された溶液が気流12の流路内で衝突するように、各噴射方向を傾斜させている。
これらの実施形態においても、図2の各実施形態と同等の作用効果を奏する掘削流体を生成することができる。
各ノズル間の間隔、ノズルの方向、角度、噴射方向、突出量、噴射口の形状、寸法等の条件を変更し得るような可変機構を設けることが好ましい。
本発明の前記の如き掘削流体生成装置は、JFB工法で使用されている複雑な形状を有する気泡発生装置及びそのシステムに容易に適合するのみならず、従来の各種気泡工法で使用されている気泡発生装置への適用、送水掘削工法に使用されている送水(清水又は泥水)ポンプに対しての接続も可能であるから、この掘削システムは、広い適用範囲を有しているものである。
図2及び3に示したように、噴射粒子の生成は、噴霧器の構造と霧発生のメカニズムと類似している。ノズル13、14から噴霧された流体粒子(気相15又は液相16)を流路間1中に放出する。流路管11を流れる気体(空気)を適合する速度に制御し、層流状態にすると、放出された粒子が界面活性溶液(気相15)である場合には、放出時に発泡して気泡となり、放出された粒子が水(液相16)であれば細かい粒子(霧雨状)となり、放出された粒子が泥水(液相16)のような質量がある程度の大きさを有するものであれば、雨粒状となる。
すなわち、各ノズル13、14の全体形状(直線か屈曲か)、各ノズル13、14の噴射口13a、14aの開口径(先細りか等)、各ノズル13、14のパイプ形状(真円か楕円か等)、各ノズル13、14の設置数と位置、その取り付け角度(前後か左右並列か対称か等)、流路管11の内径、ノズル13、14の離間距離(L)と流路管11内の送気流12の速度(v、V)、噴射流体そのものの圧力(水圧)及び噴射量(放出量)等の各種条件を各々任意に組み合わせることにより、気液2相流体における気泡流(ほとんど液体流に近い)より、噴霧流(ほとんど気体流)と称される性状を有する流体を自由かつ容易に生成することができる。
図4に示すように、界面活性特性を有する溶液(液相15)を、先ず第1ノズル13から噴射すると、その粒子は発泡して気泡粒子となる。なお、この気泡粒子自体は、2相流体の性状を有するものであるが、ここでは気相として扱う。
一方、第2ノズル14より噴射された異種の掘削流体粒子16a(液相)の表面全体に、界面活性剤の有する特性に基づいて、界面活性ミセル15aが付着してこれを被覆する。JFB工法で使用されている硬膜泡の場合には、この界面活性分子は、非常に整った分子配列をして、球状又は円柱状のミセルとなって、噴射、放出され、異種粒子の表面を被覆するように付着する。その構造は、内核と外核の二層の構造からなる、いわば「硬膜二重層」ともいうべき構造様式を有していると推定される。
この場合、このような現象を生じさせるための条件としては、界面活性気泡が硬膜泡のようなミセルで構成されている場合には、その絶対量は、異種の掘削流体粒子の絶対量と比較して、同等かそれ以上であることが必要である。
また、JFB工法以外の気泡では、そのほとんどが高分子ミセル化されることはなく、せいぜい低分子ミセルを形成する程度と考えられるので、異種の掘削流体粒子よりも相当に多量を必要とする。
一方、気相である気泡粒子は、噴射、放出直後であるため、このような運動エネルギーを有せず、しかも、この気泡粒子は、液相粒子の1/1000以下の質量であるから、これらの粒子が衝突した直後は、界面活性能で生ずる化学的付着力より、物理的な衝撃力の方が遥かに大きい。そのため、気泡粒子は吹き飛んでしまい、次の液体粒子に再度衝突することとなる。このような現象を数回繰り返すことによって、気相粒子は、液相粒子の間に付着され、図5に示すような状態となる。
このような状態になるケースは、JFB工法においてミセル生成された硬膜泡の場合のみである。他の気泡工法では、この集合体の表面を界面活性分子で覆うことはないから、気泡自体が消滅してしまい、界面活性溶液(気相15)の微粒水滴となって集合体表面に付着することとなる。その結果、集合体表面の粘土粒子と界面活性溶液(気相15)の微粒水滴との間で重合現象を生じて、このままの状態で流路管11内を移動すると、集合体同士が連鎖反応的に結合して、凝固現象を発生してしまい、掘削作業の続行が不可能となるような最悪の事態を招きかねない。
このような事態に遭遇した場合には、本発明においては、気泡がミセルで構成されていないことを確認した上、第1ノズル13から液相の噴射量を制御して、第2ノズル14より噴射する気泡量を増加させ、その絶対量の等量化を図るか、又は流路管11内の送気量を多量にするか、流速を大きくするかの対応をすることにより、液相粒子の集合を防ぐことができる。
(1)地質調査におけるJFB工法への適用
本発明の掘削流体生成装置は、JFB工法の掘削流体の特性である界面活性ミセル生成を、現場施工において大幅に簡易化する。
従来、JFB工法では、界面活性剤と重合防止用活性剤を特定の濃度としてから混合使用しているが、この混合技術には高度の専門知識と煩雑な工程を必要としていた。
本発明の掘削流体生成装置10を使用することにより、微細粒となった界面活性気泡と重合防止用活性粒子は、直接かつ瞬時に衝突結合する。さらに、これら粒子は、コロイド状あるいはサスペンション状の粒子状態にすることも可能であるため、比表面積は著しく拡大され、界面活性能もこれに比例して増大する。
JFB工法では、サンプラーチューブ径が100mm以上となっているので、実際の掘削形状は、その隙間分だけ大きく掘削する必要があり、掘削刃(ビット)形状もこれに対応させなければならず、地質調査における掘削径としては、大口径となってしまう。その結果、その隙間分だけ大きく掘削することとなって、掘削時間も長引き、施工単価に大きな影響を及ぼす。
本発明の掘削流体生成装置10を使用する場合には、液相16(液体)の噴射量を高める等の手段により、安定した掘削流体を掘削対象地盤(地層)の性状に適した質量と粘性等に調整することができる。したがって、サンプラーチューブ外面と孔壁との隙間を1mm程度に抑えることができるので、掘削孔径を小さくし、掘削時間、施工単価を低減することが容易となる。
地質調査において、一般的な掘削口径は、φ66mmが採用されている。コアチューブ及びサンプラーチューブもこの種のものが主流で、掘削孔(ボーリング孔)を利用した多種多様な原位置試験の仕様とそれに伴う測定試験装置も、この口径に適合するように作成されている。
一方、JFB工法では、不安定地盤等に対する高品質サンプリングが主目的であるため、φ116mm(試料径すなわちサンプル径は92mm)のサンプラーチューブを使用し、掘削流体である気泡性状及び圧縮空気の流量もこれを基準として設計されている。
一方、原位置試験については、試験器や測定器の関係から、φ66mm又はφ86mmの口径で削孔しなくてはならないと事情がある。
JFB工法による高品質土壌試料の採取技術が普及するにつれ、土木工事等の削孔(ドリリング)に、JFB工法を適用する試みがなされ始めた。本発明の掘削流体生成装置により、高品質サンプリング施工を実施する上での作業の容易性や経済性が著しく改善され、土木工事等の削孔(ドリリング)への適用も可能となった。
土木工事においてアンカーボルトの打設を必要とする地盤性状は、JFB工法が得意の対象としている不安定地盤に属している。
従来、一般にこの種の工事では、送水掘削による打設をしているが、削孔された周辺地盤が、送水圧と高速回転掘削によるロッドの撓み等により崩壊してしまう虞があり、また、削孔周辺の地盤自体の強度も相当に低下してしまう。これに対処するため、アンカーボルト工法による地盤締め付け工事では、ボルト長を大きくし、ボルト自体の太さも大きくする。その結果、掘削口径の更なる増大を招き、工事費が巨額に上ってしまう。
この工事をトンネル内で施工する場合には、送水工法では落盤の発生を慎重に考慮する必要があり、また、空気掘削工法による場合には、掘削流である圧縮空気の圧力及び送気流量が極めて大きいので、作業員の塵肺による健康上の問題にも対処しなければならない。
本発明による掘削流体を適用することにより、使用目的及び掘削地盤性状に応じて、的確に掘削流体の性状を制御することができるようになり、ドリリングにJFB工法を適用することが可能となった。
ドリリングにおいては、地質調査工事とは比較にならないほど掘削流体の使用流量が増加するため、その補給技術が必要となるが、本発明の掘削流体生成装置は、単純な構造となっているので、例えば、各ノズル13、14に流体の供給手段を接続して流量を制御することにより、容易に対応することができる。
近年、大型土木工事における大型場所打ち杭工事の施工にあたり、杭の施工深度をできるだけ浅くして、土木工事費の大幅な軽減を図る技術が検討され始めている。大型土木工事では、杭打ちに際しての掘削孔径は通常1mを超えるが、掘削孔径が1mを超えると、掘削対象地盤性状も無視できない。
従来は、大型掘削機械のトルク等の能力に依存して、力任せに掘削するために、周辺地盤を極端に乱すだけでなく、膨大な量のスライム等の排出には、使用する掘削流体の粘性(又は比重)を増大させる必要がある。高い粘性を有する掘削流体の生成には、多種多様な添加物を混入することになる。その結果、排出されたスライム等の処理には、環境問題が生じ、巨額の費用がかかってしまい、施工費全体を圧迫する要因の一つとなっていた。
本発明における掘削流体をJFB工法で採用することにより、前記した大口径掘削施工工事における諸問題は一挙に解決する。JFB工法に通常使用されている気泡流体は、ラウリン酸を主原料とした硫酸エステル塩すなわち植物性油脂から製造されるものであり、土中に生育しているバクテリア等により容易に生分解されることも、この分野への適用を容易にする要因の一つである。
2 ロッド
3 サンプラー
4 エアコンプレッサー
5 エアホース
6 気泡発生装置
10 掘削流体生成装置
11 流路管
12 気流(高速圧気流)
13 第1ノズル
14 第2ノズル
15 水溶液
16 水溶液
Claims (1)
- 掘削用エアを供給するコンプレッサーと、エアホース及びロッドを介して、先端に掘削刃(ビット)及びサンプラーを具備するボーリング部を有し、該エアホースの途中に掘削流体生成装置を有する掘削システムにおいて、
掘削流体生成装置が、
エアホースの途中に接続される流路管と、
該流路管の中途部に接続されて、噴射口を流路管内の気流内に突出させた複数のノズルと、を具備し、
該流路管の中途部に接続される複数のノズルの各噴射口が、高速圧気流方向に対して上流側と下流側とに離間して配置され、
該複数のノズルのうち少なくとも一つは、噴射口からの噴射方向又は噴射角度を変更可能に構成され、
該複数のノズルのうち少なくとも一つは、第1の水溶液を微細粒子として流路管内に噴射すると共に、他の少なくとも一つのノズルは、第1の水溶液と異種又は同種異性状の第2の水溶液を微細粒子として噴射することを特徴とする掘削システム。
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