JP3999141B2

JP3999141B2 - Engine exhaust gas path downstream member

Info

Publication number: JP3999141B2
Application number: JP2003043784A
Authority: JP
Inventors: 学奥; 俊郎足立; 武志宇都宮; 洋介鷲見; 健久田中
Original assignee: Toyota Motor Corp; Nisshin Steel Co Ltd
Current assignee: Nippon Steel Nisshin Co Ltd; Toyota Motor Corp
Priority date: 2003-02-21
Filing date: 2003-02-21
Publication date: 2007-10-31
Anticipated expiration: 2023-02-21
Also published as: JP2004250761A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジン排ガス経路部材のうち使用温度が概ね400℃以下である下流側の部材に関する。
【０００２】
【従来の技術】
自動車のエンジン排ガス経路は、一般的にエンジン側（上流側）から、エキゾーストマニホールド，フロントパイプ，触媒コンバーター，センターパイプ，マフラー，テールパイプで構成される。このうち、エキゾーストマニホールドやフロントパイプなどの上流部材は高温排ガスに曝されるため、特に高温強度と耐高温酸化性の優れた材料が使用される。
【０００３】
一方、センターパイプ，マフラー，テールパイプなど、概ね400℃以下の温度で使用される下流側の部材では、排ガス結露水による「内面腐食」と、凍結防止剤付着による「外面腐食」が問題となる。このため、以前はアルミめっき鋼板が使用されていたが、近年ではより耐食性に優れるステンレス鋼板の使用が主流となっている。そのステンレス鋼種としては、12Ｃr系で低Ｃ低Ｎ化を図ったSUS410Lや、11Ｃr系でＣやＮを固定するＴiを添加したSUH409Lなどのフェライト系鋼種が主に挙げられる。
【０００４】
しかし、これらの既存鋼種では内面腐食，外面腐食のいずれに対しても、まだ十分な耐久性を有しているとは言えない。そこで、耐食性を改善したフェライト系ステンレス鋼が種々開発されている。
【０００５】
【特許文献１】
特許第2562740号公報
【特許文献２】
特許第2543448号公報
【特許文献３】
特許第3276303号公報
【特許文献４】
特開平5−125491号公報
【特許文献５】
特開平10−204590号公報
【特許文献６】
特開平10−204591号公報
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
これらの特許文献に開示される鋼の中には、15％以下のＣrレベルにおいて排ガス経路下流側の部材に要求される耐食性を具備するものもあると考えられる。しかし近年、自動車エンジンの排ガス経路部材は、性能向上や省スペース化、さらには意匠性向上などのために非常に厳しい加工を施して複雑な形状に成形される場合が多くなってきた。このため、素材鋼板にとっては加工性および低温靱性に対する要求が従来よりも一層厳しくなっている。
【０００７】
発明者らは上記特許文献に紹介されている開発鋼について詳細に調査したところ、排ガス経路下流部材に要求される「耐食性」と「加工性・低温靱性」の両方を同時に高レベルに具備するものは見当たらなかった。これらの開発鋼は主として耐食性の改善に注力されており、その処方によって生じる加工性や低温靱性の低下を十分回復させる方法は見出されていないのが現状である。あるいは、そもそも加工性や低温靱性の改善については特に意図されていなかったことも考えられる。いずれにしても、「加工性・低温靱性」を高レベルに維持しながら「耐食性」の改善を図ることは容易でないことがわかる。
【０００８】
本発明は、排ガス経路下流部材に要求される「耐食性」、すなわち、排ガス結露水による「内面腐食」と凍結防止剤付着による「外面腐食」の両方に対する抵抗力を十分に具備するとともに、「加工性」および「低温靱性」を高いレベルに維持した鋼板素材からなり、従来のSUS410LやSUH409Lを素材に用いた場合と比べても製造コストの大幅な上昇を伴わない排ガス経路下流部材を提供することを目的とする。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
発明者らは種々検討の結果、鋼の成分組成を以下に示すように厳しく規制することで「耐食性」の改善と「加工性・低温靱性」の維持が安定的に再現性良く実現できることを見出した。すなわち、上記目的は、質量％で、Ｃ：0.02％以下，Ｓi：1.0％以下，Ｍn：1.0％以下，Ｎi：0.10〜0.80％，Ｃr：9.0〜15.0％，Ｔi：0.05〜0.40％，Ｃu：0.10〜0.80％，Ａl：0 〜0.10％，Ｍo：0 〜0.30％，Ｎb：0 〜0.02％，Ｎ：0.02％以下，Ｂ：0 〜0.01％であり、下記(1)〜(3)式をすべて満たし、残部がＦeおよび不可避的不純物からなるフェライト系鋼板素材で構成される、使用温度が４００℃以下のエンジン排ガス経路部材によって達成される。
Ｔi≧8(Ｃ＋Ｎ)、（ただしＴi≧15(Ｃ＋Ｎ)の部分を除く） ……(1)
Ｃr＋5(Ｎi＋Ｃu)≧12 ……(2)
Ｃr−3(Ｎi＋Ｃu)≦13 ……(3)
【００１０】
ここで、(1)〜(3)式の元素の箇所にはその元素の含有量を質量％で表した値が代入される。ここで対象とするエンジン排ガス経路部材は、エンジン排ガス経路を構成する部材のうち、使用時の材料温度が 400℃以下である下流側の部材である。
【００１１】
また、本発明では、上記部材としてセンターパイプまたはテールパイプを提供する。さらに、上記部材としてマフラーを構成する部材に使用されるものを提供する。特に、マフラーを構成する部材のうち片面が排ガスに曝され反対側の面が外気に曝される部材を提供する。
【００１２】
【発明の実施の形態】
各合金元素の限定理由は以下のとおりである。
ＣおよびＮは、一般にはクリープ強さ，クリープ破断強さ等の高温強度向上に有効である。しかし、フェライト系鋼においてはＣ，Ｎ含有量が多いと低温靱性が劣化する。この場合、炭窒化物として安定化させるためにＴi添加量を増加する必要があり鋼材コストが上昇する。一方で、Ｃ，Ｎの大幅な低減を図るには製鋼への負担が過大となり、逆にコスト増を招く。種々検討の結果、本発明ではＣ，Ｎとも、0.02質量％までの含有が許容される。
【００１３】
Ｓiは、脱酸剤として必要であり、高温酸化特性の改善に非常に有効である。
しかし、多量の添加は鋼を硬化させ加工性の低下を招く。排ガス経路下流部材に必要な耐高温酸化性を付与し、かつ優れた加工性を維持するには、Ｓiは1.0質量％以下の範囲で含有させるのがよい。
【００１４】
Ｍnは、過剰に添加すると鋼が硬質化し、低温靱性や加工性の低下を招くため、Ｍn含有量の上限を1.0質量％に規定した。
【００１５】
ＮiとＣuは、本発明において重要な元素である。すなわち、ＮiとＣuを複合添加することにより排ガス経路下流部材で問題となる内面腐食および外面腐食の両方に対して優れた耐食性を付与することができ、かつ、加工性・低温靱性を損なわないことが明らかになった。その効果を十分に得るために、Ｎi，Ｃuともそれぞれ0.10〜0.80質量％の範囲で含有させる必要がある。ただし、後述のように、さらに(2)式および(3)式による規制を満たすことが必要である。
【００１６】
Ｃrは、鋼の基本的な耐食性レベルを確保するために必須の元素であり、本発明の対象とする用途では少なくとも9.0質量％以上のＣr含有が必要である。しかし、多量のＣr含有は加工性の低下を招き、また鋼のコストを増大させるので15.0質量％以下の範囲とする。
【００１７】
発明者らの検討の結果、内面腐食および外面腐食に対する高い抵抗力の付与と、加工性・低温靱性の高レベル維持を安定的に実現するためには、下記(2)式および(3)式の規定を満たす必要があることがわかった。
Ｃr＋5(Ｎi＋Ｃu)≧12 ……(2)
Ｃr−3(Ｎi＋Ｃu)≦13 ……(3)
排ガス経路下流部材に要求される耐食性（耐内面腐食・外面腐食の両方）を高レベルで安定して付与するには(2)式を満たす必要がある。加工性・低温靱性を安定して高レベルに維持するには(3)式を満たす必要がある。
【００１８】
Ｔiは、ＣおよびＮを固定し、耐湿食性および溶接部の耐粒界腐食性を改善する。本発明では後述のようにＮb含有量を規制しているため、Ｔiの添加が重要である。すなわち、上記特性を十分に得るために少なくとも0.05質量％以上のＴi含有量が必要であり、かつ、下記(1)式を満たさなければならない。
Ｔi≧8(Ｃ＋Ｎ)、（ただしＴ i ≧ 15( Ｃ＋Ｎ ) の部分を除く） ……(1)
ただし、過剰のＴi添加は靱性を劣化させ、また、製品の表面性状にも悪影響を及ぼす。
そこで、Ｔi含有量の上限は0.40質量％に規定した。
【００１９】
Ａlは、耐高温酸化性の改善に非常に有効であるが、本発明ではＡlを含有させなくても排ガス経路下流部材に必要な耐高温酸化性が確保できるよう成分設計されている。過剰のＡl添加は加工性，溶接性，低温靱性を劣化させ、また、本発明ではＴiおよびＳiを添加することからＡlによる脱酸も特に必要としない。Ａlを含有させる場合は0.10質量％以下の範囲で行う必要がある。
【００２０】
Ｍoは、高温強度の上昇や耐食性の向上に有効であるが、多量の含有は鋼材の脆化を招く。また、Ｍoは非常に高価な元素である。本発明ではＭoを添加しなくても他の成分元素の含有量を適正化することにより十分な耐食性を確保することは可能であるが、Ｍo添加により成分設計の自由度は大きくなる。Ｍoを含有させる場合は0.30質量％以下の範囲で行うことが望ましい。
【００２１】
Ｎbは、本来Ｔiと同様に耐粒界腐食性等の改善に有効であり、また、高温強度の向上にも有効である。しかし、本発明では排ガス結露水による「孔食」を防止することが重要であり、孔食の起点となるＭnＳ等の硫化物を減少させるためのＮbの能力はＴiに比べ弱い。このため、Ｔiを添加する本発明ではＮbによる内面腐食防止効果はあまり期待できない。また、排ガス経路下流部材に要求される程度の高温強度はＮb添加に頼らなくても確保できる。その一方で、Ｎbは加工性・低温靱性にはマイナスに作用する。したがって、Ｎbを添加する場合は0.02質量％以下の範囲で行う必要がある。
Ｂは、高温強度や熱間加工性の改善に有効であるとともに、フェライト系鋼板の二次加工割れを改善する。本発明の成分系ではＢを添加しなくても良好な特性を呈するが、より高レベルで耐二次加工性を改善するためにＢ添加は効果的である。ただし、Ｂ添加量が多すぎるとホウ化物を生成し、却って低温靱性や耐食性を劣化させる恐れがある。このため、Ｂを添加する場合は0.01質量％以下の範囲で行う必要がある。
【００２２】
一般的な不純物元素であるＰ，Ｓ，Ｏ，Ｚn，Ｓn，Ｐbなどは、加工性や低温靱性を確保する点から可能な限り低減することが望ましい。具体的には最も緩い規制としてＰ：0.04質量％以下，Ｓ：0.03質量％以下，Ｏ：0.02質量％以下，Ｚn：0.10質量％以下，Ｓn：0.10質量％以下，Ｐb：0.10質量％以下とすることができる。実際の製造現場では目的とする品質に応じてさらに厳しい規制を設けることが望ましい。
【００２３】
以上の組成を有するフェライト系鋼板素材は、エンジン排ガス経路下流部材のうち、センターパイプまたはテールパイプに適している。これらの部材を得るには、例えば、板厚0.4〜1.5mm程度の冷延焼鈍済み鋼板をロール成形法によりパイプ状にしてTIG，プラズマ，高周波，レーザー等の溶接法により造管し、これを所定形状に加工する方法が採用できる。また、本発明鋼板はマフラー構成部材に適している。マフラーは一般的にアウターシェル，インナーシェル，トッププレート，セパレータ，エンドプレート等の部材から構成され、主として溶接により組み立てられる。このうちアウターシェル等、片面が排ガスに曝され反対側の面が外気に曝される部材に本発明鋼板を使用することが極めて効果的である。本発明鋼板は排ガス結露水による内部腐食と凍結防止剤付着による外面腐食の両方に対して高い抵抗力を有するからである。インナーシェル，セパレータ等、マフラー内部を構成する部材にも本発明鋼板を使用すると全体として非常に耐久性の高いマフラーが得られる。本発明鋼板は加工性が良好であるからマフラーの設計自由度も向上する。
【００２４】
【実施例】
表１に示す化学組成の鋼板を製造して、耐食性，加工性，低温靱性を評価した。
各鋼を真空溶解炉で溶製し、熱間鍛造→熱間圧延→冷間圧延→焼鈍（900〜1000℃×１分）を経て板厚1.5mmの冷延焼鈍板を得た。この鋼板から各種試験片を作製した。
【００２５】
【表１】

【００２６】
耐食性について、耐塩害腐食性，耐湿食性，耐粒界腐食性で評価した。このうち耐塩害腐食性は外面腐食、耐湿食性は内面腐食、耐粒界腐食性は主として内面腐食に対する抵抗力をそれぞれ評価するものである。
耐塩害腐食性は、乾湿複合サイクル試験で調べた。すなわち、＃400乾式研摩仕上の試験片（50×120mm）を用意し、「塩水噴霧（５％食塩水，35℃×15分）→乾燥（相対湿度20〜30％，60℃×１時間）→湿潤（相対湿度90〜95％，50℃×３時間）」を１サイクルとして30サイクルを繰り返し、試験後の試験片表面における最大侵食深さを光学顕微鏡を用いた焦点深度法にて測定した。最大侵食深さが0.3mm以下を合格、0.3mm超えを不合格と判定した。
【００２７】
耐湿食性は、＃400乾式研摩仕上の試験片（50×120mm）を用意し、下記組成の模擬凝縮水（pＨ：8.0〜8.5）中に試験片の約1/2の部分を浸漬する半浸漬状態にて、「煮沸×４時間→自然冷却後室温保持×20時間」を１サイクルとして30サイクルを繰り返し、試験後の試験片表面における最大侵食深さを光学顕微鏡を用いて測定した。最大侵食深さが0.3mm以下を合格、0.3mm超えを不合格と判定した。
＜模擬凝縮水組成（ppm）＞
ＳＯ₃ ^2-：3000，ＳＯ₄ ^2-：7000，ＣＯ₃ ^2-：2000，Ｃl^-：1000，ＨＣＯ₃ ^-：2000
【００２８】
耐粒界腐食性は、マフラーのMAG溶接部を含む試験片を300℃×10時間加熱した後に、JIS G 0572に準拠したシュトラウス試験（60℃）を行い、試験後に溶接部を含む断面について組織観察を行い、粒界腐食が認められないものを合格、認められるものを不合格と判定した。
【００２９】
加工性は、JIS 13B号引張試験片（引っ張り方向が圧延方向に45°方向）を用いて、JIS Z 2241の引張試験を行い、突き合わせ伸びにて評価した。当該伸びが34％以上を合格、それ未満を不合格と判定した。
【００３０】
低温靱性は、板幅1.5mmのサブサイズ試験片（衝撃方向が圧延方向に平行）を用い、JIS Z 2242のシャルピー衝撃試験を行い、エネルギー遷移温度が−75℃以下を合格、それより高いものを不合格と判定した。
これらの結果を表２にまとめてある。表２中、○印は合格、×印は不合格を意味する。
【００３１】
【表２】

【００３２】
表２から判るように、本発明で規定する化学組成を有するものは、耐塩害腐食性，耐湿食性，耐粒界腐食性が良好であり、かつ、加工性・低温靱性も十分に高く維持された。これに対し、比較鋼No.10はＮiとＣuが不足し(2)式を満たさないため耐食性に劣った。No.11はＣuが少なすぎるため耐食性が悪かった。No.12はＴi無添加でＮbを多く含むため加工性および低温靱性に劣った。No.13はＣrが多すぎ(3)式を満たさないため加工性および低温靱性が悪かった。No.14はＮiが多すぎるため加工性に劣った。No.15はＣuとＮbが多すぎるため加工性に劣った。No.16はＭoとＮbが多すぎるため加工性および低温靱性に劣った。No.17はＡlが多すぎるため加工性および低温靱性が悪かった。No.18はＴiが少なすぎるため耐粒界腐食性に劣った。No.19はＮbが多すぎるため加工性および低温靱性が悪かった。No.20は(2)式を満たすようＣrを多く含有しているので耐食性は良好であったが、ＮiとＣuが不足し(3)式を満たさないため加工性および低温靱性が悪かった。
【００３３】
【発明の効果】
以上のように、本発明ではエンジンの排ガス経路下流部材として望まれる高耐食性（耐内面腐食と耐外面腐食）を付与し、かつ、加工性・低温靱性をも高レベルに維持する手法を確立した。特に、そのような「解」をＣrレベルが9.0〜15.0％でかつ特殊な元素を添加しない組成域において見出した点に意義が大きい。従来、このような高耐食性と加工性・低温靱性を安定的に両立させる手段は未解決であったところ、本発明は、自動車エンジンの排ガス系統において、耐久性向上と、良好な加工性によってもたらされる設計自由度の向上、さらに、当該部材の低コスト化に寄与するものである。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a downstream member whose operating temperature is approximately 400 ° C. or lower among engine exhaust gas path members.
[0002]
[Prior art]
The engine exhaust gas path of an automobile is generally composed of an exhaust manifold, a front pipe, a catalytic converter, a center pipe, a muffler, and a tail pipe from the engine side (upstream side). Among these, upstream members such as the exhaust manifold and the front pipe are exposed to high-temperature exhaust gas, and therefore, materials having particularly high-temperature strength and high-temperature oxidation resistance are used.
[0003]
On the other hand, in downstream members such as center pipes, mufflers, and tail pipes that are used at temperatures of approximately 400 ° C. or less, “inner surface corrosion” due to exhaust gas dew condensation water and “outer surface corrosion” due to adhesion of antifreezing agents become problems. For this reason, aluminum-plated steel sheets have been used before, but in recent years, the use of stainless steel sheets with better corrosion resistance has become mainstream. Ferritic steel types such as SUS410L with low C and low N in the 12Cr series and SUH409L with Ti added to fix C and N in the 11Cr series are mainly listed as the stainless steel grade.
[0004]
However, it cannot be said that these existing steel grades still have sufficient durability against both internal corrosion and external corrosion. Accordingly, various ferritic stainless steels with improved corrosion resistance have been developed.
[0005]
[Patent Document 1]
Japanese Patent No. 2562740 [Patent Document 2]
Patent No. 2543448 [Patent Document 3]
Japanese Patent No. 3276303 [Patent Document 4]
Japanese Patent Laid-Open No. 5-125491 [Patent Document 5]
Japanese Patent Laid-Open No. 10-204590 [Patent Document 6]
JP-A-10-204591 [0006]
[Problems to be solved by the invention]
It is considered that some of the steels disclosed in these patent documents have corrosion resistance required for members on the downstream side of the exhaust gas path at a Cr level of 15% or less. However, in recent years, exhaust gas passage members of automobile engines are often formed into complicated shapes by performing extremely strict processing for performance improvement, space saving, and design improvement. For this reason, the requirements for workability and low-temperature toughness have become more stringent for material steel plates.
[0007]
The inventors have investigated in detail the developed steel introduced in the above patent document, and have both the "corrosion resistance" and the "workability / low temperature toughness" required for the downstream members of the exhaust gas path at a high level at the same time. Was not found. These developed steels are mainly focused on improving corrosion resistance, and the present situation is that no method has been found to sufficiently recover the decrease in workability and low-temperature toughness caused by the formulation. Alternatively, it is conceivable that improvement of workability and low temperature toughness was not originally intended. In any case, it can be seen that it is not easy to improve “corrosion resistance” while maintaining “workability / low temperature toughness” at a high level.
[0008]
The present invention has sufficient resistance to “corrosion resistance” required for exhaust gas path downstream members, that is, “internal corrosion” due to exhaust gas dew condensation water and “external corrosion” due to adhesion of antifreeze agent, Providing a downstream member of the exhaust gas path that is made of a steel plate material that maintains a high level of `` ability '' and `` low temperature toughness '' and that does not significantly increase manufacturing costs compared to the case of using conventional SUS410L or SUH409L as the material With the goal.
[0009]
[Means for Solving the Problems]
As a result of various studies, the inventors have found that, by strictly controlling the composition of steel as shown below, improvement of “corrosion resistance” and maintenance of “workability / low temperature toughness” can be realized stably and with good reproducibility. It was. That is, the above purpose is mass%, C: 0.02% or less, Si: 1.0% or less, Mn: 1.0% or less, Ni: 0.10 to 0.80%, Cr: 9.0 to 15.0%, Ti: 0.05 to 0.40%, Cu : 0.10 to 0.80%, Al: 0 to 0.10%, Mo: 0 to 0.30%, Nb: 0 to 0.02%, N: 0.02% or less, B: 0 to 0.01%, the following (1) to (3) This is achieved by an engine exhaust gas path member having a use temperature of 400 ° C. or less, which is composed of a ferritic steel plate material satisfying all the equations and the balance being Fe and inevitable impurities.
Ti ≧ 8 (C + N) (excluding Ti ≧ 15 (C + N)) …… (1)
Cr + 5 (Ni + Cu) ≧ 12 (2)
Cr-3 (Ni + Cu) ≤13 (3)
[0010]
Here, a value representing the content of the element in mass% is substituted for the element in the formulas (1) to (3). Here the subject to engine exhaust route member, of the members constituting the engine exhaust gas passage, a member of the downstream material temperature of 4 00 ° C. or less at the time of use.
[0011]
In the present invention, a center pipe or a tail pipe is provided as the member. Furthermore, what is used for the member which comprises a muffler as said member is provided. In particular, the present invention provides a member in which one side of the members constituting the muffler is exposed to exhaust gas and the opposite surface is exposed to outside air.
[0012]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
The reasons for limitation of each alloy element are as follows.
C and N are generally effective for improving high-temperature strength such as creep strength and creep rupture strength. However, in ferritic steel, low temperature toughness deteriorates when the C and N contents are large. In this case, in order to stabilize the carbonitride, it is necessary to increase the amount of Ti added, and the steel material cost increases. On the other hand, in order to achieve a significant reduction in C and N, the burden on steelmaking becomes excessive, and conversely increases costs. As a result of various studies, in the present invention, C and N are allowed to contain up to 0.02% by mass.
[0013]
Si is necessary as a deoxidizer and is very effective in improving high-temperature oxidation characteristics.
However, a large amount of addition hardens the steel and leads to a decrease in workability. In order to provide the high-temperature oxidation resistance necessary for the exhaust gas path downstream member and maintain excellent workability, Si should be contained in a range of 1.0 mass% or less.
[0014]
When Mn is added in excess, the steel becomes hard and low temperature toughness and workability are lowered. Therefore, the upper limit of Mn content is defined as 1.0% by mass.
[0015]
Ni and Cu are important elements in the present invention. That is, by adding Ni and Cu in combination, excellent corrosion resistance can be imparted to both internal and external corrosion, which is a problem in the exhaust gas downstream member, and workability and low-temperature toughness are not impaired. Became clear. In order to obtain the effect sufficiently, both Ni and Cu must be contained in the range of 0.10 to 0.80 mass%. However, as will be described later, it is necessary to further satisfy the restrictions of the equations (2) and (3).
[0016]
Cr is an essential element in order to ensure the basic corrosion resistance level of steel, and it is necessary to contain at least 9.0% by mass or more of Cr in the intended application of the present invention. However, if a large amount of Cr is contained, the workability is lowered and the cost of the steel is increased, so the content is made 15.0% by mass or less.
[0017]
As a result of the study by the inventors, in order to stably provide high resistance to internal and external corrosion and to maintain a high level of workability and low temperature toughness, the following formulas (2) and (3) It was found that the requirement of
Cr + 5 (Ni + Cu) ≧ 12 (2)
Cr-3 (Ni + Cu) ≤13 (3)
In order to stably provide the corrosion resistance (both internal corrosion resistance and external corrosion resistance) required for the exhaust gas downstream member at a high level, it is necessary to satisfy Equation (2). In order to stably maintain the workability and low temperature toughness at a high level, it is necessary to satisfy equation (3).
[0018]
Ti fixes C and N and improves wet corrosion resistance and intergranular corrosion resistance of welds. In the present invention, since the Nb content is regulated as described later, the addition of Ti is important. That is, in order to sufficiently obtain the above characteristics, a Ti content of at least 0.05% by mass or more is required and the following formula (1) must be satisfied.
Ti ≧ 8 (C + N) ( excluding the portion where T i ≧ 15 ( C + N ) ) …… (1)
However, excessive Ti addition deteriorates toughness and also adversely affects the surface properties of the product.
Therefore, the upper limit of Ti content is regulated to 0.40% by mass.
[0019]
Al is very effective in improving high-temperature oxidation resistance, but in the present invention, the components are designed so that the high-temperature oxidation resistance necessary for the exhaust gas passage downstream member can be secured without containing Al. Excessive Al addition deteriorates workability, weldability, and low-temperature toughness, and since Ti and Si are added in the present invention, deoxidation with Al is not particularly required. When containing Al, it is necessary to carry out in the range of 0.10 mass% or less.
[0020]
Mo is effective for increasing the high-temperature strength and improving the corrosion resistance, but a large amount causes embrittlement of the steel material. Mo is a very expensive element. In the present invention, it is possible to ensure sufficient corrosion resistance by optimizing the content of other component elements without adding Mo, but the addition of Mo increases the degree of freedom in component design. When Mo is contained, it is desirable to carry out in the range of 0.30 mass% or less.
[0021]
Nb is essentially effective in improving intergranular corrosion resistance and the like as Ti, and is also effective in improving high-temperature strength. However, in the present invention, it is important to prevent “pitting corrosion” due to exhaust gas dew condensation water, and the ability of Nb to reduce sulfides such as MnS, which is the starting point of pitting corrosion, is weaker than Ti. For this reason, in the present invention in which Ti is added, the effect of preventing internal corrosion by Nb cannot be expected so much. Moreover, the high temperature strength required for the exhaust gas path downstream member can be ensured without depending on Nb addition. On the other hand, Nb has a negative effect on workability and low temperature toughness. Therefore, when adding Nb, it is necessary to carry out in the range of 0.02 mass% or less.
B is effective for improving high-temperature strength and hot workability, and improves secondary work cracking of the ferritic steel sheet. Although the component system of the present invention exhibits good characteristics without adding B, addition of B is effective in order to improve secondary work resistance at a higher level. However, when there is too much B addition amount, a boride will be produced | generated and there exists a possibility of degrading low temperature toughness and corrosion resistance on the contrary. For this reason, when adding B, it is necessary to carry out in the range of 0.01 mass% or less.
[0022]
It is desirable to reduce P, S, O, Zn, Sn, Pb, etc., which are general impurity elements, as much as possible from the viewpoint of ensuring workability and low temperature toughness. Specifically, P: 0.04 mass% or less, S: 0.03 mass% or less, O: 0.02 mass% or less, Zn: 0.10 mass% or less, Sn: 0.10 mass% or less, Pb: 0.10 mass% or less as the loosest regulations can do. In actual manufacturing sites, it is desirable to provide more stringent regulations according to the target quality.
[0023]
The ferritic steel sheet material having the above composition is suitable for the center pipe or the tail pipe among the engine exhaust gas path downstream members. In order to obtain these members, for example, a cold-rolled and annealed steel sheet having a thickness of about 0.4 to 1.5 mm is formed into a pipe shape by a roll forming method, and is formed by a welding method such as TIG, plasma, high frequency, and laser. A method of processing into a predetermined shape can be employed. The steel sheet of the present invention is suitable for a muffler constituent member. The muffler is generally composed of members such as an outer shell, an inner shell, a top plate, a separator, and an end plate, and is assembled mainly by welding. Of these, it is extremely effective to use the steel sheet of the present invention for a member such as an outer shell whose one surface is exposed to exhaust gas and the other surface is exposed to the outside air. This is because the steel sheet of the present invention has high resistance to both internal corrosion due to exhaust gas dew condensation water and external corrosion due to adhesion of the antifreezing agent. When the steel plate of the present invention is also used for members constituting the inside of the muffler such as an inner shell and a separator, a very highly durable muffler can be obtained as a whole. Since the steel sheet of the present invention has good workability, the muffler design freedom is also improved.
[0024]
【Example】
Steel plates having the chemical composition shown in Table 1 were manufactured and evaluated for corrosion resistance, workability, and low temperature toughness.
Each steel was melted in a vacuum melting furnace and subjected to hot forging → hot rolling → cold rolling → annealing (900 to 1000 ° C. × 1 minute) to obtain a cold-rolled annealed sheet having a thickness of 1.5 mm. Various test pieces were produced from this steel plate.
[0025]
[Table 1]

[0026]
Corrosion resistance was evaluated by salt corrosion resistance, wet corrosion resistance, and intergranular corrosion resistance. Of these, salt corrosion resistance is external corrosion, moisture corrosion resistance is internal corrosion, and intergranular corrosion resistance is mainly to evaluate resistance to internal corrosion.
The salt corrosion resistance was examined by a dry and wet combined cycle test. In other words, prepare a test piece (50 x 120 mm) with a # 400 dry polishing finish. "Salt spray (5% saline, 35 ° C x 15 minutes) → Dry (relative humidity 20-30%, 60 ° C x 1 hour) → Wet (relative humidity 90-95%, 50 ° C. × 3 hours) ”was repeated 30 cycles, and the maximum erosion depth on the specimen surface after the test was measured by the depth of focus method using an optical microscope. . A maximum erosion depth of 0.3 mm or less was determined to be acceptable, and a maximum erosion depth exceeding 0.3 mm was determined to be unacceptable.
[0027]
For wet corrosion resistance, prepare a test piece (50 x 120 mm) with a # 400 dry polishing finish, and immerse approximately half of the test piece in simulated condensed water (pH: 8.0-8.5) with the following composition: In the state, “boiling × 4 hours → natural cooling and holding at room temperature × 20 hours” was repeated 30 cycles, and the maximum erosion depth on the surface of the test piece after the test was measured using an optical microscope. A maximum erosion depth of 0.3 mm or less was determined to be acceptable, and a maximum erosion depth exceeding 0.3 mm was determined to be unacceptable.
<Simulated condensate composition (ppm)>
SO ₃ ²⁻ : 3000, SO ₄ ²⁻ : 7000, CO ₃ ²⁻ : 2000, Cl ⁻ : 1000, HCO ₃ ⁻ : 2000
[0028]
For intergranular corrosion resistance, the test piece including the MAG welded part of the muffler is heated at 300 ° C for 10 hours and then subjected to the Strauss test (60 ° C) in accordance with JIS G 0572. Observations were made, and those in which intergranular corrosion was not recognized were determined to be acceptable, and those that were recognized were determined to be unacceptable.
[0029]
Workability was evaluated by butt elongation by conducting a JIS Z 2241 tensile test using a JIS 13B tensile test piece (the tensile direction was 45 ° in the rolling direction). The elongation was determined to pass 34% or more, and less than that to be rejected.
[0030]
For low temperature toughness, a sub-size test piece with a plate width of 1.5 mm (impact direction is parallel to the rolling direction), JIS Z 2242 Charpy impact test, energy transition temperature passed -75 ° C or lower, higher Was determined to be rejected.
These results are summarized in Table 2. In Table 2, a circle mark indicates pass and a cross mark indicates failure.
[0031]
[Table 2]

[0032]
As can be seen from Table 2, those having the chemical composition defined in the present invention have good salt corrosion resistance, moisture corrosion resistance, and intergranular corrosion resistance, and maintain sufficiently high workability and low temperature toughness. It was. On the other hand, comparative steel No. 10 was inferior in corrosion resistance because Ni and Cu were insufficient and the formula (2) was not satisfied. No. 11 had poor corrosion resistance due to too little Cu. No. 12 was inferior in workability and low-temperature toughness because it contained no Nb and contained a large amount of Nb. No. 13 had too much Cr and did not satisfy the formula (3), so the workability and low temperature toughness were poor. No. 14 was inferior in workability due to too much Ni. No. 15 was inferior in workability due to too much Cu and Nb. No. 16 was inferior in workability and low temperature toughness due to too much Mo and Nb. No. 17 had poor workability and low temperature toughness due to too much Al. No. 18 was inferior in intergranular corrosion resistance due to too little Ti. No. 19 had poor workability and low temperature toughness due to too much Nb. No. 20 contained a large amount of Cr so as to satisfy the formula (2), so the corrosion resistance was good. However, since Ni and Cu were insufficient and the formula (3) was not satisfied, the workability and the low temperature toughness were poor.
[0033]
【The invention's effect】
As described above, in the present invention, a method for providing high corrosion resistance (internal corrosion resistance and external surface corrosion resistance) desired as a downstream member of an exhaust gas path of an engine and maintaining a high level of workability and low temperature toughness has been established. . In particular, this “solution” is significant in that it has been found in a composition range where the Cr level is 9.0 to 15.0% and no special element is added. Conventionally, the means for stably satisfying such high corrosion resistance and workability / low temperature toughness has not been solved, but the present invention is brought about by improved durability and good workability in an exhaust system of an automobile engine. This contributes to improvement of the degree of design freedom and cost reduction of the member.

Claims

In mass%, C: 0.02% or less, Si: 1.0% or less, Mn: 1.0% or less, Ni: 0.10 to 0.80%, Cr: 9.0 to 15.0%, Ti: 0.05 to 0.40%, Cu: 0.10 to 0.80%, Al: 0 to 0.10%, Mo: 0 to 0.30%, Nb: 0 to 0.02%, N: 0.02% or less, B: 0 to 0.01%, satisfying all the following formulas (1) to (3), the remainder Is an engine exhaust gas path member having a use temperature of 400 ° C. or less, which is made of a ferritic steel plate material consisting of Fe and inevitable impurities.
Ti ≧ 8 (C + N) (excluding Ti ≧ 15 (C + N)) …… (1)
Cr + 5 (Ni + Cu) ≧ 12 (2)
Cr-3 (Ni + Cu) ≤13 (3)

Member according to claim 1 engine exhaust route member is a center pipe or tail pipe.

Member according to claim 1 engine exhaust route member is a member constituting a muffler.

Engine exhaust route member is member of claim 1 surface opposite one surface is exposed to the exhaust gas of the members constituting the muffler is a member exposed to the outside air.