JP3999722B2 - 掘削システム - Google Patents

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  • Investigation Of Foundation Soil And Reinforcement Of Foundation Soil By Compacting Or Drainage (AREA)

Description

本発明は、掘削流体生成装置、掘削流体生成方法及び掘削システムに関し、特に地質調査や環境調査に際して、対象地盤の構成をそのまま再現する土壌試料の採取に有用な掘削流体生成装置、掘削流体生成方法及び掘削システムに関するものである。
近年、環境及び防災に対する世論の意識が、経済動向の著しい変化に対応して、急激に高まってきている。それに応じて、従来の巨大建築構造物の設計や施工を目的とする地質調査から、土壌、地下水の汚染に関連する環境調査や、地震、火山泥流、土石流、地すべり等の防災対策に伴う地質調査にその主体が変化しつつある。
地質調査や土木工事において、最も重要なことは、対象地盤の構成をそのまま再現している土壌試料の採取である。
土壌試料の採取には、一般に、回転掘削方法が採用されている。現在、最も新しい工法は、掘削装置やサンプリング装置を回転させ、ロッドを通じて、界面活性剤などの発泡剤と圧縮空気を混合した高圧流体(ジェットフォーム)を送り込み、サンプリング装置の先端から湧水や掘削屑(スライム)を気泡流体と共に地上に排出させながら、地盤サンプルを採取する気泡工法と称されるものである。
その改良された掘削工法は、ジェット・フォーム・ボーリング(JFB)工法として知られている(例えば、特公昭63−43552号公報(特許文献1)、特公平7−81478号公報(特許文献2)、特許第2533721号公報(特許文献3)参照)。
本発明者は、先に、更に改良されたJFB工法として、特開平10−220159号公報(特許文献4)に記載の方法を提案した。この掘削工法は、回転するビットによって掘削面を掘削する際に、硬膜泡を掘削面に送り込み、該硬膜泡にスライムを付着させて排出する硬膜泡式掘削工法において、界面活性ミセルを形成する起泡剤を発泡させて、界面活性ミセルによって覆われた微粒気泡を形成する第1工程、該微粒気泡を送気流体中に分散させてエアロゾル状とし、加圧して掘削面に送り込む第2工程及びビットから該微粒気泡を掘削面に噴射し、該微粒気泡を膨張させて該硬膜泡を形成する第3工程を含むことを特徴とするものである。
しかしながら、前記したJFB工法により得られる信頼性と高精度の地質調査結果にもかかわらず、作業の容易性、経済性を満足させる高品質施工の実施を強く求められるようになった。調査目的としても、構築物あるいは建設物の設計、施工に必要な工学的常数の提供にとどまらず、地すべり等の自然災害防止という観点からの適確な地質構造の把握と、これに伴う災害メカニズムの把握、すなわち、危険予知が可能な地質調査が求められるようになり、従来のJFB工法では、これらの要請を全て満足することができないという問題が生じてきた。
本発明者は、JFB工法において観察される掘削屑(スライム)の凝集と凝固の現象の論理的解明を詳細に行った。その結果、JFB気泡発生装置で発泡生成された硬膜泡(第一次発泡)の気泡流は、連結された各流路内を環状噴霧流として流動し、最終的にサンプラー先端に取り付けられたビット口よりスプレー状に噴射され、その瞬間に第一次発泡の硬膜泡は大膨張する(第二次発泡)。そして、この第二次発泡直後よりスライム粒子の凝集と凝固の現象が起こり、孔壁崩壊が生じることが判明した。
次に、本発明者は、特許文献4に示される、ビットから微粒気泡を掘削面に噴射し、微粒気泡を膨張させて硬膜泡を形成する工程を詳細に検討した。ビットから噴射される微粒気泡は、界面活性ミセルを形成する起泡剤を発泡させて、界面活性ミセルによって覆われた構造をしている。界面活性剤としては、一般に、分子末端にカルボキシル基のような親水性基を有するアニオン系界面活性剤が使用され、その水溶液は、ミセル形成濃度(臨界ミセル濃度(CMC))以上の濃度を有する親水性コロイドとなっている。一方、掘削屑(スライム)は、粘土スライム・コロイド粒子として、無機高分子化合物の疎水性コロイド粒子となっている。この両コロイドは、サンプラー及びビットの回転掘削運動により生ずるエネルギーによって、ある種の重合反応を急激に進行させ、安定した高分子化合物(凝固物)を短時間に多量に生成させる。この凝固物がサンプラー及びビットの掘削回転運動によりペースト状になって、それらの周囲にへばり付き、高品質サンプリングに重大な障害を招くことを解明した。特に、掘削対象地盤が粘土層(粘性土層)やこれらの層が介在している場合には、このような障害が作業開始直後に生じることから、この急激な重合反応は、サンプリング作業開始直後に発生するものと推定される。
さらに本発明者は、JFB工法で使用される硬膜泡について、特許文献4にその概要を開示しているところであるが、あらためて検討を加えた。
JFB工法用に開発された「硬膜泡」なる気泡性状は、掘削理論によく適合し、さらに施工現場周辺及び掘削対象地盤の環境を考慮したものになっている。旧来のJFB工法で使用する界面活性剤は、植物性油脂から製造され、分子量も比較的小さく、発泡放出された後はバクテリア等により速やかに分解される特性を有する。しかしながら、その気泡膜は脆く、発泡率は低く、更に溶解性が大きい。かかる性状を有する界面活性剤をそのまま気泡剤として使用しても、環境にはやさしいが、掘削には殆ど不適格な界面活性剤である。
そこで特許文献4において提案された新たなJFB工法では、界面活性剤をミセル化した上で気泡膜とすることにより、「硬膜泡」を形成している。この硬膜泡は、極めて高い発泡率及び膨張性を有する。この硬膜泡の高発泡と膨張に伴う断熱変化は、ビットの冷却に効果的に利用されている。加えて、気泡膜が界面活性ミセルで構成されているため、界面活性効果が大きく、発生するスライムの吸着能力も極めて高い。回転掘削の周辺には、スライムが殆ど存在しないため、ビットと掘削面との間では、スムーズな回転掘削が可能となる。更に、孔内水が存在する場合にはそれさえも吸着してしまうが、気泡膜は溶解せず、弾力性に優れた気泡性状をそのまま有しているので、サンプリング施工が可能となる。にもかかわらず、次のような不都合をも同時に発生してしまう。
すなわち、硬膜泡の、極めて高い発泡率と膨張性は、気泡膜自体に高い粘弾性(弾性力)を付与し、JFB工法においてビット口より掘削面に発泡噴射される時、すなわち「第二次発泡」時に、サンプラー側面と孔壁の間隙(ビットのオーバーサイズ区間)を高速で流動、通過すると、強い粘性抵抗力を生じるので、この流路には、充分な空間が必要となる。その結果、掘削刃(ビット)は、一般工法で使用されているものに比べ、5〜10倍もオーバーサイズにしなければならない。このことは、掘削孔径の拡大につながり、その結果、掘削面積の増加、掘削時間の長時間化を招き、高品質サンプリングに対して、大きな障害を発生させる危険性が高くなる。特に、掘削面に粘性土が有る場合には、前記したような硬膜泡と粘性土との重合反応に基づく凝固物の多量の生成を招き、流路を閉塞してしまうため高速気流が乱流となり、ついには流動不能の現象を起こし、高品質サンプリング施工に重大な障害を来たす。
また、本発明者は、JFB工法においてしばしば遭遇する孔壁崩壊の現象について、検討を加えた結果、サンプラーの全長区間とその間に位置する孔壁との間に生じている空間(隙間)の区間では、この区間以外の圧力よりも低圧力となっているため、吸引力が作用し、そのため、この区間の孔壁では、サンプラー外管方向に迫り出す力が働き、この区間の孔壁の一部に脆弱な箇所が存在すると、その部分から崩壊が生ずることを解明した。
不安定地盤では、掘削孔壁の全長にわたって脆弱であるが、特に著しく脆弱な部分は水脈による影響を受け、孔壁崩壊と同時に大量の地下水の湧出を引き起こし、サンプリング施工は殆ど不可能になり、その応急作業には、相当の時間と手間(経費を含め)を要することとなる。
特公昭63−43552号公報 特公平7−81478号公報 特許第2533721号公報 特開平10−220159号公報
本発明は、前記したJFB工法の問題点に鑑みてなされたものであり、高品質サンプリング施工を実施する上での作業の容易性や経済性を満足させるとともに、構築物や設計物の設計、施工に必要な工学的常数の提供にとどまらず、地すべり等の自然災害を防止する観点に立った的確な地盤構造の把握とその災害発生メカニズムの把握を容易に達成することができる掘削工法及びその装置を提供することを目的とする。
本発明者は、前記した課題解決に向けて鋭意研究を重ねた結果、驚くべきことに、JFB工法において使用される気泡性状を有する掘削流体を改良することにより一挙に問題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに到ったものである。
すなわち、本発明は、次のような構成を備えるものである。
[1]本発明の掘削流体生成装置は、掘削用エアを供給するコンプレッサーと、エアホース及びロッドを介して、先端に掘削刃(ビット)及びサンプラーを具備するボーリング部を含む掘削システムにおいて、該エアホースの途中に備えられる掘削流体発生装置であって、高速圧気流が通過する流路管と、該流路管の中途部に接続されて噴射口を流路管内に露出させた複数のノズルを具備し、該ノズルは、第1の水溶液を微細粒子として流路管内に噴射する少なくとも一つのノズル及び該第1の水溶液と異種又は同種異性状の第2の水溶液を微細粒子として噴射する他のノズルからなることを特徴とする(請求項1の発明)。
このような構成をとることにより、高速圧気流が通過する流路管内に設置された複数のノズルから異種又は同種異性状の水溶液が噴射されて、衝突結合することにより生成される掘削流体は、気液2相流体の性状を有することとなる。各ノズルより噴射される異種又は同種異性状の水溶液の流量や噴射圧力等を任意に制御し、併せて高速圧気流を制御することにより、これら噴射粒子の衝突により結合された粒子(結合粒子)及び高速圧気流により生じる気液2相流体を、掘削対象地盤に適合したものとすることが可能となる。こうして得られる気液2相流体の性状を有する掘削流体は、均一性、化学的及び物理的安定性に極めて優れており、現場掘削作業における厳しい施工条件下においても容易に対応が可能となる。
例えば、気液2相流体における分散媒と分散質の性状の交換が自由に行うことができるため、粘性率、界面活性能、膨張率、微細粒子の形状等を自由に制御することにより、液性性状の強い掘削流体から気体性状の強い掘削流体に容易に変換することができる。また、衝突により生成されるそれぞれの結合粒子において、その粒子性状を左右する分散媒と分散質は、各ノズルより噴射される粒子を制御することにより、容易に変換することができる。この特性を活かすことにより、現場施工作業の容易性(効率)を維持することができるものである。
[1]の掘削流体生成装置は、JFB工法で使用されている複雑な形状を有する気泡発生装置及びそのシステムに容易に適合するのみならず、従来の各種気泡工法で使用されている気泡発生装置への適用、送水掘削工法に使用されている送水(清水又は泥水)ポンプに対しての接続も可能である。
なお、本発明において「噴射口を流路管内に露出させた複数のノズル」の「露出」とは、ノズルが流路管内に突出する場合のみならず、管壁と同一レベルあるいは引っ込んだ状態にある非突出状態も含むものである。
[2]本発明の掘削流体生成装置は、[1]の発明において、流路管の中途部に接続される複数のノズルの各噴射口が、高速圧気流方向に対して上流側と下流側とに離間して配置されていることを特徴とする(請求項2の発明)。
各ノズルの噴射口の位置関係は任意に設定可能である。例えば、高速圧気流に対して上流側と下流側に沿った位置関係となるように配置すると、下流側ノズルから噴射された微細粒子に対して、上流側ノズルから噴射されて高速圧気流に乗って移動してきた微細粒子を効率よく衝突させて、所望性状の結合粒子からなる掘削流体を生成することができる。
[3]本発明の掘削流体生成装置は、[1]の発明において、流路管の中途部に接続される複数のノズルの各噴射口が、高速圧気流方向と交叉する方向に沿って配置されていることを特徴とする(請求項3の発明)。
各ノズルの噴射口からの噴射方向をこのように設定することにより、各微細粒子を確実に衝突させて任意の性状を有する結合粒子からなる掘削流体を生成することができる。
[4]本発明の掘削流体生成装置は、[1]乃至[3]のいずれかの発明において、複数のノズルのうち少なくとも一つは、流路管内に噴射口を突出させたことを特徴とする(請求項4の発明)。
噴射口を流路管内に露出させたノズルは、流路管内に突出させても、管壁と同一レベルにしても、管壁よりも引っ込めてよいが、流路管内に突出させることにより、噴射された水溶液の微細粒子を高速圧気流に効率よく乗せることができ、微細粒子間の衝突を効率良く実現させて、衝突の結果得られる結合粒子の性状を任意にコントロールすることができる。
[5]本発明の掘削流体生成装置は、[4]の発明において、複数のノズルのうち少なくとも一つは、先端が屈曲した形状を有することを特徴とする(請求項5の発明)。
この場合には、流路管内の高速圧気流の速度を比較的低く設定するとともに、ノズルからの水溶液の噴射速度(噴射圧力)を大きくするのが好ましいが、高速圧気流の速度を大きく設定するとともに、水溶液の噴射速度を小さく設定することにより、掘削流体の性状を任意にコントロールすることも可能である。この発明は、掘削流体の性状を慎重に制御する必要がある場合や掘削流体の噴射流量を微細に制御する必要がある場合に好適である。
[6]本発明の掘削流体生成装置は、[4]の発明において、複数のノズルのうち少なくとも一つは、ストレートな形状を有することを特徴とする(請求項6の発明)。
この場合には、流路管内の高速圧気流の速度を大きく設定するとともに、ノズルからの水溶液の噴射速度(噴射圧力)を小さくするのが好ましいが、高速圧気流の速度を小さく設定するとともに、水溶液の噴射速度を大きく設定することにより、掘削流体の性状を任意にコントロールすることも可能である。この発明は、掘削流体自体の絶対量を多量に必要とする場合や混合流体としての性状を厳しく制御する必要がない場合に好適である。
[7]本発明の掘削流体生成装置は、[1]乃至[6]のいずれかの発明において、複数のノズルのうち少なくとも一つは、噴射口からの噴射方向又は噴射角度を変更可能に構成されていることを特徴とする(請求項7の発明)。
複数ノズルから噴射される水溶液の微細粒子を衝突させることによって得られる結合粒子の性状を任意の状態に微細制御するためには、例えばノズルの噴射口の方向、角度を機構的に微調整可能に構成しておき、状況に対応させて任意の角度に変更できるようにしておくことが有効である。
[8]本発明の掘削流体生成装置は、[1]乃至[7]のいずれかの発明において、第1の水溶液及び第2の水溶液が、それぞれ、水、鉱物系水溶液(泥水)、高分子化合物水溶液及び有機高分子系界面活性剤溶液からなる群から選ばれたいずれか一つであって、これらの水溶液のうちの一種を一つのノズルから微細粒子として噴射するとともに、他のノズルから他種水溶液又は同種異性状の水溶液を噴射することを特徴とする(請求項8の発明)。
これらの水溶液のうちの一種を一つのノズルから微細粒子として噴射するとともに、他のノズルから他種水溶液又は同種異性状の水溶液を噴射して、両者を衝突結合させることにより、使用目的、使用場面に対応した多様なパターンの掘削流体を生成することができる。
[9]本発明の掘削流体生成装置は、[8]の発明において、第1の水溶液を有機高分子系界面活性剤溶液とし、第2の水溶液を、水、鉱物系水溶液(泥水)または高分子化合物水溶液のうちの何れか一つとすることを特徴とする(請求項9の発明)。
このような組み合わせを選択することにより、界面活性溶液からなる硬膜泡を含む結合粒子を得ることが可能となり、理想的な掘削流体とすることができる。
[10]本発明の掘削流体生成装置は、[1]〜[9]のいずれかの発明において、一方のノズルから噴射される水溶液の微細粒子は液相であり、他方のノズルから噴射される水溶液の微細粒子は気相であることを特徴とする(請求項10の発明)。
各ノズルから噴射された粒子が気相である場合は、噴射時に発泡して気泡となる。噴射される粒子が液相である場合は、細かい粒子(霧雨状)または雨粒状となる。
[11]本発明の掘削流体生成装置は、[1]〜[10]のいずれかの発明において、一方のノズルから噴射される微細粒子は、異種水溶液の微細粒子であり、他方のノズルから噴射される微細粒子は、界面活性ミセルによる硬膜泡であることを特徴とする(請求項11の発明)。
[12]本発明の掘削流体生成方法は、高速圧気流が通過する流路管の中途部に接続されて噴射口を流路管内に露出させた複数のノズルのうちの少なくとも一つのノズルから第1の水溶液を微細粒子として流路管内に噴射し、他のノズルから第1の水溶液と異種又は同種性状の第2の水溶液を微細粒子として噴射し、それぞれのノズルより噴射される微細粒子を流路管内で衝突結合させることを特徴とする(請求項12の発明)。
このようにして生成される掘削流体は、一方のノズルから噴射された第1の水溶液の微細粒子の表面全体に、他方のノズルから噴射された第2の水溶液である界面活性溶液の微細気泡粒子が、衝突結合により付着してこれを被覆した性状を備えるものと推定される。また、一方のノズルから噴射された第1の水溶液の複数の微細粒子の間に、他方のノズルから噴射された第2の水溶液の複数の微細粒子が入り込んで一体化した形をとることも考えられる。さらに、一方のノズルから噴射された第1の水溶液の微細粒子の集合体の表面全体に、他方のノズルから噴射された第2の水溶液である界面活性溶液の微細気泡粒子が、衝突結合により付着してこれを被覆した性状を備える構成をとることもあると推定される。
[13]本発明の掘削システムは、掘削用エアを供給するコンプレッサーと、エアホース及びロッドを介して、先端に掘削刃(ビット)及びサンプラーを具備するボーリング部を含む掘削システムにおいて、該エアホースの途中に、[1]乃至[11]のいずれかに記載の掘削流体発生装置を備えることを特徴とする(請求項13の発明)。
[1]の掘削流体生成装置は、JFB工法で使用されている複雑な形状を有する気泡発生装置及びそのシステムに容易に適合するのみならず、従来の各種気泡工法で使用されている気泡発生装置への適用、送水掘削工法に使用されている送水(清水又は泥水)ポンプに対しての接続も可能であるから、この掘削システムは、広い適用範囲を有しているものである。
本発明に係る掘削流体生成装置、掘削流体生成方法及び掘削システムによれば、特に地質調査や環境調査に際して、対象地盤の構成をそのまま再現する土壌試料の採取が可能となり、近年の土木工事を取巻く社会環境に適切に対応することができる。また、本発明の掘削システムは、高品質施工を容易にすると同時に、経済性にも優れ、しかも、構築物や設計物の設計、施工に必要な工学的常数の提供に止まらず、地すべり等の自然災害における的確な地盤構造の把握、ひいては、これに伴う災害メカニズムの究明にも大きな力を発揮するものである。
本発明に係る掘削流体生成装置、掘削流体生成方法及び掘削システムを実施するための最良の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
本発明に係る掘削システムの構成の概略は、図1のとおりである。
図1において、エアコンプレッサー4、気泡発生装置6、サンプラー3は、エアホース5及びロッド2を介して接続されている。1は、ボーリングマシンである。サンプラーや掘削刃の構成を含むサンプリング技術等に係る周辺構造は、本発明と直接の関係はなく、例えば特許文献2、4等に具体的に開示されているので、その詳細な説明は省略する。
本発明は、従来の気泡発生装置6に代えて、以下に詳述する構成を備えた掘削流体生成装置10を用いることにより、前記した発明の効果を発現させることができるものである。
図2(A)及び(B)は、本発明の実施形態を例示する掘削流体生成装置の要部を示すものである。
図2において、10は掘削流体生成装置、11は流路管、12はエアコンプレッサーから送り出される気流(高速圧気流)、13は第1ノズル、14は第2ノズル、15及び16は、異種又は同種異性状の水溶液、13a及び14aは、ノズルの噴射口である。
図2(A)及び(B)は、それぞれ、第1及び第2の実施形態の構造を示す。第1の実施形態における流路管11内に流れる気流12の速度v(km/hr)は、第2の実施形態における流路管11内に流れる気流12の速度V(km/hr)に比べて小さい。
先ず最初に、第1の実施形態である図2(A)に基づいて説明する。
掘削流体生成装置10は、図1のエアホース5の途中に接続される流路管11と、流路管11の中途部に接続されて、各噴射口13a及び14aを流路管11内の気流12内に突出させた第1ノズル13及び第2ノズル14を備えている。
第1ノズル13及び第2ノズル14は、各々、水、泥水、ポリマー水溶液又は界面活性溶液等の水溶液のうちの何れか一種を噴射する手段である。一方のノズルからある水溶液(第1の水溶液)を噴射する場合には、他方のノズルからは、第1の水溶液とは異種又は同種異性状の水溶液(第2の水溶液)を噴射する。各ノズル13、14は、異種又は同種異性状の水溶液を個別に供給するための供給手段(貯留タンク、圧送手段)(図示しない)と接続されている。
流路管11内に突出した各ノズル13、14の先端は、気流12の下流側へ平行に向くように90°屈曲し、その噴射口13a、14aは、下流へ向いている。各ノズル13、14の噴射口13a、14aより噴射される気相15(又は液相16)に使用する水溶液自体は相当大きな圧力を有しているので、流路管11内に流れる気流速度は、第2の実施形態である図2(B)の場合に比べて、低速であっても充分に噴射条件を満たす。
一般的には、噴射生成される粒子径は、気流速度に比例して微細流となるため、気流速度が小さい場合は、生成される粒子径は大きくなる。ただし、噴射により生成する粒子の形状は、水溶液自体の圧力と噴射量、粘性と比重等のファクターに依存するほか、噴射口の形状、寸法、ノズルの突出長さ、角度等によっても大きく変化することは周知のとおりである。
目的に合致した掘削流体の性状に適合する形状、寸法の粒子を噴射するためには、以上のような諸ファクターを適切に制御することが重要となるが、本発明においては、例えばノズル13、14の少なくとも一方の吐出方向、突出角度、突出量、噴射口の形状、寸法を任意に調整できる可変機構を設けて、目的に応じて、任意の方向、角度、突出量等にて水溶液を噴射することが可能である。また、ノズル間の距離(L)も、目的に適合した掘削流体を生成するために制御しなければならない不可欠のファクターである。これらのファクターを変化させて得た情報をコンピュータ処理できる可変機構を用いれば、容易に、目的に合致する掘削流体生成条件を定めることができる。
更に言えば、目的に合致する掘削流体は、その生成条件を定めるだけではなく、第1に、衝突結合して生成された結合粒子が連続流体として均一性に優れていること、第2に、化学的及び物理的な安定性に優れていること、第3に、自然環境に優しいこと、第4に、噴射される溶液の主原料がオペレーター等に対して無害であること等の流体自体の基本的性状をも同時に満足させなければならない。本発明により生成される掘削流体はこれらの条件をも充足するものである。
例えば、JFB工法以外の気泡工法においては、界面活性剤と希釈水の混合について充分な検討が行われていないため、適切な組み合わせ、配合、混合方法を確定することができず、タンク等に界面活性溶液として蓄えられている場合には、その溶液の混合状態は非常に不均質なものになり易く、このような界面活性溶液を流路管11に噴射させても、生成された気泡性状は、界面活性分子の配列の不均質に由来して、劣悪な性状の掘削流体となってしまう。
次に、第2の実施形態である図2(B)について説明する。
ノズル13、14は、ストレートな形状であり、噴射方向は、気流12の流動方向と直交する方向へ向いている。この実施形態の場合には、流路管11内に流れる気流12の速度V(km/hr)は、第1の実施形態、図2(A)に示した速度vよりも、相当に高速とする。
この流路管11に接続される第1ノズル13及び第2ノズル14より噴射される気相15(又は液相16)に使用する水溶液自体は、ほとんど圧力を有しない状態で霧状に噴射されるので、一般にこの噴射により生成された粒子は、流路管11内の気流の速度V(km/hr)に比例して、その形状、サイズを微粒とすることができる。したがって、各ノズル13、14が接続された溶液タンク(図示しない)は、密閉してそれ自体に圧力を加える必要がなくなるので、資材設備を簡素化することができる。
なお、第1の実施形態である図2(A)について述べたこと、例えば、少なくとも一方のノズルの吐出方向、突出角度、突出量、噴射口の形状、寸法を可変に構成して、任意の方向、角度、突出量等にて水溶液を噴射すること、ノズル間の距離(L)を制御すること、ノズルの噴射口を流路管の管壁と同レベルに配置すること等は、図2(B)の実施形態及び以下の全ての実施形態にもそのまま当てはまる。
以上の説明からもわかるように、図2(A)に示した、本発明の第1の実施形態である掘削流体発生装置は、掘削流体の性状を微細に制御する必要がある場合又は掘削流体の噴射流量を微細に制御する必要がある場合に使用することが推奨される。
これに対して、図2(B)に示した、本発明の第2の実施形態である掘削流体発生装置は、掘削流体自体を多量に必要とする場合又は混合流体としての性状の制御をそれほど厳しくしなくてもよい場合に適している。例えば、土木工事におけるアンカーボルト用穿孔工事等に適用するような場合である。ただし、これら使用タイプの判別(高速圧気流の速度とノズルからの噴射圧力とのバランス関係を含む)は、現場状況に合わせて、適宜選別して対応すればよい。
図3(A)及び(B)は、それぞれ、本発明の掘削流体生成装置の第3及び第4の実施形態の要部構成図を示す。符号は、図2と同じ意味をもつ。
これらの実施形態では、2本以上のノズル13、14(本実施形態では2本)を気流12の移動方向と交叉(この例では直交)する方向に沿って左右対称に配置する。また、このように対向し合う一組のノズル群13、14を、気流12の移動方向に沿って複数組配置することも有効な手段である。
図3(A)に示した第3の実施形態では、図2(A)の第1の実施形態と同様に、先端が屈曲したノズル13、14を用い、各ノズルの噴射口13a、14aを対向させて、各噴射口から噴射した溶液同士が衝突するように構成している。
図3(B)に示した第4の実施形態では、図2(B)の第2の実施形態と同様に、ストレート形状のノズル13、14を用い、各ノズルの噴射口13a、14aから噴射された溶液が気流12の流路内で衝突するように、各噴射方向を傾斜させている。
これらの実施形態においても、図2の各実施形態と同等の作用効果を奏する掘削流体を生成することができる。
各ノズル間の間隔、ノズルの方向、角度、噴射方向、突出量、噴射口の形状、寸法等の条件を変更し得るような可変機構を設けることが好ましい。
本発明の掘削システムは、掘削用エアを供給するコンプレッサーと、エアホース及びロッドを介して、先端に掘削刃(ビット)及びサンプラーを具備するボーリング部を含む掘削システムにおいて、該エアホースの途中に、本発明に係る掘削流体発生装置を備えることにより特徴付けられる。
本発明の前記の如き掘削流体生成装置は、JFB工法で使用されている複雑な形状を有する気泡発生装置及びそのシステムに容易に適合するのみならず、従来の各種気泡工法で使用されている気泡発生装置への適用、送水掘削工法に使用されている送水(清水又は泥水)ポンプに対しての接続も可能であるから、この掘削システムは、広い適用範囲を有しているものである。
本発明における掘削流体生成の基本的原理について簡単に説明する。
図2及び3に示したように、噴射粒子の生成は、噴霧器の構造と霧発生のメカニズムと類似している。ノズル13、14から噴霧された流体粒子(気相15又は液相16)を流路間1中に放出する。流路管11を流れる気体(空気)を適合する速度に制御し、層流状態にすると、放出された粒子が界面活性溶液(気相15)である場合には、放出時に発泡して気泡となり、放出された粒子が水(液相16)であれば細かい粒子(霧雨状)となり、放出された粒子が泥水(液相16)のような質量がある程度の大きさを有するものであれば、雨粒状となる。
すなわち、各ノズル13、14の全体形状(直線か屈曲か)、各ノズル13、14の噴射口13a、14aの開口径(先細りか等)、各ノズル13、14のパイプ形状(真円か楕円か等)、各ノズル13、14の設置数と位置、その取り付け角度(前後か左右並列か対称か等)、流路管11の内径、ノズル13、14の離間距離(L)と流路管11内の送気流12の速度(v、V)、噴射流体そのものの圧力(水圧)及び噴射量(放出量)等の各種条件を各々任意に組み合わせることにより、気液2相流体における気泡流(ほとんど液体流に近い)より、噴霧流(ほとんど気体流)と称される性状を有する流体を自由かつ容易に生成することができる。
すでに段落0033において、掘削流体として求められる性状を説明したが、このような条件を作業現場において容易に満たすため、本発明においては、従来の方法のように、生成された掘削流体(泥水等)をそのまま使用したり、あるいは、この溶液に気泡等を混入して気液2相流の単純な形に変化させて使用するのではなく、流路管11内において複数のノズル13、14より、それぞれの掘削流体溶液を個別に噴射させ、細かい粒子を衝突結合させることにより、均一で自由な配合(混合)による2相流体を生成し、これを掘削流体として活用することに本発明の特質が存在する。
第1ノズル13及び第2ノズル14より、それぞれ性状の異なる掘削流体溶液(気相15又は液相16)を噴射させた場合の気泡性状について、模式的に図4〜図6により説明する。ただし、本発明は、以下の説明により限定的に解釈されるものではない。
図4に示すように、界面活性特性を有する溶液(液相15)を、先ず第1ノズル13から噴射すると、その粒子は発泡して気泡粒子となる。なお、この気泡粒子自体は、2相流体の性状を有するものであるが、ここでは気相として扱う。
一方、第2ノズル14より噴射された異種の掘削流体粒子16a(液相)の表面全体に、界面活性剤の有する特性に基づいて、界面活性ミセル15aが付着してこれを被覆する。JFB工法で使用されている硬膜泡の場合には、この界面活性分子は、非常に整った分子配列をして、球状又は円柱状のミセルとなって、噴射、放出され、異種粒子の表面を被覆するように付着する。その構造は、内核と外核の二層の構造からなる、いわば「硬膜二重層」ともいうべき構造様式を有していると推定される。
この場合、このような現象を生じさせるための条件としては、界面活性気泡が硬膜泡のようなミセルで構成されている場合には、その絶対量は、異種の掘削流体粒子の絶対量と比較して、同等かそれ以上であることが必要である。
また、JFB工法以外の気泡では、そのほとんどが高分子ミセル化されることはなく、せいぜい低分子ミセルを形成する程度と考えられるので、異種の掘削流体粒子よりも相当に多量を必要とする。
これとは逆に、図5に示すように、第1ノズル13より異種掘削流体16a(液相16)を噴射し、第2ノズル14より界面活性気泡15a(気相15)を噴射して両者が衝突結合する場合、それらの絶対量が同等であるときは、異種掘削流体16a(液相16)の間に、界面活性気泡15aが入り込んだ状態となる。この現象は、界面活性気泡(気相)と異種掘削流体粒子(液相)の絶対量が等しくても、その質量に大きな差異があるため、第1ノズル13より噴射、放出された巨大な質量を有する液相粒子は、第2ノズル14に到達するまでの間隔(L)に加速度(αL)が生じ、この粒子の運動エネルギーは、液体粒子の質量に加速度を乗じた大きさとなる。
一方、気相である気泡粒子は、噴射、放出直後であるため、このような運動エネルギーを有せず、しかも、この気泡粒子は、液相粒子の1/1000以下の質量であるから、これらの粒子が衝突した直後は、界面活性能で生ずる化学的付着力より、物理的な衝撃力の方が遥かに大きい。そのため、気泡粒子は吹き飛んでしまい、次の液体粒子に再度衝突することとなる。このような現象を数回繰り返すことによって、気相粒子は、液相粒子の間に付着され、図5に示すような状態となる。
また、図6に示すように、異種掘削流体粒子16a(液相16)の絶対量が界面活性気泡(気相15)よりも遥かに多量の場合には、その粒子16aが瞬時に集合体16Aを形成し、その集合体16Aの表面が界面活性剤の単層分子で覆われることになる。
このような状態になるケースは、JFB工法においてミセル生成された硬膜泡の場合のみである。他の気泡工法では、この集合体の表面を界面活性分子で覆うことはないから、気泡自体が消滅してしまい、界面活性溶液(気相15)の微粒水滴となって集合体表面に付着することとなる。その結果、集合体表面の粘土粒子と界面活性溶液(気相15)の微粒水滴との間で重合現象を生じて、このままの状態で流路管11内を移動すると、集合体同士が連鎖反応的に結合して、凝固現象を発生してしまい、掘削作業の続行が不可能となるような最悪の事態を招きかねない。
このような事態に遭遇した場合には、本発明においては、気泡がミセルで構成されていないことを確認した上、第1ノズル13から液相の噴射量を制御して、第2ノズル14より噴射する気泡量を増加させ、その絶対量の等量化を図るか、又は流路管11内の送気量を多量にするか、流速を大きくするかの対応をすることにより、液相粒子の集合を防ぐことができる。
次に、本発明に係る掘削流体生成装置による掘削流体の特徴を最大限に活用することのできる施工例について説明する。なお、以下に説明する施工例は、代表例であって、これらに限定されるものではない。
(1)地質調査におけるJFB工法への適用
本発明の掘削流体生成装置は、JFB工法の掘削流体の特性である界面活性ミセル生成を、現場施工において大幅に簡易化する。
従来、JFB工法では、界面活性剤と重合防止用活性剤を特定の濃度としてから混合使用しているが、この混合技術には高度の専門知識と煩雑な工程を必要としていた。
本発明の掘削流体生成装置10を使用することにより、微細粒となった界面活性気泡と重合防止用活性粒子は、直接かつ瞬時に衝突結合する。さらに、これら粒子は、コロイド状あるいはサスペンション状の粒子状態にすることも可能であるため、比表面積は著しく拡大され、界面活性能もこれに比例して増大する。
さらに、従来のJFB工法では、この重合作用を防止するため、孔壁とサンプラーチューブの外管との隙間を相当に広くして、掘削流体が容易に通過できるようにする必要があった。送水工法では、掘削刃(ビット)及びサンプラーチューブ外管径と孔壁との隙間は、1mm前後であるのに対し、JFB工法ではその数倍を必要としている。
JFB工法では、サンプラーチューブ径が100mm以上となっているので、実際の掘削形状は、その隙間分だけ大きく掘削する必要があり、掘削刃(ビット)形状もこれに対応させなければならず、地質調査における掘削径としては、大口径となってしまう。その結果、その隙間分だけ大きく掘削することとなって、掘削時間も長引き、施工単価に大きな影響を及ぼす。
本発明の掘削流体生成装置10を使用する場合には、液相16(液体)の噴射量を高める等の手段により、安定した掘削流体を掘削対象地盤(地層)の性状に適した質量と粘性等に調整することができる。したがって、サンプラーチューブ外面と孔壁との隙間を1mm程度に抑えることができるので、掘削孔径を小さくし、掘削時間、施工単価を低減することが容易となる。
(2)種々の掘削口径への適用
地質調査において、一般的な掘削口径は、φ66mmが採用されている。コアチューブ及びサンプラーチューブもこの種のものが主流で、掘削孔(ボーリング孔)を利用した多種多様な原位置試験の仕様とそれに伴う測定試験装置も、この口径に適合するように作成されている。
一方、JFB工法では、不安定地盤等に対する高品質サンプリングが主目的であるため、φ116mm(試料径すなわちサンプル径は92mm)のサンプラーチューブを使用し、掘削流体である気泡性状及び圧縮空気の流量もこれを基準として設計されている。
地質調査では、大口径に分類されるJFB工法における掘削口径(φ116mm)ではなく、φ66mm又はφ86mmの掘削口径による施工を要望されてきた。しかし、近年、地質調査及びJFB工法に対する環境も変化し、JFB工法により採取されるサンプルの乱れが極めて少ない(高品質である)ことから、φ116mmの大口径を用いる掘削施工例が年々増加してきている。
一方、原位置試験については、試験器や測定器の関係から、φ66mm又はφ86mmの口径で削孔しなくてはならないと事情がある。
本発明の掘削流体生成装置による掘削流体を使用する場合には、掘削された孔壁の乱れが極めて少ないので、原位置試験の信頼性と精度は確実に担保される。したがって、本発明による掘削流体を使用して、φ116mmの大口径でサンプリングをする場合には、地質性状の完全な把握及び室内試験の試料を採取する目的で使用し、φ66mm又はφ86mmの口径でサンプリングする場合は、コア採取及び原位置試験に利用する目的で使用することとして、使い分けることができる。
(3)土木工事等の削孔(ドリリング)への適用
JFB工法による高品質土壌試料の採取技術が普及するにつれ、土木工事等の削孔(ドリリング)に、JFB工法を適用する試みがなされ始めた。本発明の掘削流体生成装置により、高品質サンプリング施工を実施する上での作業の容易性や経済性が著しく改善され、土木工事等の削孔(ドリリング)への適用も可能となった。
(4)アンカーボルト打設工事の際のドリリング技術への適用
土木工事においてアンカーボルトの打設を必要とする地盤性状は、JFB工法が得意の対象としている不安定地盤に属している。
従来、一般にこの種の工事では、送水掘削による打設をしているが、削孔された周辺地盤が、送水圧と高速回転掘削によるロッドの撓み等により崩壊してしまう虞があり、また、削孔周辺の地盤自体の強度も相当に低下してしまう。これに対処するため、アンカーボルト工法による地盤締め付け工事では、ボルト長を大きくし、ボルト自体の太さも大きくする。その結果、掘削口径の更なる増大を招き、工事費が巨額に上ってしまう。
この工事をトンネル内で施工する場合には、送水工法では落盤の発生を慎重に考慮する必要があり、また、空気掘削工法による場合には、掘削流である圧縮空気の圧力及び送気流量が極めて大きいので、作業員の塵肺による健康上の問題にも対処しなければならない。
この解決策としてJFB工法を適用する試みがなされ始めた。JFB工法は、自然材料を気泡の原料としており、掘削周辺地盤の乱れが極めて少なく、作業員の健康上の安全や施工費の大幅な軽減となる。しかしながら、掘削流体の性状がサンプリングとドリリングとでは、その差異が余りに大きく、対応可能な気泡性状にしなければ実用化は難しい状況にあった。
本発明による掘削流体を適用することにより、使用目的及び掘削地盤性状に応じて、的確に掘削流体の性状を制御することができるようになり、ドリリングにJFB工法を適用することが可能となった。
ドリリングにおいては、地質調査工事とは比較にならないほど掘削流体の使用流量が増加するため、その補給技術が必要となるが、本発明の掘削流体生成装置は、単純な構造となっているので、例えば、各ノズル13、14に流体の供給手段を接続して流量を制御することにより、容易に対応することができる。
(5)場所打ち杭工法におけるドリリング技術への適用
近年、大型土木工事における大型場所打ち杭工事の施工にあたり、杭の施工深度をできるだけ浅くして、土木工事費の大幅な軽減を図る技術が検討され始めている。大型土木工事では、杭打ちに際しての掘削孔径は通常1mを超えるが、掘削孔径が1mを超えると、掘削対象地盤性状も無視できない。
従来は、大型掘削機械のトルク等の能力に依存して、力任せに掘削するために、周辺地盤を極端に乱すだけでなく、膨大な量のスライム等の排出には、使用する掘削流体の粘性(又は比重)を増大させる必要がある。高い粘性を有する掘削流体の生成には、多種多様な添加物を混入することになる。その結果、排出されたスライム等の処理には、環境問題が生じ、巨額の費用がかかってしまい、施工費全体を圧迫する要因の一つとなっていた。
本発明における掘削流体をJFB工法で採用することにより、前記した大口径掘削施工工事における諸問題は一挙に解決する。JFB工法に通常使用されている気泡流体は、ラウリン酸を主原料とした硫酸エステル塩すなわち植物性油脂から製造されるものであり、土中に生育しているバクテリア等により容易に生分解されることも、この分野への適用を容易にする要因の一つである。
本発明に係る掘削流体生成装置は、(1)地質調査におけるJFB工法への適用、(2)種々の掘削口径への適用、(3)土木工事等の削孔(ドリリング)への適用、(4)アンカーボルト打設工事の際のドリリング技術への適用、(5)場所打ち杭工法におけるドリリング技術への適用等、広範囲にわたる利用分野がある。
JFB工法における掘削システムの概略図である。 (A)、(B)は、本発明の掘削流体生成装置の第1及び第2の実施形態の要部構成図である。 (A)、(B)は、本発明の掘削流体生成装置の第3及び第4の実施形態の要部構成図である。 掘削流体を噴射させた場合の気泡性状の第1の模式図である。 掘削流体を噴射させた場合の気泡性状の第2の模式図である。 掘削流体を噴射させた場合の気泡性状の第3の模式図である。
符号の説明
1 ボーリングマシン
2 ロッド
3 サンプラー
4 エアコンプレッサー
5 エアホース
6 気泡発生装置
10 掘削流体生成装置
11 流路管
12 気流(高速圧気流)
13 第1ノズル
14 第2ノズル
15 水溶液
16 水溶液

Claims (1)

  1. 掘削用エアを供給するコンプレッサーと、エアホース及びロッドを介して、先端に掘削刃(ビット)及びサンプラーを具備するボーリング部を有し、該エアホースの途中に掘削流体生成装置を有する掘削システムにおいて、
    掘削流体生成装置が、
    エアホースの途中に接続される流路管と、
    該流路管の中途部に接続されて、噴射口を流路管内の気流内に突出させた複数のノズルと、を具備し、
    該流路管の中途部に接続される複数のノズルの各噴射口が、高速圧気流方向に対して上流側と下流側とに離間して配置され、
    該複数のノズルのうち少なくとも一つは、噴射口からの噴射方向又は噴射角度を変更可能に構成され、
    該複数のノズルのうち少なくとも一つは、第1の水溶液を微細粒子として流路管内に噴射すると共に、他の少なくとも一つのノズルは、第1の水溶液と異種又は同種異性状の第2の水溶液を微細粒子として噴射することを特徴とする掘削システム。
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