JP3997272B2 - 無水銀ボタン型電池の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無水銀用ボタン型電池の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境問題から負極作用物質に水銀を含まないものが種々検討され、その効果も確認されているが、ボタン型酸化銀電池の場合、電池寸法が小型であるためPwG(パウダー・ウィズ・ゲル)方式といわれる負極充填方式がとられている。この負極充填方式は秤量プレートに一定容積の穴を設け、この穴に負極作用物質である無汞化亜鉛粉末を計り取り、絶縁ガスケットに一体化嵌合した負極封口板に充填して製作するものである。この時、用いられる秤量プレートや秤量プレートをすり切る部材の材質として、従来よりSKD(鉄材)や超硬(タングステンカーバイト)のものを、HRC硬度50以上のものに製作したものを用いていた。したがって、負極充填方式では秤量工程において、負極作用物質である無汞化亜鉛粉末とSKDや超硬より製作された秤量プレートとの接触は不可欠な工程にあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この秤量工程においては、生産開始時には負極作用物質である無汞化亜鉛粉末は正確に秤量されているものの、生産が進むにつれ秤量プレートとすり切りホッパーの間に亜鉛粉末の微粉が堆積するようになる。その結果、生産中において、秤量プレートとのきしみが発生するようになり、秤量プレートの一部が磨耗し、その削りカスが無水銀亜鉛粉末と共に、電池内部に混入するという問題が発生するようになってきた。この混入する不純物の量は微少であり、以前のごとく水銀が3%程度入っているものであれば電池の特性に影響はないものの、無水銀にした電池ではガス発生量は顕著であり、100,000個につき1個程度の率でガス発生を抑えることのできない電池が生産されるという問題があった。
【0004】
本発明は上記問題を解消するためになされたもので、その目的は負極作用物質である無汞化亜鉛粉末を計り取る秤量工程で異物の混入によるガス発生を抑えるようにした無水銀用ボタン型電池の製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前述のような目的を達成するために、本発明の請求項1は、負極作用物質である無汞化亜鉛粉末、カルボキシルビニルポリマーからなるゲル化剤をドライミックスさせたものを、マス計量により一定容量計り取り、絶縁ガスケットに一体化嵌合した負極封口板に充填せしめ、苛性カリ、苛性ソーダ等の電解液を注液した後、正極作用物質入り正極ケースに嵌合した後、かしめ金型によって封口する無水銀ボタン型電池の製造方法において、前記マス計量する秤量プレート及びこの秤量プレートをすり切る部材の材質を、ZrO 2 セラミックとしたことを特徴とする。
【0006】
本発明の請求項2は、負極作用物質である無汞化亜鉛粉末、カルボキシルビニルポリマーからなるゲル化剤をドライミックスさせたものを、マス計量により一定容量計り取り、絶縁ガスケットに一体化嵌合した負極封口板に充填せしめ、苛性カリ、苛性ソーダ等の電解液を注液した後、正極作用物質入り正極ケースに嵌合した後、かしめ金型によって封口する無水銀ボタン型電池の製造方法において、前記マス計量する秤量プレート及びこの秤量プレートをすり切る部材の材質を、Al 2 3 系セラミックとしたことを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図を参照して説明する。
図1は本発明の一実施例のセラミック製の秤量プレートの構成図であり、同図(a)は平面図、同図(b)は側面図である。
同図において、1は秤量プレートであり、2は負極作用物質である亜鉛粉末がマス計量される計量穴である。
【0008】
次に、電池製造設備における秤量プレートを使用する秤量工程を図2及び図3について説明する。
図2はすり切り板3上を移動する秤量プレート1が後退している状態であり、この状態で秤量プレート1中の計量穴2にすり切りホッパー5の中にある亜鉛粉末6が充填される。この状態から図3に示すように秤量プレート1が前進すると、亜鉛粉末6がすり切り板3とすり切りホッパー5にマス切りされた後、秤量プレート1の計量穴2とすり切り板3の秤量穴4が一致するので、秤量プレート1の計量穴2に充填している亜鉛粉末5がすり切り板3の秤量穴4に落下し、さらに絶縁ガスケット7に一体化嵌合した負極封口板8に充填される。
【0009】
まず、実施例1として、上記製造設備の秤量プレート、すり切り板、すり切りホッパーを、ZrO2 94wt%,Y2 3 5.2%のセラミック材料で製作し、これらのものを用いてボタン型酸化銀電池、すなわち、負極作用物質である無汞化亜鉛粉末、カルボキシルビニルポリマーからなるゲル化剤をドライミックスさせたものを、マス計量により一定容量を計り取り、絶縁ガスケットに一体化嵌合した負極封口板に充填せしめ、苛性カリ,苛性ソーダ等の電解液を注液した後、正極作用物質入り正極ケースに嵌合した後、かしめ金型によって封口して無水銀ボタン型酸化銀電池SR626SWを約100,000個製造した。
【0010】
実施例2として、上記製造設備の秤量プレート、すり切り板、すり切りホッパーを、Al2 3 99.5%のセラミック材料で製作し、これらのものを用いて実施例1と同様な製法にて無水銀型ボタン型酸化銀電池SR626SWを約100,000個製造した。
【0011】
次に、比較例として、上記製造設備の秤量プレート、すり切り板、すり切りホッパーを、SKD11(HRC硬度55)材料で製作し、これらのものを用いて実施例1と同様な製法にて無水銀のボタン型酸化銀電池SR626SWを約100,000個製造した。
【0012】
上記実施例1、実施例2及び比較例の電池について、20℃60%RH貯蔵を行い1M,3M,6Mにて電池のフクレによるガス発生量のチェックを行った結果を表1に示す。
【0013】
【表1】
Figure 0003997272
【0014】
比較例として製造した電池のなかでフクレの発生したものを分析した結果10〜50ppmのFeが検出され、秤量プレートの削れによる異物の混入によるものであることが確認された。
本実施例におけるセラミックの成分については特に限定するものではなく、成分が異なるものでも本実施例と同様の効果があると考えられる。
【0015】
【発明の効果】
上述したごとく、本発明によると、電池製造設備の秤量工程で使用される秤量プレート及びマスきりする部材の材質にセラミック材を用いることにより、秤量プレートと計量ホッパーとのきしみによる秤量プレートの磨耗が抑えられ、その削りカスが亜鉛粉末と共に、電池内部に混入することによるガス発生を防ぐことができる。また、セラミックが削れ、電池内部に混入する状況になっても電池特性に影響を与えるものではないので、従来のような不純物によるガス発生を完全に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のセラミック製の秤量プレートの構成図であり、同図(a)は平面図、同図(b)は側面図。
【図2】本発明に係わる電池製造設備の秤量工程における亜鉛粉末計量時の側断面図。
【図3】本発明に係わる電池製造設備の秤量工程における亜鉛粉末落下時の側断面図。
【符号の説明】
1…秤量プレート、2,4…計量穴、3…すり切り板、5…すり切りホッパー、6…亜鉛粉末、7…絶縁ガスケット、8…負極封口板。

Claims (2)

  1. 負極作用物質である無汞化亜鉛粉末、カルボキシルビニルポリマーからなるゲル化剤をドライミックスさせたものを、マス計量により一定容量計り取り、絶縁ガスケットに一体化嵌合した負極封口板に充填せしめ、苛性カリ、苛性ソーダ等の電解液を注液した後、正極作用物質入り正極ケースに嵌合した後、かしめ金型によって封口する無水銀ボタン型電池の製造方法において、前記マス計量する秤量プレート及びこの秤量プレートをすり切る部材の材質を、ZrO 2 セラミックとしたことを特徴とする無水銀ボタン型電池の製造方法。
  2. 負極作用物質である無汞化亜鉛粉末、カルボキシルビニルポリマーからなるゲル化剤をドライミックスさせたものを、マス計量により一定容量計り取り、絶縁ガスケットに一体化嵌合した負極封口板に充填せしめ、苛性カリ、苛性ソーダ等の電解液を注液した後、正極作用物質入り正極ケースに嵌合した後、かしめ金型によって封口する無水銀ボタン型電池の製造方法において、前記マス計量する秤量プレート及びこの秤量プレートをすり切る部材の材質を、Al 2 3 系セラミックとしたことを特徴とする無水銀ボタン型電池の製造方法。
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