JP3996287B2 - バイオガス製造方法及び装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、バイオガスの製造方法及び装置に関し、更に詳しくは、発酵槽内で発酵液を生物学的に処理することによってバイオガスを製造するに際して、不所望の硫化水素(HS)の発生を抑制するために、電子受容体を含有する媒体、即ち特に空気などの酸素含有ガス又は混合ガス、及び/又は硝酸塩及び/又は亜硝酸塩を発酵液に導入する形式のバイオガス製造方法およびその方法を実施するための装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
バイオガスの製造においては、一般に空気をほぼ遮断したタンク内に有機物含有基質、例えば下水汚泥、下肥または液状廃棄物等を保持し、必要に応じて撹拌を行う。この場合、基質内に含まれている微生物が有機物の一部を気体物質に変換する。この過程は腐敗と称され、通常は消化タンクとして構成されるバイオリアクター内で実行される。このバイオリアクターは発酵槽とも称されている。基質の性状及びバイオリアクターの操業に応じてバイオガスの組成は多少異なる。代表的なバイオガスは約70 vol%のCHと約30 vol%のCOとを含有している。殆どの下水汚泥や液状廃棄物がそうであるように、基質が硫黄化合物も含有する場合、これらは微生物によって硫化水素(HS)へと分解され、その結果、硫化水素はバイオガス中に1vol%までの濃度で再び存在することになる。硫化水素は毒性で腐食作用があり、従って環境汚染及び損害を防止するために後段の設備、例えば管路やガス機関においてバイオガスの硫化水素含有量を減らす必要がある。
【0003】
従来技術によれば、バイオリアクターの後段の例えば洗浄設備、吸着装置或いは生物学的脱硫装置として構成される浄化段においてバイオガスの硫化水素含有量を許容可能な値まで低減している。従って従来技術では付加的な浄化段が必要であるため設備投資コストが嵩み、バイオ設備全体のスペース需要も増大する。更に気相中で再浄化する場合は、例えばFe硫化物ペレット、硫黄華、硫酸等の残渣が発生するのが通常であり、これらの廃棄処理も問題となっている。
【0004】
東ドイツ公開特許第226552号公報で公知のバイオガス中の硫化水素含有量を減らす方法では、水酸化鉄を懸濁状態で被処理汚泥に添加混合することにより硫化水素を汚泥に化学的に結合させている。また、塩化鉄を被処理発酵液に計量添加することも公知である。しかしながら、これらの化学薬品を計量して添加する方法では、化学薬品を発酵液に添加すること自体に多くの問題がある。例えば腐食性塩素イオンの投入は発酵槽の耐久性に悪影響を及ぼすことがある。
【0005】
ヨーロッパ特許第0143149号公報には、バイオリアクター内で硫化水素の発生を抑制する方法が提案されている。この場合、生成されるバイオガス中の残留酸素含有量が0.01〜3.0 vol%となるような量の酸素を生汚泥又は水と一緒にバイオリアクターに導入する。この方法では、一方でバイオガス中の硫化水素含有量を充分に減少させ、他方でバイオリアクター内の酸素濃度を抑えてメタン細菌に対する酸素の毒性作用によってバイオガス生成が過度に妨げられないようにするためには、供給酸素量の繁雑な制御が不可欠である。
【0006】
HSを発生する微生物相の繁殖を阻止することによりHSの発生を抑制するための従来の解決策は、流入する発酵液への空気導入流量の制限、又は発酵槽内への断続的な空気の導入を出発点としている。しかしながら、設備の操業条件及びこの問題についての独自の研究から判明したところによれば、酸素は発酵液と接触するとほんの僅かの距離で既に生物化学的に変換されてしまい、従って高い酸素消費速度に基づいて流入空気の流量を制限したり断続的に導入したりする方法では、一般的に大容積の発酵槽内におけるHS発生の阻止に顕著な効果をあげることができない。
【0007】
一方、大量の空気を導入して酸素量を過剰にすることによって上述の欠点を解消することも考えられるが、この場合は操業上の安全面で危険性を高め、またバイオガス中の不活性窒素成分が高濃度になるのでバイオガスの発熱用途面での品質低下を招く結果となる。
【0008】
更に、発酵槽の底に適宜面積の空気分配機構を配置することによってバイオリアクター全体内で曝気効率の向上を図る試みも考えられるが、このような対策は乾燥基質成分の多いごみ及び発酵懸濁汚泥を処理対象とする場合には空気分配機構の長期的操業信頼性が疑問となる欠点がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、発酵槽から取り出されるバイオガスに硫化水素が殆ど含まれないようすることができ、且つバイオガスの生成に本質的な障害を起こすことなく従来技術の前述諸欠点を解消することが可能な冒頭に述べた形式のバイオガス製造方法及び装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この課題を達成するため、本発明によるバイオガス製造方法では、発酵槽の内部に導管を垂直に配置して該導管の上下に貫通した管内部を発酵液と電子受容体含有媒体との接触領域として発酵槽内の一部の容積部分に限定し、この限定された領域内に下部から循環駆動ガスを導入して発酵槽内のほぼ全ての発酵液を前記領域を通して循環させると共に、前記循環駆動ガスとは別の供給管から前記領域内に電子受容体含有媒体を導入し、更に別の管路により導かれる温水により前記導管の外被を加熱しながら、電子受容体含有媒体の導入量と発酵液との接触時間を調整することによって発酵液中における硫化水素の発生を抑制するものである。
【0011】
本発明において、電子受容体含有媒体としては、望ましくは空気又はその他の酸素含有ガス又はガス混合体が使用される。また、亜硝酸塩及び/又は硝酸塩を電子受容体として利用することも可能である。更にこれらの混合物などの種々の電子受容体の組合せも採用可能である。
【0012】
本発明の基本理念は、最も簡単な例として電子受容体含有媒体に空気を使用する場合で言えば以下の通りに説明することができる。
【0013】
本発明においては、前述した従来技術の諸問題点に対して、発酵室内の全域で均一な分布の空気との接触を試みるのではなく、発光槽内の限定された領域を電子受容体含有媒体としての空気(酸素含有ガスである)で負荷された領域としておき、この限定された領域に発酵槽の全内容物を空気と発酵液との充分な接触時間に亘って通すことによってこれらの問題点を解決するものである。このようにして発酵液中における硫化水素の発生を技術的に簡単に且つ残渣なしに抑制することができ、従って本発明により発酵液中でのHSの発生の抑制が安定操業で保証されるものである。
【0014】
循環駆動ガスの圧力及び流量は、発酵槽内に導入された発酵液のほぼ全量が1時間当り数回、好ましくは少なくとも2回、前記限定領域を通して循環するように選択することが望ましい。更に、発酵液中でのH2Sの発生を抑制するために、前記限定領域に導入される循環駆動ガスの流量とは別に、該領域に導入する電子受容体含有媒体の流量を調整し、前記限定領域を通過中に発酵液が電子受容体含有媒体と充分に接触するようにすることが望ましい。
【0015】
本発明の好適な一態様によれば、発酵槽内から外部へ導出されるバイオガス中の電子受容体含有媒体の残留濃度がバイオガス生成プロセスを阻害する程の割合未満になるまで電子受容体含有媒体が生物化学的に分解されるように、前記領域内に導入される電子受容体含有媒体の流量が調整される。空気や酸素含有ガス又はガス混合体を電子受容体含有媒体として使用する場合、このようにして酸素が生物科学的に分解され、発酵槽内から外部へ導出されるバイオガス中にはプロセスを損なうほどの濃度の酸素成分がもはや存在しなくなる。このプロセス管理によって、発酵槽内における有機物の嫌気性処理、従ってバイオガス生成プロセスの阻害の回避が保証される。
【0016】
更に、電子受容体含有媒体として空気を使用する場合、空気の窒素含有量に由来するバイオガス中の窒素含有量がバイオガスの発熱利用に関する本質的な品質の低下をもたらすことがないように、前記限定領域に供給される単位時間当りの空気量が調整される。これにより、バイオガスを例えば可燃性ガスとして利用することが無条件に可能となる。
【0017】
本発明の特に好適な態様では、発酵液を前記限定領域を通して循環させるための循環駆動ガスとして、発酵槽内で生成されるバイオガスが噴射ガスとして利用される。例えば前記限定領域が案内管として構成されている場合、生成されたバイオガスの一部がポンプ輸送によって案内管内部に導入される。案内管内でのバイオガスとの混合による発酵液の密度の低下とガスの浮力とに基づいて発酵液が下から上へと案内管内を送られることになる。望ましくは、発酵槽内の内容物の全量が1時間当り少なくとも2回だけ案内管内を通過するように、案内管の幾何学仕様及び圧入されるバイオガスの圧力流量比が調整される。
【0018】
本発明は更に、発酵液を受容してバイオガスを導出する発酵槽を備えたバイオガス製造装置も提供する。本発明による装置では、前述の課題を解決するために、発酵槽内に垂直に配置された導管の上下に貫通した管内部によって発酵液と電子受容体含有媒体との接触領域が発酵槽内の一部の容積部分に限定されている。この導管には、発酵槽内のほぼ全ての発酵液を前記領域を通して循環させるために前記接触領域内に下部から循環駆動ガスを導入するガス導入管と、循環駆動ガスとは別に前記接触領域内に電子受容体含有媒体を導入するための供給管とが設けられ、前記導管の外被には、加熱用の温水のための管路が形成されている。
【0019】
即ち、発酵槽は、例えば案内管で構成した導管によるループを内部に備えたループリアクターとして実質的に構成することができる。この導管は、好ましくは発酵槽内の中心にほぼ垂直に配置された案内管として構成される。
【0020】
発酵槽内の発酵液を導管機構に通して循環させるための駆動ガスとして、バイオガスを噴射ガスの形態で導管に圧入するために、前記ガス導入管として、発酵槽からバイオガスを導出するためのバイオガス導出管から分岐したバイオガス導入管の管端が前記導管の下部開口端近傍に開口している。
【0021】
本発明の更に別の好適な態様によれば、前記導管の幾何学形状は、発酵液中での硫化水素の発生を実質的に抑制するために発酵液と電子受容体含有媒体との間の充分な接触時間が保証されるように選定されている。
【0022】
この導管の幾何学形状は、発酵槽の大きさ及びバイオガス導入管の寸法と共に、発酵槽内の発酵液の全量が1時間当り少なくとも2回に亘って導管を通過することができるように選定されていることが望ましい。
【0023】
本発明による装置の別の形態によれば、前記導管は加熱可能に構成されている。この場合、導管は二重外被を有する案内管として構成することが好ましい。この二重外被は、好ましくは温水からなる加熱流体の供給管路と排出管路とを備えている。本発明によるこの構成では、実質的に硫化水素を含まないバイオガスを安定操業で製造することを可能とする複数の効果を同時に達成可能である。
【0024】
発酵槽内の案内管からなる内部ループを介して発酵液を発酵槽内で循環させることにより発酵槽内の内容物の全量を均質化することができる。これと同時に、例えば空気などの電子受容体含有媒体の導入量を適切に調整することにより、発酵槽内での硫化水素の発生がほぼ完璧に抑制される。更に、案内管の加熱によって発酵槽内の内容物は発酵液の生物学的処理にとって最適な運転条件に保たれることになる。
【0025】
発酵槽内の中心軸上に整列して案内管がほぼ垂直に配置されている場合は、以下のように更に付加的な効果が達成される。
【0026】
即ち、この場合は案内管の下端から吸い込まれた発酵液が好ましくはバイオガスからなる駆動ガスの圧入噴射によって案内管の上端へ向かってポンプ輸送されることになり、案内管の上端から垂直に上へ向かう流れとして周囲の発酵液中に吐き出される。これにより案内管上方で発酵槽内の発酵液の液面中心部に上昇流の盛り上がりが生じ、これが周囲へ向かって広がる表面波として発酵液面上に浮かぶスカムを破壊しつつ攪拌効果を発揮する。従ってこの場合は導管機構からの上昇流による攪拌作用もバイオガス生成プロセスの安定化に肯定的に作用することになる。
【0027】
以上に述べたように、本発明によれば数多くの利点を奏することができ、従来技術による方式とは異なって硫化水素の発生を抑制するのに化学薬品を配量する必要がないだけでなく、生成残渣の廃棄処理も不要であり、バイオガス生成プロセスの特に高い安定化が技術的に簡単な手段で達成可能である。また、既存のバイオガス製造設備を利用して最小コストで追加設備を加えれば実現可能であることも本発明の利点のひとつであり、最も簡単な場合は発酵槽内に案内管による均一循環システムとその空気導入部を設置するだけでも実現可能である。
【0028】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態を図示の例に基づいて以下に詳しく説明する。
【0029】
図1に、本発明に従って液状廃棄物を発酵させる設備の概略のフローを示す。処理対象の液状廃棄物は、図示しない前処理工程において泥漿すなわち加水分解物に処理されて送られてくる。この泥漿若しくは加水分解物は、発酵液として導管1を介して発酵槽2に供給され、発酵槽2内でそのメタン化処理が実行される。このため、発酵槽2内は嫌気性条件下に保たれ、また発酵槽内では内容物が連続的に循環されるようになっている。発酵処理すべき泥漿若しくは加水分解物に含まれる嫌気性バイオマスがその有機物の一部をCO2とCH4とに変換する。発酵槽2からは、生成されたバイオガスが導出管3を介して抽出され、発酵済み液状廃棄物の液体成分及び/又は固体成分は導管4を介して取り出される。
【0030】
泥漿若しくは加水分解物は硫黄化合物も含んでおり、従って発酵のほかにも別の措置を講じないと硫化水素(HS)も発生し、これが最終的なバイオガス中に持ち来されることになってしまう。このため、バイオガス中の不所望のHS成分を最少にする目的で、従来は発酵槽内の全体に亘り充分に均一な分布で空気を導入したが、本発明では、これとは異なって、発酵槽内の内容物の全量が限定された領域5内に通され、この限定領域5内で発酵液が酸素含有ガスと充分な接触時間に亘って接触されるようにする。このため、発酵槽2内の中心軸上には、限定された容積の酸素含有領域として機能する案内管5が垂直に配置され、この案内管5によって発酵液循環ループが構成されており、従って発酵槽2は内部に発酵液の開放循環ループを備えたループリアクターを構成している。
【0031】
案内管内の下部には、バイオガス導出管から分岐したバイオガス導入管6の端部が開口しており、導出管の分岐部からポンプIによって吸引されて導入管6内を圧送されてきたバイオガスは、案内管5内の下部の開口から循環駆動ガスとして噴射される。このバイオガスの導入により案内管5内では発酵液の密度がバイオガスとの混合で低下し、この密度の低下とガスの浮力とによって発酵液が案内管5内を下から上へと送られることになる。この場合の案内管5内での液圧条件は、発酵槽内の内容物の全量が1時間当り少なくとも2回に亘って案内管5内を通過するように案内管5の幾何学的仕様と圧入されるバイオガスの圧力及び流量とを適切に選択することによって調整される。
【0032】
硫化水素の発生を抑制するための電子受容体含有媒体としての空気は、発酵液が案内管5を通過上昇中に酸素と充分に接触してその物質代謝過程中に発生するH2Sを所望の濃度にまで制限するような量比で空気供給管7から配量され、この空気供給管7は案内管5内の下部に開口端を形成している。この場合、空気の導入で持ち込まれた酸素は、発酵液の槽内での循環に伴い、バイオガス生成プロセスを阻害する酸素成分が導出管から出てくるバイオガス中にもはや存在しなくなるまで生物化学的に分解される。また、供給される空気中の酸素の需要は、最終的に得られるバイオガス中の窒素濃度がバイオガスの発熱利用に関するガス品質を低下させることのないように、ごく僅かとすることができる。
【0033】
発酵液の生物学的処理にとって最適な工程温度を維持するために案内管5は加熱可能に構成されている。この目的で案内管5は二重壁の外被を備え、この二重壁の間に加熱用の温水のための管路が形成され、加熱水の供給管路8と排出管路9とに接続されている。付加的に、加熱流体を貫流させる熱交換器10によって発酵槽2の内容物を温度調節することもできる。
【0034】
特に発酵槽2内の中心軸上に整列して垂直配置した案内管5を限定された酸素含有領域として利用することによって以下のように複数の効果が同時に達成される。
【0035】
すなわち、一方では案内管5内で空気の配量に基づいて確実なHS発生の抑制が達成される。他方、発酵槽2内の内部開放循環ループを介して内容物の全量が循環されることによって発酵槽内の内容物が均質化される。更に、案内管の二重壁の外被内の管路にポンプで供給される加熱水によって発酵液が最適な工程温度に調節される。最後に、案内管5の上端から発酵液が上昇流となって流出することから案内管5上方で発酵槽内の発酵液面中心に発酵液の湧き出し上の盛り上がりが生じ、これが中心から外側へ向かって広がる表面波を生成し、この表面波が発酵槽2内の液面でスカムを破壊しつつ攪拌する効果をもたらす。
【0036】
以上のような発酵液の循環の程度は、発酵槽内の発酵液全体におけるHS発生反応を所期の目標通りに確実に鈍化させて抑制するのに充分である。これは、図2に示す実験による測定結果が証明する通りであり、発酵反応から得られるメタン生成量は循環によって損なわれてない。
【0037】
すなわち、図2のa〜c図は本発明に従って空気を配量した発酵槽(リアクター1)の運転結果と、空気を配量しない従来の発酵槽(リアクター2)の運転結果とを比較できるようにいずれも横軸に実験時間(日)をとって示しており、a図は硫化水素濃度の経時変化を、b図は液体廃棄物発酵液のpHの経時変化を、c図は嫌気性COD変換率(%)の経時変化をそれぞれ示している。
【0038】
【発明の効果】
以上に述べたように、本発明によれば発酵槽から取り出されるバイオガスには硫化水素が殆ど含まず、しかもバイオガスの生成プロセスに本質的な障害を起こすことなく安定操業でバイオガスの製造が可能となるという利点を得ることができ、従来技術による方式とは異なって硫化水素の発生を抑制するのに化学薬品を配量する必要がないだけでなく、生成残渣の廃棄処理も不要であり、バイオガス生成プロセスの特に高い安定化が技術的に簡単な手段で達成可能であるほか、既存のバイオガス製造設備を利用して最小コストで追加設備を加えれば実現可能であり、最も簡単な場合は発酵槽内に案内管による均一循環システムとその空気導入部を設置するだけでも実現可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に従って液状廃棄物を発酵させるバイオガス製造装置の概略の流れ図である。
【図2】本発明による空気配量方式の発酵槽と従来の空気配量しない発酵槽との運転結果の比較を示し、a図は硫化水素濃度の経時変化を、b図は液体廃棄物発酵液のpHの経時変化を、c図は嫌気性COD変換率(%)の経時変化をそれぞれ示している。
【符号の説明】
1:廃棄物導管
2:発酵槽
3:バイオガス導出管
4:消化廃棄物懸濁液導出管
5:導管(案内管)
7:空気供給管
8:加熱水供給管路
9:加熱水排出管路
10:熱交換器

Claims (11)

  1. 発酵槽内で発酵液を生物学的処理に付すことによってバイオガスを製造するに際し、硫化水素の発生を抑制するために空気などの酸素を含有するガスまたはガス混合物および/または硝酸塩および/または亜硝酸塩を電子受容体含有媒体として発酵液に供給するバイオガス製造方法において、前記発酵槽の内部に導管を垂直に配置して該導管の上下に貫通した管内部を発酵液と電子受容体含有媒体との接触領域として発酵槽内の一部の容積部分に限定し、この限定された領域内に下部から循環駆動ガスを導入して発酵槽内のほぼ全ての発酵液を前記領域を通して循環させると共に、前記循環駆動ガスとは別の供給管から前記領域内に電子受容体含有媒体を導入し、更に別の管路により導かれる温水により前記導管の外被を加熱しながら、電子受容体含有媒体の導入量と発酵液との接触時間を調整することにより発酵液中における硫化水素の発生を抑制することを特徴とするバイオガス製造方法。
  2. 発酵槽内のほぼ全ての発酵液1時間当り少なくとも2回に亘り前記領域を通して循環するように循環駆動ガスの圧力及び流量を選択することを特徴とする請求項1に記載のバイオガス製造方法。
  3. 前記領域に導入される循環駆動ガスの流量とは別に該領域に導入する電子受容体含有媒体の流量を調整することを特徴とする請求項1又は2に記載のバイオガス製造方法。
  4. 前記領域内に導入される電子受容体含有媒体の流量を、発酵槽内から外部へ導出されるバイオガス中の電子受容体含有媒体の残留濃度がバイオガス生成プロセスを阻害する程の割合未満となるまで電子受容体含有媒体が生物化学的に分解されるように調整することを特徴とする請求項3に記載のバイオガス製造方法。
  5. 電子受容体含有媒体として空気を使用し、該空気の窒素含有量で定まるバイオガスの窒素含有量の増加によるバイオガスの発熱利用に関する品質低下を回避するように、前記領域に導入される単位時間当りの空気導入量を調整することを特徴とする請求項3又は4に記載のバイオガス製造方法。
  6. 循環駆動ガスとしてバイオガスの一部を前記領域に噴射し、この噴射ガスにより発酵液を該領域内に送り込むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のバイオガス製造方法。
  7. 発酵液を収容した発酵槽内で硫化水素の発生を抑制するために空気などの酸素を含有するガスまたはガス混合物および/または硝酸塩および/または亜硝酸塩を電子受容体含有媒体として供給しながら発酵液を生物学的処理に付すことによって該発酵槽からバイオガスを導出するようにしたバイオガス製造装置において、発酵槽内に垂直に配置された導管の上下に貫通した管内部によって発酵液と電子受容体含有媒体との接触領域が発酵槽内の一部の容積部分に限定され、該導管には、発酵槽内のほぼ全ての発酵液を前記領域を通して循環させるために前記領域内に下部から循環駆動ガスを導入するガス導入管と、前記循環駆動ガスとは別に前記領域内に電子受容体含有媒体を導入するための供給管とが設けられ、前記導管の外被には、加熱用の温水のための管路が形成されていることを特徴とするバイオガス製造装置。
  8. 前記導管が、発酵槽内のほぼ中心軸上で垂直に配置された案内管として構成されていることを特徴とする請求項7に記載のバイオガス製造装置。
  9. 前記ガス導入管として、発酵槽からバイオガスを導出するためのバイオガス導出管から分岐したバイオガス導入管の管端が前記導管の下部開口端近傍に開口していることを特徴とする請求項7又は8に記載のバイオガス製造装置。
  10. 前記導管が二重壁の外被を備え、この二重壁の間に加熱用の温水のための管路が形成されていることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載のバイオガス製造装置。
  11. 前記温水管路が、外部から前記導管の外被に温水を導く供給管路と、該導管の外被から外部へ温水を排出する排出管路とを備えていることを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載のバイオガス製造装置。
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