JP3996562B2 - 管状物の製造装置および管状物 - Google Patents
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液状の樹脂を上記金型の外周面に塗布する原料塗布手段と、
上記筒状金型の中空部に配置される電磁誘導コイルとを備え、
上記電磁誘導コイルにより上記筒状金型を電磁誘導加熱させて、該金型外周面に塗布される樹脂を硬化させる構成としていることを特徴とする管状物の製造装置を提供している。
上記金型を回転させながら、該金型の中空部に配置された電磁誘導コイルに電流を通電し、電磁誘導加熱により上記金型を加熱すると共に該加熱された金型を介して上記熱媒体を加熱して該金型の周壁の温度を均一化し、
上記金型の外周面に塗布された上記樹脂を温度ムラなく加熱し、硬化させて管状物を製造している。
よって、第二の発明として、熱媒体を密封状態で循環させる空洞からなるヒートパイプを周壁内部に有する金属筒と、
上記金属筒の外周面に着脱自在に外嵌される筒状金型と、
液状の樹脂を上記筒状金型の外周面に塗布する原料塗布手段と、
上記金属筒の中空部に配置される電磁誘導コイルとを備え、
上記電磁誘導コイルにより上記金属筒を介して上記筒状金型を電磁誘導加熱させて、該金型外周面に塗布される樹脂を硬化させる構成としていることを特徴とする管状物の製造装置を提供している。
上記金属筒の外周面に上記金型を外嵌し、
上記金属筒及び金型を回転させながら、電磁誘導コイルに電流を通電し、電磁誘導加熱により上記金属筒を加熱すると共に該加熱された金属筒を介して上記金型を周壁の温度を均一化しながら加熱し、
上記金型の外周面に塗布された上記樹脂を温度ムラなく加熱し、硬化させて管状物を製造している。
なお、ヒートパイプは周壁を中空状として、1本のヒートパイプを設けた構成としてもよく、周壁を周方向、軸線方向共に温度ムラなく加熱できる構成であれば良い。
上記熱媒体としては、水、パラフィンオイル等のオイルに代表される従来公知の熱媒体を用いることができる。
しかしながら、金型を回転させると共に軸線方向に移動させ、ノズルを定位置としても良い。
このように、電磁誘導コイルと熱媒体を密封したヒートパイプとを併用することにより、金型周壁全体を均一に加熱できるため、該金型の外周面に塗布される液状樹脂を温度ムラなく加熱することができる。その結果、加熱により樹脂が均一に対流しながら硬化していき、部位による性能ばらつきがない均質性に優れた管状物を得ることができる。
上記電磁誘導コイルに電流を通電すると、発生した磁力線により金型あるいは金属筒に渦電流を発生させ、この渦電流により金型あるいは金属筒を発熱させる。また、樹脂が硬化することにより奪われる熱は、誘導加熱により即座に補われるため、常時温度ムラをなくすことができる。
なお、電磁誘導コイルは複数個配置しても良く、金型の中空部以外に補助的に配置することもできる。
さらに、管状物が成形された金型を金属筒から取り外し、新たな金型を金属筒に外嵌して金型を取り替えることもでき、より生産性を高めることができる。なお、金型の外周面への樹脂の塗布は、金属筒への外嵌前でも良いし、外嵌後に塗布してもよい。
液状の樹脂を上記筒状金型の外周面に塗布する原料塗布手段と、
上記筒状金型の中空部に配置され、該金型を電磁誘導加熱する電磁誘導コイルと、
上記電磁誘導コイルあるいは/及び上記筒状金型を該金型の軸線方向に移動させる移動手段とを備え、
上記電磁誘導コイルにより上記筒状金型を電磁誘導加熱させて該金型外周面に塗布される樹脂を硬化させる構成としていることを特徴とする管状物の製造装置を提供している。
上記電磁誘導コイルあるいは/及び上記金型を該金型の軸線方向に繰り返し移動させながら、かつ、上記金型を回転させながら、上記電磁誘導コイルに電流を通電し、電磁誘導加熱により上記金型を加熱して該金型の周壁の温度を均一化し、
上記金型の外周面に塗布された上記樹脂を温度ムラなく加熱し、硬化させて管状物を製造している。
即ち、金型の中空部に電磁誘導コイルを配置し加熱するのみでは、金型の軸線方向等の温度分布がクラウン状になり部分的に金型の温度が高くなるが、本発明では、上記のように軸線方向に繰り返し移動可能な移動手段を設け、電磁誘導コイルのコイル部を周壁に対して満遍なく位置させている。
上記構成とすると、金型の周壁に熱媒体を循環させる空洞を設けない場合においても、金型の周壁の温度分布を平坦化することができ、金型の外周面の温度が均一化され、樹脂を温度ムラなく加熱して均質性に優れた管状物を得ることができる。
また、耐熱性樹脂には導電性等を付与するために、カーボンブラックを含む無機系フィラー等の各種添加剤を配合しても良く、分散剤、溶剤、粘度調整剤等を加えることもできる。なお、耐熱性樹脂は粘度が0.1Pa・s〜20Pa・sの状態で塗布されるのが好ましい。
この管状物としては、液状の樹脂としてポリアミドイミド前駆体溶液を用いると共にカーボンブラック添加し、該液状樹脂を硬化させて円筒状の管状体とし、画像形成装置の中間転写ベルト、転写ベルト、定着ベルトとして用いらることが好ましい。
上記カーボンブラックは導電性を付与するもので、樹脂が均一に加熱されるため、該樹脂中に添加したカーボンブラックも均一に分散され、電気特性等のばらつきの小さい管状物を得ることができる。
図1及び図2は、本発明の第1実施形態の管状物の製造装置10を示す。
製造装置10は、回転手段により回転されると共に熱媒体を密封状態で循環させる空洞11aからなるヒートパイプを周壁11bの内部に有する円筒状の金型11と、金型11の中空部11cに配置され金型11を電磁誘導加熱する電磁誘導コイル12と、液状の耐熱性樹脂を含む原料を金型11の外周面11fに塗布するノズル14aを設けたディスペンサー14からなる原料塗布手段を備えている。
まず、導電性を付与するためにカーボンブラックを添加したポリアミドイミド前駆体溶液からなる液状の原料Gを予め調整しておく。
このため、加熱された金型11を介して空洞11a内の熱媒体が加熱され、この加熱された熱媒体が空洞11a内を循環することにより、金型11の周壁11bは温度ムラなく均一に加熱される。このように金型11の周壁11bの温度を均一化し、金型11の外周面11fに塗布された原料Gを温度ムラなく加熱し、硬化させる。
製造装置10’は、回転手段により回転されると共に熱媒体を循環させる空洞11a’からなるヒートパイプを周壁11b’の内部に有する円筒状の金属筒11’と、金属筒11’の外周面11f’に摺動させて着脱自在に外嵌する円筒状の金型20と、液状の耐熱性樹脂を含む原料を金型20の外周面20cに塗布する原料塗布手段と、金属筒11’の中空部11c’に配置され金属筒11’及び金型20を電磁誘導加熱する電磁誘導コイル12とを備えている。
上記金属筒11’の周壁11b’の内部には、熱媒体を循環させる空洞11a’からなるヒートパイプを設け、上記同様に円筒11’の中空部11c’内に電磁誘導コイル12を配置している。
第1実施形態と同様の方法で、金型20の外周面20cに原料Gを塗布する。その後、原料Gが塗布された金型20を他端20b側から金属筒11’の外周面11f’に外嵌し、金属筒11’の外周面11f’と金型の内周面とを隙間なく密着させる。なお、金型20を金属筒11’の外周面11f’に外嵌した後に、金型20の外周面20cに原料Gを塗布しても良い。
金型20を金属筒11’から抜き取った後に、原料G’が外周面20c’に塗布された新たな金型20’を金属筒11’の外周面11f’に外嵌し、同様に誘導加熱を行うことで連続的に管状物を製造している。
製造装置30は、回転手段により回転される円筒状の金型31と、金型31の中空部31cに配置される電磁誘導コイル32と、液状の耐熱性樹脂を含む原料を金型31の外周面31fに塗布する原料塗布手段と、金型31を軸線方向に移動可能とする移動手段とを備えている。なお、金型31の周壁31bには、ヒートパイプとなる空洞は設けられていない。
このように、電磁誘導コイルと塗布される原料とを相対移動させることにより、塗布された原料をより温度ムラなく加熱し、硬化させることができる。
第1実施形態と同様の方法で、金型31の外周面31fに原料Gを塗布する。
原料Gを塗布した金型31の中空部31cに、中心軸を一致させて電磁誘導コイル32を配置し、金型31を10cm/sの速度で、金型31の軸線方向に繰り返し移動させながら、電磁誘導コイル32に電流を通電し、電磁誘導加熱により金型31を加熱して金型31の温度を均一化する。
上記第1実施形態と同様に、加熱条件を設定し、硬化させて金型31の外周面31fに管状物を成形した後、常温まで冷却後、管状物を金型31から脱型する。
上記第1実施形態と同様の装置及び方法で管状物を製造した。
塗布する原料として、カーボンブラックを18wt%添加し分散させたポリアミドイミド前駆体溶液を用いた。周壁内部に熱媒体を循環させる空洞を有する円筒状の金型(トクデン(株)製)の外周面に上記前駆体溶液をディスペンサー方式にて回転塗工した。金型の外径はφ180mmとし、塗工した樹脂の幅は400mm、厚みは300μmとした。
金型の中空部に電磁誘導コイル(トクデン(株)製)を配置し、原料が塗布された金型を回転させながら、コイルに電流を通電し、電磁誘導加熱により金型の周壁を均一に加熱した。
非接触温度計(レイテック・ジャパン株式会社製 MID−LT)を用いて、金型外周面の軸線方向の中央部の温度をモニターし、段階的に設定温度まで昇温、均熱を行った。 即ち、130℃で1時間加熱し、溶媒を揮発させ、樹脂の硬化が進み樹脂膜となっている状態とした後、次いで、300℃で1時間加熱して樹脂製管状物を得た。
上記第3実施形態と同様の装置及び方法で管状物を製造した。
周壁内部に空洞がない円筒状の金型の外周面に、実施例1と同様に前駆体溶液をディスペンサー方式にて回転塗工した。
金型の中空部に電磁誘導コイル(トクデン株式会社製)を配置し、原料が塗布された金型を回転させながら、金型を電磁誘導コイルの軸線方向に10cm/sで繰り返し移動させながら、コイルに電流を通電し、電磁誘導加熱により金型の周壁を均一に加熱した。温度制御は実施例1と同様とした。
上記第2実施形態と同様の装置及び方法で管状物を製造した。
円筒状の金型の外周面に、実施例1と同様に前駆体溶液をディスペンサー方式にて回転塗工した。原料が塗布されたスリーブ状の金型を、周壁内部に熱媒体を循環させる空洞を有する円筒(トクデン(株)製)の外周面に外嵌した。 円筒の中空部に電磁誘導コイル(トクデン(株)製)を配置し、原料が塗布されたスリーブ状の金型を円筒と共に回転させながら、コイルに電流を通電し、電磁誘導加熱により円筒の周壁及びスリーブ状の金型の周壁を均一に加熱した。温度制御は実施例1と同様とした。
金型を軸線方向に移動させない点以外は、実施例2と同様の方法で製造した。
(比較例2)
遠心成形法により管状物を製造した。
塗布する原料として、カーボンブラックを15wt%添加し分散させたポリアミドイミド前駆体溶液を用いた。
熱風循環槽内に取り付けられた円筒状の金型の内周面に上記前駆体溶液を流し込み、10rpmで金型を回転させ金型の内周面に上記前駆体溶液を慣らした。金型の内径はφ180mmとし、塗工した樹脂の幅は400mm、厚みは300μmとした。
金型を1000rpmで回転させ、熱風を送り込み130℃で1時間、次いで300℃で1時間加熱して樹脂製管状物を得た。
放射温度計を使用して、前駆体溶液が固定化される130℃設定で加熱時の金型の中央部と端部の温度測定を行った。評価結果を下記の表1に示す。
得られた樹脂製管状物の表面電気抵抗として表面抵抗率を、三菱化学(株)製ハイレスターUPを使用して測定した。この表面抵抗率は転写ベルトを装着するプリンタによって異なるが、転写ベルト1本内のバラツキは0.5(logR:Ω/□)以内が好ましい。
評価結果を下記の表1に示す。なお、表中には表面抵抗率の常用対数値(logR:Ω/□)を記載した。
11a 空洞
11b 周壁
11c 中空部
11f 外周面
12 電磁誘導コイル
16 管状物
20 金型
20c 外周面
G 原料
Claims (5)
- 熱媒体を密封状態で循環させる空洞からなるヒートパイプを周壁内部に設けている筒状金型と、
液状の樹脂を上記金型の外周面に塗布する原料塗布手段と、
上記筒状金型の中空部に配置される電磁誘導コイルとを備え、
上記電磁誘導コイルにより上記筒状金型を電磁誘導加熱させて、該金型外周面に塗布される樹脂を硬化させる構成としていることを特徴とする管状物の製造装置。 - 熱媒体を密封状態で循環させる空洞からなるヒートパイプを周壁内部に有する金属筒と、
上記金属筒の外周面に着脱自在に外嵌される筒状金型と、
液状の樹脂を上記筒状金型の外周面に塗布する原料塗布手段と、
上記金属筒の中空部に配置される電磁誘導コイルとを備え、
上記電磁誘導コイルにより上記金属筒を介して上記筒状金型を電磁誘導加熱させて、該金型外周面に塗布される樹脂を硬化させる構成としていることを特徴とする管状物の製造装置。 - 筒状金型と、
液状の樹脂を上記筒状金型の外周面に塗布する原料塗布手段と、
上記筒状金型の中空部に配置され、該金型を電磁誘導加熱する電磁誘導コイルと、
上記電磁誘導コイルあるいは/及び上記筒状金型を該金型の軸線方向に移動させる移動手段とを備え、
上記電磁誘導コイルにより上記筒状金型を電磁誘導加熱させて該金型外周面に塗布される樹脂を硬化させる構成としていることを特徴とする管状物の製造装置。 - 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の製造装置により製造される管状物。
- 液状の樹脂としてポリアミドイミド前駆体溶液が用いられると共にカーボンブラックが分散添加され、該液状樹脂が硬化されて成形される管状体を円筒状とし、画像形成装置の中間転写ベルト、転写ベルト、定着ベルトとして用いられるものとしている請求項4に記載の管状物。
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