JP3993466B2 - 加熱乾燥型水分計 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は加熱乾燥型の水分計に係り、特に装置の測定精度やその配置環境等を評価することが可能な加熱乾燥型水分計に関する。
【0002】
測定対象である試料の水分を測定する装置の一つとして加熱乾燥式の水分計がある。この加熱乾燥式水分計は試料を加熱することにより試料中の水分を蒸発させ、加熱前と加熱乾燥後の試料の質量の変化(減少)により当該試料の水分率を計測する装置であって、装置として比較的安価に提供でき、また幅広い種類の試料について比較的短時間で対応可能であるため、水分計として広く利用されている。以下特に断らない限り水分計の言葉はこの加熱乾燥式水分計を示すこととする。
【0003】
【従来の技術】
本発明の実施例を示す図1の一部を用いて従来の水分計の構成を示す。
先ず、水分率を測定したい試料2を質量計測部1の秤量皿1aに所定量載せ、この状態で加熱手段3をONとする。これにより秤量皿1aに載置された試料2の水分は徐々に蒸発し、この結果質量計測部1で計測する試料の質量計測値は、計測データ4に示すように時間Tに対して、その計測値Wが減少する。
【0004】
装置の中央処理部5はこの計測データ4の変化をモニターし、その変化の度合いが予め定められた敷居値以下となった時点ΔTにおいて加熱手段3を停止し、かつ加熱前の質量W1と加熱後の質量W2とから当該試料3の水分率を演算手段6に於いて算出し、算出結果を表示部7により表示する。
なお、水分は以下の計算式により通常は百分率により表示される。
M(%)=〔(W1−W2)/W1〕×100
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように試料を加熱乾燥する水分計においては、次のような問題が指摘されており、その解決が望まれている。
先ず、試料を加熱しかつ乾燥させる方式を採用した水分計が本来的に有する問題として次のような点が挙げられる。
【0006】
試料の構成が例えば水分を含有している金属や鉱石等のように、物質と水分との熱的安定温度に大きな差がある場合には、比較的安定して水分率を計測することができる。しかし、試料としてはこのような構成のものは稀であり、試料として水分計測の対象となるものは、例えば穀物、食品、薬品、プラスチック等のように試料自体の熱分解温度と、水分の蒸発温度に大きな差が無いものが多い。
【0007】
このような試料は、加熱段階で試料自体と水分とを明確に分離して水分蒸発による質量変化としてとらえることが困難な場合が多い。即ち、この種の試料を実際に水分測定する場合、試料の加熱時間の経過と共に試料の質量計測値の低下傾向は減少するが、理論上全ての水が蒸発したと考えられる時間が経過して質量計測値が一定となるはずの時点においてもその減少がゼロとならない事態が度々観測されている。
このような事態となった時、水分計の構成によって、例えば「Error」等のように水分測定が不能であると表示せざるを得なかったり、水分率を表示しても表示した当該水分率が加熱温度、加熱時間の設定により変化してしまう等の事態が生じる。
【0008】
水分計の使用者はこのような事態に立ち至ったとき、このような事態を招来した原因が、試料自体の熱分解に起因するのか、または水分計の基本性能不良に起因するのか、或いは水分計の設置環境に起因するのか等、その原因を識別することができない。この結果、多くの水分計使用者は測定結果に不信感を持ったまま何らかの妥協をせざるを得ない。しかしこのように、測定結果に疑問、或いは不信がある状態を認めることは、試料として提供されている物質の品質管理等に大きなリスクを負わせることになる。
【0009】
つまり、計測誤差の原因が、水分の蒸発に必要な熱量を加えることにより試料の一部がガス化する等、試料の性質上、加熱乾燥型の水分計の使用がそもそも不可能或いは困難であるという改善不可能な要因によるのか、或いは水分計の性能不良、設置環境の不適切、加熱条件の不適切等、改善可能な要因によるのかが不明であり、結果として改善可能な誤差要因をそのまま放置する結果となる。
【0010】
以上のような点に鑑み、本来改善可能である水分計の性能を検査する方法が幾つか提案されているが、何れも上記問題点を解決する程の効果を発揮するものではないのが実情である。
【0011】
先ず、水分計のうち特に質量計測部の性能を検査することにより水分計の性能を検査する方法が提案されている。
この方法は秤量皿1aに対して二つの分銅を載置し、この状態で熱手段を加熱させて水分計を実際の水分計則状態と同様に作動させる。所定時間経過したならば一方の分銅を取り除き、水分率を表示させる。
【0012】
この方法は、予め質量の判明している二つの分銅の質量を計測して加熱前質量とし、かつ一つの分銅を除いた質量を加熱後の質量とすることにより装置が適正な水分率を表示するかどうか検査するものである。例えば80gの分銅と20gの分銅を載せて加熱前質量として計測し、かつ20gの分銅を除いて加熱後の質量とし、これらから水分計が水分率20%と表示するかどうか検査するものである。
【0013】
この方法は一件理に適ったように見えるが、以下の点で問題があり装置を適正に検査したものとは言いがたい。
先ず、一方の分銅をある時点で人手により取り去るため、図1に示すように経時的に変化する計測データ4に基づいて適正時点ΔTで加熱手段を停止し、かつ水分の演算を行うという水分計に必要とされる本来のプロセスの性能検査が全く行われない。
【0014】
また、実際の水分計測モードで検査を行う必要上、検査用の分銅を加熱するため、分銅を取り去る時に扱いを誤ると火傷をすることになる。しかし、精密分銅の加熱は装置の精度検査上実行せねばならないが、分銅のような容量の大きな金属を加熱しても、水分率測定対象の試料とは熱応答性が異なり、本来の水分率測定のプロセスでの性能検査としては不十分なものとならざるを得ない。
【0015】
別の方法として、装置点検用の試料をユーザが作り、この試料により装置の性能を検査する方法も提案されている。即ち、例えば5パーセント程度の濃度の食塩水を作り、予め秤量皿に載せておいたグラスファイバー(液相となっている試料の水分率を計測する場合には水分の蒸発を早めるため通常使用されている)等に所定量滴下させ、この食塩水を加熱して水分量を測定する。次に新たなグラスファイバーを再度載せて、再度食塩水を滴下し、水分率の測定を行う。このような作業を複数回(できれば5回程度)実行し、各作業における測定結果の偏差が一定値以内であるか否かにより装置の性能検査を行う。
【0016】
この方法は、試験サンプルの水分量が多く水分の蒸発に時間を要し、しかもこの作業を複数回繰り返すため、試験に長時間を必要としユーザーに過度の負担を与えるものである。また、水分率の低い物質、即ち前記食塩水で言えば高濃度の食塩水を用いると、食塩水全体の濃度を均一にするまでに時間を要し、場合によっては濃度が不均一のま前記性能検査を実施することになり、検査自体の信頼性が低下するおれも多い。因みに、計測対象となる試料は実際には穀物や工業用材料等主となり、水分率20%以下の水分率が比較的低い物質が多い。
【0017】
また、本発明にも用いられる水分率が既知の特定の物質を用い、水分率が未知である資料の水分率の測定条件が適正であるか否かを判断する方法が特許されている(特許3005468号)。この方法は水分率が未知の試料の水分率を測定する際の測定条件と同じ条件で水分率が既知の試料を用いて水分率測定を行い、この測定結果と当該試料の既知の水分率とを比較し、この比較結果により前記水分率が未知の試料の水分率測定条件の適否を判断するという、水分測定値の検証方法であることを特徴としている。
【0018】
上記の方法によれば水分率の測定条件と得られた結果に対する信頼性を向上させることは一般的には可能である。しかし、水分率の測定対象が例えば澱粉、油分、水分等を含む穀物である場合、試薬として用いられる水分率が既知でかつ材質の構成が単純な試料と同一の測定条件で測定を行っても、以下の理由により正しい水分率を得られない場合が生じる。
【0019】
即ち、水分率が既知の試料である試薬と、水分率が未知の試料とでは、多くの場合、上述の例のように材質が異なるため、両者の間には物質の密度や含有する水分量の相違等に基づく熱容量の相違、或いは材質の熱分解温度の相違がある。このため、両者を同一条件で加熱しても試薬として用いる試料と水分率測定対象の試料とではその乾燥過程が異なることとなる。この結果、上記方法においては、試薬として用いられる試料と実際に水分率を測定する試料とにおいて、両者の化学的、物理的性質が乖離するのに対応してその検証精度が低下してしまうという問題がある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明は、水分率測定に用いる装置である加熱乾燥式の水分計そのものの測定精度を向上させることにより、特別の技能を有することなく水分率の測定に係わる測定装置自体の誤差の確認と、誤差の補正を可能とし、これにより測定対象である試料の適正な水分率の測定を可能とすることを目的とする。即ち、水分率が予め判明している特定の試料を用いて装置の性能の検査を、特別の技能を必要とすることなく実施可能に構成した加熱乾燥型水分計であることを特徴とする。
【0021】
本発明は酒石酸ナトリウム二水和物等、予め水分の含有量(水分率)が判明している物質を装置の測定精度検査用試料として用いるものであって、水分計には、検査用試料として用いられる物質の既知の水分量を記憶している手段と、水分計が計測した当該試料の実測水分率とを比較検討する手段とを有し、かつ比較検討結果に対応して水分計の校正を行う手段とを有することを特徴とする、性能検査が可能な加熱乾燥式水分計である。
より具体的には、試料の質量を計測する電磁平衡式質量センサからなる質量計側部と、ハロゲンランプ又はジュール発熱する抵抗線からなる加熱手段と、加熱手段により加熱され、徐々に水分が蒸発する試料の質量減少をモニターし、質量減少の度合いが予め定められた敷居値以下となった時点において加熱手段を停止させる中央処理部と、試料の加熱前の質量と加熱手段を停止させた加熱後の質量との差から当該試料の水分率を算出する演算手段と、この演算手段で算出した水分率を表示する表示部と、各種の設定事項を入力する入力手段とを備えた加熱乾燥型水分計であって、
この加熱乾燥型水分計の精度を検査する場合に使用する検査用試料について、複数の検査用試料の種類毎に、理論水分率と適正量と適正加熱温度とを記憶する記憶手段と、当該加熱乾燥型水分計を用いて計測した特定の検査用試料の実測水分率と、記憶手段に記憶されている当該検査用試料の理論水分率とを比較する比較手段と、比較手段の比較結果を予め設定しておいた基準に基づいて評価した評価結果を表示する表示部と、表示部に表示された評価結果をもとに、実測水分率が理論水分率と等しくなるように当該加熱乾燥型水分計を校正する校正手段とを具備したことを特徴とする加熱乾燥型水分計である。
【0022】
【発明の実施の形態】
水分計の性能検査に当たっては、先ず性能検査用の試料を質量計測部の秤量皿に所定量載せる。次にこの検査用試料を加熱して水分を蒸発させることにより、実際の水分率測定の場合と同様の行程で加熱、乾燥させて当該試料の水分率を算出する。次に算出された水分率と、当該物質の水分率として記憶されている既知の値とを比較し、その偏差が許容値以内であるか否かを判定する。
【0023】
偏差が許容値以内であれば、水分計の性能に問題のないこと表示する。また反対に偏差が許容値を越える場合には、装置の精度に問題がある旨の表示を行う。この場合には、水分計自体の基本性能が不良である場合以外に、水分計の設置された環境が適切でない場合、例えば規定値以上の高温環境下に装置が配置されていたり、温度変化の大きな場所に配置されていたり、水分計に誤差要因として振動、風等の外乱が加わっている場合等が考えられるので、先ず設置環境を判断し、環境上問題が無い場合には水分計の基本性能不良として、装置の校正を行う等の適切な処置を実施する。
【0024】
【実施例】
以下本発明の一実施例を図面を参考に具体的に説明する。
先ず図1において、符号1は電磁平衡式質量センサ等の質量計として構成されている質量計測部であり、3はハロゲンランプやジュール発熱する抵抗線等から成る加熱手段である。
【0025】
5は水分計における処理の中心を成す中央処理部、6は前述のように試料2の加熱前の質量W1と加熱後の質量W2とから当該試料2の水分率を算出する演算部である。一方符号8は水分計の精度を検査する場合に使用する試料(以下「検査用試料」とする)の既知の水分率(理論水分率)を記憶している検査用試料理論水分率記憶手段である。なお、この検査用試料を複数使用する可能性がある場合には、それぞれの検査用試料の種類毎に理論水分率が記憶されている。
符号9は水分計の校正が必要な場合にその校正を行うためのソフトウェアに基づいて水分計の校正を行う校正手段である。
【0026】
符号10は入力手段であって、加熱温度の設定等、通常の試料の水分率測定に必要な設定部の他、例えば装置検査モードの設定等本発明実施に必要な事項の設定が可能となっている。
【0027】
次に本発明に係る装置の作動或いは操作について説明する前に検査試料を特定し、その性質について説明する。
検査試料としては幾つかの物質が利用可能であるが、以下検査試料が酒石酸ナトリウム二水和物(C4H4Na2O6・2H2O /以下単に「酒石酸ナトリウム」と称する)を例に説明する。
【0028】
酒石酸ナトリウムは無色の結晶或いは白い結晶性を有する粉末であって、その分子構造から計算して理論的に15.66%の水分を含有していること、約160℃の温度下で約10分間加熱させることにより結晶が不可逆変化を起こし水分が開放されることが知られている。この酒石酸ナトリウムの理論水分率は図1に示す検査用試料理論水分率記憶手段8に記憶されている。
【0029】
また、検査試料の例としては酒石酸ナトリウムの他、例えば次の物質が利用可能である。
(1)クエン酸ナトリウム二水和物(理論水分率12.4%)
(2)タングステン酸ナトリウム二水和物(理論水分率10.92%)
(3)臭化カルシウム二水和物(理論水分率15.26%)
(4)塩化カルシウム二水和物(理論水分率32.41%)
(5)リン酸二水素ナトリウム二水和物(理論水分率20.23%)
検査用試料として上記物質を使用する可能性がある場合には検査用試料理論水分率記憶手段8はこれらの物質の理論水分率も個々の物質に割り振られたコードに対応して記憶する。
【0030】
次に、主として図2及び図3を用いて本発明に係る装置の作動状態の一例を示す。
水分計を使用する者が水分計の性能試験を行う場合には入力手段により同装置を検査モードに設定する(S1)。検査モードにおいて使用する検査試料が一種類の物質(以下「酒石酸ナトリウム」を例に説明する)である場合には、このこの特定の検査試料である酒石酸ナトリウムに対応して、適正な検査が行えるように、表示部7に例えば次のようなメッセージを表示する(S2)。
(a)設定温度 160℃
(b)試料質量 約10g
【0031】
操作者はこの指示に基づいて質量計測部1の秤量皿1aに対して約10グラムの酒石酸ナトリウムを載せ、かつ装置をセットした後、加熱設定温度を160℃として装置を作動させる(S3)。
なおこの場合、加熱温度は操作者が手動でセットする他、検査試料に対応して装置が当該検査用試料に対応する加熱温度に自動設定するようにしてもよい。
【0032】
水分計はこの状態で通常の水分率計測と同じ動作を行い、図1の4に示す計測データ4により加熱を行い、計測質量値の変化が所定の敷居値以下となった時点ΔTにおいて加熱手段3を停止し(S4)、かつ当該検査用試料の水分率を算出する(S5)。
【0033】
一方、検査用試料理論水分率記憶手段8から、検査に使用した試料の理論水分率を呼び出し、この理論水分率と検査用試料の加熱乾燥により得られた水分率とを比較手段11において比較する(S6)。例えば、水分率演算手段6から出力された実測水分率が15.89%であったとすると、酒石酸ナトリウムの理論水分率15.66%に対して+0.19%の誤差が生じたことになる。
【0034】
このように検査用試料により誤差が生じる原因としては、振動、高温環境或いは低温環境等水分計が設置されている環境が適切でない場合、例えば検査用試料に対する水分の付着、不純物の混入等、検査用試料の保管性や取り扱いに問題がある場合、或いは水分計自体の問題が考えられる。
【0035】
次に、この誤差を、予め設定しておいた基準に基づき評価し(S7)、この評価結果を表示する(S8)。例えば誤差がプラス・マイナス0.20%以上であれば、水分計の校正を促す表示をする。例えば「MUST CAL.」等の表示を表示部7に表示する。またプラス・マイナス0.20%以下でかつプラス・マイナス0.10%以上であれば、校正をしたほうが良い等の表示を行う。例えば「BETTER CAL.」等の表示を表示部7に表示する。
【0036】
誤差の発生要因として、水分計自体の問題としては、例えばゼロ点のドリフトが考えられる。このゼロ点のドリフトは加熱手段3からの熱により質量計測部に温度変化が生じることによって発生する。この現象は温度変化に対して再現性があるので、前記水分率の実測値を、その差をもとに当該検査用試料の理論水分率に補正することが可能である。
【0037】
なお、本実施例では水分計の校正を行うか否かは装置使用者が自己の判断に基づいて行うように構成されている。この場合、水分計が計測した検査用試料の水分値と、この検査用試料の理論水分率との差を表示することにより、装置使用者は、水分率を検査する製品の品質管理等を考慮することにより、自己の判断に基づいて校正の要否を判断し(S9)、校正を実行し(S10)、或いは校正を実行しないで水分計の性能検査を終了する。
【0038】
以上、検査用試料として酒石酸ナトリウム等一種類の物質を使用する場合を例に説明したが、前述のように酒石酸ナトリウム以外の理論水分率が既知である物質を複数使用する場合には、検査用試料理論水分率記憶手段8には、(A)クエン酸ナトリウム二水和物(理論水分率12.4%)、(B)タングステン酸ナトリウム二水和物(理論水分率10.92%)等のように各物質の理論水分率が、例えば「(A)クエン酸ナトリウム二水和物加熱温度/180℃」等と、その物質の適正加熱温度と共に記憶されている。
【0039】
操作者は、例えばクエン酸ナトリウム二水和物を試験用試料として用いる場合には、入力手段10を試料設定モードにして、例えばAのキーを押す。これにより水分計の検査はクエン酸ナトリウム二水和物を試験用試料とすることを前提として実行され、表示部7には秤量皿1aに載せる当該クエン酸ナトリウム二水和物の適正量、加熱指示温度「180℃」等が表示され、操作者はこの指示に従って水分計を操作し、上述のステップが実行される。
【0040】
【発明の効果】
以上本発明を実施例により具体的に説明したように、本発明によれば酒石酸ナトリウム等、理論水分率が判明している検査用試料を用い、かつ装置が指示する手順で、検査用試料の水分率を実測することにより、特別の知識や熟練を要することなく容易に水分計の基本性能の検査を行うことが可能となり、常時所定の信頼性をもって水分計を使用することが可能となる。
【0041】
また、質量計測装置において用いられる校正分銅のように、この検査用試料を水分計に用いることにより、あたかも質量計測装置におけるように水分計の校正を実施することが可能となる。
【0042】
更に、本発明は使用する試料が特定の検査用試料である以外は、実際の水分率計測時と同じ状態で操作するため、装置における加熱手段の停止タイミング等も検査でき、水分計の作動もチェック可能である。
【0043】
更にまた従来方法のように加熱した分銅を取り出す際の火傷のおそれや、試験用の試料を何回も加熱乾燥する等の手間も掛からない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す水分計のブロック図である。
【図2】図1に示す水分計の作動状態の一例を示すフロー図である。
【符号の説明】
1 質量計測部
2 試料
3 加熱手段
4 質量計測データ
5 中央処理部
6 水分率演算手段
7 表示部
8 検査用試料理論水分率記憶手段
9 校正手段
10 入力手段
11 比較手段
Claims (2)
- 試料2の質量を計測する電磁平衡式質量センサからなる質量計側部1と、
ハロゲンランプ又はジュール発熱する抵抗線からなる加熱手段3と、
加熱手段3により加熱され、徐々に水分が蒸発する試料2の質量減少をモニターし、質量減少の度合いが予め定められた敷居値以下となった時点ΔTにおいて加熱手段3を停止させる中央処理部5と、
加熱前の質量W1と加熱手段3を停止させた加熱後の質量W2との差から試料2の水分率を算出する演算手段6と、
演算手段6で算出した水分率を表示する表示部7と、
各種の設定事項を入力する入力手段10と、
を備えた加熱乾燥型水分計おいて、
当該加熱乾燥型水分計の精度を検査する場合に使用する検査用試料について、複数の検査用試料の種類毎に、理論水分率と適正量と適正加熱温度とを記憶する記憶手段8と、
当該加熱乾燥型水分計を用いて計測した特定の検査用試料の実測水分率と、記憶手段8に憶されている当該検査用試料の理論水分率とを比較する比較手段11と、
比較手段11の比較結果を予め設定しておいた基準に基づいて評価した評価結果を表示する表示部7と、
表示部7に表示された評価結果をもとに、実測水分率が理論水分率と等しくなるように当該加熱乾燥型水分計を校正する校正手段9と、
を具備したことを特徴とする加熱乾燥型水分計。 - 検査用試料の少なくとも一つは酒石酸ナトリウム二水和物であることを特徴とする請求項1に記載の加熱乾燥型水分計。
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