JP3995971B2 - 送風ノズル - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本願発明は、送風機、ブロアー又は熱風発生機に接続して使用する送風ノズルの改良に関するものである。この送風ノズルは、プリント基盤等の水切乾燥、鉄板洗浄後の水切乾燥、各種部品等洗浄後の水切乾燥、シート洗浄後の水切り、洗ビン後の水切、冷凍食品等の結露除去、エアーカーテン、ガラス研磨後の研磨粉除去、食品の良品・不良品の選別等に使用するものであって、幅広帯状の送風エアー又は熱風が必要とされるあらゆる場面で使用できるものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の送風ノズルとしては、実開平6−4592号公報に記載のものがあるが、この送風ノズルは、大径の鋼管の内部にやや小径の鋼管を配し、外部の鋼管の長手方向にスリット状の吐出口を設け、内部の鋼管の前記吐出口と反対側の背面部側にエアー挿通孔を長手方向にスリット状に設けてなるものであり、内部の鋼管を外部の鋼管の吐出口側にやや偏心した位置に配置したものである。この内部の鋼管の一方端部からエアーを供給し、背面部側のエアー挿通孔を通過して、吐出口から帯状のエアーが吐出されるものである。
他方、特開平9−79749号公報に記載の送風ノズルは、アルミ引抜き製の管体を使用し、実質的には、送風エアーが2枚の整流板を通過して、本体部長手方向にスリット状に形成された吐出口から帯状のエアーが吐出されるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
これら従来の送風ノズルにおいては、吐出口から均一な帯状の吐出エアーを得るために、本体内の風圧(静圧)を適宜高めるための構造を設けている。均一な帯状の吐出エアーを得るというのは、長手方向スリット状の吐出口の全範囲の何れにおいてもばらつきのないより一定の風量又は風速を有する帯状の吐出エアーが吐出され得ることをいう。この均一な吐出エアーを得るために、従来の送風ノズルにおいては、上記のように本体内の静圧を高める構造が必要となり、このために圧力損失が大きいものとならざるを得なかった。
本願発明は、上記従来の送風ノズルにおけるような問題点を改良し、吐出エアーの均一性の観点では従来の送風ノズルと同等或いはそれ以上の性能を有し、しかも圧力損失の極めて少ないものを提供し、尚且つ製造容易で、製造コスト等も低減化できる送風ノズルを提供することをその課題としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本願発明の第1のものは、長尺状の筒状本体部の長手方向にスリット状の吐出口を設け、本体部の一方端部に又は吐出口と反対側の背面部略中央部に供給口を設け、供給口から供給されたエアーが吐出口から帯状に吐出する送風ノズルにおいて、吐出口が本体部からエアーの吐出方向に突出した吐出口部の先端部に形成され、吐出口部にはエアーの吐出方向と交差する方向に複数の調節ネジ等が設備され、これらの調節ネジ等によって吐出口の間隔広さが広狭自在に調整され、吐出口部から本体部の内部に向かって、本体部の背面側に延長する帯板状の一対の整流板を相対向するように設け、上記調節ネジ等を締付けて吐出口の間隔を狭めると、上記整流板の端縁部間の間隔距離が広がり、逆に上記調節ネジ等を緩めて吐出口の間隔を広げると、上記整流板の端縁部間の間隔距離が狭まり、更に、これら整流板には複数のエアー挿通孔を設けることにより本体内の静圧を均一に維持しうるようにしたことを特徴とする送風ノズルである。
【0005】
本願発明の第2のものは、上記第1の発明において、整流板に設けられたエアー挿通孔の間隔を供給口から遠ざかるに従って大きくしたことを特徴とする送風ノズルである。
本願発明の第3のものは、上記第1の発明において、供給口から所定距離を置いた位置以遠にはエアー挿通孔を設けないことを特徴とする送風ノズルである。
【0006】
本願発明の第4のものは、上記の各発明において、本体部及び吐出口部の全体を帯板鋼鈑からプレス加工により成形して製作したことを特徴とする送風ノズルである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面に基づき実施形態について説明する。
図1は、本願発明の一実施形態に係る送風ノズル10の全体斜視説明図であり、長尺状の筒状本体部11の手前側一方端部11eにエアーの供給口12が設けられ、本体部の図中左側の側面部の長手方向には、左方向(吐出エアーの吐出方向)に突出する吐出口部13が設けられ、この吐出口部13の先端縁部に長手方向スリット状に吐出口15が形成されている。エアーは、供給口12から矢印Fの方向に本体部11内に供給され、吐出口15から矢印Gの方向に帯状に吐出される。吐出口15の間隔広さは、複数の調節ナット21により広狭自在に調節可能である。また、本体部11及び吐出口部13は、後に説明するが、帯板鋼鈑からプレス成形により製作され得る。
【0008】
図2は、図1のS−S線断面図であり、吐出口を下方に向けた状態に表しており、上記実施形態の内部構造を図示するものである。また図3は、整流板の図示のために、本体部の一部分を斜め左右両方向から見た内部透視斜視説明図である。
図2から解る通り、本体部11は、横断面略8角形形状を有し、その一側面(図中下方側面)に吐出口部13が吐出口15の方向に適宜長さ分突出した状態に形成されており、本実施形態では帯板鋼鈑を用いて、プレス成形により本体部及び吐出口部の左右対称部分をそれぞれ成形し、11aの部分で溶接着して形成している。
【0009】
吐出口部13の本体部11側の内側部分13u,13uには整流板14、14が溶接着されている。
それぞれの整流板14は、くの字形状に折曲した帯状の鋼製板材からなり、図3から解る通り、折曲された一方の側面には、複数のエアー挿通孔14h,14h,14h,・・・が設けられており、このエアー挿通孔14hが設けられていない側面を吐出口部13の内側の部分13uに溶接着している。そして、エアー挿通孔14hが設けられた側面同士が相互に徐々に接近するように本体部の中心部方向に向かって延長するように構成されている。
【0010】
このように整流板14、14は、相互に対向するように、吐出口部13の本体部側内面から本体部11の内部方向に延長するように配置され、整流板14同士の本体部内部側の端縁部同士の間隔距離は一定の狭い幅に制限されている。この間隔距離は、本実施形態において3.0mmから6.0mm程度の範囲に設定している。この間隔距離は、必要に応じて3.0mm以下或いは6.0mm以上に設定することも可能である。
整流板14は、本体部11の供給口側の端部11eからその反対側端部11fの全範囲に渡り設けられており、またこの実施形態においてはエアー挿通孔14hは、エアー供給口12の側の端部11eから本体部11の略中央部まで一定間隔で同一ピッチで形成しており、その略中央部から他方端部11fまでは、エアー挿通孔14hを形成していない。
【0011】
このエアー挿通孔は、整流板の全範囲に(端部11eから端部11fまで)設けてもよいが、その場合にはエアー挿通孔同士の間隔をエアー供給口から遠ざかるに従って大きくすることが望ましい。このような構成を取るのは、本体部内部の送風エアーの静圧をより一定に維持するためである。本体部の内部静圧をより一定にすることにより吐出口から吐出されるエアーの風量又は風速がその全範囲に渡りばらつきのないより均一なものとなるからである。従って、整流板に設けられるエアー挿通孔の数や配置は、本体内の静圧をより一定にできるような構成であればよいのである。
【0012】
図2及び図3において、20はネジ棒からなる調節ネジを示しており、この調節ネジ20の両端部分に螺合する調節ナット21、21を締め付け又は緩めることにより、吐出口15のスリット幅を広狭自在に調節することができる。調節ネジ20は、ネジ棒でなくボルト等を利用することもできる。
尚、図2の断面図中、本体部11の端部11fに現れている3つの螺子30は、図示はしていないが、この送風ノズルを支持するブラケット等を取り付けるためのものであり、特に設けなくとも本願発明を実施することが可能である。
【0013】
図4は、本体部の各種断面形状を図示する断面説明図である。図4(A)に図示したものは、上記の実施形態のものを示している。図4(B)に図示したものも、断面略8角形のものであるが、その溶接部11aの構成を少し変更したものである。図11(C)に図示したものは、断面略四角形のものであり、図4(D)に図示したものは、断面略6角形のものである。このように本体部の断面形状は、自由に設計することができ、帯板鋼鈑を使用してプレス成形により容易に各種の断面形状を有する本体部及び吐出口部を形成することができる。
【0014】
次に本願発明に係る送風ノズルの性能試験の結果を以下に示す。表1は、上記実施形態に係る各種サイズの送風ノズルの吐出エアーの風速の均一度を示すもので、吐出口の両端部とその中間の3ヶ所の合計5ヵ所で風圧測定を行って、吐出エアーの風速を算定し、それらの平均値を平均精度として掲げている。
尚、前記従来の送風ノズルは、いずれも本願出願人が製造販売してきたものであるが、実開平6−4592号に係る送風ノズルの平均精度は、プラスマイナス3.5%であり、特開平9−79749号に係る送風ノズルの平均精度は、プラスマイナス3.0%であった。
【0015】
【表1】
Figure 0003995971
【0016】
更に、吐出口のスリット幅1.0mm、スリット長さ1000mm、吐出風速100m/s時の必要静圧を比較すると、以下の通りとなる。
(1)実開平6−4592号ノズル(供給口直径:65mm)
必要風量: 6m/min 必要静圧: 約12.7kPa
(2)特開平9−79749号ノズル(供給口直径:50mm)
必要風量: 6m/min 必要静圧: 約 6.4kPa
(3)本願発明に係る送風ノズル(供給口直径:75mm)
必要風量: 6m/min 必要静圧: 約 4.9kPa
このように、本願発明に係る送風ノズルにおいては、同一の吐出風速を得るために従来品よりもより少ない本体内部静圧により実現することができ、それ故圧力損失のより少ない送風ノズルを提供できたものである。
【0017】
以上、実施形態について説明したが、本願発明は、請求の範囲内において種々設計変更が可能であり、帯板鋼鈑から容易にプレス成形が可能で、そのサイズは自由に変更可能である。例えば、供給口は、65mm、75mm、100mm、及び125mmのもの、本体部長さは、供給口が65mm及び75mmのものにあっては300mmから1900mm、供給口が100mm及び125mmのものにあっては、500mmから1900mmのもの、吐出口のスリット幅は、供給口が65mm及び75mmのものでは、0.5mmから2.0mmまで調節可能のもの、供給口100mm及び125mmのものでは、0.5mmから4.0mmまで調節可能のものを販売寸法としてラインナップしている。
【0018】
本体部の断面形状も略筒状に形成したものであればよく、その形状は適宜変更可能である。
上記の実施形態においては、供給口を本体部の一方端部に設けたが、他方の端部に設けてもよいし、或いはまた吐出口と反対側背面部の略中央部分に設けることも可能である。
突出部の吐出高さ寸法も適宜自由に設定可能であるが、本願発明の上記実施形態においては、42mmに設定している。
整流板に設けられたエアー挿通孔のサイズも適宜自由に設定可能であり、それらを設ける間隔距離(ピッチ)も適宜自由に設定可能である。
【0019】
更に、吐出口のスリット幅を調節する調節ネジやナットの種類や個数も全く自由に設定することができる。
また本願発明においては、その本体部及び吐出口部をプレス成形している関係上、容易に設計変更が可能で、必要に応じてこの送風ノズルを、吐出口は内側向きとして、L字型、コの字型、或いは四角形型に形成することもできるものである。この場合、それぞれの辺の部分を上記実施形態の如き送風ノズルとして製作し、その後それぞれのパーツの端部同士を相互に溶接着することにより容易に製作することができる。またこの場合、エアーの供給口は、吐出口と反対側の背面部側に設けることが好ましい。
【0020】
【発明の効果】
以上、実施形態について説明したが、本願発明は以下の効果を有する。
本願発明においては、その吐出口部及び整流板の構成によりノズル本体内の内部静圧をより均一にすることができ、その結果吐出エアーの風量又は風速等のばらつきをより少なくし、吐出口の全範囲に渡りより均一な吐出エアーを得ることができた。
また従来品と比較して、同一風速の吐出エアーを得るのに、より少ない内部静圧で可能となり、圧力損失の数段少ないノズルを提供することができた。この圧力損失の低減化により、このノズルを接続するブロアーや熱風発生機等の消費電力も同時に低減化でき、省エネ効果も発揮することとなった.
更に、本体部及び吐出口部は、帯板鋼鈑からプレス成形することができ、容易に製作可能で、従来品と比較してそのコストも大きく削減することができ、各種のタイプのものに設計変更することをも可能とした。
以上本願発明は極めて大きな効果を発揮するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の一実施形態に係る送風ノズルの全体斜視説明図である。
【図2】図1のS−S線断面図である。
【図3】本願発明の実施形態に係る整流板を示す本体部一部分の内部透視斜視説明図であって、その(A)が左上方からの説明図、その(B)が右上方からの説明図である。
【図4】(A)(B)(C)(D)のいずれも本願発明の実施形態に係る本体部の断面形状を示す断面説明図である。
【符号の説明】
11…本体部、12…供給口、13…吐出口部、14…整流板、14h…エアー挿通孔、15…吐出口、20…調節ネジ、21…調節ナット

Claims (4)

  1. 長尺状の筒状本体部(11)の長手方向にスリット状の吐出口(15)を設け、本体部(11)の一方端部に又は吐出口(15)と反対側の背面部略中央部に供給口(12)を設け、供給口(12)から供給されたエアーが吐出口(15)から帯状に吐出する送風ノズルにおいて、
    吐出口(15)が本体部(11)からエアーの吐出方向に突出した吐出口部(13)の先端部に形成され、
    吐出口部 (13) にはエアーの吐出方向と交差する方向に複数の調節ネジ等 (20, 21) が設備され、これらの調節ネジ等 (20, 21) によって吐出口 (15) の間隔広さが広狭自在に調節され、
    吐出口部(13)から本体部(11)の内部に向かって、本体部(11)の背面側に延長する帯板状の一対の整流板(14, 14)を相対向するように設け、
    上記調節ネジ等 (20, 21) を締付けて吐出口 (15) の間隔を狭めると、上記整流板 (14, 14) の端縁部間の間隔距離が広がり、逆に上記調節ネジ等 (20, 21) を緩めて吐出口 (15) の間隔を広げると、上記整流板 (14, 14) の端縁部間の間隔距離が狭まり、
    更に、これら整流板(14, 14)には複数のエアー挿通孔(14h) を設けることにより本体内の静圧を均一に維持しうるようにしたことを特徴とする送風ノズル。
  2. 請求項1において、整流板(14)に設けられたエアー挿通孔(14h)の間隔を供給口(12)から遠ざかるに従って大きくしたことを特徴とする送風ノズル。
  3. 請求項1において、供給口(12)から所定距離を置いた位置以遠にはエアー挿通孔(14h)を設けないことを特徴とする送風ノズル。
  4. 請求項1乃至3の何れかにおいて、本体部(11)及び吐出口部(13)の全体を帯板鋼鈑からプレス加工により成形して製作したことを特徴とする送風ノズル。
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